JP3893747B2 - 結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ - Google Patents
結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ Download PDFInfo
- Publication number
- JP3893747B2 JP3893747B2 JP14572998A JP14572998A JP3893747B2 JP 3893747 B2 JP3893747 B2 JP 3893747B2 JP 14572998 A JP14572998 A JP 14572998A JP 14572998 A JP14572998 A JP 14572998A JP 3893747 B2 JP3893747 B2 JP 3893747B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slag
- sio
- weight ratio
- less
- cao
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
- Processing Of Solid Wastes (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ごみ焼却灰や建設残土などの廃棄物を溶融処理してできるスラグ、特に、路盤材などに適した結晶化スラグの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市ごみ焼却灰や建設残土などの廃棄物は、溶融処理によりスラグ化されて減容、無害化され、土木・建築材料などに有効利用されるようになってきている。
【0003】
こうした廃棄物を溶融処理後水冷や空冷によって固化させると、できたスラグは非晶質で脆く路盤材などに用いる上で好ましくない。そのため、特開昭50−122508号公報、特開昭56−54248号公報、特開昭57−200259号公報、特開昭58−60114号公報、特開昭58−60118号公報、特開平3−275539号公報、特開平4−132642号公報、特開平4−317436号公報、特開平5−213642号公報、特開平5−58690号公報などには、CaOやSiO2などを添加して溶融スラグのCaO/SiO2の重量比すなわち塩基度を調製したり、溶融後の冷却速度を遅くしたり、溶融後の冷却時にある温度範囲に保持したり、固化後再加熱したりしてスラグを結晶化させる方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許公報に記載された方法には、以下のような問題がある。
【0005】
イ)都市ごみ焼却灰などのスラグの主成分はCaO、SiO2、Al2O3であるが、その結晶化にはそれ以外の成分の影響も大きく作用するため、上記特許公報に記載された塩基度や冷却条件をコントロールしても安定して路盤材などに適した結晶化スラグが得られない。
【0006】
ロ)溶融後の冷却条件をコントロールしたり、固化後再加熱したりすると、スラグの生産性の低下や設備コストの増大を招く。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、路盤材などに適した結晶化スラグを安定して、しかも生産性の低下や設備コストの増大を招くことなく得られる結晶化スラグの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、都市ごみ焼却灰を溶融し空冷して得る結晶化スラグの製造方法であって、溶融時のスラグ組成を、Na2O/SiO2の重量比が0.05以上0.08未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.75以上1.1以下、Na2O/SiO2の重量比が0.08以上0.12未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.70以上1.1以下、Na2O/SiO2の重量比が0.12以上0.15以下のときはCaO/SiO2の重量比を0.60以上1.1以下となるように調製し、
溶融後、空冷することを特徴とする結晶化スラグの製造方法により解決される。
【0009】
なお、ここで言う空冷とは溶融スラグを受け皿に取ってそのまま放冷することで、溶融スラグの結晶化が起る1200℃から800℃の温度範囲における空冷の冷却速度は10〜30℃/minである。
【0010】
生産性の低下や設備コストの増大に繋がる溶融後の冷却条件のコントロールや固化後再加熱を行わないで済ませるには、溶融後の冷却を空冷で行いスラグの結晶化を図ればよい。
【0011】
本発明者等が空冷でもスラグの結晶化を促進できる溶融時のスラグ組成を検討したところ、Na2Oの存在により、スラグの主成分であるCaO、SiO2、Al2O3の3元状態図における3つの結晶すなわちCaO・SiO2(Pseude−wollastonite)、CaO・Al2O3・2SiO2(Anorthite)、2CaO・Al2O3・3SiO2(Gehlenite)のうち最も析出し易いGehleniteの析出領域が拡大されるということが明らかになった。
【0012】
図1に、Pseude−wollastonite、Anorthite、Gehleniteの初晶領域とNa2O/SiO2の重量比との関係を示す。図1で、(A)はNa2O/SiO2の重量比が0、(B)はNa2O/SiO2の重量比が0.05、(C)はNa2O/SiO2の重量比が0.15のときの結果を表す。
【0013】
これは、Al2O3/SiO2の重量比が0.30〜0.65の範囲にある都市ごみ焼却灰を用いて検討した結果であるが、Na2O/SiO2の重量比が0.05以上で、Gehleniteの初晶領域が著しく拡大している。
【0014】
したがって、溶融時のスラグ組成を、SiO2、CaO、CaCO3などを添加して、Na2O/SiO2の重量比が0.05以上になるように調製すれば、空冷でもスラグを安定して結晶化できる。
【0015】
しかしながら、非晶質の状態から結晶質のGehleniteを析出させると、結晶相で亀裂の伝播が阻害されて靭性は向上するが、結晶相の占める割合が多くなると結晶の異方性による強度低下を招くので、Gehleniteの析出の程度すなわちスラグの結晶化の程度を路盤材などに適した範囲にコントロールする必要がある。
【0016】
そこで、スラグの破壊靭性値KICおよび一軸圧縮強度とスラグの結晶化度の関係を調査した。ここで、破壊靭性値KICの測定はJIS R 1607(ファインセラミックスの破壊靭性試験法)のSEPB(Single−Edge−Precracked−Beam)法にしたがって行い、一軸圧縮強度は3×4×10mmの試験片を作製して3×4mmの面に圧縮荷重をかけたときの破壊強度から求めた。また、スラグの結晶化の程度は、通常、X線回折で測定されているが、必ずしも精度良く測定できないので、本発明者等が考案した下記の式(1)で定義した硬度比により評価した。
【0017】
硬度比=[(結晶化スラグのビッカース硬度)/(100%非晶質スラグのビッカース硬度)]×100(%)……(1)
ここで、ビッカース硬度は、冷却後のスラグを樹脂に埋め込み、研磨後荷重1kgで測定した。
【0018】
図2に、破壊靭性値KICと硬度比の関係を示す。
硬度比が80%以下であれば破壊靭性値KICは0.8MPa・m0.5以上となり、路盤材として靭性に優れたスラグが得られる。
【0019】
図3に、一軸圧縮強度と硬度比の関係を示す。
硬度比が50%以上であれば一軸圧縮強度は10Kg/mm2となり、路盤材として十分な強度のスラグが得られる。
【0020】
したがって、路盤材などに適したスラグにするには、その結晶化の程度を上記硬度比で50〜80%にする必要がある。
【0021】
溶融後空冷によりGehleniteを析出させ、硬度比を安定して50〜80%にするには、その詳細は実施例で述べるが、Na2O/SiO2の重量比が0.05以上0.08未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.75以上1.1以下、Na2O/SiO2の重量比が0.08以上0.12未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.70以上1.1以下、Na2O/SiO2の重量比が0.12以上のときはCaO/SiO2の重量比を0.60以上1.1以下にする必要がある。
【0022】
なお、Na2O/SiO2の重量比の上限は、0.15を超えると、Na2CO3を添加する必要が生じてコスト増になるとともに、溶融炉の炉壁の損傷が促進されるので、Na2O/SiO2の重量比は0.15以下にする必要がある。
【0023】
溶融時に、非酸化性雰囲気で金属元素を比重分離すると、廃棄物中に多量に存在するFeがスラグ中から除去され、品位の高いスラグが得られる。
【0024】
【実施例】
都市ごみ焼却灰を、炭素電極を有する抵抗加熱式電気炉を用い非酸化雰囲気である水蒸気分圧15〜35%の大気中で、1450℃〜1500℃で溶融し、約20℃/minの冷却速度で冷却して非晶質スラグを作成した。このスラグの組成は、SiO2:51.06wt%、CaO:16.95wt%、Al2O3:18.16wt%、Na2O:3.95wt%、MgO:2.54wt%、K2O:1.53wt%、FeO:1.97wt%、TiO2:1.02wt%であった。
【0025】
このスラグにSiO2、CaCO3、Al2O3、Na2CO3を添加して、溶融時におけるNa2O/SiO2の重量比が0.05〜0.15、CaO/SiO2の重量比が0.40〜1.10となるように調製された試料をカ−ボン坩堝に入れて、窒素雰囲気中で1500℃で1時間溶融後空冷した空冷スラグを作成した。この時の1200℃から800℃までの温度範囲における冷却速度は17℃/minであった。また、溶融後直ちに室温の鋼板上に流し出して急冷スラグ(100%非晶質試料)も作成した。
【0026】
そして、各試料の空冷後と急冷後のスラグのビッカ−ス硬度を測定し、上記式(1)の硬度比を求めた。なお、各スラグの硬度は、1mmピッチで5点測定し、最大値と最小値を取り除いた3点の値を平均して求めた。
【0027】
硬度比の測定結果を表1に示す。
Na2O/SiO2の重量比が0.05以上0.08未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.75以上、Na2O/SiO2の重量比が0.08以上0.12未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.70以上、Na2O/SiO2の重量比が0.12以上のときはCaO/SiO2の重量比を0.60以上にすると、硬度比は50〜80%となり、路盤材などに適したスラグが得られる。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上説明したように構成されているので、路盤材などに適した結晶化スラグを安定して、しかも生産性の低下や設備コストの増大を招くことなく得られる結晶化スラグの製造方法を提供できる。
【0030】
なお、本発明法で作成された結晶化スラグは、路盤材の他、埋戻材、アスファルトやコンクリートの骨材にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Pseude−wollastonite、Anorthite、Gehleniteの初晶領域とNa2O/SiO2の重量比との関係を示す図である。
【図2】破壊靭性値KICと硬度比の関係を示す図である。
【図3】一軸圧縮強度と硬度比の関係を示す図である。
Claims (2)
- 都市ごみ焼却灰を溶融し空冷して得る結晶化スラグの製造方法であって、
溶融時のスラグ組成を、
Na2O/SiO2の重量比が0.05以上0.08未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.75以上1.1以下、
Na2O/SiO2の重量比が0.08以上0.12未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.70以上1.1以下、
Na2O/SiO2の重量比が0.12以上0.15以下のときはCaO/SiO2の重量比を0.60以上1.1以下となるように調製し、
溶融後、空冷することを特徴とする結晶化スラグの製造方法。 - 都市ごみ焼却灰を溶融し空冷して得る結晶化スラグであって、
溶融時のスラグ組成を、
Na2O/SiO2の重量比が0.05以上0.08未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.75以上1.1以下、
Na2O/SiO2の重量比が0.08以上0.12未満のときはCaO/SiO2の重量比を0.70以上1.1以下、
Na2O/SiO2の重量比が0.12以上0.15以下のときはCaO/SiO2の重量比を0.60以上1.1以下となるように調製し、
溶融後空冷して製造し、結晶化の程度となる下記の式(1)で定義する硬度比が50〜80%であることを特徴とする結晶化スラグ;
硬度比=[(結晶化スラグのビッカース硬度)/(100%非晶質スラグのビッカース硬度)]×100 (%)・・・(1)、
ここで、100%非晶質スラグは、当該結晶化スラグと同じ組成の溶融スラグを急冷したものである。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14572998A JP3893747B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14572998A JP3893747B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH11335144A JPH11335144A (ja) | 1999-12-07 |
JP3893747B2 true JP3893747B2 (ja) | 2007-03-14 |
Family
ID=15391796
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14572998A Expired - Fee Related JP3893747B2 (ja) | 1998-05-27 | 1998-05-27 | 結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3893747B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5640307B2 (ja) * | 2007-09-20 | 2014-12-17 | 愛知製鋼株式会社 | ブラスト用研削材及びブラスト用研削材の製造方法。 |
-
1998
- 1998-05-27 JP JP14572998A patent/JP3893747B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH11335144A (ja) | 1999-12-07 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Peng et al. | Nano-crystal glass–ceramics obtained from high alumina coal fly ash | |
Romero et al. | Use of vitrified urban incinerator waste as raw material for production of sintered glass-ceramics | |
US5203901A (en) | Method for converting waste to crystallized glass | |
JP2004143034A (ja) | 製鋼スラグの改質方法および改質製鋼スラグ | |
KR20130140891A (ko) | 알루미늄 옥시카바이드 조성물 및 그 제조 방법과 내화물 | |
JP4712611B2 (ja) | 結晶質溶融スラグの製造方法 | |
JP3893747B2 (ja) | 結晶化スラグの製造方法及び結晶化スラグ | |
Kamusheva et al. | Crystallization and structure of glass-ceramic from electric arc furnace slag | |
US5369066A (en) | Refractory material and product thereof containing low-silica electrofused magnesia clinker | |
JPH04132642A (ja) | 結晶化スラグの製造方法 | |
JP7131534B2 (ja) | 骨材の製造方法、粗骨材および細骨材 | |
JPS59164669A (ja) | 結晶化物の製造法 | |
Ghorai et al. | Treatment of LF slag to prevent powdering during cooling | |
JP3852790B2 (ja) | 酸化物セラミックスの製造方法 | |
JP3707825B2 (ja) | 低熱膨張鋳鉄およびその製造方法 | |
JP7095674B2 (ja) | コンクリートの製造方法 | |
JP7303989B2 (ja) | ホウ素含有物質の改質方法及び土木建築用資材の製造方法 | |
Wu et al. | Precipitation Behaviour of Chromium in CaO-MgO-SiO2-Al2O3-Cr2O3-Fe2O3 Slag System | |
JP6842679B2 (ja) | 人工石材の製造方法 | |
KR100321059B1 (ko) | 제강슬래그를 이용한 결정화유리조성물의 제조방법 | |
JPS59164668A (ja) | 骨材の製造法 | |
JPH0596265A (ja) | クロム含有耐火物廃材の処理方法 | |
JPS6124074B2 (ja) | ||
JP3368166B2 (ja) | 中空粒子の製造方法 | |
JPS5933546B2 (ja) | 下水汚泥残渣を原料とする結晶化骨材の製造法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20031211 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060413 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060516 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060630 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20060630 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060912 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20061025 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20061121 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20061204 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |