JP2001196219A - 永久電流超電導磁石装置 - Google Patents

永久電流超電導磁石装置

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JP2001196219A
JP2001196219A JP2000005835A JP2000005835A JP2001196219A JP 2001196219 A JP2001196219 A JP 2001196219A JP 2000005835 A JP2000005835 A JP 2000005835A JP 2000005835 A JP2000005835 A JP 2000005835A JP 2001196219 A JP2001196219 A JP 2001196219A
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superconducting coil
superconducting
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coil
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JP2000005835A
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Masatoshi Yoshikawa
正敏 吉川
Kazunari Saito
一功 斉藤
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JAPAN MAGNET TECHNOL KK
Kobe Steel Ltd
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JAPAN MAGNET TECHNOL KK
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外部磁場が変動した場合でも、磁石中心の磁
場はその影響をほとんど受けることがなく極めて安定な
磁場を持続的に維持できる永久電流超電導磁石装置を提
供する。 【解決手段】 本装置1は、励磁用電源2に接続され、
主磁場を発生する円筒状の第1の超電導コイル3と、こ
れを短絡させて第1の閉回路4を構成する第1の永久電
流スイッチ5と、第1の超電導コイル3と電気的に独立
に設けられ、第1の超電導コイル3と同心状に配設され
た円筒状の第2の超電導コイル6と、これを短絡させて
第2の閉回路7を構成する第2の永久電流スイッチ8と
を具備しているので、外部磁場が変動した場合でも、磁
石中心の磁場はその影響をほとんど受けることがなく極
めて安定な磁場を持続的に維持できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば理化学用N
MR(核磁気共鳴)分析装置や医療用断層映像装置(M
RI)などに組み込まれ、永久電流モードで運転される
永久電流超電導磁石装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】NMR分析装置やMRIでは、その超電
導磁石により発生している磁場が時間的に極めて安定で
あることが要求される。このため、NMR分析装置やM
RIは、通常、超電導磁石装置に超電導コイルと永久電
流スイッチとを具備し、電源を取り去っても超電導コイ
ルに流れる電流(磁界)が減衰しない永久電流モードで
運転されている。この永久電流モードでの運転状態にお
いては、磁界の時間的変動(減衰度)が0.01ppm/hr
程度の極めて安定な磁場が実現され、NMRスペクトル
やMR画像の測定が可能である。
【0003】しかし、NMRスペクトルやMR画像の測
定は、装置外部で発生する電磁波に対して非常に敏感で
ある。特に、NMRの共鳴周波数に近い周波数を持つ外
部電磁波は、NMRスペクトルやMR画像に著しい悪影
響を及ぼす。そのため、NMR分析装置やMRIの配置
される部屋には、例えば鉄製の電磁波シールドを設置す
るなど、通常、超電導磁石装置の外部において、電磁波
を遮蔽する対策が施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の方法では、
超電導磁石装置を配置する部屋を外部の電磁波から遮蔽
するために、大量のシールド材が必要となるが、その材
料が高価でかつ施工の手間がかかる。また、超電導磁石
装置の配置場所を変更する場合には、装置の移動のみな
らず、部屋全体のシールド施工をやり直す必要がある。
【0005】本発明は、上記従来の問題を解決するもの
で、超電導磁石の外部に電磁波シールドを設置すること
なく、外部磁場が変動した場合でも、磁石中心の磁場は
その影響をほとんど受けることがなく極めて安定な磁場
を持続的に維持することのできる永久電流超電導磁石装
置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1の永久
電流超電導磁石装置は、励磁用電源に接続され、主磁場
を発生する円筒状の第1の超電導コイルと、この第1の
超電導コイルを短絡させて第1の閉回路を構成する第1
の永久電流スイッチとを具備した永久電流超電導磁石装
置において、上記第1の超電導コイルと電気的に独立に
設けられ、第1の超電導コイルと同心状に配設された円
筒状の第2の超電導コイルと、この第2の超電導コイル
を短絡させて第2の閉回路を構成する第2の永久電流ス
イッチとを具備したことを特徴とする。
【0007】この構成では、励磁用電源に接続された円
筒状の第1の超電導コイルを、第1の永久電流スイッチ
で短絡させて第1の閉回路を構成することにより、該第
1の超電導コイルが、主磁場を発生するようになるが、
その際に、上記第1の超電導コイルと電気的に独立に設
けられた円筒状の第2の超電導コイルを、第2の永久電
流スイッチで短絡させて第2の閉回路を構成することに
より、該第2の超電導コイルが、上記主磁場による電磁
誘導作用を受けて電流変化を生じ、外部磁場の変動を補
償する磁場を発生するようになるので、この外部磁場が
変動したときでも、磁石中心の磁場はほとんど影響を受
けなくなり、極めて安定な磁場が持続的に維持される。
【0008】さらに、上記第1,2の永久電流スイッチ
はいずれも熱式永久電流スイッチであり、これらのスイ
ッチを所定のタイミングでそれぞれ加熱するヒータ用電
源を具備すれば(請求項2)、上記第1,2の閉回路が
所定のタイミングで構成されることになる。上記所定の
タイミングは、上記第1の超電導コイルが所定の電流値
に達した後のタイミングであることとすれば、上記第
1,2の閉回路においてそれぞれ永久電流モードでの運
転が実現される。
【0009】さらに、上記第2の超電導コイルは、次式
を満たす位置に設定されるものとすればよい(請求項
3)。
【0010】│1−Kp(Sp/Lp)│>│1−{1/
(Lps−M2)}×{Kp(Lsp−MSs)+Ks(L
ps−MSp)}│ ただし、Lpは第1の超電導コイルの自己インダクタン
ス、Lsは第2の超電導コイルの自己インダクタンス、
Mは第1,2の超電導コイル間の相互インダクタンス、
pは第1の超電導コイルの磁場定数、Ksは第2の超電
導コイルの磁場定数、Spは外部磁場が第1の超電導コ
イルを貫く面積の総和、Ssは外部磁場が第2の超電導
コイルを貫く面積の総和である。これにより、第1の超
電導コイルで発生した主磁場による電磁誘導作用を受け
て、第2の超電導コイルが、外部磁場の変動を補償する
磁場を発生するようになるので、この外部磁場が変動し
たときでも、磁石中心の磁場はほとんど影響を受けなく
なり、極めて安定な磁場が持続的に維持される。
【0011】例えば、上記第2の超電導コイルは、少な
くとも1個以上のコイルからなることとすればよい(請
求項4)。
【0012】また、上記第1の超電導コイルは、互いに
内外となるように同心状に配設された主磁場発生用超電
導コイルを2個以上備え、上記第2の超電導コイルは、
上記主磁場発生用超電導コイル間でこれら主磁場発生用
超電導コイルと同心状となるように配設された1個ある
いは複数個のコイルで構成したこととすればよい(請求
項5)。
【0013】あるいは、上記第1の超電導コイルは、主
磁場発生用超電導コイルと、この主磁場発生用超電導コ
イルの外側にあって、主磁場発生用超電導コイルと同心
状かつ軸心方向で中央振り分けに配設された磁場補正用
超電導コイルとを備え、上記第2の超電導コイルは、上
記主磁場発生用超電導コイルと磁場補正用超電導コイル
との間にあって、これら主磁場発生用超電導コイル及び
磁場補正用超電導コイルと同心状となるように配設され
たコイルで構成したこととすればよい(請求項6)。こ
こで、軸心方向で中央振り分けに配設するとは、軸心方
向の中点に対し対称となるように配設することを意味
し、等間隔であるか否かは問わない。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施形態の永久
電流超電導磁石装置の基本概念を示す回路図、図2はそ
の概略構成を示す縦断面図である。
【0015】図1に示すように、本実施形態に係る永久
電流超電導磁石装置(本装置)1は、励磁用電源2に接
続され、主磁場を発生する円筒状の第1の超電導コイル
3と、この第1の超電導コイル3を短絡させて第1の閉
回路4を構成する熱式の第1の永久電流スイッチ5とを
具備し、さらに第1の超電導コイル3と電気的に独立に
設けられ、第1の超電導コイル3と同心状に配設された
円筒状の第2の超電導コイル6と、この第2の超電導コ
イル6を短絡させて第2の閉回路7を構成する熱式の第
2の永久電流スイッチ8とを具備している。なお、図中
の10は抵抗成分を示しているが、本発明には直接関係
するものではない。
【0016】励磁用電源2は、第1,2の超電導コイル
3,6等の超電導体に流れる数アンペア〜数百アンペア
程度の最大電流を供給可能な容量を有する。この最大電
流は、上記超電導体の、その用いられる磁界によって決
まる臨界電流密度と、導体中に占める断面積とによって
決まる。かかる導体としては、本装置1では、何本もの
超電導素線を撚り合わせた超電導線が用いられている。
【0017】第1の超電導コイル3は、例えば、図2に
示すように、装置中心の作用空間Aまわりに配置され、
ニオブ・スズ(Nb3Sn)超電導線材が巻回された主
磁場発生用超電導コイル3aと、その外側に同心状に配
置され、ニオブ・チタン(NbTi)超電導線材が巻回
された主磁場発生用超電導コイル3bと、さらに外側に
同心状に配置されNbTi超電導線材が円筒状に巻回さ
れた磁場補正用超電導コイル3cとが励磁用電源2と直
列に接続されてなり、この主磁場発生用超電導コイル3
aの上方に配置された第1の永久電流スイッチ5が同コ
イル3a,3b及び磁場補正用超電導コイル3cと並列
に接続されて図1における第1の閉回路4を構成できる
ようになっている。ここで、主磁場発生用超電導コイル
3a,3bはそれぞれ所要のターン数を有して配設され
ているが、このうち3aは3bよりも軸心方向の長さが
若干短く設定されている。これにより、作用空間Aにお
ける軸心方向の磁場の均一度を(軸心方向両端による磁
界の乱れを抑制することで)可及的に高めるようになっ
ている。また、磁場補正用超電導コイル3cは軸心方向
で中央振り分けとなるように、作用空間Aの軸心に対し
て上下対称となる位置、本実施形態では、中央と上下両
側にそれぞれ所定数のターン数を有して(上下側は同一
ターン数)配設されている。これにより、作用空間A内
の磁場を径方向及び軸心方向に対して均一に補正可能と
なっている。
【0018】第2の超電導コイル6は、例えば、図2に
示すように、主磁場発生用超電導コイル3a,3b間に
同心状に配置されNbTi超電導線が巻回された磁場変
動補償用超電導コイル6aからなり、この上方に配置さ
れた第2の永久電流スイッチ8が同コイル6aと並列に
接続されて図1における第2の閉回路7を構成できるよ
うになっている。
【0019】第1,2の永久電流スイッチ5,8は、そ
れぞれNbTi超電導線材にヒータ線を沿わせた熱式永
久電流スイッチであり、例えば、図2に示すように、そ
れらのヒータ線はクライオスタット11内部で直列に接
続され、さらにヒータ用電源9に直列に接続されて所定
のタイミングで上記第1,2の閉回路4,7を構成する
ようになっている。
【0020】ここで、磁場変動補償用超電導コイル6a
も所要のターン数を有して配設されているが、主磁場発
生用超電導コイル3a,3bのいずれよりも軸心方向の
長さが短く設定されている。これにより、作用空間Aに
おける軸心方向の磁場の均一度を(軸心方向両端による
磁界の乱れを抑制することで)可及的に高めるようにな
っている。
【0021】また、第1の超電導コイル3の主磁場発生
用超電導コイル3aの材料をNb3Sn超電導線材と
し、他の超電導コイル3b,3c,6や第1,第2の永
久電流スイッチ5,8の材料をNbTi超電導線材とし
て、超電導コイルが存在する部分での磁場の違いにより
材料を使い分けている。各超電導コイルは、それぞれ単
位コイルから構成されていてもよい。
【0022】クライオスタット11は、上記すべての超
電導コイルと永久電流スイッチとを液体ヘリウム等で臨
界温度以下に保持する圧力容器である。また、作用空間
Aは、分析試料を挿入して(NMR)、高磁場を生じさ
せた状態で所定の組成分析を行ったり、あるいは、人体
を挿入して(MRI)、高磁場を生じさせた状態で人体
の検診を行うための空間である。
【0023】このように、本装置1は、電気的に独立し
た2つの閉回路4,7を有し、それぞれの電磁誘導作用
(自己誘導作用と相互誘導作用)により、外部磁場の変
動による磁石中心にある作用空間Aにおける磁場への悪
影響を抑えるようになっている。
【0024】以下、図1を参照して本発明の基本的な概
念を説明する。
【0025】図1において、Lpは第1の超電導コイル
3の自己誘導作用による自己インダクタンス、Lsは第
2の超電導コイル6の自己誘導作用による自己インダク
タンス、Mは第1,2の超電導コイル3,6間の相互誘
導作用による相互インダクタンスである。
【0026】本装置1の励磁は、第1の超電導コイル3
に並列に接続されている第1の永久電流スイッチ5と、
第2の超電導コイル6に並列に接続されている第2の永
久電流スイッチ8のそれぞれのヒータに外部のヒータ用
電源9より通電し、それぞれの永久電流スイッチ5,8
を開状態として行う。この状態で、励磁用電源2により
第1の超電導コイル3に電流を流す。この時、第2の永
久電流スイッチ8は開状態であるため、第2の超電導コ
イル6には電流が誘起されないため、電流は零のままで
ある。そして、第1の超電導コイル3の電流値が所定の
設定電流値I0になれば(所定のタイミング)、ヒータ
用電源9をOFFとし、それぞれの永久電流スイッチ
5,8を閉状態とする。これにより、本装置1の永久電
流モードでの運転を実現できる。
【0027】このようにして励磁した後、本装置1の外
部の磁場Bextによる主磁場が変化した場合に、第1の
超電導コイル3と、第2の超電導コイル6の電流変化
は、外部磁場Bextによる第1の超電導コイル3を貫く
磁束をΦext-p、第2の超電導コイル6を貫く磁束をΦ
ext-sとすれば、以下の回路方程式により求められる。
【0028】
【数1】
【0029】一般的に、外部磁場Bextは、空間的に均
一であるので、この外部磁場Bextが第1の超電導コイ
ル3を貫く部分の総和をSp、第2の超電導コイル6を
貫く面積の総和をSsとすれば、次式が成立する。
【0030】
【数2】
【0031】
【数3】
【0032】第1の超電導コイル3の磁場定数をKp
第2の超電導コイル6の磁場定数をKsとすれば、外部
磁場Bextが変動した場合に、第1の超電導コイル3
と、第2の超電導コイル6の電流が変化したことにより
生じる誘起磁場Bindは次式で表される。なお、磁場定
数Kp,Ksは、コイルに1Aの電流を流したときに生じ
る磁場の強さである。
【0033】
【数4】
【0034】本装置1の中心の磁場は、この誘起磁場B
indと、外部磁場Bextの重ね合わせであり、その変化は
次式で表される。
【0035】
【数5】
【0036】一方、第2の超電導コイル6がない場合
に、外部磁場Bextが変化すれば、第1の超電導コイル
3の電流Ipの変化は次のようになる。すなわち、上記
(1)式において、電流Is=0とおき、上記(3)式
を代入すると、このときの第1の超電導コイル3の電流
pの変化は次式で表される。
【0037】
【数6】
【0038】また、本装置1の中心の磁場変化は次のよ
うになる。すなわち、上記(7)式の上段において、電
流Is=0とおくと、中心の磁場変化は次式で表され
る。
【0039】
【数7】
【0040】したがって、第2の超電導コイル6を付加
することにより、本装置1の外部の磁場が変動した場合
でも、同装置1の中心の磁場はその影響をほとんど受け
ず、極めて安定な磁場を持続的に維持することができる
ようになるためには、上記(8),(10)式より、
【0041】
【数8】
【0042】のようになればよい。
【0043】つまり、上記(11)式を満足する位置に
第2の超電導コイル6を設ければよいことが分かる。
【0044】以下、図2を参照して本装置1のさらに具
体的な構成とその動作を説明する。
【0045】図2において、第1の超電導コイル3を構
成する主磁場発生用超電導コイル3aの外側には、外径
φ0.45mmのNbTi超電導素線よりなるNbTi
超電導線を主磁場発生用超電導コイル3aの1/2の巻
幅に2層巻回した磁場変動補償用超電導コイル6aが配
置され、これが第2の超電導コイル6を構成している。
この場合、第1の超電導コイル3の自己インダクタンス
pは158H、第2の超電導コイル6の自己インダク
タンスLsは0.54H、これらの第1,2の超電導コ
イル3,6間の相互インダクタンスMは6.7H、これ
らの第1,2の超電導コイル3,6の磁場定数Kp,Ks
はそれぞれ0.069T/A,0.005T/A、外部
磁場Bextがそれぞれの磁石を貫く部分の面積の総和
p,Ssはそれぞれ4400m2,120m2であり、上
記(11)式を満足している。
【0046】外部のヒータ用電源9により、第1の超電
導コイル3に並列に接続された第1の永久電流スイッチ
5と第2の超電導コイル6に並列に接続された第2の永
久電流スイッチ8とを開状態とし、外部の励磁用電源2
を用いて第1の超電導コイル3の励磁を行う。
【0047】第1の超電導コイル3に設定電流I0を通
電後、外部のヒータ用電源9をOFFとし、第1の超電
導コイル3に並列に接続された第1の永久電流スイッチ
5、第2の超電導コイル6に並列に接続された第2の永
久電流スイッチ8ともに閉状態として本装置1の永久電
流モードでの運転を行う。
【0048】このようにして、本装置1の第2の超電導
コイル6を用いて励磁した場合の中心部分の磁場変化
(本発明による磁場変化率)を、24時間測定し、その
結果を図4に示した。さらに、本装置1の第2の超電導
コイル6を用いない場合についても、同様の方法により
励磁し、その中心部分の磁場変化を24時間測定し、そ
の結果を図5に示した。両図において、縦軸は磁場変化
率(ppm)、横軸は時間変化(hr)を示す。図4に示す
本発明による磁場変化率は、最大振幅で0.04ppm程
度であるのに対し、図5に示した第2の超電流コイル6
を用いない場合の磁場変化は、最大振幅で0.12ppm
程度と大きく現れている。この比較結果から、本発明に
よれば、外部磁場の擾乱による変動を小さく抑えること
ができることが検証された。なお、両図中では、時間経
過とともに磁場変化率が右下りとなっているが、これは
図1における抵抗成分10の影響によるものと考えられ
る。
【0049】以上のように、本装置1では、励磁用電源
2に接続された第1の超電導コイル3を、第1の永久電
流スイッチ5で短絡させて第1の閉回路4を構成するこ
とにより、第1の超電導コイル3が、主磁場を発生する
ようになるが、その際に、第1の超電導コイル3と電気
的に独立に設けられた第2の超電導コイル6を、第2の
永久電流スイッチ8で短絡させて第2の閉回路7を構成
することにより、第2の超電導コイル6が、上記主磁場
による電磁誘導作用を受けて外部磁場の変動を補償する
磁場を発生するようになるので、この外部磁場が変動し
たときでも、磁石中心の磁場はほとんど影響を受けなく
なり、極めて安定な磁場を持続的に維持できる。したが
って、本装置1の外部に電磁波シールドを設置する必要
がなくなるので、装置の設置コストの低減化を図るとと
もに、その設置場所の変更も装置を移動するだけで済む
ので簡単なものとなる。
【0050】なお、上記実施形態では、第2の超電導コ
イル6を構成する磁場変動補償用超電導コイル6aを、
Nb3Snが巻回された主磁場発生用超電導コイル3a
とNbTi超電導線材が巻回された主磁場発生用超電導
コイル3bとの間に配設した1個のコイルで構成した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、主磁場発
生用超電導コイル3aの内側、NbTi超電導線材が巻
回された主磁場発生用超電導コイル3bの外側、あるい
は、磁場変動補償用超電導コイル6aの外側など、いか
なる部分に巻回しても、上記(11)式を満足するよう
に磁場変動補償用超電導コイル6aを設計すれば、上記
と同様の効果を得ることができる。また、上記実施形態
では、第1,2の超電導コイル3,6等の材料として、
一般的な材料であるNb3Sn超電導線材とNbTi超
電導線材とを使用したが、これに代わる超電導材料(例
えばVa3Ga,Nb3Ge,Nb3Al等)を使用して
もよい。
【0051】さらに、上記実施形態では、第2の超電導
コイル6として一体の磁場変動補償用超電導コイル6a
を使用したが、図3に示すように、磁場変動補償用超電
導コイル6aを複数個に分割してそれぞれを直列接続し
てもよい。これによっても上記と同様の効果を得ること
ができる。また、第1,2の永久電流スイッチ5,8と
していずれも熱式永久電流スイッチを使用したが、例え
ば漏れ磁界を利用するものでもよい。
【0052】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明の請求項
1の永久電流超電導磁石装置では、励磁用電源に接続さ
れた円筒状の第1の超電導コイルを、第1の永久電流ス
イッチで短絡させて第1の閉回路を構成することによ
り、該第1の超電導コイルが、主磁場を発生するように
なるが、その際に、上記第1の超電導コイルと電気的に
独立に設けられた円筒状の第2の超電導コイルを、第2
の永久電流スイッチで短絡させて第2の閉回路を構成す
ることにより、該第2の超電導コイルが、外部磁場の変
動を補償する磁場を発生するようになるので、この外部
磁場が変動したときでも、磁石中心の磁場はほとんど影
響を受けなくなり、極めて安定な磁場を持続的に維持で
きる。したがって、永久電流超電導磁石装置の外部に電
磁波シールドを設置する必要がなくなるので、装置の設
置コストの低減化を図るととも、その設置場所の変更も
装置を移動するだけで済むので簡単なものとなる。
【0053】さらに、上記第1,2の永久電流スイッチ
はいずれも熱式永久電流スイッチであり、これらのスイ
ッチを所定のタイミングでそれぞれ加熱するヒータ用電
源を具備しているので(請求項2)、上記第1,2の閉
回路を所定のタイミングで構成することができる。
【0054】さらに、上記第2の超電導コイルは、次式
を満たす位置に設定している(請求項3)。│1−Kp
(Sp/Lp)│>│1−{1/(Lps−M2)}×
{Kp(Lsp−MSs)+Ks(Lps−MSp)}│ ただし、Lpは第1の超電導コイルの自己インダクタン
ス、Lsは第2の超電導コイルの自己インダクタンス、
Mは第1,2の超電導コイル間の相互インダクタンス、
pは第1の超電導コイルの磁場定数、Ksは第2の超電
導コイルの磁場定数、Spは外部磁場が第1の超電導コ
イルを貫く面積の総和、Ssは外部磁場が第2の超電導
コイルを貫く面積の総和である。これにより、第2の超
電導コイルが、外部磁場の変動を補償する磁場を発生す
るようになるので、この外部磁場が変動したときでも、
磁石中心の磁場はほとんど影響を受けなくなり、極めて
安定な磁場を持続的に維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の超電導磁石装置の基本概
念を示す回路図である。
【図2】本実施形態の永久電流超電導磁石装置の概略構
成を示す縦断面図である。
【図3】図2の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図2の磁石装置中心磁場の測定結果を示す図で
ある。
【図5】従来の磁石装置中心磁場の測定結果を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 永久電流超電導磁石装置(本装置) 2 励磁用電源 3 第1の超電導コイル 3a,3b 主磁場発生用超電導コイル 3c 磁場補正用超電導コイル 4 第1の閉回路 5 第1の永久電流スイッチ 6 第2の超電導コイル 6a 磁場変動補償用超電導コイル 7 第2の閉回路 8 第2の永久電流スイッチ 9 ヒータ用電源 11 クライオスタット

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 励磁用電源に接続され、主磁場を発生す
    る円筒状の第1の超電導コイルと、この第1の超電導コ
    イルを短絡させて第1の閉回路を構成する第1の永久電
    流スイッチとを具備した永久電流超電導磁石装置におい
    て、 上記第1の超電導コイルと電気的に独立に設けられ、第
    1の超電導コイルと同心状に配設された円筒状の第2の
    超電導コイルと、この第2の超電導コイルを短絡させて
    第2の閉回路を構成する第2の永久電流スイッチとを具
    備したことを特徴とする永久電流超電導磁石装置。
  2. 【請求項2】 上記第1,2の永久電流スイッチはいず
    れも熱式永久電流スイッチであり、これらのスイッチを
    所定のタイミングでそれぞれ加熱するヒータ用電源を具
    備したことを特徴とする請求項1記載の永久電流超電導
    磁石装置。
  3. 【請求項3】 上記第2の超電導コイルは、次式を満た
    す位置に設定されていることを特徴とする請求項1又は
    2記載の永久電流超電導磁石装置。 │1−Kp(Sp/Lp)│>│1−{1/(Lps
    2)}×{Kp(Lsp−MSs)+Ks(Lps−MS
    p)}│ ただし、Lpは第1の超電導コイルの自己インダクタン
    ス、Lsは第2の超電導コイルの自己インダクタンス、
    Mは第1,2の超電導コイル間の相互インダクタンス、
    pは第1の超電導コイルの磁場定数、Ksは第2の超電
    導コイルの磁場定数、Spは外部磁場が第1の超電導コ
    イルを貫く面積の総和、Ssは外部磁場が第2の超電導
    コイルを貫く面積の総和である。
  4. 【請求項4】 上記第2の超電導コイルは、少なくとも
    1個以上のコイルからなることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の永久電流超電導磁石装置。
  5. 【請求項5】 上記第1の超電導コイルは、互いに内外
    となるように同心状に配設された主磁場発生用超電導コ
    イルを2個以上備え、上記第2の超電導コイルは、上記
    主磁場発生用超電導コイル間でこれら主磁場発生用超電
    導コイルと同心状となるように配設された1個あるいは
    複数個のコイルで構成したことを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の永久電流超電導磁石装置。
  6. 【請求項6】 上記第1の超電導コイルは、主磁場発生
    用超電導コイルと、この主磁場発生用超電導コイルの外
    側にあって、主磁場発生用超電導コイルと同心状かつ軸
    心方向で中央振り分けに配設された磁場補正用超電導コ
    イルとを備え、上記第2の超電導コイルは、上記主磁場
    発生用超電導コイルと磁場補正用超電導コイルとの間に
    あって、これら主磁場発生用超電導コイル及び磁場補正
    用超電導コイルと同心状となるように配設されたコイル
    で構成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
    記載の永久電流超電導磁石装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017511600A (ja) * 2014-03-13 2017-04-20 フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング 超電導磁場安定化装置

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US10497503B2 (en) 2014-03-13 2019-12-03 Forschungszentrum Juelich Gmbh Superconducting magnetic field stabilizer

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