JP3906607B2 - 記録及び/又は再生装置、及び記録及び/又は再生方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ光を集光させて信号記録媒体に対する情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置、及び記録及び/又は再生方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、動画や静止画などのビデオデータをデジタル的に信号記録媒体に記録する技術の発達に伴い、大容量のデータが信号記録媒体への記録対象となってきている。また、一般的に使用されてきたフロッピーディスクなどの磁気ディスクに代わって、記録密度が高く、光学的に情報信号の記録がなされる光磁気ディスクや相変化光ディスク等の光ディスクが普及しつつある。
【0003】
信号記録媒体に対して光学的に情報信号の記録や再生をする光記録再生技術においては、光学記録媒体とされる光ディスク上に再生用レーザ光を集光し、その反射光をモニターすることにより光ディスクに記録されていた情報信号を読み出している。この光記録再生技術においては、光ディスクに記録されるデータの密度は、集光されるレーザ光のスポット径に依存することになる。すなわち、レーザ光の光スポット径が小さいほど高密度に情報信号の記録や再生をすることができる。
【0004】
また、対物レンズにより集光されたレーザ光の最小スポット径は、レーザ光の波長(λ)に比例し、対物レンズの開口数(NA)に反比例する特性を有している。このようなことから、記録密度の高密度化のために、光源の短波長化及び対物レンズの高NA化が行われている。
【0005】
対物レンズの開口数(NA)は、集光される光の入射角度(θ)と、光が集光される媒質の屈折率(n)とを用いて次式のように表すことができる。
【0006】
NA=n×sinθ
この式により、屈折率(n)が1である空気中に集束経路を設けた場合において、開口数(NA)を1よりも高くすることは実質的に不可能であることが示される。
【0007】
近年、開口数(NA)を高めるものとして、対物レンズと光ディスクとの間に光学レンズであるソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens,SIL)を介在させて、このソリッドイマージョンレンズを介してレーザ光を光ディスク上に照射する技術が提案されている。例えば、Terris et al., Appl. Phys. Lett. 65 (4),p388-p390,25 July , 1994,やTerris et al.,Appl.Phys.Lett , 68(2),p141-p143,8 January,1996にその技術が開示されている。
【0008】
この技術では、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離を短くし、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間に介在される空気層の厚さを極力薄くしている。具体的には、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離を、レーザ光の使用波長以下にしている。これにより、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間は光学的には空気層がない状態とされ、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとが光学的に接触された状態になり、開口数(NA)を1以上にすることが可能とされている。例えば、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離として、最大でも100nm以下、望ましくは50nm程度とすることが提案されている。
【0009】
そして、ソリッドイマージョンレンズは、例えば、スライダーに搭載されて、光ディスクとの間に上述したような距離が保たれ、光ディスク上に浮上されて支持されている。スライダーは、光ディスクとの間に当該光ディスクの回転により空気層を形成し、搭載されているソリッドイマージョンレンズを、そのように回転される光ディスク上に浮上させ支持している。例えば、スライダーには光ディスクに対向される面に溝が形成されており、これにより、光ディスクに対するソリッドイマージョンレンズの浮上量は所定量とされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、開口数が1を超える場合においては、空気層の厚さを十分薄くするような制御を行わないと、光ディスクの信号記録面に集光されるレーザ光の強度の低下により、記録精度や再生信号の劣化を招いてしまう。すなわち、例えば、上述したように、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の間隔を100nm以下、望ましくは50nm程度としないと、記録精度や再生精度は劣化する。
【0011】
また、光ディスクが回転数一定の状態において駆動されている場合、光ディスクの径方向への移動に従って、線速度は変化する。よって、ソリッドイマージョンレンズを上述したようにスライダーに搭載されて、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離を光学的な接触状態にされるように保持している場合には、光ディスクの径方向においてスライダーに対する線速度が変化してしまう。これでは、光ディスクの径方向において、光ディスクとソリッドイマージョンレンズとの間に形成される空気層の厚さは一定とならず、たとえスライダーにおける光ディスクに対向される面に溝を設けるなどして形状を最適化しても、光ディスクの径方向に移動させた場合において浮上量を均一に保つことはできない。
【0012】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、光ディスクと当該光ディスク上にレーザ光を集光する光学レンズとの間を所定の距離にすることができる記録及び/又は再生装置、及び記録及び/又は再生方法を提供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る記録及び/又は再生装置は、上述した問題を解決するために、レーザ光が入射面より入射され、当該レーザ光を信号記録媒体に出射する出射面が信号記録媒体に光学的に接触される光学レンズと、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段と、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して得られる距離検出用戻り光の光量を検出する戻り光検出手段と、戻り光検出手段が検出した距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて光学レンズ変位手段を制御して、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保つ距離制御手段とを備える。
【0014】
このような構成を有する記録及び/又は再生装置は、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を当該信号記録媒体に対して出射面が光学的に接触される光学レンズの当該出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して、距離検出用戻り光の光量を戻り光検出手段により検出し、距離制御手段により、距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段を制御して、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保つ。
【0015】
これにより、光学レンズは、信号記録媒体に光学的に接触された状態のまま、当該信号記録媒体との間の距離が一定に保たれる。
【0016】
また、本発明に係る記録及び/又は再生方法は、上述した課題を解決するために、レーザ光が入射される入射面と当該レーザ光を信号記録媒体に出射する出射面とが形成された光学レンズを、信号記録媒体に光学的に接触させ、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して距離検出用戻り光の光量を検出し、距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させ、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保っている。
【0017】
これにより、光学レンズは、信号記録媒体に光学的に接触された状態のまま、当該信号記録媒体との間の距離が一定に保たれる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳しく説明する。なお、実施の形態は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付与されているが、本発明の範囲は、特に限定する旨の記載がない限り、実施の形態で示される態様に限定されるものではない。
【0019】
この実施の形態は、本発明に係る記録及び/又は再生装置を、光学ピックアップによりレーザ光を集光させて信号記録媒体に対する情報信号の記録や再生を行う光ディスク装置として適用したものである。
【0020】
図1に示すように、光ディスク装置の有する光学ピックアップ10は、光源11、ビームスプリッタ12、対物レンズ13、ソリッドイマージョンレンズ(Solid Immersion Lens,SIL)14、光検出手段15、及び処理回路16を備えている。そして、光学ピックアップ10は、ソリッドイマージョンレンズ14の保持手段としてスライダー17及びアーム18を備えている。そして、光学ピックアップ10は、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御する手段としてスライダー17に対する加重を制御する加圧力調整手段19を備えている。
【0021】
この光学ピックアップ10において、スライダー17、アーム18及び加圧調整手段19は、ソリッドイマージョンレンズ14を光ディスク100に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段としての機能を有し、光検出手段15は、光ディスク100に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上をソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aから出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して得られる距離検出用戻り光の光量を検出する戻り光検出手段としての機能を有し、処理回路16は、光検出手段15により検出された距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて上述した光学レンズ変位手段を制御して、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を一定に保つ距離制御手段としての機能を有する。
【0022】
このような構成を有する光学ピックアップ10は、光ディスク装置に備えられ、信号記録媒体である光ディスク100に対する情報信号の記録や再生を行う。光ディスク100は、例えば、光磁気的に情報信号の記録がなされる光磁気ディスクである。光ディスク100は、例えば射出成形により容易に形成されるものであるが、これに限定されるものではなく、例えばガラス、アルミニウムを基板として形成されているものであってもよい。
【0023】
この光ディスク100には、図2に示すように、データが記録されるデータ領域DAと、データ領域DAのヘッダ部分に、光ディスク装置がトラッキングサーボ等を行うためのサーボ情報が記録されているサーボ領域DSとが形成されている。このデータ領域DAとサーボ領域SAにおける1本の記録トラックはセクタを構成する。なお、図2中では、光ディスク100の一部分にデータ領域DA及びサーボ領域SAが形成された態様を示しているが、実際には光ディスク100の全体にデータ領域DA及びサーボ領域SAは形成されている。
【0024】
サーボ領域SAには、トラッキングサーボに使用されるトラッキング情報やデータのアドレス情報等が記録されている。そして、サーボ領域SAには距離検出用パターンを構成する凹溝部が形成されている。以下、凹溝部が形成されているサーボ領域SA内における領域を距離検出用領域という。
【0025】
図3には、図2中にA部詳細として示されるサーボ領域SAの距離検出用領域を示している。距離検出用領域には、図3中(A)及び(B)に示すように、光ディスク100の記録トラックに対して垂直な方向にのびた凹形状の溝部(凹溝部)100aが複数本形成されて距離検出用パターンが形成されている。凹溝部100aの溝深さは、所定の深さとされている。例えば、凹溝部100aの溝深さは、光源11の出射するレーザ光の波長λの約8分の1程度に選定されている。また、各凹溝部100aは、距離検出用領域内において、光ディスク100の回転方向に所定のピッチ(空間周波数)とされて配列されている。
【0026】
光学ピックアップ10は、凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査した際に得られた距離検出用戻り光の光量の変化に応じて、光ディスク100に対して接離する方向にソリッドイマージョンレンズ14を変位させ、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を最適距離として保つように制御している。凹溝部100aの検出に基づいて行うソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の制御については後述する。
【0027】
上述した光ディスク100に対してレーザ光を集光させて、情報信号の記録や再生を行う光学ピックアップ10における光源11はレーザ光を出射するレーザ光源である。光源11は、図示しない光源駆動部に制御されて、所定のレーザパワーとされて、再生用レーザ光又は記録用レーザ光を出射する。また、光源11のレーザパワーは、光スポットにより距離検出用領域上を走査する際には、所定のパワーとされる。
【0028】
この光源11から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタ12を透過して、対物レンズ13に入射される。対物レンズ13によりレーザは、ソリッドイマージョンレンズ14に向けて収束されて出射される。
【0029】
ソリッドイマージョンレンズ14は、レーザ光Lの入射側に凸とされた略半球形状に形成されている。ソリッドイマージョンレンズ14は、球面部がレーザ光Lが入射される入射面14bとされ、平面部が入射面14bから入射されたレーザ光Lを光ディスク100に向けて出射する面であって当該光ディスク100に対向される出射面14aとされている。
【0030】
また、ソリッドイマージョンレンズ14は、出射面14aと光ディスク100との間の距離が200nm以下とされて配置されている。これにより、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間は光学的には空気層がない状態とされ、ソリッドイマージョンレンズと光ディスク100とは光学的に接触された状態になされる。そして、このソリッドイマージョンレンズ14の開口数は1以上とされている。
【0031】
このソリッドイマージョンレンズ14と上述した対物レンズ13とは、光源11から出射されたレーザ光を光ディスク100上に集光させる2群レンズを構成する。
【0032】
さらに、ソリッドイマージョンレンズ14は、スライダー17に搭載されている。スライダー17は、回転される光ディスク100上に空気層を介してソリッドイマージョンレンズ14を浮上させる。すなわち、スライダー17の光ディスク100に対向される空気層形成面17aと当該光ディスク100との間に、光ディスク100の回転により空気層が形成され、ソリッドイマージョンレンズ14は、このようなスライダー17と一体とされていることにより、回転される光ディスク100上に浮上されて支持される。
【0033】
ソリッドイマージョンレンズ14は、このように光ディスク100上に浮上された状態において、上述したように、光ディスク100との間の距離、すなわち浮上量が200nm以下とされ、光ディスク100に対して光学的に接触された状態にされる。
【0034】
また、スライダー17は、アーム18により支持されている。スライダー17は、アーム18を介して空気層形成面17aに与えられる荷重や空気層の剛性等によりその浮上量が決定されている。
【0035】
加圧力調整手段19は、スライダー17に対して、光ディスク100に接離する方向にアーム18を介して荷重を付与する荷重付与手段である。加圧力調整手段19によるスライダー17への荷重の制御により、スライダー17の浮上量が制御され、光学的接触状態とされているソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離が制御される。加圧力調整手段19は、距離検出用領域を光スポットを走査した際に処理回路16において得られるソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aにおい反射される距離検出用戻り光の光量に応じた距離検出信号に基づいてスライダー17に対する荷重を変化させる。これにより、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離は制御される。処理回路16において得られるソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aにおいて反射される距離検出用戻り光の光量に応じた距離検出信号に基づいて行うソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離制御の詳細については後述する。
【0036】
ここで、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、当該ソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aから出射されるレーザ光との関係について説明する。
【0037】
対物レンズ13とソリッドイマージョンレンズ14とで1よりも大きい開口数が実現されるのは、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100とが光学的接触状態とされている場合に限られる。
【0038】
例えば、光学的接触状態とされる範囲において、ソリッドイマージョンレンズ14が、光ディスク100から離れていくと、出射面14aから出射されずに当該出射面14aにおいて反射されるレーザ光の割合が急激に増加する。そして、さらにそのように光学的接触がなされている範囲を超えてソリッドイマージョンレンズ14が光ディスク100から離れると、レーザ光は出射面14aにおいてほぼ100%反射(全反射)されるようになる。
【0039】
すなわち、図4に示すように、光学的に接触された状態において、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離(δ)を増加させていくと、出射面14aにおいて反射された戻り光である距離検出用戻り光の光量は増加する。この図4に示すように、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離(δ)と、距離検出用戻り光の光量との間には、横軸に距離(δ)をとり、縦軸に距離検出用戻り光の光量をとった場合、上に凸な関数としての関係が存在する。そして、さらに光ディスク100からソリッドイマージョンレンズ14を遠ざけていくと、距離検出用戻り光の光量は増加しなくなり、略一定のまま推移する。
【0040】
一方、図4に示すように、光ディスク100上におけるレーザ光のパワー(盤面パワー)は、距離検出用戻り光の光量との関係において反対の傾向を示す。よって、光学的接触がなされている状態において、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離(δ)を増加させていくと、盤面パワーは減少する。
【0041】
ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、当該ソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aから出射されるレーザ光との間には以上のような関係がある。
【0042】
よって、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離が変動してしまうと、盤面パワーが変動してしまい、光ディスク100に対する情報信号の記録や再生を行えない場合がある。ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の変動は、スライダーを用いている場合には、例えば、光ディスク100の径方向において線速度が一定とされていないときに生じる。
【0043】
このようなことから、光学ピックアップ10は、所定のレーザパワーとされた光スポットが光ディスク100上に形成されるように、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を一定に保つ必要がある。そこで、光学ピックアップ10は、所定のレーザパワーとされた光スポットが光ディスク100上に形成されるように、加圧力調整手段19によりスライダー17に対する荷重を制御して、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離が一定に保たれるように制御している。加圧調整手段19によりスライダー17に対して付与される荷重については、処理回路16により検出された距離検出用領域上を光スポットを走査した際に得られる距離検出信号に基づいて行われており、詳細については後述する。
【0044】
対物レンズ13により収束されたレーザ光は、このように加圧力制御手段19によりスライダー17に荷重が付与されることにより光ディスク100上に一定量とされ浮上されているソリッドイマージョンレンズ14を介して、当該光ディスク100上に集光される。
【0045】
ソリッドイマージョンレンズ14により集光されて光ディスク100上に照射されたレーザ光は、光ディスク100上において反射された戻り光として、ソリッドイマージョンレンズ14及び対物レンズ13を介して、ビームスプリッタ12に入射される。再生時においては、光ディスク100上において反射された戻り光(以下、データ変調戻り光という。)は、光ディスク100に記録されているデータにより変調される。
【0046】
ビームスプリッタ12には反射面が形成されており、距離検出用戻り光及びデータ変調戻り光は、この反射面により、光検出手段15に向けて反射される。
【0047】
光検出手段15は、戻り光に応じた光検出信号を出力する。光検出手段15では、光スポットにより距離検出用領域が走査されている場合には、距離検出用戻り光の光量が検出される。この場合、光検出手段15において検出される距離検出用戻り光の光量は、ソリッドイマージョンレンズ14が凹溝部100a上を横切ったことに対応して変化する。光検出手段15は、光検出信号を処理回路16に出力する。
【0048】
処理回路16は、入力された光検出信号に対して各種信号処理を行う。また、処理回路16は、距離検出用領域上を光スポットにより走査した際の距離検出用戻り光に対応される距離検出信号を検出して、この距離検出信号に基づいて距離制御用信号を加圧力調整手段19に出力する。
【0049】
光学ピックアップ10は、距離検出信号に基づいて、次のように、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御している。
【0050】
凹溝部100aは、上述したように、光ディスク100の回転方向に所定のピッチとされて形成されている。凹溝部100aをソリッドイマージョンレンズ14が横切ることにより、ソリッドイマージョンレンズ14の出射面14aにおいてレーザ光が実際に出射される出射部と光ディスク100との間の距離は一定の周期で変化する。出射部は、ソリッドイマージョンレンズ14においては、通常、その出射面14aのほぼ中心部分に位置される。
【0051】
例えば、図5に示すように、レーザ光の出射部14a1と光ディスク100との間の距離は、凹溝部100aの底面100a1に対する距離δA又は凹溝部100aの底面100a1に対して凸とされる面、すなわち凹溝部100aに隣設される面100bに対する距離δBとされて変化する。
【0052】
よって、このソリッドイマージョンレンズ14により集光される光スポットが距離検出用領域を横切ることにより得られる距離検出用戻り光の光量は、そのような距離の変化に応じて変化し、一定の振幅を有する距離検出信号として検出される。すなわち、距離検出用戻り光の光量は、ソリッドイマージョンレンズ14の屈折率、開口数(NA)、光ディスク100の構成および屈折率、光源11から出射されるレーザ光の波長、及びソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離等により決定されるものであり、このように距離検出用戻り光の光量を決定する要因の一つであるソリッドイマージョンレンズ14の出射部14a1と光ディスク100との間の距離が、凹溝部100aが横切ることにより変化するために、距離検出用戻り光の光量はそれに応じて変化し、一定の振幅を有する距離検出信号として検出される。
【0053】
また、このようにして得られる距離検出信号の周波数は、距離検出用領域内において凹溝部100aが所定のピッチにより形成されていることからそのピッチ及び線速度に対応したものとなる。
【0054】
処理回路16は、光ディスク100上をソリッドイマージョンレンズ14を走査して得られる信号内の凹溝部100aのピッチに対応される所定の周波数からなる距離検出信号を取得して、その距離検出信号の振幅に基づいて距離制御用の信号を加圧力調整手段19に出力する。すなわち、距離検出用領域を光スポットにより走査した際に得られる距離検出信号の振幅をソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を示すものとして扱い、距離検出信号の振幅に基づいてソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御している。
【0055】
距離検出信号の振幅に基づいて以下に説明するような原理により、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を算出している。
【0056】
上述したように、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100とが光学的に接触された状態において、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、距離検出用戻り光の光量との間には、図4に示したようなある一定の関係がある。このことから、ソリッドイマージョンレンズ14の出射部14a1と光ディスク100における当該出射部14a1に対向される部分との距離δが、第1の距離δXとされた場合、距離検出用戻り光の光量は通常、第1の光量RXを示し、また、前述の第1の距離δXとは異なる第2の距離δYとされた場合、距離検出用戻り光の光量は通常、第2の光量RYを示すものとなる。例えば、光源11におけるレーザパワーが変化してしまうようなことがある場合には、このように一義的には求められず、このような場合については後述する。
【0057】
ここで、凹溝部100a上を光スポットが横切った際について考えると、その際の距離検出用戻り光の光量は、ソリッドイマージョンレンズ14の出射部14a1が凹溝部100aを横切ることによりある振幅をもって変化される。この距離検出用戻り光の光量の変化は、図5に示したように、出射部14a1に対向される光ディスク100における面が凹溝部100aの底面100a1と当該凹溝部100aに隣設される面100bとが交代するために発生する。よって、この距離検出用戻り光の光量の変化の振幅は、出射部14a1に凹溝部100aの底面100a1が対向された際の距離検出用戻り光の光量と、出射部14a1に凹溝部100aに隣設される面100bが対向された際の距離検出用戻り光の光量との差分を示すものとなる。
【0058】
一方、光学的に接触された状態において、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、距離検出用戻り光の光量との間に存在する関係は、横軸に距離(δ)をとり、縦軸に距離検出用戻り光の光量をとった場合、上に凸な関数として示される関係となっている。そして、凹溝部100aの溝深さは、一定であり、既知とされている。
【0059】
以上のようなことから、ある距離検出用戻り光の光量の差分に対して、ソリッドイマージョンレンズ14の出射部14a1と光ディスク100との距離が一義的に決定される。すなわち、図4中において、距離検出用戻り光の第1の光量RXが、出射部14a1が凹溝部100aの底面100a1に対向されたときのものであり、さらに、第2の光量RYが、出射部14a1が凹溝部100aの底面100a1に隣設される面100bに対向されたときのものであると仮定した場合、凹溝部100aの溝深さは一定であるので、第1の距離δX及び第2の距離δYが特定され、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離が特定される。なお、凹溝部100aに隣設されている面100bと光ディスク100の表面とが同一面内の高さにあるとすれば、第2の距離δYは、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100の表面との間の距離とされる。
【0060】
また、例えば、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、距離検出用戻り光の光量の振幅との関係をテーブル等の情報として保持しておくことや関係式により、検出された距離検出用戻り光の光量の差分に基づいて、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を直接的に得ることはできる。
【0061】
また、距離検出用領域を再生する場合には、レーザ光のレーザパワーは所定の値とされている。一方、光源11のレーザパワーが変化してしまうような場合もあり、この場合、距離検出用戻り光の光量の絶対値はそれに応じて変化してしまう。しかし、このような場合でも、距離検出用戻り光の光量の差分自体はほとんど変化しないので、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離は特定できる。
【0062】
以上のような原理により、距離検出信号の振幅により示される凹溝部100aを光スポットが横切った際に検出される距離検出用戻り光の光量の差分により、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との距離が算出される。光ピックアップ10は、このようなソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の算出結果に応じて距離制御用の信号を加圧力調整手段19に出力している。加圧力調整手段19は、この距離制御用の信号に基づいてスライダー17に荷重を付与する。
【0063】
以上のような構成を有する光学ピックアップ10は、再生時又は記録時に、所定のレーザパワーとされた再生用レーザ光又は記録用レーザ光を、対物レンズ13及びソリッドイマージョンレンズ14により、光ディスク100上に集光して、当該光ディスク100に対する情報信号の書き込み又は読み出しを行う。
【0064】
そして、光学ピックアップ10は、光ディスク100のサーボ領域に設けられている距離検出用領域上を光スポットを走査した際に得られた距離検出信号に基づいて加圧力調整手段19によるスライダー17への荷重の付与を制御し、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を最適距離として一定に保つことができる。
【0065】
これにより、光学ピックアップ10は、光ディスク100の半径方向において線速度が一定とされていない場合であっても、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を一定として、当該光ディスク100上にレーザ光を集光させることができる。よって、光学ピックアップ10は、劣化することなく光ディス100に対する情報信号の記録や再生ができる。
【0066】
また、距離検出用領域内に形成される1つの凹溝部100aに基づいて、上述したようにソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の制御を行うこともできる。しかし、複数の凹溝部100a上を光スポットを走査した際に得た距離検出用戻り光の光量に基づいて距離制御を行うことにより、信頼性を高めて距離制御を行うことができる。また、所定のピッチにより複数の凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査した際に得られる距離検出信号は凹溝部100aのピッチに対応された周波数からなるものであるので、処理回路16において、特定の周波数帯を取得することにより、距離制御用に使用する距離検出信号を取得することができるようになる。
【0067】
また、光ピックアップ10は、上述したように、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、距離検出用戻り光の光量との間に上述したように上に凸な関数としての関係があることを利用し、凹溝部100aを横切ることにより得られる距離検出用戻り光の光量の差分に基づいて、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を得ている。このようにすることにより、光源11から出射されるレーザ光のレーザパワーが変化したような場合でも、距離検出用戻り光の光量の絶対値はそれに応じて変化してしまうものの、距離検出用戻り光の光量の差分自体は変化しないので、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を得ることができる。
【0068】
また、従来より、光ディスク上にレーザ光を集光する光学レンズを支持するアームに光学部品を搭載させ、その光学部品に光を照射して、その光学部品により反射された戻り光に基づいて光学レンズと光ディスクとの間の距離を制御するといった技術もある。しかし、本実施の形態とされる光学ピックアップ10は、距離検出用戻り光の光量の変化に基づいてソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御しているので、そのような構成に比べ簡素な構成となっている。
【0069】
また、再生用レーザ光及び記録用レーザ光にも使用されない別の距離調整用レーザ光を光ディスクに集光させて、その戻り光に基づいて光ディスクと当該光ディスク上にレーザ光を集光する光学レンズとの間の距離を制御することも考えられるが、この場合、距離調整用レーザ光を出射する別に光源が必要になり、装置が複雑化してしまう。また、また1つの光源から出射されたレーザ光を分光することも考えられるが、この場合、レーザパワーが減少してしまい、すなわち、例えば光ディスク上に再生に必要なレーパワーを集光することができなくなり、レーザパワーを有効的に利用することができなくなる。
【0070】
また、光ディスク100の距離検出用領域に、第1のピッチ及びこの第1のピッチと異なるピッチとされた第2のピッチにより凹溝部100aを形成し、このような第1及び第2のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域を光スポットを走査した際に得られる距離検出信号に基づいてソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御することもできる。
【0071】
光学ピックアップ10は、異なるピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域それぞれについて光スポットを走査した際に得られる距離検出信号の振幅に基づいて、上述したようにソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を算出することにより、光ディスク100に対するソリッドイマージョンレンズ14の距離をより精度よく制御できるようになる。すなわち、例えば、光学ピックアップ10は、第1のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られた距離検出信号(以下、第1の距離検出信号という。)に基づいて制御を精度よく行うことができないような場合であっても、第2のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られた距離検出信号(以下、第2の距離検出信号という。)に基づいて制御することにより精度よく制御することができる。
【0072】
また、次のような原理に基づいてソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御することもできる。
【0073】
光学ピックアップ10は、上述したように、あるピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して距離検出信号を得ているが、光ディスク100上に形成される光スポットと凹溝部100aのピッチとの間には、光スポットのスポット径に比べて凹溝部100aの幅が狭い、すなわちピッチが短いとき、距離検出用戻り光の光量変化の振幅は減少するといった関係が成立する。
【0074】
一方、ソリッドイマージョンレンズ14により集光されて光ディスク100上に形成される光スポットのスポット径は、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離との関係において、距離が短いほど小さくなる。
【0075】
このような関係からソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を変えて第1及び第2のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査することにより、例えば図6に示すような距離検出信号を得ることができる。
【0076】
図6中(A)には、第1の距離検出信号を示し、図6中(B)には、第1のピッチより長いピッチとされる第2のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られる第2の距離検出信号を示している。そして、図6中(A)及び(B)には、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離Lを50nm(細線)及び200nm(太線)とした場合の各ピッチにおいて得られる距離検出信号を示している。
【0077】
図6中(A)に示す第1の距離検出信号は、図6中(B)に示す第2の距離検出信号の結果と比較した場合、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の変化量に対して振幅の変化量が大きくなるといった結果となっている。
【0078】
これは、第2のピッチにより形成されている凹溝部100aの幅は、光スポットのスポット径に比べて十分大きく、一方、第1のピッチにより形成されている凹溝部100aの幅は光スポットのスポット径に近似しているためである。すなわち、第1のピッチにより形成されている凹溝部100a上に光スポットが照射されている場合において、光ディスク100に対してソリッドイマージョンレンズ14を接離させたとき、凹溝部100aの幅に近い長さ内で光スポットのスポット径が変化するためである。
【0079】
このようにソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離の変化量が同じであっても、第1の距離検出信号の振幅の変化量は大きくなり、第2の距離検出信号の振幅の変化量は小さくなる。
【0080】
よって、図6に示したような距離検出信号が得られるような第1及び第2のピッチにより凹溝部100aが形成されている各距離検出用領域上を、光学的に接触されている状態において、光スポットを走査して得られる第1及び第2の距離検出信号の振幅を参照することにより、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を算出することができる。例えば、第1の距離検出信号の振幅と、第2の距離検出信号の振幅とを比較して、その差分に基づいてソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を算出することができる。
【0081】
具体的には、第1の距離検出信号の振幅と第2の距離検出信号の振幅との差分が大きい場合には、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100とは光学的接触がなされた状態において、より離間された状態となっていることがわかり、第1の距離検出信号の振幅と第2の距離検出信号の振幅との差分が小さい場合には、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100とは光学的接触がなされた状態において、より近接された状態となっていることがわかるので、このような関係からソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を具体的に導く。
【0082】
なお、この場合、各ピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られる距離検出信号の判別は、第1及び第2のピッチに対応される周波数により行う。
【0083】
光学ピックアップ10は、このようにピッチの異なる凹溝部100aにより形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得た第1及び第2の距離検出信号の振幅を参照してソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御することにより、光源11のレーザパワーが変動するような場合であっても、そのような変動量をキャンセルして、レーザパワーの変動に影響されることなくソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間が所望の距離となるように制御することができる。
【0084】
さらに、例えば、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離と、第1及び第2の距離検出信号の振幅(又は第1及び第2の距離検出用戻り光の光量の振幅)の差分との関係をテーブル等の情報として保持しておくことや関係式を求めておくことにより、検出された第1及び第2の距離検出信号の振幅の差分又は第1及び第2の距離検出用戻り光の光量変化の差分から直接的に、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を得ることができる。
【0085】
以上のように、光学ピックアップ10は、第1及び第2の距離検出信号に基づいて、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御できる。
【0086】
次に、光学ピックアップ10を備える光ディスク装置の具体的な構成について説明する。
【0087】
光ディスク装置は、光磁気ディスクに対して磁気的に情報信号を記録するように構成されており、具体的には、図7に示すように、光学ピックアップ10、スピンドルモータ31、磁気ヘッド32、ヘッド駆動部33、RAM(Random Access Memory)34、信号処理部35、インターフェース36、サーボ制御部37、送りモータ38、及びシステムコントローラ39を備えている。
【0088】
この光ディスク装置において、スピンドルモータ31、磁気ヘッド32、ヘッド駆動部33、RAM34、信号処理部35、サーボ制御部37、送りモータ38、及びシステムコントローラ39は、光学ピックアップ10により光磁気ディスクである光ディスク100に対する情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生手段を構成している。
【0089】
スピンドルモータ31は、光ディスク100を回転操作する駆動手段である。このスピンドルモータ31は、システムコントローラ39及びサーボ制御部37により駆動制御され、所定の回転数で回転される。このスピンドルモータ31により回転操作される光ディスク100に対して光学ピックアップ10からレーザ光が照射される。
【0090】
光学ピックアップ10は、スピンドルモータ31により回転される光ディスク100に対して、レーザ光を照射して、その戻り光(データ変調戻り光)に基づいて当該光ディスク100から情報信号の読み出しを行う。また、光学ピックアップ10は、光ディスク100の記録トラックに対して垂直方向に移動可能に支持され、送りモータ38により駆動されている。
【0091】
磁気ヘッド32は、ヘッド駆動部33により駆動が制御されて、光ディスク100に対して磁界を印加する。光ディスク100は、磁気ヘッド32により磁界が印加されることにより、光学ピックアップ10によるレーザ照射部分の信号記録層に情報信号が書き込まれる。ヘッド駆動部33は、情報信号に応じてこの磁気ヘッド32の磁界変調を制御する。
【0092】
信号処理部35は、各種信号処理を行うように構成されている。信号処理部35は、具体的には、情報信号の再生系として、信号復調器や誤り訂正回路を備え、また、情報信号の記録系として、信号変調器等を備えている。RAM34は、データが記憶される記憶手段であって、例えば、この信号処理部35の作業用メモリとして使用される。
【0093】
信号処理部35は、再生の際には、光学ピックアップ10により光ディスク100から読み出された信号に対して、信号復調器により信号の復調を行い、そして、訂正回路により誤り訂正を行う。
【0094】
一方、信号処理部35は、記録の際には、信号変調器によりデータを変調してヘッド駆動部33に出力する。ヘッド駆動部33は、このようにデータが変調された変調信号に基づいて、上述したように磁気ヘッド32の駆動を制御する。
【0095】
インターフェース36は、外部接続の電子機器との間でデータの送受信を行う。外部接続の電子機器は、例えば、外部コンピュータである。
【0096】
例えば、光ディスク装置において再生動作がなされているときには、信号処理部35の信号復調器及び誤り訂正回路等において信号処理された再生信号が、このインターフェース36を介して外部コンピュータに送出される。
【0097】
サーボ制御部37は、光学ピックアップ10における2群レンズを保持する二軸アクチュエータ等のレンズ駆動手段をフォーカシング方向及びトラッキング方向についてサーボ制御する。ここで、2群レンズは、上述したように対物レンズ13とソリッドイマージョンレンズ14とから構成される。
【0098】
また、サーボ制御部37は、光学ピックアップ10を送り操作する送りモータ38についてのサーボ制御を行う。さらに、サーボ制御部37は、光ディスク100を回転操作するスピンドルモータ31についてのサーボ制御を行う。サーボ制御部37は、上述した各部のサーボ制御を、システムコントローラ39からの制御信号に基づいて行っている。
【0099】
システムコントローラ39は、光ディスク装置を構成する各部についての制御を行う。システムコントローラ39は、一制御機能として、前述したように、サーボ制御部37に制御信号を出力して、各駆動部の駆動を制御する機能を有している。
【0100】
以上のように構成された光ディスク装置は、光ディスク100から情報信号を再生する動作については、スピンドルモータ31により回転される光ディスク100から光学ピックアップ10により読み出した信号に対して、信号処理部35の信号復調器により信号の復調を行い、訂正回路により誤り訂正を行う。そして、このような信号処理がなされた再生信号は、例えば、インターフェース36を介して、外部接続される電子機器に送出される。
【0101】
また、光ディスク100に対する情報信号の記録の動作については、光ディスク装置は、スピンドルモータ31により回転される光ディスク100に対して光学ピックアップ10から所定の出力とされた記録用レーザ光を照射するとともに、信号処理部35の信号変調器により情報信号が変調された変調信号に基づいてヘッド駆動部33により磁気ヘッド32を駆動させる。この磁気ヘッド32の磁界変調により、光ディスク100の記録層の磁化方向が変化され、情報信号が記録される。
【0102】
そして、光ディスク装置は、光ディスク100の半径方向において線速度が一定とされていない場合であっても、光学ピックアップ10により、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を一定として、当該光ディスク100上にレーザ光を集光させることができる。よって、光ディスク装置は、劣化することなく光ディス100に対する情報信号の記録や再生ができる。
【0103】
また、ソリッドイマージョンレンズ14の操作については、スライダー17により行われることに限定されるものではない。図8には、ソリッドイマージョンレンズ14を変位させる光学レンズ変位手段の他の構成例を示している。
【0104】
図8に示す光学ピックアップ10は、図1に示した光学ピックアップ10と略同様に構成されているが、スライダーではなく、アクチュエータ40によりソリッドイマージョンレンズ14を光ディスク100上に保持する構成としている点において異なっている。図1に示した光学ピックアップ10と同一の構成部分については、図8中において同一の番号を付して、説明は省略する。
【0105】
図8に示すように、アクチュエータ40及びアクチュエータドライバ20により光学レンズ変位手段が構成されている。
【0106】
アクチュエータ40は、ソリッドイマージョンレンズ14が搭載され、駆動用電流が供給されてソリッドイマージョンレンズ14を光ディスク100に対して接離する方向に移動させる。このアクチュエータ40は、ソリッドイマージョンレンズ14の保持部41及びコイル巻装部42を備えている。
【0107】
保持部41は、略平板形状に形成されており、中心付近に形成されたレンズ取付け開口部にソリッドイマージョンレンズ14の対向面側の外周部がはめ込まれている。
【0108】
コイル巻装部42は、略筒形状に形成されており、保持部41が内側に形成されている。コイル巻装部42には、ソリッドイマージョンレンズ14の光軸のまわりに位置されるようにコイルが巻装されている。アクチュエータ40は、このコイル巻装部42の外周に磁石を配置している。
【0109】
このように構成されるアクチュエータ40は、アクチュエータドライバ20によりコイルに駆動用電流が供給されて、ソリッドイマージョンレンズ14を、光ディスク100に対して接離する方向に変位させる。
【0110】
アクチュエータドライバ20は、上述したスライダー17及び加圧力調整手段19からなる移動制御機構と同様に、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を制御する。
【0111】
すなわち、アクチュエータドライバ20には、処理回路16において得られる距離制御用の信号が入力される。距離制御用の信号は、上述したように、所定のピッチにより凹溝部100aが形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られる距離検出信号の振幅に基づいて得たソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離に応じた信号とされる。
【0112】
以上のようにアクチュエータ40及びアクチュエータドライバ20を備える光学レンズ変位手段により、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離は最適距離として一定に保たれる。
【0113】
よって、光学ピックアップ10は、このようなアクチュエータ40及びアクチュエータドライバ20を備えている光学レンズ変位手段により、光ディスク100の半径方向において線速度が一定とされていない場合であっても、ソリッドイマージョンレンズ14と光ディスク100との間の距離を一定として、当該光ディスク100上にレーザ光を集光させることができる。よって、光学ピックアップ10は、光ディス100に対する情報信号の記録や再生を劣化させることなく行うことができる。
【0114】
また、上述の実施の形態では、光磁気ディスクに対して情報信号の記録及び/又は再生を行う光学ピックアップ及び光ディスク装置について説明した。しかし、これに限定されることはなく、他の光学記録媒体に適用することもできる。例えば、ニアフィールド光記録技術が採用される他の光ディスク、例えば、相変化型光ディスクに対する情報信号の記録及び/又は再生を行う光学ピックアップ及び光ディスク装置に本発明を適用することもできる。
【0115】
なお、上述した実施の形態では、凹溝部100aの溝深さを、光源11の出射するレーザ光の波長λの約8分の1程度としている。しかし、これに限定されることはなく、凹溝部100aの溝深さは、これ以外の深さであってもよい。
【0116】
【発明の効果】
本発明に係る記録及び/又は再生装置は、レーザ光が入射面より入射され、当該レーザ光を信号記録媒体に出射する出射面が信号記録媒体に光学的に接触される光学レンズと、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段と、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して得られる距離検出用戻り光の光量を検出する戻り光検出手段と、戻り光検出手段が検出した距離検出用戻り光の光量に応じて得られる再生信号に基づいて光学レンズ変位手段を制御して、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保つ距離制御手段とを備えることにより、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を当該信号記録媒体に対して出射面が光学的に接触される光学レンズの当該出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して、距離検出用戻り光の光量を戻り光検出手段により検出し、距離制御手段により、距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段を制御して、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保つことができる。
【0117】
これにより、光学レンズは、信号記録媒体に光学的に接触された状態のまま、当該信号記録媒体との間の距離が一定に保たれる。
【0118】
また、本発明に係る記録及び/又は再生方法は、レーザ光が入射される入射面と、当該レーザ光を信号記録媒体に出射する出射面とが形成された光学レンズを、信号記録媒体に光学的に接触させ、信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を出射面から出射されたレーザ光により形成される光スポットにより走査して距離検出用戻り光の光量を検出し、距離検出用戻り光の光量に応じて得られる再生信号に基づいて、光学レンズを信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる制御をして、光学レンズと信号記録媒体との間の距離を一定に保つことにより、光学レンズが信号記録媒体に光学的に接触された状態のまま、当該信号記録媒体との間の距離を一定として保たれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態である光ディスク装置が備える光学ピックアップの構成を示すブロック図である。
【図2】データ領域及びサーボ領域が形成されている光ディスクを示す平面図である。
【図3】上述したサーボ領域の一部の領域であって、所定のピッチとされて凹溝部が形成されている距離検出用領域を示す図である。
【図4】ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離と、距離検出用戻り光の光量との関係を示す特性図である。
【図5】ソリッドイマージョンレンズと、光ディスクに設けられている距離検出用領域に形成されている凹溝部との位置関係を示す正面図である。
【図6】第1及び第2のピッチにより凹溝部が形成されている距離検出用領域上を光スポットを走査して得られる第1及び第2の距離検出信号を示すものであって、ソリッドイマージョンレンズと光ディスクとの間の距離が50nm及び200nmにおける再生信号の変化を示す特性図である。
【図7】本発明の実施の形態である光ディスク装置の構成を示すブロック図である。
【図8】アクチュエータによりソリッドイマージョンレンズを変位される光学ピックアップの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 光源、14 ソリッドイマージョンレンズ、15 光検出手段、16 処理回路、17 スライダー、18 アーム、19 加圧力調整手段
Claims (16)
- 信号記録媒体上にレーザ光を集光させて、当該信号記録媒体に対する情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生装置において、
上記レーザ光を出射する光源と、
上記レーザ光が入射面より入射され、当該レーザ光を上記信号記録媒体に出射する出射面が上記信号記録媒体に光学的に接触される光学レンズと、
上記光学レンズを上記信号記録媒体に対して接離する方向に変位させる光学レンズ変位手段と、
上記信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を上記出射面から出射された上記レーザ光により形成される光スポットにより走査して得られる距離検出用戻り光の光量を検出する戻り光検出手段と、
上記戻り光検出手段が検出した上記距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて上記光学レンズ変位手段を制御して、上記光学レンズと上記信号記録媒体との間の距離を一定に保つ距離制御手段と
を備えたことを特徴とする記録及び/又は再生装置。 - 上記信号記録媒体は、略円盤形状に形成されたディスク状記録媒体であり、
上記ディスク状記録媒体を回転操作する回転操作手段を備え、
上記光学レンズ変位手段は、上記光学レンズが搭載され、回転される上記ディスク状記録媒体上に空気層を介して浮上されるスライダーと、上記スライダーに対して、上記ディスク状記録媒体に接離する方向に荷重を付与する荷重付与手段とを備え、
上記距離制御手段は、上記荷重付与手段による上記スライダーに対する荷重を制御すること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記光学レンズ変位手段は、上記光学レンズが搭載され、駆動用電流が供給されて当該光学レンズを上記信号記録媒体に対して接離する方向に移動させるアクチュエータと、上記アクチュエータに上記駆動用電流を供給するアクチュエータ駆動手段とを備え、
上記距離制御手段は、上記アクチュエータ駆動手段への上記駆動用電流の供給を制御すること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記距離制御手段は、上記距離検出用戻り光の光量変化に応じて得られる距離検出信号の振幅に応じて上記光学レンズ変位手段を制御すること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記距離検出用領域内には、所定のピッチとされて複数の上記凹溝部が配列されていること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記距離検出用領域には、第1のピッチにより上記凹溝部が配列されている第1の距離検出用領域と、上記第1のピッチと異なるピッチである第2のピッチにより上記凹溝部が配列されている第2の距離検出用領域とがあり、
上記距離制御手段は、上記第1の距離検出用領域を上記光スポットにより走査して得られる第1の距離検出用戻り光の光量の変化に応じた第1の距離検出信号の振幅と、上記第2の距離検出用領域を上記光スポットにより走査して得られる第2の距離検出用戻り光の光量の変化に応じた第2の距離検出信号の振幅との比較結果に応じて、上記光学レンズ変位手段を制御すること
を特徴とする請求項5記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記光学レンズは、上記レーザ光の入射側に凸とされた略半球形状に形成され、球面部が上記レーザ光の上記入射面とされ、平面部が上記信号記録媒体に対向される上記出射面とされていること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 上記光学レンズの開口数が1以上とされていること
を特徴とする請求項1記載の記録及び/又は再生装置。 - 信号記録媒体上にレーザ光を集光させて、当該信号記録媒体に対する情報信号の記録及び/又は再生を行う記録及び/又は再生方法において、上記レーザ光が入射される入射面と、当該レーザ光を上記信号記録媒体に出射する出射面とが形成された光学レンズを、上記信号記録媒体に光学的に接触させ、
上記信号記録媒体に設けられている距離検出用領域内に記録トラックに垂直な方向にのびた凹溝部として形成されている距離検出用パターン上を上記出射面から出射された上記レーザ光により形成される光スポットにより走査して距離検出用戻り光の光量を検出し、
上記距離検出用戻り光の光量に応じて得られる距離検出信号に基づいて、上記光学レンズを上記信号記録媒体に対して接離する方向に変位させ、上記光学レンズと上記信号記録媒体との間の距離を一定に保つこと
を特徴とする記録及び/又は再生方法。 - 上記信号記録媒体として、略円盤形状に形成されたディスク状記録媒体を用い、
上記光学レンズが搭載され、回転される上記ディスク状記録媒体上に空気層を介して浮上されるスライダーに対し、上記ディスク状記録媒体に接離する方向に付与する荷重を制御して、上記光学レンズと上記ディスク状記録媒体との間の距離を一定に保つこと
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記光学レンズが搭載され、駆動用電流が供給されて当該光学レンズを上記信号記録媒体に対して接離する方向に移動させるアクチュエータへの上記駆動用電流の供給を制御して、上記光学レンズと上記信号記録媒体との間の距離を一定に保つこと
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記距離検出用戻り光の光量の変化に応じて得られる距離検出信号の振幅に応じて、上記光学レンズを上記信号記録媒体に対して接離する方向に変位させること
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記信号記録媒体として、上記距離検出用領域内に所定のピッチとされて複数の上記凹溝部が配列されているものを用いること
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記信号記録媒体として、第1のピッチにより上記凹溝部が配列されている第1の距離検出用領域と、上記第1のピッチと異なるピッチである第2のピッチにより上記凹溝部が配列されている第2の距離検出用領域とが形成されているものを用い、
第1の距離検出用領域を上記光スポットにより走査して得られる第1の距離検出用戻り光の光量の変化に応じた距離検出信号の振幅と、上記第2の距離検出用領域を上記光スポットにより走査して得られる第2の距離検出用戻り光の光量の変化に応じた距離検出信号の振幅との比較結果に応じて上記光学レンズの変位を制御して、上記光学レンズと上記信号記録媒体との間の距離を一定に保つこと
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記光学レンズとして、上記レーザ光の入射側に凸とされた略半球形状に形成され、球面部が上記レーザ光の上記入射面とされ、平面部が上記信号記録媒体に対向される上記出射面とされているものを用いること
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。 - 上記光学レンズとして、開口数が1以上とされているものを用いること
を特徴とする請求項9記載の記録及び/又は再生方法。
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