JP3900831B2 - 放電灯点灯装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メタルハライドなどの高輝度放電灯(HID)の放電灯点灯装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
メタルハライドなどの高輝度放電灯(HID)は、ランプ温度が冷えている場合、始動から安定点灯までの光出力の立ち上がりが遅いことが欠点となっている。車両用前照灯や液晶プロジェクタ用光源としてこのような高輝度放電灯を使用する場合、その光出力の立ち上がりの改善が必要となる。そのため特開平2000−235899号に示される放電灯点灯装置では、点灯直後、過大なランフ電流を流すことで、光出力の立ち上がりを早めている。
【0003】
図21はこの従来例の回路構成を示しており、この従来例は直流電源1、該直流電源1の電圧Vinを必要とする電圧へ変換するDC−DCコンバータ部2、DC−DCコンバータ部2の直流を交流へ変換するインバータ部3からなる電力変換部と、高輝度放電灯(HIDランプ)からなる放電灯5を始動させるのに必要な高電圧を放電灯5に印加するイグナイタ部4と、電力変換部を制御するための制御部8とで構成される。
【0004】
制御部8の電流指令演算部81は、DC−DCコンバータ部2の出力電圧検出値と最大電力制限部84で制限を受けた出力電力指令値WRによって、出力電流指令値を除算処理で得る。
【0005】
制御部8の誤差アンプ83は、出力電流指令値を最大電流制限部82を介して入力するとともに、検出される出力電流検出値を入力して比較し、その誤差量に応じた出力制御信号S1によりDC−DCコンバータ部2を制御し。その出力を調整することで、放電灯5の安定点灯を実現している。
【0006】
また制御部8の電力指令演算部85から出力される出力電力指令値WRは、定常状態においては定格出力に設定されているが、始動直後は放電灯5の光出力を急速に立ち上げるための電力シフト量指令値を加えたものとなる。
【0007】
制御部8の電力シフト指令発生部86は、図22(a)に示すように電力シフト量指令値Wsとして出力する電力シフト量指令値を時間的に変化させる。
【0008】
ところで電力シフト量指令値Wsの時間関数は基本的に始動から最大出力の電力量以下となるまでの期間TWMXと、それ以降の変化形状を決めることが重要となる。
【0009】
次にこの従来例回路の動作を簡単に説明する。
【0010】
まず電源スイッチSWが投入され、電源電圧Vinが入力すると電源電圧監視部9は、点灯許可信号S2をDC−DCコンバータ部2及び電力シフト指令発生部86に出力しDC−DCコンバータ部2を動作させるとともに、電力シフト指令発生部8を動作させる。
【0011】
ここで電力シフト指令発生部86は消灯後からの経過時間に応じた電力シフト量指令値の初期値を決定してその初期値から時間関数曲線に沿って電力シフト量指令値を発生する。この電力シフト量指令値を取り込んだ電力指令演算部85は定格出力値を加算して図22(b)に示す出力電力指令値WRを最大電力制限部84を介して電流指令演算部81に与える。
【0012】
電流指令演算部81はDC−DCコンバータ部2の出力電圧検出値と最大電力制限部84からの出力電力指令値WRとにより出力電流指令値を演算し、該出力電流指令値を最大電流制限部82を介して誤差アンプ83に与え、誤差アンプ83はDC−DCコンバータ部2の出力電流検出値の差を出力電流指令値と、検出される出力電流値を比較し、その誤差量に応じた出力制御信号S1によりDC−DCコンバータ部2を制御してその出力を調整し、放電灯5を安定点灯させる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで近年、省エネルギ、高輝度の観点から上述したように車両用前照灯や液晶プロジェクタ用光源に放電灯点灯装置の利用が増大してきているが、これらの用途では小形化の要求が強く、そのため同時にランプ近傍の高温度下での使用の可能性もでてきている。しかしながら上述のような従来例のように点灯直後、過大なランプ電流を流すことで、光出力の立ち上がりを早めている放電灯点灯装置では、小形化やランプ近傍使用を進めることによって内部温度が従来より上昇するという問題があった。
【0014】
本発明は上述の問題点に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、高温度下による使用において内部温度上昇を低減することができる放電灯点灯装置を提供することにある。
【0015】
また、内部温度の異常な上昇に対して保護機能をもつ放電灯点灯装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、直流電源と、該直流電源の電圧に比較し、低い電圧から高い電圧に至る電圧に変換して放電灯に電力を供給する電力変換部と、該電力変換部の出力を所定値に制御する制御部と、上記電力変換部若しくは装置周囲の温度を検出する温度検出部と、上記放電灯とからなる放電灯点灯装置おいて、上記制御部は、所定のランプ電力にするための電力指令値を発生する電力指令値発生手段と、上記電力指令値の最大値を制限する最大電力制限手段とを有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電力制限手段の最大電力制限値を調整することを特徴とする。
【0017】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げることを特徴とする。
【0018】
請求項3の発明では、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げることを特徴とする。
【0019】
請求項4の発明では、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電力制限値を段階的に低減することを特徴とする。
【0020】
請求項5の発明では、請求項1乃至4の何れかの発明において、上記制御部は、所定のランプ電流にするための電流指令値の最大値を制限する最大電流制限手段を有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電流制限手段の最大電流制限値を調整することを特徴とする。
【0021】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げることを特徴とする。
【0022】
請求項7の発明では、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げることを特徴とする。
【0023】
請求項8の発明では、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電流制限値を段階的に低減することを特徴とする。
【0024】
請求項9の発明では、請求項5乃至8の何れかの発明において、上記制御部は、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記電力指令値発生手段の電力指令値を調整することを特徴とする。
【0025】
請求項10の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げることを特徴とする。
【0026】
請求項11の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げることを特徴とする。
【0027】
請求項12の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で電力指令値を段階的に低減することを特徴とする。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明を実施形態により説明する。
(実施形態1)
図1は、本実施形態の放電灯点灯装置の基本的な構成を示すブロック図であり、かかる本実施形態装置は、入力電源たる直流電源1の電圧Vinから負荷、この場合高輝度放電灯からなる放電灯5が必要とする電圧へ変換するDC−DCコンバータ部2と、DC−DCコンバータ部2の直流出力を交流に変換させるインバータ部3とで電力変換装置を構成するとともに、放電灯5を始動させるのに必要な高電圧を放電灯5に印加するイグナイタ部4と、DC−DCコンバータ部2を制御する制御部6と、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taを検出する温度検出部7とで構成されている。
【0029】
制御部6はランプ電流を検出する電流検出部61、ランプ電圧を検出する電圧検出部62、所定のランプ電力にするための電力指令値KWlaを出力する電力指令値発生部64、ランプ電力の最大電力を所定の値MaxWlaに制限する最大電力制限部66、最大電力制限部66の出力KWla2と電圧検出部62の電圧検出値Vlaから電流指令値KIlaを演算する電流指令値演算部63、放電灯5の最大電流を所定の値MaxIlaに制限する最大電流制限部67、最大電流制限部67の出力KIla2と電流検出部61の電流検出値Ilaとを比較することによってDC−DCコンバータ部2へ出力制御信号S1を出す誤差アンプ65で構成されている。尚図中SWは電源スイッチ、R1はランプ電圧検出用抵抗、R2はランプ電流検出用抵抗である。
【0030】
次に温度検出部7の具体例について説明する。
【0031】
図2(a)は、温度検出部7の一の回路例を示しており、この温度検出部7は図示するように温度検出用IC71と基準電圧Vccとで構成されている。
【0032】
この温度検出用IC71の検出出力は同図(b)に示すように周囲温度Taに比例した出力電圧VTを出力する。この出力電圧VTは最大電力制限部66に入力する。
【0033】
基準電圧Vccは温度検出用IC71の電源で数V程度である。この方法は精度良く温度情報を出力電圧情報に変換することができるが、温度検出用1Cを使用しているため小形化に限界がある。
【0034】
図3(a)は、温度検出部7の別の回路例を示しており、この温度検出部7は図示するように抵抗72と負特性のサーミスタ73と基準電圧Vccとで構成されている。
【0035】
本例の温度検出部7は同図(b)に示すように周囲温度に対応した出力電圧VTを出力する。この出力電圧VTは最大電力制限部66に入力する。サーミスタ73は検出温度が上がると抵抗値が下がる(負の温度係数を有する)ので基準電圧Vccを抵抗72とサーミスタ73で分圧することにより温度が上がるほど出力電圧VTの値が下がる特性となる。
【0036】
この回路例では構成が単純で小形化することが可能な上に、精度良く温度情報を出力電圧情報に変換することができる。サーミスタには1005サイズ(1.0mm×0.5mm)のチップ形状のものもある。
【0037】
図4(a)は、温度検出部の他の回路例を示しており、図示するように抵抗72と負特性のサーミスタ73と基準電圧Vccとで構成され、図3の例とは抵抗72とサーミスタ73の位置が反対となっている。
【0038】
本例の温度検出部7は同図(b)に示すように周囲温度に対応した出力電圧VTを出力する。この出力電圧VTは最大電力制限部66に入力する。サーミスタ73は温度が上がると抵抗値が下がる(負の温度係数を有する)ので基準電圧Vccを抵抗82とサーミスタ83で分圧することにより温度が上がるほど出力電圧VTの値が上がる特性となる。尚本例の利点も図3の例と同じである。
【0039】
次に本実施形態の動作を図1、図5に基づいて説明する。
【0040】
まず所定のランプ電力にするための電力指令値KWlaを出力する電力指令値発生部64は、図5(a)に示すように、放電灯5の点灯時から数秒の間、最大電力制限値MaxWlaを越える電力指令値KWlaを出力し、数10秒後には定常出力になるような電力指令値KWlaを出力している。最大電力制限部66では、最大電力制限値MaxWlaと電力指令値発生部64からの出力である電力指令値KWlaとを比較し、小さい値を電力指令値KWla2として図5(b)に示すように電流指令値演算部63に出力している。
【0041】
最大電力制限部66は、温度検出部7の温度に対応した出力信号を最大電力制限値MaxWlaに変換する変換回路と、その出力と電力指令値KWlaとを比較し、小さい値を電力指令値KWla2として電流指令値演算部63に出力する比較回路または制限値回路で構成できる。具体的回路は周知の回路を用いれば良いので、ここでは特に図示しない。
【0042】
図5は初始動(放電灯5のコールドスタート時)の例であり、最大電力制限値MaxWlaは定常出力の2倍程度である(自動車に搭載する車載用の定格35Wの放電灯の最大電力は75W)。また再始動の場合は、ランプ温度に応じて電力指令値KWlaの初期値を調整している。
【0043】
そこで温度検出部7の温度に対応した出力信号を最大電力制限部66に入力し、その信号に応じて図6に示すように最大電力制限値MaxWlaを調整する。
【0044】
ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度と規定し、その範囲で最大電力制限値MaxWlaを温度に対して負特性としている。
【0045】
また最高温度Tmax時の最大電力制限値MaxWlaは定常出力以上とし、放電灯5が点灯維持ができる程度の電力に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0046】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって、最大電力制限値MaxWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。
【0047】
次に図7に示す周囲温度Taによる最大電力制限値MaxWlaについて説明する。温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を最大電力制限部66に入力し、その信号に応じて図7に示すように最大電力制限値MaxWlaを調整する。
【0048】
ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、所定温度T0から最高温度Tmaxの範囲で最大電力制限値MaxWlaを温度に対して負特性としている。
【0049】
そして所定温度T0までは最大電力制限値MaxWlaを低減しないので、所定温度T0付近までは光出力の立ち上がり特性が十分確保される。所定温度T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET,トランス,コンデンサ,ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。
【0050】
また最高温度Tmax時の最大電力制限値MaxWlaは定常出力以上とし、放電灯5が点灯維持ができる程度の電力に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0051】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって最大電力制限値MaxWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。また所定温度T0付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保することができる。
【0052】
次に図8に示す周囲温度Taによる最大電力制限値MaxWlaについて説明する。
【0053】
まず温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を最大電力制限部66に入力し、その信号に応じて図8に示すように最大電力制限値MaxWlaを調整する。
ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、所定温度T0から最高温度Tmaxの範囲で最大電力制限値MaxWlaを温度に対して段階的に低減している。
【0054】
そして所定温度T0までは最大電力制限値MaxWlaを低減しないので、所定温度T0付近までは光出力の立ち上がり特性が十分確保される。
【0055】
所定温度T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET、トランス、コンデンサ、ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。
【0056】
また最高温度Tmax時の最大電力制限値MaxWlaは定常出力以上とし、放電灯7が点灯維持ができる程度の電力に設定する。最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0057】
以上より、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって、最大電力制限値MaxWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。
【0058】
また、所定温度T0付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保することができ、更にまた、段階的に低減するので、最大電力制御部66の構成が簡単にできる。但し、切換温度付近でのチャタリングが起きる場合には切換温度にヒステリシスを持たす等の対策が必要である。
(実施形態2)
図9は、本実施形態の放電灯点灯装置の基本的な構成を示すブロック図であり、本実施形態装置も実施形態1と同様に入力電源たる直流電源1から負荷、この場合高輝度放電灯からなる放電灯5が必要とする電圧へ変換するDC−DCコンバータ部2と、DC−DCコンバータ部2の直流出力を交流に変換させるインバータ部3とで電力変換装置を構成するとともに、放電灯5を始動させるのに必要な高電圧を放電灯5に印加するイグナイタ部4と、DC−DCコンバータ部2を制御する制御部6と、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taを検出する温度検出部7とで構成されている。
【0059】
制御部6はランプ電流を検出する電流検出部61、ランプ電圧を検出する電圧検出部62、所定のランプ電力にするための電力指令値KWlaを出力する電力指令値発生部64、ランプの最大電力を所定の値MaxWlaに制限する最大電力制限部66、最大電力制限部66の出力KWla2と電圧検出部62の電圧検出値Vlaから電流指令値KIlaを演算する電流指令値演算部63、放電灯5の最大電流を所定の値MaxIalに制限する最大電流制限部67、最大電流制限部67の出力KIlaと電流検出部61の電流検出値Ilaとを比較することによってDC−DCコンバータ部2へ出力制御信号S1を出す誤差アンプ65とで構成されている。
【0060】
尚SWは電源スイッチ、R1はランプ電圧検出用抵抗、R2はランプ電流検出用抵抗である。
【0061】
また温度検出部7の具体回路例については実施形態1(図2〜4の例)と同じなので省略する。但し、温度検出部7の出力信号は最大電力制限部66、最大電流制限部67に入力される。
【0062】
次に本実施形態の動作を図9、図10によって説明する。温度検出部7の出力信号は最大電力制限部66、最大電流制限部67に入力される。最大電力制限部66は実施形態1と同じなので省略する(図5〜8参照)。
【0063】
次に最大電流制限部67について説明する。まず最大電力制限部66の出力と電圧検出値Vlaから電流指令値KIlaを演算する電流指令値演算部63は、図10(a)に示すように、放電灯5の点灯時から数秒の間、最大電流制限値MaxIlaを越える電流指令値KIlaを出力し、数10秒後には定常出力になるような電流指令値KIlaを出力している。電流指令値演算部63は、最大電力制限部66の出力KWla2を電圧検出値Vlaで割り、電流指令値KIlaを演算している(KIla=KWla2/Vla)。従って、放電灯5の特性によって図10(a)の曲線は異なる。
【0064】
またランプ電圧の高いものは、電流指令値KIlaが低くなるし、反対にランプ電圧の低いものは、電流指令値KIlaが高くなる。
【0065】
最大電流制限部67では、最大電流制限値MaxIlaと電流指令値演算部63からの出力である電流指令値KIlaを比較し、図10(b)に示すように小さい値を電流指令値KIla2として誤差アンプ65に出力している。
【0066】
最大電流制限部67は、温度検出部7の温度に対応した出力信号を最大電流制限値MaxIlaに変換する変換回路と、その出力と電流指令値KIlaとを比較し小さい値を電流指令値KIla2として誤差アンプ65に出力する比較回路または制限値回路で構成できる。具体的回路は周知の回路を用いれば良いので、ここでは特に図示しない。
【0067】
図10は初始動(ランプのコールドスタート時)の例であり、最大電流制限値MaxIlaは定常出力のほぼ6倍程度である自動車に搭載する車載用の定格35W 0.412Aの放電灯の最大電流は2.6A)。
【0068】
再始動の場合は、ランプ温度に応じて電力指令値KWlaの初期値を調整しているので電流指令値KIlaも連動する。
【0069】
そこで温度検出部7の温度に対応した出力信号を最大電流制限部67に入力し、その信号に応じて図11に示すように最大電流制限値MaxIlaを調整する。 ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度と規定し、その範囲で最大電流制限値MaxIlaを温度に対して負特性としている。また最高温度Tmax時の最大電流制限値MaxIlaは定常出力以上とし、放電灯5が点灯維持ができる程度の電流に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0070】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。
【0071】
また、ランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに検出温度による低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値MaxIlaを低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。
【0072】
次に図12に示す周囲温度Taによる最大電流制限値MaXIlaについて説明する。温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を最大電流制限部67に入力し、その信号に応じて図12に示すように最大電流制限値MaxIlaを調整する。ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、所定温度T0から最高温度Tmaxの範囲で最大電流制限値MaxIlaを温度に対して負特性としている。そしてT0までは最大電流制限値MaxIlaを低減しないので、所定温度T0付近までは光出力の立ち上がり特性が十分確保される。所定温度T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET,トランス,コンデンサ,ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。
【0073】
また最高温度Tmax時の最大電流制限値MaxIlaは定常出力以上とし、放電灯5が点灯維持ができる程度の電流に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0074】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になった。よって、光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。また、ランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに周囲温度Taによる低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値MaxIlaを低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。また、T0付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保することができる。
【0075】
次に図13に示す検出温度Taによる最大電流制限値MaxIlaについて説明する。温度検出部7の温度に対応した出力信号を最大電流制限部67に入力し、その信号に応じて図13に示すように最大電流制限値MaxIlaを調整する。Tminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、T0からTmaxの範囲で最大電流制限値MaxIlaを温度に対して段階的に低減している。
【0076】
またT0までは最大電流制限値MaxIlaを低減しないので、T0付近までは光出力の立ち上がり特性が十分確保される。T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET,トランス,コンデンサ,ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。また最高温度Tmax時の最大電流制限値MaxIlaは定常出力以上とし、放電灯5が点灯維持ができる程度の電流に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0077】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、光出力の立ち上がり時のDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。
【0078】
またランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに検出温度による低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値MaxIlaを低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。また、T0付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保することができる。また、段階的に低減するので最大電流制限部67の構成が簡単にできる。但し、切換温度付近でのチャタリングが起こる場合は切換温度にヒステリシスを持たす等の対策が必要である。
(実施形態3)
図14は本実施形態の放電灯点灯装置の基本的な構成を示すブロック図であり、本実施形態装置は上記実施形態1,2と同様に、入力電源たる直流電源1から負荷、この場合高輝度放電灯からなる放電灯5が必要とする電圧へ変換するDC−DCコンバータ部2と、DC−DCコンバータ部2の直流出力を交流に変換させるインバータ部3とで電力変換装置を構成するとともに、放電灯5を始動させるのに必要な高電圧を放電灯5に印加するイグナイタ部4と、DC−DCコンバータ部2を制御する制御部6と、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taを検出する温度検出部7とで構成されている。
【0079】
制御部6はランプ電流を検出する電流検出部61、ランプ電圧を検出する電圧検出部62、所定のランプ電力にするための電力指令値KWlaを出力する電力指令値発生部64、ランプの最大電力を所定の値MaxWlaに制限する最大電力制限部66、最大電力制限部66の出力KWla2と電圧検出部62の電圧検出値Vlaから電流指令値KIlaを演算する電流指令値演算部63、放電灯5の最大電流を所定の値MaxIalに制限する最大電流制限部67、最大電流制限部67の出力KIlaと電流検出部61の電流検出値Ilaとを比較することによってDC−DCコンバータ部2へ出力制御信号S1を出す誤差アンプ65とで構成されている。
【0080】
尚SWは電源スイッチ、R1はランプ電圧検出用抵抗、R2はランプ電流検出用抵抗である。
【0081】
また温度検出部7の具体回路例については実施形態1(図2〜4の例)と同じなので省略する。但し、温度検出部7の出力信号は最大電力制限部66、最大電流制限部67、電力指令値発生部64に夫々入力される。
【0082】
次に本実施形態の動作を図5、図14によって説明する。温度検出部7の出力信号は最大電力制限部66、最大電流制限部67、電力指令値発生部64に入力される。
【0083】
最大電力制限部66は実施形態1と同じなので省略する(図5〜8を参照)最大電流制限部67は実施形態2と同じなので省略する(図10〜13を参照)。
【0084】
また所定のランプ電力にするための電力指令値KWlaを出力する電力指令値発生部64は、図5(a)に示すように、放電灯5の点灯時から数秒の間、最大電力制限値MaxWlaを越える電力指令値KWlaを出力し、数10秒後には定常出力になるような電力指令値KWlaを出力している。
【0085】
電力指令値発生部64は、所定のランプ電力にするための電力指令値発生回路と、温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を電力指令値KWlaに変換する変換回路とで構成できる。具体的回路は周知の回路を用いれば良いので、ここでは特に図示しない。
【0086】
図5は上述したように初始動(ランプのコールドスタート時)の例であり、最大電力制限値MaxWlaは定常出力の2倍程度である(自動車に搭載する車載用の定格35Wの放電灯の最大電力は75W)。再始動の場合は、ランプ温度に応じて電力指令値KWlaの初期値を調整している。そこで温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を電力指令値発生部64に入力し、その信号に応じて図15に示すように電力指令値KWlaを調整する(図15は定常時の電力指令値の例である)。
【0087】
ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度と規定し、その範囲で電力指令値KWlaを温度に対して負特性としている。また最高温度Tmax時の電力指令値KWlaは、放電灯5が点灯維持ができる程度の電力に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0088】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度の上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIla及び電力指令値KWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。
【0089】
また、ランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに周囲温度Taによる低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値MaxIlaを低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。
【0090】
次に図16に示す周囲温度Taによる電力指令値KWlaについて説明する。温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を電力指令値発生部64に入力し、その信号に応じて図16に示すように電力指令値KWlaを調整する(図16は定常時の電力指令値の例である)。また最高温度Tminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、所定温度T0から最高温度Tmaxの範囲で電力指令値KWlaを温度に対して負特性としている。そして所定温度T0までは電力指令値KWlaを低減しないので、所定温度T0付近までは光出力特性が十分確保される。尚所定温度T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET,トランス,コンデンサ,ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。また最高温度Tmax時の電力指令値KWlaは、放電灯5が点灯維持ができる程度の電力に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0091】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度の上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIla及び電力指令値KWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。また、ランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに周囲温度Taによる低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値MaxIlaを低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。また、所定温度T0付近まで光出力特性を十分確保することができる。
【0092】
次に図17に示す周囲温度Taによる電力指令値KWlaについて説明する。温度検出部7の検出温度に対応した出力信号を電力指令値発生部64に入力し、その信号に応じて図17に示すように電力指令値KWlaを調整する(図17は定常時の電力指令値KWlaの例である)。
【0093】
ここでTminを最低温度、Tmaxを最高温度、T0を所定の温度と規定し、所定温度T0から最高温度Tmaxの範囲で電力指令値KWlaを温度に対して段階的に低減している。そして所定温度T0までは電力指令値KWlaを低減しないので、所定温度T0付近までは光出力特性が十分確保される。尚所定温度T0は使用環境、放電灯点灯装置の使用部品(MOSFET,トランス,コンデンサ,ダイオードなど)の特性によって設定する(例えば100〜120℃付近)。
【0094】
また最高温度Tmax時の電力指令値KWlaは放電灯が点灯維持ができる程度の電力に設定する。そして最高温度Tmaxを越えると異常とみなして出力を停止する。
【0095】
以上よりDC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度の上昇によって、最大電力制限値MaxWla及び最大電流制限値MaxIla及び電力指令値KWlaを低減し、内部損失を低減させることが可能になる。よって、DC−DCコンバータ部2や放電灯点灯装置の周囲温度Taの上昇を緩和あるいは低減することが可能となった。また、ランプ電流の制御である最大電流制限値MaxIlaに周囲温度Taによる低減を付けることによって、ランプ電圧が寿命末期等で劣化したものについても最大電流制限値を低減することで放電灯5及び放電灯点灯装置を保護することができる。また、所定温度T0付近まで光出力特性を十分確保することができる。また段階的に低減するので電力指令値発生部64の構成が簡単にできる。ただし、切換温度付近でのチャタリングが起こる場合は切換温度にヒステリシスを持たす等の対策が必要である。
【0096】
(実施形態4)
本実施形態は上記実施形態1〜3の制御部6をマイクロコンピュータにより構成したものであり、図18は、最大電力制限と最大電流制限の動作をマイクロコンピュータを用いて行った時のランプ点灯から電力指令値KWlaの設定と電流指令値KWIlaの設定までのフローチャートを示している。尚具体回路は省略するが、温度検出部7、電力変換部の各部の構成は実施形態1の図1を参照する。
【0097】
本実施形態では放電灯5の状態によって経時的に変化する出力電力指令値、特に高輝度放電灯(HIDランプ)を始動させてから安定点灯にいたるまでのランプ立ち上げ期間である高出力電力時の出力電流指令値を温度検出結果より決められた最大電力制限値MaxWlaと最大電流制限値MaxIlaの両方をもちいて制限する処理を行い、その制限された電流指令値KIlaを用いて放電灯5を立ち上げる。
【0098】
ここで図18のフローチャートにおいて各ステップは次のようになっている。
【0099】
まずステップF1ではインバータ部3を含む電力変換部の温度を読込み、ステップF2では経時的に変化する電力指令値KWlaを設定する。ステップF3では温度検出部7が検出した温度より関数やテーブルを用いて最大電力と最大電流の制限値を決定する。
【0100】
そして次のステップF4では電力指令値KWlaと最大電力制限値MaxWlaを比較し、ステップF5において、電力指令値KWlaを最大電力制限値MaxWlaに変更する。
【0101】
ステップF6ではランプ電圧Vlaを読込む。ステップF7では電力指令値KWlaを読込んだ電圧値で割り電流指令値KIlaを得る。ステップF8では電流指令値KIlaと最大電流制限値MaxIlaとを比較する。
【0102】
ステップF9では電流指令値KIlaを最大電流指令値KIla2に変更する。
【0103】
次に本実施形態の処理動作を図18に沿って詳説する。
【0104】
まず電源オンから初期設定を経て、インバータ部3の温度を読込み(ステップF1)、次のステップF2で経時的に変化する電力指令値KWlaを設定する。
【0105】
図6〜8に示すような様な周囲温度Taに対する最大電力の関数やテーブルを用いて最大電力制限値MaxWlaや最大電力制限値MaxWIlaを決める過程となる(ステップF3)。
【0106】
この過程ではステップF4において電力指令値KWlaと最大電力指令値KWla2とを比較し、電力指令値KWlaが最大電力指令値KWla2より大きければ、ステップF5において電力指令値KWlaを最大電力指令値KWla2と変更する(ここで、最大電力制限がかけられる)。
【0107】
次のステップF6においてランプ電圧Vlaを読込み、ステップF7で電力指令値KWlaをランプ電圧Vlaで割ることにより電流指令値KIlaを得る。
【0108】
図11〜13の様な周囲温度Taに対する最大電流の関数やテーブルを用いて最大電流制限値を決める。この場合ステップF8で電流指令値KIlaと最大電流指令値KIla2とを比較し、電流指令値KIlaが最大電流指令値KIla2より大きければ、ステップ9で電流指令値KIlaを最大電流指令値KIla2の値と変更する(ここで、最大電流制限がかけられる)。
【0109】
而して上述の処理によって設定された電流指令値KIlaを用いて、放電灯5の点灯を制御する。
【0110】
これにより、高温状態の高出力電力を低下させることができ、メインの回路素子のストレスを低下させることができる。
【0111】
尚最大電力制限値MaxWlaと周囲温度Ta、最大電流制限値MaxIlaと周囲温度Taの関係は図7、図12と同じであるのでここでは図示しない。
(実施形態5)
本実施形態は実施形態4と同様に制御部6にマイクロコンピュータを用いて図19に示す処理により、定常点灯時の高温時電力調整における電力指令値設定と電流指令値設定を行うものである。
【0112】
つまり定常点灯時、出力電力は安定しているが、温度が上がり過ぎると素子の耐圧を越えてしまう。そこで温度がある所定値を超えて上昇すると、電力指令値KWlaからその値に比例した電力低減値を引いた値を電力指令値KWlaとして用いて点灯制御を行う。
【0113】
図19のフローチャートにおいて各ステップは次のようになっている。ステップF1は電力指令値KWlaを設定する。次のステップF2ではインバータ部3の温度を読込む。そしてステップF3では後述する電力低減値Waを設定し、ステップF4では電力指令値KWlaから電力低減値Waを引いた値を新たに電力指令値KWla’に設定する。次のステップF5ではランプ電圧Vlaを読込み、ステップF6では電力指令値KWlaを読込んだ電圧値で割り、電流指令値KIlaを得る。
【0114】
次に本実施形態の処理動作を図19に沿って詳説する。
【0115】
まず電源オンから初期設定する。そしてステップF1において電力指令値KWlaを設定し(定常状態においてはほぽ一定)、次にインバータ部3の温度を読込む(ステップF2)。
【0116】
次のステップF3では、図20に示すようにインバータ部6の温度に対する電力低減値Waを関数やテーブルを用いて決め、ステップF4では電力指令値KWlaから電力低減値Waを引いた値を新たな電力指令値KWla’として設定する(ステップF5)。図20の上部のように調整前の電力はW0で一定であるが、上記電力指令値KWlaから電力低減値Waを引くことにより調整後の電力指令値KWla’に設定される。ステップF6ではランプ電圧Vlaを読込み、電力指令値KWlaをランプ電圧Vlaで割ることにより電流指令値KIlaを得る。
【0117】
而して以上の処理によって設定された電流指令値KIlaを用いて、放電灯5の点灯を制御する。これにより、定常状態で高温になりすぎ、素子の温度が上がりすぎるのを防ぐことができる。
【0118】
尚ランプ点灯までは図18の処理を用いても良い。
【0119】
【発明の効果】
請求項1の発明は、直流電源と、該直流電源の電圧に比較し、低い電圧から高い電圧に至る電圧に変換して放電灯に電力を供給する電力変換部と、該電力変換部の出力を所定値に制御する制御部と、上記電力変換部若しくは装置周囲の温度を検出する温度検出部と、上記放電灯とからなる放電灯点灯装置おいて、上記制御部は、所定のランプ電力にするための電力指令値を発生する電力指令値発生手段と、上記電力指令値の最大値を制限する最大電力制限手段とを有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電力制限手段の最大電力制限値を調整するので、例えば装置の周囲温度や電力変換部の周囲温度の上昇によってランプ電力を低減して、内部損失を低減させ、温度上昇を緩和あるいは低減することが可能となり、そのため装置内の回路部品の温度ストレスを低減して、信頼性を向上させることができ、しかも光出力の立ち上がり時の温度上昇に対する保護が可能となり、さらに放電灯点灯装置の高温下による使用が可能となり、また装置の小形化が可能になるという効果がある。
【0120】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げるので、上述の請求項1の発明の効果を奏する放電灯点灯装置を提供できる。
【0121】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げるので、上述の請求項1の発明の効果に加え、特に所定温度付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保できるという効果がある。
【0122】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、上記最大電力制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電力制限値を段階的に低減するので、請求項1の発明の効果に加え、所定温度付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保できるとともに、簡単な構成で実現できるという効果がある。
【0123】
請求項5の発明では、請求項1乃至4の何れかの発明において、上記制御部が、所定のランプ電流にするための電流指令値の最大値を制限する最大電流制限手段を有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電流制限手段の最大電流制限値を調整するので、請求項1乃至4の何れかの発明の効果に加えて、ランプ電圧が低下するなど寿命末期で劣化した放電灯に対して放電灯及び装置を提供することができるという効果がある。
【0124】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げるので、請求項5の発明の効果を奏する放電灯を提供できる。
【0125】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げるので、請求項5の発明の効果に加え、特に所定温度付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保できるという効果がある。
【0126】
請求項8の発明は、請求項5の発明において、上記最大電流制限手段が、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電流制限値を段階的に低減するので、請求項5の発明の効果に加え、特に所定温度付近まで光出力の立ち上がり特性を十分確保できるとともに、簡単な構成で実現できるという効果がある。
【0127】
請求項9の発明では、請求項5乃至8の何れかの発明において、上記制御部は、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記電力指令値発生手段の電力指令値を調整するので、請求項5乃至8の発明の効果に加え、光出力の立ち上がり時及び定常時の温度上昇に対する保護ができるという効果がある。
【0128】
請求項10の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げるので、請求項9の効果を奏する放電灯点灯装置を提供することができる。
【0129】
請求項11の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げるので、また請求項12の発明では、請求項9の発明において、上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で電力指令値を段階的に低減するので、請求項9の効果に加えて、所定の温度付近まで光出力特性を十分確保する事ができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】(a)は同上の温度検出部の一例の回路図である。
(b)は同上の温度検出部の一例の出力信号の説明図である。
【図3】(a)は同上の温度検出部の別の例の回路図である。
(b)は同上の温度検出部の別の例の出力信号の説明図である。
【図4】(a)は同上の温度検出部の他の例の回路図である。
(b)は同上の温度検出部の他の例の出力信号の説明図である。
【図5】同上の電力指令値の時間特性説明図である。
【図6】同上の温度による最大電力制限値の設定の説明図である。
【図7】同上の温度による最大電力制限値の別の設定の説明図である。
【図8】同上の温度による最大電力制限値の他の設定の説明図である。
【図9】本発明の実施形態2の回路図である。
【図10】同上の電力指令値の時間特性説明図である。
【図11】同上の温度による最大電力制限値の設定の説明図である。
【図12】同上の温度による最大電力制限値の別の設定の説明図である。
【図13】同上の温度による最大電力制限値の他の設定の説明図である。
【図14】本発明の実施形態3の回路図である。
【図15】同上の温度による最大電力制限値の設定の説明図である。
【図16】同上の温度による最大電力制限値の別の設定の説明図である。
【図17】同上の温度による最大電力制限値の他の設定の説明図である。
【図18】本発明の実施形態4の処理説明用のフローチャートである。
【図19】本発明の実施形態5の処理説明用のフローチャートである。
【図20】同上の電力指令値の決定方法の説明図である。
【図21】従来例の回路図である。
【図22】同上の動作説明図である。
【符号の説明】
1 直流電源
2 DC−DCコンバータ部
3 インバータ部
4 イグナイタ部
5 放電灯
6 制御部
61 電流検出部
62 電圧検出部
63 電流指令値演算部
64 電力指令値発生部
65 誤差アンプ
66 最大電力制限部
67 最大電流制限部
7 温度検出部

Claims (12)

  1. 直流電源と、該直流電源の電圧に比較し、低い電圧から高い電圧に至る電圧に変換して放電灯に電力を供給する電力変換部と、該電力変換部の出力を所定値に制御する制御部と、上記電力変換部若しくは装置周囲の温度を検出する温度検出部と、上記放電灯とからなる放電灯点灯装置おいて、上記制御部は、所定のランプ電力にするための電力指令値を発生する電力指令値発生手段と、上記電力指令値の最大値を制限する最大電力制限手段とを有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電力制限手段の最大電力制限値を調整することを特徴とする放電灯点灯装置。
  2. 上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  3. 上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電力制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電力制限値を上げることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  4. 上記最大電力制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電力制限値を段階的に低減することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
  5. 上記制御部は、所定のランプ電流にするための電流指令値の最大値を制限する最大電流制限手段を有し、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記最大電流制限手段の最大電流制限値を調整することを特徴とする請求項1乃至4の何れか記載の放電灯点灯装置。
  6. 上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げることを特徴とする請求項5記載の放電灯点灯装置。
  7. 上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると最大電流制限値を下げ、温度検出値が下がると最大電流制限値を上げることを特徴とする請求項5記載の放電灯点灯装置。
  8. 上記最大電流制限手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で最大電流制限値を段階的に低減することを特徴とする請求項5記載の放電灯点灯装置。
  9. 上記制御部は、上記温度検出部からの温度検出値に応じて、上記電力指令値発生手段の電力指令値を調整することを特徴とする請求項5乃至8の何れか記載の放電灯点灯装置。
  10. 上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げることを特徴とする請求項9記載の放電灯点灯装置。
  11. 上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で、温度検出値が上がると電力指令値を下げ、温度検出値が下がると電力指令値を上げることを特徴とする請求項9記載の放電灯点灯装置。
  12. 上記電力指令値発生手段は、上記温度検出部からの温度検出値が所定の温度以上で電力指令値を段階的に低減することを特徴とする請求項9記載の放電灯点灯装置。
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