JP3852790B2 - 酸化物セラミックスの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、下水処理場から大量に発生する下水汚泥焼却灰などを原料とする酸化物セラミックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場から大量発生する下水汚泥の有効利用を図るために、下水汚泥の焼却灰を溶融してスラグ化し、これを粉砕してコンクリート骨材や路盤材として利用することが古くから行われている。しかしこの下水汚泥焼却灰溶融スラグはガラス質であるために、強度の点で従来の砕石等と同様に扱うことは難しい。
【0003】
そこで下水汚泥焼却灰溶融スラグを結晶化させることにより強度を増加させる工夫がなされてきた。このための従来の方法は、下水汚泥焼却灰溶融スラグに炭酸カルシウムを添加することにより塩基度(Ca/Si)を0.8 〜1.0 に調整したうえ、1400℃程度で完全に溶融させ、その後1100℃で数時間保持して結晶を成長させる方法であった。
【0004】
ところがこのような従来方法は、[1]高い熱処理温度が必要であるため、設備費やランニングコストが嵩むこと、[2]完全に溶融してガラス化させるため、そのための容器が必要であること、[3]冷却工程において微細なクラックが発生しやすく、得られた酸化物セラミックスの四点曲げ強度が300kg/cm2程度と低いこと、[4]均一な結晶化が困難であること、等の問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決して、従来よりも低温処理を行うことができ、溶融のための容器が不要であり、クラックの発生が少ないために強度が大きく、均一な結晶化が可能である下水汚泥焼却灰などを原料とする酸化物セラミックスの製造方法を提供するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明の酸化物セラミックスの製造方法は、下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉砕物の100重量部に、5〜30重量部のソーダ長石およびカリ長石の少なくとも一方の長石と、炭酸カルシウム換算で10〜40重量部のカルシウム成分を添加し、1100〜1250℃の溶化により緻密化したのち、1050〜1200℃の温度で結晶化させて、アノーサイト(CaO・Al2O3・2SiO2)の結晶を含有し、四点曲げ強度が350kg/cm2以上である酸化物セラミックスを得ることを特徴とするものであり、また、下水汚泥焼却灰の100重量部に、15〜30重量部の長石と、炭酸カルシウム換算で20重量部のカルシウム成分を添加し、1100〜1250℃の溶化により緻密化したのち、1050〜1200℃の温度で結晶化させて、アノーサイト(CaO ・Al2O3・2SiO2)の結晶を含有し、四点曲げ強度が420kg/cm2 以上である酸化物セラミックスを得ることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
下水汚泥焼却灰の化学組成は、処理場や使用する凝集剤の種類、季節等によって多少変化するが、高分子凝集剤を使用している下水処理場の場合にはその焼却灰の溶融スラグは表1に示すような化学組成(単位:重量%)となっている。
【0008】
【表1】
【0009】
本発明においては、上記のような下水汚泥焼却灰溶融スラグを粉砕したもの、あるいは下水汚泥焼却灰に対してソーダ長石、カリ長石等の長石を添加し、さらに好ましくはカルサイト、ドロマイト、灰長石、ケイ灰石等のカルシウム成分を添加する。具体的には、例えば、下水汚泥溶融スラグ粉砕物の100重量部に、5〜30重量部のソーダ長石およびカリ長石の少なくとも一方の長石と、炭酸カルシウム換算で10〜40重量部のカルシウム成分を添加するものとする。
【0010】
【0011】
上記のような組成調整を行った後、この混合物を例えばアルミナ製のるつぼに入れ、1100〜1250℃で溶化処理する。この溶化とは一般的な陶磁器の焼成時に見られる現象であり、長石類が比較的低温で融液となるが、その粘性が高いために更に温度を上げても製品の形状を保ったままで緻密化することをいう。本発明では従来のように混合物を完全溶融するのではなく、溶化処理するのであるから、従来よりも低温処理が可能となり、また溶融のための高温に耐える容器を必要としない。なお、1100℃未満の温度では溶化が不十分であり、1250℃を越えると溶融が始まり製品の形状が崩れてしまうこととなる。
【0012】
この溶化後、1050〜1200℃に5時間程度保持して結晶化を進行させる。一般に酸化物セラミックスの製造においては、均一に結晶を生じさせるために核形成物質が用いられるが、本発明では、下水汚泥焼却灰または下水汚泥焼却灰溶融スラグ中にはFe2O3、C、Sが含まれており、これらが反応して得られるFeSを核形成物質として用いることができるので、外部からの添加を必要としない。結晶化工程ではこれらの核形成物質を核としてアノーサイト(CaO・Al2O3・2SiO2)の結晶が析出する。なお、結晶化温度が1050℃未満では結晶が十分に成長せず、1200℃を越えると結晶が再びガラス化するので好ましくない。
【0013】
図1のグラフは本発明の方法により製造された酸化物セラミックスのX線回折パターンを示すもので、主結晶としてアノーサイトの結晶が現れることを示している。このアノーサイトの結晶は針状であり、これらが互いに絡まりあった結晶相を有する酸化物セラミックスが得られるので、後の実施例のデータに示すように四点曲げ強度が350kg/cm2以上という優れた強度を得ることができる。また、本例は酸化鉄(Fe2O3) の結晶が全てFeSの核形成物質とならず残り、結晶が現れている。
【0014】
【作用】
以上に詳細に説明したように、本発明の方法により製造された酸化物セラミックスは、アノーサイト(CaO・Al2O3・2SiO2)の結晶を主結晶として含有するものであるが、アノーサイトの結晶は針状で強度が高く、かつたがいに絡み合うように均一に析出させることができるので、強度に優れた酸化物セラミックスとなる。さらに本発明の酸化物セラミックスの製造方法によれば、添加物の比率をできるだけ少なくしてアノーサイトを析出させることができる。また本発明の酸化物セラミックスの製造方法によれば、下水汚泥焼却灰または下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉砕物などの原料粉末を溶化により緻密化したのち結晶化させるので、従来のように高温に加熱して完全溶融させる必要がない。このために1200℃以下の低温処理が可能であり、溶融のための容器も不要である。
【0015】
【実施例】
以下に本発明の実施例を示す。
〔実施例1〕
下水汚泥焼却灰を1400℃で溶融後、水冷粉砕して溶融スラグを得た。このスラグをロールクラッシャーで粉砕後、篩により350μm以下に粒度を整えたものをスラグ試料とした。このスラグ試料とソーダ長石、カリ長石、カルサイト(炭酸カルシウム)を表2の各割合で秤量し、乾式ポットミルを用いて混合した。
【0016】
【表2】
【0017】
それぞれの混合物を4cm×4cmで深さ3cmのアルミナ製の角るつぼに詰め、電気炉で焼成した。焼成は1200℃で2時間保持して溶化処理を行い、その後に1150℃で5時間保持して結晶化し、炉冷した。得られたバルク体を角るつぼごと切断し、幅4mm、高さ3mm、長さ35mmの抗折強度測定サンプルを切り出した。また抗折強度を測定したサンプルを粉砕して粉末X線回折用試料とした。四点曲げ強度試験の結果と、X線回折による同定結晶相を表3に示す。
【0018】
【表3】
【0019】
以上のデータに示されるように、下水汚泥焼却灰溶融スラグに対して長石を5重量%以上、カルサイトを10重量%以上、外配添加したサンプルは全て350kg/cm2 以上の強度が得られた。但し、長石の添加量を0としたNo.13 、14では溶化が起こらず緻密化しないため、100kg/cm2 程度の強度が得られたのみであった。更にカルサイトの添加量を0としたNo.15 ではアノーサイトが析出しないため、350kg/cm2 以上の強度は得られなかった。逆にカルサイトの添加量が多過ぎても、No.16 のように強度の低下が見られた。
【0020】
〔実施例2〕
下水汚泥焼却灰100重量%に対して、ソーダ長石、カリ長石、カルサイトを表4に示す割合で外配添加し、乾式ポットミルを用いて混合した。混合物を90mm×80mmの金型に入れ、成形圧力300kgf/cm2 で一軸プレスにより成形を行なった。焼成は1125℃で5時間保持して溶化処理を行い、その後に1075℃で5時間保持して結晶化し、炉冷した。焼成後のサンプルから幅4mm、高さ3mm、長さ40mmの抗折強度測定サンプルを切り出した。また、抗折強度を測定したサンプルを粉砕して粉末X線回折用試料とした。四点曲げ強度試験の結果と、X線回折による同定結晶相を表5に示す。
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
上記のように、下水汚泥焼却灰を出発原料とした場合にも、強度の優れた酸化物セラミックスを得ることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の製造方法によれば下水汚泥焼却灰または下水汚泥焼却灰溶融スラグを原料として、強度の大きい酸化物セラミックスを得ることができる。しかも溶化により緻密化したのち、結晶化させる方法を採用したので、従来よりも低温処理を行うことができること、溶融のための容器が不要であること、クラックの発生が少なく均一な結晶が得られること等の多くの効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法により製造された酸化物セラミックスのX線回折パターンである。
Claims (4)
- 下水汚泥焼却灰溶融スラグ粉砕物の100重量部に、5〜30重量部のソーダ長石およびカリ長石の少なくとも一方の長石と、炭酸カルシウム換算で10〜40重量部のカルシウム成分を添加し、1100〜1250℃の溶化により緻密化したのち、1050〜1200℃の温度で結晶化させて、アノーサイト(CaO ・Al2O3・2SiO2)の結晶を含有し、四点曲げ強度が350kg/cm2以上である酸化物セラミックスを得ることを特徴とする酸化物セラミックスの製造方法。
- 下水汚泥焼却灰の100重量部に、15〜30重量部の長石と、炭酸カルシウム換算で20重量部のカルシウム成分を添加し、1100〜1250℃の溶化により緻密化したのち、1050〜1200℃の温度で結晶化させて、アノーサイト(CaO ・Al2O3・2SiO2)の結晶を含有し、四点曲げ強度が420kg/cm2 以上である酸化物セラミックスを得ることを特徴とする酸化物セラミックスの製造方法。
- 前記下水汚泥焼却灰溶融スラグが、SiO2を41.8〜47.9重量%、Al2O3を16.73〜19.10重量%、CaOを7.77〜12.11重量%含むものである請求項1に記載の酸化物セラミックスの製造方法。
- カルシウム成分がカルサイト、ドロマイト、灰長石、ケイ灰石から選択されたものである請求項1、2または3に記載の酸化物セラミックスの製造方法。
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