JP3903765B2 - 板材ローダ制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機により板材から切り出される板材部品を、吸着して搬出する板材ローダの制御装置に関し、特にその吸着位置の指定値の変更処理に関する。
【0002】
【従来の技術】
パンチプレスやレーザ加工機等の板材加工機により板材から切り出される板材部品を、前後左右に走行可能な板材ローダにより吸着し、板材加工機から搬出することが行われている。板材加工機により切り出される板材部品は、大きさや形状が種々異なり、このような板材部品を板材ローダの吸着部材で確実に吸着するには、板材部品毎に、吸着部材の吸着時の水平方向の停止位置である吸着位置を正確に指定することが必要である。吸着位置がずれると、板材部品を吸着できなかったり、吸着できても搬送時に落下する恐れがある。このため、板材ローダの制御データとして、各板材部品毎に上記吸着位置を指定する情報を座標値等で与えておく。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、実際に板材ローダを運転したときに、最初に設定した指定値では、適切な吸着が行えない場合がある。このような場合、指定値を変更して対処することになる。しかし、実際に吸着不良の生じた板材部品についてのみ指定値を変更しても、板材から切り出す板材部品には、同一部品、つまり同じ形状,大きさの部品を複数含む場合があり、これら同一の板材部品について、同様な吸着不良が生じる可能性が高い。
【0004】
この発明の目的は、いずれかの板材部品の吸着位置の指定値が不適切でその変更を行った場合に、同一部品について、吸着位置指定値の自動変更が行えて、同一部品につき吸着不良が発生することを未然に防止でき、かつ人手による変更操作を省くことのできる板材ローダ制御装置を提供することである。
この発明の他の目的は、吸着位置の指定値の変更に誤りがあっても、直ぐに元に戻すができ、再度の変更が容易に行えるようにすることである。
この発明のさらに他の目的は、同一部品の検索が容易に行え、作業者による確認も容易に行えるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明を実施形態に対応する図1と共に説明する。この板材ローダ制御装置(6)は、板材部品(M)を吸着する吸着部材(3)と、この吸着部材(3)を水平方向に移動させる吸着部材移動手段(4)とを備えた板材ローダ(2)を制御する装置であり、板材加工機(1)により1枚の板材(W)から複数枚切り出された板材部品(M)を各々吸着するときの前記吸着部材(3)の水平方向の停止位置である吸着位置(Q)の指定値を、一群の各板材部品(M)について定めた吸着情報群(19)と、この吸着情報群(19)の前記指定値に従って吸着部材移動手段(4)の移動により吸着位置(Q)を制御する移動制御部(16)とを備える。この板材ローダ制御装置(6)は、吸着位置の指定値が不適切な場合のために前記吸着情報群(19)の希望の板材部品(M)に対する吸着位置(Q)の指定値を変更する吸着位置変更操作手段(23)と、この吸着位置(Q)の指定値が変更された板材部品(M)と同一部品(M)を上記吸着情報群(19)の中から検索する同一部品検索手段(24)と、検索された各板材部品(M)の吸着位置(Q)の指定値を、前記の変更された吸着位置(Q)の指定値と同じ値に書き換える自動書換手段(25)とを備える。上記一群の各板材部品(M)は、例えば素材となる1枚の板材(W)における各板材部品(M)のことである。
この構成によると、移動制御部(16)は、自動運転時に吸着情報群(19)における吸着位置(Q)の指定値に従って吸着部材移動手段(4)を移動させ、吸着位置(Q)を制御する。自動運転時に吸着不良が生じることなどで、いずれかの板材部品(M)につき、吸着位置(Q)の指定値が不適切であることがわかったときは、その板材部品(M)の吸着位置(Q)の指定値を吸着位置変更操作手段(23)により作業者の入力操作等で変更する。このように一つの板材部品(M)の吸着位置(Q)の指定値を変更すると、同一部品検索手段(23)は、その吸着位置(Q)の指定値の変更された板材部品(M)と同一部品(M)を上記吸着情報群(19)の中から検索する。自動書換手段(25)は、検索された各板材部品(M)の吸着位置(Q)の指定値を、前記の変更された吸着位置(Q)の指定値と同じ値に書き換える。このため、一つの板材部品(M)について吸着位置(Q)の指定値を変更すると、一群の板材部品(M)の中の同一部品(M)の全てについて、吸着位置(Q)の指定値が同じ値に書き換えられる。このように、同一部品(M)について、吸着位置指定値の自動変更が行えて、同一部品(M)に吸着不良が発生することを未然に防止でき、かつ人手による変更操作を省くことができる。
【0006】
前記吸着位置変更操作手段(23)は、前記吸着情報群(19)とは別の書換え用情報群(28)を作成し、この作成された書換え用情報群(28)の内容により、前記吸着情報群(19)における前記希望の板材部品(M)に対する吸着位置(Q)の指定値を更新するものであっても良い。また、前記吸着情報群(19)における初期設定時の指定値を保存する保存手段(26)を設けてもよい。このように、吸着位置変更操作手段(23)が、吸着情報群(19)とは別の書換え用情報群(28)を作成するものであると、吸着位置(Q)の指定値を一時的に変更し、内容確認のうえで指定値を更新することができる。そのため、更新のための操作が容易で、更新の誤りも生じ難い。また、吸着情報群(19)における初期設定時の指定値を保存する保存手段(26)が設けてあると、更新を誤った場合も、元の指定値がわかるため、再度の更新による指定値の訂正が容易に行える。
【0007】
前記吸着情報群(19)は、各板材部品(M)につき吸着位置(Q)の指定値と部品名とを記述したものであって、前記同一部品検索手段(24)は部品名で同一部品(M)を検索するものとしても良い。ここで言う部品名は、人が内容を認識することのできる識別情報のことであり、機械のみが判断できるバーコードや単なる2値符号の羅列等は含まない。この部品名は、英数字等の文字と数字の組み合わせからなる場合、例えば、各桁の文字または符号に意味があるものとする。
このように、吸着情報群(19)を、各板材部品(M)につき吸着位置(Q)の指定値と部品名とを記述したものとすると、前記同一部品検索手段(24)により部品名で同一部品を検索するだけでなく、人が板材部品を判別して同一部品検索手段(24)の検索結果を確認することができる。こため、信頼性の高い制御が行え、また同一部品(M)の中でも、例えば板材(W)の特定部位にある部品(M)など、特定の部品(M)について他の同一部品(M)と異なる指定値とすることもでき、使用に便利である。
【0008】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を図面と共に説明する。図1は、板材ローダ制御装置を含む板材部品搬送システムの概念構成の説明図であり、図6〜図10はこのシステムで制御される板材加工設備の具体例を示す。図1において、この板材部品搬送システムは、板材加工機1と板材ローダ2とで構成される板材加工設備に適用される。板材加工機1は、板材Wから複数の板材部品Mを切り出す加工を行う装置である。板材ローダ2は、板材加工機1で切り出された板材部品Mを吸着して搬送する装置であり、板材部品Mを吸着する吸着部材3と、この吸着部材3を水平方向(直交2軸X,Y方向)に移動させる吸着部材移動手段4を備える。吸着部材移動手段4は、吸着部材3の上下方向(Z軸方向)の移動も行わせるものとされている。吸着部材3は、真空吸着パッド等からなる複数の単位吸着部材3aを有するものである。
【0009】
図6〜図10に示すように、この板材加工設備は、前工程の加工を行う板材加工機1Aと、この板材加工機1Aにより加工された板材Wを受け取り、受け取った板材Wに対し続きの加工を行う後工程の板材加工機1とを備える。各板材加工機1,1Aは、孔明けおよび切断加工が可能な機械であり、パンチプレスまたはレーザ加工機等からなる。この実施形態では、前工程の板材加工機1Aは、タレット式のパンチプレスとし、後工程の板材加工機1は、単独のパンチ工具を有するパンチプレスとしてある。これら板材加工機1A,1の並びに対して、前工程の板材加工機1Aに素材の板材Wを搬入する搬入装置53が設けられ、後工程の板材加工機1から製品となる板材部品Mを搬出する装置として、前記板材ローダ2が設けられている。
【0010】
この明細書,図面では、両板材加工機1A,1について、特に区別の必要な部分を除き、対応部分に同一符号を付して説明する。両板材加工機1A,1は、それぞれテーブル55上の板材Wに対して所定の加工位置P1,P2で加工を行う加工部56と、テーブル55上の板材Wを直交する2軸(X軸,Y軸)方向に移動させる板材送り機構57とを備える。加工部56は、パンチ工具をラムによって昇降駆動するパンチ駆動機構からなる。板材送り機構57は、ベース58上に前後方向(Z軸方向)に移動自在に設置されたキャリッジ59に、クロススライド60を左右方向(X軸方向)に移動自在に設置し、板材Wの端部を把持する複数のワークホルダ61をクロススライド60に取付けたものである。キャリッジ59およびクロススライド60の進退駆動は、それぞれサーボモータ62,63により、ボールねじ64,65を介して行われる。両板材加工機1A,1間は、それぞれの板材送り機構57の間で、板材Wの受け渡しを直接に行う。
【0011】
板材ローダ2は、上記吸着部材移動手段4として、基台66に架設レール67を前後(Y軸方向)移動自在に設置し、架設レール67に沿って走行体68を左右(X軸方向)移動自在に設置し、走行体68に吸着部材3を昇降自在に設置したものである。基台66は、板材ローダ2により板材加工機1から搬出した板材部品Mを積載する積載領域Rの周囲に設けたものであり、図7のように基台66に設置された可動のパレット71上に、搬送された板材部品Mが積載される。基台66には、板材部品M用のパレット71他に、板材Wの板材部品Mの切り抜き後に残るスケルトン(図示せず)の積載用のパレット72が設けられている。基台6は、両側部に架設レール67の走行用るレール66aを有している。
板材ローダ2の吸着部材移動手段4の各軸方向の駆動は、各軸のサーボモータ73〜75により行われる。すなわち、架設レール67はY軸サーボモータ73により、走行体68はX軸サーボモータ74により駆動され、吸着部材3の昇降はZ軸サーボモータ75により行われる。
【0012】
吸着部材3は、図8,図10に詳細図および模式図をそれぞれ示すように、支持フレーム76に複数の単位吸着部材3aを取付けたものであり、支持フレーム76は、中央の固定フレーム部76aと両側の可動フレーム部76bとで構成される。可動フレーム部76bは、固定フレーム部76aに対してガイド77により左右に進退自在に支持され、可動フレーム部76bの進退によって吸着部材3の平面範囲が拡縮可能である。可動フレーム部76bの進退駆動は、シリンダ装置等の可動フレーム進退装置78により行われる。単位吸着部材3aは、固定フレーム部76aおよび可動フレーム部76bの両方に設けられている。
吸着部材3における板材加工機1側の前端付近に配置された特定の単位吸着部材3aaは、支持フレーム76に対して出入り機構78によって板材加工機1側へ出入り可能に設けられている。出入り機構78は、旋回アームとその旋回駆動源とで構成され、旋回アームに特定の単位吸着部材3aaが取付けられる。この特定の単位吸着部材3aaは、板材加工機1に干渉することなく、板材加工機1における加工位置P2にできるだけ近づけて板材部品Mを吸着できるように設けられるものである。吸着部材3の支持フレーム76は、必ずしも上記のように拡縮可能なものとしなくても良いが、拡縮可能とする場合は、特定の単位吸着部材3aaは、可動フレーム部76bに設置される。
【0013】
吸着部材3は、各単位吸着部材3aの吸引およびその吸引解除の切換が、個別に、またはグループ単位で行えるように真空吸引経路が設けられている。また、吸着部材3の各単位吸着部材3aのうち、上記特定の単位吸着部材3aaを含めて、板材加工機1側の所定範囲のものは、小吸引パッドを集めた吸着パッド群として構成され、単位吸着部材3aaの吸着面から、板材部品M等の被吸着部材が一部外れる場合でも、吸着が可能なものとされている。
【0014】
図1ないし図5と共に、制御系を説明する。板材加工機1および板材ローダ2は、それぞれ板材加工機制御装置5および板材ローダ制御装置6により制御される。これら板材加工機制御装置5および板材ローダ制御装置6を制御する加工プログラム7および搬送プログラム8は、自動プログラミング装置9で作成され、通信ネットワーク10を介して板材加工機制御装置5および板材ローダ制御装置6にそれぞれ伝送される。なお、板材加工設備が図6の例のように前後の工程を行う複数台の板材加工機1A,1で構成される場合は、自動プログラミング装置9は、後工程の板材加工機1の加工プログラム7と共に、前工程の板材加工機1Aの加工プログラムも作成する。
通信ネットワーク10は、例えばイーサネット(登録商標)等のローカリルエリアネットワークであり、その他に広域ネットワーク、またはインターネット等であっても良い。
【0015】
図3のハードウェア構成例で示すと、板材加工機制御装置5は、自動プログラミング装置9に通信ネットワーク10およびデータバンク11を介して接続される。データバンク11は、複数の加工プログラム7(図1)を登録したコンピュータであるが、必ずしも設けなくて良い。また、板材加工機制御装置5および板材ローダ制御装置6は、図3に示すコンピュータと、プログラマブルロジックコントローラ12,13の一部または全体とで構成される。
【0016】
図1において、板材加工機制御装置5は数値制御式のものであり、加工プログラム5を実行する演算制御部15を備えている。
板材ローダ制御装置6は、数値制御式のものであり、搬送プログラム8を実行する演算制御部(図示せず)の一部として、移動制御部16を有し、この他にシーケンス制御部17を有している。シーケンス制御部17は、図3の例におけるプログラマブルマシンコントローラ12,13等で構成される。移動制御部16は、ローダ装置2における吸着部材移動手段4の各軸の移動を制御する手段である。シーケンス制御部17は、ローダ装置2におけるシーケンス制御、例えば吸着部材3の吸着の開始,解除や、吸着部材3の支持フレーム76の拡縮等を制御する手段である。
【0017】
搬送プログラム8は、搬送基本プログラム18と吸着情報群19とで構成される。吸着情報群19は、後述のように、いわば製品レシピである。搬送基本プログラム18は、吸着部材移動手段4による吸着部材3の停止位置の指定値と、吸着部材3の所定の動作など、一部の制御事項について、パラメータで規定し、吸着部材移動手段4および吸着部材3の基本的な動作を定めたプログラムである。搬送基本プログラム18は、例えば、吸着部材3の移動経路の所定の待機位置(例えば原点位置)から、板材加工機1に近づいて、板材加工機1で切り出された板材部品Mを吸着するための吸着位置Qで停止し、この吸着位置Qで板材部品Mを吸着して積載領域Rに搬送し、吸着解除して待機位置に戻る動作の各指令が記述されたものとされ、上記吸着位置Qの指定値がパラメータで規定されたものとする。
【0018】
吸着情報群19は、搬送基本プログラム18でパラメータで規定された事項につき、実際の値を定めたものである。吸着情報群19は、吸着部材3の水平方向の停止位置である吸着位置Qの指定値や、その他の所定の事項を、一群の各板材部品Mについて定めたものである。上記一群の各板材部品Mは、この例では1枚の板材Wから切り取られる板材部品Mの群であり、1枚の板材W毎に吸着情報群19が設けられる。吸着位置Qの指定値は、X,Y座標によって定められる。
吸着情報群19における上記所定の事項として、吸着位置Qの指定値の他に、例えば、どの単位吸着部材3aを吸着に選択するか(すなわち吸引状態とするか)、および吸着部材3を支持フレーム76の拡張状態と非拡張状態のいずれにするかの情報が定められ、また各板材部品M(m1,m2,…)毎に部品名が付される。ここで言う部品名は、人が内容を認識することのできる識別情報のことであり、機械のみが判断できるバーコードや単なる2値符号の羅列等は含まない。この部品名は、例えば英数字等の文字と数字の組み合わせからなるものであっても良いが、その場合、例えば各桁の文字または符号に人が理解できる意味があるものとする。
このように、吸着情報群19は、板材W毎にその各製品である板材部品Mについての特有の搬送情報を定めたものであり、製品レシピとなる。
【0019】
自動プログラミング装置9は、素材となる板材Wの情報と、加工する板材部品Mの形状データ等から、加工プログラム7および搬送プログラム8を生成する装置であり、その生成の処理を行うプログラム生成処理部20を有している。この搬送プログラム8として、基本搬送プログラム18と、各板材W毎の吸着情報群19とを生成する。吸着情報群19は、各加工プログラム7毎に対応させて設けられる。自動プログラミング装置9は、この他に、予め所定の板材部品Mについて、吸着位置の指定値を定めた板材部品別吸着位置記憶手段21を有しており、その記憶情報を用いてプログラム生成処理部20による吸着情報群19の生成が行われる。
【0020】
板材ローダ制御装置6は、自動プログラミング装置9から通信ネットワーク10を介して伝送された搬送プログラム8の搬送基本プログラム18および吸着情報群19を、所定の記憶領域に記憶する記憶手段22を備える。板材ローダ制御装置6は、このように記憶した搬送プログラム8の吸着情報群18における吸着位置Qの指定値等を変更する吸着位置変更操作手段23を有している。
また、板材ローダ制御装置6は、この吸着位置Qの指定値の変更された板材部品Mと同一部品を、吸着情報群19の中から検索する同一部品検索手段24と、検索された各板材部品Mの吸着位置Qの指定値を、前記の変更された吸着位置Qの指定値と同じ値に書き換える自動書換手段25と、保存手段26と、変更出力手段27とを備える。
【0021】
吸着位置変更操作手段23は、上記指定値の変更を行う処理として、実行する吸着情報群19が記憶された記憶領域とは別の記憶領域に書換え用情報群28を作成し、この作成された書換え用情報群28の内容により、吸着情報群19における希望の板材部品M(m1,m2,…)に対する吸着位置Qの指定値を更新するものである。書換え用情報群28は、例えば一つのファイルとして作成する。書換え用情報群28は、板材部品Mの単位で設け、吸着位置Qの指定値および部品名の他に、吸着情報群19の有する各事項、例えば単位吸着部材3aの選択情報などを含むものとされる。吸着位置変更操作手段23は、上記指定値等の変更を、キーボード,タッチパネル等の入力手段による入力によって行うものとされている。
保存手段26は、吸着情報群19における初期設定時の内容を保存する手段であり、搬送プログラム8が板材ローダ制御装置6に伝送されたとき、または別の何らかの定められた機会に、所定の保存用の記憶領域に吸着情報群19を記憶する。この保存手段26は、吸着情報群19の一部の記憶内容の変更が不能なものとされる。
【0022】
変更出力手段27は、変更された吸着位置Qの指定値を自動プログラミング装置9に出力する手段であり、この実施形態では吸着情報群19のうちの吸着位置Qの指定値等が変更された各板材部品Mについての情報の全体を自動プログラミング装置9に出力するものとしてある。
自動プログラミング装置9は、その出力された板材部品M毎の情報を、板材部品別吸着位置記憶手段21に記憶し、プログラム生成処理部20による新たな搬送プログラム8の作成において、変更後の吸着位置Qの指定値を、その指定値の変更された板材部品Mと同じ板材部品Mまたは所定の関係のある板材部品Mの吸着位置Qの指定値に反映させる。
【0023】
吸着位置変更操作手段23は、表示装置29の画面に書換え用の画面を表示させ、その画面に吸着情報群19の内容および書換え用情報群28の内容を表示するものとしてある。表示装置29は、例えば、板材ローダ制御装置6における操作盤等に設けられた液晶表示装置またはブラウン管等、またはこれらに入力手段としてタッチパネルを加えたもの等である。
【0024】
図5は書換え用画面の一例を示す。書換え用画面30中には吸着部材3の位置を図示した模式表示31と、吸着部材3の各単位吸着部材3aの配置を示したパッド配置表示図32と、吸着部材3の各軸方向の座標位置を示す位置対照表33と、現在画面表示されている内容が、どの吸着情報群19のどの板材部品Mであるかをそれぞれ示すレシピ・パーツ表示34と、各種のキー表示35〜39とが表示されている。キー表示35〜39は、ソフトウェアキーとなるものであり、ポインティングデバイスによって、またはタッチパネルとしてキー操作が可能とされている。
【0025】
位置対照表33には、吸着座標、確定座標、および現在座標がそれぞれ表示される。吸着座標は、吸着情報群19が板材ローダ制御装置6に伝送されたときの値、つまり保存手段26により保存されている値である。確定座標は、吸着情報群19の実行されるときの値である。現在座標は、吸着部材3が実際にある位置の値である。このうち、確定座標は、所定時に入力手段によって書換え可能とされる。レシピ・パーツ表示34の番号表示は所定時に書換え可能とされる。
上記各キー表示35〜39のうち、「作成」のキー表示36は、書換え用情報群(書換え用ファイル)28(図1)を作成する指令を与える手段である。「更新」のキー表示37は、画面表示されている内容どおりに吸着情報群19を更新する指令を与える手段である。「送信」の表示キー38は、更新された吸着情報群19の内容を変更出力手段27によって自動プログラミング装置9に出力させる手段である。書換え用画面30におけるその他の事項、および板材ローダ制御装置6の各構成要素との関係は、次の作用説明と共に説明する。
【0026】
つぎに、上記構成の作用を説明する。まず、図2,図3と共に各情報の関係の概要を説明する。自動プログラミング装置9により加工プログラム7および吸着情報群(製品レシピ)19が自動生成される。吸着情報群(製品レシピ)19は、加工プログラム7毎に設けられる。1つの吸着情報群(製品レシピ)19は、1枚の板材Wにおける各板材部品M(m1,m2,…)の部品別情報19aを有している。この吸着情報群(製品レシピ)19は、自動プログラミング装置9から板材ローダ制御装置6に伝送されて所定の記憶領域に記憶される。吸着情報群(製品レシピ)19の吸着部材指定値等の内容を変更するときは、その変更しようとする板材部品Mに対する書換え用情報群(書換え用ファイル)28を作成する。書換え用情報群28は、一つの部品別情報19aに対応し、作成時にはその部品別情報19aをコピーした内容とされる。書換え用情報群(書換え用ファイル)28を変更した内容で、板材ローダ制御装置6に記憶されている吸着情報群(製品レシピ)19が更新され、その更新された内容で、以後の板材ローダ制御装置6による制御が行われる。また、書換え用情報群(書換え用ファイル)28の更新された内容は、自動プログラミング装置9に出力され、自動プログラミング装置9は、次の吸着情報群19の作成時に前記の更新された内容を反映させる。
【0027】
上記構成の作用の詳細を説明する。板材ローダ2は、搬送プログラム8に従って、板材ローダ制御装置6の制御により自動運転される。板材ローダ2が板材加工機1で切り出される板材部品Mを吸着するときの吸着部材3の停止位置、すなわち吸着位置Qは、吸着情報群(製品レシピ)19における各板材部品M(m1,m2,…)毎に定められた吸着位置の指定値(図5の確定座標)となるように制御される。このとき、指定値が不適切であると、吸着不可や、吸着後の搬送時の部品脱落等の吸着不良が生じる。このような吸着不良が発覚したときは、板材ローダ制御装置6により、上記指定値の変更を行う。
【0028】
この変更は、吸着位置変更操作手段23により、表示装置29に書換え用画面30(図5)を開いて行う。書換え用画面30は、レシピ・パーツ表示34におけるレシピNoおよびパーツNoの欄の内容を書換え、「開く」と表示された表示キー39をオン操作することによって、そのレシピ・パーツ表示34に示された内容に対応する画面に切換わる。なお、吸着位置変更操作手段23は、書換え用画面30を表示させる指令を入力したときに、現在実行されている板材部品Mについての画面内容が開くようにしてあり、別の板材部品Mへの変更の必要がないときは、レシピ・パーツ表示34への入力は不要である。
【0029】
このように、書換え用画面30を表示した状態で、「作成」のキー表示36をオンすると、その板材部品Mについての書換え用情報群(書換え用ファイル)28(図1,図2)が作成される。この書換え用情報群(書換え用ファイル)28の作成により、書換え用画面30における確定座標の内容の書換えが可能になり、吸着位置Qの指定値として希望の座標値を確定座標の内容の欄に書き込む。このとき作業者は、画面上の元の吸着座標や現在座標の値、および板材ローダ2の状態等を見ることにより、適正な指定値の判断が容易に行える。吸着位置Qの指定値の他に、吸着に使用する単位吸着部材3aの選択を変える場合、この画面で選択状態となっている単位吸着部材3aを、ポインティングデバイスやその他の入力手段の操作で変更する。
【0030】
この書換え用画面30の表示内容を書換えたときの状態では、書換え用情報群(書換え用ファイル)28の内容が変更されただけの状態となっている。この状態で、画面30上の「更新」のキー表示37をオンすると、図1の吸着位置変更操作手段23は、書換え用情報群(書換え用ファイル)28の内容と同内容に、実行用の記憶領域にある吸着情報群19の内容を更新する。
また、この「更新」のキー表示37のオンにより、同一部品検索手段24は、実行用の記憶領域にある吸着情報群19の中で、変更処理中の板材部品Mと同一の部品を検索し、検索された各板材部品Mの吸着位置Qの指定値を、自動書換手段25により、書換え用情報群(書換え用ファイル)28における吸着位置の指定値と同じ値に書き換える。書換え用情報群(書換え用ファイル)28において、単位吸着部材3aの選択情報等が変更されている場合は、その変更内容も書換え用情報群(書換え用ファイル)28において変更させる。
【0031】
このようにして、書換え用情報群(書換え用ファイル)28における吸着位置Qの指定等が変更され、以後は、板材ローダ制御装置6は、その変更された内容で板材ローダ2を制御する。
また、上記の「更新」のキー表示37のオンの後、「送信」のキー表示38をオンすると、図1の変更出力手段27は、書換え用情報群(書換え用ファイル)28における更新された各板材部品Mについての情報を自動プログラミング装置9に出力する。自動プログラミング装置9は、その出力された情報で板材部品別吸着位置記憶手段21の記憶内容を更新し、次からのプログラム作成に反映させる。
【0032】
この構成によると、このようにして、自動プログラミング装置9で自動生成された搬送プログラム8が通信ネットワーク10を介して板材ローダ制御装置6に伝送され、また搬送プログラム8の吸着情報群19で指定された吸着位置Qの指定値が不適切である場合は、ローダ装置2の近くにある板材ローダ制御装置6において、その吸着位置変更操作手段23の機能により変更することができる。このとき、指定値の変更を行った板材部品Mだけでなく、これと同一の板材部品Mが吸着情報群19内に含まれる場合に、その板材部品Mについても、同一部品検索手段24および自動書換手段25の機能により、指定値の変更等が自動的に行われる。
また、板材ローダ制御装置6内での変更だけでなく、変更出力手段27によって変更内容を自動プログラミング装置9に出力し、次からのプログラム作成に反映させることができる。
【0033】
なお、上記実施形態では、この板材部品搬送システムの板材ローダ2を用いる板材加工機1が、前工程と後工程の板材加工機1A,1を組み合わせた板材加工設備における後工程の板材加工機1である場合につき説明したが、この板材部品搬送システムにおける板材ローダ2を用いる板材加工機は、単独で板材加工設備を構成するものであっても良い。また、この板材ローダを用いる板材加工機は、例えば実施形態における前工程の板材加工機1A等のようなタレット式のパンチプレスであっても良い。その場合に、タレット式のパンチプレスにおける加工位置P1の近傍に、単独のパンチ工具を有するパンチ駆動機構であるサブヘッド(図示せず)を有するものであっても良い。このようなサブヘッド付きのパンチプレスの場合、サブヘッドは、例えばタレットのパンチ工具で加工された後の板材部品の切り離し加工専用などに用いられ、その切り離された板材部品Mの搬出に板材ローダ2が用いられる。
【0034】
【発明の効果】
この発明の板材ローダ制御装置は、板材部品を吸着する吸着部材と、この吸着部材を水平方向に移動させる吸着部材移動手段とを備えた板材ローダを制御する装置であり、板材加工機により1枚の板材から複数枚切り出された板材部品を各々吸着するときの前記吸着部材の水平方向の停止位置である吸着位置の指定値を、一群の各板材部品について定めた吸着情報群と、この吸着情報群の前記指定値に従って吸着部材移動手段の移動により吸着位置を制御する移動制御部とを備えた板材ローダ制御装置であって、吸着位置の指定値が不適切な場合のために前記吸着情報群の希望の板材部品に対する吸着位置の指定値を変更する吸着位置変更操作手段と、この吸着位置の指定値の変更された板材部品と同一部品を上記吸着情報群の中から検索する同一部品検索手段と、検索された各板材部品の吸着位置の指定値を、前記の変更された吸着位置の指定値と同じ値に書き換える自動書換手段とを備えるため、いずれかの板材部品の吸着位置の指定値が不適切でその変更を行った場合に、同一部品について、吸着位置指定値の自動変更が行えて、同一部品につき吸着不良が発生することを未然に防止でき、かつ人手による変更操作を省くことができる。
前記吸着位置変更操作手段が、前記吸着情報群とは別の書換え用情報群を作成し、この作成された書換え用情報群の内容により、前記吸着情報群における前記希望の板材部品に対する吸着位置の指定値を更新するものであり、かつ前記吸着情報群における初期設定時の指定値を保存する保存手段を設けた場合は、吸着位置の指定値の変更に誤りがあっても、直ぐに元に戻すができ、再度の変更が容易に行える。
前記吸着情報群が、各板材部品につき吸着位置の指定値と部品名とを記述したものであって、前記同一部品検索手段は部品名で同一部品を検索するものとした場合は、同一部品の検索が容易に行え、作業者による確認も容易に行うことができて、信頼性の向上や、使用の便利が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態にかかる板材ローダ制御装置を備えた板材部品搬送システムの概念構成を示すブロック図である。
【図2】同システムにおける吸着情報群の流れを示す説明図である。
【図3】同システムのハードウェア構成例のブロック図である。
【図4】同ブロック図を簡略化してデータ流れを付加した説明図である。
【図5】同システムの板材ローダ制御装置における書換え用画面の説明図である。
【図6】同システムを適用する板材加工設備の具体例の平面図である。
【図7】その板材ローダの正面図である。
【図8】その吸着部品の拡大平面図である。
【図9】板材に対する板材部品の板取り例を示す説明図である。
【図10】吸着部品と板材加工機上の板材部品の位置関係の例を示す平面図である。
【符号の説明】
1…板材加工機
2…板材ローダ
3…吸着部材
3a…単位吸着部材
4…吸着部材移動手段
5…板材加工機制御装置
6…板材ローダ制御装置
7…加工プログラム
8…搬送プログラム
9…自動プログラミング装置
10…通信ネットワーク
16…移動制御部
17…シーケンス制御部
18…搬送基本プログラム
19…吸着情報群
22…記憶手段22
23…吸着位置変更操作手段
24…同一部品検索手段
25…自動書換手段
26…保存手段
27…変更出力手段
28…書換え用情報群
29…表示装置
30…書換え用画面
67…架設レール
68…走行体
M…板材部品
P1,P2…加工位置
Q…吸着位置
R…積載領域
W…板材

Claims (3)

  1. 板材部品を吸着する吸着部材と、この吸着部材を水平方向に移動させる吸着部材移動手段とを備えた板材ローダを制御する装置であり、板材加工機により1枚の板材から複数枚切り出された板材部品を各々吸着するときの前記吸着部材の水平方向の停止位置である吸着位置の指定値を、一群の各板材部品について定めた吸着情報群と、この吸着情報群の前記指定値に従って吸着部材移動手段の移動により吸着位置を制御する移動制御部とを備えた板材ローダ制御装置であって、吸着位置の指定値が不適切な場合のために前記吸着情報群の希望の板材部品に対する吸着位置の指定値を変更する吸着位置変更操作手段と、この吸着位置の指定値の変更された板材部品と同一部品を上記吸着情報群の中から検索する同一部品検索手段と、検索された各板材部品の吸着位置の指定値を、前記の変更された吸着位置の指定値と同じ値に書き換える自動書換手段とを備えた板材ローダ制御装置。
  2. 前記吸着位置変更操作手段が、前記吸着情報群とは別の書換え用情報群を作成し、この作成された書換え用情報群の内容により、前記吸着情報群における前記希望の板材部品に対する吸着位置の指定値を更新するものであり、かつ前記吸着情報群における初期設定時の指定値を保存する保存手段を設けた請求項1記載の板材ローダ制御装置。
  3. 前記吸着情報群は、各板材部品につき吸着位置の指定値と部品名とを記述したものであって、前記同一部品検索手段は部品名で同一部品を検索するものとした請求項2記載の板材ローダ制御装置。
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