JP3889574B2 - 超電導磁石装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば理化学用NMR(核磁気共鳴)分析装置に組み込まれ、永久電流モードで運転される超電導磁石装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超電導現象は、抵抗0(ゼロ)で大電流を流すことができるという特徴を生かして、大電流送電、強磁場発生機器などすでに幅広い範囲での利用がなされているが、ますます利用範囲の拡大が図られている。
【0003】
特に高分解能NMRマグネットは、大電流通電による強磁場発生であることと抵抗0であることとを利用して永久電流運転を行うものであり、超電導状態でのみ実現可能な応用範囲であるといえる。またNMR分光では、マグネットの発生磁場が高ければ高い程分解能が高まるので、近年ますます高磁場化の傾向にある。
【0004】
NMRマグネットとしては、超電導コイルを分割して適当な間隔で配置することにより均一磁界を確保するものが知られており、このNMRマグネットに使用されている超電導線材は、ニオブ・チタン(NbTi)と、ニオブ・スズ(Nb3Sn)とが一般的である。
【0005】
この臨界磁場(超電導性を保持できる最高磁場)はそれぞれ11T、23T程度であるので、中・高磁場用マグネットはNbTiで製作されるが、高磁場用マグネットは外層をNbTi、内層をNb3Snとして組み合わせてそれぞれを超電導接続して製作される。なお、NbTi−NbTi、NbTi−Nb3Sn、Nb3Sn−Nb3Snの超電導接続技術については既に知られており、NMRマグネットに必要とされる時間安定性を確保するため、コイル間を超電導接続で接続して、永久電流モードで運転するようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、NMRマグネットでは、超電導コイルが、図3(a)に示すように、中心磁場の磁場減衰が0〜0.02ppm/hrにあれば合格となるが、0.02ppm/hrをこえると不合格、つまりスペックアウトとなる。
【0007】
したがって、製造工程で超電導接続の製作条件が僅かにずれたり、Nb3Sn線材に僅かの衝撃が加わって、線材がダメージを受けたりしただけで、磁場減衰量が0.02ppm/hrを超えてしまい、容易にスペックアウトとなるが、その場合にリカバリが効かないこともあり、コストアップの要因となっていた。
【0008】
一方、NMRマグネットのさらなる高磁場化の要請に応じるべく、外・中層マグネットをそれぞれNbTi、Nb3Sn線材で製作し、内層コイルを酸化物超電導線材で製作することが提案されている。
【0009】
しかし、この場合には、酸化物超電導線材と金属系線材とを超電導接続すること自体が非常に困難であるし、たとえそれが解決したとしても酸化物超電導体は磁力線のピンニング力が弱い(磁力線自体が動き易い)という材料本来の特性から、微小抵抗の発生が避けられないという基本的な問題を含んでいた。
【0010】
したがって、酸化物超電導線材を使用してNMRマグネットを構成したとすると、この酸化物超電導線材の微小抵抗のため、永久電流モード運転に移行したとしても、少しづつ磁場減衰することは避けられない。酸化物超電導体は、100Tクラスの上部臨界磁場を持ちながらも、20〜25TでのNMRマグネットの使用には供されていない所以である。特に近年では高分子量のタンパク質構造解明のため、高磁場NMRの開発が嘱望されている状況にあるが、上記理由によりその達成が困難であった。
【0011】
このように、NMRはますます高磁場化が進み、酸化物超電導線材を用いたコイルの出現が望まれているものの、金属系線材のみで構成したマグネットについては、一旦製作したマグネットの磁場減衰量が0.02ppm/hrを超えてスペックアウトすればこれを救済する手段はなく、また酸化物コイルについては、材料本来の特性から0.02ppm/hrという値を達成すること自体が不可能であるとの状況にあった。
【0012】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、金属系線材でのスペックアウトからのリカバリを可能とし、さらに酸化物超電導線材をも用いることのできる超電導磁石装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、主励磁用電源に接続され、試料空間に主磁場を発生する円筒状の、永久電流モードで運転される主超電導コイルを具備した超電導磁石装置において、主励磁用電源とは電気的に独立に設けられた補助励磁用電源と、当該補助励磁用電源から供給される電流によって試料空間に主磁場と同方向の補助磁場を発生する、上記主超電導コイルと同軸に配置された円筒状の補助コイルと、補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を主磁場の強度の経時変化分に応じて変化させる電流調整手段とを具備し、補助励磁用電源の電流リップルは、下記の条件式(1)を満足することを特徴とする超電導磁石装置。
【数1】
ここで、H main は主超電導コイルにより試料空間に発生する主磁場の定格値、H comp.(max) は補助コイルに最大通電容量の電流を流したとき、この補助コイルが上記試料空間に発生する補助磁場の値、I comp.(max) は補助励磁用電源の最大容量電流値、A ripple(max) は補助励磁用電源の電流リップル振幅の最大値である。
【0014】
この構成によれば、主励磁用電源とは電気的に独立に設けられた補助励磁用電源から、これに接続されて主磁場と同方向の補助磁場を発生する円筒状の補助コイルへ供給される電流が、電流調整手段により主磁場の強度の経時変化分に応じて変化させられるので、主超電導コイルの発生する主磁場の時間的な減衰を補償することにより、測定試料部分の磁場変化を少なくし、永久電流モードでの運転時に必要な磁場安定性を満たすことができる。
【0015】
したがって、製造工程で超電導接続の製作条件が僅かにずれたり、製作中の線材に僅かの衝撃が加わって、線材がダメージを受けたりしたことにより主磁場の磁場減衰量が0.02ppm/hrを超えてスペックアウトした場合であってもリカバリが効く結果、装置の製造コストが低減化される。
【0016】
また、材料本来の特性からスペックアウトしてしまう酸化物超電導線材であっても、磁場減衰量が補償されて安定性が確保される結果、その酸化物超電導線材を用いて装置の高磁場化が図られる。
【0017】
さらに、補助コイルを主超電導コイルと同軸に配置し、両コイルの相対位置を一定化したこととすれば、中心磁場の均一度が乱されず、これによっても高安定性を満たすことができる。
【0018】
例えば請求項2記載の発明のように、補助コイルを液体ヘリウム容器の外側に巻回したこととすれば、補助コイルは容器壁を介して液体ヘリウムに接しているので、主超電導コイルとほぼ同じ温度に維持される結果、装置外部で温度変動があっても主超電導コイルと補助コイルとの間の相対位置が変化しなくなる。また、この場合には、補助コイルは液体ヘリウム容器外にあるので、装置完成後に後付けできて便宜である。
【0019】
或いは、請求項3記載の発明のように、補助コイルをヘリウムボアチューブに巻回したこととすれば、補助コイルは主超電導コイルと同じ容器内で液体ヘリウムに接しているので、各コイルは全く同じ温度に維持される結果、装置外部で温度変動があっても主超電導コイルと補助コイルとの間の相対位置が変化しなくなる。また、この場合には、液体ヘリウム容器内に各コイルが収納されるので、装置のサイズアップを避けて、そのコンパクト化が図られる。
【0020】
請求項4記載の発明のように、主磁場の強度の経時変化分を検出する検出手段を備え、電流調整手段はこの検出信号に基づいて上記補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を変化させるものであることとすれば、主磁場の強度の微小変化に追従したフィードバック制御がなされる。
【0021】
ところで、現実のコイルにおいては、励磁後、数ヶ月経つと、中心磁場の減衰率はほぼ一定になる。したがって、常に周波数をモニターする必要はなく、最初の2ヶ月程度観測すれば、その後の変化率は予測することができる。そこで、請求項5記載の発明のように、主磁場の強度の経時変化分を予め測定しておき、電流調整手段はこの測定値に基づいて上記補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を変化させるものであることとすれば、制御系が非常に簡単なものとなる。
【0022】
一般に、主励磁用超電導コイルが、図3(a)に示すように、中心磁場の磁場減衰が0〜0.02ppm/hrにあれば合格となるが、0.02ppm/hrをこえると不合格、つまりスペックアウトとなる点については既に述べた通りである。このスペックアウトした主励磁用超電導コイルの一例が(b)であるとし、いま補助コイルに通電するとする。このとき補助励磁用電源の電流リップルが大きいとすると、(c)に示すように、主磁場にリップルによる変動の大きい補助磁場が合成されるが、この場合に上記合格領域を外れてしまうこととなるので、救済されない。一方、(d)に示すように、主磁場にリップルによる変動の小さい補助磁場が合成されると、この場合には上記合格領域に収まることとなるので、救済される。
【0023】
そのためには、請求項1記載の発明のように、補助励磁用電源の電流リップルは、下記の条件式(1)を満足することとすればよい。
【0024】
【数2】
【0025】
ここで、Hmainは主超電導コイルにより試料空間に発生する主磁場の定格値、Hcomp.(max)は補助コイルに最大通電容量の電流を流したとき、この補助コイルが上記試料空間に発生する補助磁場の値、Icomp.(max)は補助励磁用電源の最大容量電流値、Aripple(max)は補助励磁用電源の電流リップル振幅の最大値である。
【0026】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施形態における超電導磁石装置の基本概念を示す回路図、図2はその概略構造を示す縦断面図である。
【0027】
図1に示すように、本実施形態における超電導磁石装置(本装置)1は、例えばNMR測定に用いられるマグネットであって、主励磁用電源2と、主励磁用電源2に接続され、試料空間Aに主磁場を発生する円筒状の主超電導コイル3,4と、主超電導コイル3,4を短絡させて閉回路を構成する熱式の永久電流スイッチ5とを具備し、さらに主励磁用電源2とは電気的に独立に設けられた補助励磁用電源6と、補助励磁用電源6に接続され、試料空間Aに主磁場と同方向の補助磁場を発生する、主超電導コイル3,4と同軸に配置された円筒状の補助コイル7と、補助励磁用電源6から補助コイル7へ供給される電流を所定割合で変化させる電流調整手段8とを具備している。なお、図中の9は永久電流スイッチ5の加熱用電源、10は主超電導コイル3,4で発生する主磁場の強度の経時変化分を検出するための検出手段としてのスペクトロメータ、11は主超電導コイル3,4等を内蔵するクライオスタットである。
【0028】
主励磁用電源2は、主超電導コイル3,4の超電導体に流れる数百A程度の最大電流を供給可能な容量を有する。この最大電流は、上記超電導体の磁界によって決まる臨界電流密度と、導体中に占める断面積とによって決まる。かかる導体としては、本装置1では、複数本の超電導素線を撚り合わせた超電導線が用いられる。
【0029】
補助励磁用電源6は、補助コイル7の導体に流れる最大電流(後述)を供給可能な容量を有する。本装置1では、補助コイル7にも上記主超電導コイル3,4と同様の超電導体を用いている。
【0030】
クライオスタット11は、図2に示すように、上記各超電導コイル3,4,7と永久電流スイッチ5とを液体ヘリウム等で臨界温度以下に保持する圧力容器である。試料空間Aは、分析試料を挿入して、高磁場を生じさせた状態で所定の組成分析を行うための常温の空間である。このため、クライオスタット11の軸心には、内部に試料空間Aを作るための内筒12が貫通している。
【0031】
また、クライオスタット11は、その外側から外筒13、液体ヘリウム容器14、ヘリウムボアチューブ15及び上記内筒12の順に多重化された円筒状の構造となっており、外筒13と液体ヘリウム容器14との間にはさらに液体窒素が満たされた圧力円筒容器(液体窒素容器)16があって、それぞれの間は真空に保たれている。液体ヘリウム容器14の中には液体ヘリウムが充填されている。なお、ここでは、液体ヘリウム容器14内と液体窒素容器16との間に、補助コイル7が収納されるので、その分だけ液体ヘリウム容器14内と液体窒素容器16との間隔を広く設定する必要がある。
【0032】
主超電導コイル3,4は、永久電流スイッチ5とともに、液体ヘリウム容器14内に固定され、従来例と同様のコイルを構成している。具体的には、ニオブ・スズ(Nb3Sn)超電導線材が巻回された内層コイル(3)と、その外側に同心状に配置され、ニオブ・チタン(NbTi)超電導線材が巻回された外層コイル(4)とが、図1の励磁用電源2と直列に接続されてなり、永久電流スイッチ5が同コイル3,4と並列に接続されて閉回路を構成できるようになっている。ここで、主超電導コイル3,4はそれぞれ所要のターン数を有して配設されているが、このうち3は4よりも軸心方向の長さが若干短く設定されている。これにより、試料空間Aにおける軸心方向の磁場の均一度を(軸心方向両端による磁界の乱れを抑制することで)可及的に高めるようになっている。
【0033】
また、補助コイル7は、液体ヘリウム容器14の外周面に密着するようにして固定され、ニオブ・チタン(NbTi)超電導線材が巻回されたコイルが、図1の補助励磁用電源6に直列に接続されて閉回路を構成している。
【0034】
そして、補助コイル7は、主超電導コイル3,4に同軸に、かつ液体ヘリウム容器14の軸心方向で中央振り分けに上下対称となる位置、本実施形態では、上下両側に2箇所づつそれぞれ所定数のターン数を有して(同一ターン数)配設されているが、その巻き方向は上記主超電導コイル3,4と同一方向である。したがって、電流を主超電導コイル3,4と同一方向に流すことで、試料空間A内の磁場を径方向及び軸心方向に対して均一でかつ主磁場と同一方向の補助磁場を発生できるようになっている。
【0035】
また、補助コイル7は液体ヘリウム容器14の側壁を介して液体ヘリウムに接しているので、主超電導コイル3,4とほぼ同じ温度に維持される結果、装置外部の温度変動があっても、主超電導コイル3,4と補助コイル7との間の相対位置は変化しなくなる。したがって、中心磁場の均一度が乱されず、高安定性を満たすことができる。また、この場合には、補助コイル7は液体ヘリウム容器14の外側にあるので、装置完成後に後付けできる便宜さがある。
【0036】
永久電流スイッチ5は、NbTi超電導線材にヒータ線を沿わせた熱式永久電流スイッチであり、そのヒータ線は液体ヘリウム内で直列に接続され、さらにヒータ用電源9に直列に接続されて所定のタイミングで上記閉回路を構成するようになっている。
【0037】
スペクトロメータ10は、図示しない測定プローブを備え、この測定プローブからの受信信号(測定データ)を基に主磁場の強度の経時変化を解析し、解析結果を電流調整手段8に送信するものである。なお、測定プローブは、一方向の磁場強度の経時変化分が0.02ppm/hr以下であるということを想定して製作されている。したがって、本実施形態では、補助コイル7による補助磁場を重畳した結果の主磁場の強度が、時間的には増加か減少の一方向でなければならない。すなわち、主磁場の強度が減少したり増加したりしてはならず、単調に減少するかあるいは単調に増加しなければならない。
【0038】
電流調整手段8は、例えばバッテリ21、タイマ22、RAM25及びROM29を備えるコンピュータ20から構成されている。コンピュータ20は、スペクトロメータ10からの送信信号をタイマ22による設定時間毎に取り込んで集積する周波数カウンタ機能部23と、この集積値(過去何個か分の測定データ)を平均する平均演算処理部24と、この平均値を予めRAM25に記憶しておいた参照値と比較する比較処理部26と、この比較結果に基づき補助コイル7への供給電流を計算する電流値演算処理部27と、この計算結果に基づいてタイマ22による上記設定時間毎に補助励磁用電源6の電流を変化させる電流値制御部28とを備えている。各部23,24,26〜28はROM29に記憶されている各種プログラムの実行によりコンピュータ20内に構築される。
【0039】
ところで、NMR測定では、高い磁場の安定度が要求されることから、従来は、電源から電流を供給しながら駆動することは現実的ではないとして、殆ど省みられることはなかった。このような状況は、主超電導コイル3,4と補助コイル7とを主励磁用電源2で駆動する場合には、主励磁用電源2のリップルノイズがあるので、依然として存在する。たとえば、現在の電源における最高レベルの電流リップルは、せいぜい1ppm程度である。これは、試料空間Aの磁場均一度の要求値である0.1ppmに遠く及ばず、そのままでは電源駆動は採用できない。
【0040】
しかし、本実施形態では、主励磁用電源2は主超電導コイル3,4の永久電流運転を行うためにのみ用いられ、補助励磁用電源6は主励磁用電源2とは電気的に独立した補助コイルの運転にのみ用いられるものとしている。いま、主超電導コイル3,4のドリフトが、0.2ppm/hr(スペックの10倍)であったとする。これは、5年間では、8760ppmである。一方、補助励磁用電源6で5年経った時点でフルスケールでこの8760ppmの磁場減衰を補償するだけの電流を供給するとすれば、補助励磁用電源6の電流リップルはこのフルスケールに対して1ppmとなるので、主磁場に対してのリップルは0.0088ppmとなって、目標の0.1ppmよりもさらに小さくできるのである。
【0041】
すなわち、本実施形態では、補助励磁用電源6で分担する磁場割合が小さく、したがって、補助励磁用電源6の電流リップルは、全体として要求される磁場変動(試料空間Aの磁場均一度の要求値である0.1ppm)に影響しないように、下記の条件式(1)を満足するように設定すればよいことがわかる。
【0042】
【数3】
【0043】
ここで、Hmainは主超電導コイル3,4により試料空間Aに発生する主磁場の定格値、Hcomp.(max)は補助コイル7に最大通電容量の電流を流したとき、この補助コイル7が上記試料空間Aに発生する補助磁場の値、Icomp.(max)は補助励磁用電源6の最大容量電流値、Aripple(max)は補助励磁用電源6の電流リップル振幅の最大値である。
【0044】
以下、本発明の意義を明確にするために、比較例を説明した後で本実施形態による試験結果を説明する。
【0045】
比較例1
図1において、本装置1の補助励磁用電源6、補助コイル7及び電流調整手段8を動作しないようにして比較例1のマグネットを構成した。ここでは、内層コイル(3)としてNb3Sn線材を使用し、外層コイル(4)としてNbTi線材を使用してそれぞれ製作している。内層コイル(3)を熱処理後外層コイル(4)と組み合わせる際に、内層コイル(3)の外側壁面を外層コイル(4)のフランジ角部分にぶつけたため、内層コイル(3)のNb3Sn線材に僅かにダメージが入った可能性がある。ダメージは外部からの目視観察では見分けがつかない程度のものである。
【0046】
このダメージの入った可能性のある主超電導コイル3,4を装置内にセットして液体ヘリウム等で臨界温度まで冷却する。主超電導コイル3,4に並列に接続されている永久電流スイッチ5のヒータに外部のヒータ用電源9より通電し、その永久電流スイッチ5を開状態とする。この状態で、励磁用電源2により主超電導コイル3,4に電流を流す。そして、主超電導コイル3,4の電流値が所定の設定電流値になれば、ヒータ用電源9をOFFとし、その永久電流スイッチ5を閉状態とする。これにより、本装置1を定格にて励磁し永久電流モードでの運転に入る。この励磁後に、比較例1のマグネットの主磁場強度の経時変化分を、スペクトロメータ10の測定プローブで検出する。
【0047】
図4は定格の500MHzに励磁した後の磁場減衰の様子を示すものである。図に示すように、励磁後4週間でドリフトは徐々に改善したが、それ以降2ヶ月の測定では26Hz/hr(一定値)のままであった。このマグネットのスペックは10Hz/hrとして製作されているものであるため、スペックアウトの対象となるものである。ちなみに、NMRマグネットを使用してNMR測定をしようとすると、10Hz/hrのスペックを満たすものであれば2週間の連続測定をしてデータ集積できるところ、このマグネットでは5日間の連続測定が限界であり、所望するデータ集積量が確保し得ず、満足な測定精度が得られなかった。したがって、このマグネットは廃却せざるを得ない状況にある。
【0048】
比較例2
比較例1の内層コイル(3)を取り外し、全く同じ形の巻枠に酸化物線材を巻回したコイルと入れ替えて比較例2のマグネットを完成した。ここでは、比較例1とは異なり、酸化物コイルの外表面をクッション材で保護して組み立てたので、酸化物コイルにダメージが入ることはまったくなかった。その後、液体ヘリウム等で臨界温度まで冷却して定格の500MHzに励磁した後の磁場減衰の様子を図5に示す。
【0049】
同図に示すように、本比較例2のマグネットでは上記比較例1と異なり、励磁後5日目にはほぼリニアな磁場減衰となり、156Hz/hrのドリフトとなった。このマグネットはもちろんスペックアウトであり、NMR測定用として採用することはできない。
【0050】
本実施形態による試験結果
本実施形態では、比較例1,2の場合の永久電流モードで運転される主超電導コイル3,4に加えて、新たに付加した補助コイル7が補助励磁用電源6から供給される電流によって駆動される。
【0051】
本装置1を永久電流モードで運転を行い、本装置1の主磁場の強度が経時変化した場合に、スペクトロメータ10でその変化分を検出する。そして、その変化分を電流調整手段8で補助励磁用電源6の電流値を調整することにより、補助コイル7に主磁場と同方向の補助磁場を付加し、主磁場の強度の変動分を補償する。なお、補助コイル7によって発生する補助磁場の強度は主磁場の強度に比べて僅かなものであるため、上記主超電導コイル3,4のような超電導状態での運転は必ずしも必要としない。
【0052】
本実施形態においては、バッテリ21等を備えるコンピュータ20を動作させておく。NMR測定では、標準物質のNMR信号をスペクトロメータ10の測定プローブで常時モニタしている。この信号ピークの周波数をタイマ22の設定値(例えば3分おき)にてコンピュータ20に取り込み、1時間分を周波数カウンタ機能部23で集積して平均演算処理部24で平均した。これら1時間毎に平均した周波数は、今回実験で設定した周波数500.2MHzよりも少しづつ減少していた。
【0053】
これら1時間毎に平均した周波数データを、RAM25に記憶しておいた参照値と比較処理部26で比較し、そのずれを数日間にわたっての時間を横軸にとってプロットし、直線回帰することで磁場減衰の値を求めた。そこで、電流値演算処理部27で、この磁場減衰を補償するために必要な供給電流を計算する。この結果に基づいてタイマ22の設定値(例えば3分おき。ただし、上記設定値と一致させる必要はない。)にて電流値制御部28で電流を変化させた。
【0054】
図6に本実施形態をそのままとしたとき(もともと比較例1のコイルと同様である。)の試料空間Aの磁場強度の変化を示す。ここでは、時刻t1からt2までは比較例1での状態のままであり、この時には磁場減衰は26Hz/hrであった。t2以降は、本発明を適用して補助コイル7に電流を供給し始めている。図6に示されるように、中心磁場減衰は小さくなり(抑制され)、3Hz/hrに改善された。なお、図6に示した測定期間は5ヶ月間であり、補助励磁用電源6によって補償電流を供給し始めてからは2ヶ月間の測定である。最後の時点でも補助コイル7への通電電流は、線材の通電容量に対して1/300にすぎなかった。したがって、この補助コイル7による補償を5年間継続したとしても、補助コイル7への供給電流は通電容量の1/10にすぎず、十分な余裕がある。
【0055】
図7に本実施形態で主超電導コイル3,4の材料を、比較例2での各コイルの材料と一致させた(内層コイル(3)として酸化物線材を、外層(4)コイルとしてNbTi線材を使用した)ときの試料空間の磁場変化を示す。ここでは、時刻t1からt2までの中心磁場減衰は比較例2での状態のままであり、この間は156Hz/hrであった。t2以降、本発明を適用して補助コイル7に電流を供給し始めている。図7に示されるように、中心磁場減衰は小さくなり、7Hz/hrに改善された。
【0056】
同図に示した測定期間は2ヶ月であり、補助励磁用電源6によって補償電流を供給し始めてからは1ヶ月間である。最後の時点でも補助コイル7への通電電流は、線材の通電容量の1/93にすぎなかった。したがって、この補助コイル7による補償を7年間継続したとしても、補助コイル7への供給電流は通電容量には、十分な余裕がある。
【0057】
以上述べたように、本発明により良好な磁場安定性をもつNMRマグネットが実現された。本発明は、特に金属系マグネットのドリフトスペックアウトに対する有効な救済手段であり、また、NMRへの応用が疑問視されていた酸化物超電導コイルについてもドリフト低減の有効な手段でもあることが実証された。
【0058】
なお、上記実施形態ではスペクトロメータ10からの信号をフィードバックして補助励磁用電源6の電流を制御しているが、その制御系をより簡略化することもできる。例えば図8においては、図1における周波数検出部分を省略している。現実のコイルにおいては、励磁後、数ヶ月経つと、中心磁場の減衰率はほぼ一定になる。したがって、常に周波数をモニタする必要はなく、最初の2ヶ月程度観測すれば、その後の変化は予測することができる。この予測から、この磁場減衰を補償するために必要な初期電流値等が求まる。したがって、ここでは、電流制御手段8としてのコンピュータ20aのRAM25aに数値入力等にて電流出力特性データを記憶しておいて、電流値制御部28はこの特性データに基づいて電流出力を変化させればよい。その場合でも、図1における場合とまったく変わらない結果が得られた。
【0059】
また、上記実施形態では、補助コイル7を液体ヘリウム容器14の外周に配置したが、補助コイル7をヘリウムボアチューブ15に巻回することもできる。その場合、補助コイル7は主超電導コイル3,4と同じ容器内で液体ヘリウムに接することとなるので、各コイルは全く同じ温度に維持される結果、装置外部の温度変動があっても、主超電導コイル3,4と補助コイル7との間の相対位置が変化しなくなる。
【0060】
また、この場合には、液体ヘリウム容器14内に各コイル3,4,7が収納されるので、液体ヘリウム容器14と液体窒素容器16との間隔を上記したものよりも縮めることができる。液体ヘリウム容器14自体は内部温度を臨界温度以下に維持するために所定量の液体ヘリウムを充填する必要があり、このため補助コイル7の有無にかかわらず一定寸法が要求されることから、上記間隔縮小によりクライオスタット11のサイズアップを避けて、装置のコンパクト化を図ることができる。
【0061】
また、上記実施形態では、補助コイル7の材料として、一般的な材料であるNbTi超電導線材を使用したが、Nb3Sn超電導線材、さらにはBi系超伝導体から形成される超電導線材としてもよい。さらに、補助コイル7は、上述したように、必ずしも超電導状態での運転を必要としないことから、通電電流が10A以下と小さい場合には銅線を使用してもよい。
【0062】
さらに、上記実施形態では、補助コイル7は液体ヘリウム容器14の外周面に密着させて配置し、かつ、その軸心方向に4分割してそれぞれを直列接続しているが、分割数を任意に選択することもできるし、さらには分割することなく主超電導コイル3,4と同様に一体型コイルを使用することとしてもよい。これらによっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0063】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、主超電導コイルの発生する主磁場の強度の時間的な減衰を補償することにより、測定試料部分の磁場変化を少なくし、永久電流モードでの運転時に必要な磁場安定性を満たすことができる。したがって、製造工程で超電導接続の製作条件が僅かにずれたり、製造中に線材に僅かの衝撃が加わって、その線材がダメージを受けたりしたことによりスペックアウトした場合であってもリカバリが効く結果、製造コストを低減できる。
【0064】
また、材料本来の特性からスペックアウトしてしまう酸化物超電導線材であっても、磁場減衰量が補償されて安定性が確保される結果、その酸化物超電導線材を用いて装置の高磁場化を図ることができる。
【0065】
また、長時間にわたる磁場強度の微小変化を確実に補償できる。さらに、装置外部で温度変動があっても、主超電導コイルと補助コイルとの間の相対位置が変化しないので、中心磁場の均一度を乱さず、これによっても高安定性を満たすことができる。
【0066】
請求項2記載の発明によれば、装置完成後に補助コイルを後付けできて便宜である。
【0067】
請求項3記載の発明によれば、装置のサイズアップを避けて、そのコンパクト化を図ることができる。
【0068】
請求項4記載の発明によれば、磁場強度の微小変化への追従性が良好である。
【0069】
請求項5記載の発明によれば、制御系をより簡単化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態における超電導磁石装置の基本概念を示す回路図である。
【図2】本実施形態の超電導磁石装置の概略構成を示す縦断面図である。
【図3】超電導磁石装置における中心磁場強度の減衰状態を示す図であって、(a)は超電導磁石装置に使用される超電導コイルのスペックの合否判定基準を示す図、(b)は本発明の超電導磁石装置における補正前の中心磁場強度の減衰状態を示す図、(c)は補助コイルに通電して、磁場減衰を補い、電流リップルが大きい状態を示す図、(d)は(c)において電流リップルが小さい状態を示す図である。
【図4】比較例1による磁石装置中心磁場の測定結果を示す図である。
【図5】比較例2による磁石装置中心磁場の測定結果を示す図である。
【図6】本実施形態による磁石装置中心磁場の測定結果を示す図である。
【図7】他の実施形態による磁石装置中心磁場の測定結果を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態における超電導磁石装置の基本概念を示す回路図である。
【符号の説明】
1 超電導磁石装置(本装置)
2 励磁用電源
3,4 主超電導コイル
5 永久電流スイッチ
6 補助励磁用電源
7 補助コイル
8 電流調整手段
9 ヒータ用電源
10 スペクトロメータ
11 クライオスタット
12 内筒
13 外筒
14 液体ヘリウム容器
15 ヘリウムボアチューブ
16 液体窒素容器
20 コンピュータ
21 バッテリ
22 タイマ
23 周波数カウンタ機能部
24 平均演算処理部
25 RAM
26 比較処理部
27 電流値演算処理部
28 電流値制御部
Claims (5)
- 主励磁用電源に接続され、試料空間に主磁場を発生する円筒状の、永久電流モードで運転される主超電導コイルを具備した超電導磁石装置において、
主励磁用電源とは電気的に独立に設けられた補助励磁用電源と、当該補助励磁用電源から供給される電流によって試料空間に主磁場と同方向の補助磁場を発生する、上記主超電導コイルと同軸に配置された円筒状の補助コイルと、補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を主磁場の強度の経時変化分に応じて変化させる電流調整手段とを具備し、
補助励磁用電源の電流リップルは、下記の条件式(1)を満足することを特徴とする超電導磁石装置。
- 補助コイルを液体ヘリウム容器の外側に巻回したことを特徴とする請求項1記載の超電導磁石装置。
- 補助コイルをヘリウムボアチューブに巻回したことを特徴とする請求項1記載の超電導磁石装置。
- 主磁場の強度の経時変化分を検出する検出手段を備え、電流調整手段はこの検出信号に基づいて上記補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を変化させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導磁石装置。
- 主磁場の強度の経時変化分を予測しておき、電流調整手段はこの予測値に基づいて上記補助励磁用電源から補助コイルへ供給される電流を変化させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の超電導磁石装置。
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