JP2008150558A - インク組成物製造方法、該製造方法によって製造されたインク組成物、該インク組成物を用いた記録方法、記録ヘッドおよび該記録ヘッドを具備する記録装置 - Google Patents

インク組成物製造方法、該製造方法によって製造されたインク組成物、該インク組成物を用いた記録方法、記録ヘッドおよび該記録ヘッドを具備する記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 にじみやフェザリングが軽減といった顔料インクに特徴的な効果に加え、発色性が良好で、吐出安定性が良いインク組成物の製造方法の提供。
【解決手段】 少なくとも両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルに顔料を内包した顔料分散体を含有する、平均粒径が50nm以下かつ多分散度指数が0.20以下であるインク組成物の製造方法に関し、該ミセル内に、少なくとも顔料を製造する原料が内包された原料分散体を製造する原料分散体製造工程、及び該ミセル内を反応場として顔料を合成する顔料分散体製造工程のいずれも含有することを特徴とする、インク組成物製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、インク組成物製造方法、該製造方法によって製造されたインク組成物、該インク組成物を用いた記録方法、記録ヘッドおよび該記録ヘッドを具備する記録装置に関する。
近年、非常な勢いでインクジェット技術を代表例とするデジタル印刷技術は進歩している。特にコンパクトで低消費電力という特徴により、染料インクを使用したインクジェット技術は比較的手軽な印刷方法となってきているだけでなく、ノズルの微細化やインクの吐出方法の進歩等に伴い高画質印刷が可能となり、その画質は銀塩写真にせまる勢いである。しかしながら仮に被記録媒体上で乾燥した染料であっても、染料インクは、色の重ね合わせ時に、にじみを生じたり、吐出直後に毛細管現象によりインクが被記録媒体上の繊維方向にインクが染み出す現象(フェザリング)が観測される場合がある。
これらの問題点を解決する目的で、染料と水溶性ベヒクルによる平均直径100nm以下の粒子とを含むインク組成物(特許文献1参照)が報告されている。しかしながら、にじみやフェザリングは軽減されたものの、印刷された画像は耐候性が低く、印刷画像の長期保存には問題があった。これらの問題を解決する手段として、染料インクに代え顔料分散インクを用いることが提案されている(特許文献2参照)。一方で、顔料分散インクを使用することによって、にじみやフェザリングが軽減され、印刷画像の保存特性は向上するものの、染料インクに比べて発色性の悪化と光沢性低下という問題が存在する。この原因としては、色材を顔料化してしまったため、顔料表面に存在する色材のみ発色性に寄与し、顔料内部の色材が発色性に寄与しないことが推測されるが詳細は不明である。
第2957324号公報 米国特許第5,085,698号公報
上記顔料インクの発色性を良化するためには、分散・粉砕と言った手法を用いて、インク中における顔料粒径を小さくすることで顔料の表面積を増やすことが挙げられる。しかしながら、我々の鋭意検討の結果、分散・粉砕といった手法を用いたとしても、発色性が十分に改善されるほど粒径を小さくすることは困難であった。また、前記粉砕法によってある程度以上粒径を小さくしようととするとインクジェットヘッドにおける吐出性能が悪化するという問題も見受けられた。
このように、従来、発色性に優れた顔料インクは、実用化されるものとはなっていなかった。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、にじみやフェザリングが軽減といった顔料インクに特徴的な効果に加え、発色性が良好で、吐出安定性が良いインク組成物の製造方法、インク組成物、記録方法、記録ヘッドおよび記録装置を提供するものである。
前記従来技術および課題について鋭意検討した結果、本発明者らは下記に示す本発明を完成するに至った。
本発明における第1の発明は、両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルに顔料を内包した顔料分散体を有するインク組成物の製造方法において、顔料を製造するための油溶性原料を用意する工程と、水性溶媒中で該油溶性原料を両親媒ブロックポリマーによって内包させミセルを形成する工程と、該ミセル内を反応場として前記油溶性原料を反応固定化させることにより前記ミセル内に顔料を形成する工程と、を有することで、平均粒径が50nm以下かつ多分散度指数が0.20以下である顔料分散体を形成するインク組成物の製造方法である。
また、本発明のインク組成物の製造方法は、油溶性原料のミセル内包工程が、油性分と水成分を用いた転相乳化方法で製造される工程であることを特徴とする。
本発明において、前記油溶性原料を両親媒ブロックポリマーによって内包するために、油性分と水成分を用いた転相乳化方法を用いることが好ましい。
本発明において、前記両親媒性ブロックポリマーが、親水性ブロックセグメント及び疎水性ブロックセグメントを有していてもよい。
さらに前記両親媒性ブロックポリマーの主鎖構造がポリアルケニルエーテル構造であってもよい。
本発明において、前記顔料がフタロシアニン誘導体であってもよく、その油溶性原料は、フタロニトリル誘導体、ジイミノイソインドリン誘導体、サブフタロシアニン誘導体を含有するものであってもよい。
第2の発明は上記インク組成物製造方法で製造された顔料分散体と、溶媒とを有するインク組成物である。
該インク組成物は、前記両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルのコア部における前記油溶性原料の含有量が前記顔料に対して1.0〜500質量%の範囲である。
第3の発明は、上記インク組成物を含有するインクを液体吐出部から被記録媒体上に吐出することにより記録を行う事を特徴とする記録方法である。
前記液体吐出部は、前記インクに熱エネルギーを付与し、前記インクに膜沸騰現象を生じせしめることにより、インクを吐出するものであってもよい。
第4の発明は上記記録方法に用いられる記録ヘッドであって、前記熱エネルギーを発生するための薄膜ヒーターを備える記録ヘッドである。
第5の発明は上記記録ヘッドと、被記録媒体を搬送する搬送機構と、を具備することを特徴とする記録装置である。
本発明によれば、にじみやフェザリングが軽減され、印刷画像の保存といった顔料インクに特徴的な効果だけではなく、発色性が良くインク組成物の吐出性能が良好な、インク組成物及びその製造方法、液体付与方法および液体付与装置を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の第1は、少なくとも両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルに顔料を内包した顔料分散体を含有する、平均粒径が50nm以下かつ多分散度指数が0.20以下であるインク組成物の製造方法に関し、該ミセル内に、少なくとも顔料を製造する原料が内包された原料分散体を製造する原料分散体製造工程、及び該ミセル内を反応場として顔料を合成する顔料分散体製造工程のいずれも含有することを特徴とする、インク組成物製造方法である。好ましくは、前記原料分散体の製造工程が、油性分と水成分を用いた転相乳化方法で製造される工程であるインク組成物製造方法であり、更に好ましくは、前記顔料原料が、前記油性分に対して可溶であることを特徴とする前記インク組成物製造方法である。なお発色性向上の面からより好ましい平均粒径は30nm以下で、かつ多分散度指数が0.20以下、より好ましくは0.15以下であるインク組成物である。
また、顔料分散体を小粒径化する事は、上述のように発色性の向上に寄与するものであるが、詳細は不明であるものの我々の鋭意検討の結果、印刷画像の光沢性も向上することが判明した。このことから、画像光沢性向上の面からも、本願発明のインク組成物が望ましいことがわかる。
本発明における両親媒性とは、本発明における両親媒性化合物とは親水性構造と疎水性構造を有し、極性溶剤、無極性溶剤のいずれにもなじむ性質の化合物を意味する。なお、本発明における親水性構造とは水分子との間に結合を作り易い化学構造を意味し、具体的には、スルホン酸、カルボン酸、水酸基、アミン基、イミン基、エーテル基等を含有する置換基が挙げられるが、本発明は上記具体例に限定されるものではない。また、親水性構造がアニオン性またはカチオン性であることが可能で、いずれの場合もカウンターイオンは原子や化合物であればよく、カウンターカチオンの具体的にはリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン等が、カウンターアニオンの例としては、塩酸アニオン、硫酸アニオン、塩素アニオン、臭素アニオン、ヨウ素アニオン等が挙げられるが、本発明においては、カウンターイオンは特定の原子や化合物に限定されるものではない。さらに疎水性構造とは水分子との間に結合を作り難い構造を意味する。具体的な構造としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等の飽和炭化水素基、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、アズレニル基等の芳香族置換基を置換基が挙げられるが、本発明は上記具体例に限定されるものではない。
なお、本発明中における顔料とは、染料が水や油に溶ける色素であるのに対し、不溶性の色素であると定義でき、具体的な例としては、近赤外線反射材料や酸化触媒、脱臭・抗菌、助熱、排煙脱塩、ダイオキシン抑制、除虫効果、液晶パネルのバックライト用光散乱剤、蛍光材料、光導電材料等負だけでなく、紫外線防止、吸着効果等の化粧品への応用、塗料、トナーあるいはインクといった色材が挙げられる。本発明においては色材が好ましく用いられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
具体的な無機顔料の例としては、コバルトブルー、セルシアンブルー、コバルトバイオレット、コバルトグリーン、ジンクホワイト、チタニウムホワイト、ライトレッド、クロムオキサイドグリーン、マルスブラック等の酸化物顔料、ビリジャン、イェローオーカー、アルミナホワイト等の水酸化物顔料、ウルトラマリーン、タルク、ホワイトカーボン等のケイ酸塩顔料、金粉、銀粉、ブロンズ粉等の金属粉、カーボンブラック等が挙げられ、有機顔料の具体例としては、βナフトール系アゾ顔料、ナフトールAS系アゾ顔料、モノアゾ型あるいはジスアゾ型アセト酢酸アリリド系アゾ顔料、ピラゾン系アゾ顔料、縮合系アゾ顔料等のアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、サブフタロシアニン系顔料、ポルフィリン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ぺリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジオキサジン顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、あるいは新規に合成した顔料が挙げられるが本発明に使用される顔料は上記に限定されるものではない。以下に、黒、シアン、マゼンタ、イエローにおいて、市販されている顔料を例示する。
黒色の顔料としては、Raven1060、Raven1080、Raven1170、Raven1200、Raven1250、Raven1255、Raven1500、Raven2000、Raven3500、Raven5250、Raven5750、Raven7000、Raven5000 ULTRAII、Raven1190 ULTRAII(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Black Pearls L、MOGUL−L、Regal400R、Regal660R、Regal330R、Monarch 800、Monarch 880、Monarch 900、Monarch 1000、Monarch 1300、Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW200、Color Black 18、Color Black S160、Color Black S170、Special Black 4、Special Black 4A、Special Black 6、Printex35、PrintexU、Printex140U、PrintexV、Printex140V(以上デグッサ社製)、No.25、No.33、No.40、No.47、No.52、No.900、No.2300、MCF−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以上三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1、C.I.Pigment Blue−2、C.I.Pigment Blue−3、C.I.Pigment Blue−15、C.I.Pigment Blue−15:2、C.I.Pigment Blue−15:3、C.I.Pigment Blue−15:4、C.I.Pigment Blue−16、C.I.Pigment Blue−22、C.I.Pigment Blue−60等が挙げられるが、これらに限定されない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red−5、C.I.Pigment Red−7、C.I.Pigment Red−12、C.I.Pigment Red−48、C.I.Pigment Red−48:1、C.I.Pigment Red−57、C.I.Pigment Red−112、C.I.Pigment Red−122、C.I.Pigment Red−123、C.I.Pigment Red−146、C.I.Pigment Red−168、C.I.Pigment Red−184、C.I.Pigment Red−202、C.I.Pigment Red−207等が挙げられるが、これらに限定されない。
イエローの顔料としては、C.I.Pigment Yellow−12、C.I.Pigment Yellow−13、C.I.Pigment Yellow−14、C.I.Pigment Yellow−16、C.I.Pigment Yellow−17、C.I.Pigment Yellow−74、C.I.Pigment Yellow−83、C.I.Pigment Yellow−93、C.I.PigmentYellow−95、C.I.Pigment Yellow−97、C.I.Pigment Yellow−98、C.I.Pigment Yellow−114、C.I.Pigment
Yellow−128、C.I.Pigment Yellow−129、C.I.Pigment Yellow−151、C.I.Pigment Yellow−154等が挙げられるが、これらに限定されない。
また本発明における原料とは、化学反応により顔料を形成する色材を合成する原料物質を意味する。具体的には、アゾ顔料におけるジアゾニウムカチオン含有化合物とベンゼン誘導体、ナフタレン誘導体、アントラセン誘導体といった芳香族系化合物、シアニン顔料におけるインドレニン誘導体とアルデヒド含有化合物、フタロシアニン顔料における、フタロニトリル誘導体、ジイミノイソインドリン誘導体、フタル酸無水物誘導体、フタル酸誘導体及びサブフタロシアニン誘導体、インジゴ顔料におけるインドキル誘導体、スピロピラン顔料におけるメチレンインドリン誘導体とホルミル基含有化合物が挙げられるが、本発明はこれら顔料原料と顔料の組み合わせに限定されるものではない。
また、本発明中における内包の定義は、顔料を取り囲うように両親媒性ブロックポリマーがミセルまたは逆ミセル構造を形成する事を意味し、この現象は電子顕微鏡等によって確認する事ができる。また本発明におけるインク組成物は、吐出性能、画像特性向上の観点から添加剤を加えることが出来る。具体的な例としては、インクの安定化と記録装置中のインクの安定性を得るためのpH調整剤;記録媒体へのインクの浸透を早め、見掛けの乾燥を早くする浸透剤;インク内での黴の発生を防止する防黴剤;インク中の金属イオンを封鎖し、ノズル部での金属の析出やインク中で不溶解性物の析出等を防止するキレート化剤、記録液の循環、移動、あるいは記録液製造時の泡の発生を防止する消泡剤、酸化防止剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤等を含む。また、添加剤として、熱または電磁波の印加により活性化される架橋剤、酸発生剤、重合開始剤等を挙げる事もできる。また添加量としては、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また本発明で算出した分散体の平均粒径・分散度指数は、20℃、0.01w%のポリマー濃度で条件下、動的光散乱(DLS)を用いて測定した値を用いているが、他の測定方法、具体的には、レーザー回折法、レーザードップラー法、遠心沈降法、field−flow fractionation法、電気的検知体法等、いずれの測定方法であっても、DLS法で測定された値へと補正されていれば良いものとする。
なお、転相乳化方法とは特開平10−88042号公報に記載されている顔料分散製造方法を主に指し、本発明では両親媒性ブロックポリマーと顔料原料、溶剤を分散機にて混合分散させて油相とした後、極性溶媒を添加することで油相から極性溶媒相相に転換することで乳化する顔料分散体製造方法を示している。なお、転相乳化の油層に使用する溶剤の具体例としては、ノルマルヘキサン、トルエン、キシレン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アセトンアセトニトリル、プロパノール、ブタノール、N,N―ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、置換ピロリドン、トリエタノールアミン、N,N―ジメチルホルムアミド、エタノール、メタノール等が挙げられ、極性溶剤としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ノルマルプロパノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、好ましくは水または水溶液が挙げられる。本発明においてはこれら溶剤を単独でまたは混合して使用することが出来るが、本発明の転相乳化に使用される溶剤は上記に限定されるものではない。また、本発明のインク組成物の製造される、分散機の具体例としては、超音波ホモジナイザー、ジェットミル、圧力式ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等が挙げられ、これらを単独もしくは組み合せて用いてもよい。また、転相乳化で用いた溶剤を、転相乳化後に蒸留または、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜等を用いたろ過等によって除去しても良い。また、顔料原料分散体の加熱温度はミセル崩壊温度以下、反応温度以上であれば良い。
本発明の第2は、前記インク組成物製造方法で製造されたインク組成物に関し、前記両親媒性ブロックポリマーの主鎖構造がポリアルケニルエーテル構造である事を特徴とするインク組成物である。好ましい前記両親媒性ブロックポリマーの構造としては、親水性ブロックセグメント及び疎水性ブロックセグメントを含有することを特徴とする前記インク組成物である。また、本発明におけるブロックポリマー化合物とは、2つ以上の異なるブロックセグメントによって構成されるポリマー化合物を意味し、ブロックセグメント数は3以上であることが特性上好ましく、更に機能性物質を内包するためには疎水性のブロックセグメントと親水性のブロックセグメントのいずれも含有することが好ましい。なお、本発明における疎水性ブロックセグメントとは水分子との間に結合を作り難いブロックセグメントを意味し、親水性ブロックセグメントとは水分子との間に結合を作り易いブロックセグメントを意味する。具体的なブロックセグメントの構成は、疎水性セグメントは、芳香族炭化水素を側鎖に有する構造である事が好ましく、親水性セグメントに関しては側鎖にアルキレンオキシドエーテル鎖、または、カルボン酸またはカルボン酸アニオンを有する構造が好ましい。なお、本発明におけるブロックセグメントとは、一つ以上の単一または複数のモノマー化合物による繰り返し単位で構成される構造を意味し、ブロックポリマー構造の特徴である機能分離を際立たせるためには、ブロックセグメントは単一のモノマーにより構成されるほうが好ましい。
以下に本発明における疎水性セグメントの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
また、本発明における親水性値セグメントの具体的な繰り返し単位の例を以下の式1に示すが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 2008150558
なお、親水性セグメントがアニオン性セグメントである場合、カウンターカチオンは原子や化合物であればよく、具体的にはリチウムカチオン、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、カルシウムカチオン等が挙げられるが、本発明においては、カウンターカチオンは特定の原子や化合物に限定されるものではない。
また、本発明で用いられる前記ブロックポリマー化合物の重合方法は2つ以上のブロックセグメントを形成できればよいが、ブロックポリマー分散体の分散度指数が0.15以下、好ましくは0.10以下となるためには、リビング重合法で合成されたブロックポリマー化合物を用いる事が好ましい。次に本発明に好ましく製造されるポリアルケニルエーテル構造を含むブロックポリマー化合物のリビング重合方法について説明する。ポリビニルエーテル構造を含むポリマー化合物の合成法は多数報告されているが(例えば特開平11−080221号公報)、青島らによる方法(Polymer Bulletin、15、417〜423(1986)、特開平11−322942号公報、特開平11−322866号公報)が代表的である。青島らの方法により高分子化合物の合成を行うことにより、ホモポリマーや2成分以上のモノマーからなる共重合体、さらにはブロックポリマー化合物、グラフトポリマー化合物等の様々なポリマーを、長さ(分子量)を正確に揃えて合成することができる。
上記インク組成物は、前記顔料としてフタロシアニン誘導体を用いることができる。フタロシアニン誘導体を製造する原料としては、フタル酸誘導体、フタル酸無水物誘導体、フタロニトリル誘導体、フタルイミド誘導体、2−シアノベンズアミド誘導体、ジイミノイソインドリン誘導体、サブフタロシアニン誘導体が上げられる。この中でも特に好ましくはフタロニトリル誘導体、ジイミノイソインドリン誘導体、オルトブロモベンゼン誘導体、オルトヨードベンゼン誘導体、サブフタロシアニン誘導体である前記インク組成物である。なお、本発明に使用されるフタロシアニン誘導体を製造する原料は、反応収率、反応温度の観点から上記化合物に限定されるものではない。以下に本発明で使用される、フタロシアニン誘導体の具体例を式2に挙げるが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
Figure 2008150558
(図中のMはか水素原子、または中心金属を示し、具体的にはTi,V,、Fe,Ru,Os、Co,Ni,Pd,Pt,Cu,Ag,Zn,Cd,Al,Ga,Si,Ce等が挙げられ、金属によっては、複数または単一の有機分子または無機原子が軸配位子として存在しても良い物とする)
以下に本発明で使用される、フタロニトリル誘導体、イソインドリン誘導体、及びサブフタロシアニン誘導体の具体例を式3、式4、式5に挙げるが、本発明は以下の具体例に限定されるものではない。
フタロニトリル誘導体の具体例としては、
Figure 2008150558
ジイミノイソインドリンの具体例としては、
Figure 2008150558
サブフタロシアニン誘導体の具体例としては、
Figure 2008150558
(但し図中RはCl、Br、I、または、ベンゼン環誘導体、メチル、エチル、イソプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、ノルマルペンチル、ノルマルヘキシル、ノルマルヘプチル、ノルマルオクチル等のアルキル基を示す)
本発明のインク組成物において、該原材料の含有量が該顔料に対して1.0〜500質量%の範囲である事が好ましい。吐出性能の観点、特に薄膜ヒーターの膜沸騰を吐出エネルギー発生源として用いている、バブルジェット(登録商標)方式の吐出性能の観点から、より好ましい該原材料の含有量は、2.0〜300質量%の範囲である。
本発明の第3は、上記インク組成物を含有するインクを液体吐出部から被記録媒体上に吐出することにより記録を行う事を特徴とする記録方法である。
前記液体吐出部は、前記インクに熱エネルギーを付与し、前記インクに膜沸騰現象を生じせしめることにより、インクを吐出するものであってもよい。
次に、インク組成物のインクジェット記録方法について説明する。
[インク組成物付与方法]
本発明のインク組成物は、各種印刷法、インクジェット法、電子写真法等の様々な画像装置や半導体プロセス等のパターン形成装置に使用でき、この装置を用いた液体付与方法により描画する事ができる。本発明のインク組成物は、インクジェット法において用いる事が特に好ましい。用いられるインクジェット法は、熱インクジェット方式のような周知の方法であってまた、コンティニュアス型またはオンデマンド型のいずれの方法を用いてもよい。また、本発明のインク組成物は、中間転写体にインクを印字した後、紙等の最終被記録媒体に転写する記録方式に用いる事もできる。
本発明の刺激応答性を有するインク組成物をインクジェット用インクとして用いる場合、本発明では、例えば、以下のような態様で使用する事ができる。以下の(a)から(d)の刺激によりインクを凝集する事ができる。
(a)温度刺激に応答するインクとして用いる場合
インクタンク内のインクの温度と、吐出により付着した記録媒体上でのインクの温度との差による温度刺激により、本発明のインクジェット用インク組成物が相変化を起こし、急激に増粘あるいは不溶成分の凝集が起こる。
(b)電磁波刺激に応答するインクとして用いる場合
インクタンク内を暗室とし、吐出により可視光にさらす方法、またはインクジェット記録装置内に設けた電磁波照射部から電磁波を照射する方法により電磁波刺激を与える事ができる。その電磁波刺激により、本発明のインクジェット用インク組成物に含まれる重合官能基が重合し、増粘あるいは不溶成分の凝集が起こる。
(c)pH変化による刺激に応答するインクとして用いる場合
インクが記録媒体に付着する事により、記録媒体の影響を受けてインクのpHが変化し、そのpH変化により、本発明のインクジェット用インク組成物が相変化を起こし、増粘あるいは不溶成分の凝集が起こる。
(d)濃度変化による刺激に応答するインクジェット用インク組成物を用いた場合
インクタンク内のインクの濃度と、吐出されたインクに含まれる水および水性溶剤が蒸発または被記録媒体に吸収された後の濃度との差によるインクの濃度変化により、本発明のインクジェット用インク組成物が相変化を起こし、増粘あるいは不溶成分の凝集が起こる。
これらのインクの特性の変性により、色にじみやフェザリングを改善する事が可能であり、優れた定着性を発現させる事が可能である。なおインクの変性は上述した増粘あるいは不溶成分の凝集に限定されるものではない。
また、刺激を与える方法については、様々な方法が適用し得る。好ましい一つの方法としては、刺激となる刺激付与物質を前述してきた刺激応答性のインクと混合または接触させる方法がある。例えば前記(c)のpH応答性インクに対して、相当するpHの組成物を混合する方法として、インクジェット法を適用する事が可能であり、インクジェットヘッドにより画像を形成する領域全面にわたって刺激となる刺激付与物質を打ち込むようにする事も可能であり、刺激となる刺激付与物質の量を制御して、より優れた画像を形成する事も可能である。
また、刺激となる刺激付与物質を染料あるいは顔料を含有するインクと兼用する事も可能である。例えば、カラーインクジェット法において用いられるシアン−マゼンタ−イエロー−ブラック(CMYK)インクのいずれかに刺激を与えるインクを用い、CMYKインクの他のいずれかに刺激に応答するインクを使用する事で色にじみを改善する事が可能である。CMYKのいずれに刺激応答性インクを用い、他のいずれに刺激を与えるインクを用いるかについては、様々な組合わせが可能であるが、本発明ではそのいずれの組合わせを用いてもよく、組み合わせの選択を限定するものではない。また、刺激を与える組成物と刺激応答インクの種類としては前述した刺激応答のパターン全てで行う事が可能であり、特に限定されるものではない。
本発明の第4は、上記記録方法に用いられる記録ヘッドであって、前記熱エネルギーを発生するための薄膜ヒーターを備える記録ヘッドである。
また、本発明の第5は、上記記録ヘッドと、被記録媒体を搬送する搬送機構と、を具備することを特徴とする記録装置である。
次に、本発明の液体付与装置について説明する。
[インク組成物付与装置]
本発明のインクジェット用インク組成物を用いるインクジェット記録装置は、熱エネルギーを作用させて発泡し記録を行う熱インクジェット方式等のようなインクジェット記録装置を含む。
図1に、インクジェット記録装置の概略的機能図を示す。50はインクジェット記録装置の中央処理ユニット(CPU)である。CPU50を制御するためのプログラムは、プログラムメモリ66に記憶されていてもよいし、あるいはいわゆるファームウェアとしてEEPROM(不図示)等の記憶手段に記憶されていてもよい。インクジェット記録装置は、記録データ作成手段(不図示、コンピュータなど)から、プログラムメモリ66に記録データを受容する。記録データは、記録すべき画像あるいは文字の情報そのものでもよいし、それら情報の圧縮されたものでもよいし、または符号化された情報であってもよい。圧縮または符号化された情報を処理する場合には、CPU50に伸長または展開を行わせて記録すべき画像あるいは文字の情報を得る事ができる。Xエンコーダ62(例えば、X方向または主走査方向に関する)およびYエンコーダ64(例えば、Y方向または副走査方向に関する)を設けて、被記録媒体に対するヘッドの相対位置をCPU50に通知する事ができる。
CPU50は、プログラムメモリ66、Xエンコーダ62およびYエンコーダ64の情報に基づいて、画像を記録するための信号をXモータ駆動回路52、Yモータ駆動回路54およびヘッド駆動回路60に送信する。Xモータ駆動回路52はX方向駆動モータ56を、Yモータ駆動回路54はY方向駆動モータ58をそれぞれ駆動し、ヘッド70を被記録媒体に対して相対的に移動させ、記録位置に移動させる。ヘッド駆動回路60は、ヘッド70が記録位置に移動した時点で、各種インク組成物(Y、M、C、K)あるいは刺激となる刺激付与物質の吐出を行わせるための信号をヘッド70に送信し、記録を行う。ヘッド70は、単色のインク組成物を吐出するためのものであってもよいし、複数種のインク組成物を吐出するためのものであってもよいし、あるいは刺激となる刺激付与物質を吐出する機能を併せて有していてもよい。
また、本発明のインク組成物は、被記録媒体に直接インクを付着させる直接記録方式を用いる装置に用いる事もできるし、潜像を形成した中間転写体にインクにより像形成した後、紙等の最終被記録媒体に転写する記録方式等を用いた間接記録装置にも用いる事ができる。また、直接記録方式による中間転写体を利用した装置にも適用する事ができる。
また、本発明の効果として挙げられるバブルジェット(登録商標)方式における吐出性能の向上について、詳細な理由は不明であるが、現在のところその理由については以下のように推測している。一般に顔料インクとバブルジェット(登録商標)方式においては薄膜ヒーターの膜沸騰を吐出エネルギー発生源として用いているため、薄膜ヒーター近辺では局所的に温度上昇が起きると考えている。すなわち、常温では顔料に付着していた両親媒性化合物が、高温下では顔料近辺から剥離し、顔料表面の活性点が露呈してしまい、吐出性能に問題を生じる場合があると推測している。このためバブルジェット(登録商標)方式で顔料インクを吐出した際の、吐出性能向上は困難であった。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、本文中での部とは質量部を意味する。
[合成例1]
<イソブチルビニルエーテルとCH=CHOCH CH OPhPh:(IBVE−r−BPhOVE:Aブロック)と、2−メトキシエチルビニルエーテル(MOVE:Bブロック)と4−(2−ビニルオキシ)安息香酸(BBVE:Cブロック)からなるトリブロック高分子化合物・ポリ[(IBVE−r−BPhOVE)−b−(MOVE)−b―(EBVE)]の合成>(ここで、rはランダムポリマー、bはブロックポリマー化合物、である事をそれぞれ示す記号である)
三方活栓を取り付けたガラス容器内を窒素置換した後、窒素ガス気流下250℃に加熱し吸着水を除去した。系を室温に戻し、IBVE6mmol(ミリモル)、BPhOVEを6mmol、酢酸エチル16mmol、1−イソブトキシエチルアセテート0.1mmol、及びトルエン11mlを加え、攪拌しながら反応系を冷却した。系内温度が0℃に達したところでエチルアルミニウムセスキクロリド(ジエチルアルミニウムクロリドとエチルアルミニウムジクロリドとの等モル混合物)を0.2mmol加え重合を開始した。分子量を時分割に分子ふるいカラムクロマトグラフィー(GPC)を用いてモニタリングし、Aブロックの重合の完了を確認した。
次いで、Bブロック成分としてMOVE4.0mmolを添加、GPCを用いてモニタリングし、Bブロックの重合の完了を確認した。
Bブロックの重合終了後、EBVE3.0mmolのトルエン溶液を添加、24時間後、0.3質量%のアンモニア/メタノール水溶液を加える事で重合反応を停止を行い、ブロックポリマー前駆体のトルエン溶液を得た。トルエン溶液を0.6mol/lの希塩酸と純水で洗浄を行った後、エバポレーターでトルエンを除去、メタノールを用いて値往昔を行う事で精製を行い、ブロックポリマー前駆体を得た。次いで、ブロックポリマー前駆体を字メチルホルムアミドに溶解させた後、18.0mmolの水酸化ナトリウムを加え、室温で72時間の攪拌を行い、Cブロックのエチル安息香酸の脱保護を行った。反応終了後、エバポレーターでジメチルホルムアミドを除去し得られた固形物をクロロホルムに溶解し、クロロホルム溶液を0.6mol/lの希塩酸と水により洗浄を行った。洗浄後、クロロホルムをエバポレーターで除去することで、目的とするトリブロック高分子化合物を得た。化合物の同定は、H―NMRおよびGPCを用いて行った。Mn=23000、Mw/Mn=1.41であった。重合比はA:B:C=100:40:15であり、Aブロック内の2種のモノマーの重合比は1:1であった。
[合成例2]
トリフェニルホウ素(Aldrich社製)60部に、150部に溶解した128部のフタロニトリル(和光純薬社製)を加えた後、12時間加熱還流を行なった。反応終了後、反応液を2000部のメタノールにて再沈殿、次いでアルミナカラムクロマトグラフィー及びゲル濾過により精製分離することで18部のサブフタロシアニン誘導体を得ることができた。
[実施例1]
顔料原料であるフタロニトリル(和光純薬社製)2.5部と塩化第一銅(和光純薬社製)1.0部、合成例1記載のブロックポリマー化合物5部を100部のテトラヒドロフランに共溶解し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を0.1部加えた。超音波ホモジナイザーをかけながら蒸留水400部を用いて水相へ変換、次いで減圧蒸留によりテトラヒドロフランを除去、1μmのフィルターを通して加圧濾過する事で顔料原料分散体を得た。得られた顔料原料分散体を、120時間加熱還流することで、フタロニトリルとフタロシアニンを内包する平均粒径が35nm、多分散度指数が0.16の顔料分散体を得た。また、得られた顔料分散体に0.1部の塩酸を加え、インク組成物を沈殿し、ガスクロマトグラフィーを用いて沈殿物を分析したところ、フタロシアニン量1部に対して、1.54部のフタロニトリルが確認されたであった。なお平均粒径の測定は、DLS―7000(大塚電子社製)で得られた値であり、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[実施例2]
顔料原料であるフタロニトリルの使用量を2.5部から3.5部に代え、塩化第一銅の使用量を1.7部に代えた以外は実施例1と同様な方法で顔料分散体を得た。なお、顔料分散体の平均粒径は45nmで多分散度指数は0.17であった。また、得られた顔料分散体に0.1部の塩酸を加え、インク組成物を沈殿し、ガスクロマトグラフィーを用いて沈殿物を分析したところ、フタロシアニン量1部に対して、1.62部のフタロニトリルが確認された。なお、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[実施例3]
顔料原料であるN,N−ジイミノイソインドリン(Aldrich社製)2.5部、合成例1記載のブロックポリマー化合物5部を100部のテトラヒドロフランに共溶解し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を0.1部加えた。超音波ホモジナイザーをかけながら蒸留水400部を用いて水相へ変換し、次いで、減圧蒸留によりテトラヒドロフランを除去、1μmのフィルターを通して加圧濾過する事で顔料原料分散体を得た。得られた顔料原料分散体を、24時間加熱還流することで、N,N−ジイミノイソインドリンとフタロシアニンを内包する平均粒径が37nm、多分散度指数が0.18の顔料分散体を得た。また、得られた顔料分散体に0.1部の塩酸を加え、インク組成物を沈殿し、ガスクロマトグラフィーを用いて沈殿物を分析したところ、フタロシアニン量1部に対して、0.37部のN,N−ジイミノイソインドリンが確認された。なお、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[実施例4]
顔料原料として合成例2で合成した1.3部のサブフタロシアニン誘導体と1.9部とN,N−ジイミノイソインドリン(Aldrich社製)0.7部、合成例1記載のブロックポリマー化合物5部を100部のテトラヒドロフランに共溶解し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を0.1部加えた。超音波ホモジナイザーをかけながら蒸留水400部を用いて水相へ変換、次いで、減圧蒸留によりテトラヒドロフランを除去、1μmのフィルターを通して加圧濾過する事で顔料原料分散体を得た。得られた顔料原料分散体を、24時間加熱還流することで、N,N−ジイミノイソインドリンとフタロシアニンを内包する平均粒径が45nm、多分散度指数が0.16のインク組成物を得た。また、得られたインク組成物に0.1部の塩酸を加え、インク組成物を沈殿し、ガスクロマトグラフィーを用いて沈殿物を分析したところ、フタロシアニン量1部に対して、0.15部のN,N−ジイミノイソインドリンとサブフタロシアニンの混合物が確認された。なお、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[実施例5]
両親媒性ブロックポリマーとして、ポリ(スチレン−b−エチレンオキシド)(P124−1SEO、創和科学株式会社製)を用いた以外は、実施例1と同様な方法でフタロニトリルとフタロシアニンを内包する平均粒径が43nm、多分散度指数が0.18の顔料分散体を得た。また、得られた顔料分散体に0.1部の塩酸を加え、顔料分散体を沈殿し、ガスクロマトグラフィーを用いて沈殿物を分析したところ、フタロシアニン量1部に対して、1.57部のフタロニトリルが確認されたであった。なお平均粒径の測定は、DLS―7000(大塚電子社製)で得られた値であり、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[比較例]
顔料として1部の銅フタロシアニン(和光純薬社製)、ポリ(スチレン−b−エチレンオキシド)(P124−1SEO、創和科学株式会社製)5部を100部のテトラヒドロフランで分散し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を0.1部加えた。超音波ホモジナイザーをかけながら蒸留水400部を用いて水相へ変換、次いで、減圧蒸留によりテトラヒドロフランを除去、1μmのフィルターを通して加圧濾過する事で顔料原料分散体を得た。実施例1と同様な方法でフタロシアニンを内包する平均粒径が110nm、多分散度指数が0.18の顔料分散体を得た。なお、顔料がブロックポリマーに内包されていることは電子顕微鏡等により確認を行った。次いで前述した顔料分散体67部に7部のグリセリン、5部のジエチレングリコール、7部のトリメチロールプロパン、0.5部のアセチレノールEH(川研ファインケミカル社製)、13.5部のイオン交換水を用いて、目的とするインク組成物を調整した。
[評価]
まず、インク組成物によって得られる画像の発色性を調べるために、ROD No.2のメイヤーバー(R.D.Specialties,U.S.A.社製)を用いて、光沢紙(PR−101、キヤノン製)上にウエット膜厚が2.23μmとなるように実施例1〜5及び比較例で得られたインク組成物を塗布する事で各実施例及び比較例の試料を作成し、該試料の反射濃度をRD−19I(グレタグマクベス社製)にて測定することにより実施例1〜5及び比較例のインク組成物により形成される画像の印刷濃度の評価を行なった。結果を表1に示す。なお、表1には、実施例1〜5及び比較例のインク組成物における顔料分散体の平均粒径および多分散度指数を併記した。
Figure 2008150558
表1から、明らかなように、本願発明である実施例1から5のインク組成物により得られた画像の反射濃度は比較的高い値を示し、発色性が良好であることが確認された。
なお、実施例5と比較例とは、基本的に顔料の平均粒径以外は、ほぼ同様の材料、組成となっているため、本願発明が所望の効果が得られていることが確認できよう。
ついで、これら各試料の画像を目視により比較したところ、実施例1から5のインク組成物により得られた画像は、比較例のインク組成物により得られた画像に比べて十分印刷濃度が濃厚であった。
さらに、本願発明のインク組成物のインクジェットヘッドにおける吐出性能を確認するために、実施例1から5のインク組成物をインクジェットプリンタ(BJF800、キヤノン社製)の印刷ヘッドに充填し、インクの吐出試験を行った。その結果、いずれのインク組成物も所望のインク滴の吐出を確認できた。この結果、本発明記載のインク組成物が少なくともインクジェット用インクとして用いることができる程度に十分な吐出性能を保持していることがわかった。
以上に示すように、本発明におけるインク組成物による印刷物は、優れた効果を示していることがわかった。
本発明の画像記録装置の概略の機構を示す図である。
符号の説明
20 インクジェット記録装置
50 CPU
52 Xモータ駆動回路
54 Yモータ駆動回路
56 X方向駆動モータ
58 Y方向駆動モータ
60 ヘッド駆動回路
62 Xエンコーダ
64 Yエンコーダ
66 プログラムメモリ
70 ヘッド

Claims (14)

  1. 両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルに顔料を内包した顔料分散体を有するインク組成物の製造方法において、
    顔料を製造するための油溶性原料を用意する工程と、
    水性溶媒中で該油溶性原料を両親媒ブロックポリマーによって内包させミセルを形成する工程と、
    該ミセル内を反応場として前記油溶性原料を反応固定化させることにより前記ミセル内に顔料を形成する工程と、
    を有することで、平均粒径が50nm以下かつ多分散度指数が0.20以下である顔料分散体を形成するインク組成物の製造方法。
  2. 前記油溶性原料を両親媒ブロックポリマーによって内包するために、油性分と水成分を用いた転相乳化方法を用いることを特徴とする、請求項1記載のインク組成物製造方法。
  3. 前記両親媒性ブロックポリマーが、親水性ブロックセグメント及び疎水性ブロックセグメントを有することを特徴とする請求項1記載のインク組成物製造方法。
  4. 前記両親媒性ブロックポリマーの主鎖構造がポリアルケニルエーテル構造である事を特徴とする請求項1記載のインク組成物製造方法。
  5. 前記顔料がフタロシアニン誘導体である事を特徴とする、請求項1記載のインク組成物製造方法。
  6. 油溶性原料が、フタロニトリル誘導体である事を特徴とする請求項5記載のインク組成物製造方法。
  7. 油溶性原料が、ジイミノイソインドリン誘導体を含有することを特徴とする請求項5記載のインク組成物製造方法。
  8. 油溶性原料が、少なくともサブフタロシアニン誘導体を含有することを特徴とする請求項5記載のインク組成物製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載のインク組成物製造方法で製造された顔料分散体と、溶媒とを有するインク組成物。
  10. 前記両親媒性ブロックポリマーによって形成されるミセルのコア部における前記油溶性原料の含有量が前記顔料に対して1.0から500質量%の範囲である事を特徴とする請求項9記載のインク組成物。
  11. 請求項9もしくは10記載の前記インク組成物を含有するインクを液体吐出部から被記録媒体上に吐出することにより記録を行う事を特徴とする記録方法。
  12. 前記インクに熱エネルギーを付与し、前記インクに膜沸騰現象を生じせしめることにより、インクを吐出する請求項11記載の記録方法。
  13. 請求項12に記載の記録方法に用いられる記録ヘッドであって、前記熱エネルギーを発生するための薄膜ヒーターを備える記録ヘッド。
  14. 請求項13記載の記録ヘッドと、前記被記録媒体を搬送する搬送機構と、を具備することを特徴とする記録装置。
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