JP3891431B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特に液晶表示素子を温める加熱部材を有する液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の液晶表示装置としては、周囲温度が低く液晶表示素子の温度も低い場合に液晶の粘性係数が高く応答性が低下するため、ガラス板にITO(indium tin oxide)に蒸着されてなる透光性のシートヒータ(加熱部材)で前記液晶表示素子を温めて所望の応答性が得られるように液晶表示素子の温度を制御するものが知られている。これらは特許文献1及び特許文献2に開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−337313号公報
【特許文献2】
特開2002−202523号公報
【0004】
かかる液晶表示装置の前記シートヒータの制御方法としては、前記液晶表示素子の温度を検出するサーミスタからなる温度検出手段を前記液晶表示素子に配設し、前記温度検出手段からの温度情報をマイクロコンピュータからなる制御手段に入力し、前記温度情報に基づいて前記ヒータのオン/オフ制御を行って前記液晶表示素子の温度を管理し、低温時の前記液晶表示素子の応答性を良好に確保するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記温度検出手段は、前記液晶表示素子の非表示領域、例えば一対のガラスパネルにおける一方のガラスパネルの前記非表示領域である端部に設けるものである。前記ガラス板が用いられる前記シートヒータは、中央部分が暖まりやすく端部が暖まりにくいといった特性を有しており(ガラス材は、熱伝導度が低く、また端部は放熱しやすいため)、このシートヒータにより温められる前記液晶表示素子においても表示領域である中央部分が暖まりやすく、端部が暖まりにくくなる。従って、前記液晶表示素子の前記表示領域の温度と、前記温度検出手段が配設されている前記液晶表示素子の端部の温度とでは温度差が生じることになり、正確な前記シートヒータの温度制御が出来ないばかりでなく、特に0℃以下の低温時において、前記液晶表示素子が応答性良く駆動するための温度に達するに時間を要してしまい、前記液晶表示素子の応答性に改善の余地があった。
【0006】
そこで本発明は、前述した問題点に着目し、加熱手段を備えた液晶表示装置において、低温時であっても液晶表示素子が応答性良く動作することが可能な温度に短時間で達するように前記加熱手段を制御可能とする液晶表示装置を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するため、請求項1に記載したように、液晶表示素子と、前記液晶表示素子を温める加熱部材とを備える液晶表示装置であって、前記液晶表示素子に設けられ前記液晶表示素子の温度を検出するための第1の温度検出手段と、前記第1の温度検出手段とは異なる個所に配設され前記液晶表示素子を取り巻く周囲温度を検出するための第2の温度検出手段と、前記液晶表示素子を取り巻く周囲温度に応じて前記加熱手段をオン/オフさせる複数段階の閾値を記憶した記憶手段を有し、前記第2の温度検出手段からの第2の温度情報に基づいて、この複数段階の閾値を切り換える閾値切換制御を行うとともに、前記第1の温度検出手段からの第1の温度情報に基づいて、各閾値における前記加熱手段のオン/オフ制御を行う制御手段と、を備えてなるものである。
【0009】
また、本発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記第1の温度検出手段は前記液晶表示素子の非表示領域に設けられてなるものである。
【0010】
また、本発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶表示素子及び前記加熱部材を配設するケース体を備え、前記第2の温度検出手段は前記ケース体内に収納されてなるものである。
【0011】
また、本発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記液晶表示素子は、第1の液晶セルと第2の液晶セルとを有し、前記第1の液晶セルと前記第2の液晶セルとの間に前記加熱部材を配設してなるものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。図1から図4は液晶表示装置を示すものである。
【0013】
1は液晶表示素子であり、この液晶表示素子1は、第1の液晶セル2,第2の液晶セル3及び偏光板4,5からなるものである。偏光板4は、第1の液晶セル2の前面に貼着されており、偏光板5は、第2の液晶セル3の後面に貼着されている。
【0014】
第1の液晶セル2は、透明な電極が形成された一対の透光性基板2a,2bに、液晶を封入したものである。第1の液晶セル2は、STN(超ねじれネマチック)型と称されるものであり、この液晶表示素子1は多数の画素が行列状に配列された矩形の表示領域を有している。
【0015】
第2の液晶セル3は、一対の透光性基板3a,3bに液晶を封入したものであり、第1の液晶セル2の後側に配設されている。第2の液晶セル3は、液晶表示素子1の表示色調を調整する干渉セルである。
【0016】
偏光板4,5は、少なくとも表示領域よりも大きければ良いが、光漏れを防ぐために,第1の液晶セル2の前面、あるいは第2の液晶セル3の後面と略同じ大きさであることが望ましい。
【0017】
6はFPC(可撓性配線板)であり、一端が液晶表示素子1の第1の液晶セル2に異方性導電膜を介して電気的に接続され、また他端が後述する硬質回路基板に半田等の接続部材を介して電気的に接続されている。また、FPC6の第1の液晶セル2との接続個所の近傍には、液晶表示素子1の温度を検出するためのサーミスタからなる第1の温度センサ(第1の温度検出手段)7が実装されている。
【0018】
12は硬質配線板であり、この硬質配線板12には液晶表示素子1を駆動する駆動回路8と、後述するシートヒータを駆動するヒータ回路9と、駆動回路8及びヒータ回路9を制御するマイコン(マイクロコンピュータ)からなる制御手段10と、液晶表示素子1が配設される周囲温度を検出するサーミスタからなる第2の温度センサ(第2の温度検出手段)11と、液晶表示素子1を後方から照明する発光ダイオードDとが配設されている。
【0019】
13は光拡散板であり、この光拡散板13は液晶表示素子1と発光ダイオードDとの間に配設されている。14はケース体であり、このケース体14に液晶表示素子1,FPC6,硬質配線板7が配設される。ケース体14には開口部14aが設けられており、この開口部14aは第1の液晶セル2の表示領域よりも若干大きい矩形となっている。
【0020】
15はシートヒータ(加熱部材)であり、このシートヒータ15は、第1の液晶セル2と第2の液晶セル3の間に配設されている。シートヒータ15は、ガラス材料からなる透光性のシート板15aの全面にITOからなる透光性導体15bを蒸着により形成してなるものである(図2参照)。シートヒータ15は、液晶表示素子1の表示領域よりも大きめに形成されており、その両端には、ヒータ回路9からの給電を受けるための一対のFPC15cが異方性導電膜を介して電気的に接続されている。またシートヒータ15は、第1の液晶セル2の後面に粘着テープで貼着されている。
【0021】
次に、図3を用いて、シートヒータ15を制御するための電気的構成を説明する。10は、制御手段であり、この制御手段10は、第1,第2の温度センサ7,11からの各電圧値(温度情報)をデジタル信号に変換するA/D変換部10aと、液晶表示素子1を駆動させるための制御プログラム及び後で詳述するシートヒータ15の制御プログラム等を記憶したROM10bと、演算結果あるいは設定値等を一時的に記憶するRAM10cと、前記制御プログラムを実行するCPU10dと、シートヒータ15の制御プログラムにおいて、後述する閾値データを少なくとも記憶したEEPROM10eとを少なくとも有し、前記各部はバスにより接続されている。制御手段10は、液晶表示装置が例えば車両に搭載される場合において、車両の走行情報(エンジン回転数,車速,水温及び残燃料等)をCPU10dに入力し、所定の演算処理によって各種車両情報を求め、駆動回路8を介して液晶表示素子1を駆動させるとともに、シートヒータ15を制御して液晶表示素子1を最適駆動温度にする。
【0022】
次に、図4を用いて制御手段10のシートヒータ15の制御方法について説明する。尚、本実施形態において、液晶表示素子1が駆動するに最適な温度が40℃であるものとして説明する。
【0023】
制御手段10は、システムの電源(例えば、液晶表示装置が車両に搭載される場合は、イグニッションスイッチがON)が投入されてから、第2の温度センサ11からの出力電圧(第2の温度情報)を入力し(ステップS1)、この入力した出力電圧に基づいて周囲温度データ(以下、周囲温度という)S2を所定の演算処理より求める(ステップS2)。
【0024】
そして、制御手段10は、周囲温度S2を求めると、液晶表示素子1が配設されるケース14内の温度(液晶表示素子1を取り巻く温度)S2が次ステップ以降の何れの温度条件(ステップ)に該当するかを選定する(ステップS3〜S6)。尚、ステップS3では、周囲温度S2<−20℃の判定が行われ、ステップS4では、−20℃≦周囲温度S2<0℃の判定が行われ、ステップS5では、0℃≦周囲温度S2<20℃の判定が行われ、ステップS6では、20℃≦周囲温度S2<40℃の判定が行われる。
【0025】
次に、制御手段10は、ステップS3からステップS6の何れかのステップを選定すると、選定したステップにおける閾値データPn(P1,P2,P3,P4)をEEPROM10eから読み出して、第1の温度センサ7による液晶表示素子1の温度データ(以下、パネル温度という)S1の閾値設定を行う(ステップS7)。尚、閾値データPnは、各温度範囲におけるシートヒータ15のON/OFF(加熱/非加熱)するための条件となる。
【0026】
制御手段10は、液晶表示素子1に配設される第1の温度センサ7からの出力電圧(第1の温度情報)を入力し(ステップS8)、この入力した出力電圧に基づいて液晶表示素子1のパネル温度S1を所定の演算処理により求める(ステップS9)。
【0027】
次に、制御手段10は、ステップS7により設定された閾値データPnとステップS9により求められたパネル温度S1とを比較し(ステップS10)、パネル温度S1が選定された閾値データPnより小さい場合、パネル温度S1を上昇させるべくヒータ回路9を介してシートヒータ15に給電を許可して液晶表示素子1を加熱するとともに(ステップS11)、パネル温度S1が選定された閾値データPn以上である場合に、シートヒータ15の給電を中止する(ステップS12)。
【0028】
前述した処理を繰り返すことによって、シートヒータ15がオン/オフされることになり、液晶表示素子1が加熱されパネル温度S1が徐々に上昇することになるが、後にパネル温度S1とともに周囲温度S2が40℃以上になった場合、制御手段10は、制御手段10はステップS13に移行し、低温時におけるシートヒータ15の制御を中止すべく、シートヒータ15への給電を中止する。
【0029】
尚、周囲温度S2における閾値判定において、液晶表示素子1の駆動最適温度への到達時間は、液晶表示素子が配設される環境,ケース体の収納状態、液晶表示素子1の表示領域の大きさ,液晶表示素子1の種類あるいはシートヒータ15の種類等でそれぞれ異なることものであり、段階的に設定される第2の温度センサ11の各温度範囲(ステップS3〜S6)は、液晶表示素子1の使用環境によって適宜変更することが望ましい。
【0030】
本発明は、周囲の温度が0℃以下の低い温度である場合に、液晶表示素子1の表示領域の温度と第1の温度センサ7で検出する温度S1との差が大きく、また周囲の温度が高くなるに連れて、液晶表示素子1の表示領域の温度と第1の温度センサ7で検出する温度S1との差が小さくなることに着目しなされたもので、液晶表示装置は、液晶表示素子1のパネル温度S1と、液晶表示素子1が配設されている周囲温度S2とをそれぞれ検出する第1,第2の温度センサ7,11を備え、周囲温度S2に応じて徐々に大きくなるパネル温度S1の閾値(シートヒータ15のオン/オフ条件)を設定し、周囲温度S2に応じて閾値を順次切り換えて、第1の温度センサ7により検出されるパネル温度S1に応じてシートヒータ15のオン/オフ制御を行うものである。
【0031】
従って、シートヒータ15のオン時間を長くし、液晶表示素子1を急激に温めて液晶表示素子1を最適駆動温度にするといった制御を行うと、シートヒータ15のオーバーシュート分における余剰加熱により、液晶表示素子1の加熱温度が最適駆動温度よりも高くなり表示コントラストを低下させることになるが、前述のように制御することによって、0℃以下の低温時であっても液晶表示素子1の表示コントラストを低下させることなく、また液晶表示素子1の表示応答性の優れる最適駆動温度に短時間で達するようにシートヒータ15を制御することが可能となる。
【0032】
またシートヒータ15は、液晶表示素子1の第1の液晶セル2と第2の液晶セル3との間に設けられることから、STN型液晶表示素子1において第1の液晶セル2への熱伝達が良好となり、効率的な加熱制御を可能とする。
【0033】
尚、偏光板4,5は耐熱性が低いため、シートヒータ15に接触しないように配設することが望ましい。第2の液晶セル3(干渉セル)を設ける場合は、第1の液晶セル2と第2の液晶セル3の間にシートヒータ15を配置することが望ましく、シートヒータ15を偏光板4,5に接触しないように、且つ、可及的に液晶表示素子1の表示領域の近くに配置することができる。
【0034】
また、本発明の実施の形態では、表示領域を直接視認する液晶表示装置を例に挙げて説明したが、本発明は、液晶表示素子から発せられる表示光をフロントガラスに設けられるコンバイナによって運転者側に反射させて各種情報を表示するヘッドアップディスプレイにおける液晶表示装置に適用しても良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、液晶表示素子を温める加熱手段を有する液晶表示装置に関し、前記液晶表示素子の表示コントラストを低下させることなく、また前記液晶表示素子の表示応答性の優れる温度に短時間で達するように前記加熱手段を制御することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の液晶表示装置を示す断面図。
【図2】同上実施の形態の加熱部材を示す平面図。
【図3】同上実施の形態の液晶表示装置を示すブロック図。
【図4】同上実施の形態の制御手段の制御方法を示す図。
【符号の説明】
1 液晶表示素子
2 第1液晶セル
3 第2の液晶セル
7 第1の温度センサ(第1の温度検出手段)
10 制御手段
10e EEPROM(記憶手段)
11 第2の温度センサ(第2の温度検出手段)
14 ケース体
15 シートヒータ(加熱部材)
Claims (4)
- 液晶表示素子と、前記液晶表示素子を温める加熱部材とを備える液晶表示装置であって、
前記液晶表示素子に設けられ前記液晶表示素子の温度を検出するための第1の温度検出手段と、
前記第1の温度検出手段とは異なる個所に配設され前記液晶表示素子を取り巻く周囲温度を検出するための第2の温度検出手段と、
前記液晶表示素子を取り巻く周囲温度に応じて前記加熱手段をオン/オフさせる複数段階の閾値を記憶した記憶手段を有し、前記第2の温度検出手段からの第2の温度情報に基づいて、この複数段階の閾値を切り換える閾値切換制御を行うとともに、前記第1の温度検出手段からの第1の温度情報に基づいて、各閾値における前記加熱手段のオン/オフ制御を行う制御手段と、
を備えてなることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第1の温度検出手段は前記液晶表示素子の非表示領域に設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶表示素子及び前記加熱部材を配設するケース体を備え、前記第2の温度検出手段は前記ケース体内に収納されてなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記液晶表示素子は、第1の液晶セルと第2の液晶セルとを有し、前記第1の液晶セルと前記第2の液晶セルとの間に前記加熱部材を配設してなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
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