JP3896354B2 - 転写材 - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂成形品の表面を装飾するために用いる転写材に関する。
従来、樹脂成形品の表面を装飾する方法として、成形同時転写法がある。成形同時転写法とは、基体シート上に剥離層、図柄層、接着層などからなる転写層が順次積層されている転写材を成形金型内に挟み込み、キャビテイ内に樹脂を射出充満させ、冷却して樹脂成形品を得るのと同時にその面に転写材を接着させた後、基体シートを剥離して、樹脂成形品表面に転写層を転移して装飾を行う方法である。
通常、成形同時転写法に使用する転写材は、印刷機のロール幅に合わせて長尺の基体シート上に各層を印刷して形成し、これを被転写物の大きさに合わせて適切な幅に切断(スリット)した後、転写して用いる。
この場合、転写材のスリット部分が、スリットの際の刃130が当たるショックにより、図9及び図10に示されるように、剥離層104、アンカー層107、図柄層105、接着層106などからなるインキ被膜片131が基体シート102上に形成された離型層103の表面から剥がれる箔こぼれ現象を起こすという欠点があった。これは転写材の基体シートと転写層との間は、転写に供される部分のみでなく転写に供さない部分も剥離性に優れているからである。箔こぼれは、転写層として図柄層が多い場合、あるいは図柄層として蒸着層を設ける必要のある場合、ハードコート転写材のように剥離層が厚くならざるを得ない場合、機能層が多い場合など、転写層の厚さが大きいときほど顕著に生じるものであった。
その結果、インキ被膜片が再度転写材に付着し、転写時に被転写物と転写層との間に入り込むことがあった。また、転写材の背面にインキ被膜片が付着したまま成形同時転写が行われると、インキ被膜片が金型のキャビティ面に付着し、成形品の表面にインキ被膜片によるへこみ(打痕と呼ばれる)が生じることがあった。
そこで、スリット時の箔こぼれを防止するために、基体シート102上に離型層103を設ける際、スリット箇所108に当たる部分を除いた帯状のパターンに離型層103を設け、その上に剥離層109、図柄層105、接着層106などからなる転写層を設けたものがある(図4および特許文献1参照)。
また、離型層103を全面的に設ける代わりに、転写層をすべてパターン状に設け、スリット時にスリット刃が転写層に接触しないように転写材101を構成することが考えられる(図5参照)。
特開平11−58584号公報
しかし、図4に示す構成の転写材101を用いて成形同時転写を行う場合、サイドゲート113を有するような金型111を用いると、図7に示されるように、キャビティ112に連通する成形樹脂のランナー部113が転写材101のスリット箇所108の近傍に接触し(図7の80は離型層103が存在する領域であり、81は離型層103が存在しない領域である。)、成形樹脂のスプルーランナーが転写材101の接着層106に融着し(図8に示されるように、射出成形状態で、剥離可能な部分は、転写後に剥離させる離型層103と剥離層104との界面である84の部分のみであり、他の部分では剥離せず、成形樹脂部120のスプルーランナー側には接着層106があり、剥離できる部分が無いため、成形樹脂のスプルーランナーが接着層106に融着し)、転写材101が破れるなどして連続成形を行うことができなくなるといった問題があった(図6参照)。特に図7に示されるように2枚の転写材101を用いて成形品の両面に成形同時転写を行う場合には、どちらかの転写材101の端部に接触する形で成形樹脂が通過するため、上記現象がより生じやすくなる。
また、図5に示す構成の転写材では、転写成形品の表面強度を高めたい場合、剥離層109として電離放射線硬化樹脂を用いるが、電離放射線硬化樹脂を部分的に印刷法によってパターン化して形成するとその厚さが限定されるため、十分な表面強度を得ることができないという問題点があった。
したがって、本発明は、上記のような問題点を解消し、成形同時転写法において連続成形が可能であるとともに、表面強度に優れた成形品を得ることができる転写材を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するため、以下のように構成している。
本発明の第1態様によれば、基体シートと、上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備える転写材を提供する。
本発明の第2態様によれば、基体シートと、上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備える成形同時転写用の転写材を提供する。
本発明の第3態様によれば、基体シートと、上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備えることにより、射出成形時にスプルーランナーが転写材に融着することを防止した、成形同時転写用の転写材を提供する。
本発明の第態様によれば、上記接着層は、上記離型層と重複する領域よりも、転写材幅方向沿いに狭い領域に積層されている第1〜3のいずれかの態様に記載の転写材を提供する。
本発明の第態様によれば、樹脂板に接着した後、上記樹脂板に対して90°の角度で剥がした際の上記離型層が設けられていない部分における上記樹脂板との剥離強度が50N/m未満である第1〜4のいずれかの態様に記載の転写材を提供する。
本発明の第態様によれば、上記電離放射線硬化層と上記図柄層との間に全面的または部分的に積層されたアンカー層をさらに備える第1〜4のいずれかの態様に記載の転写材を提供する。
本発明の第態様によれば、上記電離放射線硬化層と上記図柄層との間に全面的または部分的に積層されたアンカー層をさらに備える第の態様に記載の転写材を提供する。
本発明の転写材は、基体シートと、上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備えるように構成したので、成形同時転写法において連続成形が可能であるとともに、表面強度に優れた成形品を得ることができるものである。
また、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は、本発明における実施形態の転写材を示す断面図である。図2は、本発明における実施形態の1つの変形例の転写材を示す断面図である。図3は、本発明における実施形態の別の変形例の転写材を示す断面図である。図11は、本発明の上記実施形態にかかる転写材と金型との関係を示す平面図である。図12は、図11のA部分の本発明の上記実施形態にかかる転写材の断面図である。図13は、図11のA部分の本発明の別の実施形態にかかる転写材の断面図である。図14〜15は、本発明の上記実施形態にかかる転写材の剥離試験を説明するための説明図である。図16は、帯状パターンの離型層を4本有する本発明の実施形態にかかる転写材の斜視図である。図17は、接着層の領域が離型層の領域よりも狭い場合の本発明の実施形態にかかる転写材の断面図である。図18は、本発明の実施形態にかかる転写材を剥離試験用の樹脂板に接着した状態の断面図である。図19は、本発明の実施形態にかかる転写材を使用して得られた最終製品の断面図である。
図中、1は転写材、2は基体シート、3は基体シート2上に配置された離型層、4は基体シート2と離型層3上に配置された電離放射線硬化層、5は電離放射線硬化層4上に配置された図柄層、6は図柄層5上に配置された接着層、7は電離放射線硬化層4と図柄層5との間に配置されたアンカー層、8はスリット箇所である。なお、図面において同じ部品については同じ参照符号を付している。
本発明の転写材1は、基体シート2と、上記基体シート2上に積層された帯状のパターンの離型層3と、上記離型層3の上に全面的に積層された電離放射線硬化層4と、上記電離放射線硬化層4の上に全面的または部分的に積層された図柄層5と、上記図柄層5の上に上記離型層3と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層6とを備えるものである(図1〜3参照)。
基体シート2としては、長尺のものを用いるのが好ましい。基体シート2の材質としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂などのポリエチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの単体、もしくはこれらの共重合体の樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロファンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体などを用いることができる。また、基体シート2の表面が微細な凹凸を有する場合は、転写層に凹凸が写し取られ、艶消しやヘアラインなどの表面形状を表現することができる。また、易接着などの表面処理を施したものでもよい。易接着処理は、転写に適切な幅となるように転写材1をスリットする際に、電離放射線硬化層4が基体シート2から剥離しないように密着させるための処理である。易接着処理方法としては、たとえば、基体シート2表面を荒らして密着しやすくするコロナ処理法や、基体シート2製造時にその表面にアンカーコートを施す方法などがある。
ここで、転写材をスリットする理由は、転写材を必要な幅の基体シートに印刷する場合に比べて、図16に示されるように、広い幅の基体シートに必要幅の転写材を並べて印刷した後にスリットした方が、生産効率がよい(短時間で生産できる量が多い)ためである。また、基体シートの幅を一定に固定することによって、基体シートの発注・管理の面で有利であり、また、印刷時に基体シートの幅によって印刷機の設定を変更する必要がないためである。
離型層3は、転写後または成形同時転写後に基体シート2を剥離した際に、基体シート2とともに電離放射線硬化層4から離型する層であり、基体シート2上に帯状のパターンで部分的に形成する。基体シート2が長尺のものである場合、離型層3からなる帯状のパターンは基体シート2の長辺に平行になるように1つまたは複数形成する。離型層3が複数である場合、隣り合う離型層3と離型層3との間は転写材1をスリットする部分となるため、幅5〜10mm程度に形成するのが適当である。
離型層3の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。また転写表面に微細な凹凸を形成するために、必要に応じてシリコーンなどの粒子を混入したものを使用してもよい。離型層3の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
電離放射線硬化層4は、基体シート2を剥離した後、樹脂成形品の最外層となるものであり、全面的に形成する。電離放射線硬化層4の材質としては、紫外線硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などの活性エネルギー線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂などを用いることができる。また、必要に応じて顔料や染料を添加して着色してもよい。電離放射線硬化層4の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。また、電離放射線硬化層4がプレキュアタイプであれば、溶剤乾燥後、紫外線または電子線照射を行なうとよい。また、電離放射線硬化層4がアフターキュアタイプであれば、転写後または成形同時転写後に紫外線または電子線照射を行なうとよい。電離放射線硬化層4において、全面的とは、スリット後に転写材として活用されない部分には形成しなくてもよいことをも含む意味である。
図柄層5は、電離放射線硬化層4の上に全面的に積層する(図2参照)。また、図柄層5は部分的に積層してもよい(図1参照)。図柄層5は、通常、印刷層として形成する。印刷層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。印刷層の形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの通常の印刷法などを用いるとよい。特に、多色刷りや階調表現を行うには、オフセット印刷法やグラビア印刷法が適している。また、単色の場合には、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法を採用することもできる。
また、図柄層5は、金属薄膜層からなるもの、あるいは印刷層と金属薄膜層との組み合わせからなるものでもよい。金属薄膜層は、図柄層5として金属光沢を表現するためのものであり、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などで形成する。表現したい金属光沢色に応じて、アルミニウム、ニッケル、金、白金、クロム、鉄、銅、スズ、インジウム、銀、チタニウム、鉛、亜鉛などの金属、これらの合金または化合物を使用する。部分的な金属薄膜層を形成する場合の一例としては、金属薄膜層を必要としない部分に溶剤可溶性樹脂層を形成した後、その上に全面的に金属薄膜を形成し、溶剤洗浄を行って溶剤可溶性樹脂層と共に不要な金属薄膜を除去する方法がある。また、別の一例としては、全面的に金属薄膜を形成し、次に金属薄膜を残しておきたい部分にレジスト層を形成し、酸またはアルカリでエッチングを行う方法がある。
図柄層5を形成する場合、図柄層5を構成するインキとして、成形樹脂に接着する性質のあるものに関しては、部分的に(離型層3と重複する範囲にのみ)形成する。成形樹脂に接着する性質の無いもの(金属蒸着層を含む)に関しては、全面的に形成してもよい。
接着層6は、被転写物面に上記の各層を接着するものであり、離型層3と重複する箇所のみに部分的に積層する。離型層3と重複する箇所のみとは、離型層3が形成されていない領域に接着層6が位置しないようにするという意味である。言い換えれば、接着層6を離型層3と重複する箇所のみに形成する理由は、離型層3と重複しない箇所に接着層6が形成されると、成形樹脂が接着した際に、基体シート2と成形樹脂とが剥がれなくなるためである。接着層6と離型層3との位置関係は、接着層6と離型層3とを完全に一致させない場合(図17に示されるように、小さめに形成する場合)は、位置ずれの最小値は0.2mm程度(印刷見当誤差)、ずれの最大値は図柄部分と重複しない程度(要求される柄とフィルム幅に依存する)まで許容できる。このように、図17に示されるように、上記接着層6を上記離型層3と重複する領域よりも、転写材幅方向沿いに狭い領域に積層するようにすれば、印刷見当誤差が生じても、上記接着層6が上記離型層3と重複する領域以外に積層されることがなく、好適である。接着層6としては、被転写物の素材に適した感熱性あるいは感圧性の樹脂を適宜使用する。たとえば、被転写物の材質がアクリル系樹脂の場合はアクリル系樹脂を用いるとよい。また、被転写物の材質がポリフェニレンオキシド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン共重合体系樹脂、ポリスチレン系ブレンド樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用すればよい。さらに、被転写物の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂が使用可能である。接着層6の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
また、必要に応じて、上記の各転写層間の密着性を高めるためにアンカー層7を全面的または部分的に設けてもよい。特に、アンカー層7を電離放射線硬化層4と図柄層5との間に形成すると、成形品や図柄層5を薬品から保護することもでき好適である(図3参照)。アンカー層7としては、たとえば、二液硬化性ウレタン樹脂、メラミン系やエポキシ系などの熱硬化性樹脂、塩化ビニル共重合体樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。アンカー層7の形成方法としては、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法がある。
1つの実施例における各層の厚さの例示としては、離型層は1μm、電離放射線硬化性樹脂層は5μm、アンカー層は2μm、図柄層は3μm、接着層は2μmである。
以上述べたように、基体シート2上に、帯状の離型層3と、電離放射線硬化層4と、図柄層5と、接着層6とが少なくとも形成された転写材1において、転写材1を樹脂板144に接着した後(図18参照)、樹脂板144に対して90°の角度で剥がした際の、離型層3が設けられていない部分における樹脂板との剥離強度が50N/m未満であることが本発明では重要である。
剥離強度を測定するには、まず、転写材1(図14及び図15の145に相当。)を、被転写物と同一材料の平坦な樹脂板144に、ロール転写機にて接着させる。条件としては、転写温度220℃、転写圧力15kN/m、転写速度35mm/秒とした。次に、図14に示されるようにチャックなどの保持装置143で保持して樹脂板144を水平に配置し、手140で保持された荷重測定装置141のフック142で基体シート2の端部を90°上方に(矢印146で示される鉛直方向に)引き上げて基体シート2を剥離した際の荷重(N)を荷重測定装置141で測定する。測定した荷重(N)を剥離した基体シート2の幅(m)で除した値を剥離強度(N/m)とする。なお、剥離強度は、転写材1の大きさ、樹脂板144の大きさに依存しない。また、測定時の環境温度は常温とした。
ここで、上記剥離試験を90°で行う理由は、簡便に角度を一定に固定できるためである。例えば、30°や80°といった角度では、測定開始から測定終了時点までずっと角度を一定に保つことが困難である。
剥離試験に用いる樹脂板144としては、実際の成形に使用する樹脂、またはこれに類似する性質をもつ樹脂で構成し、厚さ0.5mm以上、少なくとも転写材を接着させる面は平坦であるものを使用する。
このように、剥離強度を50N/m未満とすることにより、図11に示されるように、射出成形による成形同時転写時に、キャビティ212に連通する成形樹脂のスプルーランナー213が転写材1のスリット箇所8の近傍に接触した場合であっても、スプルーランナー213は電離放射線硬化層4に接触することになるため、スプルーランナー213が容易に剥離し、連続成形を行うことができる。すなわち、図12に示されるように、射出成形状態で、剥離可能な部分は、転写後に離型させる離型層3との界面である86の部分以外に、成形樹脂部150のスプルーランナー側の85の部分でも接着層6が無いために剥離可能であり、この85の部分でスプルーランナー213が容易に剥離可能となっているため、従来のように成形樹脂のスプルーランナーが接着層に融着することがない。なお、図11において、80は離型層3が存在する領域であり、81は離型層3が存在しない領域、82は成形樹脂の流れを示す矢印である。
以上のような構成の転写材1を用いて樹脂成形品の成形樹脂部150の表面を装飾することができる。図12及び図19は、転写材1が樹脂成形品の成形樹脂部150の両側の表面に転写された状態を示す図である。樹脂成形品の成形樹脂部150としては、透明、半透明、不透明のいずれでもよく、着色されていてもされていなくてもよい。樹脂としては、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、アクリロニトリル・スチレン樹脂、アクリロニトリル樹脂、ポリアミド樹脂などの汎用樹脂を挙げることができる。
上記した層構成の転写材1を用い、転写法を利用して被転写物面に装飾を行う方法について説明する。まず、被転写物面に、転写材1の接着層6側を密着させる。次に、シリコンラバーなどの耐熱ゴム状弾性体を備えたロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用い、温度80〜260℃程度、圧力490〜1960Pa程度の条件に設定した耐熱ゴム状弾性体を介して転写材1の基体シート2側から熱と圧力とを加える。こうすることにより、接着層6が被転写物表面に接着する。最後に、冷却後に基体シート2を剥がすと、離型層3と電離放射線硬化層4との境界面で剥離が起こり、転写が完了する。
次に、上記した転写材1を用い、射出成形による成形同時転写法を利用して被転写物である樹脂成形品の面に装飾を行う方法について説明する。まず、可動型と固定型とからなる成形用金型内に転写材1を送り込む。その際、枚葉の転写材1を1枚づつ送り込んでもよいし、長尺の転写材1の必要部分を間欠的に送り込んでもよい。長尺の転写材1を使用する場合、位置決め機構を有する送り装置を使用して、転写材1の図柄層5と成形用金型との見当が一致するようにするとよい。また、転写材1を間欠的に送り込む際に、転写材1の位置をセンサーで検出した後に転写材1を可動型と固定型とで固定するようにすれば、常に同じ位置で転写材1を固定することができ、図柄層5の位置ずれが生じないので便利である。成形用金型を閉じた後、ゲートから溶融樹脂を金型のキャビティ212(図11参照)内に射出充満させ、被転写物を形成するのと同時にその面に転写材1を接着させる。被転写物である樹脂成形品を冷却した後、成形用金型を開いて樹脂成形品を取り出す。最後に、基体シート2を剥がすことにより、転写が完了する。
上記転写材1は、スリット箇所8の近傍の離型層3を設けない部分については、成形樹脂との接着性が低い層を最表面とした構成であるため、転写材1の端部からもスプルーランナーがスムーズに剥がれて、連続成形に支障をきたすことがない。また、電離放射線硬化層4を全面的に積層することができるため、電離放射線硬化層4の厚さを大きくすることが容易であり、十分な表面強度を持った成形品を得ることができる。
なお、本発明は、添付図面を参照しながら好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術の熟練した人々にとっては種々の変形や修正は明白である。そのような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基体シートとし、離型層を帯状のパターンに塗布し十分に硬化させ、次いで電離放射線硬化層を全面的に形成し、次いでアンカー層、図柄層、接着層を順次離型層が形成された箇所に部分的に形成して転写材を得た。
このようにして得た転写材を用い、成形樹脂としてアクリル樹脂を用いて加飾同時成形を行ったところ、離型層の設けられていない部分に接触したスプルーランナーが転写材からスムーズに剥がれ、かつ表面強度の高い成形品を得ることができた。
厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを基体シートとし、離型層を帯状のパターンに塗布し十分に硬化させ、次いで電離放射線硬化層、アンカー層を順次全面的に形成し、次いで図柄層、接着層を順次離型層が形成された箇所に部分的に形成して転写材を得た。
このようにして得た転写材を用い、成形樹脂としてアクリル樹脂を用いて加飾同時成形を行ったところ、離型層の設けられていない部分に接触したスプルーランナーが転写材からスムーズに剥がれ、かつ表面強度の高い成形品を得ることができた。
本発明は、プラスチック成形品などに対して金属光沢を有する装飾を行う場合に好適に用いることができ、産業上有用なものである。
本発明における実施形態の転写材を示す断面図である。 本発明における実施形態の1つの変形例の転写材を示す断面図である。 本発明における実施形態の別の変形例の転写材を示す断面図である。 従来の転写材の一例を示す断面図である。 従来の転写材の一例を示す断面図である。 従来の転写材を用いて成形同時転写を行う場合を示す模式図である。 従来の転写材と金型との関係を示す平面図である。 図7のA部分の従来の転写材の断面図である。 従来の転写材のスリット部分でスリットを行う状態の説明図である。 箔こぼれ現象を説明するための説明図である。 本発明の上記実施形態にかかる転写材と金型との関係を示す平面図である。 図11のA部分の本発明の上記実施形態にかかる転写材の断面図である。 図11のA部分の本発明の別の実施形態にかかる転写材の断面図である。 本発明の上記実施形態にかかる転写材の剥離試験を説明するための説明図である。 本発明の上記実施形態にかかる転写材の剥離試験を説明するための説明図である。 帯状パターンの離型層を4本有する本発明の実施形態にかかる転写材の斜視図である。 接着層の領域が離型層の領域よりも狭い場合の本発明の実施形態にかかる転写材の断面図である。 本発明の実施形態にかかる転写材を剥離試験用の樹脂板に接着した状態の断面図である。 本発明の実施形態にかかる転写材を使用して得られた最終製品の断面図である。
符号の説明
1 転写材
2 基体シート
3 離型層
4 電離放射線硬化層
5 図柄層
6 接着層
7 アンカー層
8 スリット箇所

Claims (7)

  1. 基体シートと、
    上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、
    上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、
    上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、
    上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備えることを特徴とする転写材。
  2. 基体シートと、
    上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、
    上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、
    上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、
    上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備えることを特徴とする成形同時転写用の転写材。
  3. 基体シートと、
    上記基体シート上に積層された帯状のパターンの離型層と、
    上記離型層の上に全面的に積層された電離放射線硬化層と、
    上記電離放射線硬化層の上に全面的または部分的に積層された図柄層と、
    上記図柄層の上に上記離型層と重複する箇所のみに部分的に積層された接着層とを備えることにより、射出成形時にスプルーランナーが転写材に融着することを防止した、成形同時転写用の転写材。
  4. 上記接着層は、上記離型層と重複する領域よりも、転写材幅方向沿いに狭い領域に積層されている請求項1〜3のいずれかに記載の転写材。
  5. 樹脂板に接着した後、上記樹脂板に対して90°の角度で剥がした際の上記離型層が設けられていない部分における上記樹脂板との剥離強度が50N/m未満である請求項1〜4のいずれかに記載の転写材。
  6. 上記電離放射線硬化層と上記図柄層との間に全面的または部分的に積層されたアンカー層をさらに備える請求項1〜4のいずれかに記載の転写材。
  7. 上記電離放射線硬化層と上記図柄層との間に全面的または部分的に積層されたアンカー層をさらに備える請求項に記載の転写材。
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