JP2022003681A - 軸方向積層バルク副磁石の個々の温度制御を伴う超伝導磁石システム - Google Patents

軸方向積層バルク副磁石の個々の温度制御を伴う超伝導磁石システム Download PDF

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Abstract

【課題】発生した磁場の均一性の向上が簡単な方法で達成される超伝導バルク磁石システムを提供する。【解決手段】励磁設備1において、室温ボア10を有するクライオスタット4と、クライオスタット内に収容され、室温ボアと同軸に配置された超伝導バルク磁石5と、超伝導バルク磁石を冷却するための極低温冷却システム12と、を備える超伝導磁石システム2であって、超伝導バルク磁石5は、軸方向に積層されたリング状のバルク副磁石6a〜6c及び隣接するバルク副磁石の間に、リング状の中間体7a〜7bが配置される。中間体はバルク副磁石の材料よりも小さい比熱伝導率を有する非金属断熱材料からなり、極低温冷却システムは各バルク副磁石の温度を独立して制御し、各バルク副磁石の温度感知用の温度センサ16a〜16cと、各バルク副磁石の加熱力及び/又は冷却力の調整ユニット13a〜13cを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、
・室温ボアを有するクライオスタットと、
・クライオスタット内に収容され、室温ボアと同軸に配置された超伝導バルク磁石と、
・超伝導バルク磁石を冷却するために適用された極低温冷却システムと、
を備える超伝導磁石システムであって、
超伝導バルク磁石が、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石を備え、
バルク副磁石が、略リング状であり、室温ボアと同軸に配置され、
軸方向に隣接する各2つのバルク副磁石の間には、中間体が配置され、
中間体が、略リング状であり、室温ボアと同軸に配置され、
バルク副磁石が中間体上に支持される、
超伝導磁石システムに関する。
そのような超伝導磁石システムは、特許文献1から知られている。
超伝導体は、実質的にオーム損失なく電流を流し得る。超伝導体は、例えば、高強度の磁場を発生させるため、特に核磁気共鳴(=NMR)用途に使用するために使用される。ただし、超伝導材料に特有の臨界温度Tcrit未満でしか超伝導は想定されないため、超伝導体は極低温にさらされる必要がある。したがって、超伝導体は、典型的には、断熱のためにクライオスタット内に配置される。
一般的な超伝導体用途では、テープ状またはワイヤ状の超伝導線などの超伝導線が用いられる。超伝導線は、直接(例えば、電流搬送のために)、または例えば巻線コイルによって所望の形態にされた後に用いられてもよい。特に、高磁場用途のための超伝導コイルは、典型的には、ソレノイド型に巻かれた超伝導線から製作される。
ただし、超伝導バルク磁石も公知である。この場合、超伝導バルク磁石が一般に閉じたリング状である状態で、超伝導電流は、超伝導体片または積層された超伝導体片の内部を循環する。そのような構造は、製造が簡単かつ安価であり、多くの場合、高温超伝導体(=HTS)材料から製作される。
超伝導バルク磁石は、例えば特許文献2に記載されている「磁場中冷却」と呼ばれる手順によって負荷(load)され得る。この手順では、超伝導バルク磁石は、電気励磁磁石の励磁ボア内部に配置され、次いで、超伝導バルク磁石の温度Tbulkが依然としてTcritを上回っている間には、励磁磁石がオンにされ磁場を発生させる。次いで、超伝導バルク磁石はTcrit未満に冷却され、超伝導になる。続いて、TbulkをTcrit未満に維持した状態で、励磁磁石をオフにする。これにより、超伝導バルク磁石内に電流が誘導され、その結果、超伝導バルク磁石内の磁束が維持される。言い換えれば、超伝導バルク磁石は、その内部に磁場を捕捉する。次いで、超伝導バルク磁石は励磁磁石から取り外されてもよく、捕捉された磁場が使用され得る場所に輸送されてもよい。
NMR用途として超伝導バルク磁石が提案されている。特許文献3を比較されたい。上記NMR用途などの多くの用途では、磁場の高い均一性が望まれる。しかし、磁場中冷却プロセスによって磁化されてその超伝導ボア内に提供される超伝導バルク磁石の典型的な磁場の均一性は、比較的低い。
抵抗性電気シムコイルを使用して、NMR測定中など、使用中に不均一な磁場を補正することは周知である。典型的には、電気シムコイルは、超伝導磁石を囲むクライオスタットの室温ボア内に配置される。ただし、電流が多く印加され過ぎるとシムコイルが熱くなり、シムコイルおよび場合によっては試料も損傷し、NMR測定の品質にも強く影響を及ぼすため、シムコイルは、比較的小さな磁場不均一性の補正を可能にするに留まる。特許文献4では、超伝導バルク磁石のクライオスタット内の電気シムコイルシステムが提案されている。しかし、シムコイルシステムはクライオスタットに熱を導入し、これによって、その動作が費用の掛かるものになってしまったり、クライオスタットに設けられた冷却能力に過負荷をかけてしまう可能性がある。また、特許文献5は、クライオスタット内に電気補正コイルを有する、バルク超伝導磁石を有する超伝導磁場発生器を開示している。
別の一般的な手法は、得られる磁場の均一性を向上させるために様々な方法で超伝導バルク磁石を成形するというものであり、例えば、特許文献6もしくは特許文献7または再度、特許文献4を比較されたい。これらの手法は磁場均一性を向上させるが、実用化するのは困難かつ不経済的であり、それらの向上効果は限定的である。製造公差による磁場不均一性を補償することはできない。
特許文献1は、外側径寸法が同一であって半径方向厚さが異なる、軸方向に積層された複数のリング状バルク体を備えるバルク磁石構造体を提案している。中央バルク体は、最小の半径方向厚さを有する。バルク体の間には、熱伝導率の高い金属平面リングが配置されている。バルク磁石構造体は、基本的な磁化工程で磁場中冷却によって励磁される。次いで、第1の温度調整工程では、バルク磁気構造体の温度を上昇させて磁場分布の均一性を向上させ、中央バルク体を完全磁化状態にする。第2の温度調整工程では、バルク磁気構造体の温度を低下させる。
この手順によって、磁場の均一化のためにバルク磁気構造体内の電流をいくらか再分布させることができるが、達成可能な電流分布は、リング状バルク体の半径方向厚さの分布によって、すなわちハードウェア設計によって制限される。したがって、製造公差による磁場不均一性の補償はかなり制限される。
欧州特許第3 492 941号明細書 米国特許第7,859,374号明細書 ドイツ特許第199 08 433号明細書 米国特許第9,564,262号明細書 日本特許第5360638号公報 米国特許第8,948,829号明細書 米国特許第8,228,148号明細書
本発明の目的は、発生した磁場の均一性を簡単な方法で向上させることができる、超伝導バルク磁石に基づく超伝導磁石システムを提供することである。
この目的は、本発明によれば、冒頭に述べられた超伝導磁石システムによって達成される。その超伝導磁石システムは、
中間体が、バルク副磁石の材料の比熱伝導率よりも小さい比熱伝導率を有する非金属断熱材料から製作され、
極低温冷却システムが、各バルク副磁石の温度を独立して制御するために適用され、
各バルク副磁石のために、
・それぞれのバルク副磁石の温度を感知するための温度センサと、
・それぞれのバルク副磁石における加熱力および/または冷却力を調整するための調整ユニットと、
が存在する
ことを特徴とする超伝導磁石システムである。
本発明の超伝導磁石システムによって、超伝導バルクシステムの各バルク副磁石の温度を意図的に設定することが可能になる。これにより、ひいては、励磁磁石を用いた超伝導バルク磁石の誘導励磁中、または励磁磁石による誘導励磁後に、単一または複数のバルク副磁石の意図的な磁気飽和が可能になり、したがって、バルク副磁石内の電流の目標とする分布または再分布が可能になる。結果として、本発明の超伝導磁石システムを用いることで、特に、高い磁場均一性を達成するための、超伝導バルク磁石により発生する磁場の高精度な成形または再成形が可能になる。
バルク副磁石内の電流は個別に設定されてもよく、電流の個別設定は、一般に、任意の磁石ハードウェアを用いて行うことができる。磁気ハードウェアの製造公差によって引き起こされる磁場不均一性は、容易に補償され得る。予測される特性(または挙動)から逸脱するバルク副磁石の特性(または挙動)についても同様である。本発明は、特別に形作られたバルク超伝導磁石またはバルク副磁石をそれぞれ必要とせず、特に、単純で安価かつコンパクトな磁石設計を使用し得る。特に、本発明の超伝導磁石システムは、軸方向に短い超伝導バルク磁石などのバルク副磁石にデフォルトの(基本的な)電流分布が適用された場合に磁場勾配をもたらすハードウェア設計によって良好に機能する。
本発明は、特に、設計固有の磁場勾配を補償するために、超伝導バルク磁石の誘導励磁中において電流の大まかな設定を適用し得る。さらに、本発明は、所望の磁場プロファイルに到達するまで1つまたは複数の選択されたバルク副磁石にドリフトを誘導することによって、超伝導バルク磁石の誘導励磁後に電流の精密な設定を適用し得る。この目的のために、磁場プロファイルは、精密な設定中に監視されてもよい。
バルク副磁石間に非金属断熱材料から製作された中間体を配置することによって、隣接するバルク副磁石を熱的に大きく切り離し、バルク副磁石間に安定した微細な温度差を確立することが可能である。このようにして、バルク副磁石の飽和磁化(またはバルク副磁石内の対応する電流)は、非常に正確に設定され得る。多くの場合、隣接するバルク副磁石間の温度差は、本発明の励磁または均一化方法中において、約5K以下、典型的には1K以下、多くの場合2/10K以下である。
断熱材料は、典型的には、プラスチック材料、またはプラスチックを含む複合材料である。他の実施形態では、断熱材料は、セラミック材料、またはセラミックを含む複合材料を含み得る。比熱伝導率は、50Kにおいて比較され得る。一般に、中間体の比熱伝導率は、バルク副磁石の比熱伝導率の2分の1以下、多くの場合2.5分の1以下、好ましくは4分の1以下である。
バルク副磁石の温度を確認するために、各バルク副磁石には別個の温度センサが設けられる。
調整ユニットは、バルク副磁石の温度を目標とする方法で設定するために、各バルク副磁石において所望の加熱力および/または冷却力を確立するために使用される。調整ユニットは、典型的には、例えばPIDタイプの制御ループをバルク副磁石ごとに適用する、温度センサからの信号を受信する電子制御ユニットによって制御される。典型的な調整ユニットは、特に冷却ステージに連結された、ヒータ素子および/または調整可能な熱インピーダンスを含む。
主超伝導バルク磁石またはそれぞれのバルク副磁石は、一般に、例えばReBCO型(Re:希土類元素、特に、Eu、YまたはGd)もしくはBSCCO型、またはMgB型、またはプニクチド型の高温超伝導材料から製作される(国際公開第2016/161336号パンフレットを比較されたい)。ここでTcritは、Tcrit>30K、多くの場合Tcrit>40K、好ましくはTcrit>77Kである。
超伝導バルク磁石は、略円筒(円筒ジャケット)状であり、超伝導ボアとも呼ばれる中心(軸方向)ボアを有し、複数の軸方向積層バルク副磁石(軸方向に積層された複数のバルク副磁石)を備える。
バルク副磁石は一般に閉じたリング状であって、それぞれが持続的な円形電流を可能にする。バルク副磁石内の電流は、実質的に中心ボアの軸(「z軸」)に沿った磁場を生じさせる。バルク副磁石は、それぞれ「古典型」、すなわち、溶融物から生成された一体型リングであってよい。あるいは、バルク副磁石は、多数の軸方向層および/または半径方向層をそれぞれ備えてもよく、特に、多数の積層されたリング素子で製作されてもよく、および/または1または複数のチューブ型キャリア本体上に円周方向の超伝導体コーティングを備えてもよい。
典型的には、超伝導バルク磁石は、3〜7個のバルク副磁石を備え、バルク副磁石の温度は、別個に制御され得る。
本発明の好ましい実施形態
本発明の超伝導磁石システムの好ましい実施形態では、
各バルク副磁石のために、それぞれのバルク副磁石に熱的に接続されたヒータ素子が存在し、特に、ヒータ素子は電気ヒータ素子である。個々のヒータ素子は、バルク副磁石の温度を迅速かつ正確に設定するのに有用である。電気ヒータ素子は、特にコンパクトに構築され得、比較的安価である。
この実施形態の好ましいさらなる発展形態では、ヒータ素子のそれぞれは、それぞれのバルク副磁石の周りに巻かれた少なくとも1つのヒータ巻線を備える。このようにして、バルク副磁石に均一に熱を導入することができる。
特に好ましい実施形態では、バルク副磁石が、少なくとも1つの金属リングによって半径方向外側が枠入れされ(framed)、特に、少なくとも1つの金属リングが、それぞれのバルク副磁石の軸方向高さ全体に亘って延伸する。金属リングによって、バルク副磁石内の温度勾配が最小限に抑えられ、(均一な)平衡温度分布が迅速に確立される。加熱力および/または冷却力は、典型的には、少なくとも1つの金属リングに向けられる。なお、金属リングはまた、バルク副磁石を機械的に安定させ得る。
好ましいさらなる発展形態では、少なくとも1つのヒータ巻線が、金属リングの円周方向ノッチに配置される。このようにして、ヒータ巻線に起因する半径方向の寸法の増加を最小限に抑えることができる、または回避することも可能である。
有利な実施形態では、中間体が、ポリイミド材料またはガラス繊維強化プラスチック材料から製作される。これらの材料は、本発明で必要とされる極低温において特に低い熱伝導率を示し、機械的に堅牢であり、比較的安価である。
有利な実施形態は、
極低温冷却システムが、全バルク副磁石のための共通冷却ステージを備え、
各バルク副磁石のために、共通冷却ステージからバルク副磁石それぞれへの熱的接続が存在し、
特に、熱的接続が熱インピーダンスを備えることを提示する。これは、バルク副磁石に冷却力を提供するための簡単でコンパクトな方法である。共通冷却ステージは、クライオ冷却器に熱的に結合される。典型的には、熱インピーダンスは固定される。ただし、熱的接続に、調整可能な熱インピーダンスを含めることが可能である。
好ましいさらなる発展形態は、
極低温冷却システムが、クライオスタットの内側にそのクライオ冷却器冷却ステージを有する恒久的に取り付けられた第1のクライオ冷却器、特にパルス管冷却器、を備え、クライオ冷却器冷却ステージが、熱インピーダンスを介して、または熱スイッチを介して共通冷却ステージに接続され、
クライオスタットが、ポートと、ポートから共通冷却ステージに到達し戻る外部冷却流体(an external cooling fluid)のための供給ラインとをさらに備え、
特に、外部冷却流体が、第2のクライオ冷却器によって供給されることを提示する。恒久的に取り付けられた第1のクライオ冷却器は、典型的には、冷却ステージを冷却するための通常動作中に使用される。対照的に、励磁手順中、第1のクライオ冷却器は、励磁磁石の漂遊磁場がその動作を歪める可能性があるため、停止される。代わりに、外部冷却流体によって冷却力が提供される。この冷却力は、典型的には別個の補助クライオスタットを有する一時的に設置された第2のクライオ冷却器によって提供される。
好ましい実施形態では、1つ以上の軸方向内側バルク副磁石の半径方向厚さが、軸方向外側バルク副磁石の半径方向厚さ以上であり、特に、全バルク副磁石が同一の外側半径を有する。これらの設計は、実際に有用であることが見出されており、製造が簡単かつ安価である。
また、本発明の範囲内には、超伝導励磁設備であって、
・励磁ボアを有する電気励磁磁石と、
・励磁ボア内に少なくとも部分的に配置された、本発明の上述の超伝導磁石システムと
を備える超伝導励磁設備が存在する。電気励磁磁石を用いて、超伝導バルク磁石を誘導的に励磁してもよく、本発明の超伝導磁石システムは、バルク副磁石の個々の温度を設定し、したがって、各バルク副磁石内の(その時点で最大の)誘導電流に影響を及ぼすことによって、特に均一な磁場分布を可能にする。
予備励磁工程を伴う方法
さらに、本発明の範囲内には、超伝導磁石システムを励磁するための方法が存在する。この方法は、超伝導磁石システムを励磁するための方法であって、
超伝導磁石システムが、
・室温ボアを有するクライオスタットと、
・クライオスタット内に収容され、室温ボアと同軸に配置された超伝導バルク磁石と、
・超伝導バルク磁石を冷却するために適用された極低温冷却システムと、
を備え、
超伝導バルク磁石が、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石(軸方向積層バルク副磁石)を備え、
超伝導磁石システムが、電気励磁磁石の励磁ボア内に少なくとも部分的に配置される
方法であって、
該方法は主磁場中冷却工程を含み、該主磁場中冷却工程において、電気励磁磁石の励磁電流が下降し、超伝導バルク磁石が、励磁磁石の磁束と対応する電流とを引き継ぎ、そしてここでは、主電流が、超伝導磁石システムおよび励磁磁石の設定に特有の基本分布スキームに従って相対的比率でバルク副磁石内に誘導され、そしてここでは、主磁場中冷却工程中において、バルク副磁石はいずれも磁気飽和しない
方法において、
極低温冷却システムが、各バルク副磁石の温度を独立して制御するために適用され、
予備励磁工程では予備電流がバルク副磁石に設定され、予備電流が、基本分布スキームとは異なる補正スキームに従って相対的比率を有することを特徴とし、
補正スキームに従って予備電流を設定することができるように、バルク副磁石の少なくとも一部の温度が、少なくとも一時的に互いに異なるように選択され、予備励磁工程中において、バルク副磁石の少なくとも一部が、少なくとも一時的に磁気飽和し、
主磁場中冷却工程が予備励磁工程の後に行われることで、バルク副磁石それぞれについて予備電流と主電流とが合計され、
予備電流と主電流との合計に基づく超伝導バルク磁石の磁場プロファイルが、主電流のみに基づく磁場プロファイルよりも均一である、
ことを特徴とする方法である。該方法は、上述の本発明の超伝導磁石システムに適用することができる。この方法によって、超伝導磁石システムの試料体積内に高い均一性を有する磁場を確立することが可能になる。
本発明の方法は、超伝導バルク磁石またはそのバルク副磁石のそれぞれに、補正スキームに従って予備電流を最初に誘導することを提案する。個々のバルク副磁石における予備電流は、典型的には、主電流と比較して小さい(各バルク副磁石について、振幅(amplitude)が主電流の1/50以下など)。次いで、主磁場中冷却(主励磁)工程では、基本分布スキームに従う主電流が誘導され、バルク副磁石内の予備電流に加算される。基本分布スキームのみによる主電流が、例えば、製造公差に起因して、または当初意図されていた(典型的にはコンパクトで安価な)磁石設計自体に起因して、試料体積内に均一性の低い磁場をもたらす場合であっても、得られた総電流は、超伝導磁石システムの試料体積(典型的には、少なくとも1mm、好ましくは少なくとも27mm、さらに好ましくは少なくとも1000mmの体積を有する)内に高度に均一な磁場を確立することができる。
好適な補正スキームを決定するために、典型的には、最初に基本分布スキームのみが測定され、ここで、超伝導磁石システムは、従来の磁場中冷却(予備励磁工程なし)を受け、得られた磁場プロファイルが測定される(「方法ゼロ」)。次いで、好適な補正スキームが計算される。次いで、超伝導磁石システムを改めて励磁し、ここで予備励磁工程および主磁場中冷却工程の両方を適用する。
なお、バルク副磁石の一部については、予備電流はゼロであってよい。
さらに、磁気飽和しているバルク副磁石は、
・その断面全体を使用して、その臨界電流を流すバルク副磁石、または
・その所定の温度およびバックグラウンド磁場において通電容量のないバルク副磁石
であってよい。
なお、主磁場中冷却工程中の磁気飽和を回避するために、主磁場中冷却工程中、超伝導バルク磁石またはその副磁石のそれぞれの温度は、一般に、予備励磁工程と比較して低い。
上記方法の好ましい変形形態は、
予備励磁工程中において、少なくとも2つのバルク副磁石が異なる温度にある間、電気励磁磁石の励磁電流が変化させられて、予備電流が前記バルク副磁石内に誘導され、
予備励磁工程での励磁電流のこの変化中に、バルク副磁石の少なくとも第1の部分が磁気飽和しているか、または磁気飽和になる
ことを提示する。
この変形形態の例は、以下の方法Aまたは方法Dとして説明される。この変形形態では、予備励磁工程での電磁誘導中に、あらゆる温度が一定に保持され得、これにより、制御が簡単になる。バルク副磁石に対して異なる温度を選択することにより、バルク副磁石の一部のみが磁気飽和しているかもしくは磁気飽和になる、および/または予備励磁工程中の異なる時点でバルク副磁石が磁気飽和になるに至り、その結果、基本分布スキームから逸脱した励磁がもたらされ得る。磁気飽和に達するとすぐに、励磁電流(一般に、その変化方向は、予備励磁工程中において維持される)がそれ以上変化しても、第1の部分の磁気飽和バルク副磁石内の予備電流はもはや変化しない。なお、この変形形態によれば、第1の部分のバルク副磁石は、励磁電流の変化の開始直後から磁気飽和し得る。なお、予備励磁工程での励磁電流の変化方向は、後の主磁場中冷却工程での励磁電流の下降方向に対応してもよいし(方法A、Dを参照)、その反対であってもよい。第1の部分は、1または複数のバルク副磁石を備え得る。
この変形形態の好ましいさらなる発展形態では、第1の部分は複数のバルク副磁石を含み、この第1の部分の少なくとも2つのバルク副磁石が異なる温度を有することで、それらは、励磁電流の変化中の異なる時点で磁気飽和になる。このようにして、3つ以上のバルク副磁石の予備電流が、簡単な方法で個別に設定され得る(なお、これらの3つのバルク副磁石のうちの1つは、磁気飽和にならない第2の部分に属し得る。以下を参照。)。なお、第1の部分のバルク副磁石のうちの1つ以上は、励磁電流の変化の開始直後から磁気飽和し得る。この場合、励磁電流の変化の開始を、これらのバルク副磁石が励磁電流の変化中に磁気飽和した時点とみなすことができる。
別の有利なさらなる発展形態では、予備励磁工程の励磁電流のこの変化中に、バルク副磁石の第2の部分は磁気飽和にならず、予備励磁工程において励磁電流が完全に変化していく間(during the complete change)に、励磁電流の変化によってこの第2の部分のバルク副磁石内の予備電流が変化され続ける。これにより、特に第2の部分では、予備電流の設定が簡単になる。第2の部分は、1つまたは複数のバルク副磁石を含み得る。第2の部分のバルク副磁石の温度は、一般に、第1の部分と比較して低い。
上記方法の別の好ましい変形形態は、
予備励磁工程が、第1フェーズおよび第2フェーズを含み、
第1フェーズでは、電気励磁磁石の励磁電流を変化させることにより、基本分布スキームに従って中間電流が超伝導バルク磁石内に誘導され、第1フェーズ中においてはバルク副磁石のいずれも磁気飽和せず、
第2フェーズでは、励磁電流が一定に保たれた状態で、バルク副磁石の第1の部分について、バルク副磁石のそれぞれの温度が上昇し、この上昇中に、この第1の部分のバルク副磁石が磁気飽和になり、温度のさらなる上昇中に、この第1の部分の磁気飽和したバルク副磁石内のそれぞれの中間電流の大きさが、予備電流の大きさまで減少することを提示する。この変形形態の例は、後述の方法B、方法C2、方法Eおよび方法Fに記載されている。この変形形態によって、バルク副磁石の個々の温度の段階的な調整が可能になり、これは、補正手順中に中間磁場プロファイルが繰り返し測定され、予備電流に基づき且つ補正スキームに従う超伝導バルク磁石の所望の磁場プロファイルに到達するまで個々の温度が再調整される場合に、特に有用である。次いで、これらの反復によって、所望の磁気プロファイルが高精度で確立され得る。なお、第1フェーズの予備励磁工程での励磁電流の変化方向は、後の主磁場中冷却工程での励磁電流の下降方向に対応してもよいし(方法B、E、Fを比較されたい)、その反対であってもよい(方法C2)。なお、第2フェーズ中、いくつかのバルク副磁石の中間電流はゼロにもなり得る。第1の部分は、1または複数のバルク副磁石を含み得る。
この変形形態の好ましいさらなる発展形態では、第2フェーズで、バルク副磁石の第2の部分のそれぞれの温度が十分に低く保たれることで、この第2の部分のバルク副磁石が磁気飽和しなくなり、第1の部分のバルク副磁石の温度の上記さらなる上昇中において、第1の部分のバルク副磁石からの磁束と対応する電流とが、第2の部分のバルク副磁石によって少なくとも部分的に引き継がれ、この第2の部分のバルク副磁石内の中間電流の大きさが予備電流まで増加する。これにより、特に第2の部分で、予備電流の設定が簡単になる。なお、第2の部分は、1または複数のバルク副磁石を含み得る。
別の有利なさらなる発展形態では、第1の部分が、温度が異なる勾配で上昇する少なくとも2つのバルク副磁石を備えることで、それらは、異なる時点で磁気飽和になる。このようにして、3つ以上のバルク副磁石の予備電流は、簡単な方法で個別に設定され得る。この例は、後述の方法Eに記載されている。
別の好ましい変形形態では、予備励磁工程中において、超伝導バルク磁石の中間磁場プロファイルが繰り返し測定され、予備電流に基づき且つ補正スキームに従う、超伝導バルク磁石の所望の磁場プロファイルに到達するまで、バルク副磁石の温度および/または励磁電流が繰り返し変化させられる。これらの反復により、所望の磁場プロファイルが高精度で確立され得る。この変形形態の例は、後述の方法Dに記載されている。
別の有利な変形形態では、予備電流に基づく超伝導バルク磁石の磁場プロファイルが、超伝導バルク磁石の磁気中心に対して非対称である。このようにして、奇数次の磁場勾配が補償され得る。この変形形態の例は、後述の方法Eおよび方法Gに記載されている。
事後補正工程を伴う方法
さらに、本発明の範囲内には、超伝導磁石システムの磁場プロファイルを均一化するための方法が含まれる。この方法は、超伝導磁石システムの磁場プロファイルを均一化するための方法であって、
超伝導磁石システムが、
・室温ボアを有するクライオスタットと、
・クライオスタット内に収容され、室温ボアと同軸に配置された超伝導バルク磁石と、
・超伝導バルク磁石を冷却するために適用された極低温冷却システムと、
を備え、
超伝導バルク磁石が、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石(軸方向積層バルク副磁石)を備え、
初期状態において、バルク副磁石が、初期分布スキームに従って相対的比率でそれぞれの初期電流を流す
方法であって、
該方法が、初期分布スキームとは異なる最終分布スキームに従って相対的比率で初期電流を最終電流に変化させる事後補正工程を含み、
最終電流に基づく、超伝導バルク磁石の磁場プロファイルが、初期電流に基づく磁場プロファイルよりも均一である
方法において、
極低温冷却システムが、各バルク副磁石の温度を独立して制御するために適用され、
初期電流を最終電流に変化させるために、バルク副磁石の少なくとも一部の温度が、少なくとも一時的に互いに異なるように選択されることで、
・バルク副磁石の第1の部分については、この第1の部分のバルク副磁石が、少なくともほぼ磁気飽和しており、特に少なくとも99%の相対磁気飽和を伴い、
・バルク副磁石の第2の部分については、この第2の部分のバルク副磁石が、磁気飽和から大幅に離れており、特に最大99%の相対磁気飽和、好ましくは最大95%の相対磁気飽和を伴う
ことを特徴とする方法が存在する。
この方法の例は、後述の方法Iに記載されている。該方法は、上述の本発明の超伝導磁石システムに適用することができる。この方法によって、超伝導磁石システムの試料体積内に、非常に高い均一性を有する磁場を確立することが可能になる。
バルク副磁石の第1の部分が少なくともほぼ磁気飽和していると、この第1の部分内のバルク副磁石のエネルギーはゆっくりと散逸し、磁場プロファイルへの寄与を弱める。結合に起因して、磁束(およびそれぞれの電流)の一部が、典型的には、第2の部分内の他の(非飽和)バルク副磁石によって引き継がれる。この作用は、磁場プロファイルをゆっくりと調整するために、特に均一化するために使用される。個々の温度制御によって、バルク副磁石は、それぞれの磁場寄与を弱めるために自由に選択され得る。
典型的には、ただ1つのバルク副磁石または磁気中心に対して対称である2つのバルク副磁石が、一度に、少なくともほぼ磁気飽和にされる。事後補正工程中、第1の部分または第2の部分へのバルク副磁石の割り当ては、経時的に変化し得る。
この方法の好ましい変形形態では、第1の部分のバルク副磁石の温度が、第2の部分のバルク副磁石の温度よりも少なくとも一時的に高い。このようにして、第1の部分のバルク副磁石は、簡単な方法で少なくともほぼ磁気飽和にされ得るが、第2の部分のバルク副磁石はそうではない。
有利な変形形態では、事後補正工程中において、最終電流に基づく所望の磁場プロファイルが得られるまで中間磁場プロファイルが繰り返し測定され、測定の合間において、バルク副磁石の温度が変化させられ、および/またはしばらくの時間待機させられる。この変形形態の反復により、最終磁場の特に高い均一性が達成され得る。
別の変形形態は、主磁場中冷却工程において初期状態とするために、超伝導磁石システムが、電気励磁磁石の励磁ボア内に少なくとも部分的に配置され、電気励磁磁石の励磁電流が下降し、超伝導バルク磁石が、励磁磁石の磁束と対応する電流とを引き継ぐことを提示する。言い換えれば、初期状態は磁場中冷却工程によって準備され、これは、超伝導バルク磁石を最初に負荷する簡単な方法である。
さらに、事後補正工程を伴う方法の好ましい変形形態では、事後補正工程を伴う方法は、予備補正工程を伴う上述の本発明の方法の後に続く。このようにして、最終磁場の特に高い均一性を達成することができる。
さらに、本発明の範囲内には、核磁気共鳴測定における、本発明の上述の超伝導磁石システムの使用法、または上述の予備励磁工程を伴う本発明の方法によって励磁された超伝導磁石システムの使用法、または上述の事後補正工程を伴う本発明の方法によって均一化された磁場プロファイルを有する超伝導磁石システムの使用法が含まれる。核磁気共鳴(=NMR)実験では、本発明に従って達成することができる磁場の高い均一性は、高い測定分解能を得るために特に有利である。
さらなる利点は、説明および添付の図面から引き出すことができる。上記および下記の特徴は、本発明に従って個別に、または任意の組合せで集合的に使用することができる。言及された実施形態は、網羅的な列挙として理解されるべきではなく、むしろ本発明の説明のための例示的な性質をもつものである。
本発明を図面に示す。
例として、本発明による超伝導励磁設備の概略図を示す。 例として、本発明による超伝導バルク磁石の概略分解図を示す。 例として、本発明のための、金属リングが包囲するバルク副磁石の、概略斜視図(上)および断面図(下)を示す。 例として、本発明のための、コルセットリングおよび支持リングを有するバルク副磁石の概略断面図を示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法A)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Aに関する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法B)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Bに関連する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法C2)の概略タイムスケジュールを示す。 方法C2に関する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法D)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Dに関連する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法E)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Eに関連する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法F)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Fに関連する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の、超伝導磁石システムを励磁する方法の変形形態(方法G)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Gに関連する磁場寄与を概略的に示す。 本発明の超伝導磁石システムを励磁する方法の補正スキームおよび予備電流を推定するために使用することができる、超伝導磁石システムを従来通り励磁する(方法ゼロ)ための概略タイムスケジュールを示す。 方法ゼロ、方法A、方法B、方法C2および方法Dによって得られた磁場プロファイルの概略図を示す。 図20の一部拡大図で、磁気中心付近を示す。 本発明の、超伝導磁石システムの磁場プロファイルを均一化する方法の変形形態(方法I)の概略タイムスケジュールを示す。 方法Iの過程で得られた様々な時点での磁場プロファイルの概略図を示す。 方法Iに関する様々な時点での磁場寄与を概観で概略的に示す。 図24の一部拡大図で、中間バルク副磁石の寄与の最大値付近の拡大図である。 図24の一部拡大図で、上側バルク副磁石の寄与の最大値付近の拡大図である。 本発明による超伝導磁石システムの全体的な励磁手順の概略図を示す。
本発明の超伝導方法システム
図1は、電気励磁磁石3の励磁ボア3a内に部分的に配置された本発明の超伝導磁石システム2を備える、本発明による超伝導励磁設備1を概略図で示す。
電気励磁磁石3は、超伝導型または常伝導型であってよく、励磁磁石3内を流れる励磁電流は、詳細には図示されていない電子制御装置によって設定され得る。励磁磁石3によって、超伝導磁石システム2を誘導励磁することを目的に、励磁ボア3a内に磁束(または磁場)を発生させ得る。発生した磁束は、一般に、中心軸Aに平行に配向する。
超伝導磁石システム2はクライオスタット4を備え、クライオスタット4の内部は断熱のために真空に維持されている。クライオスタット4の内部には、ここでは3つのバルク副磁石6a、6b、6cを備える超伝導バルク磁石5が収容されている。バルク副磁石6a〜6cは、一般に閉じたリング状であり、超伝導磁石システム2の中心軸Aについて軸方向に積層され同軸に配置される。これにより、超伝導ボア9と呼ばれる、超伝導バルク磁石5の内部の半径方向中央に軸方向に延在する自由空間が生じる。バルク副磁石6a〜6cは、YBCOなどの高温超伝導材料から製作される。軸Aは、z軸とも呼ばれる。
バルク副磁石6a〜6cを互いに断熱するために、ここではポリイミド材料で製作された、略リング状でワッシャ状の中間体7a、7bが、隣接するバルク副磁石6a〜6cの軸方向における間に配置されている。ポリイミド材料の追加の中間体7cが、底部バルク副磁石6cとバルク副磁石6a〜6cのための共通冷却ステージ8との間に配置される。バルク副磁石6a〜6cは、中間体7a〜7bおよび追加の中間体7c上に載置される。
図示される例では、バルク副磁石6a〜6cはいずれも同一の外径を有し、同一の内径を有する。さらに、図示される例では、中間体7a〜7bは(ここでは追加の中間体7cも)、バルク副磁石6a〜6cと同じ外径および内径を有する。
クライオスタット4の室温ボア10は、超伝導ボア9に達する。励磁磁石3またはその励磁ボア3aと、超伝導バルク磁石5またはその超伝導ボア9と、室温ボア10とは、同軸に配置される。超伝導ボア9の磁気中心および室温ボア内には、試料体積11が配置され、そこには、超伝導磁石システム2によって発生した磁束にさらされる試料が配置され得る。
超伝導磁石システム2は、超伝導バルク磁石5を冷却するための極低温冷却システム12をさらに備える。本発明によれば、各バルク副磁石6a〜6cの温度は、典型的には少なくとも0.1K、またはさらに良好な精度で個別に設定され得る。この目的のために、各バルク副磁石6a〜6cのために、それぞれのバルク副磁石6a〜6cへの、ここでは加熱力を、調整するための調整ユニット13a〜13cが存在する。図示される例において、それぞれの調整ユニット13a〜13cは、電流強度を設定することによって加熱力が調整され得る電気ヒータ素子14a〜14cによって具体化される。各ヒータ素子14a〜14cは、バルク副磁石6a〜6cのうちの1つに熱的に結合される。
さらに、各バルク副磁石6a〜6cは、熱インピーダンス15a〜15cを介して共通冷却ステージ8に熱的に結合される。共通冷却ステージ8は、励磁手順中および通常動作中において、バルク副磁石6a〜6cの材料の臨界温度よりも一般にはるかに低い極低温になっている。これにより、バルク副磁石6a〜6cに常に冷却力が提供される。なお、熱インピーダンス15a〜15cは、典型的には固定型のものである。あるいは、熱インピーダンスは、調整可能型のものであってよく、その場合は、それぞれの調整ユニット13a〜13cの一部とされる。特定のバルク副磁石6a〜6cにおいて安定した温度に達するために、ヒータ素子14a〜14bの、設定された加熱力、共通冷却ステージ8の対向する(有効な)冷却力、および追加の熱伝導経路(黒体放射や、中間体7a、7bおよび追加の中間体7cを通る残りの熱伝導など)が平衡状態にされる。
さらに、各バルク副磁石6a〜6cは、バルク副磁石6a〜6cの温度をそれぞれ監視するための温度センサ16a〜16cを備えている。典型的な温度センサ16a〜16cは、例えば、NiCr−Ni型の熱電対を含む。
調整ユニット13a〜13cおよび温度センサ16a〜16cは、少なくとも超伝導バルク磁石5の励磁中にバルク副磁石の温度を制御するための電子制御ユニット(詳細には図示せず)に接続される。
通常動作中に共通冷却ステージ8を冷却するために、図示される例では、クライオスタット4は、クライオスタット4の内部にそのクライオ冷却器冷却ステージ17aを有する第1のクライオ冷却器17を恒久的に備えている。第1のクライオ冷却器17のクライオ冷却器冷却ステージ17aは、ここでは熱インピーダンス18を介して共通冷却ステージ8に接続されている。
励磁手順中、第1のクライオ冷却器17の動作は、励磁磁石3から生じる強い漂遊磁場によって損なわれる可能性があり、その場合は使用すべきではない。したがって、クライオスタット4は、ポート19と、ポート19から共通冷却ステージ8に外部冷却流体を導いて戻すための供給ライン20とをさらに備える。励磁手順中、ポート19は、外部の第2のクライオ冷却器21に一時的に接続される。外部の第2のクライオ冷却器21のクライオ冷却器冷却ステージ21aは、別個の補助クライオスタット22内に配置される。この補助クライオスタット22の内部には、第2のクライオ冷却器21のクライオ冷却器冷却ステージ21aからポート19に冷却流体を搬送して戻すための補助供給ライン23が設けられている。なお、さらに、通常動作中において、典型的には、励磁手順と比較して必要な冷却力が少ないため、励磁手順中に第2のクライオ冷却器21を使用することによって、通常動作用の、より小さな第1のクライオ冷却器を使用することができる。
なお、他の実施形態では異なる方法で、例えば第1のクライオ冷却器を有さず、第2のクライオ冷却器のみを有するようにして、冷却システム12を構築することができる。
図2は、例として、本発明の超伝導バルク磁石5を概略分解図で示す。なお、実施する上では、バルク副磁石6a〜6cと中間体とは軸方向に互いに接触しており、通常動作では、数トン相当の磁気圧力とともに磁力がバルク副磁石6a〜6cを軸方向に押圧する。
図示される例では、超伝導バルク磁石5は、それぞれが中心孔25を有する略円筒リング状である3つのバルク副磁石6a〜6cを備え、同様にそれぞれが中心孔25aを有し基本的にワッシャ形状である中間体7a、7bによって軸方向に分離されている。孔25、25aは、ここでは同一の直径を有する。バルク副磁石6a〜6cおよび中間体は、軸方向に積層され、中心軸Aと同軸に配置される。図示される例では、バルク副磁石6a〜6cはいずれも、同一型であり、同一の寸法を有し、同じ高温超伝導材料で製作され、特に、同じ半径方向厚さRTおよび同じ外側半径ORを有する。同様に、中間体7a、7bは、同一型であり、同じ寸法を有し、同じポリイミド材料で製作されている。
バルク副磁石6a〜6cは、ここでは半径方向外側の金属リング24a〜24cによって囲まれて(枠入れされて)(framed)おり、これにより、機械的安定性(「コルセットリング」)や、各バルク副磁石6a〜6cのための迅速な軸方向熱伝導経路ももたらされるため、各バルク副磁石6a〜6c内で温度勾配が最小限に抑えられる。金属リング24aの典型的な材料は、ステンレス鋼および高強度アルミニウム合金である。金属リング24a〜24cは、各バルク副磁石6a〜6cの軸方向高さ全体に亘って延伸する。金属リング24a〜24cの外径と中間体7a、7bの外径とは、ここでは同一である。
なお、本発明の超伝導バルク磁石5は、例えば5つまたは7つのバルク磁石(図示せず)など、3つを超えるバルク副磁石を有し得る。ただし、一般に、奇数のバルク副磁石が好ましい。
図3は、図2に示すバルク副磁石6aを改めて示しており、その金属リング24aが斜視図(上)および概略断面図(下)に示されている。孔25を通って、室温ボアまたは対応するクライオスタットチューブが延在する。
図4の概略断面図に示すバルク副磁石6aの変形形態では、金属リング24aを半径方向外側で包む追加の金属リング26(「支持リング」)が存在する。追加の金属リングは、アルミニウムまたは別の反磁性金属で製作され得る。追加の金属リング26は円周方向ノッチ27を有し、ここには、追加の金属リング26の周りに巻かれた複数のヒータ巻線28を伴う電気ヒータ素子14aが配置される。ヒータ素子14aの加熱ワイヤは、加熱電流による望ましくない歪み磁場の誘導を回避するために、二本巻きであってよい。追加の金属リングの熱伝導率によってバルク副素子6a内の軸方向の温度分布が平滑化し、ヒータ素子14aからの熱導入は基本的に均一である。
さらに、追加の金属リング26は、熱電対などの温度センサ16aを収容するための凹部29を有する。
予備励磁工程を含む、超伝導磁石システムを励磁する方法
図5〜図18は、予備励磁工程を含む、図1〜図4に示す励磁設備内の超伝導磁石システムなど、本発明による超伝導磁石システムを励磁するためのいくつかの例示的な変形形態(ここでは方法A、B、C2、D、E、FおよびGと呼ばれる)を示す。いずれの場合も、それぞれの第1の図(図5、図7、図9、図11、図13、図15および図17を参照)は、時間(右に向かってプロット)の関数として以下(上に向かってプロット)を示す:
・励磁電流I ch(一番上の概観図および上から2番目の拡大図の両方);
・バルク副磁石内の誘導電流I bulks(上から3番目の概観図および上から4番目の拡大図の両方);および
・バルク副磁石の温度T bulks(下から2番目の概観図および一番下の拡大図の両方)。
様々な時点は、参照の便宜上、文字A〜Mで示されている。いずれの場合も、それぞれの第2の図(図6、図8、図10、図12、図14、図16および図18を参照)は、z位置(右に向かってプロット)の関数として以下(上に向かってプロット)を示す:
・300分の時点(時点G)および/または390分の時点(時点I)で、上側、中間および下側バルク副磁石によって発生した磁束密度B、ならびに全バルク副磁石全体(「合計」)によって発生した磁束密度B。図示される変形形態では、超伝導バルク磁石は3つのバルク副磁石を備える。
方法A
図5に示す方法Aにおいて、時間区間A〜Bでは、励磁磁石は約120A(アンペア)の励磁電流I chまで上昇し、バルク副磁石は約100Kの温度、すなわち、約92KであるそれらのTcritを上回る温度であるため、バルク副磁石は未励磁のままである。待機区間B〜Cの後、バルク副磁石の温度T bulksは、区間C〜DではTcrit未満に低下し、中間バルク副磁石については約79Kまで、上側および下側バルク副磁石については約76Kまで低下する。
待機区間D〜Eの後、後続の時間区間E〜Fでは、励磁電流I chはわずかに低下、120.0Aから約119.84Aまで低下する。これにより、上側および下側(すなわち、軸方向外側)のバルク副磁石に約500Aほどの電流が誘導される。これらのバルク副磁石は、励磁磁石のバックグラウンド磁場があっても、バルク副磁石の温度が比較的低いため、この電流を流し得る。他方、中間バルク副磁石では、その温度が比較的高く、また、励磁磁石のバックグラウンド磁場が既に存在するため、その通電容量は無視できるので、実質的には電流は誘導されない。時間区間F〜Gでの緩和後、すなわち時点G(300分時点)において、バルク副磁石は、補正スキームに従ってそれらの予備電流を受け取っている。
ここで時点Iまでさらに待機した後、バルク副磁石の温度T bulksは、時間区間I〜Jに亘って、主磁場中冷却(主励磁工程)について意図された温度である約50Kまで低下する。50Kという温度は、主磁場中冷却工程中に磁気飽和が発生しないようにするのに十分に低いものである。待機時間区間J〜Kの後、時間区間K〜Lでの主磁場中冷却工程の過程では、励磁電流I chはゼロまで低下し、これにより、基本分布スキームに従って主電流が誘導される。主電流は予備電流に加算され、結果として生じる合計電流によって、超伝導磁石システムの試料体積内に、均一性の高い、特に、主電流のみによって生成された磁場プロファイルよりも高い均一性の磁場プロファイルが生成される。待機時間区間L〜Mの後、方法Aは終了する。
なお、時間区間K〜Lは主磁場中冷却工程50とみなされ、時間区間C〜Iは予備励磁工程とみなされ得る。
方法Aでは、バルク副磁石の温度は、時間区間E〜Fにおける誘導の前に、時間区間C〜Dで事前に設定されてもよい。必要に応じて、バルク副磁石の温度を設定することにより、あらゆるバルク電流を磁気飽和によって制限することができる。少なくとも1つのバルク副磁石が磁気的に不飽和のままである場合(図示されるように)、励磁電流の変化の大きさ(amplitude)によって、このバルク副磁石のための予備電流が設定される。
図6には、試料体積内の総磁束に対する個々のバルク副磁石の寄与が示されている。方法Aにおいて、390分の時点I(誘導された予備電流のみ、での状況を示す)では、上側および下側バルク副磁石は、ダブルハンプ様磁場プロファイルをもたらす。これは、主磁場中冷却工程の基本分布スキームにおいて、中間副バルクの過度に高い磁場寄与を補償する(以下の図21も参照)。
以下では、特に、方法Aに対する方法B〜Gの主な相違点を説明する。
方法B
図7に示す方法Bにおいて、時間区間A〜Bでは、ここでも励磁電流I chは、またしても約120Aまで上昇し、ここでバルク副磁石の温度T bulksは約100Kである。
時間区間C〜Dでは、バルクの温度は約76Kまで一様に低下する。時間区間E〜Fでは、励磁電流I chは120.0Aから約119.84Aまで、わずかに低下し、これにより、時点F(「中間電流」)において、バルク副磁石にいくらかの低電流I bulksが、すなわち上側および下側バルク副磁石に約380A、中間副磁石に約300Aが誘導される。時間区間E〜Fは、予備励磁工程51の第1フェーズ61とも呼ばれる。
次いで、待機時間区間F〜Gの後、時間区間G〜Hでは、中間バルク副磁石の温度はわずかに、76Kから約79Kまで上昇するが、上側および下側バルク副磁石の温度は約76Kのままである。中間バルク副磁石の温度が約76.5Kに達すると、その超伝導通電容量に達し、それ以上の温度上昇はその通電容量の完全な崩壊につながり、その電流I bulkはゼロまで低下する。対照的に、誘導により、上側および下側バルク副磁石は、中間バルク副磁石の磁束、または対応する電流を部分的に引き継ぎ、それにより、上側および下側バルク副磁石の誘導電流I bulkは、380Aから約450Aに増加する。時間区間G〜Hは、予備励磁工程51の第2フェーズ62とも呼ばれる。待機時間区間H〜Iの後、時点Iでは、予備電流が設定されている。
時間区間I〜Jでは、バルク副磁石の温度T bulksが約50Kまで低下し、時間区間K〜Lでは、主磁場中冷却工程の過程で、励磁電流がゼロまで下降する。
方法Bにおいて、バルク副磁石の一部について、時間区間E〜Fでは、予備電流として最終的に所望されるよりも多くの電流が誘導される。したがって、いくらかの電流が「加熱」され、バルク副磁石の残りの部分に再分布される。
図8から分かるように、時点G(300分時点)では、3つのバルク副磁石がいずれも、依然として基本分布スキームに対応して、依然として同程度の磁場寄与を有する。しかし、温度が変化した後、時点I(390分時点)では、中間バルク副磁石はもはや磁場寄与を有さず、上側および下側バルク副磁石の磁場寄与は増加している。390分時点における総磁場は、基本分布スキームでは、中間バルク副磁石の強すぎる磁場寄与を補償するために、ここでもダブルハンプ様プロファイルを有する。
方法C2
図9に示す方法Cの変形形態では、バルク副磁石の温度T bulksがまだ約100Kである時間区間A〜B中において、ここでは、励磁電流I chは約119.84Aまでしか上昇しない。次いで、時間区間C〜Dでは、バルク副磁石の温度T bulksは、約75Kまで一様に低下し、ここで、バルク副磁石は、存在する、励磁磁石のバックグラウンド磁場において、いくらかの通電容量を有する。
次いで、時間区間E〜Fでは、励磁電流I chは119.84Aから120.0Aまで、わずかに増加し、これにより、方法Bと比較して負の符号が伴うが、バルク副磁石にいくらかの電流I bulksが誘導される。中間バルク副磁石のバルク電流I bulkは約−300Aとし、上側および下側バルク副磁石のバルク電流I bulkはそれぞれ約−450Aとする。
次いで、時間区間G〜Hでは、バルク副磁石の温度T bulksが上昇する。上側および下側バルク副磁石は75Kから約77Kまで上昇し、中間バルク副磁石は75Kから約76.2Kまで上昇するため、異なる温度勾配が適用される。上側および下側バルク副磁石の温度が約76.5Kに達すると、上側および下側バルク副磁石は磁気飽和し、その結果、それらの通電容量に達する。さらに温度が上昇すると、それらの通電容量が完全に崩壊し、上側および下側バルク副磁石のバルク電流I bulkの大きさがゼロまで低下する。対照的に、中間バルク副磁石は、上側および下側バルク副磁石からいくらかの磁束と対応する電流とを引き継ぎ、中間バルク副磁石のバルク電流I bulkの値は、−300Aから約−480Aに増加する(なお、中間バルク副磁石においていくらかのオーバーシュート電流が存在するが、これはすぐに緩和する)。時点Iでは、予備電流分布が得られる。
次いで、時間区間I〜Jでは、全バルク副磁石の温度が約50Kまで低下し、時間区間K〜Lでは、励磁電流Ichがゼロまで下降し、主電流が誘導される。主電流の加算は中間バルク副磁石について負のレベルで始まるため、予備電流が主電流に加算されると、方法C2によって、中間バルク副磁石の低下した総電流を確立することができる。
方法C2では、時間区間E〜Fでの誘導中、励磁電流I chの電流変化の方向は、時間区間K〜Lでの主磁場中冷却工程における電流変化の方向とは反対である。
図10では、時点G(300分時点)における(負の)磁場寄与は、全バルク副磁石について同程度の大きさである。ただし、時点I(390分時点)では、上側および下側(軸方向外側)バルク副磁石の磁場寄与は消失してゼロになり、大きさが増大しただけの中間バルク副磁石の負の磁場寄与は残る。ここでも、これは、主磁場中冷却工程の基本分布スキームでの中間バルク副磁石の大きすぎる磁場寄与を補償するのによく適している。
方法D
図11に示す方法Dの変形形態(方法Aによく似ている)において、バルク副磁石がまだそれらの臨界温度Tcritを超える100Kの温度である時間区間A〜Bにおいて、励磁電流I chは約120Aまで上昇する。時間区間C〜Dにおいては、バルク副磁石の温度T bulksは約75Kまで一様に低下し、時間区間E〜Fにおいては、異なる温度T bulksが設定され、時点Fでは、中間バルク副磁石の温度は約77Kであり、上側および下側バルク副磁石の温度は少し低く約76Kである。
次いで、時間区間G〜Hでは、励磁電流I chはゆっくりと下降する。その比較的高い温度と励磁磁石の既に存在するバックグラウンド磁場のために、中間バルク副磁石は直ちに磁気飽和し、そのため、実質的に、電流は中間バルク副磁石に誘導されない。対照的に、上側および下側バルク副磁石では、それらの温度は比較的低いため、いくらかの電流が徐々に誘導される。励磁電流I chを下降させる間、その時点で到達している磁場プロファイル(「中間磁場プロファイル」)が繰り返し測定される。中間磁場プロファイルが所望の特性(特に、所望の均一性)に達すると、時点Hを比較して、励磁電流I chの下降が停止し、バルク副磁石はそれらの予備電流を想定している。時間区間H〜Iは、緩和目的のための待機時間区間のみである。
次いで、時間区間I〜J中、バルク副磁石の温度は50Kまで低下する。時間区間K〜Lでは、主磁場中冷却工程の過程で、残りの励磁電流I chはゼロまで下降し、主電流が誘導される。
図12から分かるように、時点I(390分時点)では、ここでもダブルハンプ磁場プロファイルを合計で得ることができ、これには上側および下側バルク副磁石のみが寄与する。
方法E
(例えば、製造公差に起因する)非対称磁場プロファイルをもたらす主磁場中冷却工程の主電流の基本的な電流分布スキームの場合においては、対応する非対称補正スキームに従って非対称予備電流を確立する必要がある。図13に示す方法Eは、例として、3つのバルク副磁石の予備電流が磁気中心に対して非対称となる補正スキームを確立する可能性を示す(なお、z=0での磁気中心は、中間バルク副磁石の軸方向中央に位置し、上側および下側バルク副磁石は、軸方向に対称に、磁気中心から離間している)。方法Eは上述した方法Bに似ているため、以下の説明では主な相違点に焦点を当てている。
時間区間A〜Bにおいて、バルク副磁石がまだ100Kの温度T bulksにある状態で励磁電流I chを上昇させた後、時間区間C〜Dにおいて、バルク副磁石の温度T bulksを、約75Kまで一様に低下させる。時間区間E〜Fでは、励磁電流I chを、約120.0Aから約119.84Aまで少し傾斜させる。これにより、いくらかのバルク電流が、すなわち、中間バルク副磁石では約290A、上側および下側バルク副磁石では約350Aが、誘導される。
次いで、時間区間G〜Hでは、3つのバルク副磁石の温度T bulksが分割される。すなわち、上側バルク副磁石の温度は75Kから約80Kまで、大きな勾配で上昇する一方で、中間バルク副磁石の温度は75Kから約76.3Kまで、小さな勾配で上昇し、下側バルク副磁石の温度はここでは75Kで一定に保たれる。
上側バルク副磁石の温度が約76.2Kに達する(約320分時点)とすぐに、上側バルク副磁石は磁気飽和し、温度がさらに上昇すると、その通電容量が急速に完全に崩壊する。上側バルク副磁石のバルク電流I bulkは、急速にゼロまで低下する。その磁束および対応する電流の一部は、しばらくの間、バルク電流I bulkが約290Aから約350Aまで上昇する中間バルク副磁石によって引き継がれる。
ただし、中間バルク副磁石の温度が約340分時点で約76Kに達するとすぐに、中間バルク副磁石は磁気飽和する。中間バルク副磁石の温度をさらに上昇させると、その通電容量は減少するが、時点Hになるまで温度は約76.3Kまで上昇するに留まるため、中間バルク副磁石の通電容量は減少するだけであり、時点Hになるまで完全には崩壊しない。時点Hでは、中間バルク副磁石のバルク電流I bulkは350Aから約270Aまで低下してしまう。一方、下側バルク副磁石は磁束および対応する電流の一部を引き継ぐので、下側バルク副磁石のバルク電流I bulkは、340分時点における約350Aから時点H(360分)における約400Aまで上昇する。
上側バルク副磁石と中間バルク副磁石とで異なる温度勾配を選択することにより、これらのバルク副磁石は、時間区間G〜H内の異なる時点での磁気飽和を想定している。
時点Hで、または時点I(390分時点)での緩和後、予備電流が設定されている。
時間区間I〜Jでは、バルク副磁石の温度T bulksが50Kまで低下し、時間区間K〜Lでは、励磁電流がゼロまで低下し、これにより、バルク副磁石に主電流が誘導され、これが予備電流に加算される。
図14は、時点G(300分時点)でのバルク副磁石の磁場寄与を示しており、ここで、バルク副磁石は基本分布スキームに従って励磁されており、全バルク副磁石についてほぼ等しい寄与をもたらす。バルク副磁石での異なる温度(および温度勾配)の適用による電流の再分布後、時点I(390分時点)では、下側バルク副磁石の磁場寄与は著しく増加し、中間バルク副磁石の磁場分布はわずかに減少し、上側バルク副磁石の磁場分布は消滅してしまう。得られた総磁場分布は、ここではz=0に対して非対称であり(z=0は超伝導磁石システムの磁気中心を示す)、対応する非対称基本分布スキームに従って主電流からもたらされる(逆)非対称磁場プロファイルを補償する。
方法F
図15に示す方法Fは、上に示した方法Bによく似ているため、とりわけ主な相違点を説明する。方法Fにおいて、時間区間E〜Fでは、励磁電流I chの電流変化の振幅は、約120.0Aから約119.6Aであり、したがって、方法Bと比較して著しく大きい。したがって、時点Fでの誘導バルク電流I bulkは、方法Bと比較して著しく大きく、ここで、上側および下側バルク副磁石のバルク電流I bulkは約900Aまで増加し、中間バルク副磁石のバルク電流I bulkは約700Aまで増加している。時間区間G〜Hにおいて中間バルク副磁石の温度T bulkを74Kから約77Kまで上昇させた後、中間バルク副磁石のバルク電流I bulkは、この温度並びに励磁磁石の存在するバックグラウンド磁場での通電容量の不足のために、ゼロまで低下し、一部の磁束と対応する電流とを引き継いだ上側および下側バルク副磁石のバルク電流I bulkは、約1200Aまで増加している。時点Hにおいて、または時点Iでの緩和後、予備電流が設定されている。
図16は、390分時点でのIでの300分時点での時点Gでの方法Fのバルク副磁石の磁場寄与を示す。方法Bの図8との唯一の相違点は、方法Fの図16では、上側および下側バルク副磁石の磁場寄与の振幅が方法Bと比較して約2.5倍大きいことである。この大きな振幅は、二次(二乗オーダー(quadratic order))またはさらに高次の(基本分布スキームの)軸上磁場勾配を補償するのに十分である。
方法G
図17に示す方法Gは、非対称補正スキームに従って予備電流を確立し、ここでは3つの予備電流を異なる方法で個別に設定する方法の別の例である。方法Gは方法Aに似ているため、主な相違点のみを説明する。
時間区間A〜Bにおいてバルク副磁石が100Kの状態で励磁電流I chを120Aまで上昇させた後、時間区間C〜Dにおいて、3つのバルク副磁石が個々のバルク温度T bulksまで冷却される。中間バルク副磁石は約79Kまで、上側バルク副磁石は約76.2Kまで、下側バルク副磁石は約76.0Kまで冷却される。
210分時点〜270分時点の時間区間E〜Fにおいて、励磁電流I chが120.0Aから約119.84Aに下降すると、中間バルク副磁石は、それの比較的高い温度79Kと励磁磁石の存在するバックグラウンド磁場とのために、最初から磁気飽和し、中間バルク副磁石にバルク電流I bulkは実質的に誘導されない。
他方、210分時点〜270分時点の間、上側バルク副磁石および下側バルク副磁石の両方にいくらかのバルク電流I bulksが誘導される。
ただし、約240分時点で、76.2Kの上側バルク副磁石も磁気飽和し、それ以上の電流を流すことはできない。その誘導バルク電流I bulkは、240分時点〜270mm分時点の間で、約290Aのままである(ただし、すぐに緩和するわずかなオーバーシュートが存在する)。240分の時点から、76.0Kの下側バルク副磁石は、未だ磁気飽和していない唯一のバルク副磁石であり、そのバルク電流I bulkは、270分時点の時点Fに達するまで、約490Aまで増加する。
時点Fに、または390分の時点Iでさらに緩和した後に、予備電流が設定されている。
時間区間I〜Jではバルク副磁石の温度T bulksが約50Kまで低下し、時間区間K〜Lでは残りの励磁電流I chが下降し、予備電流に加えて主電流が誘導される。
図18に示すように、予備電流によるバルク副磁石の磁場寄与を示すと、下側バルク副磁石の寄与は上側バルク副磁石の寄与と比較して著しく大きく、中間バルク副磁石の寄与はない。方法Gの予備電流は、基本分布スキームの主電流に基づいて、下側および上側バルク副磁石の寄与の非対称性、ならびに磁場プロファイルの中間バルク副磁石の大きすぎる寄与の両方を補償するのによく適している。
方法ゼロ
有用な補正スキームや有用な予備電流を見出すためには、それぞれ、初めに基本分布スキーム、すなわち、従来通りにバルク副磁石内のゼロ電流から開始して励磁磁石によって超伝導磁石システムを励磁する場合のバルク副磁石内の電流分布を決定すべきである。これは、図19に示す、ここでは方法ゼロと呼ばれるものを適用することによって行うことができる(含まれる図については、上述の図5、図7、図9.図11.図13.図15.図17に関する説明を比較されたい)。
最初に、時間区間A〜Bにおいて、励磁電流I chは、ここでは120Aまで上昇し、バルク副磁石はここでは100K、すなわちTcritを超える温度であるため、それまでの間は超伝導バルク電流I bulkは誘導され得ない。しばらくの緩和時間(図示される例では、必要よりもいくらか長くなるように選択されたもの)の後、時間区間I〜Jにおいて、バルク温度は、バルク副磁石の臨界温度Tcrit(YBCOでは約92K)をはるかに下回る、ここでは50Kまで低下する。しばらくの緩和の後、次いで、時間区間K〜Lにおいて励磁電流I chが下降し、バルク電流がバルク副磁石に誘導され、ここでは、主バルク副磁石では約215kA、上側および下側バルク副磁石では約270kAである。ここで、バルク副磁石では磁気飽和は発生しない。しばらくの緩和時間の後、時点M(570分時点)では、基本分布スキームに従う主電流が設定されている。したがって、上述の方法A〜Gと比較して、方法ゼロは、時間区間K〜Lにおける主磁場中冷却工程50を含むが、予備励磁工程を含まない。
ここで、時点Mでは、対応する磁場プロファイルが、例えば、それぞれ室温ボアを通って、または超伝導磁石システムの試料体積を通って移動するホールセンサまたはNMRフィールドプローブを使用して、測定され得る。基本分布スキームが分かれば、好適な補正スキームを見出すために、基本分布スキームを反転させることができ、次いで、対応する予備電流を計算することができる。続いて、熱的リセットの後、上述の方法A〜Gのうち1つで、予備電流が印加(設定)され得る。
概観の図20および拡大の図21は、前述の様々な方法を適用した後の超伝導磁石システムの試料体積内の磁気中心(z=0)付近の磁場分布を示している。右に向かってプロットされたzに沿った位置の関数として、磁束密度Bが上に向かってプロットされている。
単純なバルク超伝導磁石設計であっても、方法ゼロのみを適用して超伝導バルク磁石を従来通り励磁することによって得られる磁場プロファイル(ボルトの三角印(bolt triangle markings))について、この磁場プロファイルは、図20を参照すると、大まかな概観では約−30mm〜+30mmの間で平坦であるように見える。しかし、特に上軸に関してスケールを拡大した場合、図21を参照すると、例えば−15mm〜+15mmの間で、Bは約6.133テスラ〜6.135テスラの間で変化し、約300ppmの不均一性に相当することが分かる。NMR用途などの多くの用途では、多くの場合、比較的高い均一性、典型的には100ppmよりも良好な均一性が望まれる。
これは、(方法ゼロの場合のような)主磁場中冷却工程から生じる主電流に加えられ、主磁場中冷却工程からの不均一性を補償する予備電流を設定することによって達成することができる。図示される例において、方法ゼロでは、磁場は、z=0の中心に近いところで大きすぎる。これは、上側および下側バルク副磁石内の(全体的な)電流に対して、中間バルク副磁石内の(全体的な)電流をいくらか減少させることによって補償することができる。これは、例えば上述の方法A、B、C2およびDで既に示されているように、予備電流を設定することによって行うことができる。
図21では、予備電流(補正スキームによる)および主電流(基本分布スキームによる)の合計で励磁されるバルク副磁石に基づく総磁場プロファイルが、特に方法A(白丸)、方法B(プラス記号)、方法C2(縦棒)および方法D(白三角形)について示されている。これらの磁場プロファイルはいずれも、図21の拡大であっても、−15mm〜+15mmの間で実質的に平坦であり、それらの均一性はいずれの場合も100ppmよりも明らかに良好である。
なお、方法C2では、予備励磁工程中に負のバルク電流が誘導されているため、絶対磁束はいくらか低下する。
方法I
図22に示すように、本発明を使用して、主磁場中冷却工程が適用された後に超伝導磁石システムの磁場プロファイルを補正する(またはさらに補正する)こともできる。ここではこれを方法Iと呼ぶ。一般に、事後補正工程を適用する本発明の方法の過程では、個々のバルク副磁石の電流強度はわずかに変化するだけであり、その結果、最終電流は、それぞれ初期電流から典型的には10%以下、多くの場合5%以下だけ逸脱する。
右に向かってプロットされた時間の関数として、励磁電流I ch(一番上の図)、中間バルク副磁石内の電流の拡大図(「I mid bulk」、上から2番目の図)、上側および下側バルク副磁石内の電流の拡大図(「I end bulks」、上から3番目の図)、バルク副磁石内の電流の概観(「I bulks」、上から4番目の図)、磁気中心におけるバルク副磁石全体によって発生する磁束密度(「B center」、下から2番目の図)、ならびにバルク副磁石の温度(「T bulks」、一番下の図)が示されている。
図22に示す時点Lの前に、超伝導バルク磁石は、例えば方法ゼロを使用して、または好ましくは方法A〜Gで例として上述したような予備補正工程を含む方法のうちの1つを使用して、磁場中冷却によって励磁されている。時点Lでは、励磁電流I chはゼロに達した。バルク副磁石の温度T bulksは、この時点で約50Kである。
時点Lで励磁磁石をオフに切り替え、ここで時間区間LM’である種の緩和時間(a sort relaxation time)を待機した後、時点M’から開始し、それぞれのバルク副磁石の温度レベルが異なるように設定され、すなわち、ここでは、中間バルクについては上昇させ、端部バルク副磁石については低下させて設定され、バルク内の電流の所望の再分布を開始する。ここで、中間バルク副磁石が約52Kに達すると、磁気飽和に達し、59Kまで温度をさらに上昇させると、その超伝導通電容量が減少し、その電流は、時点Nに達した時には約218kAから約207kAまで低下する。一方、上側および下側バルク副磁石は磁束および対応する電流の一部を引き継ぎ、それらの電流は時点Nに達するまで、約264kAから約269kAまで増加し、このとき、それらの温度は約45Kに達する。なお、ここで、時間区間M’Nの温度変化による電流の再分布は実際には瞬間的ではなく、該再分布は、緩和効果と考えられ得るものに時点Nを越えて幾分か到達する。
時点N周辺から開始し時点O周辺に亘って、中間バルク副磁石は、その磁気飽和状態にあるか、それに非常に近い(99%超の磁気飽和)ため、比較的高いドリフト、すなわち、その電流の緩やかな損失を示す。図示される例では、電流I mid bulkは、時点Nでの約207kAから時点Tでの約198kAまで減少する。一方、端部バルク副磁石は、中間バルク副磁石からの磁束または対応する電流の一部を引き継ぐことができ、ここでは、電流I end bulksは、時間区間NTにおいて約269kAから約271kAまで増加する。
したがって、時点N〜T間で、上側および下側バルク副磁石と比較して、中間バルク副磁石の相対的寄与が減少する。これは、最初に中間バルク副磁石の相対的寄与が高すぎた場合は、磁場プロファイルを均一化するために使用することができる。
ドリフトの過程に亘って、磁場プロファイルが繰り返し測定される(ここでは、時点N、O、P、Q、R、S、T)。磁場プロファイルが所望のレベルの均一性に達するとすぐに、上側、下側および中間バルク副磁石の温度をさらに低下させることによってドリフトを止めることができ、したがって、いずれのバルク副磁石も磁気飽和からほど遠いためにドリフトが無視できるようになる(例えば、80%以下の磁気飽和)。ここで、3000分時点の時点Tでは、所望の磁場均一性に達し、したがってその後すぐに、時間区間T’〜T’’において、バルク副磁石の温度が約40Kまで低下し、これにより、全バルク副磁石のドリフトが止まる。なお、電流および磁場は、T〜T’’間でそれ以上大きく変化しない。
バルク副磁石内の電流I bulksが変化し、特にドリフトによって微調整される時間区間M〜T’’は、事後補正工程81とも呼ばれる。この事後補正工程において、低磁場均一性を伴う初期状態のバルク副磁石の電流I mid bulk、I end bulks(時点Mでの「初期電流」)は、高磁場均一性を伴う最終状態のバルク副磁石の電流I mid bulk、I end bulks(時点Tでの「最終電流」)に変化する。典型的には、事後補正工程中の試料体積の均一性は、3倍以上、多くの場合5倍以上、好ましくは10倍以上、最も好ましくは20倍以上、増加させることができる。
図23〜図26には、z=0の磁気中心付近の磁場プロファイルの時間展開が示されている。いずれの場合も、磁束密度Bを上に向かって、z軸上の位置を右に向かってプロットしている。いずれの場合も、時点として、図22のM、N、O、P、Q、R、SおよびTが示されている。
図23は、様々な時点の(バルク副磁石全体の)磁場プロファイルを示す。時点Mにおいて、磁場プロファイルは、−10mm〜+10mmの間で著しい不均一性を示し、Bは約6.1344テスラ〜6.1350テスラの間で変動し、約100ppmに相当する。磁場プロファイルは、その中心で顕著な最大値を示し、中間バルク副磁石の磁場寄与が大きすぎることを示している。
時点N〜T間のドリフトの過程に亘って、磁束密度全体はいくらか減少するが、さらに重要なことには、中間バルク副磁石の相対的寄与が減少するため、均一性は徐々に増加する。時点Tでの最終状態磁場分布は、−10mm〜+10mmにおいて、ここでは25ppm未満の不均一性を有し、時点Mにおけるものよりもはるかに良好である。
図24は、下側、中間および上側バルク副磁石の寄与の時間展開を個別に示す。図25は、中間バルク副磁石の寄与の拡大図であり、図26は、上側バルク副磁石の寄与の拡大図である。図から分かるように、下側および上側バルク副磁石の寄与は、MからTまで時間とともにゆっくりと増加し、ドリフトする中間バルク副磁石からいくらかの磁束および対応する電流を引き継いでいる。一方、中間バルク副磁石の寄与は、ドリフトによって生じる電流損失のために、MからTまで時間とともにゆっくりと減少する。
図27は、本発明による本発明の超伝導磁石システムの励磁および均一化手順全体の概略フロー図を示す。
この手順は、開始100後に、まず、方法ゼロによる初期磁場中冷却工程(101)を含む。これは、基本分布スキームによる主電流が、励磁磁石および超伝導磁石システムの固有の特性に従って、バルク副磁石に誘導されることを意味する。次いで、得られた磁場プロファイルがマッピングされ(102)、ステップ103で評価される。
磁場プロファイルが試料体積内のその均一性に関して許容可能でない場合、これは典型的には、方法ゼロの直後の場合、熱的リセット104が行われ、すなわち、超伝導バルク磁石が消磁され、再びその臨界温度を超えて温められる。次いで、前の励磁工程(ここではステップ101)で得られた不均一性の情報を用いて、例えば、上述された方法A〜Gのうちの1つに従って、予備励磁工程を含む最適化された磁場中冷却(105)が行われる。その後、磁場プロファイルが再びマッピングされ(102)、評価される(103)。捕捉磁場プロファイルが依然として許容可能でない場合、必要に応じて何度でも、さらなる熱的リセット(104)およびさらなる最適化された磁場中冷却工程(105)を含めることができる。
磁場プロファイルが許容可能である場合、熱的ドリフトシミング(106)が開始され、すなわち、例えば方法Iに従って、事後補正工程を用いた均一化が開始される。磁場プロファイルは、繰り返しマッピングされ(107)、収束に関して評価される(108)。
磁場プロファイルが(特に、所望の均一性を考慮して)所望の磁場プロファイルに向かって十分に速く収束しない場合、特にこれらのバルク副磁石内のドリフトを増加させるために、1または複数のバルク副磁石の温度をわずかに上昇させる(109)。なお、ここで、磁場プロファイルが望ましくない方向に収束する場合は、ステップ109において、温度上昇も温度低下も含め、バルク副磁石の1以上の温度を変化させてよい。磁場プロファイルのマッピングが継続され(107)、収束の評価(108)が繰り返され、必要に応じて、バルク副磁石内の温度分布を変化させるさらなる変更工程(109)が含まれてもよい。
磁場プロファイルが所望の磁場プロファイルに向かって十分に速く収束する場合、所望の磁場プロファイルに達するまでに必要な時間だけ待機し(110)、その後、有意なドリフトがそれ以上発生しないように、全バルク副磁石の温度を十分に低下させ、手順は最終的に終了する(111)。これで、超伝導磁石システムは、捕捉された磁場内でNMR実験を行うなどの用途の準備ができる状態となった。
1 励磁設備
2 超伝導磁石システム
3 電気励磁磁石
3a 励磁ボア
4 クライオスタット
5 超伝導バルク磁石
6a 上側バルク副磁石
6b 中間バルク副磁石
6c 下側バルク副磁石
7a〜7b 中間体
7c 追加の中間体
8 共通冷却ステージ
9 超伝導ボア
10 室温ボア
11 試料体積
12 極低温冷却システム
13a〜13c 調整ユニット
14a〜14c ヒータ素子
15a〜15c 熱インピーダンス
16a〜16c 温度センサ
17 第1のクライオ冷却器
17a クライオ冷却器冷却ステージ(第1のクライオ冷却器)
18 熱インピーダンス
19 ポート
20 供給ライン
21 第2のクライオ冷却器
21a クライオ冷却器冷却ステージ(第2のクライオ冷却器)
22 補助クライオスタット
23 補助供給ライン
24a〜24c 金属リング(コルセットリング)
25 孔(バルク副磁石)
25a 孔(中間体)
26 追加の金属リング(支持リング)
27 ノッチ
28 ヒータ巻線
29 凹部
50 主磁場中冷却工程
51 予備励磁工程
61 第1フェーズ
62 第2フェーズ
100 開始
101 初期磁場中冷却(方法ゼロ)
102 磁場プロファイルのマッピング
103 磁場プロファイルの評価
104 熱的リセット
105 最適化された磁場中冷却(方法A〜G)
106 熱的ドリフトシミングを開始(方法I)
107 磁場プロファイルの反復マッピング
108 収束の評価
109 温度調整
110 待機時間
111 終了
A 中心軸
OR 外側半径
RT 半径方向厚さ

Claims (25)

  1. ・室温ボア(10)を有するクライオスタット(4)と、
    ・前記クライオスタット(4)内に収容され、前記室温ボア(10)と同軸に配置された超伝導バルク磁石(5)と、
    ・前記超伝導バルク磁石(5)を冷却するために適用された極低温冷却システム(12)と、
    を備える超伝導磁石システム(2)であって、
    前記超伝導バルク磁石(5)は、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石(6a〜6c)を備え、
    前記バルク副磁石(6a〜6c)は、略リング状であり、前記室温ボア(10)と同軸に配置され、
    軸方向に隣接する各2つのバルク副磁石(6a〜6c)の間には、中間体(7a〜7b)が配置され、
    前記中間体(7a〜7b)は、略リング状であり、前記室温ボア(10)と同軸に配置され、
    前記バルク副磁石(6a〜6c)は、前記中間体(7a〜7b)上に支持される
    超伝導磁石システム(2)において、
    前記中間体(7a〜7b)は、前記バルク副磁石(6a〜6c)の材料の比熱伝導率よりも小さい比熱伝導率を有する非金属断熱材料から製作され、
    前記極低温冷却システム(12)は、各バルク副磁石(6a〜6c)の温度を独立して制御するために適用され、
    各バルク副磁石(6a〜6c)のために、
    ・それぞれの前記バルク副磁石(6a〜6c)の温度を感知するための温度センサ(16a〜16c)と、
    ・それぞれの前記バルク副磁石(6a〜6c)における加熱力および/または冷却力を調整するための調整ユニット(13a〜13c)と、
    が存在する
    ことを特徴とする超伝導磁石システム(2)。
  2. 各バルク副磁石(6a〜6c)のために、それぞれの前記バルク副磁石(6a〜6c)に熱的に接続されたヒータ素子(14a〜14c)が存在し、
    特に、前記ヒータ素子(14a〜14c)は電気ヒータ素子(14a〜14c)である
    ことを特徴とする請求項1に記載の超伝導磁石システム(2)。
  3. ヒータ素子(14a〜14c)のそれぞれは、それぞれの前記バルク副磁石(6a〜6c)の周りに巻かれた少なくとも1つのヒータ巻線(28)を備えることを特徴とする請求項2に記載の超伝導磁石システム(2)。
  4. 前記バルク副磁石(6a〜6c)は、少なくとも1つの金属リング(24a〜24c、26)によって半径方向外側が枠入れされ、
    特に、前記少なくとも1つの金属リング(24a〜24c、26)が、それぞれの前記バルク副磁石(6a〜6c)の軸方向高さ全体に亘って延伸する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)。
  5. 前記少なくとも1つのヒータ巻線(28)は、前記金属リング(24a〜24c、26)の円周方向ノッチ(27)に配置されることを特徴とする請求項3および請求項4に記載の超伝導磁石システム(2)。
  6. 前記中間体(7a〜7b)は、ポリイミド材料またはガラス繊維強化プラスチック材料から製作されることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)。
  7. 前記極低温冷却システム(12)は、全バルク副磁石(6a〜6c)のための共通冷却ステージ(8)を備え、
    各バルク副磁石(6a〜6c)のために、前記共通冷却ステージ(8)から前記バルク副磁石(6a〜6c)それぞれへの熱的接続が存在し、
    特に、前記熱的接続は熱インピーダンス(15a〜15c)を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)。
  8. 前記極低温冷却システム(12)は、前記クライオスタットの内側にそのクライオ冷却器冷却ステージ(17a)を有する恒久的に取り付けられた第1のクライオ冷却器(17)、特にパルス管冷却器、を備え、前記クライオ冷却器冷却ステージ(17a)は、熱インピーダンス(18)を介して、または熱スイッチを介して前記共通冷却ステージ(8)に接続され、
    前記クライオスタット(2)は、ポート(19)と、前記ポート(19)から前記共通冷却ステージ(8)に到達し戻る外部冷却流体のための供給ライン(20)とをさらに備え、
    特に、前記外部冷却流体は、第2のクライオ冷却器(21)によって供給される
    ことを特徴とする請求項7に記載の超伝導磁石システム(2)。
  9. 1つ以上の軸方向内側バルク副磁石(6b)の半径方向厚さ(RT)は、軸方向外側バルク副磁石(6a、6c)の半径方向厚さ(RT)以上であり、
    特に、全バルク副磁石(6a〜6c)は、同一の外側半径(OR)を有する
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)。
  10. ・励磁ボア(3a)を有する電気励磁磁石(3)と、
    ・前記励磁ボア(3a)内に少なくとも部分的に配置された、請求項1から9のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)と、
    を備える超伝導励磁設備(1)。
  11. 超伝導磁石システム(2)を励磁するための方法であって、
    前記超伝導磁石システム(2)は、
    ・室温ボア(10)を有するクライオスタット(4)と、
    ・前記クライオスタット(4)内に収容され、前記室温ボア(10)と同軸に配置された超伝導バルク磁石(5)と、
    ・前記超伝導バルク磁石(5)を冷却するために適用された極低温冷却システム(12)と、
    を備え、
    前記超伝導バルク磁石(5)は、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石(6a〜6c)を備え、
    前記超伝導磁石システム(2)は、電気励磁磁石(3)の励磁ボア(3a)内に少なくとも部分的に配置される
    方法であって、
    前記方法は、前記電気励磁磁石(3)の励磁電流(I ch)が下降し、前記超伝導バルク磁石(5)が、前記励磁磁石の磁束と対応する電流とを引き継ぐ主磁場中冷却工程(50)であって、主電流が、前記超伝導磁石システム(2)および前記電気励磁磁石(3)の設定に特有の基本分布スキームに従って相対的比率で前記バルク副磁石(6a〜6c)内に誘導され、主磁場中冷却工程(50)中において、前記バルク副磁石(6a〜6c)はいずれも磁気飽和しない主磁場中冷却工程(50)を含む
    方法において、
    前記極低温冷却システム(12)は、各バルク副磁石(6a〜6c)の温度を独立して制御するために適用され、
    予備励磁工程(50)では予備電流が前記バルク副磁石(6a〜6c)に設定され、前記予備電流は、前記基本分布スキームとは異なる補正スキームに従って相対的比率を有することを特徴とし、
    前記補正スキームに従って前記予備電流を設定することができるように、前記バルク副磁石(6a〜6c)の少なくとも一部の温度(T bulks)が、少なくとも一時的に互いに異なるように選択され、前記予備励磁工程(51)中において、前記バルク副磁石(6a〜6c)の少なくとも一部が、少なくとも一時的に磁気飽和し、
    前記主磁場中冷却工程(50)が前記予備励磁工程(51)の後に行われることで、前記バルク副磁石(6a〜6c)それぞれについて前記予備電流と前記主電流とが合計され、
    前記予備電流と前記主電流との合計に基づく前記超伝導バルク磁石(5)の磁場プロファイルは、前記主電流のみに基づく磁場プロファイルよりも均一である
    ことを特徴とする方法。
  12. 前記予備励磁工程(51)中において、少なくとも2つのバルク副磁石(6a〜6c)が異なる温度(T bulks)にある間、前記電気励磁磁石(3)の前記励磁電流(I ch)が変化させられて、予備電流が前記バルク副磁石(6a〜6c)内に誘導され、
    前記予備励磁工程(51)での前記励磁電流(I ch)の当該変化中に、前記バルク副磁石(6a〜6c)の少なくとも第1の部分は磁気飽和しているか、または磁気飽和になる
    ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  13. 前記第1の部分は複数の前記バルク副磁石(6a〜6c)を含み、当該第1の部分の少なくとも2つのバルク副磁石(6a〜6c)が異なる温度(T bulks)を有することで、それらは、前記励磁電流(I ch)の前記変化中の異なる時点で磁気飽和になることを特徴とする請求項12に記載の方法。
  14. 前記予備励磁工程(51)の前記励磁電流(I ch)の当該変化中に前記バルク副磁石(6a〜6c)の第2の部分は磁気飽和にならず、前記予備励磁工程(51)において前記励磁電流(I ch)が完全に変化していく間に、前記励磁電流(I ch)の前記変化によって当該第2の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)内の前記予備電流が変化され続けることを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記予備励磁工程(51)は、第1フェーズ(61)および第2フェーズ(62)を含み、
    前記第1フェーズ(61)では、前記電気励磁磁石(3)の前記励磁電流(I ch)を変化させることにより、前記基本分布スキームに従って中間電流が前記超伝導バルク磁石(5)内に誘導され、前記第1フェーズ(61)中においては前記バルク副磁石(6a〜6c)のいずれも磁気飽和せず、
    前記第2フェーズ(62)では、前記励磁電流(I ch)が一定に保たれた状態で、前記バルク副磁石(6a〜6c)の第1の部分について、前記バルク副磁石(6a〜6c)のそれぞれの前記温度(T bulks)が上昇し、当該上昇中に、当該第1の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)が磁気飽和になり、前記温度(T bulks)のさらなる上昇中に、当該第1の部分の前記磁気飽和したバルク副磁石(6a〜6c)内のそれぞれの前記中間電流の大きさが、前記予備電流の大きさまで減少する
    ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
  16. 前記第2フェーズ(62)では、前記バルク副磁石(6a〜6c)の第2の部分のそれぞれの前記温度(T bulks)が十分に低く保たれることで、この第2の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)は磁気飽和しなくなり、前記第1の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)の前記温度(T bulks)の前記さらなる上昇中において、前記第1の部分のバルク副磁石(6a〜6c)からの磁束と対応する電流とは、前記第2の部分のバルク副磁石(6a〜6c)によって少なくとも部分的に引き継がれ、当該第2の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)内の前記中間電流の大きさが前記予備電流まで増加する
    ことを特徴とする請求項15に記載の方法。
  17. 前記第1の部分は、温度(T bulks)が異なる勾配で上昇する少なくとも2つのバルク副磁石(6a〜6c)を備えることで、それらは、異なる時点で磁気飽和になることを特徴とする請求項15または16に記載の方法。
  18. 前記予備励磁工程(51)中において、前記超伝導バルク磁石(5)の中間磁場プロファイルが繰り返し測定され、前記予備電流に基づき且つ前記補正スキームに従う、前記超伝導バルク磁石(5)の所望の磁場プロファイルに到達するまで、前記バルク副磁石(6a〜6c)の温度(T bulks)および/または前記励磁電流(I ch)が繰り返し変化させられることを特徴とする請求項11から17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記予備電流に基づく前記超伝導バルク磁石(5)の磁場プロファイルは、前記超伝導バルク磁石(5)の磁気中心に対して非対称であることを特徴とする請求項11から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 超伝導磁石システム(2)の磁場プロファイルを均一化するための方法であって、
    前記超伝導磁石システム(2)は、
    ・室温ボア(10)を有するクライオスタット(4)と、
    ・前記クライオスタット(4)内に収容され、前記室温ボア(10)と同軸に配置された超伝導バルク磁石(5)と、
    ・前記超伝導バルク磁石(5)を冷却するために適用された極低温冷却システム(12)と、
    を備え、
    前記超伝導バルク磁石(5)は、軸方向に積層された少なくともN個(N≧3)のバルク副磁石(6a〜6c)を備え、
    初期状態において、前記バルク副磁石(6a〜6c)は、初期分布スキームに従って相対的比率でそれぞれの初期電流を流す
    方法であって、
    前記方法は、前記初期分布スキームとは異なる最終分布スキームに従って相対的比率で前記初期電流を最終電流に変化させる事後補正工程(81)を含み、
    前記最終電流に基づく、前記超伝導バルク磁石(5)の磁場プロファイルは、前記初期電流に基づく磁場プロファイルよりも均一である
    方法において、
    前記極低温冷却システム(12)は、各バルク副磁石(6a〜6c)の前記温度(T bulks)を独立して制御するために適用され、
    前記初期電流を前記最終電流に変化させるために、前記バルク副磁石(6a〜6c)の少なくとも一部の温度(T bulks)が、少なくとも一時的に互いに異なるように選択されることで、
    ・前記バルク副磁石(6a〜6c)の第1の部分については、当該第1の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)は、少なくともほぼ磁気飽和しており、少なくとも99%の相対磁気飽和を伴い、
    ・前記バルク副磁石(6a〜6c)の第2の部分については、当該第2の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)は、磁気飽和から大幅に離れており、最大95%の相対磁気飽和を伴う
    ことを特徴とする方法。
  21. 前記第1の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)の前記温度(T bulks)は、前記第2の部分の前記バルク副磁石(6a〜6c)の前記温度(T bulks)よりも少なくとも一時的に高いことを特徴とする請求項20に記載の方法。
  22. 前記事後補正工程(81)中において、前記最終電流に基づく所望の磁場プロファイルが得られるまで中間磁場プロファイルが繰り返し測定され(107)、測定の合間において、前記バルク副磁石(6a〜6c)の温度(T bulks)が変化させられ(109)、および/またはしばらくの時間待機させられる(110)ことを特徴とする請求項20または21に記載の方法。
  23. 主磁場中冷却工程(50)において前記初期状態とするために、前記超伝導磁石システム(2)は、電気励磁磁石(3)の励磁ボア(3a)内に少なくとも部分的に配置され、前記電気励磁磁石(3)の励磁電流(I ch)は下降し、前記超伝導バルク磁石(5)は、前記励磁磁石の磁束と対応する電流とを引き継ぐことを特徴とする請求項20から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 請求項20から23のいずれか1項で定義される方法工程の前に行われる、請求項11から19のいずれか1項で定義される方法工程をさらに含むことを特徴とする請求項20から23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 核磁気共鳴測定における超伝導磁石システム(2)の使用法であって、
    請求項1から9のいずれか1項に記載の超伝導磁石システム(2)の使用法、
    または請求項11で規定され且つ請求項11から19のいずれか1項に記載の方法によって励磁された超伝導磁石システム(2)の使用法、または
    請求項20から24のいずれか1項に記載の方法によって均一化された磁場プロファイルを有する請求項20で規定された超伝導磁石システム(2)の使用法。
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