JP3898487B2 - 歯科用材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、審美性、強度、硬化前のペースト状態での操作性に優れる歯科用材料に関する。具体的用途としては、例えば口腔内で治療される充填修復の他、口腔外で成形されるインレー、アンレー、クラウン、インプラントの上部構造、前装冠、義歯等の成形材料など多岐にわたるが、その中でも特に透明性を有する歯牙表層部に近い部位の修復材料として有用である。
【0002】
【従来の技術】
歯牙の欠損部を補修する歯科用材料として、(メタ)アクリル系レジンの充填組成物を用いる場合、特に歯牙の表層部の補修においては、強度だけでなく審美性(特に高透明度)が要求される。更に、通常、ペースト状の組成物として供給される該充填組成物は、重合開始剤を用いて重合性単量体を硬化させることにより、歯牙の補修物として機能しうる機械的物性を有するようになるが、硬化前のペースト状の組成物は歯牙の形状に成形する必要があり、その成形を容易に行いうる良好な操作性を有する必要がある。
【0003】
従来、歯科用材料として用いられる(メタ)アクリル系レジンは、無機フィラーを配合した複合組成物(コンポジットレジン)にすることにより上記の性能を満たしてきた。ここで、無機フィラーとしてはシリカやシリカを基材とするガラス粉末が現在でも広く用いられている。近年では、無機フィラーの粒径が1μm以下の微細なフィラーが積極的に用いられるようになってきた。さらに、機械的強度や研磨滑沢性が得られやすい等の理由から、粒径が0.1μm以下の超微粒子フィラーも用いられるようになってきた。
【0004】
この様な超微粒子フィラーとして、従来では、その入手のしやすさから、シリカ(例えば商品名「アエロジル」)が最も一般的に用いられてきたが、その他、アルミナ微粉も用いられている。例えば、特開昭63−303906号公報には、屈折率1.60〜1.70、粒径範囲0.005〜0.1μm、比表面積30〜300m2/gのアルミナ微粉を用いた、透明性と機械的強度に優れる人工歯材料が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記特開昭63−303906号公報において、実際に実施例で用いられているアルミナ微粉は、日本アエロジル社より入手した、平均粒径が0.02μm、比表面積が100m2/g、0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合が約83%である粉末(商品名「アルミニウムオキサイドC」)のみであるが、本発明者らの検討では、該アルミナ微粉を用いた歯科用組成物は、機械的強度はある程度満足なレベルにあるものの、特に歯牙表層部の補修に用いる場合などの特定の補修部位によっては硬化物の透明性の更なる向上が望まれることが判明した。
【0006】
本発明の目的は、アルミナ微粉を含む歯科用材料において、充分な機械的強度と共に、高い透明性を有しながら、硬化前のペースト状態での操作性にも優れる歯科用材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討を行った結果、粒度分布を特定の範囲に制御したアルミナ微粉を用いることにより上記目的を達成することができ、特に歯牙表層部の補修に有用な歯科用材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、重合性単量体(A)100重量部に対して、アルミナ微粉(B)を50〜300重量部配合してなる歯科用材料であって、該アルミナ微粉(B)の屈折率が1.6〜1.7であり、比表面積が110〜160m2/gであり、かつ0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合が95%以上であることを特徴とする歯科用材料である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で使用される重合性単量体(A)としては、例えばα−シアノアクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸エステル、α−ハロゲン化アクリル酸エステル、クロトン酸エステル、桂皮酸エステル、ソルビン酸エステル、マレイン酸エステル、イタコン酸エステル等のエステル類、及び(メタ)アクリルアミド誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、モノ−N−ビニル誘導体、スチレン誘導体が挙げられる。これらの中でも(メタ)アクリル酸エステルが好適に用いられる。なお本明細書においては、(メタ)アクリルをもってメタクリルとアクリルの両方を包括的に表現する。
【0010】
本発明で使用される重合性単量体(A)の具体例を以下に示す。一つのオレフィン性二重結合を有する単量体を一官能性単量体とし、オレフィン性二重結合の数に応じて、二官能性単量体、三官能性単量体等と表現する。
【0011】
一官能性単量体:
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0012】
二官能性単量体:
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート(オキシエチレン基の数が9、14および23)、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルメタアクリレート、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス[4−〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕フェニル]プロパン、1,2−ビス〔3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ〕エタン、ペンタエリトリトールジ(メタ)アクリレート、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、[2,2,4−トリメチルヘキサメチレンビス(2−カルバモイルオキシエチル)]ジメタクリレート、1,3−ジ(メタ)アクリロリルオキシ−2−ヒドロキシプロパン等が挙げられる。
【0013】
三官能性以上の単量体:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート、1,7−ジアクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラアクリロイルオキシメチル−4−オキシヘプタン等が挙げられる。
【0014】
本発明では上記の重合性単量体を一種または二種以上の組合せで用いることができるが、これらのなかでも該重合性単量体の重合硬化物の屈折率が1.5〜1.7の範囲内になるような組成で用いられるのが好ましい。特に、重合硬化物の屈折率の下限値が1.52以上となるような組成で用いられるのがより好ましく、1.53以上となるような組成で用いられるのが更に好ましい。特に高い透明性が必要となる場合には、重合硬化物の屈折率を後述するアルミナ微粉(B)の屈折率に近づけるように組成を設計するのが好ましい。
【0015】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)としては、例えば、γ−アルミナ、η−アルミナ、σ−アルミナ、および/またはθ−アルミナの結晶相から形成されたアルミナ微粉を挙げることができる。後述するように、屈折率が1.6〜1.7の範囲にある限りにおいては、これらの結晶相は単独であっても良いし、混在していてもかまわない。
【0016】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)の屈折率は1.6〜1.7であり、1.6〜1.65であるのが好ましい。屈折率がこの範囲内のアルミナ微粉を用いることにより、透明性に優れた歯科用材料が得られる。
【0017】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)の比表面積は110〜160m2/gであり、115〜140m2/gであるのが好ましい。比表面積がこの範囲内のアルミナ微粉を用いることにより、透明性に優れた歯科用材料が得られるのみならず、硬化前のペースト状態での操作性が非常に優れたものが得られる。特に、このような比表面積を有するアルミナ微粉を用いると、重合性単量体の重合硬化物の屈折率が多少変動しても、高い透明性が維持されるという優れた効果を奏する。
【0018】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)は、0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合が95%以上である。このような範囲の粒子径を有するアルミナ微粉を用いることにより、透明性に優れた歯科用材料が得られる。
【0019】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)の平均粒子径は、0.01〜0.02μmであるのが好ましい。平均粒子径がこの範囲内のアルミナ微粉を用いることにより、透明性により優れた歯科用材料が得られる。なお、アルミナ微粉の粒子径および粒度分布は、後述の実施例に記載した電顕写真を用いる方法により求めることができる。
【0020】
本発明で用いられるアルミナ微粉(B)は、例えば、(1)塩化アルミニウムの気相燃焼法や、(2)有機アルミニウム塩の加水分解またはアルミニウム水中火花放電によって得られたアルミナ水和ゲルを400〜1000℃にて燃焼する方法等によって得られたアルミナ粉末を、更に分級することにより製造することができる。アルミナ粉末の分級方法の具体例としては、篩等を使用した乾式の分級方法が挙げられるが、再現性良く必要な粒度分布を有するものを採取しやすいという点において、アルミナ粉末を水に分散させて一定時間放置して沈降させる沈降分級が好ましく、その中でも沈降時間を短縮させるために、アルミナ粉末を水に分散させたスラリー状態のものを遠心分離する方法がより好ましい。
【0021】
本発明で使用されるアルミナ微粉(B)は、機械的強度の向上、重合性単量体中への配合量の向上、ペースト性状の調整などを目的として、表面処理剤で表面処理を行ってから用いても良い。かかる表面処理剤としては公知の表面処理剤が何ら制限なく用いられ、例えばシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、有機アルミニウム系カップリング剤などを挙げることができる。なかでも好ましいカップリング剤は重合性単量体と共重合し得る官能基を有するカップリング剤であって、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネートなどを挙げることができる。また、酸性基を有するビニルモノマーも表面処理剤として使用することができ、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルジハイドロジェンホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルジハイドロジェンホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチルジハイドロジェンホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンホスフェート、7−(メタ)アクリロイルオキシヘプチルジハイドロジェンホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルジハイドロジェンホスフェート、9−(メタ)アクリロイルオキシノニルジハイドロジェンホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート、11−(メタ)アクリロイルオキシウンデシルジハイドロジェンホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルジハイドロジェンホスフェート、16−(メタ)アクリロイルオキシヘキサデシルジハイドロジェンホスフェート、20−(メタ)アクリロイルオキシエイコシルジハイドロジェンホスフェート、ジ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔4−(メタ)アクリロイルオキシブチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔9−(メタ)アクリロイルオキシノニル〕ハイドロジェンホスフェート、ジ〔10−(メタ)アクリロイルオキシデシル〕ハイドロジェンホスフェート、1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2−ジハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2−ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フェニルホスホネート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸、等の有機リン酸化合物を挙げることができる。これらの表面処理剤の使用量は、好ましくはアルミナ微粉100重量部に対して5〜50重量部、より好ましくは10〜30重量部の範囲である。
【0022】
アルミナ微粉(B)の配合割合は、重合性単量体(A)100重量部に対して50〜300重量部の範囲である。アルミナ微粉の配合量が、重合性単量体(A)100重量部に対して50重量部未満であると機械的強度が十分でなく、また300重量部を越えると重合性単量体との混練が困難となる。アルミナ微粉の配合量は、好ましくは重合性単量体(A)100重量部に対して100〜250重量部の範囲である。
【0023】
本発明の歯科用材料は、必要に応じてアルミナ微粉(B)よりも粒径の大きいフィラー(C)をさらに配合しても構わない。一般に、粒径範囲が0.1μm以下の超微粒子フィラーと、粒径範囲が0.1μmより大きいフィラーといった、粒度分布の異なる二種のフィラーを併用した組成物はハイブリッド型のコンポジットレジンと称され、機械的強度や耐摩耗性に最も優れたタイプと言われている。該フィラー(C)としては、粒径範囲が0.1〜50μmで、平均粒径が0.2〜5μmのものが好ましく、粒径範囲が0.1〜20μmで、平均粒径0.4〜3μmのものがさらに好ましい。
【0024】
フィラー(C)としては、無機フィラー、有機フィラー、無機/有機複合フィラー等を用いることができる。無機フィラーとしては、例えば、各種ガラス類{二酸化珪素(石英、石英ガラス、シリカゲル等)、アルミナ、珪素を主成分とし、各種重金属とともにホウ素および、又はアルミニウムを含有する}、各種セラミック類、珪藻土、カオリン、粘土鉱物(モンモリロナイト等)、活性白土、合成ゼオライト、マイカ、フッ化カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の従来公知の物が使用出来る。具体的には、ストロンチウム・ボロシリケートガラス(Ray−SorbT4000、キンブル社製)、バリウム・ボロシリケートガラス(Ray−SorbT3000、キンブル社製)、バリウムシリケートガラス(Ray−SorbT2000、キンブル社製)、ランタンガラスセラミックス(GM31684、ショット社製)、バリウムガラス(GM27884, 8235、ショット社製)、ストロンチウムガラス(GM32087、ショット社製)、フルオロアルミノシリケートガラス(GM35429,G018−091,G018−117、ショット社製)などのガラス材料の他、ヒドロキシアパタイトなどを挙げることができる。有機フィラーとしては、ポリメチルメタクリレート、ポリアミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等の有機樹脂が挙げられる。また、これらの有機樹脂中に非溶出性ガラスフィラーを分散させたり、非溶出性ガラスフィラーを上記有機樹脂でコーティングした無機/有機複合フィラー等も挙げられる。
【0025】
これらのフィラーは、必要に応じて、表面処理剤で表面処理を行ってから用いることができる。表面処理剤としては、アルミナ微粉の表面処理剤として前述したカップリング剤が好適に用いられ、その使用量はフィラー100重量部あたり0.1〜10重量部であるのが好ましい。これらのフィラー(C)の配合量は、重合性単量体100重量部に対して10〜1200重量部であるのが好ましく、400〜1000重量部であるのがより好ましい。
【0026】
フィラー(C)がさらに配合されたハイブリッド型のコンポジットレジンにおいて高い透明性を有する成形物を得るには、該フィラー(C)の屈折率(nc)とマトリックスの屈折率(nm)との差をなるべく一致させることが望ましく、具体的にはncとnmの屈折率の差は0.05以下が好ましく、0.02以下がより好ましい。なお、ここでいうマトリックスの屈折率(nm)とは、重合性単量体(A)とアルミナ微粉(B)を均一に混練してなる組成物を重合硬化させて得られた硬化物の屈折率のことである。
【0027】
本発明の歯科用材料は、これを100℃以上の高温で加熱したり、電子線を照射したりして外部からエネルギーを加える操作を行うことで重合硬化させることが出来るが、さらに重合開始剤(D)を配合することで容易に重合硬化させることが可能となるので、該重合開始剤(D)を配合するのが好ましい。本発明で使用される重合開始剤(D)としては、公知のものを制限無く用いることができ、例えば、光重合開始剤、加熱重合開始剤、化学重合開始剤が挙げられる。
【0028】
光重合開始剤としては、例えば、α−ジケトン/還元剤、ケタール/還元剤、チオキサントン/還元剤等が挙げられる。α−ジケトンの例としては、カンファーキノン、ベンジル、2,3−ペンタンジオンなどが挙げられる。ケタールの例としては、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等が挙げられる。チオキサントンの例としては、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。還元剤の例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N,N−ビス〔(メタ)アクリロイルオキシエチル〕−N−メチルアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4−ジメチルアミノ安息香酸ブトキシエチル、N−メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、 N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、ジメチルアミノフェナントール等の第三級アミン、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド等のアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、デカンチオール、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、チオ安息香酸等のチオール基を有する化合物等をあげることができる。また、紫外線照射による光重合を行う場合は、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール等が好適である。さらに、アシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤も好適に用いられる。かかるアシルホスフィンオキサイドとしては、例えば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)ホスホネート、2,4,6−トリメチルベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。これらアシルホスフィンオキサイド系の光重合開始剤は、単独もしくは各種アミン類、アルデヒド類またはメルカプタン類、スルフィン酸塩等の還元剤と併用して用いることもできる。
【0029】
加熱重合開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ケトンパーオキサイド類、ハイドロパーオキサイド類などの有機過酸化物を挙げることができる。具体的には、ジアシルパーオキサイド類としてはベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシエステル類としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等が挙げられる。ジアルキルパーオキサイド類としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。パーオキシケタール類としては、例えば、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトンパーオキサイド類としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられる。ハイドロパーオキサイド類としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0030】
化学重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物/アミン系、有機過酸化物/アミン/スルフィン酸(またはその塩)系等のレドックス系の重合開始剤が好適に用いられる。レドックス系の重合開始剤を使用する場合、酸化剤と還元剤が別々に包装された包装形態をとり、使用する直前に両者を混合する必要がある。酸化剤としては、上記の加熱重合開始剤と同様のものが挙げられる。還元剤としては、通常第三級アミンが用いられ、例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−4−エチルアニリン、N,N−ジメチル−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジメチル−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−3,5−ジt−ブチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−3,4−ジメチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−4−エチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−4−i−プロピルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−4−t−ブチルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジi−プロピルアニリン、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)−3,5−ジt−ブチルアニリン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸n−ブトキシエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(2−メタクリロイルオキシ)エチル、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−ラウリルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、(2−ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、N−メチルジエタノールアミンジメタクリレート、N−エチルジエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミンモノメタクリレート、トリエタノールアミンジメタクリレート、トリエタノールアミントリメタクリレート等が挙げられる。
【0031】
これらの重合開始剤は、1種または数種類の組み合わせで用いられ、配合量は重合性単量体(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜20重量部の範囲、より好ましくは0.1〜5重量部の範囲で使用される。また、2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノンなどの紫外線吸収剤、重合禁止剤、顔料、蛍光顔料などを、ペーストの保存安定性や機械的強度、色調再現性等から適宜最適量を決定して用いても構わない。
【0032】
本発明の歯科用材料を重合硬化させた成形物の透明性は、用いるアルミナの屈折率や粒径分布、重合性単量体との配合割合などにより変化するが、通常は、ΔL*の値が60以上である。ここでΔL*は、成形物の透明性を表す指標であって、以下の方法によって測定される。即ち0.85mm厚の硬化物に対し、背景に標準白板および標準黒板を置き、光源にD65/2を用いて、それぞれの背景でL*a*b*表色系によって色差計(日本電色工業社製:Σ90)を用いて測色する。明度をあらわすL*において、背景白をL*(白)、背景黒をL*(黒)とする時、ΔL*=L*(白)―L*(黒)と定義し、透明度が高いほどΔL*の値は大きくなる。
【0033】
本発明の歯科用材料の具体的用途としては、例えば口腔内で治療される充填修復の他、口腔外で成形されるインレー、アンレー、クラウン、インプラントの上部構造、前装冠、義歯等の成形材料など多岐にわたるが、その中でも特に透明性を有する歯牙表層部に近い部位の修復材料として有用である。また、本発明の歯科用材料を一旦重合硬化させた後に粉砕して、有機/無機複合フィラーとして用いることもできる。
【0034】
【実施例】
次に、実施例によって本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されたものではない。
【0035】
(実施例および比較例で用いたアルミナ微粉の調製)
平均粒径が0.02μm、0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合が83%、比表面積100m2/g、屈折率1.65の超微粒子アルミナ(日本アエロジル社製、アルミニウムオキサイドC)を水に均一に分散させ、遠心分離による沈降法を用いて分級を行い、種々の粒度分布と比表面積を持つアルミナ微粉を調製した。具体的手順を以下に示す。
【0036】
該アルミナ45gを水400mlに均一に分散させ、得られたスラリーを50ml遠心管(高さ10cm)に小分けし、遠心分離機(日立製作所製:18PR−52H)を用いて8000rpmで所定時間遠心分離を行った。粒子径の大きなアルミナが沈殿する一方で、粒子径の小さいアルミナは沈殿せずに水に分散した状態となる。上層のスラリーをデカンテーションで回収し、凍結乾燥して水を除くと、もとのアルミナ粉末よりも粒子径の小さなアルミナ微粉が得られる。この方法では、遠心分離の回転数が上がるほど、また、遠心分離の時間が長くなるほど、上層のスラリーから回収されるアルミナの粒子径は小さくなるので、回転数と時間を調整することでいろいろな粒度分布のアルミナ微粉を調製することができる。この処理方法で得た種々の粒度分布を有するアルミナ微粉を表1にまとめた。なお、表1で示したアルミナ微粉の粒子径、粒度分布、比表面積の測定は以下の方法によった。
【0037】
(i)アルミナ微粉の粒子径と粒度分布
トリエチレングリコールジメタクリレート100重量部に2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1重量部を溶解させた重合性単量体に、アルミナ微粉10重量部を混合してペーストを調製する。該ペーストを光照射により重合硬化させ、硬化物を超ミクロトームにより切断してサンプル切片を作成し、透過電子顕微鏡によって(日立製作所製、H−800NA型)TEM観察(20万倍)および写真撮影を行い、写真に写った粒子をランダムに200個選択し、粒子のサイズを測定して平均粒子径と粒度分布を得た。ここでアルミナ微粉の粒子径は、粒子の最長、最短の長さの算術平均をもって粒子径とした。更に、粒子径を測定した200個の粒子のうち、0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合を求めた。
【0038】
(ii)比表面積
BET法により、通法に従って測定した(測定機器:湯浅アイオニクス製、カンタソーブQS−13。吸着ガス:窒素。キャリアガス:窒素/ヘリウム=3/7。)。
【0039】
【表1】
【0040】
上記の各種処理方法で得たアルミナ微粉を用いて、以下の歯科用材料を製造した。なお、実施例および比較例に示す諸量の定義および測定方法は、以下の通りである。
【0041】
(1)曲げ強度
2×2×30mmの角柱状の金型にペーストを充填し、技工用照射器(モリタ製:αライトII)で表裏それぞれ5分照射して重合硬化した。該硬化物を37℃で24時間水中に浸漬したものをサンプルとし、インストロン万能試験機(インストロン・ジャパン製:1175型)を用いて測定した。
【0042】
(2)透明度
ガラス板状にペーストを置き、ペーストの両側に0.85mm厚の金属スペーサーを置き、上から別のガラス板を置いて圧接した後ペーストを硬化させた。0.85mm厚の硬化物に対し、背景に標準白板および標準黒板を置き、光源にD65/2を用いて、それぞれの背景でL*a*b*表色系によって色差計(日本電色工業社製:Σ90)を用いて測色した。明度をあらわすL*において、背景白をL*(白)、背景黒をL*(黒)とする時、ΔL*=L*(白)―L*(黒)と定義する。透明度が高いほどΔL*の値は大きくなるため、ΔL*を透明度を表す指標とした。
【0043】
(3)ペーストの稠度
ガラス板状に0.25cm3のペーストを円柱状(上下面の円の直径は6mm)に置き、ペーストの上から別のガラス板を置き、上においたガラス板も含めて1kgの荷重を30秒間かける。圧接されたペーストの縦横の直径を測定し、その平均値をペーストの稠度とした。稠度が大きいほどペーストが柔らかいことを示す。
【0044】
(4)ペーストのべたつき
盛り上げたペーストの5mmの深さに上からスパチュラを挿入した後、ゆっくりと上に引き抜いた際に、スパチュラにくっついたペーストが切れるまでの、ペーストの上部からスパチュラにくっついている長さを測定した。ペーストの伸びた長さが大きいほど、ペーストにベタツキがあることを示す。
【0045】
(5)無機フィラーの屈折率
アッベの屈折率計(アタゴ社製:MM−700型)を用いて、ナトリウムランプD線を光源として、液浸法で測定した。
【0046】
(6)無機フィラーの粒度分布
フィラーを水に分散させたスラリーをサンプルとし、粒度分布計(島津製作所製:SALD−1000)を用いて測定した。
【0047】
実施例1
2,2’−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(分子内にエトキシ基を平均2.6個持つもので、以下D−2.6Eと称する)50重量部、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート25重量部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート25重量部に、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノン0.1重量部を溶解させ、重合性単量体組成物を得た。この重合性単量体組成物の硬化物の屈折率は、1.538であった。
一方、処理3で調製したアルミナ微粉A100重量部に対して、15重量部のリン酸エステル系の表面処理剤(10−メタクリロイクオキシデシルジハイドロジェンホスフェート)を用いて表面処理を行い、表面処理したアルミナ微粉を得た。該表面処理アルミナ微粉150重量部と、上記の重合性単量体組成物100重量部を均一に混練してペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。さらに、透明度については、重合性単量体組成物の硬化物の屈折率とともに表3にも結果を示した。
【0048】
実施例2
アルミナ微粉として処理4で調製したアルミナ微粉Bを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0049】
実施例3
アルミナ微粉として処理5で調製したアルミナ微粉Cを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0050】
実施例4
アルミナ微粉として処理6で調製したアルミナ微粉Dを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0051】
比較例1
アルミナ微粉として未処理のアルミナ微粉a(市販品)を使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。さらに、透明度については、重合性単量体組成物の硬化物の屈折率(1.538)とともに表3にも結果を示した。
【0052】
比較例2
アルミナ微粉に、処理1で調製したアルミナ微粉bを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0053】
比較例3
アルミナ微粉に、処理2で調製したアルミナ微粉cを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0054】
比較例4
アルミナ微粉に、処理7で調製したアルミナ微粉dを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0055】
比較例5
アルミナ微粉に、処理8で調製したアルミナ微粉eを使用する以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、その評価結果を表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】
比表面積が110m2/gより小さいアルミナ微粉を用いた比較例1〜3に対し、実施例は稠度とべたつき(ペーストの操作性)はそれほど変わらないが、透明度ΔL*が飛躍的に向上していることが分かる。一方、比表面積が160m2/gより大きいアルミナ微粉を用いた比較例4、5は、実施例に対して透明度の向上はそれほど顕著ではないにもかかわらず、粘度上昇によりべたつきが増し、またアルミナが配合しにくくなって稠度が下がり、ペースト状態での操作性が悪くなっている。以上の結果より、本発明の歯科用材料は、ペースト状態での操作性を悪化させることなく、透明度が向上していることが分かる。
【0058】
実施例5
D−2.6E 30重量部、N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート 25重量部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート 45重量部に、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノン0.1重量部を溶解させた重合性単量体組成物を用いること以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、透明度を評価した。その結果を表3に示す。なお、この重合性単量体組成物の硬化物の屈折率は、1.528であった。
【0059】
実施例6
N,N’−(2,2,4−トリメチルヘキサメチレン)ビス〔2−(アミノカルボキシ)プロパン−1,3−ジオール〕テトラメタクリレート55重量部、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート45重量部に、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド1重量部、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−4−t−ブトキシベンゾフェノン0.1重量部を溶解させた重合性単量体組成物を用いること以外は、実施例1と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、透明度を評価した。その結果を表3に示す。なお、この重合性単量体組成物の硬化物の屈折率は、1.510であった。
【0060】
比較例6
アルミナ微粉として未処理のアルミナ微粉a(市販品)を使用する以外は、実施例5と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、透明度を評価した。その結果を表3に示す。
【0061】
比較例7
アルミナ微粉として未処理のアルミナ微粉a(市販品)を使用する以外は、実施例6と同様にしてペースト状の歯科用材料を調製し、透明度を評価した。その結果を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】
重合性単量体組成物の硬化物の屈折率が低く、アルミナ微粉との屈折率差が大きいと、通常は比較例1,6,7のように透明度は顕著に低下する。一方、実施例1,5,6のように特定の粒度分布を有するアルミナ微粉を用いると、重合性単量体組成物の硬化物の屈折率が低く、アルミナ微粉との屈折率差が大きくても、透明度はほとんど低下しないことが分かる。
【0064】
実施例7
平均粒径0.7μm、粒径範囲が0.1〜3.5μm、屈折率(nc)が1.55のバリウムボロアルミノシリケートガラス粉末(ショット社製、銘柄8235のUFグレード:以下、バリウムガラスと称する)100重量部に対して、γ−メタクリロイルオキシトリメトキシシラン4重量部を用いて表面処理を行った。該表面処理バリウムガラスの400重量部を、実施例6の組成のペーストにさらに混合して新たにハイブリッド型のコンポジットレジンを調製し、その評価結果を表4に示した。なお、本実施例において、硬化後のマトリックスの屈折率(nm)を別途測定すると、1.558であった。
【0065】
比較例8
比較例7の組成のペーストに、実施例7と同様の表面処理バリウムガラス400重量部を混合して新たにハイブリッド型のコンポジットレジンを調製し、その評価結果を表4に示した。なお、硬化後のマトリックスの屈折率(nm)は、実施例7と同様に1.558であった。
【0066】
【表4】
【0067】
実施例7は比較例8と比較して、強度やペースト状態での操作性は同等であるが、非常に透明度が高く、歯科用材料として非常に有用である。
【0068】
【発明の効果】
本発明の歯科用材料は、充分な機械的強度と高い透明度を持ちながら、硬化前のペースト状態での操作性にも優れている。
Claims (4)
- 重合性単量体(A)100重量部に対して、アルミナ微粉(B)を50〜300重量部配合してなる歯科用材料であって、該アルミナ微粉(B)の屈折率が1.6〜1.7であり、比表面積が110〜160m2/gであり、かつ0.05μm以下の粒子径を有する粒子数の割合が95%以上であることを特徴とする歯科用材料。
- アルミナ微粉(B)の平均粒子径が0.01〜0.02μmである請求項1記載の歯科用材料。
- 重合性単量体(A)100重量部に対して、更に、粒径範囲が0.1〜50μmで、平均粒径が0.2〜5μmのフィラー(C)を10〜1200重量部配合してなる請求項1または2記載の歯科用材料。
- 重合性単量体(A)100重量部に対して、更に、重合開始剤(D)を0.01〜20重量部配合してなる請求項1〜3のいずれか一項記載の歯科用材料。
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