JP3904618B2 - 鍵スイッチ - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は、ロータに挿入された板鍵の回転により電気回路の接点を開閉する鍵スイッチに関する。
【0002】
【従来の技術】
立体駐車場における車両用ゴンドラの移動や倉庫における扉の開閉を操作する操作盤では、特定の者以外による操作を禁止する必要があるため、鍵スイッチが使用される。この鍵スイッチは、操作盤に備えられたシリンダ錠のロータの回転を抽出して電気回路の接点を開閉する。シリンダ錠のロータは、適合する板鍵が挿入された場合にのみ回転させることができるため、シリンダ錠に適合する板鍵を所持する特定の者のみが、操作盤においてスイッチ操作することができる。
【0003】
ところが、車両用ゴンドラの移動や倉庫における扉の開閉が完全に完了していない状態で鍵スイッチから板鍵が抜き取られて鍵スイッチの操作が終了されてしまうと、車両用ゴンドラ等の装置を正確に動作させることができなくなる。
【0004】
また、板鍵を所持していた特定の者が、操作後に板鍵を鍵スイッチから抜き忘れる場合があり、立体駐車場における車両用ゴンドラの移動や倉庫における扉の開閉を操作する操作盤のように、屋外に設置された操作盤において板鍵を抜き忘れると、他人に板鍵を持ち去ることが考えられ、特定の者以外による操作を禁止することができなくなる。
【0005】
そこで、従来の鍵スイッチでは、図9に示すように、鍵スイッチ91にソレノイド92を一体的に取り付け、このソレノイド92のプランジャ93が、ロータ94に挿入された板鍵95の中間部に係合するようにし、ロータ94から板鍵95を抜けないようにすることができるようにしたものがあった。図9に示すような鍵スイッチを用いる場合には、一定時間だけソレノイド92を駆動してプランジャ93を退避させることにより、この間に板鍵95を抜き取ることができ、一定時間が経過した後にはプランジャ93が板鍵95に係合し、抜き忘れられた板鍵95の盗難を防止することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図9に示す従来の鍵スイッチでは、ソレノイドのプランジャを板鍵に係合させるようにした構成であるため、ロータの複数の回転位置で板鍵の抜き取りの規制を解除する必要がある場合には、抜き取りの規制を解除する位置毎にソレノイドを設ける必要があり、鍵スイッチのコストが上昇するだけでなく、操作盤等に対する鍵スイッチの取り付けスペースの大型化を招く問題がある。また、ロータの回転位置においてロータ内で板鍵の鍵山に係合するタンブラの移動を規制することによってもロータからの板鍵の抜脱を規制することができるが、鍵山との当接によりタンブラに磨耗や変形を生じ、板鍵の形状に整合しなくなって鍵スイッチを操作できなくなる場合があり、鍵山に係合するタンブラ以外の部材によって板鍵の抜き取りを規制することが望ましい。
【0007】
この発明の目的は、単一のソレノイドによってロータの複数の回転位置において板鍵の抜き取りを規制および規制解除することができ、コストダウンおよび小型化を実現できる鍵スイッチを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明は、ケースに対するロータの回転を規制する回転規制部材と、ロータに挿入することにより回転規制部材による規制を解除する板鍵と、ロータの回転を抽出して電気回路の接点を開閉するスイッチ機構と、を備えた鍵スイッチにおいて、
板鍵の挿脱方向に直交する方向に移動自在にされ、板鍵の中間部に係合してロータからの板鍵の抜脱を規制する抜脱規制部材であって、ロータの複数の回転位置を含む所定の回転範囲に対応する角度範囲に円弧状部分を有する抜脱規制部材をロータ内に収納するとともに、抜脱規制部材を板鍵の中間部に係合する方向に付勢する付勢手段と、
前記所定の回転範囲内で抜脱規制部材の円弧状部分の一部を押圧して、抜脱規制部材を板鍵との係合状態を解除する方向に移動させる動作を選択的に行う単一の規制解除手段と、を設けたことを特徴とする。
【0009】
【作用】
この発明においては、板鍵の中間部に対して板鍵の挿脱方向に直交する方向に係合する抜脱規制部材、および、ロータの所定の回転範囲内で抜脱規制部材を板鍵との係合状態を解除する方向に移動させる規制解除手段が設けられている。したがって、ロータの所定範囲内で抜脱規制部材を板鍵との係合状態を解除する方向に選択的に移動させることにより、単一の規制解除手段によりロータの複数の回転位置において板鍵の抜脱制御が行われる。
【0010】
【実施例】
図1および図2は、この発明の実施例である鍵スイッチの構成を示す側面断面図および平面断面図である。鍵スイッチは、前本体1aおよび後本体1bからなる本体1と、この本体1の前面部に取り付けられるカバー2と、後本体1bの背面部に取り付けられるスイッチベース7と、によって外形が構成されている。前本体1aおよびカバー2内にはロータ3が回転自在に収納されている。このロータ3内には、上下方向に移動自在にされるとともに、図外のスプリングにより下方に付勢された複数(本実施例では5個)のタンブラ4と、同じく上下方向に移動自在にされるとともに、図外のスプリングにより上方に付勢されたロックタンブラ5とが収納されている。
【0011】
このように、前本体1aの前面が、カバー2により被覆されているため、鍵スイッチはカバー2を介して操作パネルに取り付けられる。したがって、操作パネルの取付孔の形状に応じてカバー2のみを取り換えるだけで、鍵スイッチを異なる形状の取付孔を形成した操作パネルに簡単に取り付けることができる。
【0012】
スイッチベース7には、マイクロスイッチ11が取り付けられている。ロータ3の背面には取付ネジ10を介してノッチカム8およびスイッチカム9が固定されている。ノッチカム8およびスイッチカム9はロータ3に伴って回転し、スイッチカム9がマイクロスイッチ11のアクチュエータに当接してマイクロスイッチ11を動作させる。また、後本体1bの下面にはソレノイド14が取付られている。
【0013】
ロータ3には、前面から板鍵12が挿入される。板鍵12の鍵山12aは、タンブラ4に係合し、タンブラ4を上方に押し上げる。タンブラ4の上側の長さに応じた鍵山12aを有する板鍵12がロータ3内に挿入されると、タンブラ4は上下の端部において前本体1a内の空間4aおよび4bに露出しなくなり、ロータ3を板鍵12とともに回転させることができるようになる。
【0014】
板鍵12をロータ3内に挿入すると、板鍵12の下面に形成された凹部12bにロックタンブラ5が係合する。板鍵12の凹部12bにロックタンブラ5が係合した状態では、板鍵12をロータ3から引き抜くことができない。このロックタンブラ5は、前述のように上方に付勢されているが、板鍵12の挿入時には板鍵12の先端の傾斜面による押圧を受けて一旦下方に移動し、板鍵12がロータ3内に完全に挿入されたときに上方に移動する。このロックタンブラ5の上端には、ソレノイド14のプランジャに係止したリセットプレート13が対向している。
【0015】
前本体1aの上面には、リセットプレート13の上面に対向する位置にネジ孔15aが形成されており、このネジ孔15aには、ネジ15が螺合している。ネジ15をネジ孔15aから取り外し、ネジ孔15aに棒状体を挿入してリセットプレート13を押し下げることにより、ロックタンブラ5を下方に移動させて板鍵12の凹部12aとの係合を外部から解除することができる。
【0016】
図3は、上記鍵スイッチの図1におけるX−X位置の正面断面図である。ロータ3内においてロックタンブラ5は上下方向に移動自在にされており、スプリング5aの弾性力により上方に付勢されている。ロックタンブラ5の上端にはリセットプレート13の一端が対向している。このリセットプレート13の他端は、ソレノイド14のプランジャ14aに係止されている。ソレノイド14を駆動していない状態ではリセットプレート13は上方に退避しており、ロックタンブラ5は鍵孔5bの下縁において板鍵12の凹部12bに係合している。
【0017】
なお、プランジャ14aと後本体1bとの間にはベローズ14bが設けられており、また、図1に示すように、カバー2の前面において図外の操作パネルに当接する部分にはパッキン21が、カバー2と前本体1aとの間にはOリング25が、リセット用ネジ15と前本体1aとの間には防水パッキン22が、前本体1aと後本体1bとの間には防水パッキン23が、ロータ3と後本体1bとの間には防水パッキン24が、それぞれ設けられている。これらのプランジャ14a、パッキン21〜24およびOリング25により、ロータ3の鍵穴およびカバー2と操作パネルとの間から操作パネル内に水分が侵入することを防止している。
【0018】
また、ソレノイド14のプランジャ14aの動作をリセットプレート13を介してロックタンブラ5に伝達し、このロックタンブラ5が板鍵12の凹部12aに係合するようにしているため、板鍵12が無理に引き抜こうとした場合にもその力がロックタンブラ5に作用するだけでソレノイド14に作用することがない。したがって、ソレノイド14の故障を未然に防止することができる。
【0019】
ソレノイド14を駆動すると、図4に示すように、リセットプレート13はプランジャ14aとともに下方に移動し、リセットプレート13の一端がロックタンブラ5を下方に押圧する。この押圧によりロックタンブラ5はロータ3内を下方に移動し、ロックタンブラ5の鍵孔5bの下縁は、板鍵12の凹部12bに係合しなくなる。
【0020】
ロックタンブラ5の上面5cは、ロータ3の回転範囲に対応する角度範囲で円弧状に形成されており、また、平行部5dは、ロータ3の溝部3aに嵌入している。このことから、図5(A)および(B)に示すように、ロータ3を中心位置から左右に所定の角度範囲で回転させた場合でも、リセットプレート13の一端がロックタンブラ5の上面5cの一部に常に対向し、ソレノイド14の駆動によりプランジャ14aおよびリセットプレート13を介してロックタンブラ5を板鍵12の凹部12bに係合しない位置に移動することができる。
【0021】
したがって、単一のソレノイド14およびリセットプレート13により、ロータ3の複数の回転位置においてロックタンブラ5による板鍵12の抜き取りの規制を解除することができる。
【0022】
図6は、上記鍵スイッチが適用される装置の構成を示すブロック図である。本装置は、車両30を搭載するパレット31を3段に積み重ねた立体駐車装置である。各パレット31には上昇および下降のためのモータ33および回転伝達機構32が設けられており、コントローラ34は操作パネル35の操作内容に基づいてモータ33に対して駆動信号を出力する。また、コントローラ34には、操作パネル35に押しボタンスイッチ38a〜38cおよび39a,39bとともに取り付けられた鍵スイッチ36が有するソレノイド14が接続されている。
【0023】
鍵スイッチ36は、板鍵が垂直にして挿入されるOFF位置から、右側に回転した位置がON位置、左側に回転した位置が非常停止位置にされている。鍵スイッチ36をON位置にした状態で、押しボタンスイッチ39a,39bを操作することにより、パレット31が昇降する。また、板鍵は、OFF位置および非常停止位置においてソレノイド14に電圧印加時のみ鍵スイッチ36から引き抜くことができる。非常停止位置において鍵スイッチ36から板鍵を引き抜くことができることとしているのは、非常停止時には操作者が異常状態の確認のためにパレット31内に赴くことがあり、この場合に他人が鍵スイッチ36に挿入されているままの板鍵をON位置に回転操作してパレット31を動作させることによる事故の発生を防止するためである。即ち、非常停止時には、操作者は板鍵を鍵スイッチ36から抜き取ってからパレット31内に赴く。
【0024】
図7は、上記制御部の処理手順を示すフローチャートである。コントローラ34は、操作パネル35の押しボタンスイッチ38a〜38cの操作によるパレット31の選択、および、鍵スイッチ36からのオン信号の入力を待機している(n1,n2)。押しボタンスイッチ38の操作の後に所定時間を経過するまでに(n3)鍵スイッチ36のオン信号が入力されると、コントローラ34は選択されたパレット31が有するモータ33の駆動を開始する(n4)。この後、パレット31の上昇または下降のいずれかを指示する押しボタンスイッチ39a、39bの操作を待機する(n5,n6)。
【0025】
パレット31の上昇を指示する押しボタンスイッチ39aが操作されると、回転伝達機構32を上昇側に切り換え(n7)、パレット31の下降を指示する押しボタンスイッチ39bが操作されると、回転伝達機構32を下降側に切り換える(n8)。このn5〜n8の処理は、パレット31が規定位置に移動するまで継続される(n9)。次いで鍵スイッチ36がオフされるのを待機し(n10)、鍵スイッチ36がオフされるとモータ33の電源をオフするとともに(n12)、一定時間だけ鍵スイッチ36のソレノイド14を駆動する(n13〜n15)。
【0026】
パレット31が規定位置に移動するまでの間において鍵スイッチ36が非常停止位置に操作され、非常停止信号が入力されると、コントローラ34はn12〜n15に進む(n11)。この処理により、鍵スイッチ36が非常停止位置に操作された場合にも、一定時間だけ鍵スイッチ36のソレノイド14を駆動し、この間にのみ板鍵を引き抜けるようにする。
【0027】
以上の処理により、鍵スイッチ34において板鍵12がオフ位置または非常停止位置のいずれかの位置に回転され、モータ33の駆動が停止された時から一定時間だけソレノイド14が駆動されることにより、ロックタンブラ13が板鍵12の凹部12bに係合しなくなり、この一定時間において板鍵12を鍵スイッチ34から引き抜くことができる。操作者が板鍵12を抜き忘れ、板鍵12が鍵スイッチ34内に挿入されたままである場合には、一定時間経過後にソレノイド14の駆動が停止されるため、ロックタンブラ13が板鍵12の凹部12bに係合し、板鍵12を鍵スイッチ34から引き抜くことができなくなる。
【0028】
なお、図8に示すように、ロックタンブラ81の上面に凸部82を形成することにより、ソレノイドが駆動されている状態でリセットプレート13が嵌入している孔部13aに凸部82が当接し、ロータ3の回転を規制し、ソレノイドが駆動されていない状態でリセットプレート13とともにロックタンブラ81が下方に移動し、凸部82が孔部13aに当接しないようにしてロータ3の回転の規制を解除することができる。このように、ロックタンブラ81の形状を変えるだけで板鍵の回転制御を行う場合にもこの発明に係る鍵スイッチを適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
この発明によれば、鍵スイッチの複数の回転位置で板鍵の抜き取りを制御する場合にも複数のソレノイドを設ける必要がなく、部品点数の削減によるコストダウンおよび小型化を実現することができ、取付スペースを小さくすることができる。また、板鍵を無理に引き抜こうとする力がソレノイドに作用することがなく、高価な部品の故障の発生を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例である鍵スイッチの側面断面図である。
【図2】同鍵スイッチの平面断面図である。
【図3】同鍵スイッチの図1におけるX−X部の正面断面図である。
【図4】同鍵スイッチの図1におけるX−X部の正面断面図であり、ロックタンブラの動作状態を示す図である。
【図5】同鍵スイッチにおけるロックタンブラおよびリセットプレートの動作を示す図である。
【図6】同鍵スイッチを適用した装置の構成を示すブロック図である。
【図7】同装置の制御部の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】同鍵スイッチの別の実施例を示す要部の断面図である。
【図9】従来の鍵スイッチの側面断面の略図である。
【符号の説明】
1−本体
2−カバー
3−ロータ
4−タンブラ
5−ロックタンブラ(抜脱規制部材)
11−マイクロスイッチ
12−板鍵
13−リセットプレート(規制解除手段)
14−ソレノイド(規制解除手段)
Claims (1)
- ケースに対するロータの回転を規制する回転規制部材と、ロータに挿入することにより回転規制部材による規制を解除する板鍵と、ロータの回転を抽出して電気回路の接点を開閉するスイッチ機構と、を備えた鍵スイッチにおいて、
板鍵の挿脱方向に直交する方向に移動自在にされ、板鍵の中間部に係合してロータからの板鍵の抜脱を規制する抜脱規制部材であって、ロータの複数の回転位置を含む所定の回転範囲に対応する角度範囲に円弧状部分を有する抜脱規制部材をロータ内に収納するとともに、抜脱規制部材を板鍵の中間部に係合する方向に付勢する付勢手段と、
前記所定の回転範囲内で抜脱規制部材の円弧状部分の一部を押圧して、抜脱規制部材を板鍵との係合状態を解除する方向に移動させる動作を選択的に行う単一の規制解除手段と、を設けたことを特徴とする鍵スイッチ。
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JP32210994A JP3904618B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | 鍵スイッチ |
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JP32210994A JP3904618B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | 鍵スイッチ |
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JPH08180771A JPH08180771A (ja) | 1996-07-12 |
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Family Applications (1)
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JP32210994A Expired - Lifetime JP3904618B2 (ja) | 1994-12-26 | 1994-12-26 | 鍵スイッチ |
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1994
- 1994-12-26 JP JP32210994A patent/JP3904618B2/ja not_active Expired - Lifetime
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