JP3899933B2 - 成膜方法及び成膜装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、成膜方法及び成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体集積デバイスを形成するために、そのデバイス中の絶縁膜としては、SiO2 、PSG(Phospho Silicate Glass)、P(プラズマ)−SiO、P(プラズマ)−SiN、SOG(Spin On Glass)、Si3 N4 (シリコン窒化膜)等が用いられる。
半導体ウエハの表面に上述したようなシリコン酸化膜やシリコン窒化膜を形成するには、成膜ガスとしてモノシラン(SiH4 )やジクロルシラン(SiH2 Cl2 )等のシラン系ガスを用いて熱CVD(Chemical Vapor Deposition)により成膜する方法が知られている。
ここで上記薄膜を形成するための従来の縦型の成膜装置の一例について説明する。図9は従来の縦型の成膜装置の一例を示す概略構成図である。
【0003】
この成膜装置2は、内筒4と外筒6とよりなる石英製の2重管構造の縦型処理容器8を有している。上記内筒4内の処理空間Sには、石英製のウエハボート10が収容されており、このウエハボート10に半導体ウエハWが所定のピッチで多段に保持される。このウエハボート10は、処理容器8のキャップ12上に回転可能になされた保温筒14を介して載置されており、昇降可能なエレベータ16により、処理容器8内へその下方から挿脱可能になされている。処理容器8の下端開口部は、例えばステンレス製のマニホールド18が接合されており、このマニホールド18には、流量制御された処理ガスを処理容器8内へ導入する各種のノズル20、22等が設けられる。例えばシリコン酸化膜(SiO2 )を成膜するには成膜ガスとしてTEOS(テトラエチルオリソシリケート)をノズル20から供給し、酸素を他方のノズル22から供給する。また、マニホールド18の側壁には、真空ポンプ等が接続される排気口24が設けられる。そして、処理容器8の外周には、断熱層26が設けられており、この内側には、加熱ヒータ28が設けられて内側に位置するウエハWを所定の温度に加熱するようになっている。
このような成膜装置において、ノズル20から導入されたTEOSは、他方のノズル22から導入されたO2 ガスと混合して、処理空間Sを上昇しつつ反応して、ウエハWの表面にシリコン酸化膜を堆積することになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記ウエハボート10には、この大きさにもよるが、通常は170枚程度のウエハ(製品ウエハは1〜150枚程度)を多段に載置した状態で上述したような成膜処理が行われるが、この場合、ノズル20から供給された成膜ガス、すなわちTEOSが処理容器8内への導入直後には、この温度がやや低いために十分な活性状態にはなっていない場合が生ずる。
このため、ウエハボート10の下部、すなわちボトム近傍のウエハに対する膜付きが十分ではなく、このボトム近傍におけるウエハの膜厚の面内均一性が劣化し、製品として使用できない場合があった。例えば、ウエハボート10のボトム近傍では、ウエハの表面の中心部の膜厚が厚く、周縁部であるエッジ部の膜厚が薄くなる傾向にあった。このため、最悪の場合には、プロセス条件にもよるが、ウエハボート10に収容した製品ウエハ150枚の内、25枚程度も製品として使用できない場合があった。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、膜厚の面内均一性を向上させることが可能な成膜方法及び成膜装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、成膜処理時における膜厚の均一性について鋭意研究した結果、成膜ガスを予備加熱することが膜厚の面内均一性の向上に有効であることを見い出したり、或いは成膜ガスを供給律速状態で供給するとウエハのエッジ部により厚く膜が堆積し、反応律速状態で供給すると逆にウエハの中心部により厚く膜が堆積する、という知見を得ることにより、本発明に至ったものである。
請求項1に係る発明は、真空引き可能になされた処理容器内に成膜ガスを供給して被処理体の表面に薄膜を形成する成膜方法において、前記成膜ガスを前記処理容器内へ供給する直前に予備加熱する工程と、前記処理容器内で供給律速状態で成膜を行う供給律速成膜工程と、前記処理容器内で反応律速状態で成膜を行う反応律速成膜工程と、を有することを特徴とする成膜方法である。
【0006】
これによれば、処理容器内へ供給される成膜ガスを予備加熱して活性化させるようにしたので、成膜ガスの反応を促進させることができ、このため、被処理体の表面に略均一に薄膜を堆積させることができ、膜厚の面内均一性を向上させることが可能となる。
また、成膜処理を行うに際して、供給律速の成膜処理と反応律速の成膜処理とを連続的に行うようにしたので、両者の特性が相乗されて膜厚の面内均一性を更に向上させることが可能となる。
【0007】
また、例えば請求項2に規定するように、前記処理容器は、所定の長さを有すると共に前記処理容器内には前記被処理体が複数枚収容され、前記成膜ガスは前記処理容器の一端側より供給される。
これによれば、縦型、或いは横長の処理容器内の成膜ガスの供給側に収容された被処理体に堆積する膜厚の面内均一性を向上させることが可能となる。
また、例えば請求項3に規定するように、前記供給律速成膜工程の際には、前記成膜ガスの供給側に位置する前記被処理体の温度は、他の部分の被処理体の温度よりも高く設定される。
【0008】
また、例えば請求項4に規定するように、前記成膜ガスはTEOSであり、前記処理容器の大きさが前記被処理体を一度に略170枚程度収容できるような大きさの場合には、前記供給律速成膜工程の際の前記成膜ガスの流量は10〜40sccmの範囲内である。
また、例えば請求項5に規定するように、前記成膜ガスは、200〜530℃の範囲内に予備加熱される。
請求項6に係る発明は、上記方法発明を実施する装置発明であり、すなわち被処理体に対して所定の成膜を堆積させる成膜装置において、真空引き可能になされた処理容器と、前記処理容器内で前記被処理体を保持する被処理体保持手段と、前記被処理体を加熱する加熱手段と、前記処理容器内に成膜ガスを含む必要な処理ガスを供給するガス供給手段と、前記ガス供給手段に設けられて前記成膜ガスを予備加熱する予備加熱手段とを備え、前記成膜ガスを前記処理容器内へ供給する直前に予備加熱する工程と、前記処理容器内で供給律速状態で成膜を行う供給律速成膜工程と、前記処理容器内で反応律速状態で成膜を行う反応律速成膜工程とを行なうように制御するように構成したことを特徴とする成膜装置である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る成膜方法及び成膜装置の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明方法を実施するための成膜装置を示す構成図、図2及び図3はウエハボート上のウエハ位置と膜厚の面内均一性と温度との関係を示すグラフである。
この成膜装置30は、例えばTEOSとO2 ガスとを用いてシリコン酸化膜の絶縁膜を堆積するものである。そのために、まず、この成膜装置30は、筒体状の石英製の内筒32とその外側に所定の間隙36を介して同心円状に配置した石英製の外筒34とよりなる2重管構造の処理容器38を有しており、その外側は、加熱ヒータ等の加熱手段40と断熱材42を備えた加熱炉44により覆われている。上記加熱手段40は断熱材42の内面に全面に亘って設けられている。
【0010】
この処理容器38の下端は、例えばステンレススチール製の筒体状のマニホールド46によって支持されており、内筒32の下端は、マニホールド46の内壁より内側へ突出させたリング状の支持板46Aにより支持され、このマニホールド46の下方より多数枚の被処理体としての半導体ウエハWを多段に載置した被処理体保持手段としての石英製のウエハボート48が昇降可能に挿脱自在になされている。本実施例の場合において、このウエハボート48には、例えば150枚程度の直径が200mmの製品ウエハと20枚程度のダミーウエハ等とを略等ピッチで多段に支持できるようになっている。すなわち、ウエハボート48には全体で170枚程度のウエハを収容できる。
【0011】
このウエハボート48は、石英製の保温筒50を介して回転テーブル52上に載置されており、この回転テーブル52は、マニホールド46の下端開口部を開閉する蓋部54を貫通する回転軸56上に支持される。
そして、この回転軸56の貫通部には、例えば磁性流体シール58が介設され、この回転軸56を気密にシールしつつ回転可能に支持している。また、蓋部54の周辺部とマニホールド46の下端部には、例えばOリング等よりなるシール部材60が介設されており、容器内のシール性を保持している。
【0012】
上記した回転軸56は、例えばボートエレベータ等の昇降機構62に支持されたアーム64の先端に取り付けられており、ウエハボート48及び蓋部54等を一体的に昇降できるようになされている。また、上記マニホールド46の側部には、内筒32と外筒34の間隙36の底部から容器内の雰囲気を排出する排気口68が設けられており、この排気口68には、図示しない真空ポンプ等を介設した真空排気系が接続されている。
上記マニホールド46の側部には、内筒32内に所定の処理ガスを供給するためのガス供給手段66が設けられる。具体的には、このガス供給手段66は、成膜ガス供給系70と酸化ガス供給系72とよりなり、各ガス供給系70、72は、マニホールド46の側壁を貫通して設けられた直線状の成膜ガスノズル74及び酸化ガスノズル76をそれぞれ有している。
【0013】
そして、各ガスノズル74、76にはマスフローコントローラのような流量制御器78、80をそれぞれ介設した成膜用ガス流路82及び酸化用ガス流路84がそれぞれ接続されており、成膜ガスや酸化ガスをそれぞれ流量制御しつつ供給できるようになっている。ここでは、例えば成膜ガスとしてTEOSガスが用いられ、また、酸化ガスとしてはO2 ガスが用いられる。
上記成膜用ガス流路82には、テープヒータ86が巻回されており、これに流れるTEOSガスを液化温度以上、例えば110℃程度に維持してこの再液化を防止するようになっている。そして、この成膜用ガス流路82には、予備加熱手段88が介設されており、これに流れる成膜ガスであるTEOSガスを予備加熱してこれを活性化し得るようになっている。具体的には、この予備加熱手段88は、例えば石英等よりなる筒体状の加熱容器90内に例えば石英よりなる詰物92を充填し、この加熱容器90の外側に抵抗加熱ヒータ94を巻回して設けている。これにより、上記加熱容器90内に流れるTEOSガスを所定の温度に加熱し得るようになっている。
ここで、本実施例では処理容器38の内筒32の内径は240mm程度、高さは1260mm程度の大きさであり、処理容器38の容積は略110リットル程度である。
【0014】
次に、以上のように構成された装置を用いて行なわれる本発明の成膜方法について説明する。
<第1実施例>
まず、ウエハがアンロード状態で成膜装置が待機状態の時には、処理容器38内はプロセス温度、例えば640℃程度に維持されており、常温の多数枚、例えば150枚の製品ウエハWと13枚のダミーウエハが載置された状態のウエハボート48を処理容器38内にその下方より上昇させてロードし、蓋部54でマニホールド46の下端開口部を閉じることにより容器内を密閉する。
そして、処理容器38内を真空引きして所定のプロセス圧力、例えば2200Pa程度に維持すると共に、ウエハ温度を上昇させて成膜用のプロセス温度、例えば640℃程度に安定するまで待機し、その後、所定の成膜ガスであるTEOSガスと酸化ガスであるO2 ガスを、それぞれ流量制御しつつガス供給手段66の各ノズル74、76から供給する。ここで本発明の特徴として、TEOSガスはノズル74の直前の成膜用ガス流路82に介設した予備加熱手段88により、供給直前に所定の温度、例えば200〜530℃の範囲内で加熱されて活性化される。このように予備加熱されて活性化された状態で処理容器38の下部に供給されたTEOSガスは、O2 ガスと混合して、処理空間Sを上昇しつつ反応して、ウエハWの表面にシリコン酸化膜の薄膜を堆積することになる。
【0015】
この処理空間Sを上昇したTEOSガスやO2 ガスの処理ガスは、処理容器38内の天井部で折り返して内筒32と外筒34との間の間隙36を流下し、排気口68から外へ排気されることになる。
ここで上述のように予備加熱手段88における成膜ガスの加熱温度に関しては、下限値がこの成膜ガスの活性化最低温度、すなわちTEOSガスの場合は略200℃であり、上限値はこの成膜ガスの熱分解温度、すなわちTEOSガスの場合は略530℃である。また、TEOSガスの流量は、190sccm程度、O2 ガスの流量は5sccm程度である。
このように、TEOSガスを予備加熱して活性化させた状態で処理容器38内へ供給することにより、このガスは供給直後から十分に反応して、従来方法では膜厚の面内均一性がやや劣る傾向にあった処理容器38内の下部近傍(ボトム付近)の膜付きが良好に行われることになり、結果的に、処理容器38内の下部近傍のウエハの膜厚の面内均一性を向上させることが可能となる。
【0016】
ここで、予備加熱手段88におけるTEOSガスの予備加熱温度を種々変更して、その時の膜厚の面内均一性に対する影響を評価したので、その評価結果について説明する。
図2及び図3に示すように、TEOSガスの予備加熱温度を110℃〜530℃まで種々変更しており、各ウエハ位置における膜厚の面内均一性を求めている。尚、予備加熱温度110℃は、テープヒータ86でTEOSガスの再液化防止のために加熱している温度であり、従来と同じ加熱温度である。ここでウエハ位置は、処理容器38(ウエハボート48)内を上下の方向に3つのゾーンに分割して、それぞれトップ、センタ、ボトムとして表しており、例えばトップの領域にはウエハボート48の上部より1番目〜60番目のウエハが属し、センタの領域には61番目〜111番目のウエハが属し、ボトム領域には112番目〜170番目のウエハが属している。
【0017】
図2及び図3から明らかなように、従来方法(加熱温度:110℃)を含めてウエハ位置がトップ領域及びセンタ領域のウエハは、その膜厚の面内均一性は、基準値である±3%よりも略低い値となって良好である。
しかし、ボトム領域のウエハの膜厚の面内均一性は、従来方法(加熱温度:110℃)の場合には、急激に上昇して最高値は略±9%にも達しており、非常に特性が劣化している。
これに対して、TEOSガスを200〜530℃の範囲で予備加熱している本発明方法の場合には、膜厚の面内均一性は、基準値である±3%よりも高くなっているが、最高値は±6%程度まで大幅に低下しており、ある程度良好な特性を示していることが判明する。
特に、予備加熱温度が高い程、膜厚の面内均一性の最高値は低下しており、例えば予備加熱温度が530℃の場合には膜厚の面内均一性は±4.5%程度まで低下してかなり良好な特性を示していることが判明する。
【0018】
<第2実施例>
上記第1実施例の場合には、ボトム近傍のウエハの膜厚の面内均一性は、ある程度改善することができたが、次に、このボトム近傍のウエハの膜厚の面内均一性を更に改善することができる第2実施例について説明する。
この第2実施例では、TEOSガスを予備加熱することに加えて、成膜処理を、上記処理容器38内で供給律速状態で成膜を行う供給律速成膜工程と、上記処理容器38内で反応律速状態で成膜を行う反応律速成膜工程との2工程を連続的に行うことを特徴としている。ここで供給律速状態とは、処理容器38内へ供給する成膜ガスの流量が非常に少ない領域であって、成膜レートが成膜ガスの供給量に主に支配される状態をいい、反応律速状態とは、処理容器38内へ供給する成膜ガスの流量がかなり多い領域であって、成膜レートが成膜ガスの供給量に関係なくその反応量によって主に支配される状態をいい、この十分な量の成膜ガスを流して供給律速状態により成膜を行う処理方法は従来行われていた方法である。
【0019】
上述のように供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程を組み合わせた時に、ボトム近傍のウエハの膜厚の面内均一性が改善される点について、図4〜図6を参照して説明する。
図4は供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とを行った時の膜厚の変位を模式的に示す図、図5はシミュレーションにより供給律速状態の成膜工程を行った時の膜厚とその面内均一性との関係を示すグラフ、図6はシミュレーションにより供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とを行った時の膜厚とその面内均一性との関係を示すグラフである。
【0020】
図4に示すように、TEOSガスの供給量は、供給律速成膜工程では10sccm程度、反応律速成膜工程では190sccm程度である。ウエハWの表面に各工程におて薄膜96A、96Bが堆積する。ここで供給律速状態の成膜工程では、トップ領域、及びセンタ領域のウエハの表面には、膜厚が薄く、しかも略平面的に、或いはフラット状に膜が堆積しているが、ボトム領域のウエハ表面には、膜厚が上記トップ領域やセンタ領域のウエハよりもやや厚く堆積しており、しかもウエハの中央部が薄く、周縁部が厚くなって全体として凹部状に薄膜が堆積している。
【0021】
これに対して、反応律速状態の成膜工程ではトップ領域及びセンタ領域のウエハの表面には、十分な厚さの薄膜が堆積し、しかもウエハの中央部が僅かに窪んで凹部状の薄膜となっているが、大きな窪みにはなっていない。また、ボトム領域のウエハ表面には、全体として十分な厚さの薄膜が堆積し、しかもウエハの中央部が特に厚く、周縁部が薄くなって、全体として凸部状に薄膜が堆積している。すなわち、ボトム付近のウエハでは、供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とでは膜厚の傾向が互いに逆のプロファイルとなっている。
【0022】
従って、供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とを連続的に行うと、すなわち、両工程における膜厚を合計すると、図4に示すように、トップ領域やセンタ領域のウエハの膜厚の面内均一性を高く維持できるのは勿論のこと、上述のように膜厚の傾向が互いに逆のプロファイルとなっている薄膜を堆積することから、ボトム領域におけるウエハの膜厚の面内均一性も、大幅に向上させることが可能となる。
ここで、図1に示す装置例の場合に、供給律速成膜工程におけるTEOSガスの最適量をシミュレーションに求めたので、その結果を図5に示す。尚、この時のTEOSガスの予備加熱の温度は510℃である。TEOSガスは、10、20、30、50sccmの4種類を流し、その時の膜厚及び膜厚の面内均一性を求めた。折れ線グラフは膜厚の面内均一性を示し、棒グラフは膜厚を示す。また、棒グラフの内、高さの低い方から高い方に向かって、それぞれ10、20、30、50sccmのガス量の場合の膜厚をそれぞれ表している。図5に示すように、TEOSガスの流量が50sccmの場合には、トップ領域やセンタ領域における膜厚の面内均一性よりも、ボトム領域の膜厚の面内均一性が小さくなっている。従って、トップ領域やセンタ領域のウエハの膜厚のプロファイルは、ボトム領域のウエハの膜厚のプロファイルよりも凹部状態が激しくなっており、図4にて求めたように膜厚プロファイルと逆の状態になっているので、特性上好ましくない。
【0023】
これに対して、TEOSガスの流量が10、20、30sccmの場合には、トップ領域やセンタ領域における膜厚の面内均一性よりも、ボトム領域の膜厚の面内均一性が大きくなっている。従って、ボトム領域のウエハの膜厚のプロファイルは、トップ領域やセンタ領域のウエハの膜厚のプロファイルよりも凹部状態が激しくなっており、図4にて求めたような膜厚プロファイルと略同じような状態になっているので特性上好ましい。
この場合、TEOSガスの流量が10sccmの場合は、膜厚のプロファイルは凹部上になるのでは好ましいが、成膜レートが小さいことから凹部の深さD1(図4参照)を十分な深さにするには長時間を要する、というやや不利な点を有する。これに対して、TEOSガスの流量が30sccmの場合は、膜厚のプロファイルもよく、しかも、全体の成膜レートも大きいので、特性としては最も良好となる。この結果、TEOSガスの望ましい流量範囲は、下限値が10sccm程度であり、上限値は最適な特性を示す30sccmと特性が劣化している50sccmとの略中間値である40sccm程度であることが判明する。
【0024】
そして、シミュレーションにより供給律速成膜工程と反応律速成膜工程を行った時の膜厚とその膜厚の面内均一性の結果を図6に示す。
図6において、折れ線グラフは各工程と、本発明の2段階工程の膜厚の面内均一性を示し、棒グラフは膜厚を表し、その内の下の部分は供給律速成膜工程での膜厚を示し、上の部分は反応律速成膜工程での膜厚を示す。尚、この時のTEOSガスの予備加熱の温度は510℃である。
また、プロセス条件は、供給律速成膜工程では、TEOSガスの流量が30sccm、O2 ガスの流量が5sccm、プロセス圧力は200Pa、成膜時間は30分であり、反応律速成膜工程では、TEOSガスの流量が190sccm、O2 ガスの流量が5sccm、プロセス圧力は200Pa、成膜時間は110分であり、プロセス温度は共に640℃程度である。
【0025】
図6に示すシミュレーション結果によれば、本発明方法の場合には、トップ領域からボトム領域の全領域に亘って比較的短時間で十分な厚さの薄膜が面間の均一性が良好な状態で堆積している。しかも、特に、ボトム領域のウエハを含めて、全領域のウエハに亘って膜厚の面内均一性を基準値である±3%よりも低くすることができ、非常に良好な特性を得られることが判明した。
また、供給律速成膜工程において、図4中に示すボトム領域のウエハにおける薄膜の凹部の深さD1を、より迅速に十分な深さとなるようにするには、ボトム領域におけるウエハ温度を、他のトップ領域やセンタ領域のウエハ温度よりも少し高くする、いわゆるチルト温度制御を行うようにすればよい。
【0026】
次に、上記したシミュレーション結果に基づいて、実際に2段階成膜工程を有する本発明方法(第2実施例)を実施したので、その評価結果について説明する。
図7は実際に行った本発明方法の第2実施例におけるTEOSガスの流量変化を示すグラフ、図8は第2実施例で行われた成膜処理の膜厚とその面内均一性を示すグラフである。図7に示すように、ここでは最初に第1ステップで供給律速成膜工程を行い、次に第2ステップで反応律速成膜工程を行っている。成膜条件に関しては、TEOSガスの流量は、供給律速成膜工程では30sccmとし、反応律速成膜工程では大幅に増加して190sccmとしている。O2 ガスの流量は、両工程に亘って5sccmを維持している。そして、予備加熱手段によるTEOSガスの予備加熱温度は510℃である。また、プロセス圧力及びプロセス温度は両工程に亘って、それぞれ200Pa及び640℃である。
【0027】
また、プロセス時間に関しては、供給律速成膜工程が30分であり、反応律速成膜工程が110分である。
この時に堆積した薄膜の膜厚と膜厚の面内均一性の結果を図8に示す。図8から明らかなように、トップ領域からボトム領域の全範囲に亘ってウエハ表面へ堆積した薄膜の膜厚は略540〜550Åの範囲内に入っていることから、膜厚の面間均一性は±1.93%程度であり、良好な結果を示している。
更に、膜厚の面内均一性に関しては、特にボトム領域のウエハを含んで全領域に亘って、基準値である±3%よりも小さくなっており、非常に良好な特性が得られることが判明した。
【0028】
この第2実施例では、第1ステップで供給律速成膜工程を行い、第2ステップで反応律速成膜工程を行ったが、この順序を逆にして、第1ステップで反応律速成膜工程を行い、第2ステップで供給律速成膜工程を行うようにしてもよい。
また、処理容器38内に収容されるウエハサイズ、ウエハ枚数、或いは処理容器38の容量は、単に一例を示したに過ぎず、例示された数値に限定されない。すなわち、図4に示すような膜厚のプロファイルを得られるような供給律速成膜工程と反応律速成膜工程とを実現できればよい。
【0029】
更に、ここではTEOSガスとO2 ガスとを用いてシリコン酸化膜を成膜する場合を例にとって説明したが、これに限定されず、他の膜種を成膜する場合、例えば、SiH4 とN2 Oとを用いてSiO2 を成膜する場合、SiH2 Cl2 とN2 Oとを用いてSiO2 を成膜する場合、SiCl6 とNH3 とを用いてSiNを成膜する場合、TEOA(トリエトキシアルシン)とTEOSとを用いてAsSG(ヒ素ガラス(シリコンオキサイド))を成膜する場合、TMB(トリメトキシボロン)とTEOSとPH3 とを用いてBPSG(ボロンリンドープドガラス)を成膜する場合等にも、本発明方法を適用することができる。
また更に、本発明は、縦型のバッチ式の成膜装置のみならず、横型のバッチ式の成膜装置、或いは枚葉式の成膜装置にも適用することができる。
また、本発明は、被処理体として半導体ウエハに限定されず、ガラス基板やLCD基板等にも適用することができる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の成膜方法及び成膜装置によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
本発明によれば、処理容器内へ供給される成膜ガスを予備加熱して活性化させるようにしたので、成膜ガスの反応を促進させることができ、このため、被処理体の表面に略均一に薄膜を堆積させることができ、膜厚の面内均一性を向上させることができる。
また、成膜処理を行うに際して、供給律速の成膜処理と反応律速の成膜処理とを連続的に行うようにしたので、両者の特性が相乗されて膜厚の面内均一性を更に向上させることができる。
特に請求項2に係る発明によれば、縦型、或いは横長の処理容器内の成膜ガスの供給側に収容された被処理体に堆積する膜厚の面内均一性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための成膜装置を示す構成図である。
【図2】ウエハボート上のウエハ位置と膜厚の面内均一性と温度との関係を示すグラフである。
【図3】ウエハボート上のウエハ位置と膜厚の面内均一性と温度との関係を示すグラフである。
【図4】供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とを行った時の膜厚の変位を模式的に示す図である。
【図5】シミュレーションにより供給律速状態の成膜工程を行った時の膜厚とその面内均一性との関係を示すグラフである。
【図6】シミュレーションにより供給律速状態の成膜工程と反応律速状態の成膜工程とを行った時の膜厚とその面内均一性との関係を示すグラフである。
【図7】実際に行った本発明方法の第2実施例におけるTEOSガスの流量変化を示すグラフである。
【図8】第2実施例で行われた成膜処理の膜厚とその面内均一性を示すグラフである。
【図9】従来の縦型の成膜装置の一例を示す概略構成図である。
【符号の説明】
30 成膜装置
38 処理容器
40 加熱手段
48 ウエハボート(被処理体支持手段)
66 ガス供給手段
70 成膜ガス供給系
72 酸化ガス供給系
88 予備加熱手段
90 加熱容器
W 半導体ウエハ(被処理体)
Claims (6)
- 真空引き可能になされた処理容器内に成膜ガスを供給して被処理体の表面に薄膜を形成する成膜方法において、
前記成膜ガスを前記処理容器内へ供給する直前に予備加熱する工程と、
前記処理容器内で供給律速状態で成膜を行う供給律速成膜工程と、
前記処理容器内で反応律速状態で成膜を行う反応律速成膜工程と、
を有することを特徴とする成膜方法。 - 前記処理容器は、所定の長さを有すると共に前記処理容器内には前記被処理体が複数枚収容され、前記成膜ガスは前記処理容器の一端側より供給されることを特徴とする請求項1記載の成膜方法。
- 前記供給律速成膜工程の際には、前記成膜ガスの供給側に位置する前記被処理体の温度は、他の部分の被処理体の温度よりも高く設定されることを特徴とする請求項2記載の成膜方法。
- 前記成膜ガスはTEOSであり、前記処理容器の大きさが前記被処理体を一度に略170枚程度収容できるような大きさの場合には、前記供給律速成膜工程の際の前記成膜ガスの流量は10〜40sccmの範囲内であることを特徴とする請求項2または3記載の成膜方法。
- 前記成膜ガスは、200〜530℃の範囲内に予備加熱されることを特徴とする請求項4記載の成膜方法。
- 被処理体に対して所定の成膜を堆積させる成膜装置において、
真空引き可能になされた処理容器と、
前記処理容器内で前記被処理体を保持する被処理体保持手段と、
前記被処理体を加熱する加熱手段と、
前記処理容器内に成膜ガスを含む必要な処理ガスを供給するガス供給手段と、
前記ガス供給手段に設けられて前記成膜ガスを予備加熱する予備加熱手段と、
を備え、前記成膜ガスを前記処理容器内へ供給する直前に予備加熱する工程と、前記処理容器内で供給律速状態で成膜を行う供給律速成膜工程と、前記処理容器内で反応律速状態で成膜を行う反応律速成膜工程とを行なうように制御するように構成したことを特徴とする成膜装置。
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