JP3890213B2 - リニアモータ、ステージ装置及び露光装置 - Google Patents

リニアモータ、ステージ装置及び露光装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リニアモータ、ステージ装置及び露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
リニアモータとして、図12Aに示すような円筒型のリニアモータが知られている。図12Aに示すリニアモータでは、円柱状支持棒1201の外側に、円弧状積層ヨーク部材1202aを組み合わせて円環状にした積層ヨーク(鉄心)1202が設けられている。積層鉄心1202の外側には、複数の円環状部分コイル1203が円柱状支持棒1201の軸に沿って配列されている。以上の円柱状支持棒1201、円環状積層ヨーク1202及び複数の円環状部分コイル1203でリニアモータの固定子が構成されている。
【0003】
リニアモータの可動子は、固定子の円環状部分コイル1203の外側に設けられおり、円環状ヨーク1205と複数の円環状部分磁石1204で構成されている。複数の円環状部分磁石1204には、円環の径方向に着磁されたものと軸方向に着磁されたものとがある。より具体的には、各円環状部分磁石1204は、複数の円環状部分磁石1204で構成される円筒形状の円筒の内側に交番磁界を発生するように着磁方向が決定されている。
【0004】
この従来例のリニアモータでは、いわゆるハルバッハ配列で円筒内部に2周期分の略サイン波磁界を発生している。複数の円環状部分磁石1204の外側には、円筒状ヨーク1205が設けられており、この円環状ヨーク1205は、いわゆるバックヨークの役割を果たしている。つまり、円環状部分磁石1204の裏に円環状ヨーク1205を設けることで磁石の磁束を増加するようにしている。この例では、円環状部分磁石1204がハルバッハ配列なのでバックヨークは薄くても良い。
【0005】
また、固定子の円環状積層鉄心1202は、複数の円環状部分磁石1204が円環内部につくる磁界を増強する役割を果たしている。この例では、円環状磁石1204がハルバッハ配列なので円環状積層ヨーク1202をバックヨークより厚くする必要がある。
【0006】
また、バックヨークとしての円環状ヨーク1205は磁石1204と一体なので無垢でよいが、固定子の円環状積層ヨーク1202は磁石1204に対して相対運動をするので渦電流を防止するために軸に沿った方向に絶縁層を設けるような積層構造になっている。
【0007】
複数の円環状コイル1203は、複数の相(この例では、A、Bの2相)から構成される。
【0008】
このリニアモータの駆動方法は一般的なサイン波駆動であり、電流と磁束が直交するように制御される。ただし、この構成は可動磁石・固定コイル方式であり、一般的なサイン波駆動に加えてコイルの切り替えが必要である。複数の部分コイル1203のうち複数の部分磁石1204と対面しているコイルだけを通電して発熱を低減するためである。図12Bには、A相の切り替えタイミングが示されている。図12Bに示す状態で可動子が右に進むと図示のA相がオフになって図示のAダッシュ相がオンになる。逆に左に進むときは図示のAダッシュ相がオフになって図示のA相がオンになる。それ以外の磁石と対面している相についてはA相もB相も全てオンである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来例の円筒型リニアモータは、部分磁石1203、部分コイル1203、固定子の積層ヨーク1202が円筒状であるために、製造および性能に関して以下のような問題点を有する。
【0010】
第1の問題点は、固定子の積層鉄心の製作が困難であり、また、渦電流を防止することが困難であることである。従来例では、円弧状積層ヨーク部材1202aを組み合わせて円環状の積層ヨーク1202を構成している。このような円弧状積層ヨーク部材1202aを作製するのは困難であるので、直方体形状の積層ヨーク部材を作製してからワイヤカット等でこれを円弧状に成形する必要がある。この方法では加工工数が多く、固定子の軸方向の長さに相当する長さの構造を1回で作製するのが困難であり、また、精度の高い円弧を得ることが難しいという問題がある。
【0011】
また、磁石1204の磁束は放射状に積層ヨーク1202に入るので、図12Aに示す同心状の構成では、積層鉄心1202の積層構造を理想的には完全に放射状にすることが望ましい。しかし、図12Aの構成では、積層ヨーク1202の積層が完全に放射状ではないので、磁束の成分の一部によって渦電流が発生してしまう。かといって完全に放射状の積層鉄心を作製することもまた困難である。
【0012】
第2の問題点は、可動子の磁石ユニットの製作が困難であり、推力の変動をまねくことである。可動子の磁石ユニットは、円筒状のヨーク1205の内側に複数の円環状の部分磁石1204を挿入した構成を有する。円筒状ヨーク1205に円環状の部分磁石1204を挿入する上で、両者の公差の設定が難しい。公差を小さくすると位置精度は上がるものの、このような構造では短い円環状部分磁石1204を長い円筒状ヨーク1205に挿入する必要があるために、かじりが生じやすく、円筒状磁石1204を円環状ヨーク1205の奥深くまで挿入することは至難の業である。逆に公差を大きくすると円筒状ヨーク1205への円環状部分磁石1204の挿入は容易になるものの、傾きや偏心が発生して円環状部分磁石1204を精度良く取り付けられないし、円筒状ヨーク1205と円環状部分磁石1203は1点でしか接しないので固定が甘くなる。さらに、磁石と鉄には吸引力が作用するし磁石同士にも吸引力や反発力が作用するので組み立てはいっそう困難になる。円筒状磁石1204の組み立て精度が劣化すると推力変動をまねき、ひいてはリニアモータの精度劣化をまねく。円筒状ヨーク1205や円環状部分磁石1204の構成部材を細片化しこれらを組み立てる方法も検討されているが、このような方法では、所詮は円筒面に円筒面を固定する事情は変わらず部品点数が増えて工数が増加し、全体としての組み立て精度の保証がより困難になるなど、根本的な解決がなされない。
【0013】
第3の問題点は、固定子のコイルからの導線の引き出しが困難であり、推力低下をまねくことである。円環状コイル1203では、必ず巻き始め部分の導線が内周側になる。これを円環状コイル1203の外部に引き出すには一度外周側に導線を引き出し、さらに円環状コイル1203の外周を軸方向に沿って引き出す必要がある。または、円環状積層鉄心1202に溝等の空間を設けてそこに導線を這わせるようにする必要がある。前者の場合は、磁石1204とコイル1203のギャップ部に引き出し導線を這わせることになり磁石とコイルとの機械的クリアランス(磁石とコイルの最短距離)を一定にしようとすると磁石1204と固定子積層鉄心1202との磁気ギャップを大きくしなければならず、これにより推力が低下する。また、後者の場合は、積層鉄心1202の加工がいっそう困難になるし部分的に磁気ギャップが増加するので、推力の低下を招く。
【0014】
また、コイル1203の巻き終わり部分の導線は必ずコイルの外周部になる。これもそのままコイル1203の外周部を這わすと磁気ギャップの増加に伴う推力低下をまねくし、一度内側に導いてから内周部を這わすようにすると巻き始め部分の導線を内周部を這わせたときと同様の問題、つまり積層鉄心の加工が困難になることと部分的磁気ギャップの増加により推力が低下するという問題がある。
【0015】
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、例えば、製作が容易な構造を有するリニアモータ並びにこれを有するステージ装置及び露光装置を提供することを目的とする。さらに、付加的な目的としては、例えば、ヨーク内の渦電流を低減すること、推力の変動を低減すること、コイルからの巻線の引き出しを容易にすること、巻線の引き出しによる推力の低下を抑えることなどが挙げられる。本発明のその他の具体的な目的は、発明の詳細な説明において述べる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の側面は、固定子と可動子を有するリニアモータに係り、前記固定子は、支持部材と、複数の平面状のヨーク部材を含む固定ヨークと、前記固定ヨークの外側に配置され、前記固定子の軸方向に並べて配列される複数の部分固定コイルからなる固定コイルとを有し、前記複数のヨーク部材は、互いに面接触することなく前記支持部材の複数の外側面にそれぞれ取り付けられていて、これにより前記固定ヨークの隅部に前記ヨーク部材が存在しない第1空間が形成され、前記可動子は、前記固定コイルの外側に配置され、前記可動子は、それぞれ磁石列が平面状に配置された複数の平面状のバックヨークを前記磁石列が内側になり、かつ、前記固定子の軸方向に切断した断面において閉じた多角形状になるように組み立てて構成され、これにより前記可動子の内側の隅部に前記磁石列が存在しない第2空間が形成され、前記固定コイルは、前記バックヨーク及び前記固定ヨークと平行な平面形状部分を有し、前記各部分固定コイルからの引き出し導線が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分と他の平面形状部分との境界付近において前記第1空間及び/又は前記第2空間を利用して前記固定子の軸に沿って通るように配置されていることを特徴とする
本発明の第の側面は、固定子と可動子を有するリニアモータに係り、前記固定子は、固定ヨークと、前記固定ヨークの外側に配置された固定コイルとを有し、前記可動子は、前記固定コイルの外側に配置された可動磁石を有し、前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁石は、複数の平面形状部分をそれぞれ有し、前記固定コイルの前記複数の平面形状部分は前記固定コイルの軸に並行しており、前記固定ヨークの各平面形状部は、それに対応する前記固定コイルの平面形状部分及び前記可動磁石の平面形状部分に対して並行していることを特徴とする。
【0017】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定ヨークの各平面形状部分は、該平面形状部分に垂直でかつ前記固定子の軸に平行な多数の層を積層した積層構造を有することが好ましい。
【0018】
本発明の第の側面は、固定子と可動子を有するリニアモータに係り、前記固定子は、固定ヨークと、前記固定ヨークの外側に配置された固定コイルとを有し、前記可動子は、前記固定コイルの外側に配置された可動磁石を有し、前記可動磁石、前記固定ヨークは複数の直方体形状部分をそれぞれ有し、前記固定コイルは当該固定コイルの軸に並行な複数の平面形状部分を有し、前記可動磁石の各直方体形状部分はそれに対応する前記固定ヨークの各直方体形状部分および前記固定コイルの各平面形状部分と並行していることを特徴とする。
【0019】
本発明の第の側面は、固定子と可動子を有するリニアモータに係り、前記固定子は、該固定子の軸に平行な多数の層を積層した積層体を複数備えた固定ヨークと、該固定ヨークの外側又は内側に配置された固定コイルとを有し、前記可動子は前記固定コイルの外側又は内側に配置された可動磁石を有し、前記固定ヨークの前記複数の積層体のそれぞれは直方体形状或いは当該形状に似た非円弧状形状であり、例えば、前記固定コイル及び前記可動磁石の少なくとも一方は複数の直方体形状部分を有し、該複数の直方体形状部分のそれぞれが、前記固定ヨークの前記各積層体に対応し、例えば前記各積層体と互いに平行になるように並置してあることを特徴とする。
【0020】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定ヨークは、前記複数の平面形状部分または直方体部分が支持部材によって支持され、多角柱構造を有することが好ましい。
【0021】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定コイルの巻き始め部分及び/又は巻き終わり部分が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分または直方体部分と他の平面形状部分または直方体部分との境界付近に位置することが好ましい。さらに、本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定コイルからの引き出し導線が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分または直方体部分と他の平面形状部分または直方体部分との境界付近を前記固定子の軸に沿って通るように配置されていることが好ましい。
【0022】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁石は、それぞれ4つの平面形状部分または直方体部分を有することが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁石は、それぞれ3つの平面形状部分または直方体部分を有することが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁石は、それぞれ2つの平面形状部分または直方体部分を有することが好ましい。
【0023】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定ヨークを内側から支持する支持部材が、冷媒を流すための流路をその内部に有することが好ましい。ここで、前記流路の断面形状は、例えば円形であることが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記流路が、前記支持部材の内部に複数個設けられていることが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記流路が、前記固定子の軸を中心として放射状に配置された複数の溝を有することが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記流路の断面形状が蜂の巣状であることが好ましい。
【0024】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定ヨークを支持する支持部材が、金属で構成されていることが好ましい。或いは、他の点に着目すれば、前記固定ヨークを支持する支持部材が、セラミックで構成されていることが好ましい。
【0025】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定子の前記固定コイルと前記可動子の前記可動磁石との間に隔壁が配置され、前記固定コイルと前記隔壁との間に冷媒を流すための流路が形成されていることが好ましい。ここで、前記隔壁の断面は、多角形であってもよいし、円形であってもいし、他の形状であってもよい。本発明の好適な実施の形態によれば、前記隔壁が絶縁材料で構成されていることが好ましい。
【0026】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定子は、前記固定子の軸方向に並べて配列される複数の部分固定コイルを有し、前記リニアモータは、前記複数の部分固定コイルをそれぞれ位置決めする位置決め部材を更に有することが好ましい。ここで、前記位置決め部材は、前記固定コイルの軸方向に切断した断面において櫛歯形状を有し、該櫛歯形状を構成する櫛歯と櫛歯との間に前記部分固定コイルが位置決めされることが好ましい。
【0027】
或いは、前記固定子は、前記固定子の軸方向に並べて配列される複数の部分固定コイルを有し、各部分固定コイルはボビンに巻かれていてもよい。ここで、前記ボビンが、その側板に切り欠き部を有することが好ましい。また、前記ボビンの側板の厚さが、前記固定コイルの巻線の径の1/2よりも大きいことが好ましい。
【0028】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記固定コイルの外側に、脱ガス防止用のカバーを有することが好ましい。
【0029】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記可動子は、前記可動磁石の外側にバックヨークを有することが好ましい。前記バックヨークは、前記可動磁石の複数の平面形状部分とそれぞれ平行に配置された複数の平面形状部分を有することが好ましい。前記バックヨークは、それを構成する前記複数の平面形状部分が連結されてなる中空の多角柱構造を有することが好ましい。或いは、前記バークヨークは、それを構成する前記複数の平面形状部分が支持部材によって支持されていることも好ましい。
【0030】
本発明は、上記のリニアモータを利用したあらゆる装置においてその効果を奏する。
【0031】
この点に鑑み、本発明の第の側面に係るステージ装置は、上記のリニアモータと、前記リニアモータによって駆動されるステージとを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の好適な実施の形態によれば、前記ステージ装置は、前記リニアモータの固定子に連結された質量要素と、前記固定子と前記質量要素とを含む構造物を滑動自在に支持する定盤とを更に備えることが好ましい。ここで、前記質量要素が、前記リニアモータの固定子及び可動子を取り囲むように配置されていることが好ましい。また、前記質量要素が、冷媒を流すための流路をその内部に有することが好ましい。ここで、前記可動子が少なくとも前記固定子に対面する面に反射体を有し、前記質量要素が少なくとも前記固定子に対面する面に吸収体を有することが好ましい。
【0033】
また、本発明の第の側面の露光装置は、上記のステージ装置を基板又は原版を位置決めするためのステージ装置として有することを特徴とする。
【0034】
さらに、本発明の他の側面は、上記の露光装置によりデバイスパターンでウエハを露光する工程と、該露光したウエハを現像する工程とを含むことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
図1A〜図1Nは、本発明の第1の実施の形態のリニアモータの構造を示す図である。ここで、図1Aは図1BのAA矢視断面図、図1Bは軸方向(駆動方向)に沿ってリニアモータを切断した断面図、図1Cはリニアモータを軸方向から見た図(正面図)、図1Dはリニアモータを側面から見た図(側面図)である。
【0037】
この実施の形態の1つの特徴は、従来例のような円筒形状に代えて、断面が略多角形(より詳しくは四角形)の構造を採用した点である。より具体的には、この実施の形態のリニアモータでは、軸に対して垂直に切断した断面において、可動子の磁石列(可動磁石列)105、可動子のバックヨーク106、固定子のコイル列(固定コイル列)104を円環状にせずに、略多角形状(より詳しくは四角形状)にした点に特徴がある。
【0038】
まず、固定子は、支持部材101、積層ヨーク(積層鉄心)103及びコイル104で構成される。具体的には、固定子は、一番中心に四角柱形状の支持部材101を有する。この支持部材101は、その外側面上に四角形状の積層ヨーク103およびコイル列104を支持するベースとし機能し、内部には冷媒を通すための流路102を有する。
【0039】
支持部材101に形成された流路102は、例えば断面が円形等の形状を有し、不図示の配管が接続されて冷媒の循環経路を構成する。この冷媒は、リニアモータを冷却するために使用される。したがって、支持部材101は熱伝導性に優れた材料で構成されることが望ましい。
【0040】
四角形状の支持部材101の4つの外側面には、図1Eに示すような4つの板状の積層ヨーク部材103aが互いに面接触することなくそれぞれ取り付けられる。ここで、4つの板状の積層ヨーク部材103aが互いに面接触しないように、これらを支持部材101によって支持することにより、各積層ヨーク部材103aの端部を精度良く加工する必要がなくなる。従来は、積層ヨーク部材の端部(円弧方向の端部)の面を隣の積層ヨーク部材の端部の面に接触させて組み合わせることにより円筒状の積層ヨークを形成していたので、各積層ヨーク部材の端部を高精度に加工する必要があった。
【0041】
この実施の形態では、4つの板状積層ヨーク部材103aによって断面が四角形状の積層ヨーク103が形成される。積層ヨーク部材103aは、図1Eに示すように、表面が絶縁処理された長方形(典型的には同一形状)の複数の磁性薄板を積層して板状(平面形状)にしたものである。このように積層鉄心103を構成する積層ヨーク部材103aは、長方形の薄板を単に積層して接合するだけなので製作が極めて容易である。積層ヨーク部材103aは、それを構成する多数枚の薄板が四角形状の支持部材101の外側面に直交しかつ駆動軸に平行になるように該外側面に取り付けられる。換言すると、積層ヨーク部材103aを構成する積層された多数の磁性薄板は、その中央部の磁性薄板の位置と支持部材101或いは積層ヨーク103の中心軸とで規定される面に平行に配置される。これにより磁石列105が発生する磁束が薄板の絶縁層に沿って循環するようになり、渦電流の発生を最小に抑えることが出来る。
【0042】
四角形状の支持部材101の外側面に取り付けられた4つの板状積層ヨーク部材103aの外側にさらに複数の部分コイルからなるコイル列104が軸に沿って設けられている。コイル列104は、4つの平面形状部分を含み、軸に直交する方向に切断した断面において略四辺形形状を有する。詳細は後述するが、コイル列104を構成する各部分コイルの巻き線の巻き始め部分と巻き終わり部分は、平面部と平面部との境界付近、換言すると略四辺形形状を有するコイル104の隅部に設けられている。
【0043】
可動子は、図1Fに示すように平面状に複数の磁石が配列されてなる磁石列105と、その裏に設けた平面状のバックヨークとで構成される平面状ユニットを4つ組み合わせて、軸に対して直交する方向に切断した面内において四角形形状にしたものである。平面磁石列105を構成する複数の磁石の極の向きは磁石の表面に交番磁界を発生するように、この例ではいわゆるハルバッハ配列になっている。平面のバックヨーク106上に平面の磁石列105が形成された構造を製作するのは極めて容易である。従来例では円筒という閉じた空間内に円環を挿入して位置決めしなければならなかったのに対して、この実施の形態では大きな平面の上に小さい平面状の磁石を列状に配置し位置決めすればよい。よって、製作時にバックヨーク106の周辺空間を自由に使うことができるので磁石同士を精度良く位置決めするための治工具等の利用が容易であり、磁石同士を精度良く位置決めすることができる。平面のバックヨーク106上に平面磁石列105が形成されたものを4つ組み合わせて四角形状の可動子を作製するのもまた極めて容易であり、可動子全体として磁石を精度良く位置決めすることが可能になる。この結果、磁石の位置決め誤差に起因する推力変動を低減することができる。
【0044】
可動子に設けた磁石列105がその内部に形成する磁束は、磁石列105の面に垂直な成分と当該面に平行な成分とを含む。これらの両成分は固定子の板状積層ヨーク部材103aを介して循環する。固定子の各積層ヨーク部材103aは、前述のように、それを構成する複数の薄板が磁石列105の面(平面形状部)に垂直に設置されている。磁石列105が形成する磁石面に直角な磁束も磁石面に平行な磁束も薄板に入るが、薄板間は絶縁されているので渦電流のループは薄板の薄い面内に限定される。したがって、極めて単純で製作容易な構成により渦電流の発生を最小限に抑えることが出来る。
【0045】
以上のように、従来例のような円筒形状に代えて、磁石列105およびバックヨーク106を平面形状を組み合わせた略四角形形状とし、コイル104を略四辺形形状にすることにより、従来技術の問題点、すなわち固定子の円弧状積層鉄心の製作が困難なこと、渦電流の抑止が不十分なこと、可動子の円筒ヨークと環状磁石との組み立てが困難なこと、それによって環状磁石の位置決め精度が劣化しひいては推力変動が助長されることがすべて解決されうる。
【0046】
次に、残りの問題であるコイル巻き線の引き出し、およびそれによる推力低下を防止するための対策および効果について説明する。
【0047】
この実施の形態では、図1Lに示すように、コイルの巻き始め部分104cと巻き終わり部分を略四角形形状を有するコイル列104の隅部(平面部104aと平面部104aとの境界付近)に設けている。巻き始め部分104cは必ずコイル列104の内周側に、巻き終わり部分104dは必ず外周側に位置する。これらの付近から軸に沿って導線を引き出せばよい。この様子を図1Mに示す。この実施の形態によれば、巻き線の巻き始め部分104cと巻き終わり部分104dを略四角形形状を有するコイル列104の隅部に設けてそこから軸に沿って導線を引き出すので、引き出し導線は略四角形形状を有するコイル列104の隅部付近を軸方向に沿ってコイル列104の軸方向の端部に引き出される。図1Mから明らかなように、略四角形形状を有するコイル列104の隅部には磁石列105も積層ヨーク部材103a(積層鉄心103)も存在しない。従って、この空間内にコイル列104の引き出し導線を通すことにより、磁気ギャップに引き出し導線を配置することも、積層ヨーク103aの一部を削ることもなく、すなわち何ら推力の低下を伴わずにコイル列104の引き出し導線をコイル列104の軸方向の端部まで引き出すことが出来る。つまり、平面状の4つの磁石列105を略四角形形状に配置し、固定子のコイル列104をそれに適合した略四角形形状にし、固定子の積層鉄心103をそれに適合した略四角形形状にすることにより、推力の低下を伴うことなくコイル列104の隅部に空間を形成し、この空間をコイル列104の引き出し導線を通すための空間として利用することができる。
【0048】
また、図1Nに示すように、全ての巻き線をコイル列104の内周側から引き出すことも可能である。この場合は、コイル列104の外周部に位置する巻き終わり部分をコイル列104の隅部の内周部に導く必要がある。また、図1Nとは逆に、内周部の巻き始め部分を外周部に導いて全ての巻き線を外周部から引き出すことも可能である。これらのいずれの方法も、四角形状のコイル列104の隅部の空間(内周部又は外周部)を利用する。
【0049】
次に、コイル列104を構成する複数の部分コイルの位置決め方法およびコイル列104と積層ヨーク103との絶縁について説明する。コイル列104を構成する各部分コイルの軸方向の寸法を高精度に規定しない場合、複数の部分コイルを単に支持部材101と積層ヨーク103(4つの板状積層ヨーク部材103a)で構成される棒状部材にはめ込んでいったのでは各部分コイルの軸方向の寸法誤差が累積する。したがって、各部分コイルを位置決めする必要がある。また、コイル列104(部分コイル)と積層鉄心103(積層ヨーク103a)との絶縁も必要である。
【0050】
このような課題を解決する第1の方法は、位置決め板を使う方法である。これを図1I、図1Jに示す。図1Iは、位置決め板107を使って複数のコイル104を組み立てた後の状態を示している。図1Jは、図1Iに示す構造を作製する方法を示している。図1A及び図1Bに示す構造と異なり、図1Iに示す構造は、コイル列104と各積層ヨーク部材103aとの間に位置決め板107を有する。位置決め板107は、概ねコイル列104の平面部と同程度の幅w1を持ち、軸方向に沿って延びる櫛歯状断面を有する板である。櫛歯形状における櫛歯と櫛歯の間に部分コイルが配置される。この位置決め板107は、各板状積層ヨーク部材103aとコイル列104との間に配置されており、合計で4つの位置決め板107が用いられている。各位置決め板107は、高いピッチ精度で櫛歯107bが形成されており、この櫛歯107bのピッチ精度でコイル104が位置決めされるので、コイル列104を構成する各部分コイルの幅寸法誤差が累積して各部分コイルの位置がずれることはない。また、位置決め板107は絶縁材料で構成されている。位置決め板107のベース部107aがコイル列104の各部分コイルと板状積層ヨーク部材103aとを絶縁し、位置決め板107の櫛歯部107bが部分コイルと部分コイルとを絶縁する。この実施の形態では、4つの位置決め板107をそれらの幅方向の端部を離間して配置しているので、コイル列104の隅部の空間は内周部も外周部もそのまま残る。したがって、位置決め板107は、前述の方法によるコイル列104の巻き線の引出しを妨げるものではない。
【0051】
次に、図1Jに示した位置決め板およびコイル列の組み立て手順について説明する。まず、コイル列104を構成する部分コイルを軸方向に沿って並べ、概略位置に仮位置決めしておく。次に、2枚の位置決め板107をそれらのベース107aが対向した状態でコイル列104内に差し込む。次に、不図示の他の2枚の位置決め板107をコイル列104内に、先の2枚の位置決め板107と直交しかつベース107aが対向した状態でコイル列104内に差し込む。その後、4つの位置決め部材107を外側に移動させて、櫛歯107bの間に部分コイルをはめ込む。最後に支持部材101と積層ヨーク103(4つの板状積層ヨーク部材103a)で構成される棒状部材を一連のコイル列104の開口部に挿入して固定子が組み立てられる。
【0052】
もう一つの好適な位置決めおよび絶縁方法は、コイルボビンを使う方法である。これは軸方向に高い精度を有するボビン108を用意し、これに導線を巻いて各部分コイルを作製する方法である。このボビン付き部分コイルを並べてコイル列104を形成し、これに支持部材101と積層ヨーク103(4つの板状積層ヨーク103a)で構成された棒状部材を挿入することにより固定子が組み立てられる。ボビンの幅(軸方向の長さ)の誤差は蓄積するが、各ボビンの幅の誤差を小さく抑えることにより全体の誤差の蓄積量を減らすことができる。このボビン108も絶縁材料で構成され、部分コイル同士を絶縁するとともに、部分コイルと板状積層ヨーク部材103aとを絶縁する。また、ボビン108に設けられた側板は、隅部に切り欠きが設けられている。これはコイル列104の各部分コイルの巻き始め部分と巻き終わり部分の導線を隅部付近において軸に沿って這わせるための配慮である。また、ボビン108に設けられた側板の厚さw3はコイル104の巻き線の径の1/2より大きな寸法となっている。これは巻き始め部分に繋がる導線をコイル列104の外周部を這わせて引き出したい場合や、巻き終わり部分の導線をコイル列104の内周を這わせて引き出したい場合に対する配慮である。すなわち、そのような場合には導線を内周部から外周部に向けて、あるいは外周部から内周部に向けてコイル列104の側面を横切らせる必要がある。その際に部分コイルと部分コイルの間に巻き線1本分の隙間を保証するためにコイルボビンの側板108aの厚さは巻き線径の1/2より厚くする必要がある。
【0053】
図1G、図1Hに支持部材101の変形例を示す。支持部材の内部に冷媒循環路を設けてここに冷媒を循環させることによりリニアモータを冷却するので、支持部材は熱伝導の優れた材質、例えばSiCやアルミニウム等で構成されることが望ましい。アルミニウムのような導体で支持部材101を構成しても磁石の磁束は板状積層ヨーク103a内を循環するので、支持部材101に漏れることはなく渦電流は発生しない。支持部材101をSiCで作製する場合は、複雑な加工がしにくいので図1Aに示したような単純な流路102を設けることが望ましい。一方、支持部材101をアルミニウムで作製する場合は、例えば押し出し加工により複雑な断面形状の作製が可能なので、例えば図1Gのような日章旗形の流路(軸を中心として放射状に配置された複数の溝を有する流路)や、図1Hのような蜂の巣形の流路を設けて、支持部材と冷媒との間の熱伝達の効率を高めることが容易である。なお、支持部材の材質や流路の形状に制約はないが、外形は平面部を含んで構成されるコイル列104に適合した平面部を有するものとすることが望ましい。
【0054】
[第2の実施の形態]
図2A及び図2Bは、本発明の第2の実施の形態を示す図である。この実施の形態は、第1の実施の形態の構成に加えて、磁石列105とコイル列104との間に隔壁110を設け、隔壁110とコイル列104との間にも冷媒を循環させてコイル列104の冷却能力を向上させたものである。隔壁110は、図2Aのように四角形形状でもよいし、図2Bのように円筒形状でもよいし、他の形状でもよい。隔壁110は、例えばセラミックや樹脂等の絶縁材料で構成される。
【0055】
[第3の実施の形態]
図3は、本発明の第3の実施の形態の1軸ステージ装置を示す図である。この1軸ステージ装置では、略四角形形状のコイル列104を有する第1の実施の形態のリニアモータを有する。
【0056】
定盤303上にいわゆるT型のエアスライド302が固定されており、T型エアスライド302に沿って1軸方向に滑動可能にステージ301が支持されている。ステージ301の両側には、第1の実施の形態の略四角形形状のコイル104を有するリニアモータ300が配置されている。リニアモータ300の可動子はステージ301に結合され、固定子は支持部材101の前後端に設けた支柱304を介して定盤303に固定されている。この支柱304を介して冷却媒体がリニアモータ300の固定子内部を循環する。
【0057】
この実施の形態のステージ装置は、従来例の円筒形状のリニアモータを用いた場合に比べ同一推力での発熱が少ないという利点がある。また、このステージでは、固定子内部を冷却しているのでコイルの発熱を効率よく排熱できる。また、このステージ装置は、リニアモータ300が従来例の円筒形状のリニアモータに比べて磁石やコイルの位置決め精度が高いので推力変動が少なく、特に一定速度で走行したときの目標に対する誤差を少なく出来るという利点がある。
【0058】
[第4の実施の形態]
図4は、本発明の第4の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。第1の実施の形態では、可動子を構成する平面状磁石列105のユニット数が4個で、コイル列104が略四角形であったが、この実施の形態では、平面状磁石列405のユニット数が3個で、コイル404が略三角形形状を有する。この構造の特徴は、第1の実施の形態に比べて、コイルの隅部の空間、特に外周側の空間が広いということである。このため、第1の実施の形態に比べて、引き出せる巻き線の本数が増える。これにより、配置可能な部分コイルの個数が増え、ストロークを延ばす事が出来る。
【0059】
リニアモータ400以外のステージ装置の構成は第3の実施の形態と同じである。ステージ装置への適用において、可動子の断面形状が略三角形であるため、第3の実施の形態に比べて、可動子の剛性が高く最低次の固有振動数が高くなるという利点がある。
【0060】
[第5の実施の形態]
図5は、本発明の第5の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。この実施の形態は、可動子を構成する平面状磁石列505のユニット数を2個とし、コイル504を略長円形にしたものである。この実施の形態によれば、第4の実施の形態に比べてさらにコイル504の隅部(端部)の空間は広くなり、第4の実施の形態よりもさらに多数のコイル504を設けることが出来る。
【0061】
また、このリニアモータ500をステージ装置に適用した場合は、第4の実施の形態よりもさらに可動子の剛性が高くさらに制御性能が向上する。
【0062】
[第6の実施の形態]
図6は、本発明の第6の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。第4の実施の形態ではリニアモータ固定子は支柱304を介して定盤303に固定されていたのに対して、この実施の形態では、ステージ301の左右のリニアモータ固定子は、支柱304を介して質量要素610に固定されている。質量要素610は定盤303との間に不図示のエアスライドを形成しており、側面に設けられたコロ611でガイドされて1軸方向に滑動自在に支持されている。リニアモータ600によってステージ301を加速すると、加速のための推力がステージ301に作用するが、その反力がリニアモータ固定子にかかる。しかし、リニアモータ固定子は滑動自在な質量要素610に固定されているので反力によって固定子と質量要素610は一体となってステージ301と逆方向に加速される。リニアモータ固定子および質量要素610はいわゆるパッシブカウンタを構成し、定盤303に加速反力や重心変化を与えない構成である。この構成は、定盤303が除振台などに支持されている場合に特に有効であり、床からの振動を除振台で絶縁しつつ加速やステージ移動時にも定盤の姿勢を変化させないのでよりいっそうの精度向上が達成できる。
【0063】
コロ611は、図示のような機械的なものでも良いし磁気軸受けやリニアモータを使って非接触に力を与えて結果的に横方向の動きと回転を規制するようにしてもよい。
【0064】
[第7の実施の形態]
図7は、本発明の第7の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。
【0065】
この実施の形態は、第6の実施の形態の改良例を提供する。この実施の形態においても、第1の実施の形態の断面が略四角形状のリニアモータを1軸ステージに適用し、そのリニアモータの固定子を1軸に移動可能な質量要素と一体に結合してパッシブカウンタを実現している。この実施の形態の特有の構成は、質量要素710がリニアモータ700の可動子および固定子を囲むように配置され前後端に設けた端板711で結合したこと、可動子および固定子を囲むように配置された質量要素710の中に流路720が形成されており、この流路720を通して冷媒を循環させ質量要素710を冷却するようにしたことである。
【0066】
質量要素710が可動子を囲むように配置することにより、リニアモータ700の推力作用線上に固定子および質量要素710の一体物の重心を概ね一致させることができる。これにより固定子および質量要素710の一体物が反力でステージ301と逆方向に加速されるとき、該一体物から定盤303に作用するモーメントをほぼゼロにすることが出来る。この結果、一体物と定盤303との間の滑動面付近での定盤303の局部的な変形を防止することができる。また、質量要素710を固定子の両端よりも前後に設けた場合に比べて、一体物全体の軸方向の長さを短くすることが出来る。
【0067】
さらに、このように可動子ひいてはリニアモータ700全体を質量要素710で囲むようにし、かつ質量要素710の内部に流路720を設けて冷媒を循環させることにより、質量要素710を熱隔壁としても機能させることができる。これにより固定子内部に設けた冷媒で除去しきれなかったコイルの発熱をほぼ完全に除去することができる。コイルの発熱のほとんどは熱伝導により積層鉄心103(板状積層ヨーク103a)、支持部材101を経て支持部材101内部の冷媒へと伝達される。しかし、コイルの外側の空気にも熱は逃げてゆく。すると、コイルの外側の雰囲気はゆらぐので干渉計などでステージ301の位置を制御している場合は計測精度が劣化する。そこで、コイルの外側の空気に逃げた熱をさらに回収するために固定子全体を質量要素710としての壁で囲んでその壁内に冷媒を通すことによりその壁の内部を冷却する。これにより、固定子内部の冷媒で除去しきれなかった発熱のほとんどはこの質量要素710がつくる壁に吸収され内部を循環する冷媒により外部に排出される。
【0068】
第2の実施の形態の構成も固定子の支持部材内部の冷媒で除去しきれなかった熱を回収するという機能を有する。しかし、第2の実施の形態では、磁石とコイルとの間に隔壁を設けて隔壁内部に冷媒を循環させるので磁気ギャップが大きくなり同一推力発生時の発熱が増加する。磁気ギャップを増加させないという観点では隔壁の厚さは出来る限り薄くしたいところであるが隔壁には冷媒の内圧がかかるのでそれほど薄くすることが出来ない。また、特に冷媒として油ではなく水を使用する場合、コイルと冷媒との絶縁を保証しなければならない。また、隔壁と磁石は相対運動をするので隔壁を導体で形成すると渦電流が発生して更なる発熱を起こす。つまり、第2の実施の形態では隔壁の材質が制限される。筒状の隔壁は金属では形成しやすいがセラミックや樹脂では形成しにくい。一方、この実施の形態では、磁石とコイルとの間には何も設けないので同一推力発生時のコイル発熱が増加することはない。また、コイルと冷媒の絶縁を考える必要もないのでコイルの安全性、信頼性が向上する。
【0069】
以上のように、可動子および固定子を囲むように熱隔壁を設けてその隔壁内に冷媒を流す方式は、可動子と固定子コイルとの間に隔壁を設けて隔壁と固定子コイルとの間に冷媒を流す方式と比べて、1)隔壁および冷媒空間による磁気ギャップの増加、2)隔壁と固定子コイルとの絶縁の問題、3)隔壁材質の制約の問題をすべて解決することが出来るという優れた効果がある。
【0070】
[第8の実施の形態]
図8A〜図8Cは、本発明の第8の実施の形態の2軸のステージ装置の構成を示す図である。この実施の形態は、第7の実施の形態の1軸のステージ装置の構成をベースにしてにして2軸のステージを構成したものである。
【0071】
第1の実施の形態に代表されるリニアモータが可動磁石・固定コイルタイプであり、コイルの空間密度を高めた構成なので固定子が重いという特徴がある。また、第6の実施の形態、第7の実施の形態は、固定子にさらに質量要素を付加しているのでさらに重くなっている。よって、第7の実施の形態をベースとして2軸ステージを構成する場合において、単純に1軸ステージを2段重ねたのでは、上のステージに重いリニアモータが搭載されるので下のステージが搬送する構造物の質量が相当に増加する。そこで、固定子の重いリニアモータを用いた場合でも搬送質量が大きくならないようないわゆる田の字ステージの構成とした。
【0072】
ステージの基本構成は、図8Cに示すように、定盤810上にXヨーガイド811及びYヨーガイド812でガイドされたXビーム802及びYビーム805を設け、その交差点にXビーム802及びYビーム805と相互にエアスライドで滑動自在にガイドされるステージ801を配置したものである。このステージと第7の実施の形態で示すリニアモータおよび冷却付きパッシブカウンタを組み合わせた。上から見た図が図8A、正面から見た図が図8Bである。Xビーム802がYビーム805の上に配置されているのでXビーム802を駆動するリニアモータ固定子はカサアゲ板を介して定盤810に対して滑動自在に支持されている。Yビーム805を駆動するリニアモータ固定子は第7の実施の形態と同様に固定子とそれを囲むように設けた質量要素自体が定盤810に対して滑動自在に支持されている。
【0073】
この実施の形態の基本的な作用効果は第7の実施の形態に従うが、重いリニアモータ固定子を搬送しない構成であるためにX駆動系もY駆動系も搬送質量は同じであるのでX駆動系及びY駆動系として同一仕様のリニアモータが使えること、ステージから熱源を遠ざけて配置できること、田の字構成にしたので2次元でパッシブカウンタを形成することができるという特徴がある。
【0074】
[第9の実施の形態]
図9は、本発明の第9の実施の形態のステージ装置を示す図である。この実施の形態は、第7の実施の形態を改良して、特に真空中での使用に適した構成としたものである。
【0075】
この実施の形態の基本構成は第7の実施の形態とほぼ同様であるが、リニアモータの可動子950とステージ901との連結部902を略四角形をした可動子950の隅部に設けたこと、およびいくつかの真空対応処理を施したことが特徴である。まず、可動子950とステージ901との連結部902を可動子950の隅部に設けたのは、第7の実施の形態のように固定子960の支持部材961内部を循環する冷媒で除去しきれなかった熱を回収する能力をさらに向上させるためである。第7の実施の形態では可動子とステージとの連結部を四角形状をした可動子の一辺の中央あたりに設けている。そのため可動子および固定子を囲むように設ける熱隔壁をこの連結部の部分に設けることができず、このために熱隔壁は図7に示すように略四角形の可動子の一辺の中央部で切断された構造となる。ところが、可動子の辺(面)はコイルの辺(面)と対面している部分であるので熱が伝わりやすい部分である。大気中であれば伝導により、真空中であれば輻射により、いずれの環境で使用される場合においても、可動子の辺(面)にはコイルが発生する熱が伝わりやすい幾何学的配置になっている。そこで、図9に示すように可動子950とステージ901との連結部902を可動子950の隅部に設けることが望ましい。これにより、コイルの辺(平面部)に対してほぼ完全に質量要素兼用の熱隔壁を対面させることができるので、排熱能力が向上する。
【0076】
ここまでの説明は大気中における使用においても同様に当てはまる。
【0077】
次に、いくつかの真空対応処理について説明する。この実施の形態では、コイル962の外側に薄いカバー963が設けられている。これはカバー963より内側のコイル962や積層ヨーク964からの脱ガスを封止することを目的とする。コイル962や積層ヨーク964には形状を保持するための樹脂が使われている。これらをそのまま真空中に持ち込むと真空度を低下させることが知られている。さらに、コイル962の発熱を積層ヨーク964を介して支持部材961およびその内部の冷媒へと伝達するにはコイル962と積層ヨーク964との間、積層ヨーク964と支持部材961との間に真空部分が形成されることを避けるために意図的にわずかな空隙を設けてそこに熱伝導性に優れた樹脂等の伝導材を充填することもある。ここからの脱ガスも問題になる。よって、コイル962の外側に薄いカバー963を設けることにより、樹脂を使用したコイルやヨークなどの通常では真空中に持ち込めない部材を真空中で使用可能になる
次に、可動子950が輻射による熱を吸収しにくくするために、例えば、可動子表面にNiメッキ、クロムメッキ等が施したり、あるいはアルミニウム箔などの反射材を貼り付けたりすることが望ましい。このような反射処理はコイル962に対面している部分の全てに施すことが望ましい。すなわち、可動子950の内側の面の全てにこのような反射処理をすべきである。一方、可動子950および固定子960を囲むように設けられた質量要素970の内側部は、例えば、ブラックアルマイト処理をしたり、黒色の板などの吸収材を貼り付けたりすることが望ましい。これにより、コイル962からの輻射による熱を吸収しやすくする。なお、質量要素970は、Vガイド980により定盤981上に支持される。
【0078】
[第10の実施の形態]
図10は、本発明の第10の実施の形態のステージ装置を示す図である。この実施の形態は、第9の実施の形態を改良して取り付け部の剛性を向上させたものである。
【0079】
第9の実施の形態では、質量要素兼隔壁970による排熱能力を重視して可動部950とステージ901との結合部902を可動子950の隅部に設けた。この構成は、一般的には、隅部の剛性が低下しやすいのでステージ901に位置サーボをかけたときのサーボゲインの上限が制限を受けやすい。そこで、この実施の形態では、可動子全体の剛性を向上させ、ひいてはステージ全体の剛性を向上させることを目的として可動子のわく部材をヨーク材質以外のセラミック等の高剛性材料で構成するようにした。
【0080】
第1〜9の実施の形態では、平面磁石列の裏に設けたバックヨークが磁石列の磁束を循環させる機能と可動子の構造体を構成する機能とを兼用していた。磁石列をハルバッハ配列にするとバックヨークは薄くてもよい。しかし、構造体としての剛性を確保するためにバックヨークを厚くしなければならなかった。そこで、磁束循環の機能と構造体の機能とを分離して、構造体として鉄よりも剛性の高い材料を採用することで、同一厚さにおける可動子の剛性を高めることが出来る。
【0081】
この実施の形態では、磁石列1003の裏に磁束を循環させるために必要最小限のバックヨーク1001を設け、その磁石列1001と薄いバックヨーク1001とをセラミック板1002で支持して、これを4つ組み合わせて可動子を構成している。この結果、可動子の剛性が向上し、ひいてはステージのサーボ性能が向上する。
【0082】
[第11の実施の形態]
図11は、本発明の第11の実施の形態のステージ装置を示す図である。この実施の形態は第10の実施形態の変形例を提供する。
【0083】
第10の実施の形態で示した磁束循環の機能と構造体の機能とを分離するという思想をさらに進めると構造体を必ずしも平面で構成する必要はない。本発明の1つの側面は、可動子の磁石列と固定子の積層鉄心を略直方体形状或いは略平面形状で構成することである。これさえ実現すれば可動子の形状は問わない。第1〜9の実施の形態では、バックヨークが構造体を兼ねているので、構造体の形状も磁石列の形状の影響を受けたものになっている。しかし、第10の実施の形態のように、磁束循環の機能と構造体の機能とを分離することにより、構造体の形状の自由度が増し、この実施の形態に示すように、円環状のセラミック1101を可動子の構造体として用いることができる。この実施の形態によれば、可動子の構造体を円環形状にしたので第10の実施の形態よりもさらに可動子の剛生が向上する。
【0084】
[その他]
上記の種々の実施の形態に代表されるリニアモータ或いはそれを利用したステージは、例えば、半導体デバイス或いはマイクロデバイス等のデバイスを製造するための露光装置を構成する装置の一部、例えば、ウエハステージ又はレチクルステージとして利用されうる。
【0085】
次に前述した実施形態のいずれかのリニアモータを用いたステージをレチクルステージまたはウエハステージとして搭載した走査型露光装置の実施形態を、図13を用いて説明する。
【0086】
レチクルステージ73を支持するレチクルステージベース71Aは、露光装置のウエハステージ93を支持する台盤92に立設されたフレーム94と一体であり、他方リニアモータベース71Bは台盤92と別に床面Fに直接固定された支持枠90に支持される。また、レチクルステージ73上のレチクルを経てウエハステージ93上のウエハWを露光する露光光は、破線で示す光源装置95から発生される。
【0087】
フレーム94は、レチクルステージベース71Aを支持するとともにレチクルステージ73とウエハステージ93の間に投影光学系96を支持する。レチクルステージ73を加速および減速するリニアモータの固定子75がフレーム94と別体である支持枠90によって支持されているため、レチクルステージ73のリニアモータの駆動力の反力がウエハステージ93に伝わってその駆動部の外乱となったり、あるいは投影光学系96を振動させたりするおそれはない。
【0088】
なお、ウエハステージ93は、駆動部によってレチクルステージ73と同期して走査される。レチクルステージ73とウエハステージ93の走査中、両者の位置はそれぞれ干渉計97,98によって継続的に検出され、レチクルステージ73とウエハステージ93の駆動部にそれぞれフィードバックされる。これによって両者の走査開始位置を正確に同期させるとともに、定速走査領域の走査速度を高精度で制御することができる。
【0089】
次に上述した露光装置を利用した半導体デバイスの製造方法の実施形態を説明する。図14は半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造のフローを示す。ステップS11(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップS12(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップS13(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いて基板であるウエハを製造する。ステップS14(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップS15(組立)は後工程と呼ばれ、ステップS14によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の工程を含む。ステップS16(検査)ではステップS15で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これが出荷(ステップS17)される。
【0090】
図15は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップS21(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップS22(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を形成する。ステップS23(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップS24(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップS25(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップS26(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップS27(現像)では露光したウエハを現像する。ステップS28(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップS29(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンが形成される。本実施形態の製造方法を用いれば、高集積度の半導体デバイスを製造することができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、例えば製作が容易な構造を有するリニアモータ並びにこれを有するステージ装置及び露光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1A】、
【図1B】、
【図1C】、
【図1D】、
【図1E】、
【図1F】、
【図1G】、
【図1H】、
【図1I】、
【図1J】、
【図1K】、
【図1L】、
【図1M】
【図1N】本発明の第1の実施の形態のリニアモータの構成を示す図である。
【図2A】、
【図2B】本発明の第2の実施の形態のリニアモータの構成を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態の1軸ステージ装置を示す図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。
【図7】本発明の第7の実施の形態のリニアモータ及びそれを利用したステージ装置を示す図である。
【図8A】、
【図8B】、
【図8C】本発明の第8の実施の形態の2軸のステージ装置の構成を示す図である。
【図9】本発明の第9の実施の形態のステージ装置を示す図である。
【図10】本発明の第10の実施の形態のステージ装置を示す図である。
【図11】本発明の第11の実施の形態のステージ装置を示す図である。
【図12A】、
【図12B】従来例のリニアモータを示す図である。
【図13】本発明の露光装置の一例を示す図である。
【図14】本発明のデバイス製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図15】図14のウエハプロセスの内容を示すフローチャートである。

Claims (32)

  1. 固定子と可動子を有するリニアモータであって、
    前記固定子は、支持部材と、複数の平面状のヨーク部材を含む固定ヨークと、前記固定ヨークの外側に配置され、前記固定子の軸方向に並べて配列される複数の部分固定コイルからなる固定コイルとを有し、前記複数のヨーク部材は、互いに面接触することなく前記支持部材の複数の外側面にそれぞれ取り付けられていて、これにより前記固定ヨークの隅部に前記ヨーク部材が存在しない第1空間が形成され、
    前記可動子は、前記固定コイルの外側に配置され、
    前記可動子は、それぞれ磁石列が平面状に配置された複数の平面状のバックヨークを前記磁石列が内側になり、かつ、前記固定子の軸方向に切断した断面において閉じた多角形状になるように組み立てて構成さこれにより前記可動子の内側の隅部に前記磁石列が存在しない第2空間が形成され、
    前記固定コイルは、前記バックヨーク及び前記固定ヨークと平行な平面形状部分を有し、前記各部分固定コイルからの引き出し導線が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分と他の平面形状部分との境界付近において前記第1空間及び/又は前記第2空間を利用して前記固定子の軸に沿って通るように配置されていることを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記固定ヨークは、前記複数の平面状のバックヨークにそれぞれ平行な複数の平面形状部分を含み、各平面形状部分は、該平面形状部分に垂直でかつ前記固定子の軸に平行な多数の層を積層した積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  3. 前記固定コイルの巻き始め部分が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分と他の平面形状部分との境界付近に位置することを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  4. 前記固定コイルの巻き終わり部分が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分と他の平面形状部分との境界付近に位置することを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  5. 前記固定コイルの巻き始め部分及び巻き終わり部分が、前記固定コイルにおける1つの平面形状部分と他の平面形状部分との境界付近に位置することを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  6. 前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁石は、断面において4角形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  7. 前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁は、断面において三角形状に構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  8. 前記固定ヨーク、前記固定コイル及び前記可動磁は、それぞれ2つの平面形状部分を有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  9. 前記支持部材が、冷媒を流すための流路をその内部に有することを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  10. 前記流路の断面形状が円形であることを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  11. 前記流路が、前記支持部材の内部に複数個設けられていることを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  12. 前記流路が、前記固定子の軸を中心として放射状に配置された複数の溝を有することを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  13. 前記流路の断面形状が蜂の巣状であることを特徴とする請求項に記載のリニアモータ。
  14. 前記支持部材が、金属で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  15. 前記支持部材が、セラミックで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  16. 前記固定子の前記固定コイルと前記可動子の前記可動磁石との間に隔壁が配置され、前記固定コイルと前記隔壁との間に冷媒を流すための流路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  17. 前記隔壁の断面が多角形であることを特徴とする請求項16に記載のリニアモータ。
  18. 前記隔壁の断面が円形であることを特徴とする請求項16に記載のリニアモータ。
  19. 前記隔壁が、絶縁材料で構成されていることを特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  20. 前記リニアモータは、前記複数の部分固定コイル列をそれぞれ位置決めする位置決め部材を更に有することを特徴とする請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  21. 前記位置決め部材は、前記固定コイルの軸方向に切断した断面において櫛歯形状を有し、該櫛歯形状を構成する櫛歯と櫛歯との間に前記部分固定コイルが位置決めされることを特徴とする請求項20に記載のリニアモータ。
  22. 前記部分固定コイルはボビンに巻かれていることを特徴とする請求項1乃至請求項21のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  23. 前記ボビンが、その側板に切り欠き部を有することを特徴とする請求項22に記載のリニアモータ。
  24. 前記ボビンの側板の厚さが、前記固定コイルの巻線の径の1/2よりも大きいこと特徴とする請求項22又は請求項23に記載のリニアモータ。
  25. 前記固定コイルの外側に、脱ガス防止用のカバーを有することを特徴とする請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  26. 請求項1乃至請求項25のいずれか1項に記載のリニアモータと、前記リニアモータによって駆動されるステージと、
    を備えることを特徴とするステージ装置。
  27. 前記リニアモータの固定子に連結された質量要素と、
    前記固定子と前記質量要素とを含む構造物を滑動自在に支持する定盤と、
    を更に備えることを特徴とする請求項26に記載のステージ装置。
  28. 前記質量要素が、前記リニアモータの固定子及び可動子を取り囲むように配置されていることを特徴とする請求項27に記載のステージ装置。
  29. 前記質量要素が、冷媒を流すための流路をその内部に有することを特徴とする請求項27又は請求項28に記載のステージ装置。
  30. 前記可動子が、少なくとも前記固定子に対面する面に、前記固定子からの輻射熱を反射するための反射体を有し、前記質量要素が、少なくとも前記固定子に対面する面に、前記固定子からの輻射熱を吸収するための吸収体を有することを特徴とする請求項29に記載のステージ装置。
  31. 請求項26乃至請求項30のいずれか1項に記載のステージ装置の一つ又は複数で基板及び/又は原版を位置決めするためのステージ装置として有することを特徴とする露光装置。
  32. 請求項31に記載の露光装置によりデバイスパターンでウエハを露光する工程と、該露光したウエハを現像する工程とを含むデバイス製造方法。
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