JP3896963B2 - 演奏教習装置および演奏教習プログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、曲の演奏を指示する演奏教習装置および演奏教習プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスプレイに鍵盤や楽譜の画像を表示して、曲の進行に応じて押すべき鍵の色などの表示態様を変化させたり、楽譜上の音符又はその他の記号の現在位置を示しつつスクロール表示して、ユーザに実際の鍵盤で操作させる装置が知られている。一例としては、電子鍵盤楽器に内蔵されたLCDなどの表示部に、全88鍵からなる縮小鍵盤画像を固定的に表示すると共に、練習曲の音域に対応する鍵域部分を拡大表示するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−51586号公報(段落番号「0028」、「0034」、「0084」)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年では、このようなオールインワンの電子鍵盤楽器とは異なり、所定の音源ボードや音楽ソフトウェアをインストールしたパソコンに電子鍵盤楽器をMIDIケーブルで接続したシステムによって演奏を行ったり、その演奏を記録再生したりすることが行われている。
このようなシステムの場合、パソコンに接続される電子鍵盤楽器は様々であり、その鍵数や音域は多種多様である。
つまり、このようなシステムにおいて上述したような態様で演奏練習を行う場合には、画面上の鍵盤画像と実際の鍵盤との対応付けが難しくなって、練習者はどの位置の鍵を押せばよいのか分からなくなり、効果的な練習が行えない。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するものであり、演奏する曲の音域と実際に使用する鍵盤の鍵域とに応じた鍵盤画像によって適切な演奏教習を実現する演奏教習装置および演奏教習プログラムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の演奏教習装置は、表示すべき鍵盤の鍵域を、前記鍵盤の押鍵操作によって入力された最低鍵および最高鍵に基づいて入力する鍵域入力手段と、前記鍵盤によって演奏される曲の音域を検出する音域検出手段と、前記鍵域入力手段によって入力された表示すべき鍵域を、前記音域検出手段によって検出された音域に基づいて変更する鍵域変更手段と、前記鍵域変更手段によって変更された鍵域に基づいて前記曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力する画像生成手段と、を備えた構成になっている。
【0007】
この場合において、鍵域設定手段は、鍵盤の鍵域を曲の音域に応じてオクターブ単位でシフトさせて表示すべき鍵域を設定するように構成してもよい。
また、鍵域設定手段は、音域検出手段によって検出された音域の中央値を減算し、その減算結果を1オクターブの鍵数で除算した値に基づいて表示すべき鍵域の変位量を設定し、除算結果の正負に応じて表示すべき変位方向を設定するように構成してもよい。
【0008】
請求項6に記載の演奏教習プログラムは、コンピュータに、表示すべき鍵盤の鍵域を、前記鍵盤の押鍵操作によって入力された最低鍵および最高鍵に基づいて入力する第1のステップと、前記鍵盤によって演奏される曲の音域を検出する第2のステップと、前記第1のステップによって入力された鍵域を、前記第2のステップによって検出された音域に基づいて変更する第3のステップと、前記第3のステップによって変更された鍵域に基づいて前記曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力する第4のステップと、を実行させる。
【0009】
この場合において、また、第3のステップは、鍵盤の鍵域を曲の音域に応じてオクターブ単位でシフトさせて表示すべき鍵域を設定するように構成してもよい。
また、第3のステップは、第2のステップによって検出された音域の中央値から第1のステップによって検出された鍵域の中央値を減算し、その減算結果を1オクターブの鍵数で除算した値に基づいて表示すべき鍵域の変位量を設定し、除算結果の正負に応じて前記表示すべき変位方向を設定するように構成してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による演奏教習装置の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、実施形態における演奏教習装置を適用したシステムの構成を示す図であり、鍵盤装置10と演奏教習装置としてのパソコン20とがMIDIケーブル30によって接続されている。このシステムでは、ユーザがパソコン20に表示された練習曲の楽譜などの演奏指示を見ながら鍵盤装置10を演奏し、その演奏に応じたMIDIデータがインターフェース7を介してパソコン20に送出される。パソコン20は、鍵盤装置10から送出されるMIDIデータに応じて、その情報を表示したり、演奏指示の進行制御などを行なう。
なお、鍵盤装置10は、88鍵の鍵域および音色設定、MIDIチャンネル指定などの複数のスイッチを具備した本格的な仕様のもの、61鍵の中程度の仕様のもの、37鍵の簡易仕様のもの、およびその他の様々な仕様のものがある。
【0011】
図2は、パソコン20の構成を示すブロック図である。マイクロプロセッサなどで構成されたCPU1は、システムバス2を介して、HD3、RAM4、キーボード5、ディスプレイ6、インターフェイス7、および音源8に接続され、これら各部との間でデータおよびコマンドを授受して、このパソコン20を制御する。以下、各部の機能について説明する。
【0012】
HD3は、ハードディスクであり、その中には、オペレーションシステム(OS)のプログラム、CPU1によって実行される演奏教習プログラムなどのアプリケーションプログラム、演奏教習用の複数の曲データ、イニシャライズ処理において設定される種々の初期値データなどがあらかじめ格納されている。
【0013】
RAM4は、CPU1のワークエリアであり、演奏教習プログラムなどのアプリケーションプログラムの実行に必要な様々なレジスタやフラグのエリアや、ディスプレイ6に表示する1画面の画像データを展開する画像表示用のエリアなどが設けらている。キーボード5は、ユーザの操作に応じてコマンドやデータをCPU1に入力する。ディスプレイ6は、CPU1の表示制御処理によって、画像描画用のエリアに展開された画像データの入力に応じてその画像を画面に表示する。なお、図には示していないが、キーボード5又はシステムバス2にはマウスなどのポインティングデバイスが接続されており、ディスプレイ6の画面の任意の位置のアイコンを指定することができる。
【0014】
インターフェース7は、図1に示した鍵盤装置10からMIDIケーブル30を介して送出されるMIDIデータを取り込んでCPU1に入力する。したがって、鍵盤装置10の仕様の如何にかかわらず、少なくとも押鍵すなわちキーオンイベントや離鍵すなわちキーオフイベントに応じた鍵番号および押鍵の強弱を示すベロシティのMIDIデータがユーザの演奏に応じてインターフェース7によって取り込まれてCPU1に入力される。
【0015】
音源8は、D/A変換器、アンプ、スピーカなどで構成されたサウンドシステム9に接続されており、インターフェース7を介して取り込まれたMIDIデータに応じて、あるいは、HD3に格納されている曲データの自動演奏処理に応じて、CPU1からの発音指示又は消音指示のコマンドおよび楽音データによって、楽音の波形データを生成してサウンドシステム9に出力して発音させ、又は出力を停止して消音させる。
【0016】
次に、図2に示した構成のパソコン20すなわち演奏教習装置の動作について、図3ないし図9に示すCPU1のフローチャート、および、図10ないし図19に示すディスプレイ6の画面を参照して説明する。
図3は、メインフローチャートであり、電源がオンになると、まず、イニシャライズ処理を行なう(ステップA1)。このイニシャライズ処理においては、RAM4のレジスタ、フラグ、ビデオRAMのエリアを初期化する。例えば、再生フラグPFを「0(再生停止状態)」にリセットし、モードフラグMFを「0(アイドル状態)」にセットし、キーオンフラグKOを「0」にリセットする。また、ユーザによって選択される演奏教習の状態をデフォルトに設定する。例えば、演奏教習の曲番号を最初の曲番号に設定するとともに、右手のみによるメロディパート演奏、左手のみによるコードパート演奏、両手によるパート演奏のうち、両手によるパート演奏を設定する。
【0017】
さらに、図10に示すような、初期画面をディスプレイ6に表示する。この初期画面および他の画面においても同様に、画面の左上には、再生アイコン11、再生の停止アイコン12、早送りアイコン13、早戻しアイコン14、MODEアイコン15の5個のアイコンが表示される。これらのアイコンは、キーボード5のスイッチやポインティングデバイスによって指定される。各アイコンの機能については後述する。
【0018】
図3においてステップA1のイニシャライズ処理の後は、キーボード5やポインティングデバイスの操作に応じて、アイドル状態から演奏状態又は設定状態に遷移したり、さらにこれらのモードの下位状態に遷移する設定処理(ステップA2)、演奏教習の曲データを読み出して、楽譜画像および鍵盤画像の表示制御、インターフェース7からのMIDIデータの入力処理、音源に対する発音指示や消音指示を制御する演奏処理(ステップA3)、その他の処理(ステップA4)を繰り返り実行する。
【0019】
図4ないし図7は、メインフローにおけるステップA2の設定処理のフローチャートである。このフローでは、まず、再生フラグPFが「1(再生状態)」であるか又は「0(停止状態)」であるかを判別する(ステップB1)。PFが「1」である場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。PFが「0」である場合には、モードフラグMFの値が「0」、「1」、「2」、「3」、「4」のいずれの値であるかを判別する(ステップB2)。MFが「0」である場合には、アイドル状態であり、図10の初期画面を表示した状態でMODEアイコン15が指定されたか否かを判別する(ステップB3)。MODEアイコンが指定されない場合には、このフローを終了してメインフローに戻り、アイドル状態を維持する。
【0020】
MODEアイコンが指定されたときは、モードセレクト画面を表示して(ステップB4)、MFを「1」にセットする(ステップB5)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。図11は、ディスプレイ6に表示されたモードセレクト画面の図である。この画面には、指定されたMODEアイコン15が色付け表示(図ではハッチング)され、「1.曲選択」、「2.パート選択」、「3.鍵域設定」の3つのモードが選択肢として表示され、キーボード5からのモード番号の入力によっていずれかのモードを選択することができる。
【0021】
ステップB2においてMFが「1」である場合、すなわち、図11のモードセレクト画面が表示されている場合には、MODEアイコンが指定されたか否かを判別する(ステップB6)。このアイコンが指定されたときは、直前の画面表示に戻り(ステップB7)、MFを「0」にセットする(ステップB8)。したがって、図10の初期画面の表示に戻る。すなわち、MODEアイコンを指定すたびに、アイドル状態とモードセレクト状態とが入れ替わる。MODEアイコンが指定されない場合には、キーボード5からモード番号の入力が有ったか否かを判別する(ステップB9)。モード番号の入力がない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。
【0022】
モード番号の入力が有ったときは、そのモード番号が「1」、「2」、「3」のいずれであるかを判別する(ステップB10)。入力されたモード番号が「1」で曲選択がセットされた場合には、選曲画面を表示して(ステップB11)、MFを「2」にセットする(ステップB12)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。図12は、ディスプレイ6に表示された選曲画面の図である。この画面には、複数の曲のリストが表示される。ユーザはキーボード5からの曲番号の入力によって1つの曲を選択することができる。
【0023】
ステップB10において、入力されたモード番号が「2」でパート選択がセレクトされた場合には、パート選択画面を表示して(ステップB13)、MFを「3」にセットする(ステップB14)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。図13は、ディスプレイ6に表示されたパート選択画面の図である。この画面には、「1.右手(メロディ)」、「2.左手(コード)」、「3.両手」の3つのパート演奏が選択肢として表示され、ユーザはキーボード5からのパート番号の入力によっていずれかのパートを選択することができる。
【0024】
ステップB10において、入力されたモード番号が「3」で鍵域設定がセレクトされた場合には、最低鍵要求画面を表示して(ステップB15)、MFを「4」にセットする(ステップB16)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。図14は、ディスプレイ6に表示された最低鍵要求画面の図である。ユーザは、この画面の「最低鍵を押してください」のメッセージに応じて、鍵盤装置10において最も音高の低い鍵を押鍵することになる。あるいは、ユーザによって演奏可能と判断した鍵域の範囲における最低鍵を押鍵することになる。
【0025】
ステップB2において、MFの値が「2(曲選択モード)」である場合には、図5のフローにおいて、キーボード5から曲番号が入力されたか否かを判別する(ステップB17)。曲番号が入力されない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。曲番号が入力されたときは、その曲番号をレジスタSNにストアする(ステップB18)。図4のステップB2において、MFの値が「3(パート選択モード)」である場合には、図5のフローにおいて、キーボード5からパート番号が入力されたか否かを判別する(ステップB19)。パート番号が入力されない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。パート番号が入力されたときは、そのパート番号をレジスタPNにストアする(ステップB20)。
【0026】
ステップB18においてSNに曲番号がストアされ、ステップB20においてPNにパート番号がストアされた後、SNとPNに対応する音符(音高)データを全て読む(ステップB21)。次に、最高音のキーナンバをレジスタHNにストアし、最低音のキーナンバをレジスタLNにストアする(ステップB22)。そして、HNのキーナンバからLNのキーナンバを減算し、その減算値をレジスタWNにストアする(ステップB23)。
【0027】
MIDIデータにおいては、鍵盤のキーナンバ(鍵番号)と音高とが対応付けられている。例えば、「C−2」の音高のキーナンバを「0」に対応し、「G8」の音高のキーナンバを「127」に対応して、音高が半音高くなるごとにキーナンバが「1」増加するように割り当てられている。ステップB22の処理では、選択された曲の最高音および最低音のそれぞれの音高に対応するキーナンバがレジスタHNおよびレジスタLNにストアされる。したがって、レジスタWNの値は、選択曲の音域に対応するキーナンバの範囲に対応している。すなわち、選択曲を演奏可能な鍵域に対応している。
【0028】
図4のステップB2においてMFが「4(鍵域設定モード)」である場合には、図14に示した最低鍵要求画面が表示されている。この場合には、図6のフローにおいて、インターフェース7を介して鍵盤装置10からキーオンイベント入力が有ったか否かを判別する(ステップB24)。キーオンイベント入力がない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。キーオンイベント入力が有ったときは、キーオンフラグKOが「0」又は「1」のいずれであるかを判別する(ステップB25)。KOは前述したようにイニシャライズ処理において「0」にリセットされており、鍵域設定モードにおいて最初にキーオンイベント入力があった場合には「1」にセットされる。
【0029】
キーオンイベント入力が有ったときにKOが「0」である場合には、そのキーナンバを最低音のキーナンバと見なしてレジスタLKにストアする(ステップB26)。次に、最高鍵要求画面を表示して(ステップB27)、KOを「1」にセットする(ステップB28)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。図15は、ディスプレイ6に表示された最高鍵要求画面の図である。ユーザはこの画面における「最高鍵を押してください」のメッセージに応じて、鍵盤装置10の最高鍵を押鍵することになる。あるいは、ユーザによって演奏可能と判断した鍵域の範囲における最高鍵を押鍵することになる。ステップB28においてKOに「1」をセットした後は、MFは「4」の状態を維持しているので、図3のメインフローから図4の設定処理のステップB2を経て、再び図6のフローに移行する。
【0030】
この場合には、KOが「1」になっているので、LKにストアされている最低鍵のキーナンバが、図15の最高鍵要求画面の状態において入力された2回目のキーオンイベントにおける最高鍵のキーナンバより低い音高であるか否かを判別する(ステップB29)。LKのキーナンバが最高鍵のキーナンバより高いか又は同じである場合には、鍵域設定ができないので、このフローを終了してメインフローに戻る。このとき、鍵域設定ができない旨およびその理由を示すメッセージを表示して警告するようにしてもよい。
【0031】
LKのキーナンバが最高鍵のキーナンバより低い場合には、その入力された最高鍵のキーナンバをレジスタHKにストアして(ステップB30)、KOを「0」にセットする(ステップB31)。次に、HKのキーナンバからLKのキーナンバを減算して、その減算値をレジスタWKにストアする(ステップB32)。すなわち、鍵盤装置10の鍵域をWKにストアする。この後、又は図5のステップB23においてWNに値をストアした後は、図7のフローに移行して、WKの値がWNの値より小さいか否かを判別する(ステップB33)。このとき、WKの値又はWNの値のうち一方しかストアされていない場合には、他方の値についてはデフォルトの値を用いて両者の値を比較することになる。
【0032】
WKの値がWNの値より小さい場合、すなわち、鍵盤装置10の鍵域が選択曲の音域に相当する鍵域よりも小さい場合には、その選択曲の中に演奏できない音高が存在することになる。この場合には、所定時間、例えば、3〜4秒間程度、「鍵域外の音高があります」というメッセージの警告表示をする(ステップB34)。図17は、ディスプレイ6に表示された警告表示の画面の図である。
なお、この警告表示の上に、演奏可能な曲のリストを表示して、そのリストから改めて曲選択ができるようにしてもよい。
【0033】
ステップB33においてWKの値がWNの値以上である場合、又は、ステップB34において警告表示をした後は、LNのキーナンバにWNの鍵域の半分を加算した値、すなわち、選択曲の音域における中央の音高に対応するキーナンバを算出し、LKのキーナンバにWKの鍵域の半分を加算した値、すなわち、鍵盤装置10の鍵域における中央のキーナンバを算出する。そして、選択曲の音域における中央の音高に対応するキーナンバから鍵盤装置10の鍵域における中央のキーナンバを減算し、その減算値を1オクターブの鍵数「12」で除算して、その除算結果を四捨五入して、得られた整数値をレジスタSFTにストアする(ステップB35)。
【0034】
次に、SFTの値に「12」を乗算した値をLKのキーナンバに加算して、その加算値を最低鍵とし、SFTの値に「12」を乗算した値をHKのキーナンバに加算して、その加算値を最高鍵とした鍵盤画像を生成する(ステップB36)。この後は、図4のフローのステップB4に移行して、図11に示したモードセレクト画面を表示する。
【0035】
図8および図9は、図3のメインフローにおけるステップA3の演奏処理のフローチャートである。このフローでは、まず、モードフラグMFが「0」であるか否かを判別する(ステップC1)。MFが「0」以外の値である場合、すなわち、設定モードである場合には、演奏処理に遷移できないので、このフローを終了してメインフローに戻る。MFが「0」でアイドル状態である場合には、レジスタSNにストアされている曲番号に応じて楽譜画像を生成して、図7の設定処理のフローにおけるステップB36で生成した鍵盤画像と共に、ディスプレイ6の画面に表示する(ステップC2)。図17は、選択曲の最初の楽譜画像16および76鍵の鍵盤画像17を表示した画面の図であり、図18は、選択曲の最初の楽譜画像16および37鍵の鍵盤画像17を表示した画面の図である。
【0036】
ステップC2において図17又は図18のような画面を表示した後は、画面左上のいずれかのアイコンが指定されたか否かを判別して、指定されたときはその指定アイコンに応じた処理を行なう。図8のフローにおいて、再生アイコン11が指定されたか否かを判別し(ステップC3)、このアイコンが指定されたときは、再生フラグPFが「0(停止状態)」であるか否かを判別する(ステップC4)。PFが「0」である場合には、PFを「1(再生状態)」にセットして(ステップC5)、再生処理を行なう(ステップC6)。再生処理においては、ROM3に格納されている曲データを順に読み出し、ディスプレイ6の画面に表示された楽譜画像16のスクロールおよび現在位置のカーソル画像18の表示、表示されている鍵盤画像17における押鍵指示の鍵に対して色付け処理を行なう。
【0037】
図19は、ディスプレイ6に表示された両手パート演奏モードにおける再生処理の画面の図である。この画面において、指定された再生アイコン11が色付け表示(図ではハッチング)され、カーソル画像18によって楽譜画像16の現在位置が色付け表示(図ではハッチング)により明示される。また、鍵盤画像17において演奏指示に対応する鍵画像19が色付け表示(図ではハッチング)される。
【0038】
なお、図7のステップB34において警告を表示した曲がそのまま選択された場合において、その曲の音高が鍵盤画像17の鍵域では演奏できない場合に、図19の画面に表示された鍵盤画像17の最高鍵又は最低鍵の鍵画像を異なる色で色付け表示して、その鍵画像に対応する鍵盤装置10の鍵の演奏指示を行い、画面に表示されたその音高の楽譜のタイミングに合わせて、演奏教習を行うようにしてもよい。この場合には、鍵盤装置10からインターフェース7を介して入力されるキーオンイベントでなく、その楽譜に対応する曲データの音高に基づいて、音源8に対して発音指示を行なうことが望ましい。したがって、曲の音高が鍵盤画像17の鍵域では演奏できない場合でも、違和感なく演奏を続行することができる。
【0039】
次に、停止アイコン12が指定されたか否かを判別し(ステップC7)、このアイコンが指定されたときは、再生フラグPFが「1(再生状態)」であるか否かを判別する(ステップC8)。PFが「1(再生状態)」である場合には、PFを「0」にセットして(ステップC9)、停止処理を行なう(ステップC10)。
【0040】
図9のフローにおいて、早送りアイコンが指定されたか否かを判別し(ステップC11)、このアイコンが指定されたときは、再生フラグPFが「1」であるか否かを判別する(ステップC12)。PFが「1(再生状態)」である場合には、早送り処理を行なう(ステップC13)。また、早戻しアイコンが指定されたか否かを判別し(ステップC14)、このアイコンが指定されたときは、再生フラグPFが「1」であるか否かを判別する(ステップC15)。PFが「1」である場合には、早戻し処理を行なう(ステップC16)。すなわち、早送り処理および早戻し処理は、曲の再生中のみ遷移が可能である。
【0041】
再生処理、停止処理、早送り処理、又は早戻し処理を行なった後、インターフェース7を介して鍵盤装置10からキーオン(押鍵)又はキーオフ(離鍵)のキーイベントが有ったか否かを判別する(ステップC17)。キーイベントがない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。キーイベントが有ったときは、そのキーイベントがキーオンイベントであるか、又は、キーオフイベントであるかを判別する(ステップC18)。
【0042】
キーオンイベントである場合には、レジスタSFTの値に「12」を乗算した値をキーオンイベントのキーナンバに加算して、その加算した値に対応する鍵画像を演奏指示の場合とは異なる色で色付け表示すると共に、音源8に対して発音指示を行なう(ステップC19)。キーイベントがキーオフイベントである場合には、SFTの値に「12」を乗算した値をキーオフイベントのキーナンバに加算して、その加算した値に対応する鍵画像の色付け表示を解除すると共に、音源8に対して消音指示を行なう(ステップC20)。ステップC19又はステップC20の処理の後は、このフローを終了してメインフローに戻る。
【0043】
以上のように、この実施形態によれば、CPU1は、鍵盤装置10の鍵域を検出し、鍵盤装置10によって演奏される曲の音域を検出し、検出した鍵域および音域に基づいて表示すべき鍵域を設定し、設定した鍵域に基づいて曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して、ディスプレイ6に出力して表示する。したがって、演奏する曲の音域および使用する鍵域に応じた鍵盤画像によって適切な演奏教習を実現することができる。
【0044】
この場合において、CPU1は、鍵盤装置10の押鍵操作によって入力された最低鍵および最高鍵に基づいて鍵域を検出するので、ユーザが小さい子供であっても、鍵盤装置10の鍵盤の両端の鍵を押鍵するだけ、又は、ユーザ自身が演奏できる鍵域の両端の鍵を押鍵するだけでよく、鍵盤画像17を容易に表示して演奏教習を受けることができる。
【0045】
また、この場合において、CPU1は、鍵盤装置10の鍵域を曲の音域に応じてオクターブ単位でシフトさせた状態で表示すべき鍵域を設定するので、鍵盤画像と曲と鍵盤装置10の夫々の音域が対応付いた状態となり、選択曲の音域に極めて近い鍵域の鍵盤画像を表示できると共に、鍵盤装置10の実際の鍵の位置とディスプレイ6に表示された鍵盤画像の鍵の位置とが一致することで、ユーザに対して楽譜画像の音域と鍵盤画像の鍵域との整合性を高めて、違和感のない演奏教習ができる。
【0046】
また、この場合において、選択曲の音域に対応する鍵域の中央値から、実際に演奏する鍵盤装置10の鍵域の中央値を減算し、その減算結果を1オクターブの鍵数「12」で除算した値を四捨五入し、その四捨五入した値およびその正負に基づいて、表示すべき鍵域を検出した音域に合わせてシフトさせる設定を行なうので、曲と鍵盤装置10の夫々の音域の位置や幅が異なっている場合であっても、常に整合性がとれた違和感のない演奏教習ができる。
【0047】
例えば、鍵盤装置10の鍵域における中央のキーナンバが「60」(音高は「C3」)である場合を想定する。この場合において、選択曲の音域における中央の音高が「E4」でそれに対応するキーナンバが「76」の場合には、
(76−60)÷12=1.33…
の演算結果が得られる。この演算結果を四捨五入すると、SFTにストアされる値は「1」となる。この場合には、鍵盤装置10の鍵域を音域の高い方に1オクターブだけシフトした鍵域を設定して、その鍵盤画像をディスプレイ6の画面の楽譜画像の下側に表示する。
【0048】
あるいは、選択曲の音域における中央の音高が「A4」でそれに対応するキーナンバが「81」の場合には、
(81−60)÷12=1.75
の演算結果が得られる。この演算結果を四捨五入すると、SFTにストアされる値は「2」となる。この場合には、鍵盤装置10の鍵域を音域の高い方に2オクターブだけシフトした鍵域を設定して、その鍵盤画像をディスプレイ6の画面の楽譜画像の下側に表示する。
【0049】
あるいは、選択曲の音域における中央の音高が「D2」でそれに対応するキーナンバが「50」の場合には、
(50−60)÷12=−0.83…
の演算結果が得られる。この演算結果を四捨五入すると、SFTにストアされる値は「−1」となる。この場合には、鍵盤装置10の鍵域を音域の低い方に1オクターブだけシフトした鍵域を設定して、その鍵盤画像をディスプレイ6の画面の楽譜画像の下側に表示する。
【0050】
あるいは、選択曲の音域における中央の音高が「A1」でそれに対応するキーナンバが「45」の場合には、
(45−60)÷12=−1.25
の演算結果が得られる。この演算結果を四捨五入すると、SFTにストアされる値は「−1」となる。この場合にも音高が「D2」の場合と同様に、鍵盤装置10の鍵域を音域の低い方に1オクターブだけシフトした鍵域を設定して、その鍵盤画像をディスプレイ6の画面の楽譜画像の下側に表示する。
【0051】
また、この場合において、CPU1は、演奏対象曲のデータの入力に伴って順次対応する音高位置の鍵画像の表示態様を色付け表示などで変化させるので、楽譜画像を見て演奏を行う場合でも、対応する鍵の位置が強調されて視線の中に入るので、鍵位置と音符位置とを一致させる訓練に役立つような演奏教習を受けることができる。
【0052】
また、上記実施形態の他の変形例として、選択曲の音域を検出する場合において、その曲を所定の小節数(例えば、4小節)ごとのブロックに分割して、各ブロックごとの音域を検出する。そして、各ブロックごとの音域に応じた鍵盤画像を表示するように構成してもよい。この場合には、演奏するブロックの音域に応じて鍵域の鍵盤画像を表示するので、合理的な画像で演奏教習を受けることができる。
【0053】
なお、上記実施形態においては、パソコン20のHD3にあらかじめ格納されている演奏教習プログラムをCPU1が実行する演奏教習装置について説明したが、FD(フレキシブルディスク)やCD−ROMなどの外部記憶媒体に記憶された演奏教習プログラム、又は、インターネットなどの通信網を介してダウンロードした演奏教習プログラムをパソコンにインストールして実行する構成も可能である。この場合には、プログラムの発明を実現する。
【0054】
すなわち、その演奏教習プログラムは、鍵盤の鍵域を検出する第1のステップと、鍵盤によって演奏される曲の音域を検出する第2のステップと、第1のステップによって検出された鍵域および前記第2のステップによって検出された音域に基づいて表示すべき鍵域を設定する第3のステップと、第3のステップによって設定された鍵域に基づいて曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力する第4のステップとを実行する。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、鍵盤の鍵域を検出し、鍵盤によって演奏される曲の音域を検出し、検出した鍵域および検出した音域に基づいて表示すべき鍵域を設定し、設定した鍵域に基づいて曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力するので、演奏する曲の音域および演奏に使用する鍵盤の鍵域に応じた鍵盤画像によって適切な演奏教習を実現することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における演奏教習装置を適用したシステムの構成を示す図。
【図2】図1のパソコンの構成を示すブロック図
【図3】図2のCPUのメインフローチャート。
【図4】図3における設定処理のフローチャート。
【図5】図4に続く設定処理のフローチャート
【図6】図5に続く設定処理のフローチャート
【図7】図6に続く設定処理のフローチャート
【図8】図3における演奏処理のフローチャート。
【図9】図8に続く演奏処理のフローチャート。
【図10】図2のディスプレイに表示された初期画面の図。
【図11】ディスプレイに表示されたモード選択画面の図。
【図12】ディスプレイに表示された曲選択画面の図。
【図13】ディスプレイに表示されたパート選択画面の図。
【図14】ディスプレイに表示された鍵域(最低鍵)設定画面の図。
【図15】ディスプレイに表示された鍵域(最高鍵)設定画面の図。
【図16】ディスプレイに表示された鍵域設定の警告画面の図。
【図17】ディスプレイに表示された76鍵の鍵盤画像を示す画面の図。
【図18】ディスプレイに表示された37鍵の鍵盤画像を示す画面の図。
【図19】図2のディスプレイに表示された演奏指示画面の図。
【符号の説明】
1 CPU
2 システムバス
3 HD
4 RAM
5 キーボード
6 ディスプレイ
7 インターフェース
8 音源
9 サウンドシステム
10 鍵盤装置
11 再生アイコン
12 停止アイコン
13 早送りアイコン
14 早戻しアイコン
15 MODEアイコン
16 楽譜画像
17 鍵盤画像
18 カーソル画像
20 パソコン
30 MIDIケーブル
Claims (6)
- 表示すべき鍵盤の鍵域を、前記鍵盤の押鍵操作によって入力された最低鍵および最高鍵に基づいて入力する鍵域入力手段と、
前記鍵盤によって演奏される曲の音域を検出する音域検出手段と、
前記鍵域入力手段によって入力された表示すべき鍵域を、前記音域検出手段によって検出された音域に基づいて変更する鍵域変更手段と、
前記鍵域変更手段によって変更された鍵域に基づいて前記曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力する画像生成手段と、
を備えたことを特徴とする演奏教習装置。 - 前記鍵域変更手段は、鍵盤の鍵域を前記曲の音域に応じてオクターブ単位で変位させて表示すべき鍵域を変更することを特徴とする請求項1記載の演奏教習装置。
- 前記鍵域変更手段は、前記音域検出手段によって検出された音域の中央値から前記鍵域入力手段によって検出された鍵域の中央値を減算し、その減算結果を1オクターブの鍵数で除算した値に基づいて前記表示すべき鍵域の変位量を設定し、前記除算結果の正負に応じて前記表示すべき変位方向を設定することにより表示すべき鍵域を変更することを特徴とする請求項2記載の演奏教習装置。
- コンピュータに、
表示すべき鍵盤の鍵域を、前記鍵盤の押鍵操作によって入力された最低鍵および最高鍵に基づいて入力する第1のステップと、
前記鍵盤によって演奏される曲の音域を検出する第2のステップと、
前記第1のステップによって入力された鍵域を、前記第2のステップによって検出された音域に基づいて変更する第3のステップと、
前記第3のステップによって変更された鍵域に基づいて前記曲の演奏を指示する鍵盤画像を生成して所定の表示手段に出力する第4のステップと、
を実行させることを特徴とする演奏教習プログラム。 - 前記第3のステップは、鍵盤の鍵域を前記曲の音域に応じてオクターブ単位でシフトさせて表示すべき鍵域を変更することを特徴とする請求項4記載の演奏教習プログラム。
- 前記第3のステップは、前記第2のステップによって検出された音域の中央値から前記第1のステップによって検出された鍵域の中央値を減算し、その減算結果を1オクターブの鍵数で除算した値に基づいて前記表示すべき鍵域の変位量を設定し、前記除算結果の正負に応じて前記表示すべき変位方向を設定することにより表示すべき鍵域を変更することを特徴とする請求項5記載の演奏教習プログラム。
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