JP3896788B2 - 超純水製造システムの洗浄殺菌方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は超純水製造システムの洗浄殺菌方法に関し、特に半導体製造プロセス等の超純水製造システムを効率的に洗浄すると共に殺菌する方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び先行技術】
半導体製造等の分野における洗浄工程では、洗浄水として超純水が用いられている。この超純水としては、洗浄トラブルの原因となる微粒子、有機物や無機物を含まないことが要求され、例えば抵抗率:18.2MΩ・cm以上、微粒子:1個/mL以下、生菌:1個/L以下、TOC (Total Organic Carbon) :1μg/L以下、シリカ:1μg/L以下、金属類:1ng/L以下、イオン類:10ng/L以下であることが要求水質となっている。
【0003】
超純水の使用場所(ユースポイント)は、超純水製造装置と配管(流路)で接続され、このユースポイントで使用されなかった残余の超純水は別の流路を介して前記超純水製造装置に戻されることにより循環系が形成され、全体として超純水製造システムが構成されている。
【0004】
従来、生菌数を上記要求水質レベルとするための超純水製造システム系内の殺菌のために、過酸化水素(H2O2)による殺菌洗浄が行われている。具体的には、1〜5重量%程度の過酸化水素水を超純水製造システム内に循環させた後、2〜4時間浸漬殺菌することが行われている。また、この殺菌洗浄方法において、浸漬時間を短縮するために40℃程度に加温した0.5重量%過酸化水素水を用いて洗浄することも行われている。
【0005】
一方、超純水製造システムを新規に建設したり長期間休止させた場合等に、システムに混入する空気中のチリやシリカやアルミ等の微粒子や、バクテリアの死骸、鉄さびなどの水中に含まれる粒子、更には製造工程で生じる膜や配管等の削り屑など(以下、これらを「微粒子」と総称する)については、適宜システム内からこれらの微粒子を除去し、超純水中の粒径0.05μm以上の微粒子数が5個/mL以下となるよう洗浄が行われている。
【0006】
しかしながら、この微粒子の洗浄除去は容易ではなく、洗浄に要する時間が長いことが、装置の稼動効率低下の要因となっている。特に、工場の建設に伴って上記システムを新設する場合、その施工時に微粒子がシステムの内部に付着することから、これを除去するための洗浄作業が長期化し(例えば1カ月)、工場の稼動率が低下している。
【0007】
このようなことから、超純水製造システムを洗浄してから所定の要求水質を満たす超純水が得られるまでの時間を短縮すること(超純水製造システムの垂直立上げ)が要望されており、洗浄効率を高めるために、例えば洗浄水として温水や過酸化水素水を用いることが行われている。また、特開平7−195073号公報には、洗浄力の大きいアルコールを用いた洗浄方法が提案されている。
【0008】
しかしながら、温水や過酸化水素では、洗浄力が十分ではないため、超純水製造システムの配管等に付着した微粒子を十分な洗浄効率で除去することはできない。
【0009】
また、洗浄にアルコールを用いた場合、微粒子を十分に除去するためにはアルコールを比較的高濃度(約10〜80%)とする必要があり、そのため、洗浄後に超純水製造システム内にアルコールが残留して水質の低下(TOCの増大)を招く可能性がある。従って、残留アルコールを除去するための時間が必要となり、結果として洗浄時間の短縮は困難であった。
【0010】
上記従来の問題点を解決し、洗浄力(微粒子の除去能力)に優れると共に、洗浄後のシステム内に洗浄液中の成分が残留することが少ないことから、洗浄に要する時間を短縮することができ、従って、超純水製造装置の垂直立上げが可能な超純水製造システムの洗浄方法として、本出願人は先に、超純水製造システムの超純水との接触面に付着した微粒子の表面電位を変化させることにより、この微粒子を除去する超純水製造システムの洗浄方法を提案した(特願2000−242602(以下「先願」という。))。
【0011】
上記先願の方法において、微粒子の表面電位を変化させる手段としては、具体的には塩基性溶液を用いて洗浄する方法が採用されている。
【0012】
この先願の方法における微粒子除去の原理は以下の通りである。
【0013】
即ち、超純水製造システムの配管等に付着した微粒子は、その表面電位により配管などと電気的つまり静電的に付着している。一般に、洗浄液などの溶液中における微粒子の表面電位は、その液性により変化するが、特に溶液のpHを変化させることによって顕著に変化させることができ、液のpHをアルカリ性側に変化させることによって微粒子はマイナスに帯電し、かつ、その電荷も増大する。一方、超純水製造システムの配管系等を構成しているPVC(ポリ塩化ビニル)やPPS(ポリフェニレンサルファイド)などの有機高分子材料は、表面電位の変化を起こさず、接触する液体のpH変化に関係なくマイナス荷電を有する。従って、接触する液体のpHをアルカリ性に変化させることにより、マイナスに帯電した微粒子がシステム構成材料と電気的に反発して剥離、除去しやすくなる。
【0014】
そして、この剥離、除去作用は、洗浄液として用いる塩基性溶液の濃度が低くても(例えば数10mg/L)十分に発揮される。従って、洗浄液を低濃度とすることができる。そのため、洗浄液の成分がシステム内に残留する割合が少なくなり、この成分に由来してTOCが増大することも抑制される。その結果、洗浄作業を短時間で終了させることができ、超純水製造システムの垂直立上げが可能となる。
【0015】
上記先願の方法は、微粒子の除去能力に優れているので、超純水製造システムに付着した微粒子を速やかに剥離、除去することができる。しかも、洗浄液は低濃度であるため、洗浄後に洗浄液中の成分が残留してTOCを増大させることも少ない。このため、洗浄作業を短時間で行うことが可能である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
塩基性溶液を用いる先願の方法では、微粒子除去に関しては有効ではあるが、殺菌効果は十分ではなく、洗浄後の生菌数は0.4個/mLと、要求水質(1個/L以下)を大きく上回る。
【0017】
従って、生菌数と微粒子数とを共に要求水質レベルとするためには、塩基性溶液による洗浄と、従来法の過酸化水素による殺菌とを併用する必要がある。
【0018】
この場合、塩基性溶液により超純水製造システム内を洗浄した後超純水で系内の塩基性溶液を押し出し洗浄し、次いで過酸化水素水を系内に循環後、数時間滞留させて浸漬殺菌した後超純水で系内の過酸化水素水を押し出し洗浄することになるが、このように塩基性溶液による洗浄、超純水による薬品置換、過酸化水素による殺菌及び超純水による薬品置換を順次行う洗浄殺菌方法では、全工程に要する時間が10時間程度も必要となり、作業時間が長く、結果として超純水製造システムの垂直立上げができないという不具合が生じる。
【0019】
本発明はこのような問題点を解決し、超純水製造システムの微粒子除去のための洗浄及び殺菌を短時間で効率的に行うことができる超純水製造システムの洗浄殺菌方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の超純水製造システムの洗浄殺菌方法は、超純水製造装置、超純水のユースポイント、並びに前記超純水製造装置と前記ユースポイントとを接続する超純水の流路からなる超純水製造システムの洗浄殺菌方法において、塩基性化合物を含む洗浄液で前記超純水製造システムの少なくとも一部を洗浄した後、超純水による薬品置換のための押し出し洗浄を行わずに、或いは、該押し出し洗浄により該洗浄系内のpHが7を超え9以下に低下したときに、該洗浄系内に過酸化水素を注入して殺菌することを特徴とする。
【0021】
本発明では、超純水製造システム内を塩基性溶液で洗浄して微粒子を除去した後、この洗浄液中の塩基性化合物の全部又は一部が残留している状態で過酸化水素を注入して殺菌を行う。このため、塩基性溶液を超純水で薬品置換するに要する時間を短縮することができ、微粒子除去及び殺菌に要する全体の洗浄時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0022】
このように、塩基性化合物が残留する状態で過酸化水素を注入しても何ら過酸化水素の殺菌効率が損なわれることはなく、むしろ、塩基性化合物と過酸化水素とが共存することによる相乗効果でより一層良好な殺菌効果を得ることができる。
【0023】
なお、以下において、塩基性溶液による微粒子の洗浄除去工程を「微粒子洗浄」と称し、過酸化水素による殺菌工程を「殺菌洗浄」と称し、超純水による薬品置換を「押し出し洗浄」と称す場合がある。
【0024】
本発明の方法によれば、微粒子洗浄→押し出し洗浄→殺菌洗浄→押し出し洗浄の工程を行う場合に比べて、少なくとも微粒子洗浄後の押し出し洗浄を全く行うことなく、或いは押し出し洗浄の途中で殺菌洗浄に移行することで、微粒子洗浄後の押し出し洗浄時間の1〜2時間を短縮することができ、更に、塩基性化合物が共存することによる過酸化水素による殺菌効果の向上で従来の浸漬工程を省略することで、この浸漬工程の2〜4時間を短縮することもできる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の超純水製造システムの洗浄殺菌方法の実施の形態を説明する。
【0026】
図1は、本発明による超純水製造システムの洗浄殺菌方法の実施の形態を示す系統図である。この超純水製造システム1は、超純水製造装置2、超純水のユースポイント4、及びこれらを接続する超純水の流路6a,6bから成っている。そして、超純水製造装置2で製造された超純水は流路6aを介してユースポイント4へ送られて該ユースポイント4でその一部が使用され、未使用の超純水は流路6bを経て超純水製造装置2に戻る循環系をなしている。
【0027】
超純水製造装置(2次純水装置)2は、紫外線酸化装置24及び限外濾過膜分離装置26を有し、1次純水10を紫外線酸化装置24で処理して有機物を除去した後、限外濾過膜分離装置26で微粒子を除去することにより、例えば前述の要求水質を満たす超純水を製造するものである。1次純水10は、原水を例えば逆浸透膜で処理した後、アニオン性及びカチオン性のイオン交換樹脂による処理を順に行い、さらに逆浸透膜処理することにより得られる。
【0028】
図1に示す実施の形態においては、超純水製造装置2の入口側に1次純水10及びユースポイント4から戻された未使用の超純水を収容するタンク21が配設される。そして、タンク21に収容された超純水はポンプ22を介して熱交換器23で温度調整された後、紫外線酸化装置24で処理され、さらにイオン交換樹脂塔25で脱塩処理されて限外濾過膜分離装置26で最終的に処理される。これらに加え、図示しない逆浸透膜、その他の膜処理装置が超純水製造装置2に組み込まれる場合もある。
【0029】
ユースポイント4は超純水の使用場所を示し、対象物(例えば半導体)を洗浄するための洗浄装置(洗浄槽)4aの他、適宜配管やノズル類等を含んでもよい。なお、ユースポイント4で使用された超純水は、適宜排水として回収される。
【0030】
超純水製造装置2とユースポイント4とを接続する超純水の流路6a,6bは基本的には配管やチューブで構成されるが、本発明では流路の途中に適宜タンク、ポンプ、継手、及び弁、その他の設備を配置したものも含めて流路と称する。流路6a,6bに用いる材料としては、超純水中にその成分が溶出するものでなければよく、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PVDF(ポリビニルジフロライド)、FRP(繊維強化プラスチック)、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、ステンレス等を用いることができる。
【0031】
このような超純水製造システム1の洗浄を行うには、超純水製造装置2のイオン交換樹脂塔25をバイパスするバイパス流路27を設け、まず、タンク21又は循環系の位置の箇所にアンモニア水や水酸化ナトリウム等の塩基性化合物を添加して、タンク及びシステム内の超純水と混合して所定のpH及び濃度に調整し、イオン交換樹脂塔25をバイパスすること以外は通常の超純水の循環フローに従って、系内に循環させることにより、システム全体の微粒子洗浄を行う。
【0032】
このときの塩基性溶液の流速は、0.5m/sec以上、特に0.75〜2.0m/secの範囲とすることが好ましい。このような流速とすることにより、この塩基性溶液の流れによる物理的な力がシステムの配管内に付着した微粒子に加えられることにより、塩基性溶液による剥離効果と相俟って、これらの微粒子の配管からの剥離、除去が一層促進される。
【0033】
この微粒子洗浄は、好ましくは0.5〜3時間程度塩基性溶液が流れるよう適宜塩基性溶液を循環させて行うのが好ましい。
【0034】
この微粒子洗浄時の塩基性溶液の温度については特に制限はないが、超純水製造システムを構成する部材や配管の耐熱温度を超えない範囲でなるべく高い温度とするのが洗浄力の点で好ましく、具体的には20〜100℃とするのがよい。例えば、耐熱温度が約45℃であるPVCを構成材料とする場合は塩基性溶液の温度を40℃程度とし、耐熱温度が約80℃であるPVDFの場合は塩基性溶液の温度を75〜80℃とすればよい。また、ステンレスを構成材料とする場合は100℃程度の温度で洗浄することができる。
【0035】
なお、本発明において、微粒子洗浄に用いる塩基性溶液としては、超純水に、アンモニア、アンモニウム化合物、アルカリ金属の水酸化物及びアルカリ金属の酸化物よりなる群から選ばれる1種又は2種以上の塩基性化合物を溶解させたもの、特に、アンモニア、アンモニウム塩、テトラアルキルアンモニウム化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどを超純水に溶解させたものを好適に用いることができる。
【0036】
塩基性溶液として、このようなアンモニア水又は水酸化ナトリウム等の水溶液を使用する場合は、そのpHを7〜14、特に9〜11に設定することが好ましい。
【0037】
また、塩基性化合物の濃度は、低過ぎると微粒子の剥離効果を十分に得ることができず、高過ぎると洗浄液成分の残留の問題が生じ、これを除去するための洗浄時間が長くなる。超純水製造システムを洗浄する際には、例えば、アンモニア水の場合は5〜500mg/L、特に50〜100mg/Lとすることが好ましく、水酸化ナトリウム水溶液の場合は0.01〜4000mg/L、特に0.4〜40mg/Lの範囲に設定することが好ましい。
【0038】
微粒子洗浄後は、通常の洗浄方法であれば、系内に超純水を導入して塩基性溶液を押し出し、ブロー配管から排出させて、系内の塩基性溶液を除去する押し出し洗浄を行うが、本発明では、次の(1),(2)のように、この押し出し洗浄中に、或いは、押し出し洗浄を行わずに、従って、系内に塩基性化合物の全部又は一部が残留している状態で過酸化水素を注入してシステム内に液を循環させる殺菌洗浄工程に移行する。
【0039】
(1) 上記押し出し洗浄中に過酸化水素を注入する。即ち、この押し出し洗浄により、系内の塩基性化合物が完全に排出された状態とは、系内のpHが中性になるときであるが、本発明では、塩基性化合物が完全に排出されずに一部が残留している状態で過酸化水素を注入した後、システム内に液を循環させることにより殺菌洗浄を行う。この過酸化水素の注入は、系内のpHが7を超え9以下の時、好ましくは7.5〜8.5程度に低下したときに行うことができる。
【0040】
(2) 押し出し洗浄を行わずに、微粒子洗浄後、そのまま過酸化水素を注入してシステム内に液を循環させることにより殺菌洗浄を行う。
【0041】
上記(1),(2)のいずれの場合にあっても、殺菌洗浄における過酸化水素の注入量は、殺菌効果及び薬剤コストの面から、0.1〜3重量%程度とするのが好ましく、押し出し洗浄中又は押し出し洗浄を行わない塩基性溶液に過酸化水素を注入して、pH7〜13の過酸化水素含有液を上記と同様にしてシステム内に循環させれば良い。
【0042】
この殺菌洗浄時の過酸化水素含有液の流速は、0.1〜2m/secの範囲とするのが好ましく、また、この殺菌洗浄は1〜3時間程度過酸化水素含有液がシステム内を循環するように行うのが好ましい。
【0043】
この殺菌洗浄においても過酸化水素含有液を加温しても良く、20〜60℃程度の液温で洗浄を行うのが好ましい。
【0044】
上記殺菌洗浄後は、超純水による押し出し洗浄を行う。この押し出し洗浄はシステム内の残留薬品を除去することができる。
【0045】
押し出し洗浄で排出された塩基性化合物及び過酸化水素を含有する排水は塩基性化合物の中和処理と過酸化水素の還元処理を行った後、放流される。
【0046】
なお、図1に示す超純水製造システムにおいて、塩基性化合物及び過酸化水素の注入個所には特に制限はなく、タンク21或いは限外濾過膜分離装置26の入口側の配管、その他の各部の配管に注入することができる。
【0047】
本発明の洗浄殺菌方法は、超純水製造システムに塩基性化合物及び過酸化水素を注入して循環する方法に限らず、超純水製造システムの洗浄箇所に塩基性溶液を満たした状態で、例えば超音波などによりこの洗浄液に微小振動を与えて微粒子に物理的な力を加えて洗浄効果を高める方法を採用して微粒子洗浄を行い、その後過酸化水素を注入して同様に殺菌洗浄を行ってもよい。
【0048】
このようにして、超純水製造システム全体を洗浄する他、限外濾過膜分離装置や紫外線酸化装置といった個別の装置や配管の一部、配管継手部分などの上記システムの一部分を個別に洗浄してもよい。この場合、被洗浄部の直前に塩基性化合物及び過酸化水素を順次注入すると共に被洗浄部の直後に洗浄液の排出口を設け、一定時間洗浄液を通液したり、洗浄液を満たした状態で振動を与えるようにして、微粒子洗浄及びその後の殺菌洗浄を行えばよい。
【0049】
なお、本発明において、微粒子洗浄時に用いる塩基性溶液に、界面活性剤を添加しても良く、この場合界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン塩などの陰イオン界面活性剤を用いることができ、その濃度は1〜1000mg/L、通常は数10mg/L程度で十分である。
【0050】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
【0051】
実施例1
次のようにして図1に示す超純水製造システムの洗浄を行った。
【0052】
まず、超純水製造装置2のタンク21にアンモニア水を濃度50mg/L、pH10.5となるように1時間かけて添加し、ポンプ22により流速0.75m/secで熱交換器23に送って40℃の温度に調整した後、超純水製造装置2、流路6a、ユースポイント4、流路6bの順にアンモニア洗浄液を2時間循環させてこのシステムを洗浄した。但し、イオン交換樹脂塔24は洗浄せず、バイパス流路27を介して洗浄液を迂回させた。
【0053】
次いで、洗浄液を図示しないブロー配管から排出させ、タンク21に1次純水10を供給し、システム内に適宜循環させてシステムの内部に残った洗浄液を排出する押し出し洗浄を行った。
【0054】
この押し出し洗浄を30分行い、限外濾過膜分離装置26の入口のpHが8になった時点でタンク21に過酸化水素を0.5重量%の濃度となるように注入し、この注入時間も含めて1m/secで2時間循環させた。このときの洗浄温度は40℃とした。
【0055】
その後、上記と同様の押し出し洗浄を2時間行い、洗浄を終了した。この一連の洗浄に要したタイムスケジュールは図2に示す通りである。
【0056】
なお、洗浄排液は中和処理及び還元処理を行った後、放流した。
【0057】
洗浄が終了した後、通常の運転を行い、ユースポイント4における超純水の水質の経時変化を、微粒子数を測定することにより調査した。超純水中の微粒子数は、一定量の超純水をフィルタで濾過し、このフィルタ上にトラップされた微粒子(粒径0.05μm以上)を走査型電子顕微鏡で計数した。
【0058】
この結果を図3に示す。図3に示す如く、運転再開後8日後には、微粒子数は要求水質レベルの1個/mL以下となった。このときの生菌数を調べたところ、要求水質レベルの0.001個/mL以下であった。
【0059】
実施例2
実施例1において、微粒子洗浄後、押し出し洗浄を行わずに直ちに過酸化水素を注入して殺菌洗浄を行ったこと以外は同様にして超純水製造システムの洗浄を行った。
【0060】
過酸化水素は限外濾過膜分離装置26の入口側の配管から注入し、流量50m3/hrに対して30重量%過酸化水素水を0.8m3/hrでシステム内の過酸化水素濃度が0.5重量%となるように注入し、この注入時間も含めて2時間循環させた。
【0061】
その後、実施例1と同様にして押し出し洗浄を行って洗浄を終了し、同様に洗浄終了後の微粒子数の経時変化を調べ、結果を図3に示した。この一連の洗浄に要したタイムスケジュールは図2に示す通りである。
【0062】
この実施例2においても、運転再開後8日後には微粒子数は要求水質レベルの1個/mL以下となり、このときの生菌数は要求水質レベルの0.001個/mL以下であった。
【0063】
比較例1
実施例1と同様に微粒子洗浄を行った後、同様に押し出し洗浄を行い、この押し出し洗浄を1.5時間行って、システム内から完全にアンモニアを排出させ、システム内の液pHが7となった後に、過酸化水素(40℃)を注入して循環、浸漬(滞留)による殺菌洗浄及び殺菌洗浄後の押し出し洗浄を行ったこと以外は同様にして洗浄を行った。
【0064】
この一連の洗浄に要したタイムスケジュールは図2に示す通りである。
【0065】
洗浄終了後、実施例1と同様に微粒子数の経時変化を調べ、結果を図3に示した。
【0066】
この比較例1においても、運転再開後8日後には微粒子数は要求水質レベルの1個/mL以下となり、このときの生菌数は要求水質レベルの0.001個/mL以下であった。
【0067】
図2,3より明らかなように、本発明方法による実施例1,2の洗浄方法では、微粒子洗浄、押し出し洗浄、殺菌洗浄及び押し出し洗浄を行った比較例1に比べて、洗浄に要する時間を大幅に短縮した上で同等の洗浄効果を得ることができることがわかる。
【0068】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明の超純水製造システムの洗浄殺菌方法によれば、超純水製造システムの微粒子除去及び殺菌のために要する洗浄時間を大幅に短縮した上で、良好な洗浄効果を得ることができるため、超純水製造システムの垂直立上げが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の超純水製造システムの洗浄殺菌方法の実施の形態を示す系統図である。
【図2】実施例1,2及び比較例1における洗浄工程のタイムスケジュールを示す図である。
【図3】実施例1,2及び比較例1における洗浄後の超純水中の微粒子数の経時変化を示すグラフである。
【符号の説明】
1 超純水製造システム
2 超純水製造装置
4 ユースポイント
21 タンク
22 ポンプ
23 熱交換器
24 紫外線酸化装置
25 イオン交換樹脂塔
26 限外濾過膜分離装置
Claims (1)
- 超純水製造装置、超純水のユースポイント、並びに前記超純水製造装置と前記ユースポイントとを接続する超純水の流路からなる超純水製造システムの洗浄殺菌方法において、
塩基性化合物を含む洗浄液で前記超純水製造システムの少なくとも一部を洗浄した後、超純水による薬品置換のための押し出し洗浄を行わずに、或いは、該押し出し洗浄により該洗浄系内のpHが7を超え9以下に低下したときに、該洗浄系内に過酸化水素を注入して殺菌することを特徴とする超純水製造システムの洗浄方法。
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