JP3576618B2 - 動きベクトル検出方法および装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は画像の動きベクトル検出方法および装置に係り、特に画像のブロック毎の動きベクトルを検出する方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
動きベクトル検出の原理的方法についてはこれまでブロックマッチング法、勾配法、位相相関法などが提案されており、これらはいずれも周知の方法である(例えば、山内:「テレビジョン方式変換」,テレビ学会誌,Vol.45,No. 12,pp. 1534−1543)。
【0003】
また、これらを基にした動きベクトル検出の改善方法も多数提案されている。例えば一例として本願人の先の出願になる特願平6−303805号(特開平7−327209号)「動きベクトル検出方法」などがある。
【0004】
またさらに、求められた動きベクトルを利用して画像のフィールド間動き補償を行う具体的な画像処理としては、本願人の先の出願になる特願平4−283120号(特開平6−133280号)「画像信号の走査変換装置」、特願平4−286154号(特開平6−141291号)「画像信号の走査線数変換装置」などがある。前記特願平4−283120号は、インターレース走査の画像信号を順次走査に変換し、表示される画質を改善する動き補償型順次走査変換について述べている。また上記の特願平4−286154号は、動き補償型順次走査変換を画像信号の走査線数の変換に利用したものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前述の動きベクトル検出の原理的方法およびその改善方法は、ほとんどの場合画像のブロック毎にその動きベクトルを検出している。しかし、その選択するブロックサイズが小さい場合は、ノイズを含む画像や縞模様などの周期的な構造を持つ画像において検出が不正確となりやすい。これらの画像に対しては一般にブロックサイズを大きくすることで検出の精度をある程度改善することが可能である。しかし、ブロックサイズが大きくなると小さな形状の画像の動きを検出しにくくなるという問題を生じていた。
そこで本発明の目的は、ブロックサイズに関する従来法のトレードオフを改善し、どのような画像に対してもより正確な動きベクトルの検出可能な動きベクトル検出方法および装置を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、テレビジョン画像信号から、同一画像部分に対して比較的小さな小ブロック毎の画像の動きベクトルを、小ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された小ブロック動きベクトルの誤差を検出し、前記同一画像に対して、前記小ブロックを含み、該小ブロックより大きなサイズの画像ブロック毎の画像の動きベクトルを、大ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された大ブロック動きベクトルの誤差も検出し、該大ブロック動きベクトルの検出誤差の値が前記小ブロック動きベクトルの検出誤差よりも小さなときは大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力する動きベクトルの検出方法において、前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に比例して増加するしきい値を発生させ、前記大ブロック動きベクトルの検出誤差に対する前記小ブロック動きベクトルの検出誤差の比を求め、該比と前記しきい値とを比較するとともに、前記比が前記しきい値より大きい場合には大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力することを特徴とする動きベクトル検出方法にある。
【0007】
また、本発明は請求項1に記載の動きベクトル検出方法において、前記比が前記しきい値より大きく、かつ、大ブロック動きベクトルの垂直方向成分(単位:フレーム内走査線数/フィールド)が偶数か、小ブロック動きベクトルの垂直方向成分(単位:フレーム内走査線数/フィールド)が奇数か、前記小ブロック内の画像の右斜め成分の量と左斜め成分の量におおきな違いがないか、のいずれかに該当する場合には大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は請求項1または2に記載の動きベクトル検出方法において、前記大ブロックを各前記小ブロックの上下左右ともに伸張した領域に設定し、各小ブロックに対して各々大ブロックの動きベクトルを検出することを特徴とする。
【0009】
また本発明は、テレビジョン画像信号から、同一画像部分に対して比較的小さな小ブロック毎の画像の動きベクトルを、小ブロック動きベクトルとして検出するするとともに、該検出された小ブロック動きベクトルの誤差を検出する手段と、
前記同一画像部分に対して、前記小ブロックを含み、該小ブロックより大きなサイズの画像ブロック毎の画像の動きベクトルを、大ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された大ブロック動きベクトルの誤差も検出する手段と、
前記小ブロック動きベクトルと前記大ブロック動きベクトルとが供給され、それら供給された各動きベクトルのうちのいずれか一方を択一的に選択して出力する切換器と、
前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に応じて、その値が前記小ブロックの動きベクトル検出誤差よりも小さなときは前記切換器が大ブロック動きベクトルを選択して出力し、そうでない時は前記切換器が小ブロック動きベクトルを選択して出力するように前記切換器に切換制御信号を供給する誤差比較回路と、
を具えている動きベクトル検出装置において、前記誤差比較回路が、
前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に比例して変化するしきい値を発生するしきい値発生回路、
前記大ブロック動きベクトルの検出誤差に対する前記小ブロック動きベクトルの検出誤差の比を求める回路、および
前記比と前記しきい値とを比較し、前記比の値が前記しきい値より大きい場合には前記切換器が大ブロック動きベクトルを選択して出力し、そうでない時は前記切換器が小ブロック動きベクトルを選択して出力するような切換制御信号を出力する比較器
を具えてなることを特徴とする動きベクトル検出装置にある。
【0010】
また、本発明は請求項4に記載の動きベクトル検出装置において、前記大ブロックを各前記小ブロックの上下左右ともに伸張した領域に設定し、各小ブロックに対して各々大ブロックの動きベクトルを検出するように構成したことを特徴とする。
【0011】
【実施例】
以下添附図面を参照し実施例により本発明を詳細に説明する。
図1は本発明による動きベクトル検出方法を実施する装置の構成を示す図である。図の入力信号pは画像信号であり、走査線数、フィールド周波数、インタレース比などはこの例では特定する必要はない。
【0012】
本発明は、テレビジョン画像信号から画像の動きベクトルを検出する際に、同一の画像部分に対して小さなブロックサイズと大きなブロックサイズを用いて各々のブロックサイズを検出するのであって、図1の小ブロック動きベクトル検出回路1は、同一画像部分に対して比較的小さいブロック毎、例えば水平16画素×垂直8走査線の矩形の小ブロック毎に1つの動きベクトルを検出する回路である。具体的には、例えば後に図3に示すブロックマッチング法による回路などで実現できる。回路1で検出されるベクトルが小ブロック動きベクトルであり、これをVS (VSx,Sy)と表す。ここでVSx,Syは各々VS の水平方向成分および垂直方向成分である。図1の大ブロック動きベクトル検出回路2は回路1で動きベクトルを検出している小ブロックを含み、かつそれより大きなブロック(大ブロック)を用いて動きベクトルを検出する回路である。回路2で検出される動きベクトルが大ブロック動きベクトルであり、これをVS と同様にVL (VLx,Ly)と表す。回路2の実現方法も回路1と同様である。また、回路1,2では動きベクトルの検出と同時に、検出されたベクトルの誤差、すなわちブロック内の画像に対する動きベクトルの適合性を表す数値をも出力する。これらを誤差ES,L として表す。このとき、両者を同等に比較できるようにするため、回路1,2は1画素当りの値としてES,L を出力するものとする。これらの値が大きいほどベクトルの信頼性は低い。誤差は、例えば回路1,2をブロックマッチング法で実現した場合、後に図3に示すようにベクトルのマッチング誤差として出力される。
【0013】
切換器3はVS とVL のいずれかを選択する切換器であり、切換器3の出力が図1の回路全体の出力ベクトルVO (VOx,oy)である。また、切換器3の動作は制御信号Kerにより制御され、Kerが“0”であればVS を、“1”であればVL を選択する。
【0014】
除算器4は誤差の比Es /EL を出力する。しきい値発生回路5は誤差EL の値に応じてしきい値THを発生する。回路5の特性として例えば図2に示す特性を使用する。図2の特性によれば、特性のパラメータであるELMIN,LMAXに対し、EL <ELMINであればTH=0であり、EL >ELMINではTHはEL に比例して増加する。そしてEL =ELMAXの時TH=1となる。ELMINとELMAXはカットアンドトライにより決定する。比較器6はES /EL とTHを比較し、ES /EL >THであれば比較器6の出力として制御信号Ker=“1”を出力する。そうでなければKer=“0”を出力する。回路4〜6は全体として誤差比較回路7を構成している。Kerは各小ブロック毎に発生され従ってVL とVS の選択も小ブロック毎に行われる。
【0015】
以上の動作により、図1の回路は全体として、EL <ELMINならば出力ベクトルVO として必ずVL を出力し、EL >ELMINであれば誤差の比ES /EL の値に応じてVL またはVS を出力するが、EL >ELMAXであればVL を出力しにくくなる。
【0016】
ブロック内において動きベクトルと同一の動きをする画像の面積が大きな割合を占めなければ誤差は小さくならない。このことは一般に小ブロックよりも大ブロックにおいて発生する可能性が低い。すなわち、大ブロックの誤差EL が小さいことは、大ブロック動きベクトルの画像に対する適合性が小ブロック動きベクトルよりも広い範囲におよんでいることを意味する。従って、この場合大ブロック動きベクトルの信頼性は小ブロック動きベクトルの信頼性より高いと言える。一方EL の値が大きいことは大ブロック内の画像が単一の動きでないことを意味する。従って、大ブロック内に複数の異なる動きを持つ画像が含まれる可能性が高い。このような場合は小ブロック動きベクトルの方がより画像の真の動きに適合している可能性が高い。
【0017】
図1の回路におけるVL とVs の選択動作は、以上のような動きベクトル検出の一般的性質に合致しており、図1の回路により、従来の固定サイズのブロックを用いる場合よりもより広範な画像に対して正確な動きベクトル検出が可能である。
【0018】
次に、図1の動きベクトル検出回路1,2の具体的な構成法について述べる。図3はブロックマッチング法による動きベクトル検出回路の一例である。ブロックマッチング法は、ある物体が1フレーム期間にVT (画素/フレーム)の速さで平行移動しているとき、1フレーム前の画像をVT 画素だけシフトすれば現フレームの画像に一致し、フレーム間差分のブロック内累積値が最小値を示すという原理を利用したものである。
【0019】
図3において、入力画像信号pはディレイ回路11において(1フレーム+VT ) だけ遅延させられる。ここでVT (VTx,Ty)は動きベクトル検出の対象となる候補ベクトルであり、候補ベクトル発生回路12から、あらかじめ設定された候補ベクトルが順次発生させられる。減算器13において、入力信号pと回路11の出力の差分をとることにより、動き補償フレーム間差分信号dfd (displaced frame difference) が求められる。ブロック領域設定回路14は、画素があらかじめ設定されたブロック内の画素であるか否かを指示するブロック領域信号Bを発生する。回路15では、dfd の絶対値のブロック内累積値ΣB |dfd |を求める。この値は候補ベクトルVT の関数であり、これをDFD(VT ) で表す。DFD(VT ) はVT のそのブロックに対するマッチング誤差である。最小値検出回路16ではDFDの最小値を求め、最小値を発生するVT をそのブロックの動きベクトルV(Vx,y )として出力する。また、最小値をDFDMとして出力する。DFDMを1画素当りの値とするため、除算器17においてブロック内の画素数NB で除算し、それをベクトルVの誤差Eとして出力する。
【0020】
以上の動作から明らかなように、図3の回路により図1の回路1、2のいずれも実現できる。回路1、2の違いはブロック領域設定信号Bの内容およびBに対応するNB の値のみである。
【0021】
図4は本発明による動きベクトル検出方法に適用する画像ブロックの構成例を示し、図は画面上でのブロック領域設定の一例を示している。図では小ブロックBS を、水平16画素×垂直8ラインのブロックとしこれをBS1〜BS4で表している。一方、大ブロックBL は水平、垂直とも小ブロックの2倍の32画素×16ラインとし、しかもこれをBS1〜BS4が占める位置と同一の位置に設定している。そしてVL の検出はBL に対して1度だけ行い、図1の回路7では、この共通のVL と各BS で検出された各VS を各々比較する。
【0022】
動きベクトル検出における演算量はブロック領域の面積にほぼ比例して増大するので、大ブロックベクトル検出回路の実現にはハードウェアの量が増加するという問題がある。例えば、BL の面積がBS の面積の4倍であれば演算量も約4倍となる。しかし図4の実施例によれば、VL をBL 内のBS1〜BS4に対して共通に使用できるので、BL 毎に見た場合の演算量は回路1,2とも同等となり、ハードウェアの実現において著しく有利となる。
【0023】
以上、図1から図4の例は、入力画像信号が順次走査であっても2:1インタレースであっても利用できる。
【0024】
図5は本発明による動きベクトル検出方法に適用する画像ブロックの他の構成例を示し、この例では、小ブロックBS は図4と同様に16画素×8ラインとし、大ブロックBL2の大きさも図4と同様に32画素×16ラインとする。しかし、BL2の中心をBS の中心に一致させており(両中心は必ずしも一致する必要はなく、大ブロックが小ブロックの上下左右ともに伸張した領域であればよい)、BL2はBS を上下左右に伸張した領域に設定されている。そして、BL2に対応する大ブロックベクトルVL2は各BS 毎に検出する。このようにすると、VL2を複数のBS に対して共通にできず、図4の場合のようなハードウェア実現に関する利点はない。しかし、以下のような画質的な利点を生じる。
【0025】
ここで、検出したベクトルをインタレース走査画像に対するフィールド間動き補償に用いる場合を考える。例として、前述の特願平4−283120号明細書に説明されているインタレース走査画像の動き補償型順次走査変換を取り上げる。
【0026】
図6(a)は前述の特願平4−283120号明細書に添付の図1から、動き補償に関連する部分のみを抜き出したものである。図の入力信号pは走査線525本/フィールド周波数60Hz/2:1インタレースの画像信号である。動きベクトルV(単位:画素またはフレーム内走査線数/フィールド)に従い、信号を(263H+V)だけ(Hは走査線)遅延させる動き補償メモリ31の出力を走査線の補間信号とし、入力信号と補間信号を時間軸変換回路32により変換・合成して順次走査信号を得ている。これ以上の詳しい説明は特願平4−283120号明細書に記載されているので省略する。このように補間信号を前フィールドのみから作成する方法を片側補間と呼ぶ。
【0027】
この片側補間でも原理的に動き補償可能であるが、補間の時間周波数に関する遮断特性がやや不十分であるため、特性を改善したい場合には、図6(b)に示すような補間信号を前後フィールドから作成する両側補間が利用される。図6(b)は特願平4−283120号明細書に添付の図7から、動き補償に関する部分を抜き出して簡略化したものである。図6(b)の動作は図6(a)と同様であり、特願平4−283120号明細書にも記載されているのでその説明は省略する。図6(a),(b)の回路の時間周波数fに関する遮断特性を図6(c)に示す。
【0028】
さて、両側補間を用いる場合、従来の動きベクトル検出法ではある種の画像において図7に示すような画質的問題を生じる。図は横軸が時間方向(フィールド)、縦軸が走査線方向を表している。図は黒い背景の前を白い物体が上に移動するという単純な画像である。動きの垂直方向の速度は例として、Vy =2(フレーム内走査線数/フィールド)である。図において小ブロックBsaとBsbの境界が一点鎖線の位置にあるとする。インタレース信号の場合、動きベクトル検出はフレーム間差分により検出されるから、図ではt=0(現フィールド)の信号とt=−2の信号から検出されることになる。すると、BSaには画像の動き部分は全く含まれないので、ここではベクトルとしてVx =Vy =0が検出される。しかし、このベクトルにより両側補間を行うと、図のRの位置には白と黒の平均値の補間信号が作成されてしまう。これは明らかに偽信号であって、実際の画像においても画質妨害として検出される。特に画像の動きが速い場合は画像から離れた位置に偽信号を生じるのでかなり目立つ。
【0029】
しかし、大ブロックを図5のように設定した場合は、図7におけるBSaとBSbに対応する大ブロックBLa,Lbの領域が図に示すようにオーバーラップしているので、BLaにおいても白い物体の動きが正しく検出される。従ってそのベクトルを使用すると、偽信号を含まない良好な動き補償画像が得られる。
【0030】
次に、本発明による動きベクトル検出方法を実施する他の装置の構成を図8に示す。図8の回路と図1の相違点は、切換器3の制御信号KS として、回路7の出力信号Kerと後に述べるORゲート23の出力信号KP の論理積をANDゲート21により作成し使用していることである。
【0031】
図8の回路は、検出したベクトルを前述の特願平4−283120号および特願平4−286154号の各明細書に説明されているようなインタレース画像信号のフィールド間動き補償に使用することを前提としている。この場合、特願平4−283120号明細書に述べられているように、ベクトルの垂直方向成分Vy が奇数(フレーム内走査線数/フィールド)の場合、画質的に効果の大きい動き補償ができない。この性質に適合し、画像内容に適応してより効果の高い動きベクトルを検出する方法として前述の特願平6−303805号明細書に記載の発明がある。これはベクトルを検出しているブロック内の画像の斜め方向性を考慮した方法である。詳細な説明は省略するが、この発明によれば、斜め方向性が顕著な場合は検出ベクトルの候補をVy が偶数のものに限定することにより、より有効性の高いベクトルが検出可能である。
【0032】
以上の性質を本発明に照らし合わせて考える。考えるべき状況はVSy,Lyの偶奇に関して4種類あり、各状況に対するベクトルの選択判断は以下の表1のようにすべきである。
【0033】
【表1】
Figure 0003576618
【0034】
Ly,Syともに奇数、またはともに偶数の場合は偶奇による特殊事情はないので、Kerに従ってベクトルを選択すればよい。しかし、VSyが偶数でVLyが奇数の場合は、VL を選択しても動き補償において効果の高いベクトルを期待できないので、VL の選択を禁止することが必要である。VSyが奇数でVLyが偶数の場合には、逆にVS の選択を禁止してしまうと小さい画像の動きに全く対応できないので、やはりKerに従った選択が必要である。
【0035】
表1の動作を実現しているのが図8の回路である。画像方向性検出回路22としては、前述の特願平6−303805号明細書の添付図面に示されている回路をそのまま用いることができる。その出力KObは、小ブロック内の画像の右斜め成分の量と左斜め成分の量に大きな違いがなく、従って顕著な斜め方向性がない場合に“1”となる。また、VLy,Syは整数(フレーム内走査線数/フィールド)単位で検出されるものとすると、VLy,Syを2値ディジタル信号で表現した場合、これらの値が偶数であるか奇数であるかはその最下位ビット(LSB)に現れる。LSBが“1”の場合は奇数、“0”の場合は偶数である。そこで、VLyのLSBをインバータ24で反転した信号とVSyのLSB、KObの論理和をOR回路23で求めることにより、Kerに従ってベクトルを選択してよいか否かを表す信号Kp を作成している。Kp “0”であれば常にVS が選択される。
【0036】
以上の動作により図8の回路は、インタレース画像信号のフィールド間動き補償に用いた場合に高画質な動き補償を実現できる動きベクトルを検出できる。
【0037】
本発明はここに示した実施例以外の構成でも実現できる。特に、図1、8の回路1,2は図3の回路以外の方法、回路でも実現できる。例えば、勾配法による動きベクトル検出回路なども利用できる。また、回路1として特願平6−303805号明細書の添付図面に示されている動きベクトル検出回路全体を用いてもよい。さらに、ブロック領域の設定も、図4,5の例以外にも、本発明に基づく様々な設定仕様が考えられる。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、同じ画像部分に対して通常の小さなブロックサイズと、より大きなブロックサイズを用いて各々動きベクトルを検出し、それらの検出ベクトルを適応的に選択することにより、より広範な画像に対して正確な動きベクトルの検出が可能となる。また、本発明を例えば動き補償型順次走査変換など、インタレース走査画像信号に対してフィールド間動き補償を行う画像処理に利用した場合、画像処理の画質改善を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による動きベクトル検出装置の一例を示す構成図である。
【図2】図1の動きベクトル検出装置におけるしきい値発生回路の特性を示す図である。
【図3】ブロックマッチング法による動きベクトル検出回路の構成例を示す図である。
【図4】本発明に適用する画像ブロックの構成例を示す図である。
【図5】本発明に適用する画像ブロックの他の構成例を示す図である。
【図6】動き補償型順次走査変換装置の構成例(a),(b)とそれらの特性例(c)を示す図である。
【図7】図6に図示した回路の動作例を示す図である。
【図8】本発明による動きベクトル検出装置の他の例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 小ブロック動きベクトル検出回路
2 大ブロック動きベクトル検出回路
3 切換器
4,17 除算器
5 しきい値発生回路
6 比較器
7 誤差比較回路
11 遅延回路
12 候補ベクトル設定回路
13 減算器
14 ブロック領域設定回路
15 差分累積器
16 最小値検出回路
21 AND回路
22 画像方向性検出回路
23 OR回路
24 反転回路
31,33 動き補償メモリ
32 時間軸変換回路
34 加算器
35 1/2 係数器

Claims (5)

  1. テレビジョン画像信号から、同一画像部分に対して比較的小さな小ブロック毎の画像の動きベクトルを、小ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された小ブロック動きベクトルの誤差を検出し、前記同一画像に対して、前記小ブロックを含み、該小ブロックより大きなサイズの画像ブロック毎の画像の動きベクトルを、大ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された大ブロック動きベクトルの誤差も検出し、該大ブロック動きベクトルの検出誤差の値が前記小ブロック動きベクトルの検出誤差よりも小さなときは大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力する動きベクトルの検出方法において、前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に比例して増加するしきい値を発生させ、前記大ブロック動きベクトルの検出誤差に対する前記小ブロック動きベクトルの検出誤差の比を求め、該比と前記しきい値とを比較するとともに、前記比が前記しきい値より大きい場合には大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力することを特徴とする動きベクトル検出方法。
  2. 請求項1記載の方法において、前記比が前記しきい値より大きく、かつ、大ブロック動きベクトルの垂直方向成分(単位:フレーム内走査線数/フィールド)が偶数か、小ブロック動きベクトルの垂直方向成分(単位:フレーム内走査線数/フィールド)が奇数か、前記小ブロック内の画像の右斜め成分の量と左斜め成分の量におおきな違いがないか、のいずれかに該当する場合には大ブロック動きベクトルを選択し、そうでない時は小ブロック動きベクトルを選択して出力することを特徴とする動きベクトル検出方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記大ブロックを各前記小ブロックの上下左右ともに伸張した領域に設定し、各小ブロックに対して各々大ブロックの動きベクトルを検出することを特徴とする動きベクトル検出方法。
  4. テレビジョン画像信号から、同一画像部分に対して比較的小さな小ブロック毎の画像の動きベクトルを、小ブロック動きベクトルとして検出するするとともに、該検出された小ブロック動きベクトルの誤差を検出する手段と、
    前記同一画像部分に対して、前記小ブロックを含み、該小ブロックより大きなサイズの画像ブロック毎の画像の動きベクトルを、大ブロック動きベクトルとして検出するとともに、該検出された大ブロック動きベクトルの誤差も検出する手段と、
    前記小ブロック動きベクトルと前記大ブロック動きベクトルとが供給され、それら供給された各動きベクトルのうちのいずれか一方を択一的に選択して出力する切換器と、
    前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に応じて、その値が前記小ブロックの動きベクトル検出誤差よりも小さなときは前記切換器が大ブロック動きベクトルを選択して出力し、そうでない時は前記切換器が小ブロック動きベクトルを選択して出力するように前記切換器に切換制御信号を供給する誤差比較回路と、
    を具えている動きベクトル検出装置において、前記誤差比較回路が、
    前記大ブロック動きベクトルの検出誤差の値に比例して変化するしきい値を発生するしきい値発生回路、
    前記大ブロック動きベクトルの検出誤差に対する前記小ブロック動きベクトルの検出誤差の比を求める回路、および
    前記比と前記しきい値とを比較し、前記比の値が前記しきい値より大きい場合には前記切換器が大ブロック動きベクトルを選択して出力し、そうでない時は前記切換器が小ブロック動きベクトルを選択して出力するような切換制御信号を出力する比較器
    を具えてなることを特徴とする動きベクトル検出装置。
  5. 請求項4に記載の装置において、前記大ブロックを各前記小ブロックの上下左右ともに伸張した領域に設定し、各小ブロックに対して各々大ブロックの動きベクトルを検出するように構成したことを特徴とする動きベクトル検出装置。
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