JP3890579B2 - コミュニケーション支援システム及びコミュニケーション支援方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数のコンピュータが接続されたネットワーク上の仮想的な作業空間において、複数のユーザがコンピュータを介してコミュニケーションをおこなう場合、各ユーザが必要に応じて指定する作業領域に基づいて、適切な相手とのコミュニケーションを行うための環境を提供するコミュニケーション支援システム及びコミュニケーション支援方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
必要に応じてコミュニケーション相手を次々と変更できるコミュニケーション環境を提供する従来の協調作業支援システムには、いくつかの方法があり、それらを機能別に分類すると次の3つに分けることができる。
【0003】
(1)設定情報に基づいてコミュニケーション環境を提供する方法:
特開平9−034844号公報に記載されたグループ環境設定方法及びそのシステムでは、グル−プ名とそれに対応した環境設定情報(アクセス権、使用ソフトウェア、メニュー設定など)をあらかじめ登録しておき、ユーザのグループ名指定に対応した環境設定情報に基づいて、必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境をユーザに提供している。
また、特開平7−210513号公報に記載された協同作業起動装置では、ユーザ名と端末名からなるユーザ情報テーブル、および、アプリ名と起動方式からなるアプリ情報テーブルをあらかじめ登録しておき、ユーザのグループメンバと使用アプリ名の指定によって、各テーブルに設定された情報により、必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境を提供している。
【0004】
(2)仮想現実によるコミュニケーション環境を提供する方法:
特開平6−095997号公報に記載されたヒューマンインターフェースシステムでは、現実世界と同様の行動を機能的に行えるヒューマンインターフェースシステムを提供し、ユーザが画面上で仮想的な部屋およびメンバを確認しながら、必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境を提供している。
また、FreeWalk(京都大,Proceedings of the ACM Conference on CSCW '96)では、相手の位置が確認できる2次元マップと仮想的な3次元空間を提供することにより、ユーザが映像と音声を使って必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境を提供している。
【0005】
(3)登録情報の選択によってコミュニケーション環境を提供する方法:
米国特許第5363507号に記載された「MRTHOD AND SYSTEM FOR STORING AND PETRIEVING COLLABORATIVELY PROCESSED INFORMATION BY ASSOCIATED INDENTIFICATION DATA」では、いくつかのコミュニケーション手段(電話、電子掲示板など)をあらかじめユーザに提示しておき、ユーザの選択したコミュニケーション形態に基づいて、必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境を提供している。
また、特開平9−128343号公報に記載されたコミュニケーションシステムでは、いくつかのコミュニケーション手段と、WWW(World Wide Web)サーバの情報を同時に参照している他のユーザを提示することで、ユーザの選択した相手とコミュニケーション形態に基づいて、必要に応じてコミュニケーション相手を変更できるコミュニケーション環境を提供している。
また、Piazza(SunSoft,Proceedings of the ACM Conference on CSCW '96)では、分散しているコミュニティ間で、同情報にアクセスしているユーザ、あらかじめ設定した条件に合致したユーザ、プロジェクトに参加しているユーザを提示し、これらのユーザと必要に応じてマルチメディア通信によるコミュニケーションをおこなう環境を提供している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
これらの方法では、あらかじめ登録された各ユーザの情報あるいはユーザ間で交わされた過去のコミュニケーション履歴をもとにユーザ間の関係を導き出し、動的なコミュニケーショングループを生成している。
しかしながら、これらの方法では、多数のユーザの情報や、ユーザ間で交わされた膨大な量のコミュニケーション内容などの登録情報が必要であり、これらの情報をあらかじめシステム側に用意しておかなければ最適なコミュニケーショングループは生成できない。
【0007】
本発明では、上記のような問題を解決する新しい手段として、時々刻々と変化する各ユーザの現時点の状況から、最適なコミュニケーショングループを生成する電子会議システムや共同設計システム等と言ったコミュニケーション支援システムやコミュニケーション支援方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するに、本発明では、複数のユーザがネットワ−クに接続されたクライアントシステムから、ネットワーク上の仮想的な作業空間上の情報を共有できるシステムにおいて、共有情報におけるユーザの作業領域を検出する手段と、検出された領域からユーザの視点を計算する手段と、計算された各ユ−ザの視点からクラスタリングをおこなって類似した視点をもつ作業メンバ(コミュニケーショングループ)を抽出作成する手段と、作業メンバ間にコミュニケ−ションチャネルをはってコミュニケ−ション空間を生成する手段とを有するシステムを提供する。また、生成されたコミュニケーション空間の情報をユーザに提示し、その情報にもとづいてユーザがコミュニケーション空間にアクセスしたり制御できる手段を提供する。
【0009】
本発明によれば、ネットワーク上の仮想的な作業空間の情報に対して、ユーザの作業領域を検出しその領域からユーザの視点を計算することで、各ユーザの作業領域を数値化できる。この数値を使ってクラスタリング計算をおこない、その結果をコミュニケーショングループの生成に適用することで、ユーザの要求に応じた適切なコミュニケーション相手がネットワーク上の仮想的な作業空間より抽出できる。
また、コミュニケーショングループに属する全てのユーザに対して、自動的にコミュニケーションチャネルをはることにより、ネットワ−ク上に必要に応じて適切な相手とのコミュニケーションが可能な作業空間を生成することができる。
【0010】
また、本発明では、ユーザの作業領域の検出を自動的におこなうこともできる。
また、本発明によれば、コミュニケーショングループの生成において、ユーザ自身が設定したグループ化条件に基づいてグループを生成する手段を設けたり、各ユーザの平均視点からクラスタリング計算をおこなう手段を設けることにより、より詳細なユーザ要求にも対応したコミュニケーショングループを生成することができる。
【0011】
また、本発明では、ユーザがコミュニケーション空間から明示的に脱退する手段を設け、脱退の際に、コミュニケーション空間の残りのメンバ数を計算する手段と、その数が1に達した場合に空間を自動削除する手段を設けることで、コミュニケーショングループのメンバ数に応じた空間の継続または自動削除が可能な環境を提供することができる。
また、本発明では、生成されたコミュニケーショングループの情報をユーザにフィードバックし、その情報をもとにコミュニケーショングループへの参加や、コミュニケーショングループの永続的な保存を実現する手段を設けることで、ユーザに対して常に最適なコミュニケーション空間を提供する。
また、各コミュニケーション空間で交わされたメッセージ情報の履歴を提供する手段を設けることで、ユーザが他のコミュニケーション空間の状況を知り、最適なコミュニケーション空間を選択できる環境を提供する。
また、本発明では、方法の発明も提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係るコミュニケーション支援システム(本実施例では、協調作業支援システム)及びコミュニケーション支援方法(本実施例では、協調作業支援方法)を説明する。
以下、図面を参照して、本発明の第1実施例に係る協調作業支援システム(具体的には、電子会議システム)について説明する。
本実施例では、複数のユーザが共有するネットワ−ク上の情報に対して、各ユーザが作業している領域情報をもとにコミュニケーショングループを生成し、必要に応じてグループ内で電子メールを使ったコミュニケーションをおこなう環境を提供する協調作業支援システムについて説明する。
【0013】
図1には本実施例のシステムの概略構成を示してある。このシステムは、インターネットのWWW上に構築されることを前提としており、複数のクライアントシステム1と、共有情報データベース2と、サ−バシステム3とがネットワ−ク4(インターネット)を介して接続されている。
【0014】
クライアントシステム1は、ディスプレイ等の表示装置10と、マウスやキーボードなどの入力装置11と、WWWブラウザ12、領域処理装置13、通信装置14によって構成される。
WWWブラウザ12は、情報を表示装置10に表示する機能と、ユーザがその情報をもとに入力装置11で入力した要求を受け付ける機能とをもつ。
領域処理装置13は、後述する共有情報に対して各ユーザが指定した作業領域やその領域変更にともなう処理をおこなう。
通信装置14は、WWWブラウザ12に入力されたユーザの要求や領域処理装置13から渡された情報に基づいてリクエストを生成し、共有情報データベース2またはサ−バシステム3と情報の送受信をおこない、その結果をWWWブラウザ12に返す機能をもつ。
【0015】
共有情報データベース2は、通信装置14と共有情報格納装置20とから構成される。
共有情報データベース2では、通信装置14がクライアントシステム1からのリクエストを共有情報格納装置20に渡し、共有情報格納装置20が要求されたURL(Uniform Resource Locator)に該当する情報を格納情報から抽出して、通信装置14を介して要求元に返送する機能をもつ。この共有情報格納装置20に格納されている情報は、WWWブラウザ12によって表示装置10に表示可能なあらゆる形式の情報である。本実施例では、HTML(Hyper Text Makeup Language)文章が格納されている。
【0016】
サーバシステム3は、通信装置14と、視点計算装置30と、ユーザ情報格納装置31と、グループ生成装置32と、グループ情報格納装置33と、メール配送装置34とから構成される。
視点計算装置30は、後述するユーザ視点座標および平均ユーザ視点座標を計算する。
ユーザ情報格納装置31は、コミュニケーション空間の生成を要求したすべてのユーザに関わる情報を格納する。本実施例では、このユーザに関わる情報は図2に示すような、ユーザを一意に識別するためのホスト名とポート番号からなるユーザIDと、メールアドレスと、視点計算装置30で算出されたユーザ視点座標および平均ユーザ視点座標と、コミュニケーショングループの生成の際に各ユーザが要求した後述のグル−プ化条件と、ユーザ視点座標の履歴と、を含んでいる。
【0017】
グループ生成装置32は、複数のユーザの視点座標をもとに後述するクラスタリング計算をおこない、同じ視点をもつユーザを集めてコミュニケーショングループを生成する。
グループ情報格納装置33は、生成されたコミュニケーショングループの情報を格納する。本実施例では、このコミュニケーショングループの情報は図3に示すように、グループを一意に識別するためのグループIDと、グループを生成したユーザのグループ生成ユーザIDと、グループを生成する際使用したグループ化条件と、グループに含まれるすべてのユーザのメールアドレスと、後述するグループ視点と、グループ領域と、を含んでいる。
メール配送装置34は、グループ生成装置32で生成されたコミュニケーショングループのメンバがメーリングリストによってコミュニケーションをおこなうための手段を提供する。
【0018】
次に、上記した協調作業支援システムにおける各装置の動作とその処理手順について、ユーザの操作手順にしたがって説明する。
本実施例では、クライアントシステム1において、WWWブラウザ12より図4に示すシステム操作画面50がユーザに提供される。この操作画面50は、ユーザが共有情報データベース2に情報を要求するためのURL入力画面51と、共有情報データベース2から獲得した情報をオ−バ−ビューとして表示するとともにユーザがその情報に対して後述する作業領域を指定するための共有情報表示画面52と、共有情報表示画面52において指定された作業領域を表示する作業領域表示画面53と、コミュニケーショングループを生成する際のユーザが要求する条件を入力するためのグループ化条件入力画面54と、生成されたコミュニケ−ション空間の情報を表示するための空間情報表示画面55と、から構成される。なお、作業領域表示画面53には、作業領域の調整や移動をおこなうためのスクロールバー56が用意されている。
【0019】
まず、ユーザはWWWブラウザ12に対して、獲得したい情報のURLをURL入力画面51より入力する。入力されたURLはWWWブラウザ12、通信装置14、ネットワーク4を介して、共有情報データベース2に転送される。共有情報データベース2の通信装置14は、転送されてきたURLを共有情報格納装置20に渡し、共有情報格納装置20は該当する情報を抽出して、再び通信装置14からネットワーク4を介してクライアントシステム1に返送する。
返送された情報は、クライアントシステム1のWWWブラウザ12によって共有情報表示画面52にオ−バ−ビューとしてその全体図が表示される。このとき表示される共有情報は、例えば図5に示すような、複数のユーザの意見とその関連情報(例えば、意見内容の概要)がネットワークダイアグラムとして表現されるHTML文書などである。
【0020】
次に、ユーザは、グループ化条件入力画面54において、コミュニケーショングループの生成条件を入力する。本実施例では、図4に示すように、視点形式がグループ化条件として与えられており、「通常」と「平均」がチェックボックスによって設定できる。なお、これらの形式は、グループ生成装置32においておこなわれるクラスタリング計算において使用される。
続いて、ユーザは、共有情報表示画面52に表示された共有情報において自分の作業領域を入力装置11により指定する。ここで、作業領域とは、共有情報に対してユーザが興味を抱いた範囲を2次元図形で表現したもので、本実施例では、例えば図6に示すように、共有情報表示画面52上でマウスを使って所望の意見を囲む長方形を描くことで設定する。なお、このとき、ユーザは、共有情報表示画面52を見ながら作業領域の大きさや場所の変更などを、マウスを使ってインタラクティブに納得のいくまで変更できる。
【0021】
こうして指定または変更された作業領域は、領域処理装置13によって作業領域表示画面53にリアルタイムに反映されて表示される。また、ユーザは、作業領域表示画面53のスクロールバー56によっても、作業領域の変更または微調整がおこなえ、その結果は領域処理装置13によって共有情報表示画面52にリアルタイムに反映され表示される。
また、領域処理装置13はユーザの作業領域に対する変更が終ったことを自動的に感知し、作業領域表示画面53の領域情報を、図7に示すように座標情報(x1,y1,x2,y2)に変換した情報として先に設定されたグループ化条件とともに通信装置14に渡す。
【0022】
図8には、本実施例における領域処理装置13の処理手順を示してある。
本実施例における領域処理装置13は、ユーザの作業領域の設定や変更を常に見張っており、設定や変更に基づく共有情報表示画面52と作業領域表示画面53との表示情報の整合性を保つ他、作業領域が一定時間変更されなかった場合には、作業領域を座標情報に変換してグループ化条件とともに通信装置14に渡す処理をおこなう。
【0023】
すなわち、共有情報表示画面52の作業領域について変更があったときには(ステップS1)、作業領域表示画面53の表示内容を対応して変更し(ステップS2)、また、作業領域表示画面53の表示内容について変更があったときには(ステップS3)、共有情報表示画面52の表示内容を対応して変更するが(ステップS4)、このような変更(ステップS1、S3)が所定の一定時間内に行われない場合には(ステップS5)、表示されている作業領域を座標情報に変換してグループ化条件とともに通信装置14に渡す(ステップS6)。
なお、本実施例では、一定時間作業領域が変更されかった場合に、作業領域を座標情報に変換するようにしたが、一定距離変更した場合に作業領域を座標情報に変換するなど別の方法を採用してもよい。
【0024】
上記のように作業領域の座標情報及びグループ化条件を受け取った通信装置14は、リクエストを生成してサーバシステム3に送信する。本実施例では、図9に示すような、ユーザID、メールアドレス、座標情報、グループ化条件、ユーザ視点座標、平均ユーザ視点座標からなるリクエストが生成される。
そして、サーバシステム3では、通信装置14が受信したリクエストを視点計算装置30に渡す。
【0025】
図10には、この視点計算装置30の処理手順を示してあり、視点計算装置30は、まず、リクエストからユーザIDと作業領域の座標情報(x1,y1,x2,y2)を抽出し(ステップS10)、その座標情報からユーザ視点座標を計算する(ステップS11)。
ここで、本発明におけるユーザ視点座標について説明する。ユーザ視点座標とは、ユーザが共有情報表示画面52で指定した作業領域(図5参照)がユーザの視野となるような視点、すなわち共有情報表示画面52を垂直方向上方から眺めた場合、ユーザの視野が作業領域と一致するような3次元空間上の点であり、本実施例では図11に示すO点がこれにあたる。
【0026】
本発明では、このユーザ視点座標という概念を用いることによって、2次元の領域で表現された各ユーザの作業領域を数値として管理できるとともに、各ユーザの要求に応じて適切なコミュニケーション相手の抽出が可能になる。このユーザ視点座標は、WWWブラウザ12によって表示可能な情報ならばどのような情報にも適用でき、例えば文章や2次元画像だけでなく、3次元情報を表示するVRMLで構築された情報にも適用できる。
本実施例では、図2、図3、図9にすでに示したように、視点座標を例えば(X,Y,Z)のような3次元座標で管理する。これらの値は、リクエスト中の座標情報(x1,y1,x2,y2)および図11のθを使って以下のように求めることができる。
【0027】
【数1】
【0028】
また、視点計算装置30は、リクエストから抽出したユーザIDに合致するユーザ情報をユーザ情報格納装置31から検出して、そのユーザの過去の視点履歴を読み込み(ステップS12)、以下の式により平均ユーザ視点座標(Xa,Ya,Za)を計算する(ステップS13)。
ただし、nは算出した視点座標までの視点履歴の総数であり、X0からXn-1、Y0からYn-1、Z0からZn-1はいずれも過去の視点座標のx,y,z方向の各成分履歴とする。
【0029】
【数2】
【0030】
このように算出した値は、図9に示したリクエストの所定の場所に登録され(ステップS14)、グループ生成装置32およびユーザ情報格納装置31に渡される(ステップS15)。
なお、本実施例では、平均ユーザ視点座標の計算に、各要素の視点履歴の総和平均を使用したが、例えば各要素ごとの相乗平均を使用してもその他の計算方法でも構わない。また、θの値は、0<θ<πのいずれの値を使用しても構わない。
【0031】
本実施例におけるグループ生成装置32の処理手順を図12に示してある。
グループ生成装置32は、視点計算装置30より渡されたリクエストから、グル−プ化条件として保管されている視点形式を抽出し(ステップS20)、それが「通常」であるか「平均」であるかを判断する(ステップS21)。
視点形式が「通常」であった場合は、メールアドレスおよびユーザ視点座標からなる組情報(メールアドレス,(X,Y,Z))を(ステップS22)、「平均」であった場合は、メールアドレスおよび平均ユーザ視点座標からなる組情報(メールアドレス,(Xa,Ya,Za))を(ステップS23)、それぞれユーザIDとともにリクエストから抽出する。
【0032】
まず、視点形式が「通常」であった場合の一連の処理手順を説明すると、グループ生成装置32は、ユーザ情報格納装置31に格納されたユーザ情報から、リクエストから抽出したユーザIDによって自分以外のユーザ情報を検出し、メールアドレスとユーザ視点座標(メールアドレス,(X,Y,Z))からなる組情報を順番に読み込む(ステップS24)。
そして、読み込んだ組情報の視点座標とリクエストより抽出した組情報の視点座標を使って2点間の近さを以下の式で計算する(ステップS25)。
ただし、m=0,1,2,・・・とし、Xm,Ym,Zmはそれぞれ読み込まれた視点座標のx,y,z方向成分の要素とする。
【0033】
【数3】
【0034】
そして、算出されたDmxy、DmzがそれぞれDmxy<Dxy、Dmz<Dzであった場合(ここに、Dxy、Dzは一定値)、その組情報をもつユーザはリクエストを生成したユーザと同じ視点をもつものとみなされ(ステップS26)、その組情報が抽出される(ステップS27)。
そして、すべての組情報がユーザ情報格納装置31から読み込まれ(ステップS28)、同じ視点をもつ組情報が抽出されると、グループ生成装置32は、抽出した組情報の視点座標とリクエストの組情報の視点座標から、以下の式によってグループ視点を計算する(ステップS29)。
ただし、Nは同じ視点をもつユーザの総数(ユーザ情報格納装置31より抽出された組情報+1)であり、Xm0からXmN、Ym0からYmN、Zm0からZmNは視点座標のx,y,z方向の各成分とする。
【0035】
【数4】
【0036】
更に、算出されたグループ視点(Xg,Yg,Zg)をもとに、グループ生成装置32はグループ領域を計算する(ステップS29)。本実施例では、グループ領域を(Xg,Yg,Zg)を視点に持つ正方形領域(図11においてLx=Ly)として定義した。
この領域は、WWWブラウザ12で表示可能な座標情報(xg1,yg1,xg2,yg2)として表現され、各成分の値は以下の連立方程式により計算される。
【0037】
【数5】
【0038】
これら一連の計算が終了すると、グループ生成装置32は、グループIDを発行してグループ情報を生成し、ユーザ情報格納装置31より抽出した各組情報のメールアドレスと、リクエストから抽出したユーザID、メールアドレス、グループ化条件と、算出したグループ視点、グループ領域の座標情報と、を図3に示した形式でグループ情報として生成し(ステップS30)、このグループ情報をグループ情報格納装置33および通信装置14に渡す(ステップS31、S32)。
【0039】
これらの処理手順は、視点形式が「平均」である場合も同様におこなわれ(ステップS33〜S39)、視点形式が「平均」である場合にはユーザ視点座標に代えて平均ユーザ視点座標が用いられるだけであるのでその説明は省略する。
なお、本実施例では、グループの生成において、リクエストを生成したユーザの視点座標の高さと距離を使ってグループメンバを抽出したが、例えば、単純な2点間の距離を使った判別方法や、一般的なクラスタ解析において使用される重心法など別の方法を用いても構わない。また、本実施例では、グループ領域を正方形として定義したが、長方形や円など2次元図形なら何を用いても構わない。
【0040】
図13には、ユーザ情報格納装置31の処理手順を示してある。
まず、ユーザ情報格納装置31は、視点計算装置30から渡されたリクエストよりユーザID、メールアドレス、ユーザ視点座標、平均ユーザ視点座標、グループ化条件を抽出し(ステップS40)、そのユーザIDが格納されているユーザ情報に含まれているかを判断し(ステップS41)、含まれていなければ格納するための領域を新たに確保し、リクエストから抽出した情報から図2の形式にしたがってユーザ情報を登録する(ステップS42)。一方、ユーザIDが含まれている場合には、図2の所定の場所にそれぞれの情報を上書きするとともに、視点履歴の最後にユーザ視点座標を加える(ステップS43)。
【0041】
図14には、グループ情報格納装置33の処理手順を示してある。
まず、グループ情報格納装置33は、グループ生成装置32から渡された依頼情報よりユーザIDを抽出し(ステップS50)、そのユーザIDがグループ情報格納装置33に格納されているグループ情報のグループ生成ユーザIDに一致するか判断する(ステップS51)。そして、含まれていた場合には、そのユーザIDを含むグループ情報を削除し(ステップS52)、グループ生成装置32から渡された情報を図3の形式にしたがって格納する一方(ステップS53)、含まれていなければ新しい格納領域を確保して図3の形式にしたがって格納する(ステップS53)。
なお、後述するように、メール配送装置34よりグループIDが渡されると、そのグループIDと同じIDをもつグループ情報を検出し、そこに含まれるグループメンバのメールアドレスをメール配送装置34に返す処理を行う(ステップS54)。
【0042】
また、通信装置14は、グループ生成装置32からグループ情報が渡されると、このグループ情報をユーザ情報格納装置31に格納されているすべてのユーザIDに対して送信する。
返信されたグループ情報は、各クライアントシステム1の通信装置14を介してWWWブラウザ12に渡され、WWWブラウザ12は空間情報表示画面55に結果を表示する。このとき、WWWブラウザ12は、各ユーザの現在参加しているコミュニケーショングループの情報を色付きで空間情報表示画面55に表示してもよいし、状況に応じてグループ情報に含まれるグループ視点やグループ領域を作業領域表示画面53に表示してもよい。
【0043】
次に、本実施例における協調作業支援システムにおいて、コミュニケーショングループのメンバが、電子メールを使用してコミュニケーションをおこなう手順について説明する。
各メンバは、空間情報表示画面55に表示されているグループ情報から、自分が属するコミュニケーショングループを探し出し、サーバシステム3のメールアドレスとグループIDを含む電子メールを作成する。本実施例では、図15に示すように、電子メールのヘッダー部分において、宛先の欄にサーバシステム3のメールアドレスを、件名の欄にグループIDをそれぞれ登録し、電子メールを作成する。
作成された電子メールは、SMTPなどの一般的な電子メール転送プロトコルにしたがって転送され、クライアントシステム1からサーバシステム3のメール配送装置34に転送される。
【0044】
図16には、メール配送装置34の処理手順を示してあり、電子メールが受信されると、メール配送装置34は電子メールをヘッダーと本文に分割する(ステップS60)。分割されたヘッダー部分は解析され、件名からグループIDが抽出される(ステップS61)。抽出されたグループIDは、グループ情報格納装置33に渡され、グループIDに該当するグループメンバのメールアドレスがすべて返される(ステップS62)。
メール配送システム34は、これらのメールアドレスを宛先に登録し、分割されていた本文を結合して新たな電子メールを生成する(ステップS63)。この生成した電子メールを電子メール転送プロトコルにしたがって転送することにより(ステップS64)、グループメンバへの電子メールの配送がおこなえる。
【0045】
なお、本実施例では、グループIDを件名に登録したが、カーボンコピー欄などの他のヘッダー部分や、本文に登録してもよい。また、本実施例では、ユーザが手動で電子メールを作成して転送する例を示したが、空間情報表示画面55に示されているグループ情報をマウスなどで指定することにより、電子メールの作成や転送をおこなうアプリケ−ショが自動的に立ちあがるよう設計にしてもよい。
【0046】
次に、本発明の第2実施例に係る協調作業支援システムについて図面を参照して説明する。
本実施例は、前述した第1実施例に加えて、生成されたコミュニケ−ション空間に対して、コミュニケ−ションに途中参加したり、コミュニケ−ションから脱退する操作を可能にしたシステムである。
図17には本実施例の協調作業支援システムの概略構成を示してある。なお、図17において、クライアントシステム1および共有情報データベース2は、第1実施例と同様であるためその説明は省略する。
【0047】
このシステムは、第1実施例のサ−バシステム3に、入力解釈装置35と、コミュニケーション参加処理装置36と、コミュニケーション脱退処理装置37を更に加えることにより実現されている。
入力解釈装置35は、クライアントシステム1から送られてきたリクエストを解釈し、その内容に応じて視点計算装置30、コミュニケーション参加処理装置36、コミュニケーション脱退処理装置37のいずれかにリクエストを渡す。
コミュニケーション参加処理装置36は、指定されたコミュニケーショングループにユーザをあらたに登録する。
コミュニケーション脱退処理装置37は、指定されたコミュニケーショングループのメンバからユーザを削除する。
【0048】
次に、本実施例の協調作業支援システムにおける各装置の動作とその処理手順について、ユーザの操作手順にしたがって説明する。
図18には、本実施例においてWWWブラウザ12よりユーザに提供されるシステム操作画面100を示してあり、この操作画面100は、第1実施例の操作画面50の空間情報表示画面55に、参加ボタン101と、脱退ボタン102とを更に加えたものである。
ここで、本実施例における協調作業支援システムでは、共有情報の獲得およびコミュニケーショングループの生成は、前述した第1実施例と同じであるためここでの説明は省略する。
【0049】
コミュニケ−ション空間への参加や、コミュニケ−ション空間からの脱退といった操作は、システム操作画面100の空間情報表示画面55を使用しておこなう。ユーザは、空間情報表示画面55において、操作対象とするコミュニケーショングループをマウスで指定し、参加ボタン101、脱退ボタン102のいずれか要求するボタンを押すことによって、入力情報をWWWブラウザ12に渡す。
WWWブラウザ12はその情報を通信装置14に渡し、通信装置14は図19に示すようなリクエストを生成してサーバシステム3に送信する。
【0050】
サーバシステム3では、通信装置14を介して入力解釈装置35にリクエストが渡される。
入力解釈装置35は、図20にその処理手順を示すように、リクエストから処理依頼を抽出し(ステップS70)、その内容に応じて(ステップS71、S73)、視点計算装置30(ステップS72)、コミュニケーション参加処理装置36(ステップS74)、コミュニケーション脱退処理装置37(ステップS75)のいずれかにリクエストを渡す。
【0051】
図21にはコミュニケーション参加処理装置36の処理手順を示し、図22にはコミュニケーション脱退処理装置37の処理手順を示してある。なお、視点計算装置30の処理手順は第1実施例と同様であるためその説明は省略する。
コミュニケーション参加処理装置36は、リクエストからグループIDとメールアドレスとコミュニケーション参加処理を示す処理依頼を抽出し、グループ情報格納装置33に渡す(ステップS80)。そして、グループ情報格納装置33から変更したグループ情報が返されると、コミュニケーション参加処理装置36は返されたグループ情報を通信装置14に渡す(ステップS81)。
また、コミュニケーション脱退処理装置37は、リクエストからグループIDとメールアドレスとコミュニケーション脱退処理を示す処理依頼を抽出し、グループ情報格納装置33に渡す(ステップS90)。そして、グループ情報格納装置33から変更したグループ情報が返されると、コミュニケーション脱退処理装置37は返されたグループ情報を通信装置14に渡す(ステップS91)。
【0052】
図23には、グループ情報格納装置33の処理手順を示してある。
グループ情報格納装置33は、メール配送装置34およびグループ生成装置32からの処理依頼であるかを判断し(ステップS100、S101)、メール配送装置34およびグループ生成装置32からの処理依頼でなければ、コミュニケーション参加処理装置36からの処理依頼であるかを判断し(ステップS102)、コミュニケーション参加依頼の場合には、渡されたグループIDと同じIDを持つグループ情報を抽出して、渡されたメールアドレスを所定の場所に格納し、そのグループ情報のリストをコミュニケーション参加処理装置36に返す(ステップS103)。
【0053】
一方、コミュニケーション参加処理装置36からの処理依頼でない場合(すなわち、コミュニケーション脱退処理装置37からのコミュニケーション脱退依頼の場合)は、渡されたグループIDと同じIDを持つグループ情報を抽出して、渡されたメールアドレスに一致するメールアドレスを所定の場所から削除する(ステップS104)。
この脱退処理の場合には、更に、当該グループ情報中のメールアドレスの総数を計算し(ステップS105)、その数が2以上の場合はグループ情報のリストをそのままコミュニケーション脱退処理装置37に返し(ステップS106)、その数が1であった場合(すなわち、コミュニケーションメンバが1人になった場合)は、当該グループ情報のすべてを削除して、グループIDのみからなる図3の形式のリストをコミュニケーション脱退処理装置37に返す(ステップS107)。
【0054】
なお、メール配送装置34からの処理依頼である場合には(ステップS100)、渡されたグループIDと同じIDを持つグループ情報を抽出して、そこに登録されているすべてのメールアドレスをメール配送装置34に返す(ステップS108)。
また、グループ生成装置32からの処理依頼である場合には(ステップS101)、図13のステップS41〜S43と同様な処理がなされ、渡されたユーザIDとグループ生成ユーザIDが一致するかを判断し(ステップS109)、一致しない場合には渡されたグループ情報をそのまま新規に登録し(ステップS110)、一致する場合には渡されたユーザIDと同じグループ生成ユーザIDのグループ情報を削除した後に(ステップS111)、ステップS110の処理を行う。
【0055】
そして、通信装置14は、上記の各装置から渡されたグループ情報を、ユーザ情報格納装置31に格納されているユーザIDに対応するすべてのクライアントシステム1に転送し、クライアントシステム1の通信装置14がその結果をWWWブラウザ12に渡して、WWWブラウザ12が空間情報表示画面55にそれらの結果を表示する。このときコミュニケーション参加処理装置36からの処理結果であった場合には、グループ情報に含まれるグループ領域を領域処理装置13を介して共有情報表示画面52と作業領域表示画面53に表示する。
なお、本実施例でも第1実施例と同様に、各ユーザが現在参加しているコミュニケーショングループの情報を色付きで表示したり、グループ視点を表示してもよい。
【0056】
次に、本発明の第3実施例に係る協調作業支援システムについて図面を参照して説明する。
本実施例は、前述した第2実施例に加えて、生成されたコミュニケ−ション空間に対してユーザが空間の永続保持とその解除操作を可能にしたシステムである。
図24には、本実施例の協調作業支援システムの概略構成を示してあり、このシステムは、第2実施例のサ−バシステム3において、永続コミュニケーション空間制御装置38を加えることにより実現されている。
なお、図24において、クライアントシステム1および共有情報データベース2は、第1実施例と同様であるためその説明は省略する。
【0057】
この永続コミュニケーション空間制御装置38は、クライアントシステム1から送られてきたリクエストがコミュニケーション空間の永続保持依頼であった場合に、指定されたコミュニケーション空間のグループメンバを固定化し、永続的にコミュニケーションをおこなえる環境を提供する。一方、リクエストが永続解除依頼であった場合には、永続コミュニケーション空間制御装置38は指定されたコミュニケーション空間のグループメンバの固定化を解除する。
【0058】
次に、本実施例の協調作業支援システムにおける各装置の動作とその処理手順について、ユーザの操作手順にしたがって説明する。
図25には、本実施例においてWWWブラウザ12よりユーザに提供されるシステム操作画面150を示してある。この操作画面150は、第2実施例の操作画面100の空間情報表示画面55において、永続保持ボタン104と、永続削除ボタン105とを加えたものである。
なお、本実施例における協調作業支援システムでは、共有情報の獲得およびコミュニケーショングループの生成は、第1実施例と同じであるためここでの説明は省略する。
【0059】
コミュニケ−ション空間の永続保持操作および永続解除操作は、操作画面150の空間情報表示画面55を使用しておこなう。ユーザは、空間情報表示画面55において、操作対象とするコミュニケーショングループをマウスで指定し、永続保持ボタン104、永続削除ボタン105のいずれか要求するボタンを押すことによって入力情報をWWWブラウザ12に渡す。
WWWブラウザ12はその情報を通信装置14に渡し、通信装置14は図26に示すようなリクエストを生成してサーバシステム3に送信する。
【0060】
サーバシステム3では、通信装置14を介して入力解釈装置35にリクエストが渡され、入力解釈装置35は図27に示すような処理手順を実行する。
すなわち、入力解釈装置35は、リクエストから処理依頼を抽出し(ステップS120)、その内容に応じて(ステップS121〜S123)、永続コミュニケーション空間制御装置38(ステップS124)、視点計算装置30(ステップS125)、コミュニケーション参加処理装置36(ステップS126)、コミュニケーション脱退処理装置37(ステップS127)、のいずれかにリクエストを渡す。
なお、視点計算装置30、コミュニケーション参加処理装置36、コミュニケーション脱退処理装置37の処理手順は、第1実施例および第2実施例と同様であるためその説明は省略する。
【0061】
図28には、永続コミュニケーション空間制御装置38の処理手順を示してある。
永続コミュニケーション空間制御装置38は、リクエストからユーザIDとグループIDと永続保持あるいは永続解除のいずれかを示した処理依頼を抽出し、その依頼とグループIDをグループ情報格納装置33に渡す(ステップS130)。そして、グループ情報格納装置33から結果が返されると、永続コミュニケーション空間制御装置38は返された結果を通信装置14に渡す(ステップS14)。
【0062】
図29にはグループ情報格納装置33の処理手順を示してあり、また、図30にはグループ情報格納装置33に格納されているグループ情報を示してある。
なお、このグループ情報は、図3に示したグループ情報に加えて、グループが永続保持されている状態(図30の保持状態に1として格納)か、永続保持されていない状態(図30の保持状態に0として格納)かを示す情報を格納している。
【0063】
グループ情報格納装置33は、メール配送装置34およびグループ生成装置32からの処理依頼であるかを判断し(ステップS140、S141)、メール配送装置34およびグループ生成装置32からの処理依頼である場合には、処理依頼に基づいて図23のステップS108〜S110と同様な処理を行う(ステップS142〜S145)。
一方、メール配送装置34およびグループ生成装置32からの処理依頼でなければ、グループ情報格納装置33は、渡された処理依頼に基づいて処理をおこなう。
【0064】
すなわち、コミュニケーション参加依頼である場合には(ステップS146)、永続保持されていないグループ情報であることを確認し(ステップS147)、永続保持されていないグループ情報に対してのみ第2実施例と同様の処理(図23のステップS103)をおこない(ステップS148)、コミュニケーション脱退依頼である場合には(ステップS149)は、永続保持されていないグループ情報であることを確認し(ステップS150)、永続保持されていないグループ情報に対してのみ第2実施例と同様の処理(図23のステップS104〜S107)をおこなう(ステップS151〜S154)。
【0065】
また、永続保持依頼の場合には(ステップS155)、渡されたユーザIDが図3に示したグループ生成ユーザIDと一致しているか判断し(ステップS156)、一致した場合には更にグループ情報の保持状態を判断し(ステップS157)、グループ情報の保持状態が0である場合には、グループ情報の保持状態を1にして永続保持に変更して、図30に示すようなリストを永続コミュニケーション空間制御装置38に返す(ステップS158)。
また、永続解除依頼の場合には(ステップS155)、渡されたユーザIDが図3に示したグループ生成ユーザIDと一致しているか判断し(ステップS159)、一致した場合には更にグループ情報の保持状態を判断し(ステップS160)、グループ情報の保持状態が1である場合には、グループ情報の保持状態を0にして永続保持を解除して、図30に示すようなリストを永続コミュニケーション空間制御装置38に返す(ステップS161)。
【0066】
そして、通信装置14は、永続コミュニケーション空間制御装置38より渡されたグループ情報を、ユーザ情報格納装置31に格納されているユーザIDに対応するすべてのクライアントシステム1に転送し、クライアントシステム1のWWWサーバは、空間情報表示画面55にそれらの結果を表示する。
【0067】
次に、本発明の第4実施例に係る協調作業支援システムについて図面を参照して説明する。
本実施例は、前述した第3実施例に加えて、コミュニケーショングループのメンバがおこなってきたコミュニケーションのメッセージ履歴を、電子メールによって獲得することを可能にしたシステムである。
図31には本実施例の協調作業支援システムの概略構成を示してある。なお、図31において、クライアントシステム1および共有情報データベース2は、第1実施例と同様であるためその説明は省略する。
このシステムは、第2実施例のサ−バシステム3において、コミュニケーション情報格納装置39を加えることにより実現されており、このコミュニケーション情報格納装置39には、図32に示すような、グループIDと、電子メールの本文の履歴(コミュニケーション履歴)と、が格納されている。
【0068】
次に、この協調作業支援システムの動作について、ユーザの操作手順にしたがって説明する。
まず、コミュニケーション情報格納装置39にメッセージ履歴が格納される動作を説明する。
各グループメンバは、第1実施例に示した手順にしたがって、電子メールを作成し、SMTPなどの一般的な電子メール転送プロトコルによって電子メールをサーバシステム3のメール配送装置34に転送する。メール配送装置34は、電子メールを受信すると、電子メールをヘッダーと本文に分割し、そのヘッダー部分が解析される。この解析の結果、件名からグループIDが抽出され、本文とともにコミュニケーション情報格納装置39に渡される。
コミュニケーション情報格納装置39は、渡されたグループIDと同じIDをもつコミュニケーション情報を検出し、コミュニケーション情報が検出された場合には、本文を図32に示す形式にしたがって格納する一方、検出されなかった場合には、新しい領域を確保して所定の場所にグループIDと本文を格納する。
【0069】
次いで、メッセージ履歴を電子メールによって獲得する動作を説明する。
各グループメンバは、同様に、空間情報表示画面55に表示されているグループ情報から、自分が属するコミュニケーショングループを探し出し、サーバシステム3のメールアドレスとグループIDを見つけ出す。そして、電子メールのヘッダー部分の宛先にそのメールアドレスを、件名に[result]という文字とグループIDを登録した電子メール(例、件名:Group1[result])を作成する。
作成された電子メールは同様の方法でサーバシステム3のメール配送装置34に送信され、メール配送装置34は電子メールを受信すると、電子メールをヘッダーと本文に分割してヘッダー部分を解析する。
【0070】
そして、件名から[result]という文字が検出された場合には、発信元から電子メールの送信者のメールアドレスを抽出するとともに、グループIDと履歴獲得依頼をコミュニケーション情報格納装置39に渡す。
コミュニケーション情報格納装置39では、履歴獲得依頼を受けとると、渡されたグループIDと同じIDをもつコミュニケーション情報を検出し、そこに含まれるコミュニケーション履歴(メッセージ履歴)を抽出してメール配送装置34に返す。メール配送システム34は、ヘッダー部の解析より得られるメール送信者のメールアドレスを宛先に登録し、渡されたメッセージ履歴と結合させることで新たな電子メールを生成し、電子メール転送プロトコルにしたがって電子メール送信者に転送する。
【0071】
上記したコミュニケーション情報格納装置39およびメール配送装置34の処理はそれぞれ図33、図34に示す手順によっておこなわれる。
すなわち、コミュニケーション情報格納装置39は、メール配送装置34からコミュニケーション履歴獲得依頼が渡されると(ステップS170)、渡されたグループIDと同じIDをもつグループ情報を検出し、そこに含まれるコミュニケーション履歴を抽出してメール配送装置34に返す(ステップS171)。一方、コミュニケーション履歴獲得依頼でない場合には、メール配送装置34から渡されたグループIDと同じIDをもつコミュニケーション情報が存在するかを判断し(ステップS172)、存在する場合には渡された本文を所定の場所に格納し(ステップS173)、存在しない場合には渡されたグループIDと本文を新規に格納する(ステップS174)。
【0072】
メール配送装置34は電子メールを受信すると、電子メールをヘッダーと本文に分割し(ステップS180)、ヘッダー部分から件名を抽出する(ステップS181)。そして、件名がグループIDだけであるかを判断し(ステップS182)、そのような場合には、グループ情報格納装置33からすべてのグループメンバのメールアドレスを抽出し(ステップS183)、そのメールアドレスを宛先に登録するとともに本文を結合させて電子メールを作成する(ステップS184)。一方、件名がグループIDだけでない場合には、コミュニケーション情報格納装置39から件名から抽出したグループIDと同じIDをもつメッセージ情報を検出してコミュニケーション履歴とし(ステップS185)、ヘッダーから電子メールの発信者メールアドレスを抽出して、コミュニケーション履歴と結合させて電子メールを作成する(ステップS186)。
そして、上記のように作成した電子メールを配送する(ステップS187)。
【0073】
なお、本実施例では、[result]という文字を件名に登録することでメッセージ履歴を獲得したが、文字およびその登録場所は、メール配信装置34に認識できるものならどのようなものでも構わない。
また、本実施例では、ユーザが手動で電子メールを作成することでメッセージ履歴を獲得する例を示したが、空間情報表示画面55においてグループ情報をマウスなどで指定し、適当なボタンを押すことで、メッセージ履歴を獲得するための電子メールが自動的に生成されるようなシステムとしてもよい。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によるコミュニケーション支援システム及びコミュニケーション支援方法では、ネットワーク上の仮想的な作業空間において、各ユーザの状況に応じて変化する作業領域を自動的に検出し、これらの情報を各ユーザごとの3次元座標情報として管理することにより、より共通度の高いコミュニケーション相手を仮想的な作業空間から見つけ出すことができる。
また、本発明によるシステム及び方法では、ユーザの作業領域の変化に柔軟に対応したコミュニケーション環境を提供できるため、ユーザに余計な心理的負担をかけず、自由度の高いコミュニケーションを実現することができる。
【0075】
さらに、こうしたコミュニケーショングループの情報を各ユーザにフィードバックすることで、他のユーザの関心を傍観し、作業されている領域、作業されていない領域を知ることもできる。
このようなことから、本発明をネットワーク上の仮想的な作業空間での協調作業に適用することにより、作業状況に応じて必要となる一時的なコミュニケーション環境を作業者に提供することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係るシステムの構成図である。
【図2】 ユーザ情報の一例を示す図である。
【図3】 第1実施例に係るグループ情報の一例を示す図である。
【図4】 第1実施例に係るシステム操作画面を示す図である。
【図5】 複数のユーザが共有するネットワーク上の仮想的な作業空間の情報を例示した図面である。
【図6】 ユーザの作業領域を説明する図である。
【図7】 ユーザの作業領域の座標情報を説明する図である。
【図8】 領域処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図9】 第1実施例に係るリクエストを説明する図である。
【図10】 ユーザの視点座表計算の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】 ユーザの視点座表と作業領域の関係を説明する図である。
【図12】 コミュニケーショングループの生成処理手順を示すフローチャートである。
【図13】 ユーザ情報の格納処理手順を示すフローチャートである。
【図14】 第1実施例に係るグループ情報処理の手順を示すフローチャートである。
【図15】 コミュニケーショングループで使用される電子メールの一例を示す図である。
【図16】 第1実施例に係るメール配送処理の手順を示すフローチャートである。
【図17】 本発明の第2実施例に係るシステムの構成図である。
【図18】 第2実施例に係るシステム操作画面を示す図である。
【図19】 第2実施例に係るリクエストを説明する図である。
【図20】 第2実施例に係るリクエスト解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図21】 コミュニケーション参加処理の手順を示すフローチャートである。
【図22】 コミュニケーション脱退処理の手順を示すフローチャートである。
【図23】 第2実施例に係るグループ情報処理の手順を示すフローチャートである。
【図24】 本発明の第3実施例に係るシステムの構成図である。
【図25】 第3実施例に係るシステム操作画面を示す図である。
【図26】 第3実施例に係るリクエストを説明する図である。
【図27】 第3実施例に係るリクエスト解析処理の手順を示すフローチャートである。
【図28】 第3実施例に係る永続コミュニケーション空間処理の手順を示すフローチャートである。
【図29】 第3実施例に係るグループ情報処理の手順を示すフローチャートである。
【図30】 第3実施例に係るグループ情報を示す図である。
【図31】 本発明の第4実施例に係るシステムの構成図である。
【図32】 第4実施例に係るメッセージ情報の格納を説明する図である。
【図33】 第4実施例に係るコミュニケーション情報処理の手順を示すフローチャートである。
【図34】 第4実施例に係るメール配送処理の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1・・・クライアントシステム、 2・・・共有情報データベース、
3・・・サーバシステム、 4・・・ネットワ−ク、 10・・・表示装置、
11・・・入力装置、 12・・・WWWブラウザ、
13・・・領域処理装置、 14・・・通信装置、
20・・・共有情報格納装置、 30・・・視点計算装置、
31・・・ユーザ情報格納装置、 32・・・グループ生成装置、
33・・・グループ情報格納装置、 34・・・メール配送装置、
35・・・入力解釈装置、 36・・・コミュニケーション参加処理装置、
37・・・コミュニケーション脱退処理装置、
38・・・永続コミュニケーション空間制御装置、
39・・・コミュニケーション情報格納装置、
Claims (7)
- 表示手段に表示された共有情報のうちユーザが興味を抱いた範囲の指定を受け付ける範囲指定受付手段と、前記共有情報のうち前記ユーザから受け付けた興味の範囲を前記表示手段の前記共有情報とは別の領域に表示するよう制御する表示制御手段と、を有する複数のクライアントシステムと、
前記範囲指定受付手段によりユーザから受け付けた興味の範囲を用いて当該ユーザの視点を算出するユーザ視点算出手段と、
前記算出されたユーザの視点を当該ユーザを識別する情報と対応させてユーザ情報としてユーザ情報格納部に格納するよう制御するユーザ情報格納部制御手段と、
前記ユーザ情報格納部に格納された各ユーザの視点を用いてグループのメンバを抽出するメンバ抽出手段と、
前記抽出されたメンバのユーザ情報を用いてグループ情報を生成するグループ生成手段と、
前記クライアントシステムの表示手段に前記生成されたグループ情報に基づく表示を行わせるよう制御するグループ情報表示制御手段と、
前記抽出されたグループのメンバであるユーザ間における前記クライアントシステムを用いたコミュニケーションを支援するコミュニケーション支援手段と、
を備えたことを特徴とするコミュニケーション支援システム。 - 請求項1に記載のコミュニケーション支援システムにおいて、
前記範囲指定受付手段はユーザが興味を抱いた範囲の変更指定を受け付け、
前記ユーザ視点算出手段は、前記変更指定された興味の範囲を用いて当該ユーザの視点を算出し、
前記ユーザ情報格納部制御手段は、前記変更指定された興味の範囲を用いて算出されたユーザの視点によりユーザ情報格納部に格納された前記ユーザ情報を更新するよう制御し、
前記メンバ抽出手段は前記更新されたユーザの視点を用いてグループのメンバを抽出し、
前記グループ生成手段は前記更新されたユーザの視点を用いて抽出されたメンバのユーザ情報を用いてグループ情報を生成する、
ことを特徴とするコミュニケーション支援システム。 - 請求項1に記載のコミュニケーション支援システムにおいて、
前記メンバ抽出手段は、ユーザに指定されたグループ化条件に従ったメンバ抽出処理を行う、
ことを特徴とするコミュニケーション支援システム。 - 請求項1に記載のコミュニケーション支援システムにおいて、
前記ユーザ情報格納部制御手段は、前記算出されたユーザの視点を過去の視点履歴と合わせて前記ユーザ情報格納部に格納するよう制御し、
前記メンバ抽出手段は、前記過去の視点履歴から算出された各ユーザの平均視点を用いてグループのメンバを抽出する、
ことを特徴とするコミュニケーション支援システム。 - 請求項1に記載のコミュニケーション支援システムにおいて、
前記コミュニケーション支援手段によってユーザ間で交わされたメッセ−ジ情報を履歴として格納するメッセ−ジ情報格納手段と、
メッセ−ジ情報格納手段に格納されているメッセージ情報の履歴をユーザの要求に応じて提供するメッセ−ジ情報履歴提供手段と、
をさらに備え、メッセージ情報の蓄積とその提供をおこなうことを特徴とするコミュニケーション支援システム。 - コミュニケーション支援システムによりおこなわれるコミュニケーション支援方法において、
前記コミュニケーション支援システムに備えられた複数のクライアントシステムが有す る範囲指定受付手段が表示手段に表示された共有情報のうちユーザが興味を抱いた範囲の指定を受け付け、当該複数のクライアントシステムが有する表示制御手段が前記共有情報のうち前記ユーザから受け付けた興味の範囲を前記表示手段の前記共有情報とは別の領域に表示するよう制御し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたユーザ視点算出手段が前記範囲指定受付手段によりユーザから受け付けた興味の範囲を用いて当該ユーザの視点を算出し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたユーザ情報格納部制御手段が前記算出されたユーザの視点を当該ユーザを識別する情報と対応させてユーザ情報としてユーザ情報格納部に格納するよう制御し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたメンバ抽出手段が前記ユーザ情報格納部に格納された各ユーザの視点を用いてグループのメンバを抽出し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたグループ生成手段が前記抽出されたメンバのユーザ情報を用いてグループ情報を生成し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたグループ情報表示制御手段が前記クライアントシステムの表示手段に前記生成されたグループ情報に基づく表示を行わせるよう制御し、
前記コミュニケーション支援システムに備えられたコミュニケーション支援手段が前記抽出されたグループのメンバであるユーザ間における前記クライアントシステムを用いたコミュニケーションを支援する、
ことを特徴とするコミュニケーション支援方法。 - 請求項6に記載のコミュニケーション支援方法において、
前記コミュニケーション支援システムに備えられた前記メンバ抽出手段は、ユーザに指定されたグループ化条件に従ったメンバ抽出処理を行う、
ことを特徴とするコミュニケーション支援方法。
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