JP3901539B2 - 多重通信装置の起動方法 - Google Patents

多重通信装置の起動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多重通信装置の起動方法に係り、特に、稼働状態と休止状態に設定される多重通信装置における駆動電源の消耗を低減させるため、不所望な稼働状態への設定期間をできるだけ短縮するような起動手段を採用した多重通信装置の起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車内で使用される多重通信装置として車載用多重通信装置が知られている、この車載用多重通信装置は、自動車に搭載された複数の制御ユニットと自動車における各種の被制御機構とをコントローラーエリアネットワーク(CAN)を通して結合し、いずれかの制御ユニットの制御により、コントローラーエリアネットワークを通して、その制御ユニットの管轄下にあるいずれかの被制御機構を制御動作するもので、コントローラーエリアネットワークを伝送する情報または信号は、一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔で多重伝送される。
【0003】
この場合、車載用多重通信装置に使用される制御ユニットとしては、制御信号によってドアの開閉、受信機の動作制御、各種スイッチ類の操作等を実行するボディ制御ユニット(BCU)やエンジンの起動や停止、イグニッションの開閉等を実行するエンジン制御ユニット(ECU)や車載用キーレスエントリー(RKE)等がある。
【0004】
ところで、車載用多重通信装置は、動作時の駆動電源として自動車搭載電池(車載用バッテリー)が用いられる。このため、車載用多重通信装置は、コントローラーエリアネットワークを伝送する情報または信号が一定時間途絶えた不使用状態になったとき、一部の制御ユニットを除いてそれ以外の制御ユニットをそれまでの稼働状態から休止状態に変更設定し、車載用多重通信装置の電源の消耗が最小限になるようにしている。
【0005】
一方、車載用多重通信装置は、不使用状態のときに、外部制御機器から何等かの制御指令を受けると、直ちに起動(ウエークアップ)操作を行って、それまで休止状態に設定されている制御ユニットを起動(ウエークアップ)させて稼働状態に変更設定し、不使用状態から使用状態に変更する。
【0006】
この場合、車載用多重通信装置において、各種の制御ユニットの中で、不使用状態になったときでも稼働状態に設定されている制御ユニットとしては、例えば車載用キーレスエントリーがあり、不使用状態になったときに休止状態に変更設定される制御ユニットとしては、例えばボディ制御ユニットやエンジン制御ユニットがある。
【0007】
図6は、既知の車載用多重通信装置において、不使用状態にある車載用多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図であって、正規の起動指示によって使用状態に変更される場合の動作を示すものである。
【0008】
図6において、起動ユニットは、例えば車載用キーレスエントリー(RKE)であり、被起動ユニットは、例えばボディ制御ユニット(BCU)やエンジン制御ユニット(ECU)である。横軸は時間である。また、起動ユニット及び被起動ユニットにおける実線範囲は、対応するユニットが稼働状態にあることを示し、点線範囲は対応するユニットが休止状態にあることを示している。
【0009】
ここで、図6に示される動作説明図を用いて、不使用状態にある車載用多重通信装置が使用状態に変更される際の動作について説明する。
【0010】
なお、以下の説明においては、被起動ユニットが車載用キーレスエントリー(以下、RKEという)であり、被起動ユニットがボディ制御ユニット(以下、BCUという)であるものとして説明する。
【0011】
RKEは、時間t0において、携帯用キーレスエントリーが送信した起動指示を受信する。
【0012】
次に、RKEは、時間t0から少し後の時間t1において、受信した起動指示に応答して起動情報をコントローラーエリアネットワーク(以下、CANという)に送信する。このとき、BCUは、時間t1において、CANを通して供給される起動情報を受信する。
【0013】
次いで、BCUは、時間t1から起動準備期間(t1−t2)を経過した時間t2において、動作状態が休止状態から稼働状態に移行する。
【0014】
この後、RKEは、起動情報を送信した時間t1から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間t3において、第1回目のコマンドをCANに送信する。このとき、BCUは、時間t3において、CANを通して供給されるコマンドを受信する。
【0015】
続いて、BCUは、時間t3から少し後の時間t4において、受信したコマンドに応答して応答情報をCANに送信する。このとき、RKEは、時間t4において、CANを通して供給される応答情報を受信する。
【0016】
次いで、RKEは、第1回目のコマンドを送信した時間t3から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間t5において、第2回目のコマンドをCANに送信する。
【0017】
さらに、RKEは、第2回目のコマンドを送信した時間t5から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間(図示なし)において、第3回目のコマンドをCANに送信する。
【0018】
RKEは、第3回目のコマンドを送信した後は、それ以上同じコマンドを送信しない。
【0019】
このように、図6に図示の動作においては、BCUは、RKEが最初にCANに送信した起動情報に応答し、起動準備期間(t1−t2)を経過した後で稼働状態に移行し、RKEが起動情報に続いてCANに送信するコマンドの受信が可能になるものである。
【0020】
次に、図7は、既知の車載用多重通信装置において、不使用状態にある車載用多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの別の例を示す動作説明図であって、ノイズの印加によってBCUが使用状態に変更される場合の動作を示すものである。なお、図7における動作説明においても、各ユニットの状態の表示は図6に図示の表示内容と同じであり、また、各ユニットの種別は、図6における対応するユニットと同じであるとして説明する。
【0021】
BCUは、時間t1において、外部から印加されたノイズを受信する。BCUは、受信したノイズが起動指示であると誤認し、直ちに起動準備動作に入る。
【0022】
次いで、BCUは、時間t1から起動準備期間(t1−t2)を経過した時間t2において、動作状態が休止状態から稼働状態に移行する。BCUは、動作状態が稼働状態に移行すると、RKEから送信されるコマンドの到来を待機する。ところが、RKEは、起動情報の送信を行ったものでないので、起動情報を送信した後で、一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過してもコマンドの送信を行わない。
【0023】
BCUは、コマンドの到来がないため、稼働状態に移行した時間t2から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)以上が経過した時間t3おいて、動作状態が休止状態に移行する。
【0024】
このように、図7に図示の動作においては、BCUは、ノイズに応答し、起動準備期間(t1−t2)を経過した後で稼働状態に移行するものの、RKEがCANにコマンドを送信しないので、ある期間(t2−t3)稼働状態を維持した後、再び休止状態に移行するようになる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
前記既知の車載用多重通信装置は、前述のように、動作時の駆動電源として自動車搭載電池(車載用バッテリー)を用いているため、コントローラーエリアネットワーク(CAN)を伝送する情報または信号が一定時間途絶えた不使用状態になったとき、一部の制御ユニットを除いてそれ以外の制御ユニットをそれまでの稼働状態から休止状態に変更設定し、自動車搭載電池の消耗を最小限にしている。
【0026】
これに対し、かかる車載用多重通信装置は、自動車に搭載されているため、常時、外部ノイズの影響を受け、到来したノイズを外部機器からの本来の起動指示と誤認して、車載用多重通信装置の動作状態を不使用状態から使用状態に移行させることがあり、その都度、自動車搭載電池を消耗させる事態が生じている。この場合、かかる車載用多重通信装置は、CANを通して情報が伝送される情報伝送周期が例えば100ミリ秒(ms)間隔というように予め決められているため、一旦、車載用多重通信装置の動作状態が不使用状態から使用状態に移行すると、その動作状態の移行が誤って移行したものであったとしても、移行後、いくつかの情報伝送周期を経過しないと再び不使用状態に戻ることができず、その間に無駄に自動車搭載電池を消耗させることになる。そして、外部ノイズによるこのような車載用多重通信装置の誤起動が頻繁に生じると、知らない間に自動車搭載電池の消費が進み、結果的に自動車搭載電池の寿命を縮めることになる。
【0027】
本発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたもので、その目的は、誤起動により動作状態が不使用状態から使用状態に移行したとき、使用状態から不使用状態への移行期間をできるだけ短縮し、電源電池の不所望な消耗を回避させる多重通信装置の起動方法を提供することにある。
【0028】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明による多重通信装置の起動方法は、少なくとも、1つの起動ユニットと、1つ以上の被起動ユニットと、対応する被起動ユニットにより制御される1つ以上の被制御機構とを共通のネットワークに結合し、ネットワークを通して一定周期で各種の制御信号の伝送を行ない、非動作時に各被起動ユニットを休止状態に設定しているものであって、起動ユニットは、外部機器からの起動指示を受信したとき、ネットワークを通して各被起動ユニットを稼働状態に設定する起動情報を送信し、それに続いて各被起動ユニットに複数回にわたってコマンドを送信する際に、送信したコマンドに対する応答情報を受信するまで起動情報の送信と複数回のコマンドの送信の周期を一定周期よりも短縮する手段を備える。
【0029】
前記手段によれば、多重通信装置を起動するのに際して、起動ユニットが起動指示を受信したとき、被起動ユニットを稼働状態に設定する起動情報の送信とそれに続く複数回のコマンドの送信の周期を、本来の情報伝送周期よりも短い周期、例えば半分の短周期に設定し、被起動ユニットから送信したコマンドの応答情報を受信すると、それ以後の各種情報の伝送周期を短周期から本来の情報伝送周期に戻すようにしているので、被起動ユニットが外部ノイズを起動情報と誤って稼働状態に設定されたとしても、情報伝送周期が本来の周期よりも短い短周期(例えば、本来の周期の約半分の周期)であるので、稼働状態の設定期間が大幅に短く(例えば約半分に)なり、その分、電源電池の不所望な消耗を回避することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、本発明による多重通信装置の起動方法が実施される多重通信装置の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図であり、多重通信装置が車載用多重通信装置である例を示すものである。
【0032】
図1に示されるように、この多重通信装置11は、送受信アンテナ1aを備えた車載用キーレスエントリー(RKE)1と、ボディ制御ユニット(BCU)2と、エンジン制御ユニット(ECU)3と、前部運転席側ドア(ドア1)4と、前部助手席側ドア(ドア2)5と、車載用受信機6と、各種のスイッチ7と、エンジン8と、イグニッション(IG)9と、コントローラーエリアネットワーク(CAN)10とからなる。そして、車載用キーレスエントリー1、ボディ制御ユニット2、エンジン制御ユニット3、前部運転席側ドア4、前部助手席側ドア5、車載用受信機6、各種のスイッチ7、エンジン8、イグニッション(IG)9は、コントローラーエリアネットワーク(CAN)10を通して相互接続されている。また、多重通信装置11には、外部制御機器として、送受信アンテナ12aを備えた携帯型キーレスエントリー(PKE)12が設けられ、携帯型キーレスエントリー12と車載用キーレスエントリー1との間で無線信号による送受信が行なわれる。
【0033】
この場合、多重通信装置は、コントローラーエリアネットワーク10を伝送する情報または信号が一定期間途絶えると、その動作状態が使用状態から不使用状態に変更設定される。多重通信装置は、不使用状態に設定されたとき、車載用キーレスエントリー1だけが稼働状態を維持しており、ボディ制御ユニット2及びエンジン制御ユニット3が休止状態になる。
【0034】
前記構成を有する多重通信装置の動作は、次の通りである。
【0035】
いま、多重通信装置の動作状態が不使用状態にあるとき、携帯型キーレスエントリー12から送受信アンテナ12aを通して起動指示を含む無線信号が送信され、その無線信号が送受信アンテナ1aを通して車載用キーレスエントリー1で受信されると、車載用キーレスエントリー1は、起動指示に応答してボディ制御ユニット2やエンジン制御ユニット3を起動(ウエークアップ)させる起動情報を形成し、その起動情報をコントローラーエリアネットワーク10に送信する。ボディ制御ユニット2及びエンジン制御ユニット3は、コントローラーエリアネットワーク10を通して供給された起動情報を受信すると、起動準備期間を経た後で、それまでの休止状態から稼動状態に設定され、それまでの起動処理が終了する。ボディ制御ユニット2及びエンジン制御ユニット3は、稼動状態に設定されると、既知の多重通信装置と同様に、車載用キーレスエントリー1からコントローラーエリアネットワーク10を通して供給されるコマンドの指示情報に応答し、対応する被制御機構の制御動作、例えば前部運転席側ドア4の施錠または解錠、前部助手席側ドア5の施錠または解錠、車載用受信機6の動作または停止、各種のスイッチ7の操作、エンジン8の起動または停止、イグニッション9の操作等を実行する各種の制御情報または制御信号をコントローラーエリアネットワーク10を通して一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔で送信する。そして、これら各種の制御情報または制御信号は、コントローラーエリアネットワーク10を通して対応する被制御機構4乃至9に供給され、被制御機構4乃至9における指定動作が実行される。
【0036】
この場合、多重通信装置が通常動作をしてるとき、すなわち、コントローラーエリアネットワーク10を通して一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔で何等かの制御情報または制御信号が伝送され、制御情報または制御信号が伝送されている間、多重通信装置は、動作状態が使用状態に設定されている。
【0037】
これに対して、コントローラーエリアネットワーク10を通して伝送される制御情報または制御信号が数周期にわたって途切れると、多重通信装置の動作状態はそれまでの使用状態から不使用状態に設定変更される。このとき、多重通信装置の動作状態を再び不使用状態から使用状態に設定する際は、前述のような多重通信装置の起動処理が実行される。
【0038】
次に、図2乃至図5を用い、この実施の形態による多重通信装置で実行される起動処理について説明する。
【0039】
始めに、図2は、不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図であって、正規の起動指示によって使用状態に変更され、第1回目のコマンドに対する応答情報が得られた場合の動作を示すものである。
【0040】
図2において、起動ユニットは、例えば車載用キーレスエントリー(RKE)であり、被起動ユニットは、例えばボディ制御ユニット(BCU)及びエンジン制御ユニット(ECU)3である。横軸は時間を示す。また、起動ユニット及び被起動ユニットにおける実線範囲は、対応するユニットが稼働状態にあることを示し、点線範囲は対応するユニットが休止状態にあることを示している。
【0041】
なお、以下の説明においては、被起動ユニットが車載用キーレスエントリー(以下、RKEという)であり、被起動ユニットがボディ制御ユニット(以下、BCUという)であるものとして説明する。
【0042】
RKE1は、時間t0において、携帯用キーレスエントリー12が送信した起動指示を受信する。
【0043】
次に、RKE1は、時間t0から少し後の時間t1において、受信した起動指示に応答して起動情報をコントローラーエリアネットワーク(以下、CANという)10に送信する。このとき、BCU2は、時間t1において、CAN10を通して供給される起動情報を受信する。
【0044】
次いで、BCU2は、時間t1から起動準備期間(t1−t2)を経過した時間t2において、動作状態が休止状態から稼働状態に移行する。
【0045】
この後、RKE1は、起動情報を送信した時間t1から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔よりも短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t3において、第1回目のコマンドをCAN10に送信する。このとき、BCU2は、時間t3において、CAN10を通して供給される第1回目のコマンドを受信する。
【0046】
続いて、BCU2は、時間t3から少し後の時間t4において、受信した第1回目のコマンドに応答して応答情報をCAN10に送信する。このとき、RKE1は、時間t4において、CAN10を通して供給される応答情報を受信する。
【0047】
次いで、RKE1は、第1回目のコマンドに対する応答情報を受信したことにより、第1回目のコマンドを送信した時間t3から元の一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間t5において、第2回目のコマンドをCAN10に送信する。
【0048】
さらに、RKE1は、第2回目のコマンドを送信した時間t5から元の一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間t6において、第3回目のコマンドをCAN10に送信する。
【0049】
RKE1は、第3回目のコマンドを送信した後、それ以上同じコマンドを送信しない。
【0050】
このように、図2に図示の動作においては、BCU2は、RKE1が最初にCAN10に送信した起動情報に応答し、起動準備期間(t1−t2)を経過した後で稼働状態に移行し、RKE1が起動情報に続いてCAN10に送信する第1回目のコマンドの受信が可能になるもので、図6に図示された既知の多重通信装置の起動処理に比べ、RKE1による起動情報の送信からRKE1によるコマンドの応答情報の受信までの時間(t1−t4)を大幅、例えば約半分に短縮することができる。
【0051】
次に、図3は、不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図であって、正規の起動指示によって使用状態に変更され、第1回目乃至第3回目のコマンドに対する応答情報が得られない場合の動作を示すものである。
【0052】
RKE1は、時間t0において、携帯用キーレスエントリー12が送信した起動指示を受信する。
【0053】
次に、RKE1は、時間t0から少し後の時間t1において、受信した起動指示に応答して起動情報をCAN10に送信する。このとき、BCU2は、何等かの理由により、時間t1において、CAN10を通して供給される起動情報の受信ができない。
【0054】
BCU2は、起動情報の受信ができなかったため、時間t1から起動準備期間を経過しても、動作状態が未だ休止状態のままである。
【0055】
この後、RKE1は、起動情報を送信した時間t1から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔よりも短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t3において、第1回目のコマンドをCAN10に送信する。このときも、BCU2は、何等かの理由により、時間t3において、CAN10を通して供給される第1回目のコマンドの受信ができない。
【0056】
BCU2は、第1回目のコマンドの受信ができなかったため、時間t3から起動準備期間を経過しても、動作状態が未だ休止状態のままである。
【0057】
次いで、RKE1は、第1回目のコマンドに対する応答情報を受信できなかったことにより、第1回目のコマンドを送信した時間t3から同じ短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t4において、第2回目のコマンドをCAN10に送信する。このときも、BCU2は、何等かの理由により、時間t4において、CAN10を通して供給される第2回目のコマンドの受信ができない。
【0058】
BCU2は、第2回目のコマンドの受信ができなかったため、時間t4から起動準備期間を経過しても、動作状態が未だ休止状態のままである。
【0059】
次いで、RKE1は、第2回目のコマンドに対する応答情報を受信できなかったことにより、第2回目のコマンドを送信した時間t4から同じ短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t5において、第3回目のコマンドをCAN10に送信する。このときも、BCU2は、何等かの理由により、時間t5において、CAN10を通して供給される第3回目のコマンドの受信ができない。
【0060】
BCU2は、第3回目のコマンドの受信ができなかったため、時間t5から起動準備期間を経過しても、動作状態が未だ休止状態のままである。
【0061】
このとき、RKE1は、第3回目のコマンドを送信した後、それ以上同じコマンドを送信しないので、BCU2は、動作状態が稼働状態に変更設定されることがなく、休止状態のままで推移する。
【0062】
このように、図3に図示の動作においては、BCU2は、RKE1がCAN10に送信した起動情報及び第1回目乃至第3回目のコマンドのそれぞれに応答しないので、起動準備期間を経過した後で稼働状態に移行しないが、RKE1によるCAN10への起動情報及び第1回目乃至第3回目のコマンドを送信する周期が、通常の情報伝送周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔よりも短い周期、例えば50ミリ秒(ms)間隔にしているので、図6に図示された既知の多重通信装置における同種の起動処理に比べて、RKE1による起動情報の送信からRKE1による第3回目のコマンドの送信までの時間(t1−t5)を大幅に、例えば約半分程度に短縮することができる。
【0063】
次いで、図4は、不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスのさらに別の例を示す動作説明図であって、正規の起動指示に続く第1回目のコマンドによって使用状態に変更され、第2回目のコマンドに対する応答情報が得られた場合の動作を示すものである。
【0064】
RKE1は、時間t0において、携帯用キーレスエントリー12が送信した起動指示を受信する。
【0065】
次に、RKE1は、時間t0から少し後の時間t1において、受信した起動指示に応答して起動情報をCAN10に送信する。このとき、BCU2は、何等かの理由により、時間t1において、CAN10を通して供給される起動情報の受信ができない。
【0066】
BCU2は、起動情報の受信ができなかったため、時間t1から起動準備期間を経過しても、動作状態が未だ休止状態のままである。
【0067】
この後、RKE1は、起動情報を送信した時間t1から一定周期、例えば100ミリ秒(ms)間隔よりも短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t3において、第1回目のコマンドをCAN10に送信する。このとき、BCU2は、時間t3において、CAN10を通して供給される第1回目のコマンドを受信する。
【0068】
次いで、BCU2は、時間t3から起動準備期間(t3−t4)を経過した時間t4において、動作状態が休止状態から稼働状態に移行する。
【0069】
RKE1は、第1回目のコマンドに対する応答情報を受信できなかったことにより、第1回目のコマンドを送信した時間t3から同じような短い周期、例えば50ミリ秒(ms)が経過した時間t5において、第2回目のコマンドをCAN10に送信する。このとき、BCU2は、時間t5において、CAN10を通して供給される第2回目のコマンドを受信する。
【0070】
続いて、BCU2は、時間t5から少し後の時間t6において、受信した第2回目のコマンドに応答して応答情報をCAN10に送信する。このとき、RKE1は、時間t6において、CAN10を通して供給される応答情報を受信する。
【0071】
次いで、RKE1は、第2回目のコマンドに対する応答情報を受信したことにより、第2回目のコマンドを送信した時間t5から元の一定周期、例えば100ミリ秒(ms)が経過した時間t7において、第3回目のコマンドをCAN10に送信する。
【0072】
このときも、RKE1は、第3回目のコマンドを送信した後、それ以上同じコマンドを送信しない。
【0073】
このように、図4に図示の動作においては、BCU2は、RKE1が最初にCAN10に送信した起動情報の後の第1回目のコマンドに応答し、起動準備期間(t3−t4)を経過した後で稼働状態に移行し、RKE1が第1回目のコマンドに続いてCAN10に送信する第2回目のコマンドを受信することが可能になるもので、図6に図示された既知の多重通信装置の起動処理に比べて、RKE1による起動情報の送信からRKE1によるコマンドの応答情報の受信までの時間(t1−t6)を大幅に、例えば約半分程度に短縮することができる。
【0074】
続く、図5は、不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が使用状態に変更される際の動作シーケンスのさらに別の例を示す動作説明図であって、ノイズの印加によって使用状態に変更される場合の動作を示すものである。
【0075】
BCU2は、時間t1において、外部から印加されたノイズを受信する。このとき、BCU2は、受信したノイズが起動情報であると誤認し、直ちに起動準備に入る。
【0076】
次いで、BCU2は、時間t1から起動準備期間(t1−t2)を経過した時間t2において、動作状態が休止状態から稼働状態に移行する。
【0077】
BCU2は、稼働状態に移行すると、RKE1からCAN10を通して到来するコマンドの待機状態になる。ところが、RKE1は、正規の起動情報の送信を行ったものではないので、コマンドの送信を行わない。
【0078】
BCU2は、CAN10を通してコマンドが到来しないため、稼働状態に移行した時間t2から一定周期、例えば50ミリ秒(ms)以上が経過した時間t3において、動作状態がそれまでの稼働状態から再び休止状態に移行する。
【0079】
このように、図5に図示の動作においては、BCU2は、ノイズを起動情報と誤認して応答し、起動準備期間(t1−t2)を経過した後で稼働状態に移行するものの、RKE1がCAN10にコマンドを送信しないので、ある期間(t2−t3)稼働状態を維持した後、再び休止状態に移行するもので、図7に図示された既知の多重通信装置のこの種の起動処理に比べて、RKE1が起動情報を送信してからBCU2が再び休止状態に移行するまでの期間(t1−t3)を大幅に、例えば約半分程度に短縮することができる。
【0080】
なお、前記実施の形態においては、一定周期を100ミリ秒(ms)間隔に、一定周期より短い周期を50ミリ秒(ms)間隔にした例を挙げて説明したが、本発明における一定周期及び一定周期より短い周期は、それぞれ100ミリ秒(ms)間隔及び50ミリ秒(ms)間隔である場合に限られるものでなく、それらに近似した時間間隔であれば、他の時間間隔であってもよい。
【0081】
また、前記実施の形態においては、多重通信装置が車載用多重通信装置11である例を挙げて説明したが、本発明による多重通信装置は車載用多重通信装置11である場合に限られるものでなく、車載用多重通信装置11に類似の他の多重通信装置であってもよい。
【0082】
さらに、前記実施の形態においては、起動ユニットが車載用キーレスエントリー(RKE)1である例を挙げて説明したが、本発明による起動ユニットは、車載用キーレスエントリー(RKE)1である場合に限られるものでなく、これと同様の機能を果たすものであれば、他の装置であってもよい。
【0083】
同様に、前記実施の形態においては、被起動ユニットがボディ制御ユニット(BCU)2である例を挙げて説明したが、本発明による被起動ユニットは、ボディ制御ユニット(BCU)2である場合に限られるものでなく、これと同様の機能を果たすものであれば、別の装置またはユニット、例えばエンジン制御ユニット(ECU)3であってもよく、複数の装置またはユニットであってもよい。
【0084】
また、前記実施の形態においては、被起動ユニットであるボディ制御ユニット(BCU)2から出力される同一コマンドの送信回数が3回である例を挙げて説明したが、本発明による被起動ユニットからの同一コマンドの送信回数が3回である場合に限られず、2回であってもよく、4回であってもよい。
【0085】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、多重通信装置を起動させる場合に、起動ユニットが起動指示を受信したとき、被起動ユニットを稼働状態に設定する起動情報の送信とそれに続く複数回のコマンドの送信の周期を、本来の情報伝送周期よりも短い周期、例えば半分の短周期に設定し、被起動ユニットから送信したコマンドの応答情報を受信すると、それ以後の各種情報の伝送周期を短周期から本来の情報伝送周期に戻すようにしているので、被起動ユニットが外部ノイズを起動情報と誤り、それにより被起動ユニットが稼働状態に設定されたとしても、情報伝送周期が本来の周期よりも短い短周期であるので、稼働状態の設定期間が大幅に短く、例えば約半分になり、その分、電源電池の不所望な消耗を回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による多重通信装置の起動方法が実施される多重通信装置の1つの実施の形態を示すもので、その要部構成を示すブロック図である。
【図2】不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図である。
【図3】不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図である。
【図4】不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスのさらに別の例を示す動作説明図である。
【図5】不使用状態にあるこの実施の形態による多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスのさらに別の例を示す動作説明図である。
【図6】既知の車載用多重通信装置において、不使用状態にある車載用多重通信装置が起動操作により使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図である。
【図7】既知の車載用多重通信装置において、不使用状態にある車載用多重通信装置が使用状態に変更される際の動作シーケンスの一例を示す動作説明図である。
【符号の説明】
1 車載用キーレスエントリー(RKE)
1a、12a 送受信アンテナ
2 ボディ制御ユニット(BCU)
3 エンジン制御ユニット(ECU)
4 前部運転席側ドア
5 前部助手席側ドア
6 車載用受信機
7 各種のスイッチ
8 エンジン
9 イグニッション(IG)
10 コントローラーエリアネットワーク(CAN)
11 多重通信装置
12 携帯型キーレスエントリー(PKE)

Claims (4)

  1. 少なくとも、1つの起動ユニットと、1つ以上の被起動ユニットと、対応する被起動ユニットにより制御される1つ以上の被制御機構とを共通のネットワークに結合し、前記ネットワークを通して一定周期で各種の制御信号の伝送を行ない、非動作時に前記各被起動ユニットを休止状態に設定している多重通信装置の起動方法であって、前記起動ユニットは、外部機器からの起動指示を受信したとき、前記ネットワークを通して前記各被起動ユニットを稼働状態に設定する起動情報を送信し、それに続いて前記各被起動ユニットに複数回にわたってコマンドを送信する際に、送信したコマンドに対する応答情報を受信するまで前記起動情報の送信と前記複数回のコマンドの送信の周期を前記一定周期よりも短縮することを特徴とする多重通信装置の起動方法。
  2. 前記被起動ユニットは、前記起動情報の受信により稼働状態に設定された後、自己ユニット宛てのコマンドを一定期間受信できないとき再び休止状態に設定されることを特徴とする請求項1に記載の多重通信装置の起動方法。
  3. 前記ネットワークは、コントローラーエリアネットワークであることを特徴とする請求項1に記載の多重通信装置の起動方法。
  4. 前記各種の制御信号の伝送する一定周期は、100ミリ秒間隔であり、前記一定周期よりも短縮した周期は、50ミリ秒間隔であることを特徴とする請求項1に記載の多重通信装置の起動方法。
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