JP3899001B2 - Vベルト式無段変速機のライン圧制御装置 - Google Patents

Vベルト式無段変速機のライン圧制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Vベルト式無段変速機の変速制御に用いる元圧としてのライン圧が、変速アクチュエータの取り付け誤差などのハードウエアに関するバラツキによる影響を受けて変化することのないようにしたライン圧制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Vベルト式無段変速機は、エンジン回転を入力されるプライマリプーリと、車輪に結合する出力側のセカンダリプーリとを両者のプーリV溝が整列するよう配置して具え、これらプーリのV溝にVベルトを掛け渡して伝動系を構成する。
この伝動系を変速可能にするために、プライマリプーリおよびセカンダリプーリのV溝を形成するフランジのうち一方を固定フランジとし、他方のフランジを軸線方向へ変位可能な可動フランジとする。
これら可動フランジはそれぞれ、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧により固定フランジに向け附勢し、これによりVベルトをプーリフランジに摩擦係合させてプライマリプーリおよびセカンダリプーリ間での動力伝達を可能にする。
【0003】
変速に際しては、特許文献1に記載のように変速アクチュエータ(通常はステップモータ)を目標変速比に対応した操作位置(ステップ数)にすることで、上記のプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間に目標変速比対応の差圧を生じさせ、この差圧により両プーリのV溝幅を変更して目標変速比を実現することができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−178042号公報
【0005】
一方で上記ステップモータのステップ数(Step)を決定するには、運転状態に応じた目標変速比(Ip)から図11に例示するよう予め求めておいた理論上のStep-Ip特性を基に当該ステップ数を検索して求める。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記プライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧の元圧であるライン圧は、エンジン駆動されるオイルポンプからの作動油を媒体とするためライン圧の高さがエンジンの燃費を大きく左右する。
そのため、ライン圧は必要最小限の値に調圧するよう設計するのが常套である。
【0007】
上記したライン圧の決定故に、例えばハードウェアのバラツキなどによってライン圧が不足する可能性を完全にはなくすことができず、この場合、図11のStep-Ip特性を移記した図12に破線で示す特性が実線で示すように変位したものとなり、同じ目標変速比Ipでもαで例示するごとくに余分に多くのステップ数をステップモータに指示しないと当該目標変速比を実現することができず、目標変速比の達成が遅れたり、最高速(最ハイ)変速比が要求される場合はこれを実現することができなくなる(最ハイ未達状態)。
【0008】
なお、従来は変速に際して操作するプライマリプーリ圧の受圧面積を制御の都合上セカンダリプーリ圧受圧面積よりも2倍程度の大きさとしていたが、Vベルト式無段変速機の小型化の要求に鑑み、プライマリプーリ圧受圧面積をセカンダリプーリ圧受圧面積と同じにすることが考えられており、この場合、セカンダリプーリ圧はセンサで検出してこれを基にフィードバック制御するが、プライマリプーリ圧は変速制御弁を介してフィードフォワード制御することから、上記のような問題が特に顕著になる。
【0009】
なお上記問題の対処策としては、図12に示すように変速アクチュエータの実操作位置Step2と、実変速比から求めた当然にあるべき変速アクチュエータの操作位置Step1との間におけるずれ量αがライン圧の過不足になって現れることから、このずれ量がなくなるようライン圧を制御することが考えられる。
しかしかかるライン圧制御では、変速アクチュエータ(ステップモータ)の取り付け誤差などのハードウエアのバラツキがある時に以下に説明するような問題を生ずる。
【0010】
つまり、ライン圧の過不足がなくてStep-Ip特性が本来なら図11の理論上の特性を移記した図13および図15に細い破線で示すようなものであるところながら、変速アクチュエータの取り付け誤差などのバラツキによっても実Step-Ip特性は、図13および図15に細い破線で示す理論上の特性から太い破線で示すようにステップ進み方向にずれたり(図13)、或いはステップ遅れ方向にずれる(図15)。
上記のライン圧制御によれば、変速アクチュエータの取り付け誤差などのバラツキによる実Step-Ip特性の理論特性からのずれ量をもライン圧の過不足と判断してライン圧を無用に変化させてしまう。
ちなみに、変速アクチュエータの取り付け誤差などにより実Step-Ip特性が理論特性からずれた場合は、元圧であるライン圧が十分であることから当該ずれ分だけ変速アクチュエータを進めたり戻すことにより目標変速比を実現可能であることからライン圧の補正は不要であるし、むしろこの時におけるライン圧の補正はライン圧の過大による燃費の悪化や、ライン圧不足による目標変速比未達の弊害を生ずる。
【0011】
本発明は、変速アクチュエータの実操作位置と、実変速比から求めた当然あるべき変速アクチュエータの操作位置との間におけるずれ量に基づいて行う上記のライン圧制御方式を踏襲するが、
変速アクチュエータの取り付け誤差などにより実Step-Ip特性が理論特性からずれた場合におけるライン圧制御への影響を排除して、この場合にライン圧が無用に補正されることのないようになし、もって上記の問題を解消し得たVベルト式無段変速機のライン圧制御装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明のライン圧制御装置は、請求項1に記載のごとく、
入力側のプライマリプーリおよび出力側のセカンダリプーリ間にVベルトを掛け渡して具え、変速アクチュエータを目標変速比に対応した操作位置にすることで、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間の差圧により前記両プーリのV溝幅を変更して前記目標変速比を実現するようにしたVベルト式無段変速機において、
前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間の回転数比で表される実変速比から換算した前記変速アクチュエータの実変速比対応操作位置と、該変速アクチュエータの実操作位置との間におけるアクチュエータ操作位置ずれ量が許容ずれ量となるようライン圧を制御するが、この際、
前記許容ずれ量を、変速状態が安定している間に学習した前記アクチュエータ操作位置ずれ量に関する学習ずれ量だけ嵩上げして前記ライン圧制御に資するよう構成したことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
Vベルトを介したプライマリプーリおよびセカンダリプーリ間での動力伝達中、変速アクチュエータを目標変速比に対応した操作位置にすると、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間に目標変速比に対応した差圧が発生し、これに応動して両プーリのV溝幅が目標変速比を実現するよう変更される。
ここで本発明によるライン圧制御装置は、プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間の回転数比で表される実変速比から変速アクチュエータの実変速比対応操作位置を換算して求め、変速アクチュエータの当該実変速比対応操作位置との実操作位置との間におけるアクチュエータ操作位置ずれ量が許容ずれ量となるようライン圧を制御する。
【0014】
変速アクチュエータの上記実変速比対応操作位置は、実変速比から当然あるべき変速アクチュエータの操作位置のことを意味し、変速アクチュエータの当該実変速比対応操作位置と実操作位置との間におけるアクチュエータ操作位置ずれ量がライン圧の過不足量に対応することから、このアクチュエータ操作位置ずれ量が許容ずれ量となるようライン圧を制御する上記のライン圧制御によれば、ライン圧の過不足を解消して目標変速比の達成遅れや最ハイ未達を回避することができる。
【0015】
ところで本発明においては上記の許容ずれ量を、変速状態が安定している間に学習した上記アクチュエータ操作位置ずれ量に関する学習ずれ量だけ嵩上げして上記のライン圧制御に資するため、そしてこの学習ずれ量が変速アクチュエータの取り付け誤差などのバラツキに伴う実Step-Ip特性の理論特性からのずれ量に相当するから、
ライン圧制御に供される許容ずれ量が、変速アクチュエータの取り付け誤差などに伴うStep-Ip特性のずれ量を見込んで決定され、結果して、変速アクチュエータの取り付け誤差などに伴うStep-Ip特性のずれによるライン圧制御への影響を排除し得ることとなり、変速アクチュエータの取り付け誤差などに伴うStep-Ip特性のずれ量をライン圧の過不足に基づくものであると誤判断してライン圧を無用に補正するのを防止することができ、もって無用なライン圧補正の結果、ライン圧が過大にされて燃費の悪化を生じたり、ライン圧不足により目標変速比未達が生じたりするのを回避することができる。
【0016】
なお本発明においては請求項2に記載のごとく、上記学習の開始時における学習ずれ量の初期値として、変速アクチュエータの操作位置と変速比との関係(Step-Ip特性)を理論通りのものとするのに必要なライン圧となるような初期値を設定するのがよい。
この場合、ライン圧不足によるStep-Ip特性の理論特性からのずれを生ずることがない状態にされているため、Step-Ip特性のずれが変速アクチュエータの取り付け誤差などに基づくものと断じることができ、従って、前記の学習ずれ量が変速アクチュエータの取り付け誤差などに伴うアクチュエータ操作位置ずれ量に対応して上記した本発明の作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0017】
また本発明においては請求項3に記載のごとく、実変速比が最ハイ変速比である間に前記の学習を行わせたり、
請求項4に記載のごとく、目標変速比が変化していない定常走行状態の間に前記の学習を行わせたり、
請求項5に記載のごとく、これらの条件を含む変速状態の安定が設定時間継続した時に前記の学習を行わせるのが、学習ずれ量の検出精度を高めるために有効である。
【0018】
さらに本発明においては請求項6に記載のごとく、前記アクチュエータ操作位置ずれ量から前記許容ずれ量および学習ずれ量の和値を差し引いて求めた差値を積分してその積分値に応じ、この積分値が小さくなるよう前記のライン圧制御を行うのがよい。
この場合、アクチュエータ操作位置ずれ量と、許容ずれ量および学習ずれ量の和値との間における差の積算値に応じたライン圧制御が行われることとなり、ライン圧制御精度を高めることができる。
【0019】
また本発明においては請求項7に記載のごとく、実変速比の変化速度が設定値以上の間は直前の積分値を保持するのがよい。
この場合、変速速度が速いことで発生する前記両操作位置間のずれに基づくライン圧制御が行われるのを排除して制御精度を高めることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は、Vベルト式無段変速機1の概略を示し、このVベルト式無段変速機はプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3を両者のV溝が整列するよう配して具え、これらプーリ2,3のV溝にVベルト4を掛け渡す。
プライマリプーリ2に同軸にエンジン5を配置し、このエンジン5およびプライマリプーリ2間にエンジン5の側から順次ロックアップトルクコンバータ6および前後進切り替え機構7を設ける。
【0021】
前後進切り替え機構7は、ダブルピニオン遊星歯車組7aを主たる構成要素とし、そのサンギヤをトルクコンバータ6を介してエンジン5に結合し、キャリアをプライマリプーリ2に結合する。
前後進切り替え機構7は更に、ダブルピニオン遊星歯車組7aのサンギヤおよびキャリア間を直結する前進クラッチ7b、およびリングギヤを固定する後進ブレーキ7cを具え、前進クラッチ7bの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転をそのままプライマリプーリ2に伝達し、後進ブレーキ7cの締結時にエンジン5からトルクコンバータ6を経由した入力回転を逆転減速下にプライマリプーリ2へ伝達するものとする。
【0022】
プライマリプーリ2への回転はVベルト4を介してセカンダリプーリ3に伝達され、セカンダリプーリ3の回転はその後、出力軸8、歯車組9およびディファレンシャルギヤ装置10を経て図示せざる車輪に至る。
上記の動力伝達中にプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3間における回転伝動比(変速比)を変更可能にするために、プライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3のV溝を形成するフランジのうち一方を固定フランジ2a,3aとし、他方のフランジ2b,3bを軸線方向へ変位可能な可動フランジとする。これら可動フランジ2b,3bはそれぞれ、詳しくは後述するごとくに制御するライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecをプライマリプーリ室2cおよびセカンダリプーリ室3cに供給することにより固定フランジ2a,3aに向け附勢し、これによりVベルト4をプーリフランジに摩擦係合させてプライマリプーリ2およびセカンダリプーリ3間での前記動力伝達を可能にする。
なお本実施の形態においては特に、プライマリプーリ室2cおよびセカンダリプーリ室3cの受圧面積を同じにし、プーリ2,3の一方が大径になることのないようにし、これによりVベルト式無段変速機の小型化を図る。
【0023】
なお変速に際しては、後述のごとく目標変速比に対応させて発生させたプライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psec間の差圧により両プーリ2,3のV溝幅を変更して、これらプーリ2,3に対するVベルト4の巻き掛け円弧径を連続的に変化させることで目標変速比を実現することができる。
【0024】
プライマリプーリ圧Ppriおよびセカンダリプーリ圧Psecの出力は、前進走行レンジの選択時に締結すべき前進クラッチ7bおよび後進走行レンジの選択時に締結すべき後進ブレーキ7cの締結油圧の出力と共に変速制御油圧回路11により制御し、この変速制御油圧回路11は変速機コントローラ12からの信号に応答して当該制御を行うものとする。
このため変速機コントローラ12には、プライマリプーリ回転数Npriを検出するプライマリプーリ回転センサ13からの信号と、セカンダリプーリ回転数Nsecを検出するセカンダリプーリ回転センサ14からの信号と、セカンダリプーリ圧Psecを検出するセカンダリプーリ圧センサ15からの信号と、アクセルペダル踏み込み量APOを検出するアクセル開度センサ16からの信号と、インヒビタスイッチ17からの選択レンジ信号と、変速作動油温TMPを検出する油温センサ18からの信号と、エンジン5の制御を司るエンジンコントローラ19からの変速機入力トルクに関した信号(エンジン回転数や燃料噴時間)とを入力する。
【0025】
変速制御油圧回路11および変速機コントローラ12は図2に示すごときもので、先ず変速制御油圧回路11について以下に説明する。
この回路は、エンジン駆動されるオイルポンプ21を具え、これから油路22への作動油を媒体として、これをプレッシャレギュレータ弁23により所定のライン圧Pに調圧する。
油路22のライン圧Pは、一方で減圧弁24により調圧されセカンダリプーリ圧Psecとしてセカンダリプーリ室3cに供給され、他方で変速制御弁25により調圧されプライマリプーリ圧Ppriとしてプライマリプーリ室2cに供給される。
なお、プレッシャレギュレータ弁23は、ソレノイド23aへの駆動デューティーによりライン圧Pを制御し、減圧弁24は、ソレノイド24aへの駆動デューティーによりセカンダリプーリ圧Psecを制御するものとする。
【0026】
変速制御弁25は、中立位置25aと、増圧位置25bと、減圧位置25cとを有し、これら弁位置を切り換えるために変速制御弁25を変速リンク26の中程に連結し、該変速リンク26の一端に、変速アクチュエータとしてのステップモータ27を、また他端にセカンダリプーリの可動フランジ2bを連結する。
ステップモータ27は、基準位置から目標変速比に対応したステップ数Stepだけ進んだ操作位置にされ、かかるステップモータ27の操作により変速リンク26が可動フランジ2bとの連結部を支点にして揺動することにより、変速制御弁25を中立位置25aから増圧位置25bまたは減圧位置25cとなす。
これにより、プライマリプーリ圧Ppriがライン圧Pを元圧として増圧されたり、またはドレンにより減圧され、セカンダリプーリ圧Psecとの差圧が変化することでハイ側変速比へのアップシフトまたはロー側変速比へのダウンシフトを生じ、目標変速比に向けての変速が生起される。
【0027】
当該変速の進行は、プライマリプーリの可動フランジ2cを介して変速リンク26の対応端にフィードバックされ、変速リンク26がステップモータ27との連結部を支点にして、変速制御弁25を増圧位置25bまたは減圧位置25cから中立位置25aに戻す方向へ揺動する。
これにより、目標変速比が達成される時に変速制御弁25が中立位置25aに戻され、目標変速比を保つことができる。
【0028】
プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、減圧弁24のソレノイド駆動デューティー、およびステップモータ27への変速指令(ステップ数Step)は、図1に示す前進クラッチ7bおよび後進ブレーキ7cへ締結油圧を供給するか否かの制御と共に変速機コントローラ12により決定し、このコントローラ12を図2に示すように圧力制御部12aおよび変速制御部12bで構成する。
圧力制御部12aは、プレッシャレギュレータ弁23のソレノイド駆動デューティー、および減圧弁24のソレノイド駆動デューティーを後述のように決定し、変速制御部12bは以下のようにしてステップモータ27の駆動ステップ数Stepを決定する。
【0029】
つまり変速制御部12bは先ず、セカンダリプーリ回転数Nsecから求め得る車速およびアクセルペダル踏み込み量APOを用いて予定の変速マップを基に目標入力回転数を求め、これをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより、運転状態(車速およびアクセルペダル踏み込み量APO)に応じた目標変速比を求める。
次いで、プライマリプーリ回転数Npriをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算することにより実変速比を演算し、上記目標変速比に対する実変速比の偏差に応じて外乱補償しながら実変速比を目標変速速度で目標変速比に漸近させるための変速比指令を求める。
そして、この変速比指令を実現するためのステップモータ27のステップ数Stepを求め、これをステップモータ27に指令することで前記の変速動作により目標変速比を達成することができる。
【0030】
次に圧力制御部12aを説明するに、ここでは定時割り込みにより図3に示すような制御を繰り返し実行する。
先ず、ステップS1においてプライマリプーリ回転数Npriをセカンダリプーリ回転数Nsecで除算して実変速比Ipを算出する。
次のステップS2では、エンジンコントローラ19(図1参照)からの入力トルク関連情報(エンジン回転数や燃料噴射時間)を基に変速機入力トルクTiを演算する。
次のステップS3では、実変速比Ipおよび入力トルクTiから図4に例示するマップを基に必要セカンダリプーリ圧Psecを求め、センサ15で検出した実セカンダリプーリ圧Psecと必要セカンダリプーリ圧Psecとの偏差に応じたフィードバック制御により、実セカンダリプーリ圧Psecを必要セカンダリプーリ圧Psecに一致させるための減圧弁24の駆動デューティーを決定し、これをソレノイド24aに出力する。
【0031】
以下、ステップS4以後の本発明に係わるライン圧制御を説明する。
ステップS4では、上記した実変速比Ipおよび入力トルクTiから図5に例示するマップを基に必要プライマリプーリ圧Ppriを求め、
ステップS5で、実変速比Ipから予定のマップを基に、変速制御弁25の圧力損失を考慮してプライマリプーリ圧に設定すべき余裕率を求め、
ステップS6で、必要プライマリプーリ圧Ppriに上記の余裕率を掛けた値に更に安全代分のオフセット量を加算して目標プライマリプーリ圧Ppri(0)を求める。
【0032】
次いでステップS7において、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを、図6および図7に示すようにして求める。
図7は主に、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPの演算に先だって行うべき、ステップモータ27の実ステップ数Astepと後述する実変速比対応ステップ数Bstepとの間におけるステップモータ操作位置ずれ量ΔStepに関する学習処理を示す。
先ずステップS31において、当該学習の1回目の処理か否かをチェックする。
1回目であれば制御をステップS32に進め、ステップモータ操作位置(ステップ数)ずれ量の学習値(学習ずれ量)ΔStep(L)として、ライン圧を十分に高くする初期学習値ΔStep(S)を与え、その後制御をステップS33に進める。
この学習ずれ量の初期値ΔStep(S)はその極性も含め、学習の開始時においてステップモータ27のステップ数と変速比との関係を図11に示す理論通りのものとするのに必要なライン圧となるような初期値とする。
しかし、ステップS31で2回目以後の処理であると判定する時は、ステップS32をスキップして制御をステップS33に進める。
【0033】
ステップS33では、学習が失敗したか成功したかを判定する。この判定に当たっては、学習ずれ量ΔStep(L)が初期学習値ΔStep(S)でなくなっていて、つまり学習が終了していて、且つ、変速速度が微少設定値未満の定常走行状態であり、加えて、ステップモータ操作位置ずれ量ΔStepの絶対値(ステップモータ制御偏差)が設定値以上である場合、つまり学習が終了していて定常走行であるにもかかわらずステップモータ制御偏差が大きい(制御のハンチングを生じている)状態が例えば2秒間続いた時をもって学習が失敗したと判定する。
学習が失敗している場合は、制御をステップS32に戻して学習をやり直し、成功している場合は、ステップS34およびステップS35において、学習条件が満たされているか否かをチェックする。
【0034】
ステップS34では、ステップS32での処理によりライン圧が十分出ているか否か、そして、変速比が最ハイ変速比選択状態か否か、また、ステップモータ27の実ステップ数Astep が変化していないとか実変速比が目標変速比にほぼ一致しているとかにより定常走行状態か否か、更に加えて、スロットル開度TVOが低開度か否かを判定する。
ステップS34でライン圧が十分出ていて、且つ、最ハイ変速比選択状態であり、更に加えて、定常走行状態であり、且つ低スロットル開度と判定し、ステップS35で、この状態が設定時間(例えば2秒)続いたと判定する時、ステップS36において、ステップモータ27の実ステップ数Astepと実変速比対応ステップ数Bstepとの間におけるステップモータ操作位置ずれ量ΔStepに関する学習を行い、この時におけるステップモータ操作位置ずれ量ΔStepを学習ずれ量ΔStep(L)として更新する。
【0035】
なお、ステップS34でライン圧が十分出ていないと判定したり、または、最ハイ変速比選択状態でないと判定したり、或いは、定常走行状態でないと判定したり、またはスロットル開度TVOが大開度であると判定したり、ステップS35で、前記の学習条件が満たされても設定時間(例えば2秒)に亘って継続していないと判定する時は、制御をステップS33に戻して学習条件をチェックし直す。
ステップS37では、ステップS36で求めた学習ずれ量ΔStep(L)を1因子として、図7につき以下に詳述する処理によりライン圧補正量ΔPを決定する。
【0036】
図7のステップS21においては、前記の実変速比Ipのもとで当然あるべきステップモータ27のステップ数、つまり実変速比対応ステップ数Bstep(ステップモータ27の実変速比対応操作位置)を実変速比Ipから変速制御時とは逆の換算により求める。
ステップS22では、この実変速比対応ステップ数Bstepと実ステップ数Astep(ステップモータ27への指令ステップ数Stepに同じで、ステップモータ27の実操作位置を表す)との間における偏差(ステップモータ27の操作位置ずれ量)ΔStepをΔStep=Astep−Bstepにより求める。
【0037】
ステップS23において、実変速比Ipの変化速度(変速速度)が設定値未満の比較的遅い変速速度であると判定し、且つ、ステップS24で実変速比Ipがロー側設定値以上でないハイ側変速比であると判定する間、制御をステップS25に進め、ここでは、実変速比対応ステップ数Bstepと実ステップ数Astepとの間における偏差(ステップモータ27の位置ずれ量)ΔStepから、許容ずれ量LimStepおよび前記ステップS36で更新した学習ずれ量ΔStep(L)の和値を差し引いた差値、つまり許容ずれ量LimStepおよび学習ずれ量ΔStep(L)の和値を越えたステップモータ27の位置ずれ量ΔStepの部分を積分し、その積分値に、ステップ数をプライマリプーリ圧に変換する時に使う換算ゲインGを掛けて、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを求める。
【0038】
ステップS26およびステップS27では、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPが上限および下限を越えることのないよう制限しつつ、またプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPの時間変化率を制限しつつ最終的なプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを定める。
【0039】
なおステップS23で実変速比Ipの変化速度(変速速度)が設定値以上の比較的早い変速速度であると判定する場合は、ステップS28において前記の積分を停止し、積分値を保持して制御をステップS25に進め、
ステップS24で実変速比Ipがロー側設定値以上のロー側変速比であると判定する場合は、ステップS29でプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを0にリセットして制御をステップS26に進める。
【0040】
図7の制御プログラムをブロック線図により示すと図8のごとくに表され、実変速比対応ステップ数演算部31で、実変速比対応ステップ数Bstepを実変速比Ipから変速制御時とは逆の換算により求める。
そして、この実変速比対応ステップ数Bstepと実ステップ数Astepとの間における偏差(ステップモータ27の位置ずれ量)ΔStepをΔStep=Astep−Bstepにより求める。
その後、このステップ数偏差(ステップモータ27の位置ずれ量)ΔStepから許容ずれ量LimStepおよび学習ずれ量ΔStep(L)の和値を差し引いて、許容ずれ量LimStepおよび学習ずれ量ΔStep(L)の和値を越えたステップモータ27の位置ずれ量ΔStepの部分[ΔStep−LimStep−ΔStep(L)]を求め、これを積分器32の一方の入力に供給し、積分器32の他方の入力には0を供給する。
積分器32は、変速速度が設定値未満の遅い変速である間、上記一方の入力からの[ΔStep−LimStep−ΔStep(L)]を基に積分を行い、変速速度が設定値以上の速い変速である間、上記他方の入力からの0を積分して結果的に積分値を保持する。
【0041】
ステップ数−油圧換算器33は、上記の積分値に、ステップ数をプライマリプーリ圧に変換する時に使う換算ゲインGを掛けて、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを求める。
ライン圧リセット器34は、実変速比Ipがロー側設定値以上のロー側変速比である場合に、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを0にリセットする。
ライン圧補正量リミッター35は、プライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPが上限および下限を越えることのないよう制限し、ライン圧補正量増減率リミッター36はプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPの時間変化率を制限し、これらの制限下で最終的なプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを定める。
【0042】
図6および図7につき上記したごとくにしてプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを求めた後は、図3のステップS8において、ステップS6で求めた目標プライマリプーリ圧Ppri(0)にプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを加算してプライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)とする。
次いでステップS9においてプライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)を前記の必要セカンダリプーリ圧Psecと比較し、プライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)が必要セカンダリプーリ圧Psec以上なら、ステップS10で目標ライン圧P としてプライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)と同じ値をセットし、目標ライン圧P に対応する駆動デューティーをプレッシャレギュレータ弁23のソレノイド23aに出力し、プライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)が必要セカンダリプーリ圧Psec未満なら、ステップS11で目標ライン圧P として必要セカンダリプーリ圧Psecと同じ値をセットし、目標ライン圧P に対応する駆動デューティーをプレッシャレギュレータ弁23のソレノイド23aに出力する。
【0043】
図3のステップS8〜ステップS11による処理は、図8の後部におけるブロック線図のようにも表すことができ、加算機37で目標プライマリプーリ圧Ppri(0)にプライマリプーリ圧過不足量(ライン圧補正量)ΔPを加算することによりプライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)を求める。
そしてセレクトハイ選択部38において、プライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)と必要セカンダリプーリ圧Psecとの大きい方を選択し、これと同じ値を目標ライン圧P にセットしてライン圧制御に資する。
【0044】
以上のライン圧制御によれば、実変速比Ipからステップモータ27の当然あるべき実変速比対応ステップ数(実変速比対応操作位置)Bstepを求め、これと実際のステップ数Astep(ステップモータ27の実操作位置)との間における操作位置ずれ量ΔStep=Astep−Bstepを求め、この操作位置ずれ量ΔStepから許容ずれ量LimStepおよび学習ずれ量ΔStep(L)の和値を差し引いて得られる値 [ΔStep−LimStep−ΔStep(L)]を積分し、その積分値が減少するよう、つまり上記の操作位置ずれ量ΔStepが許容ずれ量LimStepに向けて収束しつつ減少するようライン圧を補正することとなる。
ところで、上記の操作位置ずれ量ΔStepがライン圧の過不足量に対応することから、これが減少するようライン圧を補正する上記のライン圧制御によれば、最ハイ未達状態となる前の段階から、つまりライン圧の過不足が発生したら直ちに、そしてライン圧の不足だけでなく過剰時もこれを補正し得ることとなり、如何なるライン圧の不正もこれを遅滞なく正して、操作位置ずれ量ΔStepが許容ずれ量LimStepに収束するようライン圧を補正することができ、ライン圧の過不足による目標変速比の達成遅れを速やかに解消することができる。
【0045】
また、上記の操作位置ずれ量ΔStepが減少するようライン圧を補正するに際し、上記の積分値が小さくなるようライン圧を補正する構成故に、操作位置ずれ量ΔStepの積算値に応じたライン圧補正が行われることとなってライン圧補正精度を高めることができる。
更に、図7のステップS23で実変速比Ipの変化速度が設定値以上であると判定する間は、ステップS28において直前の積分値を保持するようにしたから、変速速度が速い時に発生する操作位置ずれ量ΔStepに基づくライン圧の補正が行われるのを排除して制御精度を高めることができる。
また、図7のステップS24で実変速比が設定値以上のロー側変速比であると判定する間はライン圧補正量ΔPを0にリセットするため、ライン圧の過不足がほとんど問題とならないロー側変速比である間にライン圧補正量をリセットしてライン圧補正制御をやり直すこととなり、ライン圧の不正が解消されているにもかかわらず、これまでの積分値に基づくライン圧補正が継続される不都合を回避することができる。
【0046】
なお、ステップS26においてライン圧の補正量ΔPに上下限値を設定したり、ステップS27においてライン圧補正量ΔPの時間変化率に上下限を設定したから、ライン圧の補正量が大きくなって、またライン圧補正量の時間変化率が大きくなって、ライン圧を元圧とするプライマリプーリ圧やセカンダリプーリ圧が急変し、ショックが発生するのを防止することができる。
【0047】
ところで本実施の形態においては上記のライン圧補正に際し、ステップモータ27の操作位置ずれ量ΔStepから許容ずれ量LimStepそのものを差し引いて得られる値ではなく、許容ずれ量LimStepを学習ずれ量ΔStep(L)だけ嵩上げした値[LimStep+ΔStep(L)]を操作位置ずれ量ΔStepから差し引いて得られる値 [ΔStep−LimStep−ΔStep(L)]を積分し、その積分値が減少するようライン圧を補正することから、
ステップモータ27の取り付け誤差などによる実Step-Ip特性のずれ量を表す学習ずれ量ΔStep(L)が、ステップモータ27の操作位置ずれ量ΔStepに含まれるステップモータ27の取り付け誤差などによるずれ量を相殺した後の値を積分して上記のライン圧補正に供されることになり、
結果として、ステップモータ27の取り付け誤差などによる実Step-Ip特性のずれ量をライン圧に関与しないよう排除することができ、ステップモータ27の取り付け誤差などによる実Step-Ip特性のずれ量に左右されることなく、上記の操作位置ずれ量ΔStepが許容ずれ量LimStepに収束するようライン圧を補正することができる。
【0048】
更に付言すれば、ステップモータ27の取り付け誤差により実Step-Ip特性が、図13および図15に細い破線で示す理論上のStep-Ip特性に対し太い破線で示すようにステップ進み方向にずれたり(図13)、ステップ遅れ方向にずれた(図15)場合につき説明すると、許容ずれ量LimStepを学習ずれ量ΔStep(L)だけ嵩上げした後の許容ずれ量[LimStep+ΔStep(L)]はそれぞれ図13および図15に示すごとく、理論上のStep-Ip特性上における点β1,β2と、ずれたStep-Ip特性を基準とした時の収束Step-Ip特性上における点γ1,γ2との間のステップ数となり、ここに理論上のStep-Ip特性と実Step-Ip特性との間におけるステップ数のずれが入り込むのを排除することができる。
【0049】
従って、許容ずれ量LimStepを学習ずれ量ΔStep(L)だけ嵩上げした値[LimStep+ΔStep(L)]を操作位置ずれ量ΔStepから差し引いて得られる値 [ΔStep−LimStep−ΔStep(L)]を積分し、その積分値が減少するようライン圧を補正する本実施の形態によれば、ステップモータ27の取り付け誤差などにより実Step-Ip特性がずれたのをライン圧の過不足と誤判断してライン圧を無用に補正することがなくなり、ライン圧の過不足により許容ずれ量LimStepを越えるような操作位置ずれ量ΔStepが発生する場合にのみ、前記したごとく操作位置ずれ量ΔStepが許容ずれ量LimStepに収束するようライン圧を補正することができる。
これがため、ステップモータ27の取り付け誤差などにより実Step-Ip特性が図13および図15に示すようにずれた場合における変速制御弁25のストロークとライン圧P およびプライマリプーリ圧Ppriとの関係を示す図14および図16から明らかなように、変速制御弁25の設計上の中立点であるL0のストローク位置に対して必要プライマリプーリ圧Ppri* に対応したストローク位置L1,L2が異なってもライン圧P は同じに保たれ、ステップモータ27の取り付け誤差などにより実Step-Ip特性がずれた場合にライン圧が無用に補正されるのを防止することができ、
当該無用なライン圧補正の結果、ライン圧が過大にされて燃費の悪化を生じたり、ライン圧不足により目標変速比未達が生じたりするのを回避することができる。
【0050】
なお本実施の形態においては図6のステップS32で、前記学習の開始時における学習ずれ量ΔStep(L)の初期値として、Step-Ip特性を理論通りのものとするのに必要なライン圧となるような初期値ΔStep(S)を設定したから、
ライン圧不足によるStep-Ip特性の理論特性からのずれを生ずることがない状態にして上記の学習を行うこととなり、Step-Ip特性のずれがステップモータの取り付け誤差などに基づくものと断じることができ、従って、学習ずれ量ΔStep(L)がステップモータの取り付け誤差などに伴う操作位置ずれ量ΔStepに対応して上記した作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0051】
また、同じく図6のステップS34で実変速比が最ハイ変速比である間に前記の学習を行わせたり、目標変速比が変化していない定常走行状態の間に前記の学習を行わせたり、ステップS35でこれらの条件を含む変速状態の安定が設定時間継続した時に前記の学習を行わせるため、学習ずれ量ΔStep(L)の検出精度を高めることができ、この点でも上記した作用効果を一層確実なものにすることができる。
【0052】
図9に示す発進時の動作タイムチャートにより前記したライン圧制御を説明するに、スロットル開度TVOを一定の低開度にした発進で目標変速比に実変速比Ipがほぼ一致して最ハイ変速比が選択された定常状態になった瞬時t1から設定時間の2秒間学習の可否判断を以下のごとくに行う。
先ず学習ずれ量ΔStep(L)として、ライン圧を十分に高くする初期学習値ΔStep(S)を与える。この学習ずれ量の初期値ΔStep(S)はその極性も含め、学習の開始時においてステップモータ27のステップ数と変速比との関係を図11に示す理論通りのものとするのに必要なライン圧となるような図示のごとき負値とする。
【0053】
上記の初期学習ずれ量ΔStep(S)の設定によりライン圧が十分出ていて、変速比が最ハイ変速比選択状態であって、また、ステップモータ27の実ステップ数Astep が変化していない定常走行状態、または実変速比が目標変速比にほぼ一致している定常走行状態であって、更に、スロットル開度TVOが低開度であることの条件が設定時間(例えば2秒)整っていたと判定する瞬時t2に、ステップモータ27の実ステップ数Astepと実変速比対応ステップ数Bstepとの間におけるステップモータ操作位置ずれ量ΔStepに関する学習を行い、この時におけるステップモータ操作位置ずれ量ΔStepを学習ずれ量ΔStep(L)として更新し、瞬時t2以後はこれを用いた以下のライン圧制御を行う。
【0054】
つまり、実変速比対応ステップ数Bstepと実ステップ数Astepとの間における偏差(ステップモータ27の位置ずれ量)ΔStepをΔStep=Astep−Bstepにより求め、ステップモータ位置ずれ量ΔStepから許容ずれ量LimStepおよび瞬時t2における学習ずれ量ΔStep(L)の和値を差し引いて、許容ずれ量LimStepおよび学習ずれ量ΔStep(L)の和値を越えたステップモータ27の位置ずれ量ΔStepの部分ΔStep−[LimStep+ΔStep(L)]を求め、これを積分して得られる積分値が減少するようライン圧補正量ΔPが決定され、これとプライマリプーリ圧指令値Ppri(DSR)とにより目標ライン圧P が求められる。
これによりライン圧は、瞬時t2以後における目標ライン圧P の経時変化から明かなように、ステップモータ27の取り付け誤差分だけ戻されて低下するが、この低下は図8における補正量増減率リミッター36の存在により緩やかに行われる。
【0055】
ライン圧の低下が進行するにつれて、これを元圧とするプライマリプーリ圧Ppriが出にくくなって目標変速比からのずれが発生しようとし、これを防止するためにプライマリプーリ圧Ppriを上昇させる必要が生じてステップモータ27の実ステップ数Astepが階段状に図示されるごとく増大する。
これによりステップモータ位置ずれ量ΔStepが[LimStep+ΔStep(L)]に達する瞬時t3にライン圧は十分であるとの判断から、実ステップ数Astepの上昇を終了する。
【0056】
図10は、前記の学習が失敗したか成功したかを判定する動作のタイムチャートを示し、この判定に当たっては前記したごとく、そして瞬時t1〜t2におけるように、学習ずれ量ΔStep(L)が初期学習値ΔStep(S)でなくなっていて、且つ、変速速度が微少設定値未満の定常走行状態であり、加えて、ステップモータ操作位置ずれ量ΔStepの絶対値(ステップモータ制御偏差)が設定値以上である場合、つまり学習が終了していて定常走行であるにもかかわらずステップモータ制御偏差が大きい(制御のハンチングを生じている)状態が発生し、この状態が瞬時t2から例えば2秒間の設定時間に亘り続いた瞬時t3において学習が失敗したと判定する。
学習が失敗した場合は学習をやり直すため瞬時t3以後に示すごとく、学習ずれ量ΔStep(L)として、ライン圧を十分に高くする初期学習値ΔStep(S)を与え、図9の瞬時t1以後におけると同様の処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態になるライン圧制御装置を具えたVベルト式無段変速機を、その変速制御システムと共に示す略線図である。
【図2】 同変速制御システムの詳細を示すブロック線図である。
【図3】 同実施の形態における変速機コントローラの圧力制御部が実行する制御プログラムのフローチャートである。
【図4】 必要セカンダリプーリ圧の変化特性図である。
【図5】 必要プライマリプーリ圧の変化特性図である。
【図6】 図3の制御プログラムにおけるライン圧補正量の演算処理のうち、主にステップモータ操作位置ずれ量学習制御を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図7】 図3の制御プログラムにおけるライン圧補正量の演算処理のうち、主にライン圧補正量演算制御を示すサブルーチンのフローチャートである。
【図8】 同ライン圧補正量の演算処理を示すブロック線図である。
【図9】 同実施の形態になるライン圧制御の動作タイムチャートである。
【図10】 同実施の形態になるライン圧制御のうち、ステップモータ操作位置ずれ量学習制御の正否判定処理に係わる動作タイムチャートである。
【図11】 ライン圧が正常であって、変速用ステップモータの取り付け誤差がない場合のステップモータの変速比−ステップ数特性を示す線図である。
【図12】 ライン圧が不足する場合の変速用ステップモータの変速比−ステップ数特性を、ライン圧が正常な場合と比較して示す線図である。
【図13】 ステップモータの取り付け誤差がある場合の変速用ステップモータの変速比−ステップ数特性を、取り付け誤差がない場合と比較して示す線図である。
【図14】 図13に示すステップモータ取り付け誤差がある場合の変速制御弁ストロークに対するプライマリプーリ圧の変化特性をライン圧と共に示す特性図である。
【図15】 ステップモータの取り付け誤差が図13とは逆の方向にある場合の変速用ステップモータの変速比−ステップ数特性を、取り付け誤差がない場合と比較して示す線図である。
【図16】 図15に示すステップモータ取り付け誤差がある場合の変速制御弁ストロークに対するプライマリプーリ圧の変化特性をライン圧と共に示す特性図である。
【符号の説明】
1 Vベルト式無段変速機
2 プライマリプーリ
3 セカンダリプーリ
4 Vベルト
5 エンジン
6 ロックアップトルクコンバータ
7 前後進切り替え機構
8 出力軸
9 歯車組
10 ディファレンシャルギヤ装置
11 変速制御油圧回路
12 変速機コントローラ
13 プライマリプーリ回転センサ
14 セカンダリプーリ回転センサ
15 セカンダリプーリ圧センサ
16 アクセル開度センサ
17 インヒビタスイッチ
18 油温センサ
19 エンジンコントローラ
21 オイルポンプ
23 プレッシャレギュレータ弁
24 減圧弁
25 変速制御弁
26 変速リンク
27 ステップモータ(変速アクチュエータ)
31 実変速比対応ステップ数演算部
32 積分器
33 ステップ数−油圧換算器
34 リセット器
35 ライン圧補正量リミッター
36 ライン圧補正量増減率リミッター
37 加算器
38 セレクトハイ選択部

Claims (7)

  1. 入力側のプライマリプーリおよび出力側のセカンダリプーリ間にVベルトを掛け渡して具え、変速アクチュエータを目標変速比に対応した操作位置にすることで、ライン圧を元圧として作り出したプライマリプーリ圧およびセカンダリプーリ圧間の差圧により前記両プーリのV溝幅を変更して前記目標変速比を実現するようにしたVベルト式無段変速機において、
    前記プライマリプーリおよびセカンダリプーリ間の回転数比で表される実変速比から換算した前記変速アクチュエータの実変速比対応操作位置と、該変速アクチュエータの実操作位置との間におけるアクチュエータ操作位置ずれ量が許容ずれ量となるよう前記ライン圧を制御すると共に、
    前記許容ずれ量を、変速状態が安定している間に学習した前記アクチュエータ操作位置ずれ量に関する学習ずれ量だけ嵩上げして前記ライン圧制御に資するよう構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  2. 請求項1に記載のライン圧制御装置において、前記学習の開始時における前記学習ずれ量の初期値として、変速アクチュエータの操作位置と変速比との関係を理論通りのものとするのに必要なライン圧となるような初期値を設定したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  3. 請求項2に記載のライン圧制御装置において、実変速比が最ハイ変速比である間に前記学習を行わせるよう構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  4. 請求項2または3に記載のライン圧制御装置において、目標変速比が変化していない定常走行状態の間に前記学習を行わせるよう構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載のライン圧制御装置において、前記変速状態の安定が設定時間継続した時に前記学習を行わせるよう構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載のライン圧制御装置において、前記アクチュエータ操作位置ずれ量から前記許容ずれ量および学習ずれ量の和値を差し引いて求めた差値を積分してその積分値に応じ、この積分値が小さくなるよう前記ライン圧制御を行う構成にしたことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
  7. 請求項6に記載のライン圧制御装置において、前記実変速比の変化速度が設定値以上の間は直前の積分値を保持するよう構成したことを特徴とするVベルト式無段変速機のライン圧制御装置。
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