JP3896670B2 - 車両用空調装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、空調ケース内通路を内気側の第1空気通路と外気側の第2空気通路とに区画形成することにより、フット開口部からは暖められた高温内気を再循環して吹き出し、一方、デフロスタ開口部からは低湿度の外気を吹き出す、いわゆる内外気2層流モードが設定可能な車両用空調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の内外気2層流モードが設定可能な車両用空調装置は、特開平5−124426号公報等にて知られており、この従来技術の概要を説明すると、空調ケースの一端側に内気吸入口および外気吸入口が形成され、他端側にはフット開口部、デフロスタ開口部、およびフェイス開口部がそれぞれ形成されている。
【0003】
そして、この空調ケース内に、上記内気吸入口から上記フェイス開口部およびフット開口部にかけての第1空気通路と、上記外気吸入口から上記デフロスタ開口部にかけての第2空気通路とを区画形成する仕切り板が設けられている。
仕切り板は、ヒータコアの空気下流側で途切れて連通路が形成されており、この連通路は連通ドア(実際にはデフロスタドア)によって開閉される。つまり、第1空気通路と第2空気通路とは、連通ドアが連通路を開口すると、連通路を通じて連通する。
【0004】
吹出モードとしてフットデフロスタ吹出モードが選択されたときは、第1空気通路内に内気を導入し、第2空気通路内に外気を導入する2層流モードとする。これによって、既に温められている内気を再循環してフット開口部から吹き出して車室内を暖房できるので、車室内への吹出空気温度が高くなり、暖房性能を向上できる。これと同時に、デフロスタ開口部からは低湿度の外気を窓ガラスへ吹き出すので、窓ガラスの防曇性能を確保できる。
【0005】
また、フェイス吹出モードでは、上記連通路を開口して、第1空気通路と第2空気通路を連通させる。このようにしたのは、以下の理由がある。
フェイス吹出モードは、通常夏場において急激に車室内を冷却するときに使用される吹出モードであるため、空調風の風量はなるべく多くしたいという要望がある。従って、上記従来装置では、フェイス吹出モードでは、空気通路を完全に2つの通路に仕切らずに、連通路を開けて第1空気通路と第2空気通路を流れる空調風を全てフェイス開口部へ送風するようにしている。これにより、フェイス吹出モードにおいて、空調風の風量を高めることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来装置では、フェイス吹出モードにおいて連通路を開けるのであるが、第1空気通路を流れた空気と第2空気通路を流れた空気とがぶつかって、最終的にフェイス開口部へ送風される空調風の風量がダウンするという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は上記点に鑑みて、フェイス吹出モード時に連通路を開けて第1空気通路と第2空気通路とを流れる空調風をフェイス開口部に送風する車両用空調装置において、フェイス吹出モードにおける空調風の風量を高めることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために以下の技術的手段を採用する。請求項1ないし4記載の発明では、連通口(23)のうち温度調整手段(13)側に位置する開口縁近傍からフェイス開口部(21)に向かって延びる空気案内板(30)を設け、フェイス吹出モードが設定されているときに、空気案内板(30)にて連通口(23)を通過した空調風が前記フェイス開口部(21)に案内されるようにしたことを特徴としている。
【0009】
これにより、連通口を通過した空調空気は、空気案内板がフェイス開口部に向かって延びるように形成されているため、この空気案内板によりフェイス開口部にスムーズに案内される。この結果、フェイス吹出モードにおいて空調風の風量を増加させることができる。
また、請求項2記載の発明では、フェイス開口部(21)は第2空気通路(9、90)側に開口配置しており、フェイス吹出モードが設定されているときは、連通口(23)には第1空気通路(8、80)からの空調空気が通過し、空気案内板(30)は、連通口(23)を通過した空調空気をフェイス開口部(21)に案内するとともに、第1空気通路(8、80)からの空調空気をフェイス開口部(21)に案内することを特徴としている。
【0010】
これにより、第2空気通路を流れた空調空気も、空気案内板によってフェイス開口部にスムーズに案内される。このようにすることで、第1空気通路と第2空気通路とを流れた空調空気がぶつかることなく、スムーズにフェイス開口部に送風される。この結果、フェイス吹出モードにおいてさらに空調風の風量を増加させることができる。
【0011】
また、請求項3記載の発明では、空気案内板(30)は、フェイス開口部(21)より空気上流側で途切れており、空気案内板(30)は、フェイス吹出モードにおいて、連通口(23)より空気下流側を第1空気通路(8、80)と第2空気通路(9、90)とを延長するように第1、第2フェイス用通路(31、32)に仕切るフェイス用仕切り板となっており、フェイス開口部(21)は、第1、第2フェイス用通路(31、32)の両方を跨がって開口するように配置されていることを特徴としている。
【0012】
これにより、連通口より空気下流側を第1空気通路と第2空気通路とは延長され、空気案内板によって第1空気通路の空調空気と第2空気通路の空調空気とは、混ざらずに区切られて流れる。
そしてフェイス開口部は、第1、第2フェイス用通路の両方に跨がって開口するように配置されてため、第1フェイス用通路31を流れる空調空気と、第2フェイス用通路を流れる空調空気とは平行に流れて、フェイス開口部に送風される。このため、第1空気通路と第2空気通路とを流れた空調空気は、ほとんどぶつかることなく、スムーズにフェイス開口部に送風される。この結果、さらに空調風の風量を増加させることができる。
【0013】
また、請求項4記載の発明では、フェイス開口部(21)を開閉するフェイスドア(22)を有し、フェイスドア(22)は、一本のシャフト(22a)に対して2つのドア部(22b、22c)を有するバタフライ式のドア部材であり、フェイスドア(22)にてフェイス開口部(21)を開口するフェイス吹出モードでは、フェイスドア(22)がフェイス用仕切り板(30)と協動して、フェイス開口部(21)より空気下流側にまで第1フェイス用通路(31)と第2フェイス用通路(32)とを延長するように構成されていることを特徴としている。
【0014】
ところで、上述のように出来る限り空調空気を区切ったままで平行にフェイス開口部に送風するのであるが、上記空気案内板はフェイス開口部の空気上流側で途切れている。これは、通常デフロスタ吹出モードにおいて、第1空気通路、第2空気通路双方の空調空気をデフロスタ開口部に送風するためである。
従って、第1フェイス用通路と第2フェイス用通路とを流れる空調空気がいくら平行に流れるといっても、フェイス開口部の空気上流側で仕切り無いで接すると、空気の流れに乱れが発生し、空調風の風量ダウンの要因となる。
【0015】
そこで、本発明では、フェイス吹出モードでは、フェイスドアが空気案内板と協動して、フェイス開口部より空気下流側にまで第1フェイス用通路31と前記第2フェイス用通路32とを延長する。
このため、フェイスドアにより第1フェイス用通路と第2フェイス用通路とを流れた空調空気は、フェイス開口部の空気下流側まで区切って流れる。これにより、さらに空調風の風量を増加させることができる。
【0016】
なお、上記各手段に付した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示す。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本発明の一実施形態を示すものであり、ディーゼルエンジン車のように、温水(エンジン冷却水)温度が比較的低い温度となる低熱源車に適用したものである。
空調装置通風系は、大別して、送風機ユニット1と空調ユニット100の2つの部分に分かれている。空調ユニット100部は、車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されるものであり、一方、送風機ユニット1は図1の図示形態では、空調ユニット100の車両前方側に配置する状態を図示している。すなわち、空調ユニット100を車室内に配置し、送風機ユニット1はエンジンルーム内において空調ユニット100の前方位置に配置するレイアウトとしている。
【0018】
ここで、送風機ユニット1を車室内において空調ユニット100の側方(助手席側)にオフセット配置するレイアウトとすることもできる。
先ず、最初に、送風機ユニット1部を具体的に説明すると、送風機ユニット1は、ポリプロピレン等の樹脂材にて形成され、車室内への空気流路をなす空調エース50を有する。空調ケース50には、内気(車室内空気)を導入する第1、第2の2つの内気導入口2、2aと、外気(車室外空気)を導入する1つの外気導入口3が形成されている。これらの導入口2、2a、3はそれぞれ第1、第2の2つの内外気切替ドア4、5によって開閉可能になっている。
【0019】
この両内外気切替ドア4、5は、それぞれ回転軸4a、5aを中心として回動操作される平板状のものであって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して、空調操作パネル(図示せず)の内外気切替用手動操作機構(レバーやダイヤルを用いた機構)に連結され、連動操作するか、あるいは、両内外気切替ドア4、5をサーボモータを用いた内外気切替用アクチュエータ機構により連動操作する。
【0020】
本例では、内気導入口2、2aと外気導入口3と内外気切替ドア4、5と上記手動操作機構またはアクチュエータ機構とにより内外気切替手段が構成されている。
そして、上記導入口2、2a、3からの導入空気を送風する第1(内気側)ファン6および第2(外気側)ファン7が、送風機ユニット1内に配置されている。この両ファン6、7は周知の遠心多翼ファン(シロッコファン)からなるものであって、1つの共通の電動モータ6bにて同時に回転駆動される。
【0021】
図1は後述する2層流モードの状態を示しており、第1内外気切替ドア4は第1内気導入口2を開放して外気導入口3からの外気通路3aを閉塞しているので、第1(内気側)ファン6の吸入口6aに内気が吸入される。これに対し、第2内外気切替ドア5は第2内気導入口2aを閉塞して外気導入口3からの外気通路3bを開放しているので、第2(外気側)ファン7の吸入口7aに外気が吸入される。
【0022】
従って、この状態では、第1ファン6は、内気導入口2からの内気を第1空気通路(内気側通路)8に送風し、第2ファン7は、外気導入口3からの外気を第2空気通路(外気側通路)9に送風するようになっており、第1、第2空気通路8、9は、第1ファン6と第2ファン7との間に配置された仕切り板10により仕切られている。この仕切り板10は、両ファン6、7を収納する樹脂製のスクロールケーシング10aに一体成形できる。
【0023】
なお、本実施形態では、第1ファン6の外径を大とし、第2ファン7の外径を小にしている。これは、第1ファン6側において、電動モータ6bの存在により吸入口6aの開口面積が減少するのを防止するためである。
次に、空調ユニット100部は、空調ケース11を有する。空調ケース11内には蒸発器(冷房用熱交換器)12とヒータコア(暖房用熱交換器、温度調整手段)13とを両方とも一体的に内蔵されている。空調ケース11はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなり、複数の分割ケースが組付られて、車室内へ向かう空気流路を構成している。そして、この複数の分割ケース内に、上記熱交換器12、13、後述するドア等の機器を収納した後に、この複数の分割ケースを金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合することにより、空調ユニット100部が組み立てられる。
【0024】
空調ケース11内において、最も車両前方側の部位に蒸発器12が設置され、空調ケース11内の第1、第2空気通路80、90の全域を横切るように蒸発器12が配置されている。この蒸発器12は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却するものである。ここで、蒸発器12は図1に示すように、車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内に設置されている。
【0025】
また、空調ケース11内部の空気通路は、蒸発器12の上流部からヒータコア13の下流部に至るまで、仕切り板15a、15b、15cにより車両下方側の第1空気通路(内気側通路)80と車両上方側の第2空気通路(外気側通路)90とに区画し、仕切られている。この仕切り板15a〜15cは空調ケース11に樹脂にて一体成形され、車両左右方向に略水平に延びる固定仕切り部材である。
【0026】
なお、蒸発器12は周知の積層型のものであって、アルミニュウム等の金属薄板を最中状に2枚張り合わせて構成した偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。
ヒータコア13は、蒸発器12の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けて隣接配置されている。このヒータコア13は、蒸発器12を通過した冷風を加熱するものであって、その内部に高温のエンジン冷却水(温水)が流れ、この冷却水を熱源として空気を加熱するものである。このヒータコア13も蒸発器12と同様に、車両前後方向には薄型の形態で空調ケース11内に設置されている。
【0027】
また、ヒータコア13は、仕切り板15bと15cの間において、第1空気通路80と第2空気通路90の両方に跨がって、かつ、第1、第2空気通路80、90の全域を横切るように配置されている。
なお、ヒータコア13は周知のものであって、アルミニュウム等の金属薄板を溶接等により断面偏平状に接合してなる偏平チューブをコルゲートフィンを介在して多数積層配置し、一体ろう付けしたものである。本例のヒータコア13は、温水入口側タンク13aを下方の第1空気通路80側に配置するとともに、温水出口側タンク13bを上方の第2空気通路90側に配置している。
【0028】
そして、この両タンク13a、13bの間に上記偏平チューブおよびコルゲートフィンからなる熱交換コア部13cを構成している。従って、ヒータコア13は温水入口側タンク13aからの温水が熱交換コア部13cの偏平チューブを下方から上方への一方向に流れる一方向流れタイプ(全パスタイプ)として構成されている。
【0029】
また、ヒータコア13に流入する温水の流量(または温水の温度)を調整する温水弁14をヒータコア13への温水回路に設けて、この温水弁14の温水流量(または温水温度)の調整作用により車室内への吹出空気温度を調整できるようにしてある。つまり、本例では、この温水弁14によりヒータコア13での空気加熱量が調整されるために、ヒータコア13は車室内への吹出空気温度を調整する温度調整手段を構成している。
【0030】
次に、空調ケース11の上面部には、ヒータコア13の空気下流側直後の第2空気通路90に連通するデフロスタ開口部19が開口している。このデフロスタ開口部19は図示しないデフロスタダクトおよびデフロスタ吹出口を介して、車両窓ガラス内面に向けて風を吹き出すためのものである。このデフロスタ開口部19は、回転軸20aにより回動自在な平板状のデフロスタドア20により開閉される。
【0031】
空調ケース11の最も車両後方側(乗員寄り)で、ヒータコア13の空気下流側の部位には、第2空気通路90と直接連通するフェイス開口部21が開口している。このフェイス開口部21は図示しないフェイスダクトを介して計器盤上方部のフェイス吹出口より乗員の上半身に向けて風を吹き出すためのものである。このフェイス開口部21は、回転軸22aにより回動自在なバタフライ状のフェイスドア22により開閉される。すなわち、バタフライ状のフェイスドア22とは、図1に示すように一本の回転軸22a(シャフト)に対して2つのドア部22b、22cを有するドア部材である。
【0032】
ここで、仕切り板15a〜15cによって空調ケース11内が第1空気通路80と第2空気通路90とに仕切られているのであるが、ヒータコア13の空気下流側では仕切り板15a〜15cによる仕切り作用が途切れている。つまり、前述した仕切り板15cの最も空気下流側の端部と、空調ケース11の壁面11aとの間に、第1空気通路80と第2空気通路90とを連通する連通口23が設けられている。この連通口23は回転軸27aにより回動自在な平板状の連通ドア27(連通口開閉手段)により開閉される。
【0033】
また、空調ケース11の下面のうち、車両後方側の部位にはフット開口部26が開口しており、このフット開口部26は第1空気通路80においてヒータコア13の空気下流側の部位に連通している。このフット開口部26は図示しないフットダクトを介してフット吹出口から車室内の乗員足元に温風を吹き出すためのものである。
【0034】
フット開口部26は、上記連通ドア27にて開閉される。つまり、フット開口部26と連通口23とは、連通ドア27によりフット開口部26と連通口23が切替開閉される。
なお、デフロスタドア20、フェイスドア22、および連通ドア27は吹出モード切替用のドア手段であって、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して空調操作パネルの吹出モード切替用手動操作機構に連結されて、連動操作するか、あるいは、吹出モード切替用のドア手段をサーボモータを用いたモード切替用アクチュエータ機構により連動操作する。
【0035】
また、温水弁14は、図示しないリンク機構、ケーブル等を介して空調操作パネルん温度調整用手動操作機構に連結されて操作するか、あるいは、サーボモータを用いた温度調整用アクチュエータ機構により操作する。
次に本発明の要部の構成について説明する。図1に示すように連通口23のうちヒータコア13に位置する開口縁23aには、フェイス開口部21に向かって延びる空気案内板30が設けられている。上記開口縁23aは、仕切り板15cの空気下流側の先端部である。空気案内板30は、仕切り板15cの先端部から上方に折れ曲がるように形成されている。
【0036】
次に、上記構成において本実施形態の作動を吹出モード別に説明する。
(1)フット吹出モード
冬期の暖房始動時のごとく、最大暖房状態を設定するときは温度調整用操作機構により温水弁14を全開させ、最大暖房状態となる。この場合、内外気切替用操作機構が操作されて、内外気モードとして2層流モードが設定される。すなわち、送風機ユニット1において、第1内外気切替ドア4が第1内気導入口2を開放し、外気導入口3からの外気通路3aを閉塞する。また、第2内外気切替ドア5が第2内気導入口2aを閉塞し、外気導入口3からの外気通路3bを開放する。
【0037】
これにより、第1送風ファン6は、内気を第1内気導入口2から吸入口6aを経て吸入し、これと同時に、第2送風ファン7は、外気を外気導入口3から外気通路3b、吸入口7aを経て吸入する。そして、第1送風ファン6により送風される内気は、第1空気通路8を通って、空調ユニット100の第1空気通路80を流れる。また、第2送風ファン7により送風される外気は、第2空気通路9を通って、空調ユニット100の第2空気通路90を流れる。
【0038】
一方、吹出モード切替用操作機構が操作されて、連通ドア27はフット開口部26を開放して、連通口23を閉塞する実線位置に操作される。また、フェイスドア22はフェイス開口部21を閉塞する。デフロスタドア20は図示の実線位置と2点鎖線位置の中間に操作されて、デフロスタ開口部19を少量開放する。以上により本例では内外気2層流モードが設定可能となる。
【0039】
つまり、内外気2層流モードでは、連通ドア27にて連通口23を閉じて、第1空気通路80に内気を導入してこの内気をフット開口部26に送風する。この場合、第1空気通路80側では、外気に比して高温の内気を再循環してヒータコア13で加熱しているので、乗員足元への吹出温風温度が高くなり、暖房効果を向上できる。一方、第2空気通路90に外気を導入してこの外気をデフロスタ開口部19に送風する。これにより、内気に比べて低湿度の外気を加熱して吹き出しているので、窓ガラスの曇り止めを良好に行うことができる。
【0040】
なお、フット吹出モードでは、通常、デフロスタ開口部19からの吹出風量を20%程度、フット開口部25からの吹出風量を80%程度の風量割合に設定する。
次に、車室内温度が上昇して、暖房負荷が減少すると、吹出空気温度制御のため、温水弁14を全開位置(最大暖房状態)から中間開度位置に操作し、ヒータコア13に流入する温水流量を減少させる。
【0041】
中間温度制御域では、最大暖房能力を必要としていないため、内外気吸入モードは、通常、第1、第2の内気導入口2、2aをともに閉塞し、外気導入口3を開放する全外気モードに設定するのがよい。しかし、乗員の手動操作よる設定にて、外気導入口3を閉塞して、第1、第2の内気導入口2、2aをともに開放する全内気モードとしたり、前述のように内気と外気とを同時に導入する内外気2層流モードとすることもできる。
【0042】
(2)フットデフロスタ吹出モード(図1参照)
フットデフロスタ吹出モードでは、フット開口部26からの吹出風量と、デフロスタ開口部19からの吹出風量とを略同等(50%づつ)とするため、連通ドア27によりフット開口部26を開放して、連通口23を閉塞する。また、フェイスドア22によりフェイス開口部21を閉塞し、デフロスタドア20によりデフロスタ開口部19を全開する。
【0043】
このデフロスタ開口部19の全開により、デフロスタ開口部19に第2空気通路90から流入する外気温風の風量が増加して、フット開口部25からの吹出風量と、デフロスタ開口部19からの吹出風量とを略同等にすることが可能となる。
温水弁14を全開する最大暖房時には、内外気の2層流モードを設定し、暖房効果の向上と窓ガラスの防曇性の確保との両立を図ることができるという点はフット吹出モードと同じである。また、温水弁14の開度調整により所望の中間温度制御が可能であり、また、中間温度制御域では、通常、全外気モードに設定するが、乗員の手動操作よる設定にて、全内気モードとしたり、内外気2層流モードとすることもできる。
【0044】
(3)デフロスタ吹出モード
デフロスタ吹出モードにおいては、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19を全開し、フェイスドア22がフェイス開口部21を、また、連通ドア27がフット開口部26をそれぞれ全閉する。従って、連通口23は全開状態となる。そのため、第1、第2空気通路80、90からの空調空気を全量、デフロスタ開口部19を通して窓ガラス内面のみに吹き出して、曇り止めを行う。このときは、窓ガラスの防曇性確保のために、通常、全外気吸入モードとする。
(4)フェイス吹出モード(図3参照)
フェイス吹出モードにおいては、フェイスドア22がフェイス開口部21を全開(開口)し、デフロスタドア20がデフロスタ開口部19を、また連通ドア27がフット開口部26をそれぞれ閉じる。従って、連通口23は全開状態となる。そのため、第1、第2空気通路80、90の下流部はいずれもフェイス開口部21に連通する。
【0045】
そして、上記空気案内板30により、各通路80、90を流れた空調空気は、以下のように流れる。フェイス開口部21が第2空気通路90側に開口配置されているため、連通口23には図3中矢印Aで示すように第1空気通路80からの空調空気が通過する。連通口23を通過した空調空気は、空気案内板30がフェイス開口部21に向かって延びるように板状に形成されているため、この空気案内板30によりフェイス開口部21にスムーズに案内される。この結果、フェイス吹出モードにおいて空調風の風量を増加させることができる。
【0046】
一方、第2空気通路90を流れた空調空気も、図3中矢印Bで示すように上記空気案内板30によってフェイス開口部21にスムーズに案内される。このようにすることで、第1空気通路80と第2空気通路90とを流れた空調空気がぶつかることなく、スムーズにフェイス開口部21に送風される。この結果、フェイス吹出モードにおいてさらに空調風の風量を増加させることができる。
【0047】
この際、本例では空気案内板30によって第1空気通路80の空調空気と第2空気通路90の空調空気とは、混ざらずに区切られて流れる。つまり、空気案内板30は、仕切り板15cの空気下流側に繋がるように形成されているため、連通口23より空気下流側を第1空気通路80と前記第2空気通路80とは延長される。すなわち、空気案内板30は、空調ケース11内を第1、第2フェイス用通路31、32に仕切る仕切り板を構成している。
【0048】
また、本例では図3に示すようにフェイス開口部21は、前記第1、第2フェイス用通路31、32の両方に跨がって開口するように配置されている。以上により、第1フェイス用通路31を流れる空調空気と、第2フェイス用通路32を流れる空調空気とは、矢印A、Bで示すように平行に流れて、フェイス開口部21に送風される。このため、第1空気通路80と第2空気通路90とを流れた空調空気は、ほとんどぶつかることなく、スムーズにフェイス開口部21に送風されるため、さらに空調風の風量を増加させることができる。
【0049】
また、本例では、このように出来る限り空調空気を区切ったままで平行にフェイス開口部21に送風するのであるが、上記空気案内板30は図3に示すようにフェイス開口部21の空気上流側で途切れている。これは、上記デフロスタ吹出モードにおいて、第1空気通路80、第2空気通路90双方の空調空気をデフロスタ開口部19に送風するためである。
【0050】
従って、第1フェイス用通路31と第2フェイス用通路32とを流れる空調空気がいくら平行に流れるといっても、フェイス開口部21の空気上流側で仕切り無いで接すると、空気の流れに乱れが発生し、空調風の風量ダウンの要因となる。
そこで、本例では、図3に示すようにフェイス吹出モードでは、フェイスドア22のドア部22cの先端部が、空気案内板30の空気下流側先端部と位置的に一致する。これにより、フェイスドア22が空気案内板30と協動して、フェイス開口部21より空気下流側にまで前記第1フェイス用通路31と前記第2フェイス用通路32とを延長する。
【0051】
このため、フェイスドア22により第1フェイス用通路31と第2フェイス用通路32とを流れた空調空気は、フェイス開口部21の空気下流側まで区切って流れる。これにより、さらに空調風の風量を増加させることができる。
なお、フェイス吹出モードにおいて、内外気吸入モードは第1、第2内外気切替ドア4、5により、全内気、全外気、内外気2層流のいずれも選択可能となる。
【0052】
また、最大冷房状態では、全内気吸入モードとし、また、温水弁14が全閉状態となり、ヒータコア13への温水循環が遮断される。
(5)バイレベル吹出モード(図4参照)
バイレベル吹出モードにおいては、フェイスドア22がフェイス開口部21を全開するとともに、連通ドア27がフット開口部26を開口し、連通口23を若干開口する。デフロスタドア20はデフロスタ開口部19を全閉する。従って、フェイス開口部21とフット開口部26を通じて、車室の上下両方から同時に風を吹き出すことができる。
【0053】
なお、バイレベル吹出モードにおいて、上記連通ドア27が連通口23を若干開口したが、フェイス開口部21からの吹出風量と、フット開口部26からの吹出風量とを略同等(50%づつ)とするためである。
ここで、ヒータコア13が一方向流れタイプであるため、ヒータコア13の吹出側において、温水入口側に位置する第1空気通路80側の吹出空気温度を高くし、温水出口側に位置する第2空気通路90側の吹出空気温度を低くすることができる。
【0054】
従って、全外気モードあるいは全内気モードであっても、第1空気通路80からのフット吹出温度に比して第2空気通路90からのフェイス吹出温度を低くすることができるので、車室内温度分布を頭寒足熱形の快適な状態とすることができる。
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態に限らず、本発明は種々な形態で実施可能であり、以下、本発明の他の実施形態について説明する。
【0055】
▲1▼なお、上記の実施形態では、ヒータコア13に流入する温水の流量(または温水の温度)を調整する温水弁14をヒータコア13への温水回路に設けて、この温水弁14の温水流量(または温水温度)の調整作用により車室内への吹出空気温度を調整できるようにしているが、ヒータコア13を通過する温風とヒータコア13をバイパスする冷風との風量割合を調整して、吹出空気温度を調整する、いわゆるエアミックスタイプの空調装置にも本発明は適用できる。
【0056】
▲2▼バイレベル吹出モードにおいて、デフロスタ開口部19を微少開度開くようにしてもよい。例えば、フェイス開口部21、フット開口部25、およびデフロスタ開口部19からの吹出風量の割合が、例えば、45:40:15となるように、各開口部21、25、19の開度を設定して、各開口部21、25、19のすべてから同時に風を吹き出すようにしてもよい。
【0057】
▲3▼上記各実施形態では、連通口23の開口縁23aから空気案内板30が形成されていたが、空気案内板30の基端部は図1中若干左側にずれていても良い。▲4▼空調ユニット100内に蒸発器(冷房用熱交換器)12を配設しないタイプの空調装置にも本発明は適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の通風系の全体構成図で、フットデフロスタ吹出モードを示す図ある。
【図2】上記実施形態においてデフロスタ吹出モードを示す図である。
【図3】上記実施形態においてフェイス吹出モードを示す図である。
【図4】上記実施形態においてバイレベル吹出モードを示す図である。
【符号の説明】
8、80…第1空気通路、9、90…第2空気通路、11…空調ケース、
13…ヒータコア、15a〜15c…仕切り板、
19…デフロスタ開口部、21…フェイス開口部、22…フェイスドア、
23…連通口、26…フット開口部、27…連通ドア、30…空気案内板、
50…空調ケース。
Claims (4)
- 車室内への空気流路をなす空調ケース(50、11)と、
前記空調ケース(50、11)内に配置され、空気の温度調整する温度調整手段(13)と、
前記空調ケース(50、11)内を第1、第2空気通路(8、80、9、90)に区画する仕切り板(15a〜15c)と、
前記第1空気通路(8、90)のうち前記温度調整手段(13)の空気下流側に配置され、温度調整された空調空気を車室内乗員の足元に向けて吹き出すフット開口部(26)と、
前記第2空気通路のうち前記温度調整手段(13)の空気下流側に配置され、温度調整された空調空気を車両窓ガラス内面に向けて吹き出すデフロスタ開口部(19)と、
前記空調ケース(50、11)のうち前記温度調整手段(13)の空気下流側で、温度調整された空調空気を乗員の上半身に向けて吹き出すフェイス開口部(21)と、
前記仕切り板(15a〜15c)が前記温度調整手段(13)の空気下流側で途切れることで、前記第1空気通路(8、80)と前記第2空気通路(9、90)とを連通する連通口(23)と、
前記連通口(23)を開閉する連通口開閉手段(27)とを有し、
前記連通口開閉手段(27)にて前記連通口(23)を閉じて、前記第1空気通路に内気を導入してこの内気を前記フット開口部(26)に送風するとともに、前記第2空気通路に外気を導入してこの外気を前記デフロスタ開口部(19)に送風する内外気2層流モードが設定可能となっており、
前記デフロスタ開口部(19)および前記フット開口部(26)を閉じ前記フェイス開口部(21)を開口するとともに、前記連通口開閉手段(27)にて前記連通口(23)を開けるフェイス吹出モードが設定可能な車両用空調装置であって、
前記連通口(23)のうち前記温度調整手段(13)側に位置する開口縁近傍から前記フェイス開口部(21)に向かって延びる空気案内板(30)を設け、前記フェイス吹出モードが設定されているときに、前記空気案内板(30)にて前記連通口(23)を通過した空調風が前記フェイス開口部(21)に案内されるようにしたことを特徴とする車両用空調装置。 - 前記フェイス開口部(21)は前記第2空気通路(9、90)側に開口配置しており、
前記フェイス吹出モードが設定されているときは、前記連通口(23)には前記第1空気通路(8、80)からの空調空気が通過し、前記空気案内板(30)は、前記連通口(23)を通過した空調空気を前記フェイス開口部(21)に案内するとともに、前記第1空気通路(8、80)からの空調空気を前記フェイス開口部(21)に案内することを特徴とする請求項1記載の車両用空調装置。 - 前記空気案内板(30)は、前記フェイス開口部(21)より空気上流側で途切れており、
前記空気案内板(30)は、前記フェイス吹出モードにおいて、前記連通口(23)より空気下流側を前記第1空気通路(8、80)と前記第2空気通路(9、90)とを延長するように第1、第2フェイス用通路(31、32)に仕切るフェイス用仕切り板となっており、
前記フェイス開口部(21)は、前記第1、第2フェイス用通路(31、32)の両方を跨がって開口するように配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の車両用空調装置。 - 前記フェイス開口部(21)を開閉するフェイスドア(22)を有し、
前記フェイスドア(22)は、一本のシャフト(22a)に対して2つのドア部(22b、22c)を有するバタフライ式のドア部材であり、
前記フェイスドア(22)にて前記フェイス開口部(21)を開口する前記フェイス吹出モードでは、前記フェイスドア(22)が前記フェイス用仕切り板(30)と協動して、前記フェイス開口部(21)より空気下流側にまで前記第1フェイス用通路(31)と前記第2フェイス用通路(32)とを延長するように構成されていることを特徴とする請求項3記載の車両用空調装置。
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- 1998-01-27 JP JP01446098A patent/JP3896670B2/ja not_active Expired - Fee Related
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