JP3901531B2 - 伸縮ロッドの二流体同時供給構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は伸縮ロッドの二流体同時供給構造に関し、とりわけ、リーダーマストを昇降可能な回転駆動機に連結して吊支され垂下する伸縮ロッドの下端部に、掘削翼と撹拌翼等の掘削撹拌装置を装着し、伸縮ロッドを回転駆動して地盤を掘削しながら撹拌し、その掘削・撹拌中に固化材を含むスラリー等とエアを掘削翼と撹拌翼の両方又は一方の近傍から噴出することができるようにした、地盤改良機などの伸縮ロッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
地盤改良機として知られる従来のものは、改良すべき地盤上を走行可能なベースマシンにリーダーマストを立設し、そのリーダーマストに設けたガイドレールに沿って昇降可能な回転駆動機にケリーバー又は伸縮ロッドを連結して吊支し、垂下するこのケリーバー又は伸縮ロッドの下端部には、掘削翼と撹拌翼とを所定の高さで離間して設けた掘削撹拌装置を装着してなり、ケリーバーは継ぎ足して、また、伸縮ロッドはそのストローク範囲で、所要の深さに達することができるものである。
【0003】
伸縮ロッドの構造としては、テレスコピック構成の内外二重管の軸芯部に更に内外二重管が内蔵されてそれぞれ伸縮できるように構成してあり、軸芯部の内外二重管にスラリー又はエア単独若しくはスラリーとエアの混合流体を供給し、これを掘削翼近傍に導いて噴出させる構造が採用されている。
【0004】
伸縮ロッドを用いるのは、リーダーマストの高さ以上の上空に障害物、例えば、高圧電線や橋の下での工事に際する橋梁、トンネルの上壁などがあるときは、地盤改良に必要な深さまで達する長さに継ぎ足すケリーバーを用いる事は不可能であるから、伸縮ロッドでなければ達成できないこと、及び、このような障害物が無い場合にあっても、地盤改良に必要な深さまで達する長さの、又は、継ぎ足したケリーバーを用いると、ベースマシンが支え切れずに、転倒する可能性が高くなるからである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の地盤改良機における伸縮ロッドによれば、軸芯部の内外二重管にスラリー又はエア単独若しくはスラリーとエアの混合流体を供給しているので、スラリーとエアの混合流体を供給するとき以外はスラリーとエアをそれぞれ単独で同時に供給することができない不都合が生じる。
【0006】
また、スラリーとエアそれぞれが所要の噴出力を有することにより、地盤の掘削・撹拌作用の相乗効果が大きくなると云う原理を達成することができない欠点がある。
【0007】
そこで、この発明はスラリーとエアを同時に掘削翼と撹拌翼の両方又は一方の近傍から噴出することができる伸縮ロッドを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載したように、内外二重管の軸芯部に更に内外二重管が内蔵されてそれぞれの内外二重管がテレスコピックに伸縮可能、かつ、軸芯線を中心として回転可能に構成され、前記軸芯部の内外二重管における内管の下端部と前記外側の内外二重管における内套管とがシール端板で閉じられ、前記外側の内外二重管における内套管の下部付近に透孔部が開設され、前記外側の内外二重管における内套管の上端部に上部ジョイントを介して回転駆動機の出力側を連結できると共に、前記外側の内外二重管における外套管の下端部に下部ジョイントを介して掘削翼や撹拌翼等の掘削撹拌装置を装着できる一方、前記上部ジョイントと下部ジョイントのそれぞれに軸芯孔とその周囲に位置する周辺孔とが穿設され、前記軸芯孔は前記軸芯部における内外二重管の内部と連通し、前記周辺孔はその外側の内外二重管と軸芯部の内外二重管との間に連通してなることを特徴とする伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これによれば、伸縮しながら二流体を同時に供給し、かつ、噴出することができる伸縮ロッドを得ることができる。
【0009】
さらに、請求項2に記載したように、前記上部ジョイントは前記内套管の上端部と共に前記軸芯部における外管の上端部を結合するシール端板と結合され、かつ、前記下部ジョイントは前記軸芯部の内外二重管における内管の下端部と共に前記外套管の下端部を結合するシール端板に結合され、かつ、前記上部ジョイント側のシール端板と前記外套管の上端部付近に、上下方向で相対して互いに係脱可能な連結部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これによれば、少なくとも外套管の長さよりも長いストロークで伸縮ロッドを操作できるのは勿論のこと、連結部で伸縮ロッドの収縮状態をロックできるから、運搬のみならず伸縮ロッドの吊支や引き抜き作動時に有利である。
【0010】
さらに、請求項3に記載したように、前記軸芯部の内外二重管における外管には前記上部ジョイント側で、前記内套管の内壁と接触するスペーサーを有すると共に、そのスペーサーには開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これにより、上部ジョイントからスラリーとエアを単独に供給する流路の確保ができる。
【0011】
さらに、請求項4に記載したように、前記外套管と内套管とは外套管の上端部内周面にキー係合部を設けたロック板を直径方向で相対して取付ける一方、内套管の下端部外周面に前記キー係合部に係脱可能な突起部からなるキーを少なくとも直径方向で相対して突設し、かつ、そのキーを軸方向へ移動案内するガイドを外套管の内周面に軸方向へ突設してなることを特徴とする請求項3記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これにより、テレスコピック構成の内外二重管が伸縮可能、かつ、軸芯線を中心として回転可能な機能を達成できるため、回転力伝達が安定しかつ確実である。
【0012】
さらに、請求項5に記載したように、前記ロック板は前記外套管の内周面に長手方向へ複数が所定間隔で固定され、外套管内で前記キー係合部が多段に形成ていることを特徴とする請求項4記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これにより、掘削撹拌深さの長短変更設定ができ、要求される地盤改良深さに応じた施工ができる。
【0013】
さらに、請求項6に記載したように、前記ロック板のキー係合部は、前記キーが正又は逆回転して係合する左右対称に形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これにより、内套管が外套管から伸び切った状態で内套管を正又は逆回転させてもその回転力の伝達がなされるとともに、外套管と内套管を一体として引き抜くことができる。
【0014】
さらに、請求項7に記載したように、前記内套管が外套管内に収縮し切った状態で、前記キーが逆回転して係合する抜け止めストッパーを、外套管の下端部内周面に形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造を提供する。これにより、伸縮ロッドが収縮し切った状態で内套管を逆回転させて上方へ引き上げるとき、内套管の抜け止めをすることができ、内套管と外套管とを一体として引き抜くことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の形態を、図に基づき説明すると、図1は本発明を適用した地盤改良機を示すもので、地上を走行可能なベースマシン1にリーダーマスト2が立設され、そのリーダーマスト2をガイドされて昇降可能な回転駆動機3に伸縮ロッド4が連結して回転可能に吊支され、垂下し、その下端部に掘削翼5と撹拌翼6等からなる掘削撹拌装置7が装着されている。伸縮ロッド4における内套管11の上端部に連結した上部ジョイント9に、回転駆動機3の出力側を連結できる。また、外套管10の下端部の下部ジョイント8に掘削撹拌装置7を装着できる。回転駆動機3にはスイベル機構等のスラリー・エア供給部3aが接続される。
【0016】
掘削撹拌装置7が伸縮ロッド4を介し回転駆動機3で回転駆動すると共に、回転駆動機3をリーダーマスト2に沿って下降移動することにより、図2に示すように、地盤Eを掘削翼5で掘削し、その掘削した土砂を撹拌翼6で撹拌する。このとき、掘削翼5と撹拌翼6の一方又は両方の近傍からスラリーとエアなどの地盤改良材が噴出される。したがって、そのスラリーとエアの供給で土砂への浸透と細粒化がなされて効果的な地盤改良作業を行うことができる。なお、この例においては掘削翼5自体に推進作用は生じない。
【0017】
しかも、伸縮ロッド4はリーダーマスト2の高さ以上に上方へ突出することはなく、リーダーマスト2から下方へ所定の長さで垂下してその部位で伸長することができるから、リーダーマスト2の高さよりも深い地盤の改良ができる。したがって、リーダーマスト2の上方に障害物がある場合に、何等伸縮ロッド4は影響されないから、前記のような高圧電線や橋梁等がある場合でも所要深さの地盤改良ができる。
【0018】
そこで、この発明にかかる伸縮ロッド4の詳細を図3〜9に基づき説明する。図3,4に示すように、外套管10と内套管11からなるテレスコピック構成の内外二重管の軸芯部に、更に、外管12と内管13からなる内外二重管が同じくテレスコピック構成で内蔵され、それぞれの内外二重管が同軸で伸縮可能、かつ、外套管10と内套管11は軸芯線を中心として回転可能に構成されている。
【0019】
外套管10の下端部にはシール端板20と下部ジョイント8が、上端部にはシール端板21が取付けられている。シール端板21の上部にはダストとロッドのシール部22(図6参照)を内周面に有するリング23を連結し、このリング23の上端面には直径方向で相対する連結部24とその内側に泥よけゴム環25を装着してある。連結部24には孔24aが設けられている。
【0020】
また、外套管10の外周面には複数枚のフィン44がほぼ全長の軸方向へ所定の幅寸法で取付けられている。このフィン44は、外套管10が軸芯部を中心として回転した場合に、周囲の土砂を撹拌して流動化させ、外套管10の周囲にエア抜きの流路を形成し易くするものである。
【0021】
内套管11の上端部にはシール端板26と上部ジョイント9が取付けられている。シール端板26の下部には孔27aを有する連結部27が直径方向で相対して取付けられている。この連結部27は前記連結部24と係脱でき、係合したときは孔27a,24aがピン又はボルト挿通孔となる。
【0022】
外套管10と内套管11の伸縮可能、かつ、軸芯線を中心として回転可能な構成は、図3〜5に示すように、外套管10の外周面に所定長さ及び幅の板体からなるガイド30を軸方向へ所定間隔で埋め込んでそれぞれ内周面側に貫通して突出させた、直径方向で相対する4列が突設されている。軸方向へ複数のガイド30を所定間隔で列状に配置(図6参照)したのは、経済性及び設計上のもので、連続した一枚の板状体としてもよい。なお、最下端のガイド30は肉厚板などを用いて、それよりも上部のものより強度を加重してある。
【0023】
そして、内套管11の下端部側の外周面には所定長さの突起部からなるキー28が直径方向で相対して軸方向へ突設されている。このキー28が突設される部位の内套管11の肉厚は他よりも大きく形成してある(図6〜9参照)。また、内套管11の下端部側の外周面には直径方向で相対して補助キー29がキー28と同列で突設されている。したがって、外套管10の内部において直径方向で相対する一対のガイド30,30に挟まれるような状態で、内套管11のキー28,28及び補助キー29,29が軸方向へ移動することで、外套管10と内套管11の軸方向への伸縮、及び、軸芯線を中心とする回転が可能になる。
【0024】
さらに、図5に示すように、外套管10の上端部側の内周面には、前記キー28が係脱するキー係合部31を正回転方向側に形成した所定長さの湾曲板からなるロック板32が直径方向で相対して取付けられている。このロック板32には前記補助キー29が係脱する補助キー係合部33が形成されている。ロック板32,32間及び前記ガイド30,30間に挟まれた状態でキー28及び補助キー29は軸方向移動できるように3者が外套管10の内周面で整列している。なお、キー係合部31の上部にはキー28が軸方向上方へ移動した場合に当接可能なストッパー部34が形成されている。
【0025】
そこで、内套管11が外套管10から伸び切った状態でキー28とキー係合部31は係脱できる状態となる。その状態で、キー28及び補助キー29が正回転(掘削推進方向の駆動)した場合にキー係合部31と補助キー係合部33にそれぞれ係合し、外套管10と内套管11が軸芯線を中心として回転可能になると共に、内套管11を外套管10内へ押し込もうとしてもキー28とキー係合部31及び補助キー29と補助キー係合部33の係合により、内套管11は外套管10内の軸方向へ移動することができず、外套管10から内套管11が伸び切った状態を保持できるようになっている。また、内套管11が伸び切った状態で、内套管11を上方へ引き上げると、キー28がストッパー部34に当接して抜け止めがなされる。なお、このストッパー部34はシール端板21に代用させることで省略してもよい。
【0026】
ここで、重要なことは、リーダーマスト2、外套管10及び内套管11の長さであり、外套管10と内套管11とは、勿論リーダーマスト2の高さよりも短い寸法で作成されるのであるが、両者が伸び切った状態においてはリーダーマスト2よりも長くなっても、その状態のときは必ず外套管10が地盤E内にあり、かつ、その頭部、少なくとも連結部24が地盤E上に露出しているという関係を持たせることである。
【0027】
そして、内套管11が逆回転してこのキー28が逆回転した場合に、キー28はキー係合部31から脱出し、内套管11は外套管10の軸方向下方へ移動できるようになって外套管10内へ収縮可能になると共に、ガイド30,30に挟まれた状態で内套管11と外套管10は共に軸中心で回転できる。
【0028】
なお、外管12と内管13に関しては、伸縮可能な構成だけが採用され、シール端板26とシール端板20にそれぞれ連結されて軸芯線を中心とする回転可能な構成は敢えて採用していない。しかしながら、外管12の上端部付近には、図4,6に示すように、内套管11内でスペーサー35を有し、そのスペーサー35の周縁部には開口部36を形成してある。
【0029】
また、外管12の下端部は内管13と内套管11との間をシール端板37(図6参照)で閉じてある。そのため、内套管11と外管12との空間部は封止構造となるので、内套管11の下端部付近に透孔部38が少なくとも直径方向で相対して開設されている。
【0030】
上部ジョイント9は、図4,6に示すように、前記スラリー・エア供給部3aに形成された接続部の凹部(図示略)に嵌め込む中実の本体からなり、軸芯孔39とその周囲に周辺孔40が軸方向へ形成されている。軸芯孔39は外管12と連通し、周辺孔40は内套管11と連通する。
【0031】
また、下部ジョイント8は、同じく図4,6に示すように、掘削撹拌装置7の連結部を嵌め込む凹部41が中実本体に形成され、凹部41に連通する軸芯孔42とその周囲に少なくとも直径方向で相対する周辺孔43が開設されている。
【0032】
上部ジョイント9における軸芯孔39は前記スイベル機構部のスラリー供給管部と接続され、周辺孔40は前記スイベル機構部のエア供給管部と接続される。下部ジョイント8における軸芯孔42は掘削撹拌装置7のスラリー流通管部と接続され、周辺孔43は掘削撹拌装置7のエア流通管部と接続される。軸芯孔39,42には土壌改良剤としてのスラリーが、周辺孔40,43にはエアがそれぞれ流通する。
【0033】
ところで、内套管11は外管12と内管13を封止構造で内蔵しているから、周辺孔40から供給されるエアは内套管11内に密封されることとなるので、内套管11の下端部付近に外套管10内に開く透孔部38が開設され、また、外管12には上部ジョイント9側で、内套管11の内壁と接触するスペーサー35を有し、このスペーサー35はその周縁部に少なくとも一の開口部36を有する。したがって、上部ジョイント9の複数の周辺孔40から供給されるエアは、まず初めに内套管11に入り、前記スペーサー35の開口部36を経て内套管11内を軸方向へ移動してから、内套管11の透孔部38を経て外套管10内に入り、最後に下部ジョイント8の周辺孔43から掘削撹拌装置7へと移動することができるようになっている。
【0034】
次に上記構成にかかる伸縮ロッド4を用いた地盤改良機の作動を図10を参照して説明すると、初めに、(A)に示すように、外套管10内に内套管11が収納され、かつ、内管13が外管12内に収納されている状態で、下部ジョイント8に掘削撹拌装置7を装着して回転駆動機3を駆動することにより、図8に示すように、キー28が外套管10内の下端部におけるガイド30,30に挟持されているから内套管11の回転力は外套管10に伝達されるので、(B)に示すように、掘削撹拌装置7が回転して掘削翼5が地盤Eを掘削し、撹拌翼6が掘削した土砂を撹拌する。なお、連結部24,27にジョイントピンを挿通したままで上記のように駆動すると伝動力は確実となる。このとき、掘削翼5付近からスラリーとエアが別々に噴出される。このスラリーは前記のように、上部ジョイント9から下部ジョイント8に供給されたものである。スラリーとエアは掘削翼5と撹拌翼6の両方から噴出するようにしてもよい。
【0035】
そこで、外套管10の長さにほぼ等しい深さに掘削翼5が掘り進んだときに、回転駆動機3を回転駆動停止させるとともに、(C)に示すように、リーダーマスト2に沿って上昇移動させる。このとき、連結部24,27にジョイントピンを挿通しているときはそのジョイントピンを外す。これにより、図8に示すように、キー28はガイド30,30に案内されてスムーズに上昇できるから、内套管11は外套管10から出て上方へ伸びる。一方、外套管10は掘削翼5と撹拌翼6が土壌の抵抗を受けて引き上げられることなく、それまで掘削した深さの位置で停止している。
【0036】
そして、内套管11が外套管10から伸び切り、図9に示すように、キー28が外套管10の上端部内周面のキー係合部31に対面した状態で、回転駆動機3を再び正回転駆動させると、キー28はキー係合部31に係合し、補助キー29が係合補助キー係合部33に係合する。したがって、内套管11の回転力は外套管10に伝達できる。また、回転駆動機3の押し下げ力はキー28とキー係合部31及び補助キー29と係合補助キー係合部33の係合で内套管11から外套管10に伝達できる。更に回転駆動機3の正回転駆動を継続すると、(D)に示すように、伸縮ロッド4は内套管11の長さに外套管10の長さを加えた長さに達するまで深く地盤Eを掘削し、かつ、撹拌する。
【0037】
掘削翼5及び撹拌翼6による掘削・撹拌作業のストローク限度に達した場合、すなわち、図2に示すように、内套管11が外套管10から伸び切った状態(図7参照)で回転駆動機3がリーダーマスト2の下限付近に下降移動し切った後は、(E)に示すように、回転駆動機3を逆回転駆動しながらリーダーマスト2に沿って上昇させる。このとき、キー28はキー係合部31から、また、補助キー29は補助キー係合部33から、それぞれ脱出するとともに、キー28はキー係合部31の上部のストッパー部34とロック板32に当接するので、内套管11の抜け止めがなされるとともに、逆回転の動力伝達がなされる。これにより、伸縮ロッド4は伸び切った状態のまま地上側へ引き上げられていく。
【0038】
回転駆動機3がリーダーマスト2の上部限界に達するとその回転駆動と上昇移動を停止させ、(F)に示すように、その状態でリーダーマスト2に沿って下降させる。このとき、図9に示すようにキー28はキー係合部31から、また、補助キー29は補助キー係合部33から脱しているので、図8に示すように、ガイド30,30に沿って外套管10内を下降する。一方、外套管10は掘削翼5と撹拌翼6がその最大深さから引き上げられ、その引き上げられた位置で土砂の抵抗を受け、頭部は地盤Eから露出した状態で停止している。したがって、内套管11は外套管10内に収容される。なお、外套管10が沈下するような事態が生じる恐れがあるときは、露出管10の頭部に沈下防止ストッパーを引掛けておく。この沈下防止ストッパーはベースマシン1又は掘削撹拌した地盤周囲の未掘削撹拌地盤上に支持される。
【0039】
ここで、重要なことは、外套管10が掘削翼5と撹拌翼6が土砂の抵抗を受けてその最大深さから引き上げられた位置を保っている状態では、必ず外套管10の頭部、すなわち、上部ジョイント9、シール端板26及び連結部27が地盤Eから露出するように、リーダーマスト2、外套管10及び内套管11の長さを設定しておくことである。
【0040】
内套管11が外套管10内に全て収容されると、内套管11の頭部の連結部27が外套管10の頭部の連結部24に係合するから、それらの合致した孔27a,24aにピン、又はボルト等のジョイントピンを挿通しナットで締結して外套管10から内套管11が伸縮できない状態にロックする。この作業は地盤E上で行われることはいうまでもない。
【0041】
そこで、再び回転駆動機3を逆回転駆動しながらリーダーマスト2に沿って上昇移動させると、連結部27,24で連結された伸縮ロッド4は、(G)に示すように、掘削翼5及び撹拌翼6を連結した状態で全体として地盤E上に引き抜かれる。
【0042】
なお、この発明の他の実施の形態として、内套管11が外套管10内に収縮し切ったときに、内套管11が逆回転するとキー28及び補助キー29が係合する逆回転用キー係合部を外套管10の下端部内周面に設けて、内套管11と外套管10を一体として上方へ引き上げることができるようにしてもよい。これにより、前記図10(F)に示す外套管10の引き抜き作業時に連結部24,27へジョイントピンを挿通する作業を省略できる。
【0043】
また、この発明の他の実施の形態として、内套管11が外套管10から伸び切ったときに、内套管11が逆回転するとキー28及び補助キー29が係合する逆回転用キー係合部を外套管10の上端部内周面のロック板32に設けて、内套管11を軸方向上方へ移動させても、内套管11の抜け止めがなされるようにしてもよい。したがって、ロック板32は中心線を対称軸とする左右対称の構造にする。
【0044】
さらに、この発明の他の実施の形態として、キー係合部31と補助キー係合部33を有するロック板32は、内套管11の長手方向へ所定間隔で複数若しくは外套管の長さにほぼ等しい長さのロック板にキー係合部を多段で形成して、キー係合部を多段構成にすると、外套管10から引き出される内套管11の長さを段階的に設定でき、伸縮ロッド4のストローク限度内での、所望の地盤改良深さに合わせた伸縮ロッド4の長短変更設定が可能になる。
【0045】
さらに、この発明の他の実施の形態として、スラリーとエアの供給は、掘削翼5付近からのみではなく、撹拌翼6付近からも噴出する構造を採ることも可能であり、これらに弁構造を付加して掘進中には掘削翼5の付近から、掘進後の引き上げ中には撹拌翼6の付近から、スラリーとエアを噴出させるようにすることができる。
【0046】
かくして、この発明の伸縮ロッド4を用いることにより、スラリーとエアの二流体を同時に供給かつ噴出させながら、掘削翼5と撹拌翼6にて地盤改良作業を行うことができるので、地盤改良効果が向上する。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したこの発明では、伸縮した状態で二流体を同時に供給し、かつ、噴出することができる伸縮ロッドを得ることができるため、上空に障害物があるときの施工すべき地盤改良機などの伸縮ロッドとして採用すれば効果が大きい。また、少なくとも外套管の長さよりも長いストロークで伸縮ロッドを操作できるため、ケリーバーを継ぎ足す作業を省略できて作業能率を向上させる。さらに、上部ジョイントからスラリーとエアを単独に供給する流路の確保ができるため、地盤改良機などの伸縮ロッドとして採用した場合の効果は大である。そして、テレスコピック構成の内外二重管が伸縮可能、かつ、軸芯線を中心として回転可能な機能を達成できるため、回転力伝達が安定しかつ確実である。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用した地盤改良機を示す側面図である。
【図2】この発明を適用した地盤改良機の作用説明図である。
【図3】伸縮ロッドの構成を示す一部断面分解斜視図である。
【図4】伸縮ロッドの内部構成を示す斜視断面図である。
【図5】伸縮ロッドの部分詳細を示す斜視断面図である。
【図6】伸縮ロッドが収縮し切る前の状態を示す縦断正面図である。
【図7】伸縮ロッドが伸び切った状態を示す縦断側面図である。
【図8】内套管と外套管の軸方向移動可能な構成を示す図6中のA−A断面図である。
【図9】内套管と外套管の回転力伝達及び軸方向の固定構成を示す図7中のB−B断面図である。
【図10】(A)〜(G)はこの発明にかかる伸縮ロッドの作用説明図である。
【符号の説明】
1…ベースマシン
2…リーダーマスト
3…回転駆動機
4…伸縮ロッド
5…掘削翼
6…撹拌翼
7…掘削撹拌装置
8…下部ジョイント
9…上部ジョイント
10…外套管
11…内套管
12…外管
13…内管
24,27…連結部
24a,27a…孔
28…キー
29…補助キー
30…ガイド
31…キー係合部
32…ロック板
33…補助キー係合部
34…ストッパー部
35…スペーサー
36…開口部
38…透孔部
39,42…軸芯孔
40,43…周辺孔
44…フィン
Claims (7)
- 内外二重管の軸芯部に更に内外二重管が内蔵されてそれぞれの内外二重管がテレスコピックに伸縮可能、かつ、軸芯線を中心として回転可能に構成され、
前記軸芯部の内外二重管における内管の下端部と前記外側の内外二重管における内套管とがシール端板で閉じられ、
前記外側の内外二重管における内套管の下部付近に透孔部が開設され、
前記外側の内外二重管における内套管の上端部に上部ジョイントを介して回転駆動機の出力側を連結できると共に、前記外側の内外二重管における外套管の下端部に下部ジョイントを介して掘削翼や撹拌翼等の掘削撹拌装置を装着できる一方、前記上部ジョイントと下部ジョイントのそれぞれに軸芯孔とその周囲に位置する周辺孔とが穿設され、
前記軸芯孔は前記軸芯部における内外二重管の内部と連通し、前記周辺孔はその外側の内外二重管と軸芯部の内外二重管との間に連通してなることを特徴とする伸縮ロッドの二流体同時供給構造。 - 前記上部ジョイントは前記内套管の上端部と共に前記軸芯部における外管の上端部を結合するシール端板と結合され、かつ、前記下部ジョイントは前記軸芯部の内外二重管における内管の下端部と共に前記外套管の下端部を結合するシール端板に結合され、かつ、前記上部ジョイント側のシール端板と前記外套管の上端部付近に、上下方向で相対して互いに係脱可能な連結部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
- 前記軸芯部の内外二重管における外管には前記上部ジョイント側で、前記内套管の内壁と接触するスペーサーを有すると共に、そのスペーサーには開口部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
- 前記外套管と内套管とは外套管の上端部内周面にキー係合部を設けたロック板を直径方向で相対して取付ける一方、内套管の下端部外周面に前記キー係合部に係脱可能な突起部からなるキーを少なくとも直径方向で相対して突設し、かつ、そのキーを軸方向へ移動案内するガイドを外套管の内周面に軸方向へ突設してなることを特徴とする請求項3記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
- 前記ロック板は前記外套管の内周面に長手方向へ複数が所定間隔で固定され、外套管内で前記キー係合部が多段に形成されていることを特徴とする請求項4記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
- 前記ロック板のキー係合部は、前記キーが正又は逆回転して係合する左右対称に形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
- 前記内套管が外套管内に収縮し切った状態で、前記キーが逆回転して係合する抜け止めストッパーを、外套管の下端部内周面に形成したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1記載の伸縮ロッドの二流体同時供給構造。
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