JP3904659B2 - コネクタ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二部品を相互に管接続する、例えば自動車のエンジンブロックに燃料あるいは空気等の流通用ホースを管接続するコネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来例として、エンジンブロックにホースを管接続する構造について図8を参照して説明する。図8中、(a)はホース接続前の状態、(b)はホース接続後の状態をそれぞれ示す斜視図である。図8(a)において、エンジンブロック100の接続口101には接続パイプ130が圧入によって取り付けられている。接続パイプ130の上半部は、ホース接続部131としてエンジンブロック100上に突出している。なお、接続パイプ130のホース接続部131の先端部には外周に膨出するバルジ部131aが形成されている。
【0003】
前記接続パイプ130のホース接続部131にはホース120の端末部がその弾性を利用して嵌められ、ホース120の端末部はホースクリップ140によってホース接続部131に締着される。なおホースクリップ140は、周知のように、金属製ばね板材から形成されており、円環状のクリップ主部141の両端部に径方向外方へ突出するつまみ片142を備えている。両つまみ片142を工具150でつまむことによりクリップ主部141が弾性を利用して拡径(口径が大きくなることをいう。)され、また前記つまみ片142に対するつまみ力を開放することによりクリップ主部141が弾性復元し、その復元力により縮径(口径が小さくなることをいう。)する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来例によると、組付け時に工具150を操作してホースクリップ140を拡径するための広い作業スペースが必要となる。また、エンジンブロック100の周辺スペースは、制約が多く、狭い場合が多い。このため従来例では、制約された狭い作業スペースでの作業を余儀なくされることから、作業性が悪く、接続の正確さが損なわれるといった問題が残る。
【0005】
本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであって、本発明が解決しようとする課題は、工具を使用することなく、二部品を迅速かつ確実に接続することができ、狭い作業スペースにおいても良好な作業性を得ることのできるコネクタを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決する請求項1の発明は、二部品を相互に管接続するコネクタであって、一方の部品に取り付けられかつ他方の部品の接続口に挿入可能な管部材と、前記管部材に設けられかつ前記他方の部品に弾性を利用して係合可能な係合手段を介して取り付けられるリテーナとを備え、前記リテーナは、前記管部材を径方向に受け入れ可能な組付け孔、及び、弾性変形可能な切り起こし爪を有する横板部を備え、前記管部材は、径方向の移動により前記リテーナの組付け孔に係合可能な取り付け溝を備え、前記管部材の取り付け溝を前記リテーナの横板部の組付け孔に係合したときには、前記切り起こし爪がその弾性変形を利用して前記管部材に抜け止め状に係合する構成としたことを特徴とするコネクタである。
前記請求項1記載のコネクタによると、リテーナを設けた管部材を一方の部品に取り付け、前記管部材を他方の部品の接続口に挿入するとともに、前記リテーナを他方の部品に係合手段の弾性を利用した係合により取り付けることにより二部品が管接続される。従って、工具を使用することなく、二部品を迅速かつ確実に接続することができ、狭い作業スペースにおいても良好な作業性を得ることができる。また、管部材の取り付け溝がリテーナの横板部の組付け孔に係合されるとともに、切り起こし爪がその弾性変形を利用して管部材に抜け止め状に係合する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1記載のコネクタであって、リテーナを板ばね材で形成したことを特徴とするコネクタである。
前記請求項2記載のコネクタによると、リテーナに係合手段の弾性を得るための弾性材を別部品で設けなくても済むため、構造を簡素化することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態1,2について説明する。
〔実施の形態1〕
実施の形態1について図1〜図5を参照して説明する。なお本形態は、エンジンブロックにホースを管接続するコネクタについて述べることにする。図1にコネクタの接続前状態が斜視図で示されている。コネクタは、ホース2に取り付けられた管部材3と、管部材3に設けられるリテーナ4とからなる。
【0009】
管部材3について図4の斜視図を参照して説明する。管部材3は、合成樹脂成形品からなるもので、ほぼ中空円筒状をなしている。管部材3は、図示上半部をホース接続部31とし、図示下半部を挿入部32としている。前記ホース接続部31の先端部(図示上端部)には外周に膨出するバルジ部31aが形成されている。一方、挿入部32は、エンジンブロック1の接続口1a(図1参照)に挿入可能な外径を有するほぼ中空円筒状に形成されている。また挿入部32の先端部(図示下端部)の外周面には、シール用Oリング35を嵌着するための環状溝からなるOリング溝33が形成されている。また挿入部32の基部の外周面には、円環状をなす上鍔部36及び下鍔部37が平行状に形成されている。上鍔部36及び下鍔部37の間は、後述するリテーナ4の取り付け溝38となっている。
【0010】
次に、リテーナ4について図5の斜視図を参照して説明する。リテーナ4は、短冊状の板ばね材を折曲して形成されており、横板部41と、その横板部41に90°以下、例えば70〜80°程度の内角をなすようにほぼ逆L字状に連設された縦板部42と、横板部41及び縦板部42の端縁部にほぼ対向方向へ向けて連設する一対の係止爪43とを備えている。なお横板部41の板厚tに対し、前記管部材3の上鍔部36と下鍔部37との間隔すなわち取り付け溝38の溝幅w(図4参照)がほぼ等しい大きさに設定されている。
【0011】
前記リテーナ4には、横板部41及び縦板部42に跨がる長孔状の組付け孔44が形成されている。組付け孔44は、縦板部42の上部において両側に連続する切り欠き溝44aを有している。切り欠き溝44aは、前記管部材3の下鍔部37(図5中、二点鎖線参照)を半径方向に通過可能に形成されている。これにより、前記管部材3を半径方向(図5中、矢印参照)にスライドさせることにより、横板部41に取り付け溝38が係合可能となっている。なお組付け孔44は、管部材3を横板部41のほぼ中央部に受け入れ可能である。また組付け孔44は、横板部41において両側に切り起こし爪46を有している。切り起こし爪46は、管部材3を横板部41のほぼ中央部に受け入れたときに切り起こし爪46自体の弾性変形を利用して管部材3の上鍔部36を抜け止め状に係合し、リテーナ4に対する管部材3の位置ずれを防止する。
【0012】
また図1に示すように、エンジンブロック1の隅角部には、前記リテーナ4の一対の係止爪43に対応する条溝状の係合溝11が設けられている。両係合溝11は、リテーナ4の弾性を利用して同リテーナの各係止爪43を係合可能な配置関係をもって形成されている。
【0013】
上記したコネクタを使用してエンジンブロック1にホース2を管接続する場合について説明する。管部材3は、図5に二点鎖線で示す状態から図中矢印方向へ移動させることにより、下鍔部37をリテーナ4の組付け孔44の切り欠き溝44aに通過させ、取り付け溝38を横板部41に係合し、横板部41のほぼ中央部に組付ける。すると、管部材3の上鍔部36にリテーナ4の横板部41の切り起こし爪46がその弾性変形を利用して係合し、リテーナ4に対する管部材3の位置ずれが防止される(図1参照)。このようにリテーナ4を組付けた管部材3をアッシーという。また前記管部材3のOリング溝33にはシール用Oリング35が弾性を利用して嵌着される。また管部材3のホース接続部31にはホース2の端末部がその弾性を利用して嵌められ、ホース2の端末部は周知のホース2クリップ5によってホース接続部31に締着される。
【0014】
次に、前記アッシーの管部材3の挿入部32をエンジンブロック1の接続口1aに挿入しながら、リテーナ4をエンジンブロック1の隅角部に弾性を利用して押しつける。すると、リテーナ4の各係止爪43がエンジンブロック1の各係合溝11と対応したところで、各係止爪43がリテーナ4の弾性を利用して各係合溝11と係合する。これにより、エンジンブロック1に対するリテーナ4の押しつけ操作といった簡単な操作によって、リテーナ4をエンジンブロック1に取り付けることができる。
【0015】
上記のようにして、エンジンブロック1にホース2が管接続される。この状態が図2に斜視図でまた図3に断面図で示されている。なおリテーナ4の係止爪43及びエンジンブロック1の係合溝11が本発明でいう係合手段に相当している。
【0016】
従って、上記したコネクタによると、工具を使用することなく、エンジンブロック1にホース2を迅速かつ確実に接続することができ、狭い作業スペースにおいても良好な作業性を得ることができる。なお、ホース2と管部材3との取り付けや、管部材3に対するリテーナ4の取り付けは、制約を受けない広いスペースで行うことができる。
【0017】
また、リテーナ4を板ばね材で形成したことにより、リテーナ4に係止爪43と係合溝11との係合手段の弾性を得るための弾性材を別部品で設けなくても済むため、構造を簡素化することができる。
【0018】
〔関連技術〕
関連技術について図6及び図7を参照して説明する。本関連技術は実施の形態1の一部を変更したものであるからその変更部分について詳述し、実施の形態1と同一もしくは実質的に同一構成と考えられる部分には同一符号を付して重複する説明は省略する。図6に分解斜視図で示される管部材(符号、3Aを付す。)は、前記下鍔部37に代えて金属製ブッシュ39を嵌着するための環状溝からなるブッシュ溝34が形成されている。またリテーナ(符号、4Aを付す。)には、前記組付け孔44に代えて横板部41に前記管部材3の挿入部32を挿入可能な円形孔45が形成されている。
【0019】
前記コネクタによると、管部材3の挿入部32をリテーナ4の円形孔45に挿入した後、管部材3の挿入部32にブッシュ39を嵌合し、図示されない治具によりブッシュ39を管部材3のブッシュ溝34にかしめ付ける。これにより、管部材3にリテーナ4を抜け止めした状態に組付けることができる。なおブッシュ39の組付け後、Oリング溝33にシール用Oリング35が嵌着される。
【0020】
前記リテーナ4を組付けたアッシーが実施の形態1と同様にしてエンジンブロック1に取り付けられることにより、エンジンブロック1にホース2が管接続される。この状態が図7に断面図で示されている。
【0021】
上記コネクタによると、リテーナ4の円形孔45を実施の形態1の組付け孔44よりも少ない開口面積で設けることができるので、リテーナ4のばね強度を高めることができる。
【0022】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば本発明のコネクタは、エンジンブロック1とホース2の接続に限らず、機器とホース2の接続、機器と機器の接続等に利用することができる。また管部材3は、部品自体に一体に形成することも考えられる。また係止爪43と係合溝11の配置は、上記形態とは逆すなわち係止爪43をエンジンブロック1に設け、係止溝をリテーナ4に設けることも可能である。また係合手段は、少なくとも他方の部品に弾性を利用して係合可能であればよく、その形状及び個数は限定されない。またリテーナ4の形状は、部品の形状に応じて適宜設計されるものである。またリテーナ4の材質は、全体が弾性材である板ばね材に代え、係合手段の係合のための弾性を部分的に有する複合材料としてもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明のコネクタによれば、工具を使用することなく、二部品を迅速かつ確実に接続することができ、狭い作業スペースにおいても良好な作業性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1のコネクタの接続前状態を示す斜視図である。
【図2】 コネクタの接続状態を示す斜視図である。
【図3】 同断面図である。
【図4】 管部材の斜視図である。
【図5】 リテーナの斜視図である。
【図6】 関連技術のコネクタを示す分解斜視図である。
【図7】 コネクタの接続状態を示す断面図である。
【図8】 従来例の説明図である。
【符号の説明】
1 エンジンブロック(部品)
2 ホース(部品)
3 管部材
4 リテーナ
Claims (2)
- 二部品を相互に管接続するコネクタであって、
一方の部品に取り付けられかつ他方の部品の接続口に挿入可能な管部材と、前記管部材に設けられかつ前記他方の部品に弾性を利用して係合可能な係合手段を介して取り付けられるリテーナとを備え、
前記リテーナは、前記管部材を径方向に受け入れ可能な組付け孔、及び、弾性変形可能な切り起こし爪を有する横板部を備え、
前記管部材は、径方向の移動により前記リテーナの組付け孔に係合可能な取り付け溝を備え、
前記管部材の取り付け溝を前記リテーナの横板部の組付け孔に係合したときには、前記切り起こし爪がその弾性変形を利用して前記管部材に抜け止め状に係合する構成とした
ことを特徴とするコネクタ。 - 請求項1記載のコネクタであって、リテーナを板ばね材で形成したことを特徴とするコネクタ。
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JP5172910B2 (ja) * | 2010-08-06 | 2013-03-27 | 井上スダレ株式会社 | ヘッダー |
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