JP3902501B2 - インクジェットプリンタに使用される水性インク組成物 - Google Patents
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Description
【発明の分野】
本発明は、ある種の多糖化合物を顔料分散剤として含んでなる顔料分散型水性インク組成物に関する。
【0002】
【背景技術】
インクジェット印刷は、コンピュータが発生したデジタル信号等にプリンタが応答してインクの液滴を飛翔する非インパクト方式の記録方法である。インクの液滴は紙や透明なフィルムなどの基材に付着させられる。インクジェットプリンタは印刷の品質が高いこと、低コストであること、使用時の騒音が比較的低いこと、グラフィックの印刷が可能であることにより、市場に広く受け入れられている。熱(バブルジェット)方式および圧電方式のドロップ・オン・デマンド式プリンタは市場で特に成功を収め、オフィスや家庭のパソコン用プリンタとして広い用途を有している。
【0003】
インクジェットプリンタに使用されるインクは、染料をベースにしたインクか、あるいは顔料をベースにしたインクのいずれかに分類することができる。染料をベースにしたインクは多くの用途に適合するが、耐光性および耐水性に劣ることがある。印刷された文書はある程度の保存性が期待されるため、染料をベースにしたインクで描かれた印刷画像の耐光性および耐水性に劣ることは重要な問題である。顔料をベースにしたインクは耐光性および耐水性に優れ、妥当な保存性を有する印刷文書の作成が可能であるため、染料をベースにしたインクより好ましい。
【0004】
染料より顔料の方が保存性の点で有利であるにもかかわらず、顔料をベースにしたインクの、消費者向けインクジェットプリンタ市場への導入はごく限られている。その理由の一つは、信頼性のある印刷性能と、染料をベースにしたインクから得られるものと同等またはそれより優れた色にじみ品質を有する速乾性印刷画像とを与える、インクジェット印刷に使用される顔料分散型水性インクの配合が非常に難しいことである。
【0005】
信頼性のある印刷性能と速乾性を有するインクジェットプリンタ用の染料をベースにしたインクは、配合の確立が既になされており、典型的には主溶媒としての水、少なくとも一つの湿潤剤、少なくとも一つの浸透剤、少なくとも一つの界面活性剤および少なくとも一つの染料を含んでなる。浸透剤および界面活性剤を組み合わせることによって、25〜40dyne/cmの表面張力を持ち、紙のような多孔質の媒体に非常に速やかに浸透するインク組成物が得られる。表面張力が低く浸透性を有するこれらのインクは、1個の液滴がカバーする面積が広い。液滴当たりのカバー面積が広いことは、ページ当たりの使用インク量が少なくてすみ、経済的に好ましい。染料をベースにしたこれらのインクの迅速浸透性は、結果として色にじみがほとんどない印刷画像を与える。本明細書において色にじみとは、色の異なる2種類のインクを隣接して印刷した時に起こりうる、一方の色が他方の色に相互に侵入する現象を指す。色にじみがほとんどなければ、色の相互侵入は見られず、二つの色領域の境界が明確である。
【0006】
表面張力が低く、多孔質媒体への浸透が極めて迅速に行われる顔料をベースにしたインクの配合を確立する問題の難しさは、広く使用されている浸透剤および界面活性剤が、ほとんどの顔料分散液を不安定にする点にある。具体的には、浸透剤および界面活性剤が顔料表面から顔料分散剤を追い出して、顔料分散液の凝集を招いている。顔料分散剤を凝集が起こりにくいものにする方法は、インクに泡が発生しやすくする傾向がある。このようなインクは、比較的低速で印刷するには使用することができるが、熱(バブルジェット)方式または圧電方式のドロップ・オン・デマンド式プリンタによるような高速印刷には、インク吐出安定性に改善の余地がある。
【0007】
このように、浸透剤と界面活性剤の組み合わせを使用した配合が可能であり、さらに高速度で信頼性のある印刷性能を与えるインクジェット印刷用顔料分散型水性インク組成物に対する要求が依然として存在する。また、染料をベースにしたインクから得られるものと、同等またはそれ以上の色にじみ品質を有する速乾性印刷画像を得ることができるように、浸透剤と界面活性剤の組み合わせを使用した配合が可能なインクジェット印刷に使用される顔料分散型水性インク組成物に対する要求がある。
【0008】
【発明の概要】
本発明者は、今般、ある種の多糖化合物が顔料分散剤として優れたものであるの知見を得た。本発明は、かかる知見に基づくものである。
従って、本発明は、信頼性のある印刷性能と、染料をベースにしたインクから得られるものと同等またはそれより優れた色にじみ品質を有する速乾性印刷画像とを与える、インクジェット印刷に好ましく使用される顔料分散型水性インク組成物の提供をその目的としている。
【0009】
そして、本発明によるインク組成物は、
顔料と、主溶媒としての水と、水溶性有機溶媒と、下記式(I)で表される多糖化合物とを含んでなる、顔料を分散させた水性インクジェットインク組成物である:
【化3】
(上記式中、
Aは、下記式(i)または式(ii)で表される基を表し、
【化4】
Xは、インク組成物中の全ての式(I)の化合物の平均として表されたとき、1〜14の範囲にあり、
nは、2〜12の整数を表し、
mは、2または3の整数を表し、
R1およびR2は、独立して、置換されていてもよいC5-20アリール基、置換されていてもよいアルアルキル基、置換されていてもよい少なくとも1個の窒素原子を含んでなる複素環基を表す。)。
【0010】
【発明の具体的説明】
本発明によるインク組成物は、プリントヘッドに設けられた複数個のノズルからインクを噴射する公知の方法を使用するインクジェットプリンタにおいて好適に使用できる。さらに、本発明のインク組成物は、インクの使用条件がインクジェットプリンタほど厳しくない筆記用具、たとえばペンに使用することも可能である。
【0011】
顔料分散剤:式(I)の化合物
本発明において用いられる顔料分散剤は、上記の式(I)で表される多糖化合物である。
【0012】
式(I)において、R1およびR2が表すC5-20アリール基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基などが挙げられる。また、R1およびR2が表すアルアルキル基のアリール部分は好ましくはC5-20アリール基を表し、その例としては上記のものが挙げられる。また、その側鎖部分はC1-6アルキル基のみならず、C1-6アルキル(例えば、メチル)で置換されたアルキルでもよく、また不飽和のC1-6アルケニル基またはアルキニル基であってもよい。さらに、この側鎖部分のアルキル基はC1-6アルコキシC1-6アルキルのように酸素原子を含むものであってもよい。
【0013】
R1およびR2が表す少なくとも1個の窒素原子を含んでなる複素環基の具体例としては、ピリジル基、キノリル基、フタルイミド‐N‐メチル基などが挙げられる。
【0014】
R1およびR2が表すアリール基、アルアルキル基、および複素環基は一以上の置換基を有していてもよい。その置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、C1-6アルキル基(このアルキル基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子で置換されていてもよい)、ニトロ基、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、硼酸基、スルホン酸基、C1-6アルコキシ基(このアルキル基はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子で置換されていてもよい)、C1-6アルキルカルボニルオキシ基、および−O−C1-6アルキレン−O−基からなる群から選択される基が挙げられ、その置換基の数も1またはそれ以上であってよい。
式(I)の化合物の添加量は適宜決定されてよいが、0.1〜20重量%程度がよい。
【0015】
本発明によるインク組成物にあって、式(I)の化合物は優れた分散剤として機能している。とりわけ、式(I)の化合物は、顔料の分散状態を不安定化させる傾向の強い浸透剤および界面活性剤が共存しても顔料の凝集を招くことなく、顔料を安定にインク組成物に存在させることができる。以下の理論により本発明が限定されないことを条件に、その機構を予想すれば以下の通りである。式(I)の化合物は、顔料表面と、ファンデルワールス力ともに、イオン結合によっても結合しているものと考えられる。一般的な分散剤は、顔料表面に弱いファンデルワールス力により吸着していると考えられる。浸透剤や界面活性剤は、このファンデルワールス力を破り、分散剤を顔料表面から解離させてしまい、その結果、顔料が凝集してしまうものと考えられる。式(I)の化合物は、イオン結合によっても顔料表面と結合していると予想されることから、浸透剤や界面活性剤によっても、顔料表面から解離されることなく存在出来でき、顔料を安定に分散させると予想される。このイオン結合は、顔料表面の電荷と分散剤の吸着部分の電荷が反対の時に効率よく形成される。本発明者の得た知見では、インク組成物のpHが約5〜10の範囲において、式(I)の化合物の式(i)または(ii)部分がプロトン化されるため正電荷を帯びる。多くの顔料の表面は負に帯電していることが知られている(帯電に関するデータはMacholdt,H.T.,Sieber,A.,Dyes and Pigments,第9巻,119−127(1988)に報告されている)。従って、本発明によるインク組成物は、わずかに酸性またはアルカリ性のpHで利用されることが、顔料の分散安定性の観点からより好ましいと考えられる。
【0016】
式(I)の化合物の糖鎖部分(以下、「多糖部分」と言うことがある)は下記の式(II)で表される多糖化合物から誘導される:
【化5】
(式中、xは糖単位の平均数を表し、その範囲は1〜14にある。)
【0017】
この型の多糖類は天然材料、特に海藻および果実の皮から容易に抽出される。海藻および果実の皮から抽出された多糖類は、自然の形では約250を超える平均重合度を持っている。従って、本発明において使用する多糖類を得るためには、天然の多糖類を選択的に解重合する必要がある。式(II)において、xが1〜14の範囲にある上記の多糖化合物は、3〜16の範囲にある平均重合度に対応する。
【0018】
本発明において、式(II)の化合物は、単分散であっても、多分散であってもよいが、天然物由来の式(II)の化合物を利用する限り、多分散のものの利用が現実的であろう。式(II)の化合物の分散度は重合体の重量平均分子量を数平均分子量で割ったものであり、いずれの分子量とも、分子量が既知の標準重合体で校正されたカラムを使用するサイズ排除クロマトグラフィから得ることができる。本発明において、式(II)の化合物、さらには式(I)の化合物は、典型的には1.2〜2.0の範囲にある多分散度の多糖部分を有する。
【0019】
式(II)の化合物を得ることができる天然の海藻多糖類としてはアルギン酸が挙げられ、また天然の果実の皮の多糖類としてはペクチン酸が挙げられる。アルギン酸もペクチン酸も酸加水分解、過ヨウ素酸処理と、その後の酸加水分解または過酸化水素処理によって容易に解重合される。当業者であれば、妥当な選択性でもってこれらの解重合を実施し、本発明に使用される多糖類を得ることができよう。
【0020】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)の化合物であって、式(i)および(ii)においてR1=R2である化合物は、二段階の還元的アミノ化反応により得ることができる。第一の還元的アミノ化反応は、上記の式(II)の化合物と下記の式(III)または(IV)で表される分岐ポリアミン化合物の過剰量を用いて行われる:
【化6】
(式中、nは2〜12であり、mは2または3である。)
【0021】
式(III)で表される分岐ポリアミン化合物は、アクリロニトリルをアルキルジアミンの二つの一級アミノ基へ二重マイケル付加し、それに続くニトリルの不均一接触水素化によって容易に合成される。アルキルジアミン出発物質は、一般式H2N−〔CH2〕n−NH2で表され、式中、nは2〜12である。これらの分岐ポリアミンを合成する効率の高い方法、de Brabander van den Berg,E.M.M.,Meijer,E.W.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl.第32巻、第9号、1308〜1311ページ(1993)に記載されている。また、nが4の分岐ポリアミンは市販されており、例えばオランダDSM New Business Developmentから「Astramol Am4」の商品名で販売されているものを入手することができる。
【0022】
式(IV)において、mが2の分岐ポリアミン化合物は、トリス(2−アミノエチル)アミンであり、Pressure Chemical Co.(アメリカペンシルバニア州ピッツバーグ)から販売されている純度90、95、98%のものを入手することができる。式(IV)において、mが3の分岐ポリアミン化合物は、アクリロニトリルをアンモニアへ三重マイケル付加することとそれに続くニトリルの不均一接触水素化によって容易に合成される。mが3の分岐ポリアミンを合成する方法は、Woerner, C.とMuelhaupt, R., Angew. Chem. Int. Ed. Engl.第32巻、第9号、1306〜1308ページ(1993)に記載されている。また、mが3の分岐ポリアミンは市販されており、例えば東京化成工業株式会社から入手することができる。
【0023】
この還元的アミノ化による生成物は下に示す式(V)または式(VI)で表される:
【化7】
【化8】
【0024】
多糖類に対してよく知られているように、還元末端上にはユニークなアルデヒド基が存在し、溶液中では圧倒的に環状ヘミアセタールの形で存在している。このユニークなアルデヒド基の環状ヘミアセタールは還元的アミノ化によって開環する。過剰の分岐ポリアミンを還元的アミノ化反応に使用した場合、上式に示したように、分岐ポリアミンの4個の一級アミノ基のうちの1個だけが多糖に共有結合する。
【0025】
式(II)の化合物と、式(III)または式(IV)の化合物との還元アミノ化は、水溶液または含水アルコール溶液中で、水素化ホウ素化合物またはシアノ水素化ホウ素化合物を使用することによって、簡便かつ選択的に行われる。水素化ホウ素化合物としては、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムまたは水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。シアノ水素化ホウ素化合物としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素リチウムまたはシアノ水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。水素化ホウ素化合物は通常約7より高いpHで使用する。シアノ水素化ホウ素化合物は通常約3程度の低いpHで使用する。簡便かつ選択的な別の方法としては金属触媒を使用する接触水素化がある。代表的な金属触媒としては、すべての第8族金属が対象となるが、ニッケル、パラジウム、白金またはルテニウムが好ましい。この金属触媒は、担持させた形で使用してもよいし担持させないで使用してもよい。水素は100psiより高い圧力で使用され、700psiを超える圧力がさらに好ましい。反応温度は10〜100℃であり、30ないし70℃がさらに好ましい。還元的アミノ化に使用できるが選択性のより低い試薬としては、1)亜鉛と塩酸、2)鉄ペンタカルボニルとアルコール性水酸化カリウム、または3)ギ酸などがある。
【0026】
第二の還元的アミノ化反応は、第一の還元的アミノ化反応生成物と一般式:R−CHOで表される過剰のアルデヒドを使用して行われる。ここでRは、R1およびR2と同義である。還元的アミノ化によってアルデヒドR−CHOは、分岐ポリアミンの末端窒素原子に共有結合するR−CH2に変換される。還元的アミノ化に過剰のアルデヒドを使用すると3個の一級アミノ基がビスアルキル化され、また多糖に共有結合している二級アミノ基のモノアルキル化が起きる。還元的アミノ化は上記のようにして簡便かつ選択的に実施される。
【0027】
アルデヒドR−CHOの具体例を挙げれば、次の通りである:ベンズアルデヒド、o−トルアルデヒド、m−トルアルデヒド、p−トルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、2−ピリジンカルボアルデヒド、3−ピリジンカルボアルデヒド、4−ピリジンカルボアルデヒド、4−ピリジンカルボアルデヒド−N−オキシド、6−メチル−2−ピリジンカルボアルデヒド、2−フルオロベンズアルデヒド、3−フルオロベンズアルデヒド、4−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロベンズアルデヒド、3−クロロベンズアルデヒド、4−クロロベンズアルデヒド、2−ブロモベンズアルデヒド、3−ブロモベンズアルデヒド、4−ブロモベンズアルデヒド、2−ニトロベンズアルデヒド、3−ニトロベンズアルデヒド、4−ニトロベンズアルデヒド、2−シアノベンズアルデヒド、3−シアノベンズアルデヒド、4−シアノベンズアルデヒド、2−カルボキシベンズアルデヒド、3−カルボキシベンズアルデヒド、4−カルボキシベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、2−ホルミルフェニルボロン酸、3−ホルミルフェニルボロン酸、4−ホルミルフェニルボロン酸、2−ホルミルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、2−(ジフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、4−(ジフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、ベンズアルデヒド、3−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、4−(トリフルオロメトキシ)ベンズアルデヒド、α,α,α−トリフルオロ−o−トルアルデヒド、α,α,α−トリフルオロ−m−トルアルデヒド、α,α,α−トリフルオロ−p−トルアルデヒド、2,3−ジクロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、3,4−ジクロロベンズアルデヒド、3,5−ジクロロベンズアルデヒド、2,3−ジフルオロベンズアルデヒド、2,4−ジフルオロベンズアルデヒド、2,5−ジフルオロベンズアルデヒド、2,6−ジフルオロベンズアルデヒド、3,4−ジフルオロベンズアルデヒド、3,5−ジフルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド、2−クロロ−6−フルオロベンズアルデヒド、3−クロロ−4−フルオロベンズアルデヒド、3−ブロモ−4−フルオロベンズアルデヒド、4−ブロモ−2−フルオロベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−ニトロベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−ニトロベンズアルデヒド、4−ヒドロキシ−3−ニトロベンズアルデヒド、5−ヒドロキシ−2−ニトロベンズアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2、5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2−クロロ−5−ニトロベンズアルデヒド、2−クロロ−6−ニトロベンズアルデヒド、4−クロロ−3−ニトロベンズアルデヒド、5−クロロ−2−ニトロベンズアルデヒド、2−フルオロ−5−ニトロベンズアルデヒド、2,4−ジニトロベンズアルデヒド、2,6−ジニトロベンズアルデヒド、3,5−ジニトロベンズアルデヒド、5−ブロモサリチルアルデヒド、5−クロロサリチルアルデヒド、3−フルオロサリチルアルデヒド、4−ホルミル−1,3−ベンゼンジスルホン酸二ナトリウム塩、2−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、2−フルオロ−6−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、4−フルオロ−3−(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ピペロナール、2,3−(メチレンジオキシ)ベンズアルデヒド、o−アニスアルデヒド、m−アニスアルデヒド、p−アニスアルデヒド、バニリン、o−バニリン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド、5−ニトロバニリン、5−ヨードバニリン、3−フルオロ−p−アニスアルデヒド、2−ブロモ−3−ヒドロキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、5−ブロモ−2−ヒドロキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、5−ブロモバニリン、3−フルオロ−2−メチルベンズアルデヒド、3−ブロモ−p−アニスアルデヒド、5−ブロモ−o−アニスアルデヒド、5−(トリフルオロメトキシ)サリチルアルデヒド、5−ブロモ−3−ニトロサリチルアルデヒド、3,5−ジブロモサリチルアルデヒド、3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5−ジクロロサリチルアルデヒド、3,5−ジヨードサリチルアルデヒド、3,4−ジヒドロキシ−5−メトキシベンズアルデヒド、2,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンズアルデヒド、シンナムアルデヒド、α−ブロモシンナムアルデヒド、α−クロロシンナムアルデヒド、2−ニトロシンナムアルデヒド、4−ニトロシンナムアルデヒド、ビニルベンズアルデヒド、4−アセトキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチル−1,3−ベンゼンジカルボアルデヒド、2,3−ジメトキシベンズアルデヒド、2,4−ジメトキシベンズアルデヒド、2,5−ジメトキシベンズアルデヒド、2,6−ジメトキシベンズアルデヒド、ベラトルアルデヒド、3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、5−ブロモ−2,4−ジメトキシベンズアルデヒド、5−ブロモベラトルアルデヒド、6−ブロモベラトルアルデヒド、4−アセタミドベンズアルデヒド、6−ニトロベラトルアルデヒド、2,4−ジメチルベンズアルデヒド、2,5−ジメチルベンズアルデヒド、4−エチルベンズアルデヒド、ヒドロシンナムアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド、ベンジルオキシアセトアルデヒド、3,5−ジメチルヒドロキシルベンズアルデヒド、2−エトキシベンズアルデヒド、4−エトキシベンズアルデヒド、3−メチル−p−アニスアルデヒド、3−エトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−エトキシサリチルアルデヒド、2,6−ジメトキシ−4−ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4−ジメトキシ−5−ヒドロキシベンズアルデヒド、4,6−ジメトキシサリチルアルデヒド、シリングアルデヒド、2,3,5−トリクロロベンズアルデヒド、2,3,6−トリクロロベンズアルデヒド、2,3,4−トリフルオロベンズアルデヒド、2,3,6−トリフルオロベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリヒドロキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,5,6−テトラフルオロベンズアルデヒド、ペンタフルオロベンズアルデヒド、2−キノリンカルボアルデヒド、3−キノリンカルボアルデヒド、4−キノリンカルボアルデヒド、2−アリルオキシベンズアルデヒド、2−メトキシシンナムアルデヒド、バニリン=アセテート、4−イソプロピルベンズアルデヒド、メシトアルデヒド、3−フェニルブチルアルデヒド、2,3−ジメチル−p−アニスアルデヒド、2,5−ジメチル−p−アニスアルデヒド、4−プロポキシベンズアルデヒド、2,4−ジメトキシ−3−メチルベンズアルデヒド、3−エトキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリメトキシベンズアルデヒド、2,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、2,4,6−トリメトキシベンズアルデヒド、3,4,5−トリメトキシベンズアルデヒド、1−ナフタルアルデヒド、2−ナフタルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフタルアルデヒド、4−アセトキシ−3,5−ジメトキシベンズアルデヒド、メチル2−ホルミル−3,5−ジメトキシ安息香酸メチル、4−(ジメチルアミノ)シンナムアルデヒド、4−tert−ブチルベンズアルデヒド、4−ブトキシベンズアルデヒド、3−ブチル−tert−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、5−ブチル−tert−2−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−(ジメチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−(ジエチルアミノ)ベンズアルデヒド、4−(ジエチルアミノ)サリチルアルデヒド、2,3−ナフタレンジカルボアルデヒド、1,8−ナフタレンアルデヒド酸、2−メトキシ−1−ナフタルアルデヒド、4−メトキシ−1−ナフタルアルデヒド、4−アセトキシ−3−メトキシシンナムアルデヒド、ペンタメチルベンズアルデヒド、4−ビフェニルカルボアルデヒド、3−フェノキシベンズアルデヒド、4−フェノキシベンズアルデヒド、フェニルプロパギルアルデヒド、4−(ジエチルアミノ)シンナムアルデヒド、4−(ヘキシルオキシ)ベンズアルデヒド、2−フルオレンカルボアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、3−ベンジルオキシベンズアルデヒド、4−ベンジルオキシベンズアルデヒド、3−(4−メトキシフェノキシ)ベンズアルデヒド、フタルイミドアセトアルデヒド、α−アミルシンナムアルデヒド、9−アントラアルデヒド、2−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、3−ベンジルオキシ−4−メトキシベンズアルデヒド、4−ベンジルオキシ−3−メトキシベンズアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンズアルデヒドおよび3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンズアルデヒドである。
【0028】
本発明の好ましい態様によれば、式(I)の化合物であって、式(i)および式(ii)において、R1とR2とが異なるものである化合物は、アルデヒドを用いた三段階の還元的アミノ化反応により得ることができる。
【0029】
第一の還元的アミノ化反応は、前記式(III)または(IV)で表される分岐ポリアミンと四等量または三等量のアルデヒド化合物とを反応させ、テトラキスシッフ塩基生成物またはトリスシッフ塩基生成物を得て、これを還元することにより行なわれる。ここで、アルデヒド化合物は、前記した一般式:R−CHOで表されるものであり、RはR1を表す。
【0030】
テトラキスシッフ塩基生成物は以下に示す式(VII)で表され、またトリスシッフ塩基生成物は以下に示す式(VIII)で表されるものである。
【化9】
(式中、nは2〜12であり、mは2または3である。)
上記シッフ塩基生成物は、ポリアミンとアルデヒド化合物を、出発物質と生成物が溶解する溶媒の中で加熱しながら撹拌することにより得ることができる。場合により、塩基生成物について、蒸留または分子ふるいなどの乾燥剤を使用して、共沸的に水を除去することが必要となることがある。
【0031】
次に、上記シッフ塩基生成物を還元することにより、以下に示される式(IX)または式(X)で表される置換ポリアミンを生成する。
【化10】
(式中、nは2ないし12であり、mは2または3である。)
【0032】
還元アミノ化は、水溶液または含水アルコール溶液中で、水素化ホウ素化合物またはシアノ水素化ホウ素化合物を使用することによって、簡便かつ選択的に行われる。普通に使用される水素化ホウ素化合物は水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カリウム、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素テトラメチルアンモニウムおよび水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムなどである。シアノ水素化ホウ素化合物としては、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素カリウム、シアノ水素化ホウ素リチウムおよびシアノ水素化ホウ素テトラブチルアンモニウムなどが挙げられる。水素化ホウ素化合物は通常約7より高いpHで使用される。シアノ水素化ホウ素化合物は通常約3程度の低いpHで使用する。簡便かつ選択的な別の方法としては金属触媒を使用する接触水素化がある。代表的な金属触媒としてはすべての第8族金属が対象となるが、ニッケル、パラジウム、白金およびルテニウムが好ましい。この金属触媒は、担持させた形で使用してもよいし担持させないで使用してもよい。水素は100psiより高い圧力で使用されるのが好ましいが、700psiを超える圧力がさらに好ましい。反応温度は10〜100℃が好ましいが、30〜70℃がさらに好ましい。還元的アミノ化に使用できるが選択性のより低い試薬としては、1)亜鉛と塩酸、2)鉄ペンタカルボニルとアルコール性水酸化カリウムおよび3)ギ酸などがある。
【0033】
なお、第一の還元的アミノ化反応の前に、テトラキスまたはトリスシッフ塩基を単離および/または精製する必要はない。溶液中に塩基形成後、適切な還元試薬を加えることで還元的アミノ化を実施することができる。
【0034】
第二の還元的アミノ化反応は、上記式(IX)または(X)の化合物と、三等量または二等量のアルデヒド化合物を使用して行われる。ここで、アルデヒド化合物は前記した一般式:R−CHOで表されるアルデヒド化合物であり、RはR2を表す。
【0035】
第二の還元的アミノ化反応は以下に示される式(XI)または式(XII)で表される置換ポリアミンを生成する。
【化11】
(式中、nは2ないし12であり、mは2または3である。)
還元的アミノ化は上述した方法と同様に行われる。
【0036】
第三の還元的アミノ化反応は、式(XI)または式(XII)の化合物と、式(II)の多糖化合物を反応させることにより行なわれ、式(I)の化合物を得る。多糖類に対してよく知られているように、還元末端上にはユニークなアルデヒド基が存在し、溶液中では圧倒的に環状ヘミアセタールの形で存在している。このユニークなアルデヒド基の環状ヘミアセタールは還元的アミノ化によって開環する。
【0037】
水
水は、本発明によるインク組成物の主要な溶媒である。脱イオン水が好ましい。本発明において、水、湿潤剤、浸透剤、界面活性剤および後記する水溶性添加物の混合物の量は70〜99.8重量%であることが好ましい。
【0038】
湿潤剤
本発明によるインク組成物は、インク組成物の技術分野において湿潤剤に分類される少なくとも1種の水溶性有機溶媒を含んでなることができる。湿潤剤は水に対して高い親和性と比較的高い沸点を有する。その沸点は約230℃より高いことが好ましい。湿潤剤の好ましい具体例としては、グリセロール、グリセロールエトキシラート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールが挙げられる。湿潤剤の総量には適宜決定されてよいが、0.5〜25重量%程度が好ましい。
【0039】
浸透剤
本発明のインク組成物は、インク組成物の技術分野において、浸透剤に分類される少なくとも1種の水溶性有機溶媒を含んでなることができる。浸透剤はインク組成物が多孔質の印刷媒体の内部に速やかに浸透するのを助ける。浸透剤は、疎水性部分と親水性部分が分離しているものであることが好ましい。浸透剤の好ましい具体例としては、ジエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、1,2−ペンタンジオールおよび1、2−ヘキサンジオールが挙げられる。浸透剤の総量は適宜決定されてよいが、0.5〜15重量%程度が好ましい。
【0040】
界面活性剤
本発明によるインク組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含むことができる。界面活性剤は、陰イオン界面活性剤または非イオン界面活性剤から成る群から選択することができる。好ましい界面活性剤としては、アセチレンジオールおよび/またはアセチレンジオールのエチレンオキシド付加体が挙げられる。このタイプの界面活性剤はAir Products and Chemicals社、Allentown,ペンシルバニア州、18195、米国から購入することができる。界面活性剤の総量は適宜決定されてよいが、0.05〜5重量%が好ましい。
【0041】
顔料
本発明の顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。本明細書において「顔料」とは水不溶色材を意味する。
【0042】
顔料の粒子の大きさは、インクに分散させた顔料がインクジェット印刷装置、とりわけ、通常その径が10〜50ミクロンの範囲にある噴射ノズルを自由に流れる程度に小さくなければならない。本発明において、顔料の平均粒径は約20〜150ナノメートルの範囲にあることが好ましい。
【0043】
選択される顔料は湿潤状態でもよく、乾燥状態でもよい。通常、顔料は水媒質中で製造され、生成した顔料は水で濡れたプレスケーキの形で得られる。このプレスケーキの顔料は乾燥状態の時ほど凝集(agglomerate)していない。湿潤プレスケーキ中の顔料は、乾燥顔料の場合ほど、顔料分散物を調製する工程で解凝集操作を必要としない。
【0044】
顔料の好ましい具体例としては、以下のものが挙げられる:Symuler Fast Yellow GF(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 12);Symuler Fast Yellow GRF(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 13);SymulerFast Yellow 5GF(大日本インキ;C.I. PigmentYellow 14);Irgalite Yellow CG(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Yellow 16);Symuler Fast Yellow HGF(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 17);Symuler Fast Yellow 4117(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 73);Symuler Fast Yellow 4191N(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 74);Symuler Fast Yellow 4181(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 83);Chromophthal Yellow 3G(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Yellow 93);ChromophthalYellow GR(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Yellow 95);Symuler Fast Yellow 4186(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 97);Hansa Brilliant Yellow 10GX(Hoechst Celanese;C.I. Pigment Yellow 98);PermanentYellow G3R−01(Hoechst Celanese;C.I.Pigment Yellow 114);Chromophthal Yellow 8G(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Yellow 128);Irgazin Yellow 5GT(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Yellow 129);HostapermYellow H4G(Hoechst Celanese;C.I. Pigment Yellow 151);Symuler Fast Yellow 4192(大日本インキ;C.I. Pigment Yellow 154);Toner Yellow HG(Clariant;C.I. Pigment Yellow 180);Hostaperm Orange GR(Hoechst Celanese;C.I. Pigment Orange 43);Paliogen Orange (BASF;C.I. Pigment Orange 51);Symuler Brilliant Carmine(大日本インキ;C.I. Pigment Red 57:1);Fastogen Super Magenta;(大日本インキ;C.I. Pigment Red 122);Toner Magenta E02(Clariant;C.I. Pigment Red 122);Paliogen Red L3870(BASF;C.I. Pigment Red 123);Hoataperm Scarlet GO(Hoechst−Celanese;C.I. Pigment Red 168);Permanent Rubine F6B(Hoechst−Celanese;C.I. Pigment Red 184);Monastral Magenta(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Red 202);Monastral Scarlet(Ciba−Geigy;C.I. PigmentRed 207);Fastogen Blue GP−100(大日本インキ;C.I. Pigment Blue 15:2);Fastogen Blue GNPR(大日本インキ;C.I. Pigment Blue 15:3);Toner Cyan BG(Clariant;C.I. Pigment Blue 15:3);Fastogen Blue GNPS(大日本インキ;C.I. Pigment Blue 15:4);Micracet Blue R(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Blue 60);Fastogen Green S(大日本インキ;C.I. Pigment Green 7);Fastogen Green 2YK(大日本インキ;C.I. Pigment Green 36);Fastogen Super Red(大日本インキ;C.I. Pigment Violet 19);Fastogen Super Violet(大日本インキ;C.I. Pigment Violet 23);Monastral Maroon RT−229−D(Ciba−Geigy;C.I. Pigment Violet 42);Raven 1170(Columbian Chemicals;C.I. Pigment Black 7);Black FW 18(Degussa;C.I. Pigment Black 7)およびSpecial Black 4A(Degussa;C.I. Pigment Black 7)。
顔料の量は適宜決定されてよいが、0.1〜10重量%程度が好ましい。
【0045】
中和剤
式(I)の化合物を水性担体媒質に可溶化させるために、カルボキシル基の一部またはすべてを中和することが必要になることがある。このための中和剤としては、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物またはその混合物などが挙げられる。好ましい中和剤の具体例を挙げれば次の通りである:メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルモノエタノールアミン、N,N−ジメチルモノエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウムまたは水酸化セシウム。とりわけ、水酸化リチウムが好ましい。中和剤の総量は適宜決定されてよいが、インク組成物のpH値を約4〜10の範囲にする量を選ぶことが好ましい。
【0046】
他の成分
本発明によるインク組成物は、上で述べた主成分に加えて、またはそれに代えて、適宜1種または複数種の成分をインクに含めることができる。その例としては、次のような水溶性有機溶媒を挙げることができる:(1)イソプロピルアルコール、ブチルアルコールなどのアルコール;(2)アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン;(3)テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;(4)酢酸エチル、プロピレンカーボネートなどのエステル;(5)尿素、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンなどの含窒素化合物;(6)ジメチルスルホキシド、テトラメチレンスルホキシドなどの含硫黄化合物。さらに適宜pH緩衝剤、殺菌剤、粘度改良剤、紫外線吸収剤、および抗酸化剤などの添加物を含めることもできる。添加される他の成分の総量は適宜決定されてよいが、インクの表面張力が約25〜40dyne/cm、粘度が約1.0〜10.0mPasの範囲にあるように選択されることが好ましい。
【0047】
インクの調製
本発明のインク組成物は、上記の成分を分散、混合させることにより一段階で調製することができる。また、1)上記の成分の一部をまず分散、混合し、それから2)残りの成分を分散液に加えて混合する二段階法によって調製することもできる。分散工程はボールミル、サンドミル、アトリッター(摩砕器)、ロールミル、攪拌ミル、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、ミニミルまたはアングミルで均一な分散液にすることによって実現することができる。
【0048】
本発明の好ましい態様によれば、インク組成物は、まず、顔料分散液を濃厚な状態で調製し、つづいて、その濃厚な分散液をインクジェットプリンタ用に好適な濃度に希釈することにより得ることができる。また、インク組成物を、金属メッシュ濾過器またはメンブラン濾過器で濾過することが好ましい。濾過操作は、濾過すべきインク組成物に圧力をかけるか、濾過装置の受器の終端を減圧にすることによって実施することができる。インクジェットプリンタのインクヘッドのノズルを詰まらせる原因になる大きな粒子を除去するために遠心分離を行うことも有効である。
【0049】
【実施例】
(1)分散剤の調製
以下のすべての操作は換気能力の高いドラフト中で行った。
多糖類11(x=11である、式 (II) の化合物)の調製
2000mLビーカーに入れた脱イオン水600mLにアルギン酸150g(超低粘度アルギン酸、キブン・フード・ケミファ、日本)を加え、スラリー状にした。機械攪拌装置でスラリーを攪拌しながら、このスラリーに水酸化リチウム一水和物28gを加えた。アルギン酸は溶解してpH値が約4.2の溶液が得られる。脱イオン水を加えて全体の体積を700mLにした。次に、攪拌しながら34.5重量%の過酸化水素水100gおよび消泡剤としてn−オクチルアルコール2mLを加えた。硫酸第一鉄七水和物O.65gを含む溶液40mLを新しく作り、攪拌しながらそれをアルギン酸/過酸化水素溶液に加えた。溶液を4時間激しく攪拌した。この間著しい発熱が見られ、その後それが鎮まった。次に、混合物を沸騰する程度に加熱し、それからワットマンの#1濾紙で熱濾過した。濾液に、攪拌しながら6N塩酸を溶液のpH値が2.5に達するまでゆっくり加えた。溶液のpH値は変色域1.3〜4.4のミクロファインpH試験紙で調べた。析出した固体を微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。湿った固体を脱イオン水約250mLと共に1Lビーカーに移した。スラリーを攪拌しながら95%エタノール500mLをゆっくり加えた。1時間攪拌した後、固体を微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で吸引濾過して集めた。固体を95%エタノールで数回洗浄し、それから空気中で自然乾燥させた。最後に、固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は17gであった。以上の手順を11回くり返して全部で約200gを調製した。得られた多糖の平均重合度を、P.A.ShafferおよびM.Somogyi(J.Biol.Chem.,100,695−713(1933))の方法によって決定した。この方法の基準物質となる単糖として、エタノールと水から再結晶したガラクツロン酸一水和物を使用した。多糖試料の平均重合度は13であった。これは式(II)においてx=11に相当する。
【0050】
多糖類6(x=6である、式 (II) の化合物)の調製
2000mLビーカーに入れた脱イオン水500mLにアルギン酸150g(超低粘度アルギン酸、キブン・フード・ケミファ、日本)を加え、スラリー状にした。機械攪拌装置でスラリーを攪拌しながら、このスラリーに水酸化リチウム一水和物28gを加えた。脱イオン水を加えて全体の体積を600mLにした。34.5重量%の過酸化水素水100gを加え、生成した溶液を4時間攪拌し、それから16時間放置した。次に、消泡剤としてn−オクチルアルコール2mLおよび硫酸第一鉄七水和物0.65gを含む作りたての溶液40mLを、攪拌しながらアルギン酸/過酸化水素溶液に加えた。溶液を4時間激しく攪拌した。この間著しい発熱が見られ、それから鎮まった。34.5重量%の過酸化水素水40gを加え、得られた溶液を短時間攪拌し、つづいて16時間放置した。次に、混合物を50℃に加熱すると穏やかな発熱が起こった。それが鎮まり、液の色がはっきり暗色になったら室温まで放冷し、それからワットマンの#1濾紙で濾過した。濾液に、攪拌しながら12N塩酸55mLをゆっくり加えると少量の固体が沈殿した。混合物を4時間攪拌し、それからワットマンの#5濾紙で濾過した。濾液をナス型フラスコに移し、回転式蒸発器により50℃よりやや低い水浴温度で約175gになるまで濃縮した。濃縮液にメタノール400mLを加え、合わせた溶液を磁気攪拌子付きの3Lビーカーに移した。攪拌しながら、混合物の全体積が3Lになるまで95%エタノールを徐々に加えた。エタノールを加えて行くにつれて白色綿状の沈殿が生成した。ビーカーに蓋をして16時間放置した。大部分の上澄みを傾斜法によって除き、それから微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で析出した固体を吸引濾過して集めた。固体を95%エタノールで数回洗浄し、それから空気中で自然乾燥させた。最後に、固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は12gであった。以上の手順を16回くり返して全部で約200gを調製した。得られた多糖の平均重合度を、P.A.ShafferおよびM.Somogyi(J.Biol.Chem.,100,695−713(1933))の方法によって決定した。この方法の基準物質となる単糖として、エタノールと水から再結晶したガラクツロン酸一水和物を使用した。多糖試料の平均重合度は8であった。これは上記構造式においてx=6に相当する。
【0051】
ポリアミンAm4(n=4である、式 (III) の化合物)の調製
ポリアミンAm4は、オランダDSM New Business Developmentから「Astramol Am4」の商品名で販売されているものを入手した。
【0052】
ポリアミンAm6(n=6である、式 (III) の化合物)
ポリアミンAm6は、de Brabander van den Berg,E.M.M.,メイエル,E.W.,Angew. Chem. Int. Ed. Engl.第32巻、第9号、1308〜1311ページ(1993)に記載されている方法に従い、ヘキサメチレンジアミンから合成した。
【0053】
多糖11+ポリアミンAm4(x=11、n=4である、式 ( V ) の化合物)の調製
5Lのビーカーに入れた脱イオン水600mLに攪拌しながら多糖11 200gおよびポリアミンAm4 100gを溶解した。攪拌しながらさらにポリアミンAm4 100gを溶液に追加した。次に、激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N 塩酸を滴下しpHを8.90に調整した。脱イオン水を添加し、溶液の体積を1200mLにした。溶液を15日間室温に放置した。激しく攪拌しながらシアノ水素化ホウ素ナトリウム50gを溶液に加えた。溶液を8時間攪拌し、それから4日間室温に放置した。激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N 塩酸を滴下しpHを2に調整した。次に、激しく攪拌しながらメタノール2Lを加えた。灰白色の生成物が析出した。上澄液を傾斜法で分離し廃棄した。湿った固体をメタノールで数回洗浄し、吸引濾過した。得られた固体を自然乾燥し、さらに真空乾燥した。乾燥固体の重量は約220gであった。
【0054】
多糖11+ポリアミンAm6(x=11、n=6である、式 ( V ) の化合物)の調製
この化合物は、アミンとしてポリアミンAm6を使用した以外は、多糖11+ポリアミンAm4の場合と同様の方法で合成した。
【0055】
多糖6+ポリアミンAm4(x=6、n=4である、式 ( V ) の化合物)の調製2Lのビーカーに入れた脱イオン水600mLに攪拌しながら多糖6 200gおよびポリアミンAm4 100gを溶解した。攪拌しながらさらにポリアミンAm4 100gを溶液に追加した。次に、激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N 塩酸を滴下しpHを8.70に調整した。溶液を15日間室温に放置した。激しく攪拌しながらシアノ水素化ホウ素ナトリウム50gを溶液に加えた。溶液を8時間攪拌し、それから4日間室温に放置した。次に、溶液をナス型フラスコに移し、50℃よりやや低い水浴温度で回転式蒸発器により大部分の水を蒸発除去した。油様の固体を2Lビーカーに移し、メタノールで数回洗浄し、メタノール洗液は廃棄した。得られた固体を自然乾燥し、さらに真空乾燥した。乾燥固体の重量は約230gであった。
【0056】
多糖6+ポリアミンAm6(x=6、n=6である、式 ( V ) の化合物)の調製
この化合物は、アミンとしてポリアミンAm6を使用した以外は、多糖6+ポリアミンAm4の場合と同様の方法で合成した。
【0057】
分散剤A1(x=11、n=4、A=式(i)の基、R 1 =R 2 =3,4−メチレンジオキシフェニルである、式(I)の化合物)の調製
上で調製した多糖11+ポリアミンAm4 100gおよび脱イオン水600mLを5Lビーカーに入れ、機械式攪拌機で攪拌した。生成したスラリーにピペロナール200gおよび水酸化リチウム一水和物16gを加えた。数時間攪拌を続けるとエマルションが生成した。混合物を激しく攪拌しながら、95%シアノ水素化ホウ素ナトリウム25gとテトラエチルアンモニウムクロリド75gとの複分解によって調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を8時間攪拌し、それから16時間放置した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを7.5に調整し、上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLをさらに加えた。混合物を8時間攪拌し、それから16時間放置した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを6.0に調整し、さらに8時間攪拌した。次に、激しく攪拌しながら3N塩酸を滴下して混合物のpHを2.0に調整した。混合物を40時間放置すると固体が析出した。上澄液を傾斜法によって固体から分離し、廃棄した。次に、N−メチルピロリジノン500mLとピペロナール100gを固体に加えた。攪拌しながら混合物を45℃に温めると固体が徐々に溶解した。得られた溶液に、上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を8時間攪拌し、それから16時間放置した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを5.5に調整し、さらに上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を48時間攪拌し、それから激しく攪拌しながら3N塩酸を滴下して混合物のpHを2.0に調整した。攪拌しながら、混合物の体積が5Lになるまでイソプロピルアルコールを添加した。この間にふわふわした灰白色の沈殿が生成した。ビーカーに蓋をして40時間放置した。傾斜法によってほとんどの上澄液を除き、残る混合物を100mL遠沈管に移し、3000rpmで30分間遠心分離にかけ、固体を分離した。分離した固体を2Lビーカーに移し、95%エタノールで数回洗浄し、それから微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で析出した固体を吸引濾過して集めた。固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は約120gであった。得られた乾燥固体30.0gおよび脱イオン水150gを300mLフラスコに入れ、激しく攪拌しながら約40℃に加温した。固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約6.5であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが7.9の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下に滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を10ミクロンのテフロン製メンブランフィルターで濾過し、操作を終了した。
【0058】
分散剤B1(x=11、n=6、A=式(i)の基、R 1 =R 2 =4−イソプロピルフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、上で調製した多糖11+ポリアミンAm6および4−イソプロピルベンズアルデヒドを使用した以外は、分散剤A1と同様の方法で合成した。分散剤B1を30g含む溶液200gは、分散剤A1と同様にして調製した。
【0059】
分散剤C1(x=6、n=4、A=式(i)の基、R 1 =R 2 =3−ピリジルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、上で調製した多糖6+ポリアミンAm4および3−ピリジンカルボキサルデヒドを使用した以外は、分散剤A1と同様の方法で合成した。分散剤C1を30g含む溶液200gは、分散剤A1と同様にして調製した。
【0060】
分散剤D1(x=6、n=6A=式(i)の基、R 1 =R 2 =4−カルボキシフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、上で調製した多糖6+ポリアミンAm6および4−カルボキシベンズアルデヒドを使用した以外は、分散剤A1と同様の方法で合成した。分散剤D1を30g含む溶液200gは、分散剤A1と同様にして調製した。
【0061】
置換ポリアミンAm4a(n=4、R 1 =1−ナフチル、R 2 =3−ニトロフェニルである、式( XI )の化合物)調製
1Lのビーカーに入れた2−ブタノール800mLに、撹拌しながらポリアミンAm4(オランダDSM New Business DevelopmentからAstramol Am4の商品名で販売されている)20gおよび1−ナフタリン−1−アルデヒド42gを溶解した。溶液を1時間撹拌し沸騰するまで加熱した。約400mLの溶媒が残るまで、アルコール溶媒を沸騰させた。溶液は室温まで放冷し、その後−20℃の冷凍庫に一夜置いた。一夜置くと、テトラキスシッフ塩基生成物が溶液から分離した。アルコール上澄液を傾斜法で固体から分離し、それからジメチルスルホキシド200gおよびメタノール400gを加えた。混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ホウ素ナトリウム10gを追加した。混合物を2時間撹拌後、均質な溶液が得られた。残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために溶液を1時間沸騰させた。溶液を室温まで冷却後、撹拌しながらジメチルスルホキシド 200gに、新たに調製した3−ニトロベンズアルデヒド28.7gの溶液を加えた。合わせた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、溶液を80℃まで加熱し、2時間その温度の状態を保った。溶液を室温まで放冷し、それから撹拌しながらメタノール100gおよび水酸化ホウ素ナトリウム8gを追加した。溶液を室温で4時間撹拌し、その後メタノールを取り除き、かつ残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために3時間沸騰させた。置換ポリアミン生成物を分離せれず、そのまま下記に記載する分散剤E1およびF1の調製において、使用した。
【0062】
置換ポリアミンAm4b(n=4、R 1 =3,4−メチレンジオキシフェニル、R 2 =フェニルである、式( XI )の化合物)調製
1Lのビーカーに入れた2−ブタノール800mLに、撹拌しながらポリアミンAm4(オランダDSM New Business DevelopmentからAstramol Am4の商品名で販売されている)20gおよびピペロナール38.4gを溶解した。溶液を1時間撹拌し沸騰するまで加熱した。約400mLの溶媒が残るまで、アルコール溶媒を沸騰させた。溶液は室温まで放冷し、その後−20℃の冷凍庫に一夜置いた。一夜置くと、テトラキスシッフ塩基生成物が溶液から分離した。アルコール上澄液を傾斜法で固体から分離し、それからジメチルスルホキシド200gおよびメタノール400gを加えた。混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ホウ素ナトリウム10gを追加した。混合物を2時間撹拌後、均質な溶液が得られた。残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために溶液を1時間沸騰させた。溶液を室温まで冷却後、撹拌しながらジメチルスルホキシド 200gに、新たに調製したベンズアルデヒド20.1gの溶液を加えた。合わせた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、溶液を80℃まで加熱し、2時間その温度の状態を保った。溶液を室温まで放冷し、それから撹拌しながらメタノール100gおよび水酸化ホウ素ナトリウム8gを追加した。溶液を室温で4時間撹拌し、その後メタノールを取り除き、かつ残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために3時間沸騰させた。置換ポリアミン生成物を分離せず、そのまま下記に記載する分散剤G1およびH1の調製において使用した。
【0063】
分散剤E1(x=11、n=4、A=式(i)の基、R 1 =1−ナフチル、R 2 =3−ニトロフェニルである、式(I)の化合物)調製
多糖11 70g、トリフルオル酢酸40gおよびジメチルスルホキシド350gを1Lポリエチレン広口びんに入れた。びんにふたをして、40℃の水槽に移した。数時間暖めた後、多糖ほぼすべてが溶解した。次に、水槽からびんを取り出して、ふたを開けた。置換ポリアミンAm4a溶液(約400mL)を多糖溶液に追加した。混ぜるとすぐにゲルが生成された。小型手動ミキサーを約10分間使用して、ゲルを分散した。ポリエチレンびんの口をテフロン(登録商標)テープでおおい、びんを密閉した。びんを60℃の恒温加熱装置に7日間入れた。次に、びんを開けて、内容物を磁気撹拌棒を備えた2Lビーカーに移した。混合物を激しく撹拌しながら、95%シアノ水素化ホウ素ナトリウム40gと塩化テトラエチルアンモニウム115gとの複分解によって調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液320mLを加えた。混合物を1時間攪拌し、固体すべてがちょうど溶解するまでトリフルオル酢酸を加えた(約50g)。結果として得られた溶液をさらに24時間撹拌した。溶液を機械撹拌装置を備えた5Lビーカーに移した。溶液を激しく撹拌しながら、混合物の体積が5Lになるまでイソプロピルアルコールを添加した。この間にふわふわした灰白色の沈殿が生成した。ビーカーに蓋をして40時間放置した。傾斜法によってほとんどの上澄液を除き、残る混合物を100mL遠沈管に移し、3000rpmで30分間遠心分離にかけ、固体を分離した。分離した固体を2Lビーカーに移し、95%エタノールで数回洗浄し、それから微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で固体を吸引濾過して集めた。固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は約150gであった。得られた乾燥固体30.0gおよび脱イオン水150gを300mLフラスコに入れ、激しく攪拌しながら約40℃に加温した。固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約8.8であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが9.0の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下に滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を10ミクロンのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過し、操作を終了した。
【0064】
分散剤F1(x=6、n=4、A=式(i)の基、R 1 =1−ナフチル、R 2 =3−ニトロフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖6を使用した以外は、分散剤E1と同様の方法で合成した。分散剤F1を30g含む溶液200gは、分散剤E1と同様にして調製した。
【0065】
分散剤G1(x=11、n=4、A=式(i)の基、R 1 =3,4−メチレンジオキシフェニル、R 2 =フェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、置換ポリアミンAm4bのジメチルスルホキシド溶液(約400mL)を使用した以外は、分散剤E1と同様の方法で合成した。分散剤G1を30g含む溶液200gは、分散剤E1と同様にして調製した。
【0066】
分散剤H1(x=6、n=4、A=式(i)の基、R 1 =3,4−メチレンジオキシフェニル、R 2 =フェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖6および置換ポリアミンAm4bのジメチルスルホキシド溶液(約400mL)を使用した以外は、分散剤E1と同様の方法で合成した。分散剤H1を30g含む溶液200gは、分散剤E1と同様にして調製した。
【0067】
ポリアミンAm2(m=2である、式(IV)の化合物)
分岐ポリアミン出発物質、トリス(2−アミノエチル)アミンAm2として、東京化成工業株式会社から販売されているものを使用した。
【0068】
ポリアミンAm3(m=3である、式(IV)の化合物)
分岐ポリアミン出発物質、トリス(3−アミノプロピル)アミンAm3として、東京化成工業株式会社から販売されているものを使用した。
【0069】
多糖11+ポリアミンAm2(x=11、m=2である、式(VI)の化合物)の調製
5Lのビーカーに入れた脱イオン水600mLに攪拌しながら多糖11 200gおよびポリアミンAm2 100gを溶解した。攪拌しながらさらにポリアミンAm2 100gを溶液に追加した。次に、激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N塩酸を滴下しpHを8.90に調整した。脱イオン水を添加し、溶液の体積を1200mLにした。溶液を15日間室温に放置した。激しく攪拌しながらシアノ水素化ホウ素ナトリウム50gを溶液に加えた。溶液を8時間攪拌し、それから4日間室温に放置した。激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N塩酸を滴下しpHを2に調整した。次に、激しく攪拌しながらメタノール2Lを加えた。灰白色の生成物が析出し、残った上澄液は傾斜法で分離し廃棄した。湿った固体をメタノールで数回洗浄し、吸引濾過した。得られた固体を自然乾燥しさらに真空乾燥した。乾燥固体の重量は約190gであった。
【0070】
多糖11+ポリアミンAm3(x=11、m=3である、式( VI )の化合物)の調製
この化合物は、アミンとしてポリアミンAm3を使用した以外は、多糖11+ポリアミンAm2の場合と同様の方法で合成した。
【0071】
多糖6+ポリアミンAm2(x=6、m=2である、式( VI )の化合物)の調製
2Lのビーカーに入れた脱イオン水600mLに攪拌しながら多糖6 200gおよびポリアミンAm2 100gを溶解した。攪拌しながらさらにAm2 100gを溶液に追加した。次に激しく攪拌しながら、合わせた溶液に12N塩酸を滴下しpHを8.70に調整した。溶液を15日間室温に放置した。激しく攪拌しながらシアノ水素化ホウ素ナトリウム50gを溶液に加えた。溶液を8時間攪拌し、それから4日間室温に放置した。次に溶液をナス型フラスコに移し、50℃よりやや低い水浴温度で回転式蒸発器により大部分の水を蒸発除去した。油様の固体を2Lビーカーに移し、メタノールで数回洗浄し、メタノール洗液は廃棄した。得られた固体を自然乾燥し、さらに真空乾燥した。乾燥固体の重量は約210gであった。
【0072】
多糖6+ポリアミンAm3(x=6、m=3である式( VI )の化合物)の調製
この化合物は、アミンとしてポリアミンAm3を使用した以外は、多糖6+ポリアミンAm2の場合と同様の方法で合成した。
【0073】
分散剤A2(x=11、m=2、A=式( ii )の基、R 1 =R 2 =3−ニトロフェニルである式(I)の化合物)の調製
多糖11+ポリアミンAm2 100gおよび脱イオン水600mLを5Lビーカーに入れ、機械式攪拌機で攪拌した。生成したスラリーに3−ニトロベンズアルデヒド200gおよび水酸化リチウム一水和物16gを加えた。攪拌しながら混合物を60℃に加温した。数時間攪拌を続けるとエマルションが生成した。温度を60℃に保ちつつ混合物を激しく攪拌しながら、95%シアノ水素化ホウ素ナトリウム25gとテトラエチルアンモニウムクロライド75gとの複分解によって調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を8時間加温しながら攪拌し、それから室温まで放冷し、16時間放置した。攪拌しながら混合物を再度60℃に加温した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを7.5に調整し、上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLをさらに加えた。混合物を8時間加温しながら攪拌し、それから室温まで放冷し、16時間放置した。攪拌しながら混合物を再度60℃に加温した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを6.0に調整し、さらに8時間加温しながら攪拌し、それから室温まで放冷し、16時間放置した。次に、激しく攪拌しながら3N酸を滴下して混合物のpHを2.0に調整した。混合物を40時間放置すると固体が析出した。上澄液を傾斜法によって固体から分離し廃棄した。次に、n−メチルピロリジノン1000mLと3−ニトロベンズアルデヒド80gを固体に加えた。攪拌しながら混合物を45℃に温めると固体が徐々に溶解した。得られた溶液に、上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を8時間攪拌し、それから16時間放置した。3N塩酸を滴下して混合物のpHを5.5に調整し、さらに上と全く同じようにして調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液250mLを加えた。混合物を48時間攪拌し、それから激しく攪拌しながら3N塩酸を滴下して混合物のpHを2.0に調整した。攪拌しながら、混合物の体積が5Lになるまでイソプロピルアルコールを添加した。この間にふわふわした灰白色の沈殿が生成した。ビーカーに蓋をして40時間放置した。傾斜法によってほとんどの上澄液を除き、残る混合物を100mL遠沈管に移し、3000rpmで30分間遠心分離にかけ、固体を分離した。分離した固体を2Lビーカーに移し、95%エタノールで数回洗浄し、それから微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で析出した固体を吸引濾過して集めた。固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は約105gであった。得られた乾燥固体30.0gおよび脱イオン水150gを300mLフラスコに入れ、激しく攪拌しながら約40℃に加温した。固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約6.5であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが7.9の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下に滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を10ミクロンのテフロン製メンブランフィルターで濾過し、操作を終了した。
【0074】
分散剤B2(x=11、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =R 2 =3,4−ジメトキシフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖11+ポリアミンAm3およびベラトルアルデヒドを使用した以外は、分散剤A2と同様の方法で合成した。分散剤B2を30g含む溶液200gは、分散剤A2と同様にして調製した。
【0075】
分散剤C2(x=6、m=2、A=式( ii )の基、R 1 =R 2 =4−フェニルフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖6+ポリアミンAm2および4−フェニルベンズアルデヒドを使用した以外は、分散剤A2と同様の方法で合成した。分散剤C2を30g含む溶液200gは、分散剤A2と同様にして調製した。
【0076】
分散剤D2(x=6、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =R 2 =2−フェニルエチレンである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖6+ポリアミンAm3およびシンナムアルデヒドを使用した以外は、分散剤A2と同様の方法で合成した。分散剤D2を30g含む溶液200gは、分散剤A2と同様にして調製した。
【0077】
置換ポリアミンAm3a(m=3、R 1 =9−アントリル、R 2 =4−シアノフェニルである、式( XII )の化合物)の調製
1Lのビーカーに入れた2−ブタノール800mLに、撹拌しながらmが3である分岐ポリアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン(東京化成有機試薬日本)12gおよび9−アントラアルデヒド39.9gを溶解した。溶液を1時間撹拌し沸騰するまで加熱した。約350mLの溶媒が残るまで、アルコール溶媒を沸騰させた。溶液は室温まで放冷し、その後−20℃の冷凍庫に一夜置いた。一夜置くと、トリスシッフ塩基生成物が溶液から分離した。アルコール上澄液を傾斜法で固体から分離し、それからジメチルスルホキシド200gおよびメタノール400gを加えた。混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ホウ素ナトリウム8gを追加した。混合物を2時間撹拌後、均質な溶液が得られた。残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために溶液を1時間沸騰させた。溶液を室温まで冷却後、撹拌しながらジメチルスルホキシド200gに、新たに調製した4−シアノベンズアルデヒド16.7gの溶液を加えた。合わせた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、溶液を80℃まで加熱し、2時間その温度の状態を保った。溶液を室温まで放冷し、それから撹拌しながらメタノール100gおよび水酸化ホウ素ナトリウム6gを追加した。溶液を室温で4時間撹拌し、その後メタノールを取り除き、かつ残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために3時間沸騰させた。置換ポリアミン生成物は分離せず、そのまま分散剤E2およびF2の調製に、用いた。
【0078】
置換ポリアミンAm3b(m=3、R 1 =2−フルオレニル、R 2 =1−ナフチルである、式( XII )の化合物)の調製
1Lのビーカーに入れた2−ブタノール800mLに、撹拌しながらmが3である分岐ポリアミン、トリス(3−アミノプロピル)アミン(東京化成有機試薬)12gおよび2−フルオレンカルボキサルデヒド37.6gを溶解した。溶液を1時間撹拌し沸騰するまで加熱した。約350mLの溶媒が残るまで、アルコール溶媒を沸騰させた。溶液は室温まで放冷し、その後−20℃の冷凍庫に一夜置いた。一夜置くと、トリスシッフ塩基生成物が溶液から分離した。アルコール上澄液を傾斜法で固体から分離し、それからジメチルスルホキシド200gおよびメタノール400gを加えた。混合物を激しく撹拌しながら、水酸化ホウ素ナトリウム8gを追加した。混合物を2時間撹拌後、均質な溶液が得られた。残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために溶液を1時間沸騰させた。溶液を室温まで冷却後、撹拌しながらジメチルスルホキシド200gに、新たに調製した1−ナフトアルデヒド19.9gの溶液を加えた。合わせた溶液を室温で2時間撹拌した。次に、溶液を80℃まで加熱し、2時間その温度の状態を保った。溶液を室温まで放冷し、それから撹拌しながらメタノール100gおよび水酸化ホウ素ナトリウム6gを追加した。溶液を室温で4時間撹拌し、その後メタノールを取り除き、かつ残留未反応水酸化ホウ素ナトリウムを分解するために3時間沸騰させた。置換ポリアミン生成物は分離せず、そのまま分散剤G2およびH2の調製に用いた。
【0079】
分散剤E2(x=11、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =9−アントリル、R 2 =4−シアノフェニルである、式(I)の化合物)の調製
多糖類11を70g、トリフルオル酢酸40gおよびジメチルスルホキシド350gを1Lポリエチレン広口びんに入れた。びんにふたをして、40℃の水槽に移した。数時間暖めた後、多糖類ほぼすべてが溶解した。次に、水槽からびんを取り出して、ふたを開けた。置換ポリアミンAm3aのジメチルスルホキシド溶液(約400mL)を多糖類溶液に追加した。混ぜるとすぐにゲルが生成された。小型手動ミキサーを約10分間使用して、ゲルを分散した。ポリエチレンびんの口をテフロン(登録商標)テープでおおい、びんを密閉した。びんを60℃の恒温加熱装置に7日間入れた。次に、びんをあ開けて、内容物を磁気撹拌棒を備えた2Lビーカーに移した。混合物を激しく撹拌しながら、95%シアノ水素化ホウ素ナトリウム40gと塩化テトラエチルアンモニウム115gとの複分解によって調製したシアノ水素化ホウ素テトラエチルアンモニウムのメタノール溶液320mLを加えた。混合物を1時間攪拌し、固体すべてがちょうど溶解するまでトリフルオル酢酸を加えた(約50g)。結果として得られた溶液をさらに24時間撹拌した。溶液を機械撹拌装置を備えた5Lビーカーに移した。溶液を激しく撹拌しながら、混合物の体積が5Lになるまでイソプロピルアルコールを添加した。この間にふわふわした灰白色の沈殿が生成した。ビーカーに蓋をして40時間放置した。傾斜法によってほとんどの上澄液を除き、残る混合物を100mL遠沈管に移し、3000rpmで30分間遠心分離にかけ、固体を分離した。分離した固体を2Lビーカーに移し、95%エタノールで数回洗浄し、それから微細な多孔質ガラス濾過器(孔径16〜40ミクロン)で固体を吸引濾過して集めた。固体を一定重量になるまで真空乾燥した。生成物の収量は約125gであった。得られた乾燥固体30.0gおよび脱イオン水150gを300mLフラスコに入れ、激しく攪拌しながら約40℃に加温した。固体がほとんど溶解するまで固体水酸化リチウムを徐々に加えた。この時、混合物のpHは約8.8であった。混合物のpHを監視しながら、混合物のpHが9.0の一定値に達するまで水酸化リチウム一水和物溶液(5重量%)を攪拌下に滴下した。溶液の総重量が200gになるまで水を追加した。得られた溶液を10ミクロンのテフロン(登録商標)製メンブランフィルターで濾過し、操作を終了した。
【0080】
分散剤F2(x=6、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =9−アントリル、R 2 =4−シアノフェニルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖類6を使用した以外は、分散剤E2と同様の方法で合成した。分散剤F2を30g含む溶液200gは、分散剤E2と同様にして調製した。
【0081】
分散剤G2(x=11、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =2−フルオレニル;R 2 =1−ナフチルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、置換ポリアミンAm3bのジメチルスルホキシド溶液(約400mL)を使用した点を除いて、分散剤E2と同様の方法で合成した。分散剤G2を30g含む溶液200gは、分散剤E2と同様にして調製した。
【0082】
分散剤H2(x=6、m=3、A=式( ii )の基、R 1 =2−フルオレニル;R 2 =1−ナフチルである、式(I)の化合物)の調製
この化合物は、多糖類6および置換ポリアミンAm3bのジメチルスルホキシド溶液(約400mL)を使用した点を除いて、分散剤E2と同様の方法で合成した。分散剤H2を30g含む溶液200gは、分散剤E2と同様にして調製した。
【0083】
顔料分散液調製
上で得られた分散剤と、顔料と、脱イオン水とを下記の量で混合し、混合物をEiger Motormill M250 VSE−EXJ(Eiger Japan,東京,日本)を使用して分散させた。ミリングに使用したガラスビーズ(直径:1.0mm)の全体積は175mLであった。ミリングは、4500rpmで50時間行った。
顔料 30g
分散剤(固形分15重量%) 60g
脱イオン水 160g
分散液の収量は約200gであった。上の操作を4回くり返し、ポリエチレン瓶中で5バッチ分を合わせ、攪拌した。表1および表2に示される分散液を調製した。すべての分散液について、平均粒径は100〜120ナノメートルであった。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
(2)インクの調製
下記の成分を攪拌しながら順にビーカーに入れた。合わせた混合物を3時間攪拌した。次に、混合物を8ミクロンのメンブランフィルターで濾過した。
顔料分散液 84g
脱イオン水 表3または4を参照
湿潤剤 表3または4を参照
浸透剤 表3または4を参照
Surfynol465(アセチレンジオールのエチレンオキシド付加体:2gAir Products製)
【0087】
以下の表3および4に示されるインク組成物を調製した。表では以下の略号を使用した:グリセロール=gly;グリセロールエトキシラート=EG−1(Liponic EG−1,Lipo Chemicals Co.,Paterson,ニュージャージー州、米国);ジエチレングリコール=DEG;トリエチレングリコール=TEG;テトラエチレングリコール=TeEG;ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル=DEG−mBE;トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル=TEG−mBE;1,2−ペンタンジオール=PD;1,2−ヘキサンジオール=HD。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
(3)評価試験
上記インク組成物を、高速印刷速度での印刷性能、全体的信頼性、乾燥速度および色にじみについて評価した。
【0091】
連続印刷試験
加熱シールアルミニウムパックにインクを装填し、脱ガスした後、2週間かけて密封ガラス容器中の溶解ガスと平衡させた。平衡化させたインクを容器から取り出し、加熱シールアルミニウムパックを密封した。次に、インクをPM−900Cプリンタ(製品名、セイコーエプソン)の黒インクプリントヘッドに装填した。まず、ノズル全部を使用してラインパターンを印刷し、インクが全ノズルから正しい方向に噴射されることを最初に確認した(ノズルから噴射されるインク液滴の角偏差は、正常状態からノズル面に対して約±0.5゜)。印刷パターンをA4版用紙を満たす、360dpiの塗りつぶしブロックパターンに変えた。この時の印刷速度は1分当たり4枚の高速とした。塗りつぶしブロックパターンを連続して200枚印刷した。全てのインク組成物について、全ノズルが良好な方向性(directionality)を示し、印刷した全200枚について印刷動作しなかったノズルは認められなかった。
【0092】
長期保存試験
インクを脱ガスし、加熱シールアルミニウムパックに封入した。次に、インクをMJ−510Cプリンタ(製品名、セイコーエプソン)の黒インクプリントヘッドに装填した。ノズル全部を使用してラインパターンを印刷し、インクがノズルから正しい方向に噴射されることを最初に確認した。次に、インク供給ラインをプリントヘッドからはずし、それからプリントヘッドをプリンタからはずした。ヘッドにキャップをしないまま40℃の恒温加熱装置の中に4日間保存した。再度プリントヘッドをプリンタに取り付け、インク供給ラインをプリントヘッドに接続した。プリンタのクリーニング操作を実行した後、ノズル全部を使用するラインパターンを印刷した。ノズル全部による印刷が良好な方向性を示すまでクリーニング操作とそれに続くラインパターンの印刷をくり返した。試験を行った全部のインク、全てのインク組成物について、完全に回復するまでに必要なクリーニング回数は4以下で、許容できる信頼性の範囲内であった。
【0093】
熱サイクル試験
インクを30mLのガラス製試料瓶に入れて脱ガスし、それから密封した。試料瓶を60℃の恒温加熱装置に入れ、同温度で24時間保存した。試料を恒温加熱装置から取り出し、−30℃の冷蔵庫に移して同温度で24時間保存した。この2つの温度のサイクルを合計10回くり返した。最後のサイクルが終了した後、インクを解凍して室温に戻し、ガラス製試料瓶を静かにひっくり返し、容器の底に沈殿が生じていないか検査した。全てのインク組成物について沈殿は認められなかった。これは許容できる信頼性の範囲内であった。
【0094】
乾燥時間試験
インクの乾燥時間は、塗りつぶしブロックパターンを順次印刷し、印刷してからふき取りまでの時間を5秒単位で増やしながらそのパターンをふき取ることにより評価した。印刷は、MJ−930Cプリンタ(製品名、セイコーエプソン)と用紙、Xerox 4024とを使用して行った。全てのインク組成物について乾燥時間は5秒未満であった。これは許容できる乾燥時間の範囲内であった。
【0095】
色にじみ試験
ブロックパターンを印刷し、これの上から別の色の斜線を印刷した。ブロックパターンでは、評価される2種類の色が線およびブロックとして印刷される。ここで、2種類の色は隣接して印刷され、一方の色の上に他方の色を印刷しない。印刷は、MJ−930Cプリンタ(製品名、セイコーエプソン)と用紙、Xerox 4024とを使用して行った。その組合せは以下の表の通りとした。そして、画像を以下の基準で評価した。
2種類の色の境界が明瞭で、染料をベースにしたインクの色にじみレベルと同等かそれ以上の場合:A
一方から他方への互いの色にじみがいくらか認められ、染料をベースにしたインクの色にじみレベルよりわずかに劣る場合:B
一方から他方への色にじみが著しく、染料をベースにしたインクの色にじみレベルより著しく劣る場合:Cとする。
全ての組み合せにおいて、評価はAであった。
【0096】
【表5】
【0097】
【表6】
Claims (17)
- 式(I)において、R1とR2とが全て同一である、請求項1に記載のインク組成物。
- 式(I)において、R1とR2とが異なる、請求項1に記載のインク組成物。
- 式(I)において、Aが式(i)が表わす基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 式(I)において、Aが式(ii)が表わす基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記水溶性有機溶媒が、湿潤剤、浸透剤、および界面活性剤からなる群から選択される一種または二種以上のものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 0.1〜10%重量の顔料と、0.1〜20%重量の式(I)の化合物とを含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記湿潤剤が、グリセロール、グリセロールエチレンオキシラート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびテトラエチレングリコールから成る群から選択される一種または二種以上のものである、請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記浸透剤が、ジエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール−モノ−n−ブチルエーテル、1,2−ペンタンジオールおよび1、2−ヘキサンジオールから成る群から選択される一種または二種以上のものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記界面活性剤が、アセチレンジオールおよび/またはアセチレンジオールのエチレンオキシド付加体である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 表面張力が約25〜40dyne/cmの範囲にあり、粘度が約1.0〜10.0mPasの範囲にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 分散させた顔料の平均粒径が約20〜150ナノメートルの範囲にある、請求項1〜11のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記式(I)の化合物の多糖部分が、有機塩基、アルカノールアミン、アルカリ金属水酸化物およびそれらの混合物から成る群から選択される一種または二種以上の中和剤によって中和されたものである、請求項1〜12のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記中和剤が水酸化リチウムである、請求項13に記載のインク組成物。
- 請求項1〜14のいずれか一項に記載のインク組成物を記録媒体上に付着させることを特徴とする、記録方法。
- 請求項1〜14に記載のインク組成物の液滴を噴射させ、記録媒体上に付着させることを特徴とする、インクジェット記録方法。
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