JP3905806B2 - 磁石入り穴明きボール玉及びその製造方法 - Google Patents

磁石入り穴明きボール玉及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボール部を貫通した穴を有し、かつボール部内部に磁石を内包した穴明きボール玉及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁石を内蔵し、磁気ネックレスや磁気ブレスレット等として使用可能なものが従来から市販されており、様々な種類がある。しかし磁石をカプセルに封入し、外部に継ぎ手を取り付けたものは、形態が特異となりカプセルをつなぐ部品類との調和を取りにくく、また美的でないためいかにも健康器具のような機能優先的イメージとなる。
【0003】
これに対してボール玉の中に磁石を封入することが考えられる。しかし図7に示すように、ボール玉9の中にリング状の磁石8を配置しても磁石8がずれて芯7が通らず、紐が通せない状態になり易い(図7(a))。ボール玉9を小さ目に型成形すると磁石8は固定されるが、磁石8の角が欠けたり、磁石にひび割れを生じたりするというような問題を生じる(図7(b))。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記の点に着目してなされたもので、その課題は内部に十分強力な磁石を固定可能であり、健康器具は勿論のこと宝飾品としても適用可能な磁石入り穴明きボール玉を提供することである。また本発明の他の課題は、磁石入り穴明きボール玉を効率良く、かつ低コストで製造可能とすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため本発明はボール部を貫通した穴に軸管が固定されており、軸管に磁石が固定されていてそれによりボール部に対する磁石の位置関係が固定された状態にあり、かつ貫通した穴が確保されている構造を具備せしめたものである。上記の磁石入り穴明きボール玉は、ガイド軸を使用して磁石と軸管を所要の態様で配置することにより磁石アセンブリを形成し、その磁石アセンブリをボール部成形用パイプ内に差し込み、磁石アセンブリを差し込んだボール部成形用パイプをボール部成形用金型にセットして塑性加工を施し、この塑性加工によってボール部を型成形するとともに、ボール部により軸管を固定し、かつ1個ずつ切り離すように構成された磁石入り穴明きボール玉の製造方法によって製造することが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に係る磁石入り穴明きボール玉はボール部を貫通した穴を有し、かつボール部に磁石を内包したボール玉である。ボール部は球形が標準であるが、ラグビーボールの例にもあるとおり、球形以外のものをも含み得る(図1、図2参照)。
【0007】
ボール部には、それを貫通した穴に軸管が固定されており、軸管には磁石が固定されていてそれによりボール部に対する磁石の位置関係が固定された状態にある。また軸管と磁石との位置関係が固定されているので、ボール部を貫通した穴が確保されており、紐なども自由に通すことができる。
【0008】
軸管に磁石を固定する手段方法は、大きく分けて軸管と軸管との間に磁石を挾んだ状態とするものと、軸管の外側に磁石を嵌めた状態とするものの2種類となる。前者の場合磁石は軸管と交互に配置される形態を取り(図3、図4)、後者の場合磁石は軸管の外側に所定間隔毎に適当な手段によって固定される(図5、図6)。
【0009】
本発明の磁石入り穴明きボール玉では、軸管によって磁石が固定され、かつまた軸管によってボール部を貫通した穴の状態が確保されている。よって磁石の位置が定まらずに芯が出ないということもないし、磁石が欠けたりひびが入ったりするということもない。
【0010】
このような磁石入り穴明きボール玉の製造には、ガイド軸を使用して磁石と軸管を所要の態様で配置することにより、軸管に磁石が所定の態様で一体化した磁石アセンブリを形成し、磁石アセンブリをボール部成形用パイプ内に差し込む工程を経ることが望ましい。ガイド軸に磁性体を使用することにより磁石の位置決めをガイド軸上で行なうことも可能である。磁石の固定には磁気のほかに接着などの手段が利用される。
【0011】
次いで、磁石アセンブリを差し込んだボール部成形用パイプをボール部成形用金型装置にセットして塑性加工を施し、それによってボール部を型成形するとともに、型成形されたボール部により軸管を固定し、かつ1個ずつ切り離すように構成される。なお、ガイド軸は、軸管と磁石とを貫通し、磁石アセンブリの取り扱いを容易化するとともに、塑性加工の際に金型の刃を受ける役割を果たす。
【0012】
本発明に係る磁石入り穴明きボール玉は、最終工程において磁石を作る、つまり強磁性体を磁化することができる。従って着磁工程の実施前は磁石は磁化されていない状態の強磁性体であっても良い。しかし、既に帯磁済みの磁石を使用しても良いのは勿論であり、そうすると磁石の固定にそれ自体の磁力を利用することも可能になる。さらにまた、完成した磁石入り穴明きボール玉に対しては切削加工やめっき処理など、所望の装飾加工を実施することができる。
【0013】
【実施例】
以下図示の実施例により本発明に係る磁石入り穴明きボール玉及びその製造方法についてより詳細に説明する。
【0014】
図1(a)、(b)は球形のボール玉10を示しており、ボール部11を貫通した穴に夫々軸管12、12が固定されており、かつそれらの軸管12、12に挾まれた状態で円筒状の磁石14が固定され、ボール部11を貫通した穴15が形成されている。図2(a)、(b)は俵状のボール玉10′を示しており、ボール部16を貫通した穴に1個の軸管17が固定されており、かつその軸管17の外側に円筒状の磁石18が接着によって固定されている。よってボール部11を貫通した穴19は軸管17の管内と等しい。
【0015】
上記の磁石入り穴明きボール玉10は、次に説明する方法によって製造される。第1の例は図3、図4に示されており、例えばピアノ線のように硬い線状材より成るガイド軸21を使用し、筒状磁石14と、間隔決め兼回り止めカラーとして働く軸管12とを交互に嵌合し、磁石アセンブリ20を形成する。磁石アセンブリ20の磁石14は鋼製ガイド軸21に接着により固定された状態にある。これをボール部成形用銀製パイプ22の中に差し込み、次いでこのパイプ22を金型装置にセットしてボール部を型成形する。磁石14として既に磁化したものを使用し、その磁気吸着力を固定に利用することも可能である。
【0016】
ボール部成形用金型装置は、開閉可能な一対の金型23、24を有し、両金型23、24は、パイプ22から球形のボール部11を数段階を追って型成形するために必要な形状変化A、B、C、D、E、Fを有しており、型開き時にパイプ22を例えば90度ずつ360度回転させて1工程を終え、次の工程に移動して同様の加工を繰り返し、F工程を終了したときに、金型の刃Gの部分でボール部1個毎に絞り切られ、分離する。この時の絞り切れる寸法はガイド軸21と同径であり、ガイド軸21からはずれた完成品が図4下に示す穴明きボール玉10である。
【0017】
図4下に示した穴明きボール玉10は図1に示した磁石入り穴明きボール玉10と同じである。しかしながら、構造的には図4の状態に完成していても未だ磁化されていない強磁性体を磁石14としている場合には、この後に強磁性体に着磁する工程が実施される。さらに必要な仕上げ加工等がボール玉10に加えられる。
【0018】
図5、図6に示されている第2の例は、軸管27として長寸のものをそのまま使用し、その外側に磁石28或いは磁化されていない強磁性体を磁石28として所定間隔置きに接着し、配置する。第2の例の場合にも軸管27には、ピアノ線のように硬質の線状材より成るガイド軸31を嵌合する。この状態の磁石アセンブリ30を、ボール部成形用金製パイプ32の中に差し込み(図5)、さらにその状態のパイプ32を金型装置にセットしてボール部を型成形する。図6の工程である。
【0019】
ボール部成形用金型装置は、第1例と同様のものとして示されており、複数段階を追って型成形を行うために必要な形状変化A、B、C、D、E、F及び金型に設けた切断のための刃Gを有している。従って第1例同様、型開き時にパイプ32を例えば90度ずつ回転させる加工を数回行ったのちパイプを1工程(1形状変化)分進めて同様の加工を繰り返し、F工程を終了すると、刃Gによって絞り切られ、分離して1個のボール玉10″となる。
【0020】
そのボール玉10″が、着磁されていない強磁性体を磁石として有している場合には、この後に着磁工程が実施される。またボール玉10″には必要な仕上げ加工等が施される。このようにして形成された磁石入り穴明きボール玉10″も図1に示したものと同じく球形の外観を有することになるが、長目の磁石18を使用し、これに合わせて必要な形状変化A、B、C…を持つ金型装置により塑性加工を施し、細長いボール玉を型成形することにより図2に示す磁石入り穴明きボール玉10′を得ることができる。
【0021】
このように本発明によれば、ボール部10…を貫通した穴15が、内蔵した磁石14…によって邪魔されないので、紐などを通して数珠つなぎにすることが容易であり、それ以外にも様々なつなぎ方を可能にする。従って、穴の明いた部品、例えばパール、ビーズ、外周に模様を形成した中空ボール等色々な部品と組み合わせて磁気ネックレス、磁気ブレスレット等を構成することができ、デザインの幅が著しく広がることになる。
【0022】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成されかつ作用するものであるから、内部に十分強力な磁石を固定可能であり、かつ健康器具のみならず宝飾品としても適用可能な磁石入り穴明きボール玉が提供され、しかも効率良く、しかも低コストで製造可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)本発明に係る磁石入り穴明きボール玉の実施例を示す外観図。
(b)同上の中央断面図。
【図2】(a)本発明の他の実施例を示すボール玉の外観図。
(b)同上の中央断面図。
【図3】本発明に係る磁石入り穴明きボール玉の製造方法の第1の例の工程を示す縦断面図。
【図4】同じく第1の例による工程の後半を示す縦断面図。
【図5】本発明に係るボール玉の製造方法の第2の例の工程を示す縦断面図。
【図6】同じく第2の例による工程の後半を示す縦断面図。
【図7】(a)従来の方法によるボール玉の固定されない状態を示す縦断面図。
(b)従来の方法によるボール玉の固定された状態を示す縦断面図。
【符号の説明】
10、10′、10″ 本発明に係る磁石入り穴明きボール玉
11、16 ボール部
12、17、27 軸管
14、18、28 磁石
15 貫通した穴
20、30 磁石アセンブリ
22、32 ボール部成形用パイプ

Claims (2)

  1. ボール部を貫通した穴を有し、かつボール部内部に磁石を内包した穴明きボール玉であって、ボール部を貫通した穴に軸管が固定されており、軸管に磁石が固定されていてそれによりボール部に対する磁石の位置関係が固定された状態にあり、かつ貫通した穴が確保されていることを特徴とする磁石入り穴明きボール玉。
  2. ボール部を貫通した穴を有し、かつボール部内部に磁石を内包した穴明きボール玉の製造方法であって、ガイド軸を使用して磁石と軸管を所要の態様で配置することにより磁石アセンブリを形成し、その磁石アセンブリをボール部成形用パイプ内に差し込み、磁石アセンブリを差し込んだボール部成形用パイプをボール部成形用金型にセットして塑性加工を施し、この塑性加工によってボール部を型成形するとともに、ボール部により軸管を固定し、かつ1個ずつ切り離すように構成された磁石入り穴明きボール玉の製造方法。
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