JP3901496B2 - 使い捨ておむつ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大腿部内側面に対するフィット性に優れており、漏れ防止性能に優れた使い捨ておむつに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、股下部における吸収体の両側部に別体の吸収体を設け、着用時に、両側部の吸収体が下方に屈曲して着用者の大腿部内側面に沿って配される使い捨ておむつが知られており、斯かる使い捨ておむつにおいては、着用者の鼠蹊部を超えて側方に漏れだした排泄物を、その両側部において吸収させることができる。
しかし、斯かる従来の使い捨ておむつにおいては、大腿部内側面に対するフィット性が悪く、鼠蹊部を超えて側方に漏れ出した尿や軟便等の排泄物が、吸収体の両側部に吸収されずに脚廻りから容易に漏れ出す恐れがある。
【0003】
従って、本発明の目的は、大腿部内側面に対するフィット性に優れており、漏れ防止性能に優れた使い捨ておむつを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、実質的に縦長に形成されており、股下部における前記吸収体の両側部が、着用時に下方に屈曲して着用者の大腿部内側面に沿って配されるようになされている使い捨ておむつにおいて、前記吸収体の両側部に、複数の圧縮部が長手方向に間欠的に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつを提供することにより、上記の目的を達成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態の使い捨ておむつ1は、いわゆる展開型のおむつであり、図1及び図2に示すように、液透過性の表面シート2、液不透過性の裏面シート3及びこれら両シート2、3間に介在された液保持性の吸収体4を備え、実質的に縦長に形成されており、着用時に着用者の背側に配される背側部Aの両側縁部に、止着手段としてファスニングテープ5が設けられ、着用時に着用者の腹側に配される腹側部Bの外表面に、これらのファスニングテープ5を止着するランディングゾーン(図示せず)が設けられている。
【0006】
更に説明すると、本実施形態の使い捨ておむつ1は、その外形が、長手方向の中央部が幅狭に括れた砂時計状の形状を有している。吸収体4は、長方形状をなしており、その内表面側には、長方形状の表面シート2が配されており、その外表面側には、おむつ外形と同形状の裏面シート3が配されている。表面シート2の両側縁は、吸収体4の両側縁に沿ってその若干外方に位置しており、疎水性のシート材21が、表面シート2及び裏面シート3に跨るように配され、これら両シート上に接合されている。尚、図1においては、表面シート2とシート材21の境界線の図示を省略してある。
【0007】
本実施形態の使い捨ておむつ1は、図3に示すように、股下部Cにおける吸収体4の両側部43が、着用時に下方(即ち、着用者股部のおむつ接触面側と反対側方向)に屈曲して着用者Mの大腿部内側面に沿って配されるようになされている。
本実施形態の使い捨ておむつにおいては、概ね、股下部Cにおける吸収体4の幅の長さW(図1,2参照)の各々1/4を占める両側の領域が、着用時に着用者の大腿部内側面に沿って配される部分(吸収体の両側部43)である。
【0008】
そして、その吸収体4の両側部43それぞれに、複数の圧縮部6が長手方向に間欠的に形成されている。
斯かる圧縮部6を、大腿部内側面に沿って配される吸収体の両側部43に形成することにより、該両側部43に局所的なたわみ、うねり、ヨレ等が生じることが防止され、また、両側部43が着用者の大腿部内側面の形状に沿って滑らかに湾曲する。
圧縮部6を設けない場合には、該両側部には、局所的なたわみ、うねり、ヨレ等の生じ易いが、圧縮部6を設けることにより、吸収体4の両側部43が存する領域(以下、サイド吸収部ともいう)が、着用者の大腿部内側面に対して均一な接触圧で良好にフィットするので、違和感や不快感のない優れた装着感が得られると共に、大腿部内側面との間に隙間が生じないので、鼠蹊部を越えて漏れだした尿等がサイド吸収部において確実に吸収され、優れた漏れ防止性能が得られる。
【0009】
複数の圧縮部6は、細幅で長い長円形の形状を有しており、それぞれ幅方向に延びている。
圧縮部6の長さ方向に延びる中心線CLと使い捨ておむつの幅方向に延びる直線WLとのなす角度θ(図1参照)は0〜45度、特に0〜30度であることが、フィット性の向上の観点から好ましい。また、同様の観点から、圧縮部6の幅W1(図1参照)は0.5〜15mm、特に1〜5mmであることが好ましく、同様の観点から、圧縮部6を設けるピッチP〔図4(a)参照〕は3〜35mm、特に5〜20mmであることが好ましい。尚、圧縮部を傾斜させる場合の傾斜の向きは、おむつ幅方向内側の端部が背側部側に位置し、幅方向外側の端部が腹側部側に位置する傾斜の方が、大腿部内側面に対するフィット性が良好であるので好ましい。
【0010】
吸収体4の両側部43が存する領域(サイド吸収部)には、弾性部材71が、圧縮部6の複数と交差するように伸長状態で配設されている。
弾性部材71を複数の圧縮部6と交差させて配設することにより、弾性部材の収縮によってサイド吸収部を大腿部内側面に圧接させるとともに、弾性部材の収縮時にサイド吸収部のシャーリング(収縮,ひだ取り)が整えられ、吸収体4の両側部43の局所的なたわみやうねりが防止される。シャーリングの整ったサイド吸収部を大腿部内側面に圧接させることで、股下からの漏れが一層確実に防止される。また、後述するようにサイド吸収部が吸水性ポリマーを有する場合には、サイド吸収部が尿で膨潤したときの大腿部に対する圧接がより高まり好ましい。
【0011】
圧縮部6は、吸収体4の表面シート2側の面(肌側に向けられる面)をエンボス加工により押圧されて形成されている。即ち、圧縮部6は、サイド吸収部の着用時における湾曲方向の内側である吸収体4の表面シート2側からの押圧により形成されており、表面シート2側の面が窪んで凹部となっている。湾曲方向の内側に凹部を有することにより、大腿部内側面に対するサイド吸収部のフィット性が一層向上する。また、図4(b)に示すように、着用時に表面シート2側の面の凹部が閉じるため、大腿部内側面に対する接触圧が一層均一化され、フィット性及び漏れ防止性が一層向上する。
エンボス加工による押圧パターンは、尿等との接触による湿潤により、そのパターンが消失するため、吸収体の膨潤を阻害することがない。そのため、膨潤阻害による吸収性能の低下を防止できる。
【0012】
吸収体4の両側部43は、図2に示すように、複数の吸収層としての上部繊維層45と下部繊維層46とが積層された構造を有しており、該両側部43それぞれには、該上部繊維層45と下部繊維層46の層間に吸水性ポリマー47を配して形成されたポリマー領域P1がおむつの長手方向に沿って縦長帯状に設けられている。
そして、圧縮部6の内の少なくとも一つ(好ましくは複数)が、ポリマー領域P1と重なるように形成されており、且つ該ポリマー領域P1の前後端の外方に、それぞれ少なくとも一つの圧縮部6a,6bが形成されている。
尚、上部及び下部繊維層45,46は、それぞれパルプ繊維、親水性合成繊維等の繊維材料からなり、吸水性ポリマー47は両繊維層間に挟持された状態で保持されている。
【0013】
吸収体4の両側部43にポリマー領域P1を設けること、特に弾性部材71Aと重ねて設けることにより、股下からの排泄物の漏れが一層防止される。
また、ポリマー領域P1と重なる圧縮部6又はポリマー領域P1の前後端の外方の圧縮部6a,6bの両者を設けることが好ましい。というのは、吸収体の長手方向の端は着用者の背側部又は腹側部にあたるため、当該部分が硬いと着用者の肌(特に寝たきりの老人)に強い刺激を与え、擦れたり、出血したりする原因になるので接着剤で止めないことが好ましいからで、このような形態では、吸水性ポリマー47の漏れを防止することができる。また、ポリマー領域P1を押圧することで、吸収体4の両側部43の硬化が適度に促進され、ヨレ防止性能が一層向上する。
吸水性ポリマー47の漏れ防止の観点から、圧縮部6は、ポリマー領域P1を横断していることが好ましい。
【0014】
吸収体4の両側部43,43間に位置する吸収体4の中央部42には、両側部43のエンボスパターンとは異なる格子状のエンボスパターンで圧縮部61が形成されている。両側部の圧縮部6とは異なるパターンの圧縮部61を設けて、おむつの内表面の外観を異ならせることにより、コストの増大を抑制しつつ、補助吸収具を内表面に載置して併用する場合の該補助吸収具の載置位置の目安を設けることができる。
尚、吸収体4の中央部42には、両側部43と同様に吸水性ポリマー47aが配され中央ポリマー領域P2が縦長矩形状に形成されている。また、吸収体4は、平面視矩形状の上部及び下部繊維層45,46の層間に吸水性ポリマー47,47aを保持させたものを、二枚の透水性シート49,50で被覆した構成を有する。図2では、圧縮部61の図示を省略してある。
【0015】
本発明においては、吸収体4の両側部43と中央部42との境界部に、該両側部43が存する領域(サイド吸収部)が大腿部内側面に確実に当接するように、吸収体の幅方向の屈曲を容易ならしめる屈曲軸48を設けることが好ましい。屈曲軸48としては、吸収体4の幅方向の屈曲を容易にすることができるものであればその構成や形成方法に特に制限はなく、例えば(1)吸収体が存在しない領域又は吸収体の坪量が小さい領域を長手方向に沿って形成する、(2)細幅のエンボス線を長手方向に沿って付与する、(3)長手方向に沿ってスリットを入れる、(4)周辺よりも剛性の低い材料で吸収体の一部を形成する等の方法が挙げられる。
本実施形態の使い捨ておむつ1は、左右の両境界部に、屈曲軸としてそれぞれ2本の細幅エンボス線を有している。また、股下部Cにおける吸収体4の両側縁よりも外方に位置する部分に、第2の弾性部材72が長手方向に配されており、該部分が着用者に密着する。
屈曲軸48が存在する領域を鼠蹊部に圧接させる目的で、該領域に弾性部材を配設しても良い。但し、幅方向の中央部に、装着性の低下の原因となるヨレを発生させないように注意する必要がある。
【0016】
本実施形態の使い捨ておむつ1の各部の形成材料について説明すると、表面シート2、裏面シート3、ファスニングテープ5、ランディングゾーンの形成材料としては、それぞれ、従来、使い捨ておむつに用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。
【0017】
吸収体4としては、使い捨ておむつ等における吸収体に従来用いられているものを特に制限なく用いることができ、例えば、パルプ繊維、レーヨン、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン等の繊維の集合体、これらの繊維集合体の全体又は一部に吸水性ポリマーを保持させたもの、これらを紙や透水性の不織布等で被覆したもの等を用いることができる。吸水性ポリマーとしては、使い捨ておむつ等における吸収体に従来用いられているものを特に制限なく用いることができるが、自重の20倍以上の液体を吸収・保持でき且つゲル化し得るものが好ましく、例えば、デンプンや架橋カルボキシルメチル化セルロース、アクリル酸又はアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体等、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体を挙げることができる。
【0018】
弾性部材71(又は72)の形成素材としては、天然ゴム、合成ゴム、スパンデックス等を挙げることができ、それぞれの形態としては糸状、帯状、フィルム状等を挙げることができる。弾性部材71は、脚廻りの収縮性、加工性、コスト等の観点から、糸ゴム又は平ゴムが好ましい。
【0019】
本発明は、上述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能である。
例えば、圧縮部6の形状や配置は適宜に変更することができる。また、弾性部材71は、吸収体の両側部が存する領域を着用者の大腿部内側面に圧接させ得る限り、表面シート2と吸収体4との間や裏面シート3の外表面等、該領域の厚み方向の何れの箇所に配設されていても良い。
また、使い捨ておむつの内表面(肌当接面)を、表面シート2のみにより形成することもできる。
【0020】
また、上述したように、吸収体4の中央部と両側部とに設けた異なるエンボスパターンの圧縮部によりおむつ内表面の外観を異ならせるのに代え、又はそのような構成と共に、股下部Cにおける吸収体4の両側縁近傍に、おむつ内表面側から視覚的に判別可能な目安材を配設することもできる。例えば、上記実施形態のおむつ1の吸収体4の外表面を形成するシート49を着色紙(黄緑色等)とし、該シート49における、吸収体の4の内表面側に巻き上げられる部分を目安材としても良い。
吸収体4の両側縁近傍に内表面側から判別可能な目安材を配設することにより、補助吸収具の適正な装着位置が容易に判別可能となるため、装着ミスを防止することができる。目安材としては、中央部に配される材(例えば、表面シート2、吸収体4の内表面を形成する液透過性の紙や不織布50等)とは、(1) 色が異なる材(例えば非白色の着色紙や不織布)、(2) 模様が異なる材、(3) 厚みが異なる材等を用いることができる。
【0021】
また、吸収体の両側部43は、吸収体の両サイドの1/4の幅を占める部分に限定されるものでなく、対象者の体型、使用場面等に合わせて適宜変更可能である。
【0022】
【発明の効果】
本発明の使い捨ておむつは、大腿部内側面に対するフィット性に優れており、漏れ防止性能に優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の使い捨ておむつの一実施形態を一部破断して示す平面図である。
【図2】図2は、図1のX−X断面を模式的に示す断面図である。
【図3】図3は、図1の使い捨ておむつの着用状態における股下部断面を示す模式断面図である。
【図4】図4(a)は、図1のY−Y断面を示す模式断面図であり、図4(b)は、着用状態における図1のY−Y断面を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
42 中央部
43 両側部
45 上部繊維層(吸収層)
46 下部繊維層(吸収層)
47,47a 吸水性ポリマー
5 ファスニングテープ
71 弾性部材
Claims (5)
- 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及びこれら両シート間に介在された液保持性の吸収体を備え、実質的に縦長に形成されており、股下部における前記吸収体の両側部が、着用時に下方に屈曲して着用者の大腿部内側面に沿って配されるようになされている使い捨ておむつにおいて、
前記吸収体の両側部に、複数の圧縮部が長手方向に間欠的に形成されていることを特徴とする使い捨ておむつ。 - 前記圧縮部の各々は、使い捨ておむつの幅方向に向かって延びている請求項1記載の使い捨ておむつ。
- 前記吸収体の両側部が存する領域に、弾性部材が、前記圧縮部の複数と交差するように伸長状態で配設されている請求項1又は2記載の使い捨ておむつ。
- 前記圧縮部は、前記吸収体の前記表面シート側の面をエンボス加工により押圧されて形成されている請求項1〜3の何れか記載の使い捨ておむつ。
- 前記吸収体の両側部は、複数の吸収層が積層された構造を有しており、該両側部それぞれには、前記吸収層の層間に吸水性ポリマーを配して形成されたポリマー領域がそれぞれ長手方向に沿って設けられており、
前記圧縮部の内の少なくとも一つは、前記ポリマー領域と重なるように形成されており、且つ該ポリマー領域の前後端の外方に、それぞれ少なくとも一つの圧縮部が形成されている請求項1〜4の何れか記載の使い捨ておむつ。
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