JP3893263B2 - 動きベクトル検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、動画像データから動き情報を検出する動きベクトル検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
動画像上での各点での動きベクトルは、例えば、MPEG2での動き補償予測符号化処理などのような様々な動画像処理の基礎となる重要な情報であり、従来から様々な研究がなされている。従来の動きベクトルの検出方法としては、現在広く用いられているものの1つに、ブロックマッチング法と呼ばれる手法がある。以下、この手法を図2を参照しながら説明する。
【0003】
図2はブロックマッチング法の概念を示す図であって、101は現フィールド、102は参照フィールド(例えば、現フィールド101よりも2フィールド前のフィールド)、103はターゲットブロック、104は参照ブロック、105は動きベクトル、106は検索範囲、107は被写体(ニコニコマークで示す)である。
【0004】
同図において、いま、ニコニコマークを検出対象の被写体107とし、現フィールド101よりも、例えば、2フィールド前の参照フィールド102での画面(以下では、特に断らない限り、これも参照フィールド102と略称する)で図示する位置にあった被写体107が、現フィールド101の画面(以下では、特に断らない限り、これも現フィールド101と略称する)では、図示する位置に移動していたものとする。同じフィールド、例えば、参照フィールド102での被写体107の位置と現フィールド101の被写体107を参照フィールド102に投影した被写体107’の位置との間のベクトルをこの被写体107の動きベクトル105という。
【0005】
上記のブロックマッチング方は、現フィールド101の画面をミニブロック(例えば、8画素×8ラインのブロックであって、以下、ターゲットブロック103という)に分割し、参照フィールド102に同一サイズのブロック(即ち、参照ブロック104)を設定し、これを現フィールド101でその位置をシフトさせながら、ターゲットブロック103との相関を計算する。そして、その相関が最も高いターゲットブロック103と一致する参照ブロック104のシフト量(距離及び方向)を動きベクトル105とする。この相関の計算は、通常、ターゲットブロック103と参照ブロック104との対応する各画素間の差分の絶対値をとり、これらを累積加算するするものであり、この加算結果(相関値)が最も小さい、即ち、相関が最も高くなる参照ブロック104のシフト量が動きベクトル105である。
【0006】
参照ブロック104のシフト範囲は、例えば、3×5ブロックと決められており、このシフト範囲を動きベクトルの検索範囲106という。この検索範囲106の広さが、動きベクトル105の対応できる被写体107の動きの方向と大きさ(速さ)を決定する。即ち、画面上の物体の全ての動きを判別できるだけの広い検索範囲が望ましい。
【0007】
以上のように、ターゲットブロック103との相関が最も高くなる参照ブロック104を検出することにより、動きベクトルを求めることができるが、かかる参照ブロック104の検出の際、場合によっては、後述するように、検索範囲106内で複数の参照ブロックが同じ相関値で相関が最大となり、複数の動きベクトルが得られることがある。この場合には、何らかの方式に従って動きベクトルに優先順位を付与し、同一の相関値をとる動きベクトルのうち1つを選択する機能が必要となる。
【0008】
このような機能の従来例としては、特開平6ー30399号公報に記載のものがある。
【0009】
図3はこの特開平6ー30399号公報に記載の動きベクトルの優先順位を示す表図である。以下、この図3について説明する。
【0010】
同図において、上段及び左端に示す数字は夫々動きベクトルの水平,垂直成分(水平,垂直ベクトル)を示しており、また、表中の数値はその上方に示す水平ベクトルとその左方に示す垂直ベクトルとを有する動きベクトルに対する優先順位を示している。また、この数値が大きな程優先度が高いものとして定められている。例えば、動きベクトル(水平ベクトル,垂直ベクトル)=(0,0)、即ち、ターゲットブロックと同位置の参照ブロックに対する優先順位は最も高い15である。また、動きベクトル(−7,−5)、(−7,−7)に対する優先順位は夫々3,1であるから、これら動きベクトル(−7,−5)と動きベクトル(−7,−)とに対する2つの相関値が同一で、かついずれも相関が最大となる場合には、優先順位の高い動きベクトル(−7,−5)が採用される。
【0011】
さらに、同一の相関値で相関が最大となり、しかも、優先順位が同じ値の複数の動きベクトルが存在する場合もある。例えば、いずれも優先順位が3の動きベクトル(−7,−5)と動きベクトル(−5,−7)のような場合であって、このような場合には、表中のより左側、即ち、動きベクトルの水平ベクトルが負の最大値により近い方、この場合には、動きベクトル(−7,−5)の方を優先とする。さらには、ともに優先順位が3であって、水平ベクトルが等しい動きベクトル(−7,−5)と動きベクトル(−7,5)のような場合には、表中のより上側、即ち、動きベクトルの垂直ベクトルが負の最大値により近い方を優先と定められる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような動きベクトルの優先順の決め方によると、次のような問題が生ずる。
【0013】
即ち、いま、例えば、図4(a)に示すような建物の画像が矢印方向(垂直方向)に移動している場合のこの建物110の窓の部分について見てみる。ここで、この窓の部分の画像は、数ラインで繰り返すストライプ状(例えば、5ラインの黒と3ラインの白との繰り返しのパターン)の画像とし、これが垂直方向に移動するものとする。
【0014】
図4(b)は参照フィールドでの動きベクトルの検索範囲を示し、同図(c)はこれより2フィールド後の現フィールドでのこの動きベクトルの検索範囲に対応する範囲を示している。そして、図4(b),(c)のいずれにおいても、1ブロックを8画素×8ラインとし、動きベクトル検索範囲を3×5ブロックとしている。ここでは、一例として、2フィールド間に画像が6ライン分上から下に垂直移動しているものとし、水平ベクトルは考慮しないものとする。
【0015】
この場合、ブロックマッチング法によると、図4(c)に示す現フィールドでのターゲットブロックCと最も相関が高い、即ち、このターゲットブロックCとの差分値(相関値)が最小となる図4(b)に示す参照フィールドでの参照ブロックは、明らかに参照ブロックAと参照ブロックBとの2つが存在することになる。
【0016】
ここで、参照ブロックAに対する動きベクトルの垂直ベクトルmvAは−6、参照ブロックBに対する動きベクトルの垂直ベクトルmvBは2であり、これらの水平ベクトルはともに0であって、これらの優先順位をみると、図4に示す表図に当て嵌めると、図5に示すように、参照ブロックAに対する動きベクトルの優先順位は19、参照ブロックBに対する動きベクトルの優先順位は23となり、参照ブロックBに対する動きベクトルが選択されることになる。
【0017】
しかしながら、図4(b),(c)から明らかなように、本来検出されるべき動きベクトルは参照ブロックAに対する動きベクトルであるが、参照ブロックBに対する動きベクトルが選択されることになり、これにより、被写体(この場合、窓)の動きと全く関係のない動きベクトルが検出されてしまうことになる。
【0018】
このような誤った動きベクトルを用いて、例えば、走査線補間処理を行なうと、全く異なる情報をもった信号を補間信号としたノンインターレース信号が生成されることになり、ブロック状の歪みが発生して画質の劣化を招くことになる。
【0019】
また、画像信号に含まれる雑音の影響により、上記のようなケースに陥る可能性もあって、さらに、正しい動きベクトルよりも相関の大きくなる動きベクトルが存在することがあるため、動きベクトルが画像内の被写体の動きを正確に反映しない場合もある。
【0020】
本発明の目的は、かかる問題を解消し、動きベクトルの誤検出を低減可能とした動きベクトル検出装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、ターゲットブロックに対して2フィールド前の動きベクトル検出範囲内での参照ブロックのうち、ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックの位置ベクトルをターゲットブロックの動きベクトルとする動きベクトル検出装置であって、フィールド毎に画面全体の平均的な動きを表わすフィールドベクトルを生成する第1の手段と、ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックが1個だけ存在するときには、この参照ブロックの位置ベクトルをターゲットブロックの動きベクトルとし、ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックが複数存在するときには、複数の参照ブロックのうちで、第1の手段で生成されたターゲットブロックに対して1フィールド前のフィールドベクトルとの距離がより近い該参照ブロックの位置ベクトルを動きベクトルとして選択する第2の手段とを有する構成とするものである。
【0022】
ここで、ターゲットブロックと最も相関が高い複数の参照ブロックは、それらの相関値が任意に設定可能な所定値の範囲内にある参照ブロックである。
【0023】
また、第1の手段は、画面をブロックを構成単位とする複数の領域に分割して、領域毎に上記の第2の手段から得られる動きベクトルの平均ベクトルを求め、全ての領域の平均ベクトルが等しいとき、もしくは予め決められた任意の個数以上の領域での平均ベクトルが等しいとき、この等しい平均ベクトルをフィールドベクトルとするものである。
【0024】
また、上記第1の手段は、画面をブロックを構成単位とする複数の領域に分割して、領域毎に第2の手段から得られる動きベクトルの平均ベクトルを求め、任意に設定可能な所定の範囲内にあって互いに近似した平均ベクトルが任意に設定可能な任意の値以上の個数存在するとき、これら互いに近似した平均ベクトルを平均化したベクトルをフィールドベクトルとするものである。
【0025】
さらに、フィールドベクトルとの距離が任意に設定可能な第1の所定範囲内にある動きベクトルのターゲットブロックの個数を算出し、この個数が任意に設定可能な所定の値以上のとき、画面全体が等速運動しているものと判定し、このフィールドベクトルを画面全体のターゲットブロックの動きベクトルとする第3の手段を設けた構成とするものである。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は本発明による動きベクトル検出装置の第1の実施形態を示す構成図であって、1は現フィールドデータ入力端子、2は参照フィールド(例えば前々フィールド)データ入力端子、3は累積差分演算部、4は差分比較部、5はフィールドベクトル検出部、6はフィールドベクトル有効/無効判定部、7は動きベクトル出力端子である。
【0027】
同図において、入力端子1からは現フィールドのブロック(以下、ターゲットブロックという)BTのデータが入力され、入力端子2から、このターゲットブロックBTよりも、例えば、2フィールド前(前々フィールド)のブロック(以下、参照ブロックという)BRのデータが入力される。以下に説明するブロックマッチング処理により、このターゲットブロックBTの動きベクトルMVが、このターゲットブロックBTに対して設定される動きベクトル検出範囲内の参照ブロックBRの中から選択された参照ブロックのこのターゲットブロックBTに対する位置ベクトルとして検出されるのである。
【0028】
即ち、累積差分演算部3では、入力端子2から入力されたターゲットブロックBTに対する(つまり、このターゲットブロックBTに対して設定される動きベクトル検出範囲内の)参照ブロックBR毎に、ターゲットブロックBTと参照ブロックBRとの対応画素間の差分演算が行なわれて、それら差分の累積加算結果(以下、差分累積値DAという)が求められ、差分比較部4に供給される。差分比較部4では、ターゲットブロックBTに対し、最初の参照ブロックの差分累積値DAが供給されると、これを最小差分累積値DAとして、この最初の参照ブロックの位置ベクトルとともに、ホールドされ、次の参照ブロックの差分累積値DAが供給されると、これとホールドされている最小差分累積値DAとが比較されて、小さい値の方の差分累積値DAが最小累積値として、その参照ブロックの位置ベクトルとともにホールドされ、以下同様にして、同じ動きベクトル検出範囲内で差分累積値DAが最小値となる参照ブロックが検出されて、このターゲットブロックBTに対するその位置ベクトルがこのターゲットブロックBTの動きベクトルとして出力される。
【0029】
このようにして、差分比較部4からは、入力端子1から入力されるターゲットブロックBT毎に、動きベクトルMVが得られて出力端子7から出力される。
【0030】
しかし、差分比較部4で、かかる差分累積値DAが最小となる動きベクトルの参照ブロックが同じ動きベクトル検索範囲内で複数検出される場合がある。この場合には、差分比較部4は、フィールドベクトル検出部5で、後述するように、1つ前のフィールドから得られるフィールドベクトルFVに距離がより近い参照ブロックの位置ベクトルを動きベクトルとして出力する。この距離判定には、例えば、水平・垂直ベクトルの絶対差分値を用いる。
【0031】
なお、後述するように、フィールドベクトルFVが無効である場合には、例えば、図3や図5で説明した優先順位に従って動きベクトルを決める。さらには、フィールドベクトルFVが有効であっても、このフィールドベクトルFVとの距離が等しい位置ベクトルの参照ブロックが複数存在する場合でも、例えば、図3や図5で説明した優先順位に従って動きベクトルを決める。
【0032】
また、検索開始時における最初のフィールドのブロックマッチング処理では、フィールドベクトル検出部5からフィールドベクトルFVは得られない。このため、この最初のフィールドにおいて、同じ動きベクトル検索範囲内に差分累積値DAが最小となる参照ブロックBRが複数存在するターゲットブロックBTがある場合、このターゲットブロックBTに対しては、差分比較部4(図1)は、図3あるいは図5に示す優先順位をもとに、かかる複数の参照ブロックの位置ベクトルのうちの1つを動きベクトルを決定する。
【0033】
このようにして、この実施形態では、同じターゲットブロックBTに差分累積値DAが最小となる位置ベクトルの参照ブロックBRが複数存在する場合、これら参照ブロックBRの位置ベクトルからこのターゲットブロックBTの動きベクトルを決定するために、フィールドベクトルFVを用い、フィールドベクトルFVが無効であったり、これら複数の位置ベクトルがこのフィールドベクトルFVから等しい距離であったりしない限り、このフィールドベクトルFVに距離が一番近い参照ブロックの位置ベクトルが動きベクトルと決められるものである。但し、最初のフィールドのターゲットブロックに対しては、図3や図5で説明した方法で動きベクトルを決める。
【0034】
フィールドベクトル有効/無効判定部6では、フィールドベクトル検出部5で得られるフィールドベクトル有効/無効フラグVg1により、フィールドベクトル検出部5で検出されたフィールドベクトルFVの有効/無効を判定する。フィールドベクトル有効/無効判定部6でフィールドベクトルFVが無効と判定された場合には、上記のように、このフィールドベクトルFVは差分比較部4で用いられない。
【0035】
なお、このフィールドベクトル有効/無効判定部6は、フィールドベクトル検出部5内部に取り入れても、問題はない。
【0036】
図6は図1におけるフィールドベクトル検出部5の一具体例を示すブロック図であって、8,9は入力端子、10は水平・垂直エッジ検出部、11はアンドゲート、12は累積加算部、13はフィールドベクトル算出部、14はフィールドベクトル平滑化部、15はエッジ有ブロックカウンタ、16はエッジ有ブロック数閾値制御部、17,18は出力端子である。
また、図7はこの具体例の動作を示すフローチャートである。
【0037】
図6において、入力端子8から差分比較部4で検出された動きベクトルMVがターゲットブロックBT毎に入力され、入力端子9からこの動きベクトルMVに対するターゲットブロックBTが入力される
ここで、検索開始時における最初のフィールドのブロックマッチング処理では、入力端子9から入力されたターゲットブロックBTに対して設定される動きベクトル検索範囲内に差分累積値DAが最小となる参照ブロックBRが複数存在する場合、差分比較部4(図1)は、図3あるいは図5に示す優先順位をもとに、動きベクトルを決定して出力する。この出力された動きベクトルMVが入力端子8から入力される。
【0038】
水平・垂直エッジ検出部10では、入力端子9から入力されるターゲットブロックBTのうちの水平方向,垂直方向ともに画像のエッジを有するターゲットブロックBTを検出する(図7のステップF7)。この水平・垂直エッジ検出部10の検出結果をもとに、アンドゲート11により、入力端子8から入力された動きベクトルMVの中から水平方向,垂直方向ともにエッジを有するターゲットブロックBTの動きベクトルMVが抽出され、累積加算部12に供給される。累積加算部12は、アンドゲート11から供給される動きベクトルMVの値を順次加算する(図7のステップF3)。
【0039】
ここで、フィールドベクトルFVを求めるために用いる動きベクトル、即ち、累積加算部12で順次加算される動きベクトルMVを水平・垂直エッジを有するターゲットブロックの動きベクトルに限定した理由を以下に説明する。
【0040】
ブロックマッチング処理を用いて動きベクトルを算出する場合、対象とする画像が模様などを含まない均質なものである場合、動きベクトルの大きさは0となるはずであるが、実際には、画像信号中に含まれるノイズなどの影響により、本来求まるべき動きベクトルが得られない可能性が高い。従って、フィールドの平均ベクトル(即ち、フィールドベクトル)FVを算出する際には、水平・垂直エッジを有する部分(模様などを含むブロック)の動きベクトルのみを利用する方が、精度と演算量の両面において、有効である。なお、水平・垂直エッジを両方含まなくとも、水平,垂直のいずれか一方のエッジを有するターゲットブロックを対象としてもよい。
【0041】
一方、エッジ有ブロックカウンタ15は、水平・垂直エッジ検出部10でエッジ有と判定されたターゲットブロック(以下、エッジ有ブロックという)の数をフィールド毎にカウントし(図7のステップF8)、フィールドベクトル算出部13は、エッジ有ブロックカウンタ15からのエッジ有ブロックのカウント値と累積加算部12からのフィールド内のエッジ有ブロックの動きベクトルMVの値の累積加算値とから、フィールド内でのターゲットブロックの動きベクトルの平均値(以下、平均動きベクトルという)を算出する(図7のステップF4)。
【0042】
フィールドベクトル平滑化部14は、フィールドベクトル算出部13からの平均動きベクトルの平滑化を行ない(図7のステップF5)、その結果を、フィールドベクトルFVとして、出力端子17からフィールドベクトル有効/無効判定部6(図1)に出力する(図7のステップF6)。このフィールドベクトルFVは、そのフィールドの画面の全体的な動きの方向,大きさを表わすものである。フィールドベクトル平滑化部14による平均動きベクトルの平滑化の方法としては、例えば、2〜数フィールド分の平均動きベクトルの平均値を算出するものとする。
【0043】
また、ブロック数閾値制御部16は、フィールド毎に、エッジ有ブロックカウンタ15で得られるエッジ有ブロックの個数N1と予め設定されている閾値NTHとを比較し(図7のステップF9)、エッジ有ブロックの個数N1がこの閾値NTHよりも大きい場合には、フィールドベクトル平滑化部14から出力されるフィールドベクトルFVを有効とする“0”のフィールドベクトル有効/無効フラグFg1を出力し、エッジ有ブロックの個数N1が閾値NTH以下の場合には、そのとき算出されたフィールドベクトルFVは信頼度が低いとして、このフィールドベクトルFVを無効とする“1”のフィールドベクトル有効/無効フラグFg1を出力し、夫々出力端子18からフィールドベクトル有効/無効判定部6(図1)に供給する(図7のステップF10)。なお、上記閾値NTH は任意の値に設定できるが、例えば、1フィールドの全ターゲットブロック数の5割とする。
【0044】
フィールドベクトル有効/無効フラグFg1が“0”の場合には、次フィールドにおけるブロックマッチング処理の差分比較部4(図1)において、ターゲットブロックとの差分累積値DAが最小となる参照ブロックが、動きベクトル検索範囲内において複数存在する場合の動きベクトル決定手段として、フィールドベクトルFVとの距離を利用し、フィールドベクトル有効/無効フラグが“1”の場合には、例えば、図3や図5で説明した優先順位に従う(図7のステップF1,F2)。
【0045】
ここで、フィールドベクトルFVに距離がより近い位置ベクトルとは、フィールドの画面全体の動きに最も適合した位置ベクトルであって、この第1の実施形態は、これを複数の位置ベクトルから選んでターゲットブロックの動きベクトルとするものである。
【0046】
以上のように、この第1の実施形態では、被写体が画面上を一定の速度で移動する図4に示すような映像の場合、その画面全体の動きを示す平均ベクトル(FV)を算出し、ブロックマッチング処理におけるターゲットブロックとの差分累積値DAが最小となる参照ブロックが動きベクトル検索範囲内で複数存在する場合の優先順位として、平均ベクトルFVに最も距離が近い参照ブロックの位置ベクトルを動きベクトルとして選択するのであるから、被写体の動きと全く関係のない動きベクトルが検出されるといった現象が防止可能となる。
【0047】
図8は本発明による動きベクトル検出装置の第2の実施形態を示すブロック図であって、19は差分許容値判定部であり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0048】
この第2の実施形態は、ブロックマッチング処理におけるターゲットブロックとの相関が最大もしくはそれに準ずる値の範囲にある動きベクトルも含めて検出範囲内に複数存在する場合、フィールドベクトルFVとの距離がより近い参照ブロックの位置ベクトルに動きベクトルとしての高い優先順位を付与するようにしてしたものである。
【0049】
図8において、累積差分演算部3で得られた各参照ブロックの差分累積値DAは、差分比較部4とともに、差分許容値判定部19に供給される。差分許容値判定部19は、例えば、差分比較部4で比較の対象となっている2つの参照ブロックに対する差分累積値DAの絶対差分値を計算し、その絶対差分値が予め設定されている許容値以下であるとき、これら2つの参照ブロックの差分累積値DAは同値であるとして、“1”の差分値許容フラグFg2を差分比較部4に出力する。そうでないときには、“0”の差分値許容フラグFg2を差分比較部4に出力する。ここで、この許容値は任意設定可能とする。
【0050】
差分比較部4は、図1に示した第1の実施形態での差分比較部4と同様に、最小差分累積値DAとして保持している差分累積値DAと累積差分演算部3から供給される差分累積値DAとを比較する動作を累積差分演算部3から差分累積値DAが供給される毎に繰り返すことにより、差分累積値DAが最小となる参照ブロックを検出するものであるが、かかる動作の進行中、差分許容値判定部19から“1”の差分値許容フラグFg2を受け取ると、このとき比較している2つの参照ブロックの差分累積値DAは同値であることになり、これら2つの参照ブロックのうちの位置ベクトルがフィールドベクトルFVとの距離がより近い参照ブロックをターゲットブロックBTとの相関が高いブロックとして、この参照ブロックの差分累積値DAと位置ベクトルとをホールドし、次の差分累積値DAと比較するための最小差分累積値DAとするものである。差分値許容フラグFg2が“0”のときには、差分比較部4は、差分累積値DAの小さい方の参照ブロックについて、その差分累積値DAを最小差分累積値としてホールドする。
【0051】
このようにして、本来検出されるべき動きベクトルを示す参照ブロックの差分累積値DAが、画像信号中に含まれる雑音などによって影響されて検出範囲内で最小値をとらなくても、この参照ブロックの位置ベクトルを動きベクトルとして選択することが可能となる。
【0052】
図9は図8に示す第2の実施形態の一変形例を示すブロック図であって、20,21はラインメモリ、22はは最大/最小差分演算部であり、図2に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0053】
図1,図8で示した実施形態は、差分比較部4が前後する2つの参照ブロックの差分累積値DAを比較演算して最小の差分累積値の参照ブロックを検出するものであったが、3以上の任意の個数の連続する参照ブロックの差分累積値DAを比較演算するようにしてもよい。図9に示す変形例は、一例として、3個の連続する参照ブロックの差分累積値DAを比較演算するようにしたものである。
【0054】
図9(a)において、入力端子1から入力されたターゲットブロックBTは累積差分演算部3とフィールドベクトル検出部5とに供給される。また、入力端子2から入力された参照ブロックBR1は、累積差分演算部3に供給されるとともに、ラインメモリ20で1ライン(1水平走査期間)分遅延され、参照ブロックBR2として累積差分演算部3に供給される。さらに、ラインメモリ20からの参照ブロックBR2はラインメモリ21でさらに1ライン分遅延され、参照ブロックBR3として累積差分演算部3に供給される。
【0055】
いま、ターゲットブロックBT,参照ブロックBRを夫々8画素×8ラインのブロックとすると、入力端子1から入力されるターゲットブロックBTと同じタイミングとなる参照ブロックBR1,BR2,BR3は、例えば、図9(b)に示すような位置関係となる。ここで、参照ブロックBR1,BR2,BR3は、ターゲットブロックBTのフィールドよりも2フィールド前のフィールドのブロックであるが、図9(b)はターゲットブロックBTに対するベクトル検出範囲内にターゲットブロックBTとともに示している。ここでは、ベクトル検出範囲は24画素×24ラインからなるものとしており、従って、このベクトル検出範囲内に3×3個の参照ブロックが存在することになる。
【0056】
そこで、入力端子1から入力されるターゲットブロックBTと同タイミングで入力端子2から入力される参照ブロックBR1がベクトル検出範囲の第17番目のライン(16Hという。以下同様。但し、第1番目のラインは0Hである)から23Hまでのブロックとすると、これと同タイミングでラインメモリ20から出力される参照ブロックBR2は8H〜15Hのブロックであり、また、これと同タイミングでラインメモリ21から出力される参照ブロックBR3は0H〜7Hのブロックである。これら参照ブロックBR1〜BR3が、ターゲットブロックBTとともに、累積差分演算部3に供給される。
【0057】
累積差分演算部3では、ターゲットブロックBTと参照ブロックBR1との差分累積値DA1,ターゲットブロックBTと参照ブロックBR2との差分累積値DA2及びターゲットブロックBTと参照ブロックBR3との差分累積値DA3とが算出され、夫々差分比較部4に供給されるとともに、最大/最小差分演算部22に供給される。最大/最小差分演算部22は、これら3個の参照ブロックの差分累積値DA1〜DA3における最大値と最小値とが求められ、これら最大値と最小値との差分値が算出される。そして、差分許容値判定部19は、最大/最小差分演算部22で算出された差分値が予め設定された許容値以下であるとき、これら3個の参照ブロックBR1〜BR3の差分累積値DA1〜DA3は同値であるとして、“1”の差分値許容フラグFg2を差分比較部4に出力にする。そうでない場合には、差分許容値判定部19は、“0”の差分値許容フラグFg2を差分比較部4に出力にする。
【0058】
そこで、差分比較部4は、“1”の差分値許容フラグFg2が供給されたときには、そのとき累積差分演算部3から供給される差分累積値DAが同値とされる3個の参照ブロックのうち、フィールドベクトルFVに距離がより近い位置ベクトルの参照ブロックを最もターゲットブロックBTとの相関が高いブロックとし、その差分累積値DAをそのときホールドされている最小累積値と比較する。また、“0”の差分値許容フラグFg2が供給されたときには、差分比較部4は、そのとき累積差分演算部3から供給される差分累積値DAのうちの最も値が小さい差分累積値を選択してそのときホールドされている最小累積値と比較する。そして、いずれの場合も、比較して小さい方の参照ブロックの差分累積値DAを最小差分累積値として位置ベクトルとともにホールドする。
【0059】
このようにして、この変形例においても、本来検出されるべき動きベクトルを示す参照ブロックの差分累積値DAが、画像信号中に含まれる雑音などによる影響により、検出範囲内において最小値をとらなくても、動きベクトルとして選択されることになる。
【0060】
なお、差分許容値判定部19は、差分比較部4内に設けるようにしてもよい。
【0061】
図10は本発明による動きベクトル検出装置の第3の実施形態を示すブロック図であって、23はフィールドベクトル検出/等速判定部、24は切替スイッチであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
【0062】
この第3の実施形態は、スクロールする画像に対する動きベクトルに関するものであって、水平,垂直方向のスクロール画像といった画面全体の等速運動性をフィールド毎に検出する等速判定手段を有し、この等速判定手段によって画面が等速運動していると判定された場合には、画面全体の動きベクトルとしてフィールドベクトルFVを選択するようにしたものである。
【0063】
図10において、フィールドベクトル検出/等速判定部23では、フィールドベクトルFVの算出とともに、画面全体が等速で動いているか否かを判定し、その判定結果を表わす等速判定フラグFg3を出力する。等速判定フラグFg3は、画面全体が等速で動いていると判定された場合には、“1”であり、そうでないときには、“0”である。
【0064】
切替スイッチ24は、“1”の等速判定フラグFg3が供給されるときには、フィールドベクトル検出/等速判定部23で得られるフィールドベクトルFVを選択し、また、“0”の等速判定フラグFg3が供給されるときには、差分比較部4で得られるターゲットブロック毎の動きベクトルを選択し、夫々ターゲットブロック毎の動きベクトルとして出力端子7から出力する。従って、画面全体が等速で動いている場合には、フィールド全体のターゲットブロックの動きベクトルが、全て等しいフィールドベクトルFVとなる。
【0065】
図11は図10におけるフィールドベクトル検出/等速判定部23の一具体例を示すブロック図であって、25は等速判定部、26はアンドゲートであり、図6に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
また、図12はこの具体例の動作を示すフローチャートである。
【0066】
図11において、図6に示す具体例に相当する部分の動作は、図7に示す動作と同様である(ステップF1〜F10)。
【0067】
等速判定部25は、アンドゲート11から出力されるエッジ有ブロックの動きベクトルとフィールドベクトル算出部13から出力される平滑前のフィールドベクトルFVとが供給されて、次のように動作する。
【0068】
即ち、まず、供給されたエッジ有ブロックの動きベクトル毎に、フィールドベクトルFVとの間の距離が演算される(ステップF11)。この距離の演算としては、例えば、これらの水平,垂直成分毎に動きベクトルとフィールドベクトルFVとの絶対値差分をとり、それらを加算するものであって、この加算値をフィールドベクトルFVとの間の距離パラメータとする。
【0069】
次に、この距離パラメータの値が予め設定された所定値以下のエッジ有ブロックの動きベクトルをカウントし、フィールドでの距離パラメータの値が予め設定された所定値以下となるエッジ有ブロックの個数(カウント値N2)を求める(ステップF12)。なお、この所定値は任意に設定可能である。
【0070】
そして、このカウント値N2をフィールド内のエッジ有ブロックの総数N1に対して任意に設定可能な所定割合α(但し、0<α<1)となる閾値αN1と比較し(図12のステップF13)、N2≧αN1の場合、画面が等速運動していると判定して、“1”の等速判定フラグFg3を発生し(図12のステップF14)。また、N2<αN1の場合には、“0”の等速判定フラグFg3を発生する(図12のステップF15)。但し、アンドゲート26により、フィールドベクトル有効/無効フラグFgが“0”で無効を表わしているときには、等速判定部25が“1”の等速判定フラグFg3を発生しても、この等速判定フラグFg3を“0”にする(ステップF15)。
【0071】
以上のように、この実施形態では、被写体が画面上を等速で移動する場合、その等速運動性を判定し、画面全体の動きベクトルとしてフィールドベクトルFVを適用することにより、動きベクトルの孤立点的な誤検出を削減可能である。
【0072】
図13は本発明による動きベクトル検出装置の第4の実施形態でのフィールドベクトル検出部5の一具体例を示すブロック図であって、111,112,……,11m はアンドゲート、121,122,……,12m は累積加算部、131,132,……13mは平均ベクトル(フィールドベクトル)算出部、27は画面分割部、28はオア回路、29は判定部であり、図11に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。但し、mは2以上の整数である。
また、図14はこのフィールドベクトル検出部5の動作を示すフローチャートである。
【0073】
この具体例は、画面をm個の領域に分割し、これら領域毎に動きベクトルの平均ベクトルを求め、これら平均ベクトルからこの画面のフィールドベクトルFVを求めるものである。この画面分割の一例を図15(a)に示す。
【0074】
図13において、入力端子8から入力されたターゲットブロックBT毎の動きベクトルMVはアンドゲート111,112,……,11mに供給される。また、画面分割部27からは、画面をm分割したときの夫々の領域の範囲を示す信号(領域信号という)が出力され、それら領域信号が別々にアンドゲート111,112,……,11mに供給される。さらに、これらアンドゲート111,112,……,11mには、水平・垂直エッジ検出部10の検出出力も供給される。これにより、アンドゲート111,112,……,11mでは、エッジ有ブロックの動きベクトルが領域毎に振り分けられる(図14のステップF101)。
【0075】
ここで、m=4として、図15(a)の画面分割を例にとると、入力された動きベクトルMVのうちのエッジ有ブロックの動きベクトルが、領域A,B,C,D毎に振り分けられることになる。
【0076】
アンドゲート111,112,……,11mからの動きベクトルは夫々累積加算部121,122,……,12mに供給され、領域毎に動きベクトルの値の累積加算値が得られる。これら累積加算値は夫々別々の平均ベクトル算出部131,132,……,13mに供給される。一方、水平・垂直エッジ検出部10では、画面分割部27からの領域信号を用いて、入力端子9から入力されるターゲットブロックBTからエッジ有ブロックが領域毎に振り分けられ、エッジ有ブロックカウンタ15が領域毎にエッジ有ブロックの個数をカウントする。各平均ベクトル算出部131,132,……,13mは夫々、累積加算部121,122,……,12mから供給される累積加算値をエッジ有ブロックカウンタ15で求められた該当する領域のエッジ有ブロック数で割算し、各領域毎の動きベクトルの平均ベクトルBVを算出する(図14のステップF102)。これら平均ベクトルBVは、判定部29に供給される。
【0077】
図15(b),(c),(d)は夫々、m=4の場合の各領域A,B,C,Dでの平均ベクトルBVの例を示す図である。
【0078】
判定部29は、供給された各領域の平均ベクトルBVを互いに比較し(図14のステップF103)、全ての平均ベクトルBVが一致しているとき(例えば、図15(b))、もしくは全平均ベクトル数に対する互いに一致した平均ベクトルBVの個数の割合が予め設定された閾値以上であるとき(例えば、図15(c))、この一致する平均ベクトルBVをフィールドベクトルFVとして出力する(図14のステップF104)。これを満足しないときには、フィールドベクトルFVを出力しない(図14のステップF105)。なお、この閾値は任意に設定可能である。
【0079】
なお、アンドゲート111,112,……,11mからの動きベクトルは、全てオア回路28を介して等速運動判定部25に供給され、図11での等速運動判定部25と同様の処理がなされる。
【0080】
図16は図13に示すフィールドベクトル検出部5の具体例の動作の他の例を示すフローチャートである。
【0081】
同図において、ステップF201,202は判定部29よりも前の構成部の動作であって、図14でのステップF101,102と同様であり、判定部29の動作の部分について説明する。
【0082】
判定部29は、供給された各領域の平均ベクトルBVが全て同様の方向性を持つとき、もしくは、図15(d)に示すように、同様の方向性を持つ平均ベクトルBVの割合が予め設定された閾値以上であるとき(図16のステップF203)、これら同様の方向性を持つ平均ベクトルBVの平均値(以下、平均ベクトルABVという)を算出し(図16のステップF204)、これをフィールドベクトルFVとして出力する(図16のステップF206)。この場合の閾値も任意に設定可能である。
【0083】
ここで、図17に示すように、動きの無いベクトル値(0,0)を基準として90゜毎の4つの領域▲1▼〜▲4▼に分割した場合、同じ領域に入るものを同様の方向性を持つ平均ベクトルBVであるとする。
【0084】
以上のように、この実施形態により、より精度の高いフィールドベクトルFVの検出が可能となる。
【0085】
また、例えば、図18に示すような“奥行きのある”映像の等速運動に関しては、カメラから近い位置と遠い位置とで動きの速さが異なるため、検出される動きベクトルも、遠くの方の動きベクトルMVAと近くの方の映像の動きベクトルMVBとは異なることになる。このため、図18に示すような画面を等速であると判定し、フィールドベクトルFVを適用した場合、この画面全体の動きベクトル(フィールドベクトルFV)は動きベクトルMVA,MVBどちらか一方、もしくはこれらの平均値となり、正しい動きベクトルとはならない。しかし、この実施形態により、かかる問題は解決可能である。
【0086】
図19は本発明による動きベクトル検出装置を用いた走査線補間装置の一実施形態を示す構成図であって、30は入力端子、31,32は動画像信号を記憶するフィールドメモリ、33は動きベクトルをブロック単位で検出する動きベクトル検出回路、MVは動きベクトル、34は動き補償処理回路、35はノンインターレース信号出力回路、36はノンインターレースの画像信号出力である。
【0087】
この実施形態は、インターレースの画像信号から、走査線補間により、ノンインターレースの画像信号を生成するものであり、補間する走査線の形成に動きベクトルを用いるものである。
【0088】
同図において、入力端子30からインターレースの画像信号(以下、後データという)が入力され、動きベクトル検出回路33に供給されるとともに、フィールドメモリ31に記憶されて1フィールド分遅延され、さらに、フィールドメモリ32に記憶されて1フィールド分遅延される。
【0089】
ここで、フィールドメモリ31から出力されるフィールドを現フィールドF0といい、従って、この現フィールドと同タイミングで入力端子30から入力されるフィールドを後フィールドF1といい、この現フィールドと同タイミングでフィールドメモリ32から出力されるフィールドを前フィールドF-1という。
【0090】
入力端子30から入力される後フィールドF1とフィールドメモリ32から出力される前フィールドF-1とは2フィールド分の時間間隔があり、これらが上記実施形態として示した動きベクトル検出装置33に供給され、上記のように処理されてブロック毎に動きベクトルMVが検出される。この動きベクトルMVは、動き補償処理回路34に供給される。
【0091】
動き補償処理回路34では、この2フィールド間の動きベクトルMVをもとにして、現フィールドF0と前フィールドF-1とからこの現フィールドF0のフィールド間補間データ(走査線)が形成される。1フィールド間の動きベクトルは、例えば、2フィールド間の動きベクトルを1/2することによって求められる。よって、フィールド間補間信号を求めるために、動き補償処理回路34では、動きベクトル検出装置33で得られた動きベクトルMVを1/2して1フィールド間の動きベクトルを生成し、この1フィールド間の動きベクトルに従って前フィールドF-1のデータを移動させることにより、フィールド間補間データを生成する。
【0092】
ノンインターレース信号出力回路35では、現フィールドF0の走査線間に動き補償処理回路34で得られたフィールド間補間データが挿入されて、走査線補間された画像信号、即ち、ノンインターレースの画像信号が生成され、出力端子36から出力される。
【0093】
以上のようにして、この走査線補間装置の実施形態では、画像信号中に含まれるノイズなどの影響による誤検出を抑えた動きベクトルにより、補間信号が生成されるため、動き補償処理特有の孤立点的劣化の少ないノンインターレースの画像信号が得られる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ブロックマッチング処理に際し、ターゲットブロックとの差分累積値が最小となる参照ブロックが動きベクトル検索範囲内で複数存在する場合には、画面全体の平均ベクトル(即ち、フィールドベクトル)を求め、このフィールドベクトルに最も距離が近い動きベクトルを選択するから、被写体の動きと全く関係のない動きベクトルが検出されるといった現象が防止でき、さらに、画像信号中に含まれる雑音などの影響により、本来検出されるべき動きベクトルを示す参照ブロックの差分累積値が動きベクトル検出範囲内で最小値をとらなくても、これを動きベクトルとして選択可能であり、高精度な動きベクトルの検出が可能となる。
【0095】
また、被写体が画面上を等速で移動する場合には、その等速性を判定し、画面全体の動きベクトルとしてフィールドベクトルを適用するものであるから、動きベクトルの孤立点的な誤検出をなくして、動きベクトルを高精度に検出することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による動きベクトル検出装置の第1の実施形態を示すブロック構成図である。
【図2】ブロックマッチング手法を説明するための図である。
【図3】従来の動きベクトルの優先順位を示す図である。
【図4】従来の動きベクトル検出装置の問題点を説明するための図である。
【図5】従来の動きベクトルの優先順位を拡張した図である。
【図6】図1におけるフィールドベクトル検出部の一具体例を示すブロック図である。
【図7】図6に示すフィールドベクトル検出部の動作を示すフローチャートである。
【図8】本発明による動きベクトル検出装置の第2の実施形態を示すブロック構成図である。
【図9】図8に示す第3の実施形態の一変形例を示すブロック構成図である。
【図10】本発明による動きベクトル検出装置の第3の実施形態を示すブロック構成図である。
【図11】図10におけるフィールドベクトル検出/等速判定部の一具体例を示すブロック図である。
【図12】図11に示すフィールドベクトル検出/等速判定部の動作を示すフローチャートである。
【図13】本発明による動きベクトル検出装置の第4の実施形態におけるフィールドベクトル検出/等速判定部の一具体例を示すブロック図である。
【図14】図13に示すフィールドベクトル検出/等速判定部の一動作例を示すフローチャートである。
【図15】図13に示すフィールドベクトル検出/等速判定部での画面分割の概念とフィールドベクトルの形成方法を示す図である。
【図16】図13に示すフィールドベクトル検出/等速判定部の他の動作例を示すフローチャートである。
【図17】図16に示す動作での同様の方向性の概念を示す図である。
【図18】画面の動きの一例を示す図である。
【図19】本発明による動きベクトル検出装置を用いた走査線補間装置の一実施形態を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 ターゲットフィールドの入力端子
2 参照フィールドデータ入力端子
3 累積差分演算部
4 差分比較部
5 フィールドベクトル検出部
6 フィールドベクトル有効/無効判定部
7 動きベクトルの出力端子
8 動きベクトルの入力端子
9 ターゲットブロックの入力端子
10 水平・垂直エッジ検出部
11,111〜11m アンドゲート
12,121〜12m 累積加算部
13,131〜13m フィールドベクトル算出部
14 フィールドベクトル平滑化部
15 エッジ有りブロックカウンタ
16 エッジ有ブロック数閾値制御部
17 フィールドベクトルの出力端子
18 フィールドベクトル有効/無効フラグの出力端子
19 差分許容値判定部
20,21 ラインメモリ
22 最大/最小差分演算部
23 フィールドベクトル検出/等速判定部
24 切替スイッチ
25 等速運動判定部
26 アンドゲート
27 画面分割部
28 オア回路
29 判定部
30 インターレース画像信号の入力端子
31,32 フィールドメモリ
33 動きベクトル検出装置
34 動き補償処理回路
35 ノンインターレース信号出力回路
36 ノンインターレース画像信号の出力端子
Claims (5)
- ターゲットブロックに対して2フィールド前の動きベクトル検出範囲内での参照ブロックのうち、該ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックの位置ベクトルを該ターゲットブロックの動きベクトルとする動きベクトル検出装置であって、
フィールド毎に画面全体の平均的な動きを表わすフィールドベクトルを生成する第1の手段と、
該ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックが1個だけ存在するときには、この参照ブロックの位置ベクトルを該ターゲットブロックの動きベクトルとし、該ターゲットブロックと最も相関が高い参照ブロックが複数存在するときには、該複数の参照ブロックのうちで、該第1の手段で生成された該ターゲットブロックに対して1フィールド前の該フィールドベクトルとの距離がより近い該参照ブロックの位置ベクトルを動きベクトルとして選択する第2の手段と
を有することを特徴とする動きベクトル検出装置。 - 請求項1において、
前記ターゲットブロックと最も相関が高い複数の参照ブロックは、それらの相関値が任意に設定可能な所定値の範囲内にある参照ブロックであることを特徴とする動きベクトル検出装置。 - 請求項1において、
前記第1の手段は、画面をブロックを構成単位とする複数の領域に分割して、該領域毎に前記第2の手段から得られる動きベクトルの平均ベクトルを求め、全ての該領域の平均ベクトルが等しいとき、もしくは予め決められた任意の個数以上の該領域での平均ベクトルが等しいとき、等しい該平均ベクトルを前記フィールドベクトルとすることを特徴とする動きベクトル検出装置。 - 請求項1において、
前記第1の手段は、画面をブロックを構成単位とする複数の領域に分割して、該領域毎に前記第2の手段から得られる動きベクトルの平均ベクトルを求め、任意に設定可能な所定の範囲内にあって互いに近似した平均ベクトルが任意に設定可能な任意の値以上の個数存在するとき、該互いに近似した平均ベクトルを平均化したベクトルを前記フィールドベクトルとすることを特徴とする動きベクトル検出装置。 - 請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
前記フィールドベクトルとの距離が任意に設定可能な第1の所定範囲内にある前記動きベクトルの前記ターゲットブロックの個数を算出し、該個数が任意に設定可能な所定の値以上のとき、画面全体が等速運動しているものと判定し、前記フィールドベクトルを該画面全体のターゲットブロックの動きベクトルとする第3の手段を設けたことを特徴とする動きベクトル検出装置。
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