以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態の車両用情報提供装置の構成を説明する。本実施態様の車両用情報提供装置は、車両の乗員が視認している現実の風景に、レストラン、店舗、ホテル等の施設、または、山などを含む対象物(車窓から見えるもの)に関する画像情報を、現実に視認している風景と重畳するバーチャル画像として仮想表示することにより、乗員に対象物の見かけ上の位置を知らせる機能を備えている。さらに、乗員が視認している現実の風景に、設定されたメッセージ、広告等をバーチャル画像として重畳して仮想表示する機能も備えている。
図1は本発明の実施態様の車両用情報提供装置1を含む車両用情報提供システム(バーチャルインリアルシステム)の構成を概略的に示す図面である。図1において、符号1は、車載の車両用情報提供装置を示している。本実施態様では、車両用情報提供装置1は、設定された目的地までの経路誘導等を行う車載の経路誘導装置(ナビゲーション装置)としての機能も備えている。
また、この車両用情報提供システムには、車両用情報提供装置1に対して情報の提供等を行う情報センタ(サーバ)2が設けられている。車両用情報提供装置1、各地域に設置された通信局3を経由して、インターネット4に接続可能であり、地図情報、バーチャル画像(画像情報)に関する情報を含む種々の情報を情報センタ2から受信できるように構成されている。
本実施態様は、グループ走行する複数の車両の車両用情報提供装置1間での共通の情報が提供等されるように構成され、図1では、複数の車両用情報提供装置1がインターネット4を介して接続されている。インターネット4には、乗員の自宅の端末装置(パソコン)6、自社の広告等の配信を希望する企業、店舗等の端末装置(パソコン)8も接続されている。
情報センタ2は、ホストコンピュータ10と、データベース12とを備えている。
図2に示されているように、データベース12には、地図データ14、施設関連データ16、顧客データ18等が含まれる。地図データ12には、道路に関する情報の他、建物の大きさなどの三次元データが含まれている。従って、本実施形態では、この三次元データに基づいて、道路上の各位置から周囲の建物、風景がどのように見えるかを推定することができる。施設関連データ16には、本実施態様で位置情報が提供される「対象物」の位置、名称、特徴等のデータが含まれる。
また、顧客データ18には、情報提供を受ける車両の乗員に関するデータ、この乗員が設定した目的地、経路に関するデータ等が含まれる。顧客データ18は、さらに、この乗員が結んでいる情報配信の契約内容に関する情報配信契約データ20、この乗員が設定したバーチャル画像の形態等に関する仮想表示用データ22等を含んでいる。
データベース12は、さらに、風景に重畳して仮想表示される画像情報を提供するための画像情報提供用データ24を含んでいる。この画像情報提供用データ24は、風景に重畳表示するための対象物のバーチャル画像、先行車両等の経路誘導用のバーチャル画像を含むバーチャル表示用画像データ26、乗員が配信を受諾した広告に関する広告配信用データ28等を含んでいる。
車両用情報提供装置1は、入力されたデータや乗員の操作に基づいて車両を目的地まで経路誘導を行うとともに、予め設定された対象物の見かけ上の位置を車両乗員に知らせるなどの機能を有するCPU30を備えている。
また、車両用情報提供装置1は、地図情報、建物情報、バーチャル画像に関する情報等の各種の情報を情報センタ2からインターネット4を経由して受信し、且つ、種々の情報を車両側から情報センタ2に送信するための送受信装置32を備えている。この送受信装置32は、例えば、自動車電話、携帯電話あるいは専用の無線送受信機によって構成される。また、この送受信装置32は、複数台によるグループ走行時に、グループの他の車両との間で、音声・情報の送受信を行うコミュニケーション手段としても機能する。
車両用情報提供装置1は、更に、情報センタ2から受信した地図情報、バーチャル画像に関する情報を記憶するHDD記憶装置34と、地図情報等の種々の情報を表示するモニタ画面36と、情報センタ2からの地図情報とは別に車両側で独自に準備した地図情報、建物情報を格納するDVD−ROM38、目的地設定、情報センタ2への地図情報リクエスト等を行いための操作スイッチ40と、情報センタ2から情報が受信できないときにその旨を警告する警報装置42を備えている。
車両用情報提供装置1は、さらに、車両の現在位置を検出するGPS受信機44、車速センサ46及びジャイロセンサ48を備えている。GPS受信機44は、衛星から電波を受信して車両の現在位置を検出し、車速センサ46は移動距離を求めるために車両の速度を検出し、ジャイロセンサ48は車両の移動方向すなわち向きを検出する。車両用情報提供装置1は、これらの各センサ46、46、48の検出結果から、車両の現在の位置および向きを正確に算出できるように構成されている。
また、車両用情報提供装置1は、運転者等の乗員の目の位置および視線を検出し、これらに基づいて、この乗員が視認している現実の風景に、所定のバーチャル画像情報を重畳する機能を備えている。このようなバーチャル画像の表示を行うため、車両用情報提供装置1は、アイカメラ50、バーチャル画像表示装置52、及び、CCDカメラ54を備えている。
アイカメラ50は、キャビン内の上部位置(ルームミラーの一部)に取付けられ、乗員の瞳孔等を撮影することにより、乗員の瞳孔の位置、視線の方向、及び、視認物までの距離等を検出することができるように構成されている。ここで、アイカメラには、例えば、EOG法、光電素子式EOG(P−EOG)法、角膜反射法、第1・第4プルキンエ像検出法、コンタクトレンズ法、サーチコイル法、赤外線眼底カメラ法等の種々の技術が適用される。アイカメラ50は、車両中の各乗員の視線を検出することができるのが好ましい。また、アイカメラ50の代えて、車両中の各乗員の視線を検出する他の手段を用いた構成としてもよい。
本実施態様は、CPU30が、アイカメラ50により検出された乗員の瞳孔の位置および車両の現在の位置および向きとに基づいて、地図データを検索し、所定の対象物をこの乗員が視認可能であるかを判定し、視認可能であるときには、この対象物に関するバーチャル画像情報をこの乗員が視認している現実の風景に重畳して仮想表示させるように構成されている。バーチャル画像表示装置52は、このような仮想表示を実行する装置であり、ホログラムなどの方法によって、対象物を差す矢印、対象物の名称等の対象物に関する情報を、乗員のみが視認できるバーチャル画像として、乗員が視認している現実の風景に重畳して表示させる装置である。
また、CCDカメラ54は、車両の上部に車両前方に向けて取付けられ、撮影した画像から、前方を走行する他の車両の有無、交通量(渋滞の有無及び渋滞の程度)、歩行者の有無及び量、車外の明るさ、天候等を検出できるように構成されている。CCDカメラ54による検出結果は、CPU30に送られ、CPU30は、この結果に基づいて、バーチャル画像の表示状態を変更、禁止等する。
車両用情報提供装置1は、さらに、音声対話装置56を備えている。音声対話装置56は、スピーカおよびマイクを備え、乗員に音声情報を提供するとともに、乗員からの音声による指示を受け付ける機能を備えている。
図3は、本実施形態の車両用情報提供装置1が搭載された車両の運転席の周囲を示す図面である。
運転席の近傍のAピラーには、スピーカ58が取付けられており、このスピーカ58により、乗員への音声ガイダンス、通知等が行われる。スピーカ58に隣接してマイク60が配置され、乗員(特に運転者)からの音声による指示を、CPU30に送ることができるように構成されている。
運転席シート62、助手シート64および図示しない他のシートには、乗員検知センサが組み込まれ、シート毎に乗員の有無を検出できるように構成されている。
ダッシュボードには、車両用情報提供装置1のCPU30等が組み込まれた車両用情報提供装置1の本体ユニット66が取付けられている。本体ユニット66の近傍には、車両用情報提供装置1のモニタ画面36が配置されている。本実施態様では、ルームミラー68にアイカメラ50が組み込まれ、各乗員の瞳の位置、視線を検出できるように構成されている。さらに、本実施態様では、インターネット4を介して情報センタ2との間で、情報の授受を行う送受信装置32が運転席と助手席の間に取付けられている。
本実施態様では、ダッシュボードのホログラムを利用したバーチャル画像表示装置52が組み込まれている。図3では、設定された対象物であるガソリンスタンドのバーチャル画像(イラストまたは写真)69と、これを差す矢印、および、この対象物に関する情報(「目的のガソリンスタンドです」)等が、バーチャル画像表示装置52によって、乗員が視認できるように乗員が視認している現実の風景中の対象物の見かけ上の位置にホログラムで、表示されている状態が示されている。
次に、車両用情報提供装置1を含む車両用情報提供システムの動作を説明する。図4は、車両用情報提供システム全体の動作を車両用情報提供装置1で行われる処理を中心に示すフローチャートである。
バーチャル画像による情報提供を受けることを希望する乗員(例えば運転者)であるユーザは、事前に、自宅にパソコン6等から情報センタ2にアクセスすることにより、バーチャルインリアルシステムの情報提供の形態等を特定するイニシャル(初期)設定(ステップS1)を行う。このバーチャルインリアルシステムは、車載端末に無線通信で情報を提供する所謂「テレマティクス」の一態様であり、提供を受ける情報の量等に応じた料金をユーザが情報料として支払う有料のシステムである。尚、ユーザが、住所・氏名等の必要な個人情報の登録を既に行っているものとする。
イニシャル設定では、まず、図5に示されているような視力に関連する検証・登録を行うためのイニシャル設定Iの画面がユーザのパソコン6の画面に表示される。「視力検証及び視認レベル検証」の項を選択することによって、視力・動体視力等を検査するための画面が表示され、この検査用画面によってユーザの視力等が検査され、検査結果がユーザの視力等に関するデータとして情報センタの顧客データ18に記録される。
次いで、「アイポジション登録」の項を選択すると、乗車時に、車載のアイカメラ50から得られた画像に基づいて車両のシートに着座した状態におけるユーザの目の位置が登録されることになる。なお、運転者に関しては、シートの位置およびルームミラーの角度から目の位置を推定する構成でもよい。
次いで、図6に示されているようなイニシャル設定IIの画面がユーザのパソコン6の画面に表示される。このイニシャル設定IIの設定画面では、バーチャル画像の表示を行うか否か、どのような表示方法とするか等が設定される。以下、詳細に説明する。
まず、「仮想物体表示」の項で「ON」または「OFF」のいずれかを選択して、バーチャル画像の表示を行うか否かを設定する。「OFF」の場合には、このシステムが作動しないこととなる。「ON」を選択したときには、「NAVI表示」、「伝言表示」、「広告表示」のそれぞれの項で、「ON」または「OFF」のいずれかを選択することにより、どのようなバーチャル画像の提供を受けるかを決定する。
「NAVI表示」を「ON」としたときには、車両走行中に、特定の対象物を差す矢印、対象物の画像等がバーチャル画像として車窓越しに視認している現実の風景に重畳して仮想表示される「NAVI表示」が所定条件下で実行されることになる。本実施態様では、デフォルトとして、対象物を差す矢印と対象物の名称とが表示されるように構成されている。したがって、例えば、設定された対象物である目的地の富士山が走行中にフロントガラス越しに見えてくると、図7に示されているように、現実の富士山を指す矢印と「目的地の富士山です」という対象物に関する情報(名称)とが、乗員が視認している風景に重畳されて表示される。
また、所定の設定を行うことにより、図8に示されているように、設定された対象物である「ガソリンスタンド」、「レストラン」、「公園」がフロントガラス越しに視認可能な位置に到達すると、これらの対象物の画像(イラスト、写真等)が現実の風景中の「ガソリンスタンド」、「レストラン」、「公園」の見かけ上の位置に、現実の風景に重なるように表示され、さらに、各画像を差す矢印と、各対象物の関する情報「ガソリンスタンド」、「目的地のレストランです。残り13kmです」、「○△公園」が現実の風景に重ねて仮想表示される。対象物の画像を表示するか否か等の表示形態の設定は、以下の項目で行われる。
「伝言表示」を「ON」としたときには、乗員或いは友人によって設定された伝言(メッセージ、落書き)が、車両走行中に所定条件下で、バーチャル画像として視認している現実の風景に重畳して仮想表示される「伝言表示」が実行されることになる。例えば、図9に示されている例では、所定の場所を走行したときに、友人が設定した「元気でね」、「Good Bye」という伝言(メッセージ)が、現実の風景に重ねて仮想表示されている。
また、「広告表示」を「ON」としたときには、車両走行中に、このシステムに広告を提供する契約を行っている企業、店舗からの広告を受信することを受諾したことになり、設定されている広告メッセージが、バーチャル画像として視認している現実の風景に重畳して仮想表示する「広告表示」が所定条件下で実行されることになる。例えば、図10に示されている例では、契約企業が設定した「MAZDA」、「RX−8誕生」という新車発表の広告メッセージが、所定の場所を走行中に現実の風景に重ねて仮想表示されている。
本実施態様では、広告を提供する企業は、バーチャルインリアルシステムの運用者に所定の広告料を支払う。一方、ユーザは、広告の受信を受諾することにより、受諾する広告量等に応じて、バーチャルインリアルシステムの利用料(情報料)の減額処置を受ける。
尚、広告を受信可能とする車両位置、時間、広告の背景等をユーザ側が設定できる構成でもよい。
図6の例では、「NAVI表示」、「伝言表示」、「広告表示」のいずれもが「ON」とされている。
又、本実施態様では、「NAVI表示」、「伝言表示」、「広告表示」を、地域ごとに選択できるように構成されている。例えば、一般的に地元では、地理に明るいので「NAVI表示」は不要となるので、特定の地域でのみ、「NAVI表示」を「OFF」とできる。また、初めて行く目的地にドライブするとき、その目的地の周辺地域でのみ、「NAVI表示」を「ON」とすることもできる。「伝言表示」、「広告表示」についても、同様である。
次に、「仮想物体表示物の優先順位設定」で、2種類の仮想物体表示物(バーチャル画像)の表示を同時に実行できないとき、どちらを優先的に行うかを設定する。例えば、バーチャル画像の表示が音声ガイダンスを伴う設定となっていると、「NAVI表示」における「目的地の富士山です」との音声ガイダンスと、「広告表示」における「RX−8誕生」との音声ガイダンスが時間的にオーバラップしてしまうことがあるので、このようなオーバラップに対処する設定である。図示の例では、1.伝言、2.NAVI、3.広告の順に、優先順位が付けられている。したがって、伝言とNAVIがオーバラップしたときには、まず「伝言表示」が実行され、次いで「NAVI表示」が実行されることになる。
次に、「仮想物体の表示設定」の項で、仮想物体(バーチャル画像)の表示状態を設定する。まず、「拡大率」の項で、仮想表示される対象物のバーチャル画像(例えば、図8のガソリンスタンドのバーチャル画像)の大きさ、文字の大きさを設定する。大きさは、「等倍」、「2倍」、「3倍」または「自動」のいずれかから選択される。「等倍」は、対象物の車両からの見かけ上の大きさと同じ大きさ(等倍)またはデフォルト設定されている文字の大きさを意味し、「2倍」、「3倍」は、この等倍の2倍または3倍を意味する。また、「自動」は、対象物との距離が所定より大きいときには、拡大表示(例えば2倍の表示)とし、所定以下となると、等倍表示に切り替える設定である。図6の例では、「等倍」が選択されている。
次いで、「同時表示数」の項で、同時に表示されるバーチャル画像の数が設定される。表示されるバーチャル画像の数が多くなること等を防止するための設定である。本実施態様では、「標準」、「最少」、「少なめ」、「多め」、「最多」のいずれかから選択するように構成され、図6の例では、「標準」が設定されている。この項も地域毎に設定可能である。
次いで、「重畳表示」の項で、バーチャル画像同士がオーバラップする際の取扱いを設定する。本実施態様では、「禁止」または「許容」のいずれを選択し、「禁止」を選択したときには、「ずらして表示」または「禁止」のいずれかを選択する。「許容」を選択したときは、複数のバーチャル画像のオーバーラップして表示される場合がある。また、「ずらして表示」を選択すると、所定位置に表示したのでは重なってしまうバーチャル画像が、重ならない程度にずらして表示される。また、「禁止」を選択すると、バーチャル画像がオーバーラップする場合には、重なる複数のバーチャル画像の全て、または、一以外を禁止してしまう。
最後に、「対象表示エリア」の項で、どの領域に仮想物体(バーチャル画像)を表示するかを設定する。本実施態様では、「標準」、「狭く」、「広く」、「最大」のいずれかを選択する。例えば、「広く」はフロントガラス全体を通した領域を対象とし、「標準」はフロントガラスの右半分(運転席前方部分)のみを通した領域を対象とし、「狭く」はフロントガラスの右半分(運転席前方部分)の一部のみを通した領域対象とし、最大はフロントガラスの他、側方のガラスを通した領域も対象とする設定である。図6の例では、「標準」が選択されている。
次に、「仮想物体の表示時間」の項で、仮想物体(バーチャル画像)の表示継続時間を設定する。本実施態様では、「連続時間」、「合計時間」の2種類が特定される。「連続時間」は1回の表示の継続時間であり、視認可能であれば表示し続ける「見える間ずっと」と、表示開示から15秒経過で表示を終了する「15秒」とから選択される。図6の例では、「15秒」が選択されている。
また、「合計時間」は、視認可能となった対象物(富士山)が、道路が曲がっている等の理由で視認不可能となり、再度、視認可能となったときのような複数回の表示の合計時間を規制するものであり、図6の例では、「3分」が選択されている。したがって、図7の例では、走行中、矢印と「目的地の富士山です」のバーチャル画像を、最長で合計3分しか表示されない。
最後に、「その他の設定」で、「音声案内の併用」、「オブジェクト表示併用」、「乗員毎に表示補正を行う」、「拡大/縮小/削除機能を行う」の項の設定を行う。
「音声案内の併用」をONとすると、図7の例で、「目的地の富士山です」とのバーチャル画像が表示されると同時、「目的地の富士山です」との音声ガイダンスが実行される。
また、本実施態様は、対象物の見かけ上の位置をバーチャル画像の矢印と名称で示す構成が基本であるが、「オブジェクト表示併用」をONとすると、図8のように、写真、イラスト等による「ガソリンスタンド」のバーチャル画像がオブジェクト表示として、現実の風景中のガソリンスタンドの位置に仮想表示され、このバーチャル画像(オブジェクト)を差す矢印と名称が表示される。
車両に複数の乗員が乗車しているときには、乗車位置の違いに起因して、乗員毎に車外の風景の見え方が異なる。この結果、図8で表示されたガソリンスタンドのバーチャル画像は、全ての乗員にとって、ガソリンスタンドの実際の位置と重なって見えるわけではない。「乗員毎に表示補正を行う」は、このようなズレを補正するためのものである。「乗員毎に表示補正を行う」をONとすると、シートセンサの検出結果に基づいて、乗員の位置を検出し、乗員毎にバーチャル画像の表示位置を補正し、各乗員が適正な位置に表示されたバーチャル画像を視認できるようにする。なお、補正されたバーチャル画像は、補正対象となった乗員のみが視認できるような方法で仮想表示されるのが好ましい。
最後に、「拡大/縮小/削除機能を行う」の項の設定を行う。この項をONとすると、乗員からの音声による指示で表示中のバーチャル画像の表示態様を変更することができる。「拡大/縮小/削除機能を行う」をONとしておくと、図8のようなバーチャル画像が表示されているとき、乗員からの「○△公園の表示を大きく」等の指示で、○×公園のバーチャル画像が大きくなる。また、音声による指示で、縮小あるいは削除も可能となる。
図6の画面による基本項目の設定が終了すると、次いで、図11に示されているようなイニシャル設定IIのNAVI関連の設定画面がユーザのパソコン6の画面に表示される。この設定画面では、「NAVI表示」において、どのような表示を行うか等が設定される。以下、詳細に説明する。
まず、「仮想物体の表示項目」の項で、どのような表示を行うかを選択する。本実施態様では、「目的地」、「施設」、「先導車」、「誘導矢印」、「目印」の項目が準備されている。
「目的地」をONとしておくと、経路誘導において設定された目的地が、バーチャル画像の表示対象となる。すなわち、「富士山」を目的地とした経路誘導中に、富士山が視認できるようなると、図7のようなバーチャル画像が仮想表示される。
「施設」をONとすると、ガソリンスタンド、コンビニエンスストア、レストラン、ホテル、温泉地、公共或いはその他の建物などの施設が、バーチャル画像が仮想表示される対象物として設定される。どのような施設に対して表示が行われるかは、他の項目で設定する。また、「施設」ONのときに、選択可能となる「詳細情報」をONとすると、各施設の詳細情報が、バーチャル画像の矢印に加えて、表示される。例えば、施設が温泉ホテルであれば、その温泉の泉質に関する情報が表示される。
「先導車」をONとすると、図12に示されているようなバーチャル画像による先導車70が仮想表示され、この先導車70によって経路誘導が行われる。すなわち、右折すべき交差点では、この先導車70が右折するので、この先導車70を追走することで、所定の径路に沿って目的に到着することができる。先導車70に代えて、動物、あるいは、他の物体が先導する構成でもよい。
「誘導矢印」をONとすると、バーチャル画像による矢印で、経路誘導が行われる。すなわち、現実の風景に重畳されるバーチャル画像の矢印によって、公知のナビゲーション装置のモニタ画面上に表示される矢印と同様の経路誘導が行われる。
「目印」をONとすると、経路誘導中に、経路上の目印となるような建物等が、バーチャル画像による矢印で指示される。
次に、「表示施設設定」の項で、どのようなジャンルの施設に関する情報を、バーチャル画像で通知するかを決定する。本実施態様では、図11に示されているように、「登録施設」、「コンビニ」、「道の駅」、「ガソリンスタンド」、「娯楽関係」、「飲食関係」、「イベント関係」、「名所」等の項目から、位置情報を得たい施設ジャンルを選択するように構成されている。
「登録施設」は、ユーザがマニュアルで別途、設定した施設を通知の対象として設定するための項である。この項を使って、例えば、目的地までの経路にあるレストランを登録しておくことができる。また、「コンビニ」、「ガソリンスタンド」では、詳細設定で、特定チェーン(例えば、セブンイレブン)のコンビニエンスストアや特定の石油会社(エネオス)のガソリンスタンドを設定可能となっている。また、「飲食関係」では、詳細設定で、フランス料理、和食、寿司、うどん等の提供される料理の種別を特定可能となっている。さらに、「イベント関係」、「名所」においても同様に、詳細なジャンルを特定可能とされている。
次に、「対象表示エリア」の項で、「NAVI表示」の対象となる範囲を特定する。本実施態様は、図11に示されているように、「標準」、「狭い」、「広い」、「最大」から設定するように構成されている。「標準」では、例えば、前方1キロ、側方500メートルの範囲に存在する施設を「NAVI表示」の対象とするように設定されている。このように対象表示エリアを限定することにより、市街地で極めて多くのバーチャル画像が表示されて視界が妨げられることが防止される。
次に、「仮想物体の表示時間」の項で、仮想物体(バーチャル画像)の表示継続時間を設定する。本実施態様では、「連続時間」、「合計時間」の2種類が特定される。「連続時間」は1回の表示の継続時間であり、視認可能であれば表示し続ける「見える間ずっと」と、表示開示から15秒経過で表示を終了する「15秒」とから選択される。図6の例では、「15秒」が選択されている。
また、「合計時間」は、視認可能となったもの(ガソリンスタンド)が、道路が曲がっている等の理由で一旦、視認不可能となり、再度、視認可能となったときのような複数回の表示の合計時間を規制するものであり、図11の例では、「3分」が選択されている。
次に、「目的地設定機能」の項で、走行中に目的地を設定できる機能に関する設定を行う。この「目的地設定機能」は、走行中に、運転者等の乗員がバーチャル画像のよって表示されている対象物を特定すると、その対象物が目的地として設定され、その目的地に対して経路誘導を行わせる機能である。本実施態様では、乗員による特定方法として、「音声」と、「指差し」とが設定されている。「音声」をONとすると音声による目的地入力が可能となる。すなわち、図8のようなバーチャル画像が表示されている状態で、運転者等の乗員が音声で、「目的地は○△公園」と指示すると、音声対話装置56がこの指示を認識し、○△公園が目的地として設定される。また、「指差し」をONとすると、指差しによる目的地入力が可能となる。すなわち、図8のようなバーチャル画像が表示されている状態で、運転者等の乗員が指で「○△公園」を差し、ここが「目的地」と音声入力すると、その動作がアイカメラ50を介して入力されて、○△公園が目的地として設定される。
最後に、グループ走行に関する登録を行う。この登録は、グループで走行する場合に、グループで走行する複数の車両において同一内容の情報を共有することにより、コミュニケーションを成立させるために行う登録であり、グループのメンバの一人、通常はリーダが、登録を行う。
まず、グループ走行を行う他の車両に搭載されている車両用情報提供装置1のID(例えば0001、0002、00341、0055)を入力することにより、グループ走行を行うメンバーを特定する。次いで、グループ中のリーダを特定する。次いで、登録したグループ内で共通して表示する「グループメンバーで表示する施設」を設定する。この設定方法は、上記「表示施設設定」と同一である。ここで設定された施設に関する情報は、登録されているグループ全員に一律に提供されることになる。
更に、「通知機能」の設定を行う。この通気機能は、グループ走行中の全車両が共通の情報を得られたときに、その旨を各車両に通知する機能である。例えば、5台でグループ走行中に、全車両から富士山が見える状態となったとき、図7の「目的地の富士山です」の文字の色を、全ての車両において白から青に変更して、全ての車両から富士山が見えるようなったことを全ての車両で認識できるようにする機能である。
本実施態様では、「情報が共有できる状態になったら通知する」、「通知しない」を選択し、「情報が共有できる状態になったら通知する」を選択したときには、通知方法として、表示の色が変わる「色」と、「全車両から富士山が見えるようになりました」等の音声ガイダンスが行われる「音声」のいずれかが選択される。
図11の設定は、「地域別」、「時間帯別」、「曜日別」、「乗員別」に、それぞれ、異なった設定ができるように構成されている。
次いで、伝言(メッセージ)表示を行う場合には、図13に示されているイニシャル設定IVの伝言(メッセージ)関係の項目の画面で伝言の設定を行う。この伝言は、設定を行うユーザが自分或いは自分の車両の同乗者への伝言/メッセージを自分の車両の車両用情報提供装置1に対して送る場合と、友人或いは友人の車両の同乗者への伝言/メッセージを友人等の車両の車両用情報提供装置1に対して送る場合がある。
本実施態様では、伝言(メッセージ)は、車両が特定の位置にきたときに表示される「位置特定の伝言/メッセージ」と、車両の位置取付けは無関係に他の条件が成立することで表示される「位置不特定の伝言/メッセージ」とが設定できる。
「位置特定の伝言/メッセージ登録」では、伝言/メッセージ表示を行う位置を特定する。本実施態様では、画面上に表示された地図によって、バーチャル画像の表示を実行する車両位置を特定する。図13の例では、表示されている広島県の地図上で一点を特定すると、その特定地点の周囲の拡大図が表示され、さらに、拡大図中で一点を特定するとその特定地点の周囲の拡大図が表示される。この作業を繰り返すことにより、最終的に「広島県東広島市西条…周辺の国道2号線沿い」が特定できる。
次いで、「設定期間」の項で、伝言/メッセージ表示を実行する期間を設定する。さらに、「表示イメージと表示調整」の項で、表示する伝言/メッセージの内容を決定する。本実施態様では、「表示内容の特定/修正」をクリックすると、特定された場所である「広島県東広島市西条…周辺の国道2号線沿い」のバーチャル画像が、地図データから読み出されて画像に表示されるので、希望するメッセージの内容(「元気でね」、「Good Bye」)と態様(字体、色、表示位置等)をこの画像上に選択・配置し、「表示内容の確認」をクリックして最終的な表示形態を確認し、最後に「登録」をクリックすることにより、表示する伝言/メッセージの内容を確定する。
最後に、伝言を送る相手を特定する。設定されているグループのメンバーに送るときには、相手の車両用情報提供装置1のID番号で相手を特定する。また、伝言に相手の名前を含める構成でもよい。
図13の例では、2003年6月6日から2003年6月6日で、時間帯が終日と設定されているので、2003年6月6日に、伝言メッセージを送られたID番号が001、002、004、065、075の車両用情報提供装置1を搭載する車両が、「広島県東広島市西条…周辺の国道2号線沿い」を通過すると、設定された伝言が表示されることになる。
「位置不特定の伝言/メッセージ登録」では、伝言/メッセージが表示される背景の設定を行う。本実施態様では、「背景自由」、「前方の車を背景とする」、「空」、「道路」、「建物」、「看板/標識」等から設定できる。さらに、表示タイミングを、列挙されている「時間」、「海が見えているとき」、「3時間おき」等の条件から選択して設定する。図13の例では、15時00分から15時05分が表示タイミングとして設定されている。
さらに、図13では、一部が省略されているが、「位置特定の伝言/メッセージ登録」と同様に、「設定期間」、「表示イメージと表示調整」、「伝言相手」が設定される。
広告メッセージを設定する場合には、図14に示されているイニシャルVの広告関係の設定画面で広告内容の設定を行う。設定の基本的な方法は、上述した伝言/メッセージの設定と同じである。広告表示が伝言表示と異なる点は、広告の送り主であり設定を行うものが、このシステムの管理者(情報センタ2側)と契約している企業、店舗であり、受け手が、広告を受けることを承諾しているシステムのユーザであることである。
企業、店舗等は、パソコン8等を介して、情報センタに広告の内容、広告を表示させる時間(タイミング)、地域、背景等の登録を行う。例えば、広告主は、自社の本社ビルを背景に自社の広告を表示させるように設定することもできる。また、上述したように、広告主である、企業、店舗は所定の広告料を支払う。
広告表示も、伝言表示と同様に、位置特定の広告と、位置不特定の広告とがあり、設定の方法もそれぞれ伝言表示の場合と基本的に同じである。ただし、広告の受け手である「広告相手」を特定する項があり、この項で、「広告相手」を「広告受信契約者」と「広告受信者を特定する」から選択にする。「広告受信契約者」は、広告を受けることを承諾しているユーザ全員に一律に広告表示を行う設定であり、「広告受信者を特定する」は、広告を受けることを承諾しているユーザのうち特定の条件を満たすユーザ(例えば、30代男性)にのみ広告表示を行う設定である。
上述のようにして登録された種々のデータは、情報センタ2のデータベース12の各データ18、20、22等に保存される(ステップS2)。
次いで、上記のような設定を行ったユーザが、車両用情報提供装置1(あるいは自宅のパソコン6)から目的地および必要な経路情報を情報センタ2に送信すると(ステップS3)、情報センタ2は、設定された目的地までの地図情報を地図データ14から読み出して目的地までの経路に関する配信用地図データを作成する。さらに、この地図データに、ステップS1での設定に基づいてバーチャル画像によるNAVI表示、伝言表示、広告表示を行うためのデータを組み込む加工を行い、加工したデータをユーザの車両用情報提供装置1に送信する(ステップS4)。目的地までの経路上で表示される地図に表示される地域に関連する広告を、地図データに組み込む構成とするのが好ましい。
ユーザの車両の車両用情報提供装置1は、送信されてきた加工済みの地図データを受信し、これに基づいて、目的地への経路誘導を開始する(ステップS5)。
次いで、車両用情報提供装置1は、バーチャル画像を表示すべき条件が成立しているか否かを判定する(ステップS6)。NAVI表示に関しては、バーチャル画像による情報提供を行うべき対象物が周辺にあるか否かを判定する。また、伝言表示、広告表示かんしては、イニシャル設定IV、Vで設定された表示条件が成立しているか否かが判定される。
この判定は、GPS受信機44等の検出結果に基づく自車位置と受信した加工済み地図データ内に表示すべき対象物及びその位置に関する情報等に基づいて行う。ステップS6でYESのときには、ステップS7に進み、車両の乗員がその対象物または伝言等の背景となる区域を視認可能であるか否かを判定する。「視認可能」には、現実の風景中で、対象物を肉眼で直接、識別可能な場合の他に、対象物が車両から離れているため、対象物が小さすぎて肉眼で識別することはできないが、この対象物が存在している場所(位置)を見渡すことができる状態が含まれる。
この判定は、自車の位置および方向、地図情報に含まれる車両の現在位置周辺の建物、地形等三次元データ、対象物の位置情報、CCDカメラ54による前方車両の存否の検出結果等に基づいて行われる。ステップS6またはステップS7でNOのときは、ステップS6に戻る。
ステップS7でYESのときには、表示すべきバーチャル画像の表示位置および表示方法の演算が行われる(ステップS8)。バーチャル画像の表示位置は、対象となる乗員が、視認している風景中の所定位置にバーチャル画像が存在していると認識できるように設定される。すなわち、図7の例であれば、乗員が現実の風景中の富士山を矢印が差していると認識できる位置に、バーチャル画像である矢印および「目的地の富士山です」との情報の表示位置が設定される。図8、図9、図10の例の場合も同様に、表示位置が設定される。
具体的には、乗員(例えば、運転者)の目の位置をアイカメラの映像等から推定し、この目の位置、車両の現在位置及び方向、地図データ等に基づいて、乗員が視認している現実の風景中の所定位置にバーチャル画像が配置されるように、バーチャル画像の配置位置が演算される。
この際、乗員が複数いる場合には、各乗員の目の位置を検出し、乗員毎にバーチャル画像の表示位置を設定する構成であるのが好ましい。
また、バーチャル画像の表示方法は、イニシャル設定に応じて、図7のような「矢印」と名称とによる表示、図8のような対象物(ガソリンスタンド)のバーチャル画像とその施設名(ガソリンスタンド)とによる表示などが適宜、設定される。また、表示されるバーチャル画像(例えば矢印)の色、明るさは、背景となる現実の景色の色、明るさ等に応じて、適宜設定される。背景となる現実の景色の色、明るさは、CCDカメラ54の画像等から検出される。
さらに、バーチャル画像の大きさも設定される、大きさの設定は、図6に沿って説明した「拡大率」の項での設定等に基づいて行われる。
また、夜間、或いは、悪天候による視界不良時には、対象物を視覚的に識別できない場合が多いので、このような条件下では、自動的にオブジェクト表示を追加する構成でもよい。
また、車両の現在位置の精度が悪いとき、対象物が遠方にあるとき、対象物の見かけ上の大きさ(肉眼による大きさ)が小さいとき等に、自動的にオブジェクト表示を追加する構成でもよい。このような車両の現在位置の精度が悪いとき等は、バーチャル画像の「矢印」の先が対象物を適切に差していない可能性が高い、オブジェクト表示を行って対象物の概略的に位置を示し、そのオブジェクトを矢印で差すことにより、違和感の少ない表示状態としてもよい。
次いで、ステップS9に進み、バーチャル画像の表示禁止条件に該当するか否かを判定する。禁止条件とは、バーチャル画像の表示により、車両の安全な運行が妨げられるような条件等である。具体的には、車両が旋回しているとき、周辺の交通量が多いとき、表示されるバーチャル画像が信号、道路標識等の交通標識とオーバラップしてしまうとき等である。さらに、バーチャル表示によって画像情報が提供される対象物が極めて近い距離にあるとき、表示されるバーチャル画像の数が所定数より多くなったときも、表示禁止条件に該当する。
ステップS9でYESのときには、ステップS10で表示禁止処理を行い、ステップS6に戻る。ステップS9でNOのときには、ステップS11に進み、バーチャル画像の表示を実行する。ステップS9でNOのときに、ステップS10の表示禁止処理に代えて、交通標識とオーバラップしない位置にバーチャル画像の表示位置をずらす処理を行って、あるいは、表示するバーチャル画像の数を減らす処理を行った後、ステップS11に進む構成でもよい。
ステップS11では、例えば、図7ないし図11に示されているようなバーチャル表示がステップS1で設定に基づいて実行される。バーチャル画像が、友人等の他人からの伝言表示であったときには、伝言表示を実行した旨を情報センタ2を介して送り主の友人等に伝える機能を備えたものであってもよい。
次いで、ステップS12に進み、表示されているバーチャル画像の一つが、乗員によって特定されたか否かが判定される。特定方法としては、バーチャル画像を見た乗員が「○△公園」と音声によって行う方法、バーチャル画像を見た乗員がそのバーチャル画像を指さして「この公園」と特定する方法等がある。このような音声はマイク60によって収集され、指差しの動作はCCDカメラ54によって撮影されてCPU30に送られ、特定された対象物が検出される。
次いで、ステップS13に進み、特定されたバーチャル画像の表示態様を変更する処理を行う。具体的には、色、大きさを変更したり、特定の乗員、例えば運転者にしか見えなかったバーチャル画像を他の乗員も視認可能な状態に変更する処理などが行われる。この表示態様の変更は、各乗員の乗車位置の違いを補正して行われるのが好ましい。
この表示態様の変更に加えて、バーチャル画像によって表示されている対象物の詳細情報、例えば、公園ならその由来をバーチャル画像で表示する構成でもよい。
表示態様の変更に先だって、特定を行った乗員に対して、表示態様の変更を行う対象物がこの乗員が特定した対象物であるか否かの確認を行う構成でも良い。この確認は、特定を行った乗員に対して表示されているバーチャル画像のうち、表示態様の変更を行う対象物(例えば、△△公園)のバーチャル画像の色を変更したり、「△△公園ですか」などと音声で行われるのが好ましい。
次いで、ステップS14に進み、表示の終了条件が満たされたか否かを判定する。終了条件としては、バーチャル表示を行っている対象物を乗員が視認できなくなった、所定回数より多く表示された、表示時間或いは合計表示時間が所定値を越えた、表示エリア外に出た、操作パネル等からマニュアでOFFにされた等がある。この終了条件は、各バーチャル画像毎に判断される。ステップS14でYESのときには、ステップS15に進み、該当するバーチャル画像の表示を終了する。
さらに、ステップS16に進み、目的地に到着したか否かを判定し、目的地に到着したときは処理を終了し、到着していないときには、ステップS6に戻る。
次に、複数台の車両でグループ走行を行う際に利用されるグループ走行機能について説明する。グループ走行機能は、予め登録されグループ走行を行う複数台の車両の車両用情報提供装置で、対象物に関する情報を共有して複数台の車両の乗員間のコミニュケーションを促進させる機能である。以下、このグループ走行機能を図15に沿って詳細に説明する。図15は、車両用情報提供装置1で行われるグループ走行機能に関する処理を示すフローチャートである。
まず、ステップS20で、グループ走行であるか否かを判定する。この判定は、図11のイニシャル設定IIのグループ走行機能で、この自車両の車両用情報提供装置1のIDが「メンバー登録」の対象として登録されているか否かに基づいて判定される。尚、「メンバー登録」の対象となっている場合には、図4のフローチャートのステップS4で送信されてくる地図情報に、「メンバー登録」されている旨の情報が含まれる。
ステップS20でYESのときには、ステップS21に進み、共有情報を表示していることを情報センタ2に通知する。すなわち、図11のイニシャル設定IIの設定で「グループメンバーで表示する施設」として登録された施設のうちのどの施設のバーチャル画像を表示しているかを情報センタ2に通知する。
更に、ステップS22に進み、自車両より前方にグループの他の車両がいるか否かを判定する。ステップS22でYESすなわち自車両がグループの先頭ではないときには、ステップS23に進み、グループの先頭車両で表示されている情報が自車両で視認可能か否かを判定する。
ステップS23でYESのときには、ステップS24に進み、グループの先頭車両で表示されているバーチャル画像を表示する。一方、ステップS23でNOのときには、ステップS25に進み、先頭車両でバーチャル画像が表示されている対象物に関する情報をモニタ画面36に表示する。この結果、グループの全車両で、同一の対象物に関する情報を共有できることになる。
一方、ステップS22でNOのときすなわち自車がグループの先頭にいるときには、ステップS26に進み、自車でバーチャル表示されている対象物がグループの他の全ての車両において表示が行われた(すなわち、グループの他の車両でステップS24、ステップS25が完了した)タイミングで、自車両で表示されているバーチャル画像の表示態様(例えば、色)を変更する。この処理により、グループの他の車両においても、自車両と同じ対象物の情報を得られることが分かる。
グループの他の全ての車両で、先頭車両においてバーチャル画像で表示されている対象物が視認可能となったときに、各車両で、ステップS26と同様の表示態様の変更を行う構成でもよい。
次いで、ステップS27で、バーチャル画像等によって表示されている対象物のいずれか特定されたか否かが判定される。例えば、グループのメンバーの一人が、表示対象となっている「○△公園」を音声、指等で特定すると、この対象物がCCDカメラ54等によって検出され、情報センタ2経由で各車両の車両用情報提供装置1に送られ、ステップS27がYESとなる。ステップS27でYESのときには、ステップS28に進み、各車両の車両用情報提供装置1において、特定された表示対象、例えば「○△公園」の表示の表示態様、例えば色が変更される。この処理で、各車両の乗員は、「○△公園」の位置および「○△公園」が話題となることを認識できる。
次いで、ステップS29で、車両間で音声の送受信を行うことができるようなコミュニケーション機能(例えば、自動車電話、携帯電話等)が作動され、グループ走行を行っている車両間で、「○△公園」についての会話ができる状況が作られる。
一方、ステップS27でNOのときには、ステップS30に進み、指示表示とコミュニケーション機能がリセットされる。
本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術事項の範囲内で種々の変更又は変形が可能である。
例えば、上記実施態様では、バーチャル画像に関するデータは、地図データとともに情報センタ2から車両用情報提供装置1に配信される構成であったが、地図データとは別に、車両用情報提供装置1に配信される構成でもよい。
上記実施態様では、同一車両の乗員には、同じ対象物のバーチャル画像が提供される構成であったが、乗員毎に異なった対象物のバーチャル画像が提供される構成でもよい。この場合、乗員毎にバーチャル画像で表示すべき対象物を設定しておくと共に、どの乗員がどの座席に座っているかが入力される。
上記実施態様では、NAVI表示におけるバーチャル画像は、対象物を差す矢印と、対象物の名称とが基本設定としされていたが、矢印のみが表示される表示パターンを備えた構成でもよい。
また、上記実施態様は、本発明の車両用情報提供装置を通常の乗用車に適用したものであるが、本発明は、観光バス等にも適用可能である。この場合、例えば、ガイド等が車窓から見える寺院を音声で特定すると、その寺院が各乗客に対してバーチャル画像で表示されたり、既に表示されていたバーチャル画像の色が変更されたりする構成とされる。
上記実施態様では、バーチャル画像によるオブジェクトは、対象物の見かけ上位置に表示される構成であったが、バーチャル画像によるオブジェクトを対象物の見かけ上の位置に隣接した位置に表示し、これを矢印で差す構成でも良い。
また、表示されているバーチャル画像のよるオブジェクト表示を、音声等による指示で、拡大、縮小等できる構成でも良い。