JP3892752B2 - 電気二重層キャパシタの充電装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繰り返し使用可能な蓄電装置として用いられる電気二重層キャパシタの充電装置、特に直列または直並列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層キャパシタは、繰り返し使用される蓄電装置として用いられている。電気二重層キャパシタは、大電流による急速充放電が可能で、長寿命という特徴を有している反面、1個あたりの定格電圧が低いため、通常は複数のキャパシタを直列に接続して使用することが多い。そして、電気二重層キャパシタは、定格電圧いっぱいまで充電することにより効率よく使用できるが、定格電圧を超えて充電してしまうと急速に劣化してしまう特徴を有している。そこで、直列に接続された複数の電気二重層キャパシタを同時に充電する場合は、各々のキャパシタを定格電圧いっぱいまで均等に充電したいが、実際は各々のキャパシタの容量のばらつきにより、定格電圧まで充電するのに必要な時間が各々のキャパシタで異なってくる。そこで、定格電圧を超えないように各々のキャパシタの充電電圧を監視しながら充電を行う必要がある。
【0003】
従来における直列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する装置の一例としては、1つの充電用電源を用いて直列に接続された複数のキャパシタを同時に充電する。その場合に各々のキャパシタの充電電圧を監視し、キャパシタの充電電圧が定格電圧を超えないように充電用電源からキャパシタに流れる電流を制御している。さらに、各々のキャパシタと並列にバランス抵抗を設け、このバランス抵抗に電流を流すことで、各々のキャパシタの容量のばらつきに起因する充電電圧のばらつきを抑えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、各々のキャパシタと並列にバランス抵抗が設けられている従来の装置においては、充電用電源からの電力は、キャパシタの電気エネルギーとして蓄えられる他に、バランス抵抗で消費されてしまう。特に、電気二重層キャパシタにおいては、大電流を扱うために、バランス抵抗で消費される電力が大きくなるので、充電効率が悪化してしまい、また、放電時はバランス抵抗を切り離さないと自己放電してしまうため、充電が不便であるという課題があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、直列または直並列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する際に、バランス抵抗なしで均等電圧充電を行うことのできる電気二重層キャパシタの充電装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、第1の本発明に係る電気二重層キャパシタの充電装置は、直列または直並列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する装置であって、パルス信号を出力するパルス電源と、各電気二重層キャパシタごとに設けられた複数の直流再生回路と、を備え、前記直流再生回路の各々は、前記パルス電源からの共通のパルス信号が入力され、該パルス信号を直流再生してダイオードを通して直流電流を電気二重層キャパシタの各々へ流すことで、電気二重層キャパシタの各々の充電電圧を該パルス信号の両振幅電圧に収束させるよう電気二重層キャパシタの各々を充電することを特徴とする。
【0007】
このように、直流再生回路の各々は、パルス電源からの共通のパルス信号を直流再生してダイオードを通して直流電流を電気二重層キャパシタの各々へ流すことにより、複数の電気二重層キャパシタの充電電圧が均等になるように収束させることができ、電気二重層キャパシタの容量のばらつきに起因する充電電圧のばらつきを抑えることができる。したがって、直列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する際に、バランス抵抗なしで電気二重層キャパシタの各々の電圧が均等になるように充電することができ、充電効率を改善できる。
【0008】
第2の本発明に係る電気二重層キャパシタの充電装置は、第1の本発明に記載の装置であって、電気二重層キャパシタ全体の充電を行うための直流電源をさらに備えることを特徴とする。
【0009】
このように、電気二重層キャパシタ全体を充電するための直流電源をさらに備えることにより、パルス電源は小容量のものとすることができる。さらに、電気二重層キャパシタを定格電圧まで均等充電するのに要する時間を短縮することができる。
【0010】
第3の本発明に係る電気二重層キャパシタの充電装置は、第2の本発明に記載の装置であって、前記パルス電源は、入出力間にスイッチ素子を有しており、前記直流電源からの直流信号が入力され、該直流信号に対して信号レベル調整及び該スイッチ素子のスイッチング動作を行ってパルス信号に変換して出力することを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタの充電装置の構成を示すブロック図である。本実施形態の充電装置は大きく分けて直流電源26、パルス電源12及び各電気二重層キャパシタ10−1〜10−n(nは自然数)ごとに設けられた複数の直流再生回路14−1〜14−nによって構成されている。なお、図示はしていないが、電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの両端には、負荷が接続される。
【0013】
直列に接続された複数の電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの両端に直流電源26の出力が接続されている。直流電源26は例えばDC−DCコンバータが用いられ、直流電圧が入力されている。電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの各々の正側端子50−1〜50−nには、それに対応した直流再生回路14−1〜14−nの各々の出力端子46−1〜46−nがそれぞれ接続されている。直流再生回路14−1〜14−nの入力端子42−1〜42−nにはいずれもパルス電源12の出力端子38が共通して接続されている。電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの各々の両端には電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの各々の充電電圧を検出する電圧検出手段80−1〜80−nがそれぞれ設けられており、電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの両端には電気二重層キャパシタ10−1〜10−n全体の充電電圧を検出する全体電圧検出手段16がさらに設けられている。直流電源26と電気二重層キャパシタ10−1との間の線路には電流検出用抵抗20が設けられており、その両端子が電流制御回路22に入力される。電流制御回路22は、全体電圧検出手段16の電圧検出値が所定値より小さく、かつ電圧検出手段80−1〜80−nのすべての電圧検出値が設定値より小さい場合は、電流検出用抵抗20による電流検出値に基づいて直流電源26から電気二重層キャパシタ10−1〜10−nへ流れる電流が一定値になるように制御する。一方、全体電圧検出手段16の電圧検出値が所定値に達した場合、あるいは電圧検出手段80−1〜80−nの電圧検出値のいずれかが設定値に達した場合は、直流電源26内のスイッチ70を非導通にして直流電源26から電気二重層キャパシタ10−1〜10−nへの電力の供給を停止する。ここで、電圧検出手段80−1〜80−nの電圧検出値のいずれかが設定値に達すると、OR回路90へ電圧を出力することでスイッチ70が非導通となる。また、所定値は例えば(定格電圧×キャパシタの数)以下の近傍値に設定され、近傍値については電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの容量のばらつきを考慮して設定される。そして、設定値は電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの特性によって決められる最高印加電圧である。
【0014】
次に、図1におけるパルス電源12の構成の一例について説明する。パルス電源12は、補助直流電源36、スイッチ素子28,30及びスイッチ制御回路24を備えている。補助直流電源36は例えばDC−DCコンバータが用いられ、直流電源26からの直流電圧が入力されている。スイッチ素子28は、補助直流電源36の出力とパルス電源12の出力端子38との間の線路に設けられ、その間の導通/非導通を切り換える。スイッチ素子30は、パルス電源12の出力端子38,40の両端子間を接続する線路に設けられ、その間の導通/非導通を切り換える。スイッチ素子28及びスイッチ素子30としては、例えばpMOSFET及びnMOSFETがそれぞれ用いられ、スイッチ制御回路24からの制御電圧がそのゲート端子に入力され、スイッチ素子28が導通の時はスイッチ素子30は非導通となり、スイッチ素子28が非導通の時はスイッチ素子30は導通となる。また、パルス電源12の出力端子40は電気二重層キャパシタ10−nの負側端子52−nと接続されている。
【0015】
次に、図1における直流再生回路14−m(mは1〜nのいずれか)の構成の一例について説明する。入力端子42−mと出力端子46−mとの間の線路にコンデンサ54−mが設けられている。そして、コンデンサ54−mと出力端子46−mとの間の線路にダイオード56−mが設けられ、そのアノード側がコンデンサ54−mと接続され、そのカソード側が出力端子46−mと接続されている。コンデンサ54−m〜ダイオード56−m間の線路と、電気二重層キャパシタ10−mの負側端子52−mとを接続する線路にダイオード60−mが設けられ、そのアノード側が負側端子52−mと接続され、そのカソード側がコンデンサ54−m〜ダイオード56−m間の線路と接続されている。
【0016】
次に、本実施形態における充電動作について説明する。直流電源26から電気二重層キャパシタ10−1〜10−nへ電流が流れ充電が行われる。電流制御回路22は、直流電源26から電気二重層キャパシタ10−1〜10−nへ流す電流を制御する。
【0017】
一方、パルス電源12においては、補助直流電源36の設定出力電圧が電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの定格電圧値に設定される。そして、スイッチ制御回路24はスイッチ素子28,30への制御電圧の入力のオンオフを繰り返すことでスイッチ素子28,30の導通/非導通を交互に切り換える。具体的には、正値の制御電圧がスイッチ素子28,30へ供給されている場合はスイッチ素子28は非導通かつスイッチ素子30は導通となり、制御電圧がスイッチ素子28,30へ供給されていない0Vに近い場合はスイッチ素子28は導通かつスイッチ素子30は非導通となる。以上の動作により、パルス電源12からは両振幅が定格電圧となる矩形波(パルス信号)が出力される。この矩形波の出力は、直流電源26による充電と並行して行われ、出力された矩形波は直流再生回路14−1〜14−nに入力される。
【0018】
直流再生回路14−mにおいては、パルス電源12からの矩形波が入力端子42−mに入力される。この矩形波はコンデンサ54−mを通過してダイオード60−mによって直流再生が行われる。このとき、電気二重層キャパシタ10−mの正側端子50−mの電位がダイオード60−mのカソード電位より矩形波の両振幅電圧分だけ高い電位となるように、ダイオード56−mを通って電気二重層キャパシタ10−mへ電流が流れることで充電が行われる。ダイオード60−mのアノード側は電気二重層キャパシタ10−mの負側端子52−mと接続されているので、電気二重層キャパシタ10−mの充電電圧は矩形波の両振幅電圧すなわち定格電圧に収束するように作用する。この作用はすべての電気二重層キャパシタ10−1〜10−nについて並行して働く。
【0019】
上記のようにして直流電源26及び直流再生回路14−1〜14−nにより電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの充電を行うが、全体電圧検出手段16の検出値が(定格電圧×キャパシタの数)以下の近傍値に達した場合、あるいは電圧検出手段80−1〜80−nの電圧検出値のいずれかが設定値に達した場合は、直流電源26内のスイッチ70を非導通にして直流電源26による充電を中止して直流再生回路14−1〜14−nのみによる充電に切り換える。そして、すべての電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの充電電圧が定格電圧に達するまで定電圧充電を行う。
【0020】
本実施形態においては、パルス電源12からの共通の矩形波を直流再生回路14−1〜14−nに入力し、この矩形波を直流再生回路14−1〜14−nによって直流再生して電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの充電をそれぞれ行っている。ここで、電気二重層キャパシタ10−1〜10−nは容量にばらつきを持つため、直流電源26だけで充電を行うと充電電圧にばらつきが発生してしまう。しかし本実施形態では、直流再生回路14−mが電気二重層キャパシタ10−mの充電電圧を矩形波の両振幅電圧に収束させるように作用し、この矩形波は直流再生回路14−1〜14−nへ共通して入力されるため、すべての電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの充電電圧を均一の矩形波の両振幅電圧に収束させようと作用する。そして、矩形波の両振幅電圧を定格電圧とすることにより、すべての電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの充電電圧を定格電圧に収束させることができる。したがって、バランス抵抗なしで電気二重層キャパシタ10−1〜10−nの容量のばらつきに起因する充電電圧のばらつきを抑えて均等に充電することができる。また、直流電源26から電気二重層キャパシタ10−1〜10−nへ流す電流値を大きくすることで、補助直流電源36は小容量のものを用いることができ、かつ定格電圧まで均等充電するのに要する時間を短縮することができる。
【0021】
図2に本実施形態の充電装置による充電動作のシミュレーション結果を示す。ただし、本シミュレーションにおいては、直列に接続された電気二重層キャパシタの数を6としており、電気二重層キャパシタの定格電圧を2.3Vとしている。図2は、負側端子52−n(本シミュレーションではn=6)の電位を基準とした電気二重層キャパシタ10−mの正側端子50−mの電位の時間変化を示している。図2に示すように、隣り合う電気二重層キャパシタの正側端子の電位差が2.3Vに収束している。すなわち、すべての電気二重層キャパシタの充電電圧が定格電圧に収束している。このように本実施形態の充電装置においては、すべての電気二重層キャパシタを均等に定格電圧まで充電することができる。
【0022】
なお、本実施形態においては、上記の記載の内容に限定されるものではなく、本発明の技術思想が反映される範囲内で様々な変形が可能である。例えば、充電開始時から直流電源26及び直流再生回路14−1〜14−nの両方を用いて充電を行わなくてもよく、初めは直流電源26だけで充電を行い充電途中から直流再生回路14−1〜14−nによる充電を開始してもよい。そして、矩形波の両振幅電圧値は定格電圧値一定でなくてもよく、全体電圧検出手段16の検出値に応じて振幅を変化させ最終的に定格電圧に設定して充電を行ってもよい。また、直流電源26及び補助直流電源36の構成としてはDC−DCコンバータに限るものではなく、直流電圧を出力できれば何でもよい。そして、直流電源26による充電方法は定電流充電に限るものではない。さらに、直流電源26なしで直流再生回路14−1〜14−nのみを用いて充電を行ってもよい。また、本発明は、直列に接続された電気二重層キャパシタを充電する場合だけでなく、直並列に接続された電気二重層キャパシタを充電する場合でも適用可能である。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、直流再生回路の各々は、パルス電源からの共通のパルス信号が入力され、パルス信号を直流再生してダイオードを通して直流電流を電気二重層キャパシタの各々へ流すことにより、直列または直並列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する際に、バランス抵抗なしで電気二重層キャパシタの容量のばらつきに起因する充電電圧のばらつきを抑え均等に充電することができる。したがって、充電効率を改善でき、かつ電気二重層キャパシタの劣化を招くことなく正確に充電できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る電気二重層キャパシタの充電装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施形態における充電動作のシミュレーション結果を示す図である。
【符号の説明】
10−1〜10−n 電気二重層キャパシタ、12 パルス電源、14−1〜14−n 直流再生回路、16 全体電圧検出手段、20 電流検出用抵抗、22 電流制御回路、26 直流電源、80−1〜80−n 電圧検出手段。

Claims (3)

  1. 直列または直並列に接続された複数の電気二重層キャパシタを充電する装置であって、
    パルス信号を出力するパルス電源と、
    各電気二重層キャパシタごとに設けられた複数の直流再生回路と、
    を備え、
    前記直流再生回路の各々は、前記パルス電源からの共通のパルス信号が入力され、該パルス信号を直流再生してダイオードを通して直流電流を電気二重層キャパシタの各々へ流すことで、電気二重層キャパシタの各々の充電電圧を該パルス信号の両振幅電圧に収束させるよう電気二重層キャパシタの各々を充電することを特徴とする電気二重層キャパシタの充電装置。
  2. 請求項1に記載の電気二重層キャパシタの充電装置であって、
    電気二重層キャパシタ全体の充電を行うための直流電源をさらに備えることを特徴とする電気二重層キャパシタの充電装置。
  3. 請求項2に記載の電気二重層キャパシタの充電装置であって、
    前記パルス電源は、入出力間にスイッチ素子を有しており、前記直流電源からの直流信号が入力され、該直流信号に対して信号レベル調整及び該スイッチ素子のスイッチング動作を行ってパルス信号に変換して出力することを特徴とする電気二重層キャパシタの充電装置。
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