JP3902512B2 - 金属試料迅速採取サンプラーおよびそれを用いる迅速サンプリング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属の精錬過程において、工程管理を迅速、的確に行なうために金属成分を迅速に判別するのに用いる金属試料、特に、スパーク発光分光分析装置による成分分析に好適な金属試料を迅速に採取するサンプラーと、そのサンプラーを用いるサンプリング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属の精錬過程においては、サンプラーで金属試料を採取し、分析機器で成分を分析し、金属の成分を管理または調整する。この管理・調整には、迅速・的確性が要求されるが、上記管理・調整を迅速・的確に行なうには、先ず、金属試料を迅速に採取し、迅速に分析に供する必要がある。
【0003】
従来から、分析には、スパーク発光分光分析装置が、迅速に分析できるということから多用されていて、分析自体には、それ程の時間を要しないが、試料の採取から研磨を経て分析に至るまでには、かなりの時間を要する場合がある。それ故、試料採取から分析に至る時間の短縮を図るため、試料を迅速に採取するサンプラーが、これまで各種提案されている。
【0004】
例えば、実開平6−74964号公報には、紙管の先端部に、試料採取容器とピン試料採取容器を取り付け、ディスク試料とピン試料を同時に採取する溶融金属試料採取プローブが提案されている。また、特開平9−21795号公報には、試料採取室の他に小ブロックサンプル採取室を設け、発光分光分析または蛍光X線分析に供する試料と、燃料ガス分析に供する試料を同時に採取する溶融金属試料採取装置が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらのサンプラーで採取される試料は、試料径が大きくかつ試料厚が厚いものなので、採取後冷却し、分析用試料を作成し分析に供するまでには、やはり、相当の時間を要することとなり、上記サンプラーは、分析結果を得るまでの迅速性に劣るものである。
【0006】
さらに、上記サンプラーには、冷却時の凝固速度の違いにより中心成分偏析が発生したり、凝固速度の遅延に伴い金属組織が肥大したり、また、セメンタイト等の介在物が析出して、発光分光分析時に異常発光をして分析精度を損なうという、分析時間と分析精度の両面における問題がある。
【0007】
しかし、近年の金属の精錬工程においては、成分管理・調整を迅速、的確に行なうことは不可欠のことであり、そのため、試料採取から分析結果を得るまでの時間をできるだけ短縮することが強く望まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記要望に応えるべく、成分分析に直ちに供し得る試料を採取するサンプラーと、それを用いて試料を迅速に採取するサンプリング方法を提供することを課題
(目的)とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、従来のサンプラーで採取した金属試料において、分析時間の遅延と分析精度の悪化の原因を調査した。その結果、分析時間の遅延と分析精度の悪化は、分析用試料の厚みが厚いことに原因があるということが判明した。
【0010】
即ち、溶融金属は、鋳型壁と接触した瞬間から凝固を開始するので、従来のサンプラー(例えば、円筒型サンプラー)においては、試料採取容器の奥まで溶融金属を充分に導入し、均一な成分の試料を作成しようとして、試料厚みを、どうしても厚くせざるを得なかったが、このことが、分析時間の遅延と分析精度の悪化の原因となっていることが判明した。
【0011】
そこで、本発明者は、試料厚さを極限まで薄くし、かつ、少なくとも従来程度の分析精度を維持できる金属試料を迅速に採取し得るサンプラーの構造について検討した。試料厚さを薄くするためには、先ず、試料採取容器を薄くすることが考えられるが、試料採取容器を薄くすると、該試料採取容器への溶融金属の迅速かつ円滑な導入が難しくなることが想定される。
【0012】
本発明者は、このことを踏まえ、上記サンプラーの構造の検討においては、サンプラーを構成する部材の材質についても併せて検討した。
【0013】
その結果、本発明者は、サンプルケース体(試料採取容器)の一部を、熱衝撃に強くかつ耐熱性に優れ、金属不純物量が少なくて、溶融金属をはじく材質の部材で構成し、該部材の「溶融金属をはじく」という特性を利用して、溶融金属を、迅速かつ円滑に試料採取容器の隅々まで侵入させ、そして、侵入した溶融金属を、試料採取容器の鋳型壁に接触した瞬間に凝固させることにより試料厚みの薄い金属試料を得ることに成功した。
【0014】
なお、本発明者は、熱衝撃に強くかつ耐熱性に優れ、金属不純物量が少なくて、溶融金属をはじく材質の部材については、各種の部材を試用したが、溶融金属が溶鋼の場合、石英ガラスが好適である。また、石英ガラス以外では、例えば、ガラス、窒化ホウ素、さらに、金属板またはセラミック板の表層に高温湿潤・離型材(例えば、窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックスパウダー)を塗布したものも上記部材として用い得ることを確認した。
【0015】
また、従来は、多くの場合、試料採取容器内で1個の試料しか作成していないが、このことは、採取した試料が不良の場合、試料を再採取しなければならないという不便さをもたらすし、同時に、分析の迅速化を妨げる要因となるので、本発明者は、上記の不便さを解消し、かつ、分析の迅速化を妨げる要因を解消する手段を検討した。
【0016】
その結果、試料採取容器内に2つの試料形成室を設けて同時に2つの試料(1つは控え試料)を作成すれば、一方の試料が不良であっても再採取する必要はないので、上記の不便さを解消できるとともに、分析の迅速化を妨げる要因を解消できるという発想に至った。
【0017】
本発明は、上記発想および検討結果に基づくものであり、その要旨は、以下のとおりである。
【0018】
(1) 溶融金属から金属試料を採取するサンプルケース体を備えるサンプラーにおいて、サンプルケース体が、
(a)上記ケース体に設けた流入路から侵入してくる溶融金属を急冷凝固せしめる偏平な試料採取空間を一側面に備える左右1対の半割サンプルケース、および、
(b)上記左右1対の半割サンプルケースの間に在って、上記試料採取空間を区分し、サンプルケース体内に左右1対の試料採取空間を形成する、溶融金属をはじく材質の空間区分板、
からなることを特徴とする金属試料迅速採取サンプラー。
【0020】
(2) 前記半割サンプルケースが、鉄、鋼、アルミニウム、銅、および、ステンレス鋼のいずれか1種または2種以上で構成されていることを特徴とする前記(1)に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0021】
(3) 前記空間区分板が、耐熱衝撃性および耐熱性に優れた、石英ガラス板、ガラス板、もしくは窒化ホウ素板であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0022】
(4) 前記空間区分板が、耐熱衝撃性および耐熱性に優れた、金属板またはセラミックス板の表層に窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、もしくは炭化珪素のセラミックスパウダーを塗布した板であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0023】
(5) 前記試料採取空間の厚さが、0.5〜20mmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0024】
(6) 前記試料採取空間が、ほぼ円形の平面形状をなしていることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0025】
(7) 前記試料採取空間がガス抜き孔を有していることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の金属試料迅速採取サンプラー。
【0026】
(8) 前記サンプルケース体が紙管の先端部に取り付けられていることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の迅速サンプリング方法。
【0027】
(9) 溶融金属にサンプラーを浸漬し、分析に供する金属試料を採取するサンプリング方法において、
(a)前記(1)〜(8)のいずれかに記載の金属試料迅速採取サンプラーを溶融金属に浸漬し、
(b)空間区分板で左右に分割した1対の試料採取空間内で、流入路から侵入してくる溶融金属を急冷凝固し、
(c)上記サンプラーを引き上げ、サンプルケース体を急冷した後、金属試料を取り出す、
ことを特徴とする迅速サンプリング方法。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。図1に、本発明に係る試料採取容器の基本構造を示す。サンプルケース体1は、溶融金属が流入してくる流入路5(この流入路5は、図2に示すように、流入孔8に繋がっている。)を有していて、該流入路5から侵入してくる溶融金属を急冷凝固せしめる偏平な試料採取空間4を一側面に備える左右1対の半割サンプルケース2が、溶融金属をはじく材質の空間区分板3を挟んで合体されて構成されている。
【0029】
したがって、サンプルケース体1には、上記左右の半割サンプルケース2と空間区分板3により、左右に、偏平な試料採取空間4が形成されている。
【0030】
上記半割サンプルケース2は、溶融金属を的確に急冷凝固せしめ、均一な凝固組織を有する金属試料を得るために、抜熱能力の高い材料で構成する。抜熱能力の高い材料として、鉄、鋼、アルミニウム、銅、および、ステンレス鋼のいずれか1種または2種以上からなる材料を用いることができる。
【0031】
上記半割サンプルケースの材料は、溶融金属の種類、特性、温度、さらに、溶融金属による汚染・侵食等を勘案して、適切な材質のものを選択すればよい。本発明者の実験結果によれば、溶融金属が溶鋼の場合、鉄ないし鋼が好ましい。
【0032】
上記試料採取空間4には、図1に示すように、ガス抜き孔6を設けることが、該試料採取空間4内に溶融金属を迅速かつ円滑に導入する点で好ましい。
【0033】
本発明においては、溶融金属をはじく材質の板を、空間区分板3として使用する。この空間区分板3は、溶融金属をはじく材質の他、熱衝撃に強くかつ耐熱性に優れ、金属不純物量が少ない材質の板であることが望ましい。
【0034】
本発明者の実験結果によれば、空間区分板として、石英ガラス板、ガラス板、窒化ホウ素板、また、さらに、金属板またはセラミックス板の表層に高温湿潤・離型材(例えば、窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、炭化珪素等のセラミックスパウダー)を塗布した板を用いることができる。
【0035】
空間区分板は、溶融金属の種類、特性、温度、さらに、溶融金属による汚染・侵食等を勘案して、適切な材質のものを選択すればよい。例えば、溶融金属が溶鋼の場合、石英ガラス板が好適である。
【0036】
そして、本発明においては、この偏平な試料採取空間4と空間分割板3が相まって重要な作用をなし、分析に直ちに供し得る金属試料を作成することができる。この作用について説明する。
【0037】
図2に、サンプラーを溶融金属に浸漬する場合におけるサンプルケース体1の一態様の断面を示す。空間分割板3を間に挟んだ左右1対の半割サンプルケース2、2は、半割固定リング7により、しっかりと合体されている。そして、サンプルケース体1の下部には、溶融金属の流入路5に繋がる流入孔8が設けられ、流入孔8には、スラグ避けの保護キャップ9が被せられている。
【0038】
サンプルケース体1が溶融金属に浸漬されると、スラグ避け保護キャップ9が溶融金属の熱で溶融・消失し、溶融金属が、流入孔8から侵入し、半割固定リング7を通過し、流入路5から、試料採取空間4内に侵入する。
【0039】
この侵入にあたり、半割サンプルケース2の間には、溶融金属をはじく材質の空間区分板3が挟み込まれているので、サンプルケース体1は、この「溶融金属をはじく」特性の作用により、溶融金属を、試料採取空間4の差込口近傍で凝固させることなく、迅速かつ円滑に試料採取空間4の隅々まで侵入せしめ、そして、試料採取空間4が偏平であるが故に、上記侵入後、直ちに、溶融金属を急冷凝固せしめることができる。
【0040】
なお、この時、サンプルケース体1にガス抜き穴6を設けておくと、溶融金属の侵入時、試料採取空間内部のガスがガス抜き穴6より排出されて、溶融金属の侵入が、より迅速かつ円滑に行なわれる。
【0041】
このようにして、薄くてかつ凝固組織の均一な金属試料を迅速に得ることができる。
【0042】
試料採取空間4の厚さは、そのまま試料の厚さ(薄さ)に反映するから、直ちに分析に供し得る試料を得る点で重要である。試料採取空間4の厚さを厚くすると、溶融金属が凝固し終わるまでの時間が遅延するとともに、成分偏析が生じやすくなる。
【0043】
また、試料をガス分析等に供する際、該試料に、打ち抜き、パンチプレス等の加工を施す場合があるが、試料の厚さが厚すぎると、再度、試料を切断する等の余計な試料作成工程が必要となり、このような場合、試料採取から分析に至るまでに要する時間を短縮することができない。
【0044】
一方、試料採取空間の厚さを薄くすると、迅速、円滑な溶融金属の侵入が難しくなり、迅速な金属試料の採取に支障が生じる。
【0045】
したがって、試料採取空間の厚さには最適範囲が存在するが、この最適範囲は、当然に、金属の種類、成分、溶融温度等によって異なる。例えば、溶融金属が溶鋼の場合、上記最適範囲は0.5〜20mmであり、好ましくは、2〜5mmである。
【0046】
また、上記試料採取空間4の平面形状は、特定の形状に限られないが、急冷凝固速度を試料全面わたり略一定に維持し、均一な凝固組織を確保するという点で、ほぼ円形ないし楕円形であることが好ましい。
【0047】
ここで、図3に、本発明に係る金属試料迅速採取サンプラーの全体の一態様を示す。このサンプルケース体1において、半割サンプルケース2、2を合体する半割固定リング7は、耐火材10で被覆され、溶融金属による汚染・侵食から保護されている。
【0048】
このサンプルケース体1が、セラミックウール11を間に挟み紙管14に連結され、保持用支持棒13で支持されている。そして、この保持用支持棒13の下部が、耐火セラミックス12で被覆され、溶融金属による汚染・侵食から保護されている。
【0049】
本発明においては、図3に一態様を示す金属試料迅速採取サンプラーを、溶融金属に浸漬し、分析に供する金属試料を採取する。
【0050】
金属試料迅速採取サンプラーを溶融金属に浸漬し、空間区分板で左右に区分した1対の試料採取空間4において、流入路から侵入してきた溶融金属を急冷凝固せしめ、次いで、上記サンプラーを引き上げ、サンプルケース体1を急冷し、その先端部に衝撃を加えて、空間区分板と半割サンプルケースを剥離し、目的の金属試料を取り出す。
【0051】
金属試料を取り出した後は、研磨に供し、次いで、例えば、発光分光分析装置に供して成分を分析する。
【0052】
本発明の迅速サンプリング方法によれば、金属試料迅速採取サンプラーを引き上げた時には、試料採取空間4の内部で、既に溶融金属が凝固し、金属試料が形成されているので、上記サンプラーの引き上げ後は、サンプルケース体1を室温まで冷却して、金属試料を取り出すだけでよく、金属試料を、試料採取から研磨・分析に供するまでに要する時間を大幅に短縮することができる。
【0053】
また、本発明の迅速サンプリング方法によれば、同じ金属試料を同時に2個採取することができるので、どちらか一方を最適な分析対象試料として選択できるし、また、1つの金属試料が凝固組織の点で不良であっても、片方の金属試料を使用することができるので、再度、金属試料を採取する手間を要せず、試料採取から研磨・分析に至るまでの迅速性を何ら阻害しない。
【0054】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明するが、本発明は、実施例で採用した条件に限定されるものではない。
【0055】
(実施例)
直径30mm、厚さ4mmの円形状の試料採取空間を有する半割サンプルケースを用いて、図3に示す構造の金属試料迅速採取サンプラーを作製し、本発明の迅速サンプリング方法(本発明法)と従来のサンプリング方法(従来法)で、溶鋼をサンプリングして、両方法における、分析時間と分析精度を比較した。
【0056】
分析時間について、従来法では、試料取り出しまで約120秒を要するのに対し、本発明法では、約60秒後に取り出すことができることを確認した。
【0057】
分析精度については、発光分光分析によりTi量を分析して比較した。その結果を図4に示す。この図に示すように、本発明法と従来法で採取した両試料中のTi量は対応関係にあるから、本発明法で採取した試料は、分析精度の点で、従来法で採取した試料と遜色なく、従って、本発明法は、従来法に替わり得るものであることが解かる。
【0058】
このように、本発明のサンプリング方法によれば、発光分光分析に直ちに供し得る適正な試料を迅速に採取することができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、金属試料迅速採取サンプラーを引き上げた時には、試料採取空間の内部で溶融金属が急冷凝固し金属試料が形成されているので、上記サンプラーを溶融金属から引き上げた後、室温まで冷却して金属試料を取り出すだけでよく、試料採取から研磨・分析に供するまでに要する時間を大幅に短縮できて、精錬工程における成分管理・調整に対し迅速に対応することができる。
【0060】
また、本発明によれば、採取した金属試料の組織は、急冷凝固により微細化されているので、発光分光分析時、異常発光がなく、金属試料の成分を精度良く分析することができ、精錬工程における成分管理・調整に対し的確に対応することができる。
【0061】
さらに、本発明によれば、同じ金属試料を同時に2個採取することができるので、どちらか1つを、最適な分析対象試料として選択できるし、また、1つの金属試料が凝固組織の点で不良であっても、片方の金属試料を使用することができるので、精錬工程における成分管理・調整に求められる迅速性を維持することができる。
【0062】
したがって、本発明は、精錬工程における成分管理・調整の迅速・適正化において、顕著な効果をもたらすものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るサンプルケース体の基本構造を示す図である。図1(a)は、サンプルケース体の一断面を示す図であり、図1(b)は、図1(a)において、A−Aにおける断面を示す図である。
【図2】実際に溶融金属に浸漬する場合におけるサンプルケース体の一態様における断面を示す図である。
【図3】本発明に係る金属試料迅速採取サンプラーの全体の一態様を示す図である。
【図4】本発明法と従来法で採取した両試料中のTi量の対応関係を示す図である。
【符号の説明】
1…サンプルケース体
2…半割サンプルケース
3…空間区分板
4…試料採取空間
5…流入路
6…ガス抜き孔
7…半割固定リング
8…流入孔
9…保護キャップ
10…耐火材
11…セラミックウール
12…耐火セラミックス
13…保持用支持棒
14…紙管
Claims (9)
- 溶融金属から金属試料を採取するサンプルケース体を備えるサンプラーにおいて、サンプルケース体が、
(a)上記ケース体に設けた流入路から侵入してくる溶融金属を急冷凝固せしめる偏平な試料採取空間を一側面に備える左右1対の半割サンプルケース、
および、
(b)上記左右1対の半割サンプルケースの間に在って、上記試料採取空間を区分し、サンプルケース体内に左右1対の試料採取空間を形成する、溶融金属をはじく材質の空間区分板、
からなることを特徴とする金属試料迅速採取サンプラー。 - 前記半割サンプルケースが、鉄、鋼、アルミニウム、銅、および、ステンレス鋼のいずれか1種または2種以上で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記空間区分板が、耐熱衝撃性および耐熱性に優れた、石英ガラス板、ガラス板、もしくは窒化ホウ素板であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記空間区分板が、耐熱衝撃性および耐熱性に優れた、金属板またはセラミックス板の表層に窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、ジルコニア、もしくは炭化珪素のセラミックスパウダーを塗布した板であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記試料採取空間の厚さが、0.5〜20mmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記試料採取空間が、ほぼ円形の平面形状をなしていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記試料採取空間がガス抜き孔を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 前記サンプルケース体が紙管の先端部に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の金属試料迅速採取サンプラー。
- 溶融金属にサンプラーを浸漬し、分析に供する金属試料を採取するサンプリング方法において、
(a)請求項1〜8のいずれか1項に記載の金属試料迅速採取サンプラーを溶融金属に浸漬し、
(b)空間区分板で左右に分割した1対の試料採取空間内で、流入路から侵入してくる溶融金属を急冷凝固し、
(c)上記サンプラーを引き上げ、サンプルケース体を急冷した後、金属試料を取り出す、
ことを特徴とする迅速サンプリング方法。
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