JP3896859B2 - プラズマディスプレイパネル - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はコンピュータおよびテレビ等での画像表示に用いるプラズマディスプレイパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のAC面放電型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)の概要構成の断面図を図6に、図6におけるX−X断面図を図7に示す。
【0003】
パネル1は、表面板2の基板2aと背面板3の基板3aとが複数の隔壁4を挟み放電空間5を形成するように対向配置された構成であり、放電空間5内にはヘリウム(He)、ネオン(Ne)およびアルゴン(Ar)のうち少なくとも一種とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。
【0004】
表面板2は、例えばガラス等のような、透明かつ絶縁性の基板2aの上に、帯状の走査電極6と維持電極7とが放電ギャップ(Dy)だけ離れて互いに対をなすように平行配列されており、その上に誘電体層8および保護膜9が形成されている。走査電極6および維持電極7は各々、透明電極6a、7aの上にライン抵抗を下げるための金属電極6b、7bを母線電極として形成した構成となっている。
【0005】
背面板3は、例えばガラス等のような、絶縁性の基板3aの上に、走査電極6および維持電極7と直交する方向に帯状のデータ電極10が複数本平行配列されており、この各データ電極10を1本ずつ隔離し、かつ放電空間5を形成するための帯状の隔壁4がデータ電極10の間に設けられている。そして、基板3a上およびデータ電極10上および隔壁4の側面にわたって蛍光体11が形成されている。
【0006】
パネル1の画像は、表面板2側から画像表示を見るようになっており、放電空間5内での走査電極6と維持電極7との間の放電により発生する紫外線によって、蛍光体11を励起し、この蛍光体11からの可視光を1画素として表示発光させる構成となっている。
【0007】
ここで、図8に示すように、隔壁4がストライプ状のパネルの場合、走査電極6または維持電極7と、隣の画素を構成する走査電極6または維持電極7との距離、いわゆる画素間距離は、画素間の放電の干渉によって引き起こされる誤放電を防止するために、放電ギャップ(Dy)に比べ数倍広く取る必要がある。
【0008】
ここで、パネル1に対しては高精細化への要求が高まっており、これに対応するためにはパネル1の画素間距離を従来に比べ縮小することが必要であることから、上述した理由により、誤放電防止のための放電ギャップの縮小も同時に必要となる。しかしながら、放電ギャップを縮小させての誤放電防止は、パネル輝度の低下という新たな問題を生じさせることから、放電ギャップはそのままで画素間距離のみを縮小させることにより高精細かつ高輝度を同時に実現する構成が求められている。
【0009】
上記構成の一つとして、隣接する放電空間5の間の対応する位置に補助隔壁を設け、放電による放電空間5間での干渉を防止しながら画素間距離を短くするという構成がある。但しこの構成では、放電空間5を画素毎に完全に区切ってしまうと、パネル1の封着後に行う放電空間5内の清浄化を目的とした排気ベーキング工程において、放電空間5内の不要ガスをパネル1外へ排出させることが困難となってしまうことから、画素間誤放電を防止でき、且つ放電空間5内の排気も効率良く十分に行える、図8に示すような構造の補助隔壁12が提案されている。
【0010】
図8を用いてこの補助隔壁12の詳細を説明する。なお、図6および図7と同一部品には同じ番号を付している。補助隔壁12は背面板3の基板3a上に形成されており、蛍光体11は隔壁4の側面および基板3a上に塗布されている。
【0011】
補助隔壁12は、隔壁4とは分離して設けられており、隔壁4との間には隙間領域13が形成されている。また補助隔壁12の形状は、中央部の幅が最も狭く両側の隔壁4に近づくにつれその幅が増加するものである。
【0012】
補助隔壁12をこのような形状とすることにより、補助隔壁12の強度を保ちつつ補助隔壁12が存在することによる放電空間5の減少を最小限にとどめることができ、しかも隙間領域13が放電空間5内の排気の際に排気孔として機能するため放電空間5内の排気を効率良く十分に行うことができるというものである。したがって、隙間領域13には、放電空間5内の排気の際に発生する排気抵抗ができる限り小さくなるように形成されることが要求される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
図8に示す補助隔壁12の形状では、補助隔壁12の前記基板3aと平行な断面での形状において、隔壁4に対峙する部分の形状が面であるため、隙間領域13で発生する排気抵抗は大きくなり、放電空間5内の排気を効率良く十分に行うことが困難である。このような場合、放電空間5内には不要ガスが残存してしまうこととなり、パネル1の画像表示特性は著しく低下する。
【0014】
本発明は、以上のような課題を解決するもので、隣接する放電空間の間での誤放電を防止でき、且つ放電空間内の排気も効率良く十分に行うことができるパネルを実現することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルは、複数の隔壁を挟み放電空間を形成するように対向配置した2枚の基板と、隔壁間に隔壁とは分離して設けられた複数の補助隔壁とを有し、補助隔壁は基板と平行な断面での幅が隔壁に近づくにつれて狭くなる形状であるとともに、補助隔壁は基板と平行な断面での形状において、隔壁に対峙する部分の形状が尖った形状であるというもの、および、複数の隔壁を挟み放電空間を形成するように対向配置した2枚の基板と、隔壁間に隔壁とは分離して設けられた複数の補助隔壁とを有し、補助隔壁は基板と平行な断面での幅が隔壁に近づくにつれて狭くなる形状であるとともに、隔壁間の中央部で狭くなる形状であるというものである。
【0016】
これにより、隣接する放電空間の間の誤放電を防止でき、且つ放電空間内の排気も効率良く十分に行え、それにより高精細且つ高画像表示特性のパネルの実現が可能となる。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態におけるパネルについて説明する。
【0018】
図1に本発明の第1の実施の形態のパネル概要構成の斜視図を示し、図1において、図6、図7および図8で示した従来のパネル構成と同様の部分については同一番号を付して説明を省略する。
【0019】
パネルは、表面板の基板(図示せず)と背面板3の基板3aとが複数の隔壁4を挟み放電空間5を形成するように対向配置された構成であり、放電空間5内にはヘリウム(He)、ネオン(Ne)およびアルゴン(Ar)のうち少なくとも一種とキセノン(Xe)との混合ガスが封入されている。
【0020】
表面板(図示せず)は、例えばガラス等のような、透明かつ絶縁性の基板(図示せず)の上に、帯状の走査電極6と維持電極7とが放電ギャップだけ離れて互いに対をなすように平行配列されており、その上に誘電体層(図示せず)および保護膜(図示せず)が形成されている。
【0021】
走査電極6および維持電極7は各々、透明電極(図示せず)の上にライン抵抗を下げるための金属電極(図示せず)を母線電極として形成した構成となっている。
【0022】
背面板3は、例えばガラス等のような、絶縁性の基板3aの上に、走査電極6および維持電極7と直交する方向に帯状のデータ電極10が複数本平行配列されており、この各データ電極10を1本ずつ隔離し、かつ放電空間5を形成するための帯状の隔壁4がデータ電極10の間に設けられている。そして補助隔壁14が隔壁4間に隔壁4とは分離されて設けられている。ここで、補助隔壁14の基板3aと平行な断面での幅:Wは、隔壁4に近づくにつれ狭くなっており、このことにより補助隔壁14と隔壁4とで形成される隙間領域13は最小限の大きさとなっている。
【0023】
そして蛍光体11は、基板3a上およびデータ電極10上および隔壁4の側面にわたって形成されている。
【0024】
パネルの画像は、表面板(図示せず)側から画像表示を見るようになっており、放電空間5内での走査電極6と維持電極7との間の放電により発生する紫外線によって、蛍光体11を励起し、この蛍光体11からの可視光を表示発光の1画素として表示発光させる構成となっている。
【0025】
ここで、隔壁4間に補助隔壁14が設けられていることから、パネルの高精細化に際し、放電ギャップはそのままとし画素間距離のみを縮小させたとしても隣接放電空間5間で誤放電が発生することなく、したがってパネルとして高精細かつ高輝度を同時に実現することができるとともに、補助隔壁14が上述したような形状であることから隔壁10と補助隔壁14とにより形成される隙間領域13は最小限の大きさとなるため、排気ベーキング工程において、隙間領域13が放電空間5内を排気するための排気孔として機能する際、発生する排気抵抗は最小限となり、その結果、放電空間5内の排気を効率良く十分に行うことができ、画像表示特性の安定性、信頼性が向上する。
【0026】
また、隙間領域13による排気孔としての効果を確実に得るためには、補助隔壁14を隔壁4に対し確実に分離した状態でパネル全面に形成することが要求される。図8に示したような形状の補助隔壁12の場合、補助隔壁12と隔壁4とが良好に分離できずにつながってしまい隙間領域13を十分に確保できないといったようなパターン不良にまつわる課題が発生する恐れがあったが、本実施の形態のような形状の補助隔壁14の場合、そのようなパターン不良の発生を大幅に減少させることができる。
【0027】
なお、図1では蛍光体11は、補助隔壁14には全く塗着されていない状態を示したが、本発明の効果が得られるのは特にこのような状態の場合に限られるものではなく、例えば蛍光体11の形成方法として図2に示すように、蛍光体11をノズル15を用いて隔壁4間に塗布するラインジェット法を用い、蛍光体11を隔壁4側面および基板3a上面以外に補助隔壁14にも覆うように形成してもよい。
【0028】
また、図8で示したような補助隔壁12の形状であると、蛍光体11の形成方法が上述のように補助隔壁14全体を覆ってしまうような形成方法を用いる場合には、隙間領域13が蛍光体11によって目詰まりしてしまい、排気孔として機能しなくなったり、更には、塗布された蛍光体11が隔壁4の上に乗り上げ、隣の異なる色の画素ラインに蛍光体11が混入し混色するといった課題が発生するが、本実施の形態のような補助隔壁14の場合、隙間領域13が最小限の大きさとなっているため、上述のような課題の発生が低減される。
【0029】
以上説明したように、本実施の形態によれば、高精細、且つ高画像表示特性のパネルを実現することができる。
【0030】
また、本発明の効果を得るための補助隔壁14の形状としては、図1に示すものに限るものではなく、図3(a)〜(d)に示すような形状のものでもよい。なお、図3は背面板の基板(図示せず)面と平行な面での補助隔壁14の断面図である。図3(a)〜(c)に示す補助隔壁14は、背面板の基板(図示せず)面と平行な断面での形状において、隔壁4に対峙する部分の形状を尖った形状としたもので、排気抵抗発生の原因となる隙間領域13を極小とすることが可能となるため、本発明の効果を最大限に高めることが可能となる。また、図3(d)に示す補助隔壁14は、背面板の基板(図示せず)面と平行な面での断面形状において、隔壁4に対峙する部分の形状を丸みを持つ形状としたもので、尖っている場合に比べ機械的強度の高い形状であることから、補助隔壁14の形成時および形成後の補助隔壁14の「欠け・形状ばらつき」といった問題の発生を少なくすることが可能となる。
【0031】
また、隔壁4と補助隔壁14の高さを同じにすることによって一回の露光、現像で形成することができ、パネルを低コストで作製することが可能となる。
【0032】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態におけるパネルについて説明する。
【0033】
図4に、本発明の第2の実施の形態における補助隔壁14の基板3a面と平行な断面を示しており、他の構成は本発明の第1の実施の形態と同様であり、以下での説明では省略する。
【0034】
図4に示すように本実施の形態の補助隔壁14は、隔壁4とは独立して設けられており、かつ、補助隔壁14の背面板の基板3aと平行な断面での幅が、隔壁4に近くなるにつれて狭くなるとともに、隔壁4間の中央部で狭くなる形状としたものである。
【0035】
補助隔壁14をこのような形状とすることによって、第1の実施の形態に比べて放電空間を広く取ることができるため、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができるとともに、パネルの輝度をより高めることが可能となる。
【0036】
なお、本実施の形態の効果を得るための補助隔壁14の形状は図4に示すものに限られるものではなく、図5に示すような形状であってもよい。
【0037】
また、本実施の形態においても、隔壁4と補助隔壁14の高さを同じにすることによって、一回の露光、現像で形成することができ、パネルを低コストで作製することが可能となる。
【0038】
なお、以上の説明では、補助隔壁14および隔壁4は基板3a上に直接、形成されている構成を示したが、特にこの構成に限るものではなく、例えばデータ電極10を形成した基板3a上に絶縁層が存在し、この絶縁層上に隔壁4および補助隔壁14が形成されているという構成であっても本発明の効果は同様に得られる。
【0039】
また、以上の説明では、AC面放電型を例に説明したが、これに限られるものではなく、DC型、対向放電型など、その他のパネルにおいても同様の効果を得ることができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、放電空間間の誤放電を防止でき、且つ放電空間内の排気も効率良く十分に行うことができ、その結果、高精細且つ高画像の表示特性を有するパネルを実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの概要構成を示す斜視図
【図2】ラインジェット法による蛍光体ペースト塗布の概念を示す斜視図
【図3】(a)〜(d)は本発明におけるの補助隔壁の他の例を示す断面図
【図4】本発明の第2の実施の形態によるプラズマディスプレイパネルの補助隔壁を示す図
【図5】本発明における補助隔壁の他の例を示す図
【図6】従来のプラズマディスプレイパネルの構成を示す要部断面図
【図7】図6のX−X線で切断した断面図
【図8】補助隔壁を有する従来のプラズマディスプレイパネルの構成を示す斜視図
【符号の説明】
1 パネル
2 表面板
2a 基板
3 背面板
3a 基板
4 隔壁
5 放電空間
11 蛍光体
13 隙間領域
14 補助隔壁

Claims (2)

  1. 複数の隔壁を挟み放電空間を形成するように対向配置した2枚の基板と、隔壁間に隔壁とは分離して設けられた複数の補助隔壁とを有し、補助隔壁は基板と平行な断面での幅が隔壁に近づくにつれて狭くなる形状であるとともに、補助隔壁は基板と平行な断面での形状において、隔壁に対峙する部分の形状が尖った形状であるプラズマディスプレイパネル。
  2. 複数の隔壁を挟み放電空間を形成するように対向配置した2枚の基板と、隔壁間に隔壁とは分離して設けられた複数の補助隔壁とを有し、補助隔壁は基板と平行な断面での幅が隔壁に近づくにつれて狭くなる形状であるとともに、隔壁間の中央部で狭くなる形状であるプラズマディスプレイパネル。
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