JP3893286B2 - α−インターフェロンの水溶液製剤 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、ヒト血清アルブミンを含有しないα−インターフェロン(α−IFN)の安定水溶液製剤に関する。
【0002】
(従来の技術の説明)
ほとんどのタンパク質は、水溶液中で容易に変性するかまたは生物学的活性を失う。このために、多くの製薬会社は、タンパク質薬剤製品の安定性を改良するために凍結乾燥製剤を開発してきた。しかしながらタンパク質薬剤の凍結乾燥製剤は、多数の欠点を有する。凍結乾燥法は高価であり、患者への薬剤投与の前にタンパク質薬剤の付加的再構成過程を要するため、経済的または利便性の点で液体製剤には望ましくない。これらの点は、α−IFNの製剤の開発に際しても考慮されてきた。
【0003】
インターフェロン(IFN)は、正常または腫瘍細胞の増殖、分化および機能に一役を担い、種々のウイルスの増殖を抑制するタンパク質サイトカインの1つである。特にIFNは天然キラー細胞(NK)の活性を制御し、細胞傷害性Tリンパ球の活性を強化し、マクロファージの貪食活性を増大する。それによりIFNは最後にウイルス等に感染した細胞の免疫反応を媒介する。IFNは、分泌細胞または誘導物質の種類によって、α、βおよびγに分類される。それらの中で、αおよびβはpH2でさえも安定であるが、しかしγ形態は酸性条件下では不安定である。
【0004】
3つの形態の中で、α−インターフェロンは、ウイルス性疾患、例えばC型肝炎の治療に非常に有効であるため、長い間、抗ウイルス剤として用いられてきた。したがって多数の研究者が不断の努力を重ねて、長期間、α−インターフェロンの活性を保存し得る製剤を開発してきた。
【0005】
米国特許第4496537号は、安定剤としてアラニン(またはグリシン)およびヒト血清アルブミン、ならびに6.5〜8.0という溶液中のpHを維持するための緩衝系を含有するα−インターフェロンの凍結乾燥製剤に言及する。さらに米国特許第4847079号は、ヒト血清アルブミン、グリシン、チメロサール、ならびに6.5〜8.0のpHを維持するための緩衝系を含有するα−インターフェロンの水性製剤に言及する。面白いことに、上記の特許はともに、製剤がα−インターフェロンの生物学的活性を保有するのに有効であるヒト血清アルブミンを含有することを特徴とする。しかしながら製剤がヒト血清アルブミンを含有する場合、製剤が感染性病原体、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびB型肝炎ウイルス(HBV)により汚染され得る可能性が高い。したがって、近年、ヒト血清アルブミンを使用することは推奨されない。さらに上記のアルブミンはある人々に免疫反応を誘導し得ることが既知である。
【0006】
欧州特許第0736303A2号は、安定剤としてのポリソルベートおよび抗菌防腐剤としてのベンジルアルコールを含有し、そして4.5〜5.5の範囲にpHを維持するための緩衝系を有する水性α−インターフェロン製剤を開示する。上記の特許において、安全であるポリソルベートは、有害であるかもしれないヒト血清アルブミンの代わりに利用される。しかしながら、非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80とともに用いられると、ベンジルアルコールの抗菌活性は低減することが知られている。実際、ベンジルアルコールとともにポリソルベート80を用いることは許容可能でないことが発見されている(Handbook of Pharmaceutical Excipients, American Pharmaceutical Association, 1986, p18)。したがって、抗菌活性を維持するためには、相対的に大量のベンジルアルコール(0.9、1.0%)が用いられる必要がある。しかしながらベンジルアルコールのこのような過剰使用は、ペプチドの凝集を引き起こし得る(Richard L. Remmele et al., Pharmaceutical Research, Vol. 15, No. 2, 1998)。さらに本発明人等により観察された40℃でのα−インターフェロンの製剤の加速試験によれば、1.0%ベンジルアルコールおよび0.02%ポリソルベート80を含有する液体製剤は、フェノール(またはm−クレゾール)および0.02%ポリソルベート80を含有する製剤よりかなり低い活性を有する。
【0007】
WO 96/11018は、ポリソルベート、およびキレート化剤、例えば二ナトリウムEDTA、ならびに防腐剤を含有する水溶液製剤に言及する。しかしながら上記の液体製剤は、細胞傷害性であることが既知であるEDTA二ナトリウムを含むため有害であるかもしれず(Paula Saarien-Savolainen et al., Pharmaceutical Research, Vol. 15, No.2, 1998)、それはヒト身体内部のカルシウムイオンとキレート錯体を形成し得るため、別の問題を有する。さらに上記の特許におけるもうひとつのキレート化剤として記述されているクエン酸塩は、身体に投与された場合に重篤な疼痛を生じることが既知である。
【0008】
(発明の概要)
上記の問題を解決するために、本発明人等は、長期間α−インターフェロンの生物学的活性を保有し且つ非常に安定であり、そして潜在的に有害なヒト血清アルブミンもキレート化剤も含有しないα−インターフェロンの水溶液製剤を開発するために研究してきた。本発明人等は、安定剤としてのポリソルベート、および抗菌防腐剤としてのフェノール、m−クレゾールまたはそれらの混合物を用いることにより、長期間α−インターフェロンの生物学的活性を保有し且つ防腐剤の量を最小限にし得るα−インターフェロンの水溶液製剤を開発することによって、本発明を達成した。
【0009】
長期間生物学的活性および物理化学的安定性を保有し、そしてそれが欧州薬局方により必要とされる抗菌防腐剤の抗菌効力試験において規定された容認判定基準を満たし得るとはいえ、極少量の防腐剤のみは含有するα−インターフェロンの安定水溶液製剤を提供することは、本発明の目的である。
【0010】
さらにヒト血清アルブミンまたはキレート化剤のようなヒト身体に有害である恐れのある物質を伴わずに抗菌活性を保有するα−インターフェロンの安全水溶液製剤を提供することは、本発明の別の目的である。
【0011】
本発明は、α−インターフェロンと、安定剤と、浸透圧調節剤と、フェノール、m−クレゾールまたはそれらの混合物から成る群から選択される抗菌防腐剤と、緩衝系とを含むα−インターフェロンの水溶液製剤を提供する。
【0012】
本発明にしたがって、α−インターフェロンの安定水溶液製剤が提供される。さらにαインターフェロンのより安全な水溶液製剤が提供される。本発明のこれらのおよびその他の特徴、局面および利点は、以下の説明および併記の特許請求の範囲を参照することにより、さらに良好に理解されるようになる。
【0013】
(詳細な説明)
上記の目的を達成するために、本発明は、α−インターフェロンと、安定剤と、浸透圧調節剤と、フェノール、m−クレゾールまたはそれらの混合物から成る群から選択される抗菌防腐剤と、緩衝系とを含むα−インターフェロンの水溶液製剤を提供する。
【0014】
本発明中の「α−インターフェロン」という用語は、組換え細菌、酵母および動物細胞中で発現され、精製される全種類のα−インターフェロンを含む。即ち「α−インターフェロン」という用語は、本明細書中で用いる場合、天然および組換えα−インターフェロンを含む。さらに、天然ヒトα−インターフェロンのアミノ酸が天然ヒトα−インターフェロンの活性の50%より多くを保持しながら、部分的に置換されるα−インターフェロン類似体または変異体は、本発明の水溶液製剤に含まれ得る。本発明の水溶液製剤中に添加されるα−インターフェロンの量は、好ましくは1×106IU/ml〜1×108IU/mlの範囲である。
【0015】
本発明の水溶液製剤中のα−インターフェロンの安定性を維持するのに役立つ安定剤は好ましくはポリソルベート80であり、そしてポリソルベート80の濃度は、好ましくは0.01〜0.05w/v%の範囲である。
【0016】
さらに本発明の水溶液製剤は、微生物の増殖を抑制するために抗菌防腐剤、例えばフェノールおよび/またはm−クレゾールを含む。好ましいフェノール濃度は0.1〜0.3w/v%の範囲であり、好ましいm−クレゾール濃度は0.1〜0.2w/v%の範囲であり、そしてフェノールおよびm−クレゾールの適切な混合物も本発明の水溶液製剤中に含まれ得る。
【0017】
本発明の水溶液製剤中の緩衝系としては、酢酸塩緩衝溶液またはリン酸塩緩衝溶液が挙げられる。特に酢酸アンモニウムおよび酢酸からなる緩衝系、またはリン酸一水素ナトリウム(Na2HPO4)およびリン酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)から成る緩衝系が好ましい。さらに本発明の水溶液製剤中の上記の緩衝系の濃度は、好ましくは5〜20mMの範囲である。本発明の水溶液製剤のpHは、上記の緩衝系によっている。多くの場合、本発明の水溶液製剤のpHは4.0〜8.0の範囲であり、好ましくは4.5〜6.0の範囲である。
【0018】
本発明の水溶液製剤は、浸透圧調節剤、例えば塩化ナトリウムも含み得る。浸透圧調節剤の量は、製剤中の他の構成成分によるものである。最後に、本発明の水溶液製剤は無菌条件下で調製される。
【0019】
本発明においては、好ましい安定剤を探すために、種々の濃度の注射用製剤に有用ないくつかの賦形剤を含む水溶液製剤が調製され、α−インターフェロンの生物学的活性に及ぼす安定剤の作用が研究されてきた。4℃で4ヶ月間貯蔵後の結果は、安定剤としてそれぞれヒト血清アルブミン、ポリソルベート80、ポリエチレングリコールまたはゼラチンを含む水溶液製剤の活性が貯蔵前の初期充填生物学的活性の90%より高く、一方、α−インターフェロンおよび緩衝系のみを含む水溶液製剤の活性は貯蔵前の初期充填生物学的活性の約80%であった。それは恐らくは、上記の安定剤がバイアルの内表面上のα−インターフェロンの吸着を防止するためである。しかしながらヒト血清アルブミンおよびゼラチンの使用は、HIV、HBV等のような外因性のウイルスの潜在的な汚染に関しての増えつつある問題のために、近年は推奨されない。さらにそれはある種の人々には免疫原性であり得る。したがってポリソルベート80が本発明における最も適切な安定剤として選択される。
【0020】
さらに本発明人等は、水溶液製剤の外観に及ぼすポリソルベート80および抗菌防腐剤の濃度の作用を研究してきた。その結果、0.01〜0.02%の範囲のポリソルベートが水溶液製剤のクリアランス(clearance)に影響を及ぼさなかった。しかしながら0.15%より高濃度のm−クレゾールが用いられた場合には水溶液製剤は濁るようになり、濁度はm−クレゾールの濃度に比例した。フェノールが抗菌防腐剤として用いられた場合、0.1〜0.3%の範囲のフェノールは水溶液製剤のクリアランスに影響を及ぼさなかったが、しかし0.3%より高濃度のフェノールが用いられた場合には水溶液製剤は濁るようになった。
【0021】
フェノールを含む水溶液製剤はm−クレゾールまたはベンジルアルコールを含む水溶液製剤より多少高い生物学的活性を保持する能力を有するが、しかし差は大きくない。しかしながら水溶液製剤が40℃の高温で貯蔵された場合、ベンジルアルコールを含む水溶液製剤の生物学的活性は大きく低減した。
【0022】
生物学的活性ならびにα−インターフェロンの二量体化は、pHによって影響を受ける。α−インターフェロンの生物学的活性は、約pH5.8で相対的に安定であり、二量体化はpHが高いほど高頻度であった。したがって、α−インターフェロンの水溶液製剤の長期貯蔵期間中に高pHを有するのは好ましくない。
【0023】
さらに本発明人等は、欧州薬局方中の抗菌製剤の効力を試験するためのプロトコール(European Pharmacopoeia 1997, 5.1.3 Efficacy of Antimicrobial Preparation)にしたがって、種々の組成および濃度の防腐剤を含む水溶液製剤の抗菌防腐作用を調べた。欧州薬局方における抗菌製剤の効力を試験するための具体的プロトコールは、参考例3に記載されており、要約すると次の通りである。
【0024】
この試験に用いるよう記載されている5種類の標準菌株(グラム陽性および陰性細菌および真菌属の標準菌株)を、水溶液製剤1ml当たり105〜106細胞の濃度で人工接種した。決められた時間間隔で、製剤の一部をサンプリングし、生育可能細胞の数の変化の程度を対数変換した。上記の対数変換値(Log減少値)を欧州薬局方表5.1.3−1における値と比較して、抗菌活性のレベルを評価した。欧州薬局方に記載されているAおよびBカテゴリー間の分類は、時間の経過中に当該微生物の対数減少値の差異から成し遂げられ得る。細菌の場合、Aカテゴリーは、6時間以内の2のlog値の減少および24時間以内の接種に対して得られた値に対する生育可能微生物数の3のlog値の減少が起こるべきであると規定し、Bカテゴリーは接種から24時間以内の1のlog値の減少および7日以内の3のlog値の減少が起こるべきであると規定する。同様に真菌の場合には、Aカテゴリーは7日以内に2のlog値の減少が起こるべきであると規定し、そしてBカテゴリーは14日以内に1のlog値の減少が起こるべきであると規定する。さらに時間が上記のように規定された後、生育可能微生物の数の回復または増加は観察されるべきでない。各カテゴリーに関して上記された対数減少値は、注射用製剤および点眼薬に適用され、本発明のα−インターフェロンの水溶液製剤はこの規定下に入る。したがって異なる防腐剤を含むα−インターフェロンのいくつかの水溶液製剤を調製することにより、そして5種の標準菌株に対する抗菌効力試験を実施することによって相対的抗菌活性を評価することにより、本発明人等は最良の製剤を測定しようとしてきた。
【0025】
その結果、0.2%フェノールおよび0.1%m−クレゾールを含む製剤ならびに0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールを含む製剤はともに、アスペルギルス属の黒色アスペルギルス(Aspergillus niger)、カンジダ属の鵞口瘡カンジダ(Candida albicans)、シュードモナス属の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ブドウ球菌属の黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)および大腸菌(Escherichia coli)に対する欧州薬局方におけるAおよびBカテゴリーを満たす。しかしながら0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールを含む製剤の場合、防腐剤の総量は製剤の0.25%である。したがって0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールを含む製剤は、それが最少量の防腐剤を有するために、安全性の点でより好ましい製剤である。
【0026】
本発明の上記のバージョンは、多数の利点を有し、それらの例としては、ウイルスの表面のα−インターフェロンの吸着を防止することにより長期間α−インターフェロンの生物学的活性を保有し得るα−インターフェロンの安定水溶液製剤を提供し、α−インターフェロンの生物学的活性ならびに抗菌活性が防腐剤の量を最小限にすることにより保有され得るα−インターフェロンの水溶液製剤を提供し、大量の防腐剤の使用はヒト身体に有害であることが既知であるため、最少量の防腐剤を有するα−インターフェロンのより安全な水溶液製剤を提供し、ヒト血清アルブミンまたはキレート化剤のようなヒト身体に有害であるかもしれない物質を含有しないα−インターフェロンの水溶液製剤を提供し、そして非常に安定であるα−インターフェロンの水溶液製剤を提供するといったことが挙げられる。
【0027】
本発明はさらに、以下の実施例により例証される。これらの実施例は本発明をさらに詳しく説明するためのものであって、本発明が示された実施例に限定されないことは当業者には明らかである。
【0028】
参照例1:精製組換えα−IFNの調製
インターマックス−α(登録商標)(インターフェロン−α2a、LG Chemical LTG)の活性物質製造方法により、製剤試験のための精製α−インターフェロンを調製した。
【0029】
ヒトα−インターフェロン遺伝子挿入を含有する組換えビール酵母菌Saccharomyces cerevisiae(ビール酵母菌pYLBC A/Gαfα−IFN;1992年7月2日に寄託されたKorean Collection for Type Culture of Korea Research Institute of Bioscience and Biotechnologyの寄託番号KCTC 0051BP)を発酵させた後、イオン交換クロマトグラフィーおよびゲル濾過クロマトグラフィーを含めたいくつかの精製過程により、95%より高い逆相クロマトグラフィー純度のα−インターフェロンを得た。さらなる詳細に関しては、韓国特許出願第1992−25912号(1992年12月28日提出、表題「Purification process of α-interferon expressed in recombinant yeast」)(現在、韓国特許第111251号)(この記載内容は、参照により本明細書中に開示される)を参照されたい。
【0030】
参照例2:α−インターフェロンの水溶液製剤の調製およびその生物学的活性の評価
以下の組成物を有するα−インターフェロンの水溶液製剤を調製した:
α−インターフェロン:1×106IU/ml〜100×106IU/ml
ポリソルベート80:0.1〜0.5mg/ml
フェノール:1.5mg/ml
m−クレゾール:1.0mg/mlおよび
10mMの酢酸塩緩衝溶液または10mMのリン酸塩緩衝溶液を含む緩衝系。
【0031】
上記で調製したようなα−インターフェロンの水溶液製剤の生物学的活性を、monograph 1997:'1110 interferon alfa-2 concentrated solution' of the European Pharmacopoeiaに規定された手法にしたがって検討した。言い換えれば、国際標準組換えヒトインターフェロンα−2(IFN α−2)または企業内作業標準の細胞防御作用を比較することにより、ウイルスによる細胞感染に対するα−インターフェロンの水溶液製剤の細胞防御作用を測定して、国際単位(I.U.)を算定した。
【0032】
37℃および5%CO2の培養条件下で、MDBK細胞(Madin-Derbyウシ腎細胞:ATCC番号CCL22)をマイクロタイタープレート中で培養して、細胞単層を生成した。そして次に、3種類より多い異なる濃度のα−インターフェロン試験試料およびNIHからの組換えヒトα−インターフェロン国際標準(カタログ番号:Gxa01−901−535、米国)により較正されたα−インターフェロン作業標準をマイクロタイタープレートに添加して、培養した。一連のマイクロタイタープレートは、それぞれα−インターフェロンで処理されない細胞を含有したが、それらを陰性対照として用いた。37℃および5%CO2の培養条件下で18〜24時間培養後、処理αインターフェロン溶液を棄て、細胞変性水疱性口内炎ウイルス(ATCC番号VR−158)を、対照以外の全てのプレートのウエル中に添加した。24〜48時間培養後、マイクロタイタープレートをクリスタルバイオレットで染色し、風乾した。エチレングリコールを各ウエルに添加して、染色染料を抽出した後、マイクロプレート分光光度計を用いて600nmで吸光度を測定した。
【0033】
α−インターフェロンの用量に関して標準および試験溶液の吸光度値をプロットし、線状関係を作成した。次に、平行線分析法を用いた比較により、試験溶液の力価を算定した。
【0034】
参照例3:α−インターフェロンの水溶液製剤の抗菌効力試験
試験のために用いた5種の標準菌株は以下の通りであった。2種の真菌株アスペルギルス属の黒色アスペルギルスAspergillus niger(ATCC16404)およびカンジダ属の鵞口瘡カンジダCandida albicans(ATCC10231)、ならびに3種の細菌株シュードモナス属の緑膿菌Pseudomonas aeruginosa(ATCC9027)、ブドウ球菌属の黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus(ATCC6538)および大腸菌Escherichia coli(ATCC8739)を用いた。
【0035】
寒天B(15g/Lのカシトン、5g/Lのソイトン、5g/LのNaCl、18g/Lの寒天、pH7.3±0.2)は細菌の固形培養用に、寒天C(10g/Lのペプトン、40g/Lのグルコース、15g/Lの寒天、pH5.6±0.2)は真菌の固形培養用に用いた。細菌を30〜35℃で18〜24時間、そして真菌は、カンジダ属の鵞口瘡カンジダの場合には20〜25℃で24〜48時間、黒色アスペルギルスの場合には2〜7日間培養した。
【0036】
アスペルギルス属の場合、約5日間の培養後に形成される黒色胞子を収集し、真菌の代わりに試験に用いた。
【0037】
105〜106細胞(アスペルギルス属の場合は胞子)/mlの濃度の標準菌株を用いてα−インターフェロンの試験水溶液製剤を含入する容器中で標準菌株を直接接種するために、希釈緩衝液で接種前の細胞濃度を107〜108細胞(または胞子)/mlに希釈し、次に、添加された細胞懸濁液の量が水溶液製剤の1(v/v)%であるよう、希釈された細胞懸濁液を水溶液製剤に添加した。希釈緩衝液として、希釈緩衝液A(9g/LのNaCl、1g/Lのペプトン)は細菌類およびカンジダ属用に、そして希釈緩衝液B(9g/LのNaCl、0.5g/Lのポリソルベート80)はアスペルギルス属用に用いた。
【0038】
標準菌株懸濁液を試験水溶液製剤に接種した後、各0.1〜0.5mlの試験製剤をそれぞれ0時間、6時間、24時間、7日、14日および28日目にサンプリングし、サンプリングされた溶液を希釈緩衝液を用いて1〜103倍に希釈した。次に希釈試料を寒天固形培地上に塗りつけて、上記の培養温度で培養した。固形培養から生成されたコロニー数を計数することにより、生育可能細胞数/試料1mlを算定した。その間、サンプリング直後にインキュベーター中で20〜25℃で試験水溶液製剤を貯蔵した。生育可能細胞数および試験用培地を見積もるための方法として、欧州薬局方(E.P.1997,2.6.12)に記載されたものを用いた。
【0039】
実施例1:好ましい安定剤の探索
以下の実験を実施して、バイアルの表面のα−インターフェロンの吸着を防止することによりα−インターフェロンの生物学的活性を保有する好ましい安定剤を探した。
【0040】
先ず、種々の濃度の注射用製剤に有用ないくつかの賦形剤を含む水溶液製剤を、表1に記載されているように調製し、塩化ナトリウムを添加して張度を調整した。各水溶液製剤を4℃で4ヶ月間貯蔵して、参照例2に記載した方法にしたがって各製剤中のα−インターフェロンの生物学的活性を評価した。結果を図1および以下の表1に示す。図1は、9×106IU/mlのα−インターフェロンを含有する水溶液製剤の充填生物学的活性に関するα−インターフェロンの相対生物学的活性(%)を示すグラフである。
【0041】
【表1】
【0042】
α−インターフェロンおよび緩衝系のみを含む陰性対照製剤は、約80%の初期充填生物学的活性を保有した。他方、ヒト血清アルブミン、ポリソルベート80、ポリエチレングリコールまたはゼラチンを含む水溶液製剤は、90%より高い初期充填生物学的活性を保有した。それは恐らくは、ウイルス表面のα−インターフェロンの吸着が上記の添加剤により防止されるためである。
【0043】
上記の添加剤はα−インターフェロンの生物学的活性を保有するのに寄与するが、しかしヒト血清アルブミンおよびゼラチンの使用は、外来性ウイルスによる潜在的な汚染問題のために、注射用製剤に関して制限される。したがってポリソルベート80が最も適切な安定剤である。
【0044】
実施例2:水溶液製剤の外観に及ぼすポリソルベート80および抗菌防腐剤の濃度の影響
α−インターフェロンの水溶液製剤の初期選択のための予備実験として、水溶液製剤の外観に及ぼすポリソルベート80および抗菌防腐剤の濃度の影響を調べた。ポリソルベート80および抗菌防腐剤、例えばフェノール、m−クレゾールまたはそれらの混合物を種々の濃度で含むα−インターフェロンの水溶液製剤100mlを調製した。次に、それぞれ0.8%塩化ナトリウムおよび10mMの酢酸アンモニウム緩衝液を用いて、各製剤の張度およびpHを調整した。各製剤のpHは、5.3に調整した。
【0045】
種々の濃度でポリソルベート80および抗菌防腐剤を含む上記の水溶液製剤の色および濁度を、眼で観察した。結果を以下の表2に示す。
【0046】
【表2】
【0047】
0.15%より高い濃度のm−クレゾールを用いた場合、水溶液製剤は濁るようになり、濁度はm−クレゾールの濃度に比例した。フェノールの場合には、水溶液製剤を濁らせない濃度範囲は、0.1〜0.3%であって、0.3%より高い濃度のフェノールを添加した場合には水溶液製剤は濁るようになった。上記の試験結果は、ポリソルベート80の0.01%および0.02%の濃度の両方で同様である。
【0048】
実施例3:α−インターフェロンの生物学的活性に及ぼす抗菌防腐剤の影響
酢酸アンモニウム緩衝液を用いて水溶液製剤のpHを4.5〜5.5に制御し、塩化ナトリウムを添加して水溶液製剤の張度を調整した。α−インターフェロンの濃度は、全ての水溶液製剤に関して6×106IU/mlに調整した。貯蔵温度は4℃または40℃であった。貯蔵期間中、参照例2に記載した方法を用いて、α−インターフェロンの生物学的活性の変化を測定した。以下の表3および図2aは4℃で貯蔵した水溶液製剤の生物学的活性試験の結果を示し、そして以下の表4および図2bは40℃での結果を示す。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】
表3および図2aに示すように、フェノールを含む水溶液製剤は生物学的活性を保有する能力が他の水溶液製剤よりわずかに高かったが、しかし差異は大きくなかった。しかしながら40℃での貯蔵の場合、ベンジルアルコールを含む水溶液製剤の生物学的活性は、他の水溶液製剤と比較して大きく低減した(表4および図2b参照)。
【0052】
実施例4:α−インターフェロンの生物学的活性および二量体化に及ぼすpHの影響
6×106IU/mlのα−インターフェロン、0.15%のm−クレゾールおよび10mMの酢酸アンモニウム緩衝液を含む水溶液製剤を調製した。各水溶液製剤のpHは、それぞれ5.3、5.8および6.3に制御した。調製水溶液製剤を40℃で12週間貯蔵し、適切な時間間隔で各水溶液製剤の生物学的活性を測定した。結果を以下の表5および図3aに示す。
【0053】
【表5】
【0054】
12週間後、非還元条件下で14%SDS−PAGE(ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動)(不連続緩衝系、分離ゲル:14%、0.375Mのトリス−HCl、pH8.8、堆積ゲル:5%,0.125Mのトリス−HCl、pH6.8)により、その後銀染色して、二量体の発生および程度を測定した。
【0055】
先ず、14%分離ゲルを2片のガラスプレート間に固化した後、5%堆積ゲル溶液を調製して、分離ゲル上に注ぎ、次にコームを挿入した。堆積ゲルを完全に固化させた後、コームを除去し、形成された各ウエルをランニングバッファー(トリス−グリシン、pH8.3)で洗浄した。上記の水溶液製剤100μlに、3倍濃縮試料緩衝液(0.186Mのトリス、3%SDS、30v/v%グリセロール、0.009%ブロモフェノールブルー、pH6.8)50μlを添加し、十分に混合した。次に混合物を沸騰水浴中で2分間沸騰させ、冷浴中で冷却した。この試料50μlおよび分子量マーカー(Bio-Rad、低範囲MWマーカー)10μlを異なるウエルに投入した。試料および分子量マーカー投入後、ゲルを電気泳動系(Hoeffer Scientific Instruments、SE600)に入れて、次にランニングバッファーを系に注ぎ入れた。系を電力供給装置(Hoeffer Scientific Instruments、PS2500)と接続してゲル1シート当たり10mAの電流を適用することにより、ブロモフェノールブルー帯域が分離ゲルト堆積ゲルの間の境界に達するまで、電気泳動を実行した。ブロモフェノールブルー帯域が境界に達したら、電流を20mAに上げて、次にブロモフェノールブルー帯域がガラスプレートの下端に達するまで、電気泳動を実行した。電気泳動完了後、電力を遮断し、ゲルを系から取り出して、メタノール:酢酸:水(50:10:40)の混合物中で室温で12〜16時間、タンパク質を含有するゲルを固定した。次にゲルを10%グルタルアルデヒド溶液に移して30分間撹拌し、脱イオン水で各々20分間、3回洗浄した。硝酸銀溶液(0.8%硝酸銀、0.08%NaOHおよび4%アンモニア水)を調製後、ゲルをこの溶液に移して、暗所で5分間撹拌した。次にゲルを脱イオン水で各々1分間、3回洗浄した。使用直前に調製した現像液(0.005%クエン酸,0.14%ホルムアルデヒドおよび0.005%メタノール)をゲルに添加し、ゲルを静かに振盪して、銀染色タンパク質帯域を現像した。結果を以下の表6および図3bに示す。
【0056】
【表6】
【0057】
表5および図3aに示したように、α−インターフェロンの生物学的活性は約pH5.8で相対的に安定していた。その間、α−インターフェロンの二量体化はpHが高いほど頻度が高かった(表6および図3b参照)。その結果として、高pHは、α−インターフェロンの水溶液製剤の長期間貯蔵のためには好ましくない。
【0058】
実施例5:抗菌活性に及ぼす2つの防腐剤の影響
欧州薬局方(E.P 1997、5.1.3)に記載された手法にしたがって、防腐剤としてフェノールおよび/またはm−クレゾールを含むα−インターフェロンの水溶液製剤に関して、抗菌効力試験を実行した。先ず、6×106IU/mlのα−インターフェロン、0.02%のポリソルベート80および10mMの酢酸アンモニウム緩衝液を含む各水溶液製剤を調製した。製剤に、以下の表7に示すような種々の濃度で防腐剤を添加し、塩化ナトリウムを添加して各製剤の張度を調整した。水溶液製剤の抗菌効力試験の結果を、以下の表7に示す。参照例3に記載したような手法を用いて、水溶液製剤1ml当たりの生育可能細胞数を測定した。各サンプリング時に測定された生育可能細胞数を対数変換して、各時間間隔でのLog減少値を算定した。得られたLog減少値を欧州薬局方に規定された判定基準AまたはBの値と比較して、それらが判定基準AまたはBを満たすか否かを評価した。
【0059】
【表7】
【0060】
表7の結果から判るように、0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの両方を含む水溶液製剤は、最少量の防腐剤(防腐剤の総量:0.25%)を含有する場合でさえ、欧州薬局方における抗菌効力試験の判定基準AおよびBを満たした。
【0061】
実施例6:0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの混合物を含む水溶液製剤と0.3%フェノール単独を含む水溶液製剤との間の安定性の比較試験
6×106IU/mlのα−インターフェロン、0.02%のポリソルベート80、0.3%のフェノールおよび10mMの酢酸アンモニウム緩衝液を含む水溶液製剤(試験水溶液製剤#7−1)、ならびに0.15%のフェノールおよび0.1%のm−クレゾールの混合物を0.3%フェノールの代わりに用いた以外は上記と同一の製剤(試験水溶液製剤#7−2)を調製した。各水溶液製剤のpHを5.3に調整し、塩化ナトリウムを水溶液製剤に添加して張度を調整した。2種類の製剤を3群に分けて、それぞれ4℃、25℃および40℃の3群を12週間貯蔵した。各群は3つのロットを有する。一定時間間隔で、α−インターフェロンの生物学的活性の変化を測定した。純度は、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC、Waters Alliance System、UV検出器、ジュピターC18カラム)を用いて測定した。結果を以下の表8〜13および図4a〜4fに示す。
【0062】
(6−1)α−インターフェロンの生物学的活性の変化の評価
【0063】
【表8】
【0064】
【表9】
【0065】
【表10】
【0066】
(6−2)α−インターフェロンの純度
【表11】
【0067】
【表12】
【0068】
【表13】
【0069】
図4a、4bおよび4cは、0時点でのα−インターフェロンの生物学的活性に関する相対的生物学的活性の変化を示すグラフである。表8〜13および図4a〜4fに示したように、0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの混合物を含む水溶液製剤は、全試験期間中の活性ならびに純度に関して、0.3%フェノール単独を含むものと同様の傾向を示した。さらに2種類の製剤は、欧州薬局方における抗菌効力試験に規定された抗菌要件を満たした。しかしながら0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの混合物を含む水溶液製剤は、より少量の防腐剤を含有するために、0.3%フェノール単独を含むものよりヒト身体には安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の水溶液製剤を4℃で4ヶ月間貯蔵した場合のα−インターフェロン(α−IFN)の生物学的活性に及ぼす安定剤の作用を示すグラフである。
【図2】 図2aは、本発明の水溶液製剤を4℃で36週間貯蔵した場合のα−IFNの生物学的活性を測定することによるα−IFN(6×106IU/ml)の水溶液製剤の安定性に及ぼす抗菌防腐剤の作用を示すグラフである。
図2bは、本発明の水溶液製剤を40℃で16週間貯蔵した場合のα−IFNの生物学的活性を測定することによるα−IFN(6×106IU/ml)の水溶液製剤の安定性に及ぼす抗菌防腐剤の作用を示すグラフである。
【図3】 図3aは、本発明の水溶液製剤を40℃で12週間貯蔵した場合のα−IFNの生物学的活性を測定することによるα−IFN(6×106IU/ml)の水溶液製剤の安定性に及ぼすpHの作用を示すグラフである。
図3bは、40℃で12週間貯蔵後のドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動処理ゲルの銀染色により測定されるα−IFNの二量体化に及ぼすpHの作用を示す写真である。
【図4】 図4a、bおよびcは、α−IFN(6×106IU/ml)の水溶液製剤をそれぞれ4℃、25℃および40℃で12週間貯蔵した場合の、抗菌防腐剤として0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの混合物を含む製剤と0.3%フェノール単独を含む製剤との間の生物学的活性の差を示すグラフである。
図4d、eおよびfは、α−IFN(6×106IU/ml)の水溶液製剤をそれぞれ4℃、25℃および40℃で12週間貯蔵した場合の、抗菌防腐剤として0.15%フェノールおよび0.1%m−クレゾールの混合物を含む製剤と0.3%フェノール単独を含む製剤との間の逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により測定される純度の差を示すグラフである。
Claims (7)
- α−インターフェロンと、ポリソルベート80と、浸透圧調節剤と、0.1〜0.3w/v%のフェノール、0.1〜0.2w/v%のm−クレゾールまたはそれらの混合物から成る群から選択される抗菌防腐剤と、緩衝系とからなり、キレート剤を含有しないα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 添加されるα−インターフェロンの量が1×106IU/ml〜1×108IU/mlの範囲である請求項1記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 前記ポリソルベート80の濃度は0.01〜0.05w/v%の範囲である請求項1又は2記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 前記浸透圧調節剤は塩化ナトリウムである請求項1〜3の何れか1項に記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 前記緩衝系は酢酸アンモニウムおよび酢酸から成る緩衝系、またはリン酸一水素ナトリウム(Na2HPO4)および燐酸二水素ナトリウム(NaH2PO4)から成る緩衝系である請求項1〜4の何れか1項に記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 前記水溶液製剤中の前記緩衝系の濃度は5〜20mMの範囲である請求項1〜5の何れか1項に記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
- 前記製剤のpHは4.5〜6.0の範囲である請求項1〜6の何れか1項に記載のα−インターフェロンの水溶液製剤。
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