JP3905614B2 - リグノセルロース成形板の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リグノセルロースを主原料とする熱圧成形ボードの製造方法に関する。リグノセルロースを主原料として用いた成形品は、リグノセルロースが木質削片の場合パーチクルボードと称され、パーチクルボードの他には大型のチップを用いるウエハーボード、細長いチップ(ストランド)を1方向に配列させたオリエンテッドストランドボード(OSB)、木質繊維(ファイバー)の場合インシュレーションボード、中比重繊維板(MDF)、ハードボードと称されて生産され、床材、壁材、ドア材、防音材、断熱材、畳心材、家具部材、自動車用部材として使用されている。
【0002】
【従来の技術】
従来、パーチクルボード、ウエハーボード、OSB,およびハードボード、MDF、インシュレーションボード等のファイバーボードや籾殻を成形してなる籾殻ボードやコーリャン茎を成形してなるコーリャンボード等(以下ボードと称する)の製造のための接着剤、または、バインダーとしては、熱硬化性である尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素メラミン樹脂、フェノールメラミン樹脂、フェノール樹脂等(以下ホルマリン系樹脂接着剤)が広く用いられている。これらの樹脂は安価で接着性に優れ、比較的短時間で硬化するという特質を有する。しかし、これらのホルマリン系樹脂接着剤の熱圧成形後の製品から放出されるホルマリンは環境上問題視されており、放出ホルマリン量を低減化させるため、実際の使用に当たっては、接着剤中の遊離ホルマリン量を少なくしたり(樹脂接着剤のホルマリンモル比/フェノール、メラミン、尿素のモル比を小さくする)、ホルマリン系樹脂接着剤の配合時に、ホルマリンキャッチャー剤等が用いられている。
【0003】
また一方で、非ホルマリン系であり、かつ優れたボード物性を与える接着剤として、イソシアナート系接着剤のボードへの利用も提案されている(特開昭57−131538、特開昭57−147567、米国特許3557263号、3636199号、3870665号、3919017号、3930110号など)しかし、リグノセルロース系材料用接着剤として有機ポリイソシアナートを用い、熱圧成形した場合、その優れた接着性のために熱盤への付着が生じる。この付着により、成形物は損傷し、商品としての価値を著しく損失し、また、熱盤からの付着物の除去にも多大な労力を費やしてしまう。これらの問題を解決するため、熱盤の金属からの離型性を向上させるために有機ポリイソシアナートへの添加剤の検討も行われている。例えば、有機ポリイソシアナートへのアルキルリン酸塩または、ピロリン酸塩(特公平01−018068)、スルホン化化合物(特公平03−038309)、ワックスおよび液体エステル(特公平02−054390)、脂肪族カルボン酸(特開昭58−36430)、ポリシロキサン化合物(特開昭61−86205)、脂肪酸ポリマー(米国特許第4772442号、4933232号)などが提案されている。
【0004】
また、他の方法では、離型剤を直接熱盤へ熱圧前に塗布しておく方法が提案されている。たとえば、金属石鹸を用いた離型層の形成(特開平8−34026)、高沸点ポリオール(独国特許第1653178号)、官能基を持つポリシロキサンフィルムの使用(欧州特許第135992号)、ポリテトラフルオロエチレンによる被覆(米国特許第4374791号)などがある。そのため、一部のボード工場では製造の際、ボードを形成するいくつかの層のうち、熱盤に触れない内部の層だけに有機ポリイソシアナート系接着剤を使用し、熱盤と接触する表面層は従来のホルマリン系樹脂を使用するといった製造方法も行われている。
【0005】
その他の解決方法として、例えば、ポリウレタン樹脂成形品の製造において、有機ポリイソシアナート、ポリオール、架橋剤、触媒、および内部離型剤を原料とする方法(特開昭60−245622)が提案されている。しかし、この方法はポリオール100重量部に対し最大でも5重量部のステアリン酸亜鉛を添加するという方法であり、そもそも金型へ注型して得られる発泡体およびエラストマーの製造法であり、本発明の目的に対しては十分な解決方法とはならない。
【0006】
その他、離型組成物として脂肪族カルボン酸の亜鉛塩をポリオールに溶解した離型組成物(特開昭63−137953)、高級脂肪酸金属塩およびN,N,N’−トリス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミンからなる離型組成物(特開昭63−72757)が提案されている。しかしながら、脂肪族カルボン酸の亜鉛塩または高級脂肪酸金属塩のポリオールに対する使用部数が異なること、ポリオールの組成がまったく異なること、使用する系が非水系であること、および使用目的がポリウレタン成形物を製造するためであるから、本発明の目的に対しては十分な解決方法とはならない。
また、これらいずれの方法も、脂肪族カルボン酸金属塩やワックス、アルキルリン酸塩、ポリシロキサン等の有機ポリソシアナートへの溶解性の低さ、離型性能の悪さ等、種々の問題があり、実際の製造現場での使用に耐えうるものではなく、現在のところ、工程上、経済上、物性上すべてを満足する技術はない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、従来の方法では満足できなかった工程上、物性上の問題を解決し、有機ポリイソシアナート系接着剤を用いても熱盤に付着することなく、高品質のボードを安価に製造する方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、リグノセルロースを主原料とした熱圧ボードの製造方法において、特定のサリチル酸誘導体または該誘導体の塩を内部離型剤として、有機ポリイソシアナート系化合物およびポリエーテルポリオールとともに水に乳化させた水乳化液が、内部離型剤の乳化性が良好であり、且つ熱圧プレス時の熱盤への付着がなく、良好な生産性でリグノセルロース成形板を製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)および内部離型剤(C)を含有してなる水乳化液をリグノセルロース系材料の接着剤として用いるリグノセルロース成形板の製造方法において、
内部離型剤が、(a)一般式(1)
【化3】
〔式(1)中、R1 〜R5 は水素原子またはアルキル基を表し、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基またはハロゲン原子を表し、X2 およびX3 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表す〕で表されるサリチル酸誘導体、
(b)一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩、
(c)一般式(2)
【化4】
〔式(2)中、R6 〜R9 は水素原子またはアルキル基を表し、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基またはハロゲン原子を表し、mは0または1を表し、nは1または2を表す〕で表されるサリチル酸誘導体、および(d)一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩からなる群から選ばれる少なくとも一種〔以下、単に内部離型剤(C)と言うこともある〕であることを特徴とするリグノセルロース成形板の製造方法である。
【0010】
好ましくは、(2)ポリエーテルポリオール(B)が、その分子中、窒素原子の割合が全体の0.1〜12.0%、官能基数が2〜8、−(CH2 CH2 O)−の繰り返し単位が5〜70重量%であり、かつ、有機イソシアナート系化合物(A)の100重量部に対しポリエーテルポリオール(B)が1〜70重量部、ポリエーテルポリオール(B)の100重量部に対し内部離型剤(C)が1〜150重量部であることを特徴とする前記(1)の製造方法、
【0011】
(3)ポリエーテルポリオール(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、オルソトリレンジアミン、メタトリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンおよびポリフェニルポリメチレンポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種の化合物にアルキレンオキサイドを付加し、このアルキレンオキサイドのうち酸化エチレンの付加含量がポリエーテルポリオールに対し5〜70重量%であることを特徴とする前記(1)の製造方法、
【0012】
(4)一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩または一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩が、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル、銅またはコバルトの金属塩であることを特徴とする前記(1)の製造方法、
【0013】
および(5)有機イソシアナート系化合物(A)が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートであることを特徴とする前記(1)の製造方法である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のリグノセルロース成形板(ボード)の製造方法は、有機イソシアナート系化合物(A)およびポリエーテルポリオール(B)に前記の内部離型剤(C)を含有してなる水乳化液をリグノセルロース系材料の接着剤として使用することを特徴とする。
この接着剤は、例えば、(1)内部離型剤(C)を有機イソシアナート系化合物(A)、ポリエーテルポリオール(B)とともに含有させて調製した水乳化液として、または(2)内部離型剤(C)を含有しない、有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)とを含有する水乳化液をリグノセルロース系材料に混合する際に内部離型剤(C)を添加し乳化混合して使用する。
リグノセルロース系材料と上記の接着剤成分との混合物を成形した後、熱圧プレスを行い製品であるリグノセルロース成形板を得る。
【0015】
リグノセルロース系材料としては、パーチクルボード、ウエハーボード、OSBに使用されるストランドチップ、ダストチップ、フレークチップや、ハードボード、MDF、インシュレーションボードに使用されるファイバーおよびコーリャン茎、パガス、籾殻等の農産物が挙げられる。これらの原料は単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0016】
本発明における有機イソシアナート系化合物(A)としては、イソシアナート基を有する物質であれば良いが、例えば、トリレンジイソシアナート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、キシレンジイソシアナート、イソホロンジイソシアナート、ノルボルネンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナート(ポリメリックMDI)、または上記イソシアナート化合物を活性水素を1個以上有する化合物で変性した変性イソシアナートが挙げられる。この中では、経済性の面からポリメリックMDIが好ましい。
【0017】
本発明におけるポリエーテルポリオール(B)としては、官能基数2〜8の水酸基価(OHv)が24〜800mgKOH/gのポリエーテルポリオールで、−(CH2 CH2 O)−の繰り返し単位がポリエーテルポリオール(B)の分子中5〜70重量%であれば良い。
ポリエーテルポリオール(B)は、開始剤である活性水素を2個以上有する低分子化合物に酸化エチレン、酸化プロピレン、酸化ブチレン、酸化スチレン等の分子内にエポキシ基を有するアルキレンオキシドを無触媒、あるいはアルカリ金属の水酸化物、第3級アミン等を触媒にして通常のポリオールの製造として公知の方法で付加して製造する。
【0018】
上記の開始剤としては、アミン系開始剤として、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のエタノールアミン類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、オルソトリレンジアミン、メタトリレンジアミン、4,4’−ジフェニルメタンジアミン、2,4’−ジフェニルメタンジアミン、ポリメチルポリフェニルポリアミン等のアミン類が挙げられ、これらは単独、あるいは混合して用いることも出来る。
また、非アミン系開始剤、すなわち、グリセリン、ショ糖、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール等のアルコール類、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ノボラック等のフェノール類等と混合して用いてもよい。
【0019】
好ましい開始剤としては、上記のアミン系開始剤であり、これらアミン系開始剤に非アミン系開始剤を併用して使用しても何等差し支えない。ポリエーテルポリオール(B)分子中の窒素原子の割合は0.1〜12.0%が好ましく、0.1%より少ないと効率的に乳化できず好ましくなく、12.0%を超えると反応が速くなりすぎて製造上問題があり好ましくない。
【0020】
本発明に係る内部離型剤(C)は、(a)前記一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体、(b)一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩、(c)前記一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体および(d)一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩からなる群から選ばれる少なくとも一種を有効成分とするものである。
すなわち、前記一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体、該誘導体の塩、前記一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体および該誘導体の塩は、いずれか単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。夫々単独で用いても優れた内部離型性を示すが、併用することによって、さらに内部離型性能を向上させることもできる。
また、本発明で用いる各サリチル酸誘導体および該誘導体の金属塩は、乳化性に優れたエマルジョンにすることができるので、樹脂等へ添加した際内部離型に対する効力が均一に作用することが期待できる。
【0021】
一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体において、R1 〜R5 は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基またはsec −ブチル基)であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基である。
一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体において、X1 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec −ブチル基、tert−ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基)、炭素数7〜30のアラルキル基(例えば、ベンジル基、2−メチルベンジル基、4−メチルベンジル基、4−クロロベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基、1,3−ジフェニルブチル基)、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子または臭素原子)であり、より好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数7〜20のアラルキル基、フッ素原子、塩素原子であり、特に好ましくは、水素原子、メチル基またはα−メチルベンジル基である。
【0022】
一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体において、X2 およびX3 は水素原子、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表し、好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基)、炭素数1〜4のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子または臭素原子)であり、より好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
【0023】
一般式(1)において、X1 の置換位置は、サリチル酸骨格において、3位、4位、5位または6位であり、好ましくは、3位または5位である。
一般式(1)において、1,3−ジフェニルプロピル誘導体基の置換位置は、サリチル酸骨格において、3位、4位、5位または6位であり、好ましくは、3位または5位である。
【0024】
一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体としては、例えば、3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(2”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(3”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(2”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−イソプロピルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−n−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(3”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−エトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’−(4”−メチルフェニル)−3’−フェニルブチル〕サリチル酸、3−〔1’−フェニル−3’−(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’−フェニル−3’−(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、
【0025】
3−〔1’,3’−ジ(4”−フルオロフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(2”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−〔1’,3’−ジ(4”−ブロモフェニル)ブチル〕サリチル酸、3−(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−メトキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−エトキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−メチル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−tert−ブチル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−メトキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−n−ブトキシ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−フルオロ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−クロロ−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−ベンジル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−(4’−メチルベンジル)−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−(4’−クロロベンジル)−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−α−メチルベンジル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)−3−(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、6−エチル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−〔1’,3’−ジ(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、4−〔1’,3’−ジ(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、
【0026】
5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(2”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(3”−イソプロピルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−sec −ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(2”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−n−ブトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’−(4”−メチルフェニル)−3’−フェニルブチル〕サリチル酸、5−〔1’−フェニル−3’−(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’−フェニル−3’−(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−フルオロフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,5’−ジ(3”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−〔1’,3’−ジ(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、5−(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−メチル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−メトキシ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−クロロ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、
【0027】
3−ベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(2’−メチルベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(4’−メチルベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(4’−メトキシベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(2’−クロロベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(4’−クロロベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−フェネチル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)−5−(1’,3’−ジメチル−1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3,5−ジ(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−メチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−エチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−tert−ブチルフェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−メトキシフェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(2”−フルオロフェニル)ブチル〕サリチル酸、3,5−ジ〔1’,3’−ジ(4”−クロロフェニル)ブチル〕サリチル酸、4−エチル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−クロロ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−フルオロ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−メトキシ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、4−エトキシ−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、6−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸などを挙げることができるが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。これらのサリチル酸誘導体は、単独または複数併用してもよい。
【0028】
一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体において、R6 〜R9 は水素原子またはアルキル基を表し、好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec −ブチル基)であり、より好ましくは、水素原子またはメチル基である。
一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体において、ベンジル誘導体基の置換位置は、サリチル酸骨格において、3位、4位、5位または6位であり、好ましくは、3位または5位である。
一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体において、X1 は一般式(1)と同様である。
【0029】
一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体としては、例えば、サリチル酸にベンジル誘導体基が1個反応した1置換体サリチル酸誘導体(式(2)においてm=0およびn=1)、サリチル酸にベンジル誘導体基が1個反応したベンジルサリチル酸誘導体のベンジル基に、さらにベンジル誘導体基が1個反応したサリチル酸誘導体(同じく、m=1およびn=1)、サリチル酸にベンジル誘導体基が2個反応したサリチル酸誘導体などの2置換体サリチル酸誘導体(同じく、m=0およびn=2)、またはサリチル酸にベンジル誘導体基が2個反応した2置換体サリチル酸誘導体のベンジル基にさらにベンジル誘導体基が1個反応した3置換体サリチル酸誘導体(同じく、m=2およびn=1)などが挙げられ、本発明に用いる際は、1置換体、2置換体および3置換体はそれぞれ単独で用いてもよく、さらに、1置換体と2置換体、1置換体と3置換体、2置換体と3置換体、または1置換体、2置換体および3置換体の混合物として用いることができる。
1置換体、2置換体および3置換体から構成されるサリチル酸誘導体混合物における各置換体の混合比は、特に限定するものではないが、1置換体が5〜95重量%程度に対して2置換体および/または3置換体が95〜5重量%程度、好ましくは、1置換体が10〜90重量%程度に対して2置換体および/または3置換体が90〜10重量%程度である。
さらに、2置換体および3置換体の混合比は、特に限定するものではないが、2置換体5〜95重量%に対して3置換体が95〜5重量%の範囲である。
【0030】
一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体としては、例えば、3−ベンジルサリチル酸、3−α−メチルベンジルサリチル酸、3−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、3−(α−メチル−α−エチルベンジル)サリチル酸、3−(α−メチル−α−プロピルベンジル)サリチル酸、3−(α−メチル−α−イソブチルベンジル)サリチル酸、5−ベンジルサリチル酸、5−α−メチルベンジルサリチル酸、5−(α,α−ジメチルベンジル)サリチル酸、5−(α−メチル−α−エチルベンジル)サリチル酸、5−(α−メチル−α−プロピルベンジル)サリチル酸、5−(α−メチル−α−イソブチルベンジル)サリチル酸などの1置換体サリチル酸誘導体、3,5−ジベンジルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3−ベンジル−5−α−メチルベンジルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−α,α−ジメチルベンジルサリチル酸、3−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸、5−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸などの2置換体サリチル酸誘導体、
【0031】
3−ベンジル−5−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸、3−(4’−メチル−α−メチルベンジル)−5−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸、3−α,α−ジメチルベンジル−5−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕サリチル酸、3−〔4’−(α−メチルベンジル)−α−メチルベンジル〕−5−α−メチルベンジルサリチル酸などの3置換体サリチル酸誘導体を挙げることができるが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0032】
本発明に係る各サリチル酸誘導体は、其自体公知の方法(例えば、特公昭60−43317号公報、特開平2−91042号公報、特公昭51−25174号公報、特開平2−91043号公報、特開平5−221125号公報、特公平5−61110号公報、特公平5−75735号公報、特公平5−75736号公報の記載の方法)により製造することができる。
【0033】
すなわち、本発明に用いる一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体は、例えば、一般式(3)で表されるフェノール誘導体と二酸化炭素を塩基の存在下で反応(コルベ−シュミット反応)させて製造することができる。
また、例えば、一般式(4)で表されるサリチル酸誘導体と一般式(5)または一般式(6)で表されるスチレン誘導体のダイマーを酸の存在下に反応させることによっても製造することができる。
【0034】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
(式(3)〜(6)中、R1 〜R5 およびX1 〜X3 は前記に同じ意味を表し、R10およびR11は水素原子またはアルキル基を表わす。)
尚、一般式(5)または一般式(6)で表されるスチレン誘導体のダイマーは、スチレン誘導体より公知の方法〔例えば、特開昭51−115449号公報、J.Org.Chem.,18、1701(1953)、J.Org.Chem.,19、17(1953)、J.Amer.Chem.Soc.,74、4848(1952)、J.Amer.Chem.Soc.,80、1761(1958)に記載の方法〕により製造することができる。
【0035】
また、本発明に用いる一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体は、例えば、一般式(7)で表されるフェノール誘導体と二酸化炭素を塩基の存在下で反応(コルベ−シュミット反応)させて製造することができる。
また、例えば、一般式(4)で表されるサリチル酸誘導体と一般式(8)で表されるベンジルアルコール誘導体、ベンジルアルキルエーテル誘導体、ベンジルハライド誘導体または一般式(9)で表されるスチレン誘導体を酸の存在下で反応させることによっても製造することができる。
【0036】
【化9】
【化10】
【化11】
(式(7)〜(9)中、R6 〜R9 およびX1 は前記に同じ意味を表し、R12〜R14は水素原子またはアルキル基を表わし、Yは水酸基、炭素数1〜4のアルコキシ基またはハロゲン原子を表わす。)
また、一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体と一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の混合物は、例えば、一般式(4)で表されるフェノール誘導体に、一般式(9)で表されるスチレン誘導体を反応させて一挙に製造することができる。
【0037】
本発明で使用する各サリチル酸誘導体の塩としては、特に限定するものではなく、各サリチル酸誘導体と相互作用して、塩を形成しうる全ての塩を挙げることができ、好ましくは、金属塩、アンモニウム塩または有機塩であり、より好ましくは、金属塩であり、特に好ましくは、1価、2価、3価および4価の金属塩である。
塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ベリリウム、バリウム、ニッケル、スズ、銅、モリブデン、タングステン、ジルコニウム、マンガン、コバルト、ガリウム、ゲルマニウム、チタン、アルミニウム、鉄、金、銀、白金、パラジウム等の金属塩;アンモニウム塩;メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、エチレンジアミン、モルホリン、ピペリジン、アニリン、N,N−ジメチルアニリン等の有機アミンの有機塩を挙げることができ、好ましくは、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル、銅またはコバルトの金属塩である。
【0038】
本発明に係る各サリチル酸誘導体の塩は、例えば、該塩がアルカリ金属塩、アンモニウム塩または有機塩の場合には、該サリチル酸誘導体のカルボキシル基に対して、当量程度の水酸化アルカリ金属化合物、炭酸アルカリ金属化合物、炭酸水素アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム)、アンモニアまたは有機アミン化合物(例えば、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、2−ジメチルアミノエタノール、モルホリン)を水の存在下で作用させる方法により、該サリチル酸誘導体のアルカリ金属塩、アンモニウム塩またはアミン塩を製造することができる。
【0039】
また、本発明に係る各サリチル酸誘導体の塩が、例えば、1〜4価の金属塩(但し、アルカリ金属塩以外)の場合には、前記のサリチル酸誘導体のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩1当量に対し、0.8〜1.5当量、好ましくは、1.0〜1.2当量の対応する1〜4価の金属化合物を、水の存在下で作用させることにより、該サリチル酸誘導体の金属塩を製造することができる。尚、この場合の当量とは、例えば、該サリチル酸誘導体のアルカリ金属塩またはアンモニウム塩1モルに対し、例えば、2価の金属化合物(例えば、硫酸亜鉛)の場合には、0.5モルの2価の金属化合物が1当量に相当するものである。この際、所望に応じて加熱を行ったり、あるいは有機溶媒を共存させてもよい。
【0040】
上記の1〜4価の金属化合物としては、例えば、硫酸亜鉛、硫酸銀、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸アルミニウム等の硫酸塩、例えば、塩化亜鉛、臭化亜鉛、塩化銀、ヨウ化銀、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、塩化ニッケル、塩化コバルト、塩化アルミニウム等のハロゲン化物、例えば、酢酸亜鉛、酢酸マンガン等の酢酸塩、例えば、硝酸亜鉛、硝酸カルシウム、硝酸アルミニウム、硝酸コバルト、硝酸銅、硝酸ニッケル、硝酸銀等の硝酸塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
本発明に係るサリチル酸誘導体の塩は、2種以上のサリチル酸を用いて製造される塩、例えば、3−α−メチルベンジル−5−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸、5−(1,3−ジフェニルブチル)サリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸および5−α−メチルベンジルサリチル酸の各アルカリ金属塩の混合物と、硫酸亜鉛または塩化亜鉛と作用させて調製されるような亜鉛塩も内部離型剤として用いることができる。
また、上述のように製造される本発明に係る各サリチル酸誘導体の塩は、製造条件、サリチル酸誘導体の種類または塩の種類などによっては、時として水和物等の溶媒和物を形成することがあるが、勿論、該溶媒和物も本発明の内部離型剤の有効成分として好適に使用することができる。
【0042】
本発明に係る内部離型剤(C)は、前記一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体、該誘導体の塩、前記一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体および該誘導体の塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を有効成分とするものであり、すなわち、これらのサリチル酸誘導体および該誘導体の塩を単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよいが、混合物の組み合わせとしては、例えば、▲1▼一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体と一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体、▲2▼一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体と一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩、▲3▼一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩と一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体、▲4▼一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩と一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩等の組合せが挙げられ、該混合物は、いずれの組み合わせであっても効果が得られ、また複数併用してもよい。
【0043】
内部離型剤(C)の有効成分として、サリチル酸誘導体および/または該誘導体の塩の混合物として用いる場合、その混合比は、特に限定されるものではないが、通常、一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体および/または該誘導体の塩5〜95重量%に対して、一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体および/または該誘導体の塩95〜5重量%が好ましく、より好ましくは、10〜90重量%/90〜10重量%の範囲である。
【0044】
本発明の内部離型剤(C)の使用態様としては、本発明の所望の効果を損なわない限り、特に限定するものではないが、ニートの状態(液体または固体状態、ペレット状態)で使用してもよく、さらには各種の溶媒に溶解させて液体状態で用いてもよい。また、例えば、界面活性剤、乳化剤等を用いて、水または有機溶媒の存在下で乳化し、分散状態の内部離型剤とすることもできる。
また、本発明のリグノセルロース成形板の製造において、内部離型剤(C)は、予め、有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)と混合して水乳化液に調製された接着剤としてリグノセルロース系材料に加えても、また有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)とからなる水乳化液を接着剤としてリグノセルロース系材料に加える際に、離型剤として同時に加えてもよい。
したがつて、本発明で言う有機イソシアナート系接着剤は、リグノセルロース成形板の製造の際に、リグノセルロース系材料と混合する時点で有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)および内部離型剤(C)の各成分が接着剤として共存する状態で使用される。
【0045】
本発明において、接着剤成分中の内部離型剤(C)の含有量は、特に限定するものではないが、通常、接着剤固形分の0.1〜30%(重量比)であればよく、好ましくは、1〜20%である。
【0046】
本発明で言う有機イソシアナート系接着剤は、リグノセルロース成形板の製造に際して、予め、水乳化液の接着剤として調製して使用する。接着剤の調製において溶媒を使用する。使用される溶媒の具体例としては、例えば、水、さらには、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、1−メチルナフタレン、ヘキサン、オクタン、デカン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、クロロトルエン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール等のアルコール系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル系溶媒;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、アニソール、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N’−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素非プロトン性極性溶媒;例えば、ジメチルスルフォキシド、ジメチルスルフォン、スルフォラン等の含硫黄非プロトン性極性溶媒等の非プロトン性極性溶媒などの有機溶媒、さらには、流動パラフィン、スピンドル油、軽油、灯油、マシン油、潤滑油などの鉱物油、オリーブ油、ナタネ油、ヒマシ油、大豆油などの植物油などが挙げられる。これらの溶媒は、必要に応じて、複数併用してもよく、勿論、例えば、水と有機溶媒を併用してもよい。また、これらの溶媒は調製する接着剤中に内部離型剤(C)を含む、含まないにかかわらず使用できる。
【0047】
本発明に用いる接着剤は、上記の内部離型剤(C)の他に、さらに必要に応じて、バインダー、界面活性剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、充填剤、顔料、滑剤(ワックス)、可塑剤、香料、色素、酸化防止剤などを任意の割合で、例えば、混合法、溶融混合法、分散法などの方法により添加、配合することができる。
【0048】
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、スルフォン化変性ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコールなどのポリビニルアルコール誘導体;メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体;エピクロルヒドリン変性ポリアミド、エチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、メチロール変性ポリアクリルアミド、デンプン、デンプン誘導体(例えば、酸化デンプン、エーテル化デンプン);カゼイン、ゼラチン、アラビアゴム;スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンラテックス、酢酸ビニルエマルジョンなどの水溶性、不水溶性のバインダーが挙げられる。
【0049】
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、アルキロールアミドなどの非イオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステルの塩、アルキルスルホン酸の塩、アルキルアリールスルホン酸塩、ジアルキルスルフォコハク酸の塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルリン酸エステルの塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0050】
紫外線吸収剤としては、例えば、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体、シアノアクリレート誘導体、サリチル酸誘導体などが挙げられる。
紫外線安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン誘導体などが挙げられる。
顔料および充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、硫酸バリウム、タルク、ロウ石、カオリン、クレイ、ケイソウ土、シリカ、カーボンブラックなどの無機顔料、無機充填剤、例えば、スチレンマイクロボール、ナイロン粒子、尿素−ホルマリン充填剤、ポリエチレン粒子、セルロース充填剤、デンプン粒子などの有機顔料、有機充填剤が挙げられる。
【0051】
滑剤(ワックス)としては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルボキシ変性パラフィンワックス、カルナウバワックス、ポリエチレンワックス、ポリスチレンワックス、キャンデリアワックス、モンタンワックス、高級脂肪酸エステル、シリコーン油などが挙げられる。
可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、トリブチルフタレート、アジピン酸ジオクチルエステル、セバシン酸ジブチルエステル、クエン酸アセチルトリブチルなどのエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤などが挙げられる。
【0052】
本発明で使用する接着剤は、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、さらに、ワックス系内部離型剤、脂肪族カルボン酸金属系内部離型剤、いわゆる金属石鹸等の他の内部離型効果を有する薬剤を併用することも可能である。
この場合、全内部離型薬剤中に占める本発明に係る内部離型剤(C)の割合は、特に限定するものではないが、通常、20重量%以上、好ましくは、40重量%以上、より好ましくは、50重量%以上である。
【0053】
また、サリチル酸誘導体の塩は必要に応じて乳化剤を用いて乳化物として使用しても良い。この場合の乳化剤としては一般的に使用されているものであれば良く、脂肪酸石鹸、ロジン酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールスルホン酸塩等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等の界面活性剤が挙げられるが、本発明はこれらの界面活性剤に限定されるものではない。また、これらの界面活性剤は単独で用いても良いし、2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
【0054】
本発明で使用する接着剤において、有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)の混合比については、有機イソシアナート系化合物(A)のイソシアナート基当量1に対して活性水素当量が0.02から1.2が好ましい。0.02未満であると有機イソシアナート系化合物(A)が水に分散せず、1.2を超えると、イソシアナート基がリグノセルロース、水と反応する割合が少なくなるため、ボードの物性が低下し好ましくない。
【0055】
本発明の方法において、接着剤としての、有機イソシアナート系化合物(A)、ポリエーテルポリオール(B)および内部離型剤(C)の水乳化方法は、特に限定されないが、例えば、▲1▼有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)、内部離型剤(C)と水を4種同時に高速混合して乳化する方法、▲2▼内部離型剤(C)を予め水に分散させた後、ポリエーテルポリオール(B)を添加溶解し、有機イソシアナート系化合物(A)を高速混合して乳化する方法、▲3▼ポリエーテルポリオール(B)と内部離型剤(C)を混合した後に水と混合し、有機イソシアナート系化合物(A)を高速攪拌しながら添加して乳化する方法、▲4▼有機イソシアナート系化合物(A)に内部離型剤(C)を混合した後、水とポリエーテルポリオール(B)の混合液中に混合して乳化する方法、▲5▼ポリエーテルポリオール(B)、有機イソシアナート系化合物(A)、内部離型剤(C)を混合した後高速攪拌しながら水中に添加して乳化する方法等いずれの方法でも良く、各種の方法が適用できる。また、それぞれの段階で本発明を阻害しない範囲で、界面活性剤、安定剤を使用しても良い。
混合の方式はバッチ式でも、連続式でも良く、ホモジナイザー、スタチックミキサー等が使用できる。
使用する水分量は、リグノセルロース系材料の水分量によっても異なるが、接着剤がリグノセルロース系材料に均一に混合できる量であれば良いので、接着剤量の1〜200重量%が好ましい。
【0056】
有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)との混合比は、重量比で(A):(B)=100:1〜70の範囲であり、好ましくは5〜50の範囲である。ポリエーテルポリオール(B)が1未満では安定した水乳化液とならず、また70を超えるとボード物性が悪化する。
また、有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)の水乳化液とリグノセルロース系材料との比率は、有効成分の重量比で2:100〜30:100の範囲であり、好ましくは3:100〜20:100の範囲である。2未満では接着剤としての効果が得られず、また、30までの範囲で充分なボード物性が得られるため、30を超える量で使用しても工業的に無駄である。
【0057】
本発明において、ポリエーテルポリオール(B)と内部離型剤(C)の比は、ポリエーテルポリオール(B)100重量部に対して、内部離型剤(C)1〜150重量部が好ましい。これは、内部離型剤(C)が1重量部未満では離型効果が発揮されず、熱圧プレス時に熱盤に付着することがあるため好ましくなく、また、150重量部で十分な離型性が得られるので150重量部を超える使用は工業的に無駄である。
【0058】
本発明におけるリグノセルロース成形板の製造において、リグノセルロース系材料と、有機ポリイソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)および内部離型剤(C)を含有する水乳化液の接着剤を混合する方法としては、ブレンダー中に水乳化液をスプレーするか、もしくは類似の装置を用いて水乳化液をリグノセルロース系材料に均一に混合することが望ましい。または有機ポリイソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)を含有する水乳化液の接着剤と内部離型剤(C)とをリグノセルロース系材料と混合する場合でも同様の方法で均一に混合する。いずれにおいても、必要があれば、溶剤や水で希釈して溶液状にしても良いが、経済性、安全面から水溶液にすることが好ましい。
【0059】
本発明のリグノセルロース成形板の製造方法において、接着剤とリグノセルロース系材料との混合物は、フォーミングを経て熱圧プレスを行なうが、フォーミング時には単層から複数の層にフォーミングが可能である。必要に応じて接着剤の含量を変えても良い。また、必要があれば積層した後にプレプレスしても良く、また、積層する前にプレプレスしたマットを積層しても良い。また、このとき熱盤に触れる表層の面だけ本発明方法の接着剤を用い、内層には離型性のよくない接着剤を用いて多層構造にしても良い。
【0060】
熱圧プレスは熱が成形材料中に行きわたれば良いので、形状も上下共に平板でも、湾曲した型でも良いが、連続生産性、コスト面から平板プレスが好ましい。また、プレスの方式は連続プレスでも多段式プレスでもよい。
熱圧プレス後のボードの最外層の層は、必要があれば表面を所望の厚さに研磨して仕上げをしてもよい。
また、本発明においては所望の効果を阻害しない範囲で酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、シランカップリング剤、ポバール、金属触媒、外部離型剤、合成ゴムラテックス、アクリル系エマルジョンを併用してもよい。
本発明方法によれば、熱圧プレス時にコール盤に付着しないばかりか製品のボードには防菌、防カビ効果もあることが分かった。
【0061】
【実施例】
つぎに、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を何等限定するものではない。実施例および比較例における評価結果を表3に示す。例中特に断らない限りすべての部および比率は重量基準による。また、性能比較におけるボードの共通製造条件を以下に述べる。
原料:ダストチップ又は木質ファイバー(含水率7.0%、以下チップと言う)
ボード構成:単層(ダストチップ)または3層(木質ファイバー)
ボード厚(研磨部分除く):15mm
マット含水率:16%
熱圧温度:180℃
プレス圧力:35kg/cm2
プレス時間:2分30秒
設定密度:700kg/m3
【0062】
評価試験
1.曲げ強さ
成形した試料から "パーチクルボード JIS−A−5908”の試験片の項目に準じ、幅50mm、長さ275mm(スパン225mm)に試験片を裁断し、曲げ強さ試験を行った。結果は曲げ強さとして表示した。
2.湿潤時の曲げ強さ(A試験)
成形した試料から1.と同様の方法で試験片を裁断した。次に試験片を70±3℃の温水中に2時間浸せきし、常温水中1時間浸せきした後、濡れたままの状態で曲げ強さ試験を行った。結果は湿潤時の曲げ強さとして表示した。
3.離型性試験
熱圧時、鋼製のコール盤を用い、熱圧後のコール盤へのチップの付着状態を目視確認した。
◯:この操作を30回繰り返しても付着が確認されない。
4.総合判定
ボードの成形、ボードの物性を総合的に判断した。判定結果を示す評価記号は以下の通りである。
○:ボードを問題なく製造でき、しかも物性が良好な状態
×:ボードを製造出来ない状態
【0063】
製造例1
2−α−メチルベンジルフェノール19.8gと硫酸1gの混合物を80℃に加熱した後、同温度で1,3−ジフェニル−1−ブテン23gを滴下し、反応を行った。反応終了後、反応液にトルエンを加えた後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄し、水層を除去した。有機層に共沸脱水下、水酸化ナトリウム水溶液を滴下し、ナトリウムフェノキシドを含むトルエン溶液を得た。この溶液をオートクレーブに仕込み、130℃、10気圧で炭酸ガスを吹き込み、5時間反応させた。反応終了後、55℃に冷却し、水200gを加え水層を分取し、さらに水層をトルエンで洗浄し、未反応フェノールを除去した。水層を希塩酸で酸性とし、エーテルを加え有機物を抽出した後、エーテルを留去して3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸41gを得た。
得られた3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸22.5gを2gの水酸化ナトリウムを含む水溶液(340ml)に、25℃で溶解した。該水溶液に攪拌下、7.3gの硫酸亜鉛7水和物を含む水溶液(50ml)を、30分を要して25℃で滴下した。さらに、30分間、25℃で攪拌後、析出物を濾過し、水洗した後、40〜50℃で真空乾燥し、無色粉末状の3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸の亜鉛塩23gを製造した。
【0064】
製造例2
サリチル酸メチル30.4gとメタンスルホン酸8gの混合物に、スチレン41.6gを30〜40℃で滴下し、同温度で4時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエンを加えた後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄し、水層を除去した。次いで有機層より溶媒を留去した後、減圧蒸留により3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸メチルエステル体50.2gを得た。得られた3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸メチルエステル50gに水300gを装入して、98〜100℃に加熱した後、40%水酸化ナトリウム水溶液14gを2時間かけて滴下し、滴下終了後2時間反応して加水分解を行った。次いで、反応液にトルエンを加えた後、希硫酸により中和して、加熱溶解させ水層を除去した後、有機層より溶媒を留去し、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸46gを得た。その後、製造例1に記載した方法に従い、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の亜鉛塩を製造した。
【0065】
製造例3
3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸と3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の混合物(5:5モル比)20gを2gの水酸化ナトリウムを含む水溶液(340ml)に25℃で溶解した。該水溶液に攪拌下、7.3gの硫酸亜鉛7水和物を含む水溶液(50ml)を、30分を要して25℃で滴下した。さらに、30分間、25℃で攪拌後、析出物を濾過し、水洗した後、40〜50℃で真空乾燥し、無色粉末状の3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸と3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の混合物の亜鉛塩20.7gを製造した。
【0066】
製造例4
サリチル酸20.7g、酢酸10gおよびメタンスルホン酸5gを加え加熱した。内温110℃にし、その後この温度でスチレン62.4gを滴下した。滴下終了後、さらに1時間反応させた後、冷却し、反応液にヘプタン100mlを加え、水100mlで数回有機層を水洗した。水洗後、水酸化ナトリウム水溶液200mlを加え、有機層分離除去した。水層にヘプタン100mlを加え、水層を塩酸により酸性にした後、有機層を分離し、濃縮した。残渣の油状物質をさらに真空乾燥して、3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸と5−α−メチルベンジル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸および3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸(1:1:8モル比)の混合サリチル酸80.6gを得た。得られた混合サリチル酸を用いて、製造例1に記載した方法に従い、3−α−メチルベンジル−5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸と5−α−メチルベンジル−3−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸および3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の混合物の亜鉛塩を製造した。
【0067】
製造例5
サリチル酸メチル15.2gとメタンスルホン酸4gの混合物に、30〜40℃で1’,3’−ジフェニル−1−ブテン20.8gを滴下した。滴下終了後、さらに同温度で4時間反応させた。反応終了後、反応液にトルエンを加えた後、水、炭酸水素ナトリウム水溶液、水酸化ナトリウム水溶液で有機層を洗浄し、水層を除去した。その後、有機層より溶媒を留去し、水70gを装入して、98〜100℃に加熱した後、40%の水酸化ナトリウム水溶液10gを1時間かけて滴下し、滴下終了後、2時間反応させて加水分解を行った。次いで、反応液にトルエンを加えた後、希硫酸により中和して、加熱溶解させ水層を除去した後、有機層より溶媒を留去して5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸の粗生成物を得た。その後、粗生成物をトルエンとn−ヘキサンの混合溶媒により再結晶精製して、5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸の精生成物24gを得た。次いで、得られた5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸と3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸を混合(5:5モル比)した。その混合サリチル酸17.3gを、2gの水酸化ナトリウムを含む水溶液(240ml)に、25℃で溶解させた。該水溶液に攪拌下、1規定の硝酸銀水溶液(50ml)を、30分を要して25℃で滴下した。さらに、30分間、25℃で攪拌後、析出物を濾過し、水洗し、乾燥した。さらに、該銀塩を、25℃でアセトン200mlに溶解後、不溶物を濾別し、濾液よりアセトンを留去して、5−(1’,3’−ジフェニルブチル)サリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸の混合物(5:5モル比)の銀塩20.7gを製造した。銀含有率は23.6重量%であった。
【0068】
実施例1〜6
各種サリチル酸誘導体および該サリチル酸誘導体の塩を試料として、下記の方法で試験を行った。なお、実施例で使用したサリチル酸誘導体を第1表(表1)に、試験結果を第2表(表2)に示した。
ボード製造例
まず、エチレンジアミン(EDA)、オルソトルエンジアミン(OTD)、トリエタノールアミン(TEOA)混合物を開始剤とし、酸化プロピレン/酸化エチレンブロック共重合PPG(酸化エチレン含量40%;水酸基価252mgKOH/g)14.8重量部を117部の水中に溶解し、更にポリメリックMDI(三井東圧化学(株)製;商品名 コスモネートM−200)59.2部を高速攪拌しながら投入し乳化した。乳化後、内部離型剤としてサリチル酸誘導体塩の水乳化液(固形分35%)4.3部添加攪拌し、得られた水乳化液を5分後にブレンダー中の木質ファイバー820部へスプレーガンを用いて噴霧塗布した。次に鋼製コール盤上に前記水乳化液を塗布したダストチップを30cm角の大きさに均一にフォーミングして鋼製コール盤をかぶせ、上記の条件にて熱圧プレスした。乳化開始から熱圧プレス開始までに要した時間は20分であった。熱圧後、鋼製コール盤への付着を観察したが、付着は見られなかった。また、熱圧成形後のボードは物性比較用とし、再び同一のコール盤を用いて上記の操作を繰り返した。50回繰り返しても鋼製コール盤への付着は観察されなかった。
【0069】
比較例1
サリチル酸を試料として、実施例1と同様に試験をした。熱圧後、鋼製コール盤へ付着が観測され、無理に剥がしたらボード表面が凸凹になり物性測定が不可能であった。
【0070】
比較例2
サリチル酸を全く用いずに実施例1と同様に試験をした。熱圧後、鋼製コール盤へ付着が観測され、無理に剥がしたらボード表面が凸凹になり物性測定が不可能であった。
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【発明の効果】
上記の説明から明らかなように、イソシアナート系接着剤を使用するボード製造プロセスにおいて、リグノセルロース系材料との混合のため、予めまたはその際、有機イソシアナート系接着剤である有機イソシアナート系化合物とポリエーテルポリオールに、一般式(1)のサリチル酸誘導体、その塩、一般式(2)のサリチル酸誘導体およびその塩のいずれか単独または混合して内部離型剤として添加して水乳化することにより、プレス時間が短縮され、離型性が向上することから、品質の良い安価なリグノセルロース成形板を生産性良く製造することができる。したがって、本発明の方法は、リグノセメロース成形板の工業的な製造方法として好適である。
Claims (5)
- 有機イソシアナート系化合物(A)とポリエーテルポリオール(B)および内部離型剤(C)を含有してなる水乳化液をリグノセルロース系材料の接着剤として用いるリグノセルロース成形板の製造方法において、
内部離型剤(C)が、(a)一般式(1)
(b)一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩、
(c)一般式(2)
- ポリエーテルポリオール(B)が、分子中、窒素原子の割合が全体の0.1〜12.0%、官能基数が2〜8、−(CH2 CH2 O)−の繰り返し単位が5〜70重量%であり、かつ、有機イソシアナート系化合物(A)の100重量部に対しポリエーテルポリオール(B)が1〜70重量部、ポリエーテルポリオール(B)の100重量部に対し内部離型剤(C)が1〜150重量部であることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロース成形板の製造方法。
- ポリエーテルポリオール(B)が、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、トリエチレントリアミン、オルソトリレンジアミン、メタトリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミンおよびポリフェニルポリメチレンポリアミンの中から選ばれる少なくとも一種の化合物にアルキレンオキサイドを付加し、このアルキレンオキサイドのうち酸化エチレンの付加含量がポリエーテルポリオールに対し5〜70重量%であることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロース成形板の製造方法。
- 一般式(1)で表されるサリチル酸誘導体の塩または一般式(2)で表されるサリチル酸誘導体の塩が、亜鉛、鉄、アルミニウム、カルシウム、ジルコニウム、マグネシウム、バリウム、ニッケル、銅またはコバルトの金属塩であることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロース成形板の製造方法。
- 有機イソシアナート系化合物(A)が、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアナートであることを特徴とする請求項1記載のリグノセルロース成形板の製造方法。
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