JP3906748B2 - 内燃機関の冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の冷却装置に関し、特に水冷式の冷却装置において早期暖機が可能な内燃機関の冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用の内燃機関において、機関始動時における早期暖機は燃費性能や排気エミッションの向上を図る上で非常に重要である。水冷式内燃機関の早期暖機に関しては、例えば特開2001−140644号公報に記載されているように、蓄熱タンクを利用した暖機手法が提案されている。この公報に開示されている内燃機関は、機関運転中に冷却水回路を流れる高温の冷却水を蓄熱タンクに貯留することにより蓄熱しておき、この蓄熱タンクに貯留されている高温の冷却水を次回の機関始動時に冷却水回路を介して内燃機関に供給することにより、内燃機関の早期暖機を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の内燃機関の冷却装置は、冷却装置の故障対策が講じられていないため、例えば正常時に比べ内燃機関の温度上昇が遅くなり早期暖機が図れないという問題が発生し、場合によっては、いつまでも暖機が終了せず、内燃機関始動のタイミングが不明になるという問題があった。
【0004】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明は、冷却装置の故障等による暖機時間の増大への対策を施した内燃機関の冷却装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(1)上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の冷却装置は、水冷式の内燃機関と、前記内燃機関により加熱された高温の冷却水を貯留する蓄熱タンクと、冷却水から熱を収集する集熱手段と、冷却水を、前記内燃機関と前記蓄熱タンクの間を循環する暖機用冷却水、および、前記内燃機関と前記集熱手段の間を循環する集熱用冷却水に分流するとともに、前記暖機用冷却水および前記集熱用冷却水の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁を制御し、前記蓄熱タンクに貯留されている高温の冷却水を前記内燃機関に供給して暖機する暖機制御手段と、を有し、前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転停止時、次回の暖機開始時に前記集熱用冷却水が循環しないように前記流量調整弁を予め制御しておくことを特徴とする。望ましい態様において、前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転始動前に暖機を行い、暖機温度が正常暖機温度まで上昇した場合、または、暖機温度が正常暖機温度まで上昇せず所定時間経過した場合に前記内燃機関の運転始動を許可するものとする。
【0006】
上記構成によれば、内燃機関の暖機度合を示す暖機温度が、機関の暖機が完了したとみなせる暖機温度である正常暖機温度に到達した場合に内燃機関を運転始動するシステムにおいて、例えば冷却装置等の故障により、暖機温度の上昇が遅くなる場合でも、内燃機関の運転始動タイミングを得ることができる。
【0007】
望ましくは、前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転停止時、次回の暖機開始時に前記集熱用冷却水が循環しないように前記流量調整弁を予め制御しておくものとする。
【0008】
望ましくは、前記暖機温度は、前記内燃機関の吸気ポート壁の温度とする。
【0009】
望ましくは、前記暖機温度は、前記内燃機関に流入する冷却水の温度とする。
【0010】
(2)また、上記目的を達成するために、本発明に係る内燃機関の冷却装置は、水冷式の内燃機関と、前記内燃機関により加熱された高温の冷却水を貯留する蓄熱タンクと、冷却水から熱を収集する集熱手段と、冷却水を、前記内燃機関と前記蓄熱タンクの間を循環する暖機用冷却水、および、前記内燃機関と前記集熱手段の間を循環する集熱用冷却水に分流するとともに、前記暖機用冷却水および前記集熱用冷却水の流量を調整する流量調整弁と、前記流量調整弁を制御し、前記蓄熱タンクに貯留されている高温の冷却水を前記内燃機関に供給して暖機する暖機制御手段と、を有し、前記暖機制御手段は、暖機温度が所定温度以下の場合、前記流量調整弁を制御し、前記集熱用冷却水の流量を所定流量以下に調整するものとする。
【0011】
上記構成によれば、内燃機関の暖機の際、集熱手段が集熱用冷却水から熱を奪うことによる冷却水の温度低下を抑制できる。
【0012】
望ましくは、暖機異常判定手段をさらに有し、前記暖機制御手段は、前記暖機異常判定手段が暖機異常と判断し、かつ暖機温度が所定温度以下の場合、前記流量調整弁を制御し、前記集熱用冷却水の流量を所定流量以下に調整するものとする。
【0013】
望ましくは、前記暖機異常判定手段は、暖機の際、前記内燃機関に流入する冷却水の所定時間内における温度上昇が、所定温度以下の場合に暖機異常と判断するものとする。
【0014】
上記構成によれば、暖機に異常が伴う際、例えば、所定時間内の温度上昇が所定温度以下の場合に、集熱手段が集熱用冷却水から熱を奪うことによる冷却水の温度低下を抑制でき、冷却水の温度上昇を助けることができる。
【0015】
望ましくは、前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転始動前に暖機を行い、暖機温度が正常暖機温度まで上昇した場合、または、暖機温度が正常暖機温度まで上昇せず所定時間経過した場合に前記内燃機関の運転始動を許可するものとする。
【0016】
上記構成によれば、集熱手段が集熱用冷却水から熱を奪うことによる冷却水の温度低下を抑制したにも拘らず、暖機温度の上昇が遅くなる場合でも、内燃機関の運転始動タイミングを得ることができる。
【0017】
望ましくは、前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転停止時、次回の暖機開始時に前記集熱用冷却水が循環しないように前記流量調整弁を予め制御しておくものとする。
【0018】
上記構成によれば、内燃機関の運転停止後に冷却装置に異常が発生した場合でも、次の内燃機関の運転始動時の暖機において、冷却水の温度上昇を助けることができる。
【0019】
望ましくは、前記暖機温度は、前記内燃機関の吸気ポート壁の温度とする。
【0020】
望ましくは、前記暖機温度は、前記内燃機関に流入する冷却水の温度とする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、車両に搭載される水冷式エンジンの冷却装置の全体構成を示す構成図である。内燃機関であるエンジン10はその内部に冷却水通路12を有し、この冷却水通路12に冷却水が流れることによって、エンジン10が冷却される。冷却水通路12の上流側には、このエンジンのクランクシャフト(図示せず)によって駆動されるエンジン用ポンプ14が接続されており、冷却水はこのエンジン用ポンプ14によって冷却水通路12に圧送される。
【0023】
エンジン10の冷却水通路12の下流側には冷却水通路16が接続されており、サーモスタットバルブ18、冷却水通路20を介して、エンジン用ポンプ14の吸込側に冷却水が流れるように構成されている。また、サーモスタットバルブ18は冷却水通路22を介してラジエータ24の水入口に接続されており、ラジエータ24の水出口は冷却水通路26を介してエンジン用ポンプ14の吸込側に接続されている。なお、冷却水通路20と冷却水通路26は合流後にエンジン用ポンプ14の吸込側に接続されている。
【0024】
サーモスタットバルブ18は、冷却水の温度に応じて冷却水の流路を切り替えるバルブであり、このサーモスタットバルブ18を流れる冷却水の温度が所定温度Tsよりも高い場合、冷却水通路20側を閉塞して冷却水通路16と冷却水通路22を接続し、冷却水温度が前記所定温度Ts以下の場合、冷却水通路22側を閉塞して冷却水通路16と冷却水通路20を接続する。
【0025】
したがって、エンジン10の運転中、冷却水温度が所定温度Tsよりも高い場合、冷却水は、エンジン用ポンプ14→エンジンの冷却水通路12→冷却水通路16→サーモスタットバルブ18→冷却水通路22→ラジエータ24→冷却水通路26→エンジン用ポンプ14の閉回路を循環し、エンジン10において加熱された冷却水はラジエータ24を通過する際に冷却される。
【0026】
一方、エンジン10の運転中、冷却水温度が所定温度Ts以下の場合、冷却水は、エンジン用ポンプ14→エンジンの冷却水通路12→冷却水通路16→サーモスタットバルブ18→冷却水通路20→エンジン用ポンプ14の閉回路を循環する。
【0027】
また、エンジン10の冷却水通路12は、前述した回路とは別の回路にも接続されている。即ち、冷却水通路12の下流側は、冷却水通路28、流量調整弁である三方切替弁30、冷却水通路32、水温センサ34、蓄熱タンク36、蓄熱タンク用ポンプ38、冷却水通路40、冷却水通路26を介して、エンジン用ポンプ14に接続されている。これにより、エンジン用ポンプ14→エンジンの冷却水通路12→冷却水通路28→三方切替弁30→冷却水通路32→蓄熱タンク36→蓄熱タンク用ポンプ38→冷却水通路40→冷却水通路26→エンジン用ポンプ14と循環する暖機用冷却水が流れる閉回路が形成される。
【0028】
この閉回路は、エンジン10で加熱された高温の冷却水を蓄熱タンク36に導入し貯留する場合、あるいは、エンジン10の始動時に蓄熱タンク36に貯留された高温の冷却水でエンジン10を暖機するときに使用される回路である。蓄熱タンク用ポンプ38は電動モータ(図示せず)によって駆動されるポンプであり、したがって、エンジン10のクランキング前であっても運転可能である。これに対して、エンジン用ポンプ14は前述したようにエンジン10のクランクシャフトにより駆動されるポンプであるので、クランキング前は運転不能である。また、三方切替弁30は冷却水通路42にも接続されており、この冷却水通路42には車室内暖房用のヒータコア44が、ヒータ用ポンプ46を介して接続されている。つまり、ヒータコア44はエンジン10で加熱された冷却水から熱を集める集熱手段として機能している。
【0029】
これにより、エンジン用ポンプ14→エンジンの冷却水通路12→冷却水通路28→三方切替弁30→冷却水通路42→ヒータコア44→冷却水通路40→冷却水通路26→エンジン用ポンプ14と循環する集熱用冷却水が流れる閉回路が形成される。
【0030】
三方切替弁30は、冷却水通路28を冷却水通路32と冷却水通路42のいずれか一方に選択的に接続するバルブであり、ECU48内の暖機制御手段50が三方切替弁30の動作を制御し、冷却水の流路を切り替える。同じくECU48内には暖機異常判定手段であるフェイル検出手段52が存在し、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があるか否かを確認している。
【0031】
図示しない空調装置のモード選択スイッチが「暖房モード」にされると、暖機制御手段50は、冷却水通路28と冷却水通路42とを接続するように三方切替弁30を制御し、さらにヒータ用ポンプ46を駆動する。これにより、前述した冷却水のフローに加えて、エンジンの冷却水通路12から流れ出た冷却水の一部が、冷却水通路28→三方切替弁30→冷却水通路42→ヒータ用ポンプ46→ヒータコア44→冷却水通路40と流れて冷却水通路26に合流するようになり、ヒータコア44がエンジン10で加熱された高温の冷却水から熱を奪い、この熱を車室内の暖気に利用する。
【0032】
次に、蓄熱タンク36に高温の冷却水を貯留し蓄熱する場合と、エンジン10の始動時に蓄熱タンク36に貯留されている高温の冷却水でエンジン10を暖機する動作について説明する。
【0033】
蓄熱は、この実施の形態においては、エンジン10の停止直後に行われる。即ち、エンジン10の停止信号(例えば、イグニッションスイッチのOFF信号)により、暖機制御手段50は、冷却水通路28と冷却水通路32とを接続するように三方切替弁30を制御するとともに、蓄熱用ポンプ38を運転する。これにより、冷却水は、エンジンの冷却水通路12→冷却水通路28→三方切替弁30→冷却水通路32→水温センサ34→蓄熱タンク36→蓄熱タンク用ポンプ38→冷却水通路40→冷却水通路26→エンジン用ポンプ14を経て冷却水通路12に戻る閉回路を流れることになる。ただし、この場合、エンジン10の停止後であるので、エンジン用ポンプ14は運転されていない。つまり、エンジンの冷却水通路12に流れる冷却水は、蓄熱用ポンプ38により流動される。
【0034】
次に、始動時における暖機について説明する。エンジン10の始動時には、エンジン10の運転始動前すなわちクランキング前に、暖機制御手段50は、冷却水通路28と冷却水通路32とを接続するように三方切替弁30を制御するとともに、蓄熱用ポンプ38を駆動する。これにより、冷却水は、蓄熱タンク36→冷却水通路40→冷却水通路26→エンジン用ポンプ14→エンジンの冷却水通路12→冷却水通路28→三方切替弁30→冷却水通路32→水温センサ34を経て蓄熱タンク36に戻る閉回路を流れることになる。また、エンジン10はクランキング前であるので、エンジン用ポンプ14は運転されていない。したがって、エンジンの冷却水通路12に流れる冷却水は、蓄熱タンク用ポンプ38により流動される。
【0035】
前述したように暖機はエンジン10の始動前に行い、暖機によりエンジン10が所望の温度に達してから始動することが望ましい。この際、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があると、暖機が正常に行われないため、エンジン10を所望の暖機温度まで上昇させることができない恐れがある。
【0036】
そこで暖機制御手段50は、エンジン温度センサ54が計測するエンジン内部の温度、例えば吸気ポート壁の温度が、所定時間内(例えば10秒間)に所定温度(例えば40度)を超えない場合、エンジン10の始動を許可するよう、始動トリガを出力し、図示しないエンジン10の始動制御手段へ、エンジン10の始動を許可する。
【0037】
これにより、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があり、暖機によりエンジン10が所望の温度に達しない場合でも、エンジン10の始動開始が保障できる。
【0038】
また、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38の故障によりエンジン10の暖機が充分でないにも関わらず、冷却水通路28を冷却水通路42に接続してしまうと、冷却水の熱がヒータコア44で消費されてしまい、ヒータコア44内を通過する冷却水の温度が低下し、エンジン10の暖機には不利になる。そこで、ECU48内にある暖機制御手段50は、エンジン10の暖機が完了するまで、ヒータコア44に冷却水が循環しないように、三方切替弁30を制御する。
【0039】
図2は、暖機制御手段50による三方切替弁30の制御を示すフローチャートである。なお以下の図2の説明において、図1に記載した要素と同じ要素には図1における符号を付してある。
【0040】
エンジン10の始動指示、例えば運転手によりエンジンスタートキーが入力されると、ステップ1において、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があるか否かを確認する。判定にはフェイル検出手段52が設定するフェイル判定フラグを参照し、フェイル判定フラグが0であれば異常なしと判断し本フローを終了し、例えば所定時間経過後、再びステップ1を実行して異常を確認する。フェイル判定フラグが1であれば異常ありと判定し、ステップ2に進む。なお、フェイル判定フラグの具体的な設定手法については後に詳述する。
【0041】
ステップ2において暖機温度の確認を行う。つまり、暖機温度の指標としての水温センサ34が計測する冷却水の温度が所定の正常暖機温度に達しているか否かを確認する。暖機温度が正常暖機温度以上、例えば60度以上であれば、本フローを終了し、三方切替弁30によりヒータに冷却水が循環することを許可する。所定温度より低い、例えば60度より低い場合、ステップ3に進み、三方切替弁30をヒータコア44に冷却水が循環しないよう、すなわち蓄熱タンク36のみに循環するように制御する。なお、ステップ2の暖機温度の確認では、エンジン温度センサ54が計測するエンジン10の内部温度、例えば吸気ポート壁の温度を利用してもよい。
【0042】
また、本フローの開始時には、三方切替弁30が予めヒータコア44に冷却水が循環しないように制御されていることが望ましい。このためには、走行終了後、例えばイグニションオフされた際に、次のエンジン10の始動に備え、予め三方切替弁30をヒータコア44に冷却水が循環しないように切り替えておくとよい。
【0043】
図3は、図2のステップ1におけるフェイル判定フラグの設定手法を示すフローチャートである。前述したようにフェイル判定フラグはフェイル検出手段52にて設定される。
【0044】
図3に示すように、ステップ1において、蓄熱タンク用ポンプ38に駆動指示が出力されているか否かを確認する。例えば蓄熱タンク用ポンプ38に駆動用電圧が印加されているか否かを確認する。駆動指示が出力されていなければステップ2に進み、フェイル判定フラグを0に設定し、本設定フローを終了する。駆動指示が出力されていればステップ3に進む。
【0045】
ステップ3では、蓄熱タンク用ポンプ38に駆動指示が所定時間連続して出力されているか否かを確認する。したがってフェイル検出手段52には、蓄熱タンク用ポンプ38への駆動指示時間値Cをカウントするカウンタが設けられており、カウンタ値Cが所定値より大きいか否かを確認する。所定値以下の場合、ステップ2に進み、フェイル判定フラグを0に設定し、本設定フローを終了する。所定値より大きければステップ4に進む。
【0046】
ステップ4では、蓄熱タンク用ポンプ38の駆動開始時の暖機用冷却水の温度と、現在の暖機用冷却水の温度との比較から、暖機用冷却水の温度上昇を計測し、温度上昇が所定温度より小さいか否かを確認する。所定温度以上の場合、ステップ2に進み、フェイル判定フラグを0に設定する。所定温度より小さい場合、ステップ5に進み、フェイル判定フラグを1に設定し本設定フローを終了する。
【0047】
前述したように暖機はエンジン10の始動前に行い、暖機によりエンジン10が所望の温度に達してから始動することが望ましい。この際、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があると、上述した冷却水の温度低下の対策を講じたとしても、エンジン10を所望の暖機温度まで上昇させることができない恐れがある。この問題を回避したエンジン始動手法を次に説明する。
【0048】
図4は、暖機制御を伴うエンジン始動動作を示すフローチャートである。エンジン10の始動指示を受けると、ステップ1において、蓄熱タンク36から冷却水(前述したように、エンジン10で加熱された高温の冷却水である)が放出されているか否かを確認する。放出の確認は、例えば蓄熱タンク用ポンプ38に対して冷却水放出指令信号を出力していることを確認すればよく、あるいは、蓄熱タンク36の水出口に流量計を設置してその流量により確認してもよい。冷却水が放出されていなければステップ2へ進み、冷却水の放出時間をカウントするカウンタ値C´を0に設定して本フローを終了し、所定時間後、例えば1秒後に本フローを再開する。冷却水が放出されていればステップ3へ進む。
【0049】
ステップ3では、カウンタ値C´にカウント値1を加算し新たなカウント値C´とする。カウント値としては例えば1秒とするなど、用途に応じて適宜設定を行えばよい。
【0050】
ステップ4では、エンジン内部の温度が所定温度に達しているか否かを確認する。例えば、エンジン温度センサ54の計測結果により吸気ポート壁の温度が40度より高ければステップ5に進み、エンジン10の始動を許可して本フローを終了する。吸気ポート壁の温度が40度以下であればステップ6に進む。
【0051】
ステップ6では、カウンタ値C´を確認し、カウンタ値C´が例えば10秒より大きければステップ5に進みエンジン10の始動を許可する。カウンタ値C´が10秒以下であれば、本フローを終了し、所定時間後、例えば1秒後に本フローを再開する。
【0052】
なお、ステップ4の温度確認では、例えば、水温センサ34が計測する冷却水温を参照し、冷却水温が所定温度より高い否かで判定してもよい。
【0053】
上記のように、暖機温度、例えばエンジン10の内部温度あるいは冷却水温の温度が所定時間内に所定温度に達しない場合、エンジン10の始動を許可することでエンジン始動のトリガが不明になることを避けることが可能になり、蓄熱タンク36や蓄熱タンク用ポンプ38に異常があり、暖機によりエンジン10が所望の温度に達しない場合でも、エンジン10の始動開始が保障できる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明により、冷却装置の故障等による暖機時間の増大への対策を施した内燃機関の冷却装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る内燃機関の冷却装置の全体構成図である。
【図2】 暖気制御手段の制御手順を示すフローチャートである。
【図3】 フェイル判定フラグの設定手順を示すフローチャートである。
【図4】 暖機制御を伴う内燃機関の始動動作手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 エンジン、30 三方切替弁、34 水温センサ、36 蓄熱タンク、38 蓄熱タンク用ポンプ、50 暖機制御手段、52 フェイル検出手段、54 エンジン温度センサ。
Claims (7)
- 水冷式の内燃機関と、
前記内燃機関により加熱された高温の冷却水を貯留する蓄熱タンクと、
冷却水から熱を収集する集熱手段と、
冷却水を、前記内燃機関と前記蓄熱タンクの間を循環する暖機用冷却水、および、前記内燃機関と前記集熱手段の間を循環する集熱用冷却水に分流するとともに、前記暖機用冷却水および前記集熱用冷却水の流量を調整する流量調整弁と、
前記流量調整弁を制御し、前記蓄熱タンクに貯留されている高温の冷却水を前記内燃機関に供給して暖機する暖機制御手段と、
を有し、
前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転停止時、次回の暖機開始時に前記集熱用冷却水が循環しないように前記流量調整弁を予め制御しておく、
ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。 - 請求項1記載の内燃機関の冷却装置であって、
暖機異常の有無を判定する暖機異常判定手段をさらに有し、
前記暖機制御手段は、前記内燃機関の始動指示が成されると、前記暖機異常判定手段が暖機異常と判断し、かつ暖機温度が所定温度以下の場合、前記流量調整弁を制御し、前記集熱用冷却水の流量を所定流量以下に調整する、
ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。 - 請求項2記載の内燃機関の冷却装置であって、
前記暖機制御手段は、前記内燃機関の始動指示が成されると、前記暖機異常判定手段が暖機異常と判断し、かつ暖機温度が正常暖機温度以上の場合、前記流量調整弁を制御し、前記集熱手段に冷却水が循環することを許可する、
ことを特徴とする内燃機関の冷却装置。 - 請求項3記載の内燃機関の冷却装置であって、
前記暖機異常判定手段は、暖機の際、前記内燃機関に流入する冷却水の所定時間内における温度上昇が、所定温度以下の場合に暖機異常と判断する、内燃機関の冷却装置。 - 請求項4記載の内燃機関の冷却装置であって、
前記暖機制御手段は、前記内燃機関の運転始動前に暖機を行い、暖機温度が正常暖機温度まで上昇した場合、または、暖機温度が正常暖機温度まで上昇せず所定時間経過した場合に前記内燃機関の運転始動を許可する、内燃機関の冷却装置。 - 請求項1から5いずれか1項記載の内燃機関の冷却装置であって、
前記暖機温度は、前記内燃機関の吸気ポート壁の温度である、内燃機関の冷却装置。 - 請求項1から5いずれか1項記載の内燃機関の冷却装置であって、
前記暖機温度は、前記内燃機関に流入する冷却水の温度である、内燃機関の冷却装置。
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