JP3888000B2 - 空気調和機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和機に係り、特に室外機内の熱交換器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機は、省エネルギー化が叫ばれ、同じ電気入力に対する能力(熱交換器の熱交換量)を増大させる必要がある。従って、近年、電熱管やフィンについては様々な改良が検討されているが、冷凍サイクルシステムとして熱交換性能を改良するには、更に検討する必要がある。特に熱交換性能の損失となる冷媒液の溜りや圧力損失による冷媒流量のアンバランスを改善する必要がある。冷凍サイクル内の冷媒液溜りは、蒸発すべき冷媒の不足によって冷却性能が低下するという問題がある。
【0003】
従来の熱交換器は、伝熱管と前記伝熱管に直行するフィンにより構成され、伝熱管の段数、列数、冷媒流路数がいずれも複数の熱交換器となっている。例えば「HCFC代替冷媒国際シンポジウム’96」梗概集P29(日本冷凍空調工業会編)に記載されているように、凝縮器として作用する時に各流路に冷媒が流入する伝熱管は互いに隣接しない位置に設けられていた。あるいは凝縮時に冷媒が流出する伝熱管は、各流路の最下段に設けられていないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来技術では、凝縮時は熱交換器の温度効率の低下と、冷媒溜りによる各流路間の冷媒分配不適正による交換熱量の低下、蒸発時の冷媒の圧力損失のアンバランスによる冷媒分配不適正による交換熱量の低下が問題である。
【0005】
従来の熱交換器の問題点を詳説する。凝縮時は高温の冷媒ガスが流入し、飽和域になり、さらに過冷却される。このため一方の冷媒流路の冷媒入口部(高温部)が他方の冷媒流路の飽和域部(中温部)と隣接していると、一方の冷媒流路の飽和域周囲のフィンが熱伝導により他方の冷媒流路の高温部周囲のフィン温度が低下し、高温域で熱交換を行なう空気との温度差が小さくなり、交換熱量が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また凝縮が進行し、冷媒の乾き度が減少するほど、あるいは過冷却度が大きくなるほど冷媒の液密度が大きくなるが、各流路での凝縮時の出口が最下段にない、すなわち出口部に至るまでの冷媒流路方向が、一方の流路の出口付近で下段から上段へ冷媒が立上る流れ、即ちヘアピンカーブ状になった形態では、冷媒自身の重量によって液冷媒がヘアピンカーブ部分に溜まってしまい、他の流路より冷媒流量が低下し、交換熱量が低下するという問題がある。
【0007】
また、空気調和機をヒートポンプによる暖房運転を行った場合、冷媒の流路方向が反転し、室外側熱交換器が蒸発器として作用した時は、各流路の冷媒流出部(凝縮時の冷媒入口部分)の伝熱管が互いに隣接していないので、冷媒出口部分から他の流路との冷媒合流部までの配管長が異なる。蒸発器での冷媒出口部付近の冷媒は高乾き度あるいは過熱ガスのため体積流量が大きく圧力損失が大きい。このため、各流路出口配管長さが異なると、各流路間の冷媒流量がアンバランスとなり、交換熱量が低下するという問題がある。
【0008】
更に、近年、オゾン層を破壊しない冷媒として用いられているR410Aは、従来冷媒R22より液密度が大きく体積流量が小さいため、従来の熱交換器では液溜り現象は、顕著に現れるという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、冷媒不足による熱交換性能低下を防止した空気調和機を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、風の進行方向にフィンを複数配置し、これらのフィンに複数列の伝熱管を組合わせ、この伝熱管に冷媒を導入するための分流器を複数設けた室外熱交換器を備えた空気調和機において、前記室外熱交換器は凝縮器として作用する際に、前記複数列の伝熱管列のうち風下の伝熱管は、一方は上に向かい他方は下に向かう流路となるように前記分流器によって分流され、前記上に向かった流路は風上の伝熱管に流入され下方に向かい、前記下方に向かった流路は風上の伝熱管列に流入されて下方に向かう流路となり、これらが前記分流器によって合流させるとともに、前記上下方向に分流する両伝熱管の流路出口は、前記室外熱交換器が蒸発器として作用した場合のために近接させるように構成されたことにより達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施例を図1および図2を用いて説明する。図2において、1は圧縮機、2は四方弁、3は室外熱交換器、11は減圧機構としての膨張弁、12は室内熱交換器、10は室外送風ファン、13は室内送風ファンである。図1において、4は風上側フィン、5は風下側フィンで両フィンは熱的に分離している、7a〜7pは風下側伝熱管、8a〜8pは風上側伝熱管、6は第一の分流器、9は第二の分流器である。室外送風ファン10により空気は図中右から左側に流れる。各伝熱管は図1に示すように接続されている。
【0013】
すなわち凝縮時の冷媒は第一の分流器6で分流され、一方の流路は伝熱管7hから流入し、上方の伝熱管7g、7f…7aに流れ、風上側の8aに入り、8b、8c…8gに流れ、最下段の8hから流出する。他方の流路は伝熱管7i、7j…7pに流れ、風上側の8iに入り、8j、8k…8oに流れ、最下段の8pから流出するように構成されている。冷媒にはR410Aが使用されている。
【0014】
以上のように構成された室外熱交換器3と空気調和装置の動作を図2で説明する。まず室外熱交換器3が凝縮器として作用する冷房時の動作について説明する。圧縮機1で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、四方弁2を通り、室外熱交換器3に流入し室外送風ファン10により送風される空気に放熱して凝縮し、膨張弁11で低温低圧に減圧され、室内熱交換器12で室内送風ファン13により送風される空気から吸熱して蒸発し、四方弁2を通り再び圧縮機1に戻る。この時、室外熱交換器3で四方弁2から流入した冷媒は、第一の分流器6で2つの流路に分流する。一方の流路は伝熱管7hから流入し、凝縮しながら上方の伝熱管7g、7f…7aに流れ、風上側の8aに入り、8b、8c…8gに流れ、最下段の8hから流出する。他方の流路は、凝縮しながら伝熱管7i、7j…7pに流れ、風上側でこの流路では風上側最上段である8iに入り、8j、8k…8pに流れ、最下段の8pから流出する。凝縮が進行するほど冷媒の液成分が増加するが、出口付近の冷媒の段ごとの流れ方向は鉛直下方向で、出口部は各々の流路の風上側最下段となっているので、液冷媒の自重が流路抵抗になって冷媒が滞留することが無い。
【0015】
これにより、一方の流路の冷媒溜りによる熱交換量の低下を防ぐことができる。また流入部の伝熱管7hと7iは互いに隣接する伝熱管であり、飽和域の伝熱管と熱的に接近していないので、飽和域周囲のフィンが、高温である流入部の周囲のフィン温度を熱伝導により低下させることがなく、高温部でのフィンと空気の温度差を確保でき、フィン温度低下による熱交換量低下を防止できる。
【0016】
さらに各々の流路入口は風下側列、流路出口が風上側列に配置しているので、列毎の冷媒の流れ方向が熱交換を行なう空気の流れ方向に対して対向流となっているため熱交換効率が良い。対向流の熱交換効率が良いのは、対向流は風上側で熱交換をして温度が上昇した空気が風下側に流入しても、高温域である冷媒入口部が風下側となるので、どちらの列でも空気との温度差が確保できるので、温度効率が向上するからである。
【0017】
次に室外熱交換器3が蒸発器として作用する暖房時の動作について説明する。暖房時は四方弁2が切り換り、室内熱交換器12が凝縮器、室外熱交換器3が蒸発器として作用する。室外熱交換器3には膨張弁11で低温低圧に減圧された冷媒が第二の分流器9で分岐され、一方の流路は風上側の伝熱管8hから流入し、室外送風ファン10に送風される空気から吸熱して蒸発しながら上方の伝熱管8g、8f…8aに流れ、風下側の7aに入り、7b、7c…7gに流れ、最下段の7hから流出する。他方の流路流路は蒸発しながら伝熱管8p、8o…8iに流れ、風下側の7pに入り、7o、7h…7jに流れ、7iから流出する。伝熱管7iは7hと隣接している。そして両流路の冷媒は第1の分流器6で合流し、室外熱交換器3から流出する。
【0018】
このとき各々の流路出口である伝熱管7hと7iは互いに隣接する伝熱管であるので、伝熱管7h、7iから第1の分流器6までの配管は同一長さでかつ両伝熱管が隣接しない場合より短くできる。蒸発器出口付近での冷媒は高乾き度あるいは過熱ガスであるので、体積流量が大きく配管内での圧力損失が大きいが、本実施例ではこの部分の配管を短くかつ同一の長さにできるので、両流路間の圧力損失差がなく、圧力損失差により生じる冷媒流量のアンバランスがなく、アンバランスによる熱交換量の低下を防ぐことができる。
【0019】
次に本発明の第二の実施例について図3を用いて説明する。図3は室外熱交換器である。前実施例とは熱交換器の段数と流路形態が異なる。
【0020】
図3において、14は風下側フィン、15は風上側フィン、16a〜16zは風下側伝熱管、17a〜17zは風上側伝熱管である。18は第3の分流器、19は第4の分流器、20は第5の分流器、21は第6の分流器、22は第7の分流器、23は第8の分流器である。凝縮時は第3の分流器18で2つの流路に別れ、そして各々の流路が第4の分流器19および第5の分流器20でさらに2つの流路に別れる。例えば第4の分流器19で分流した流路は、一方は風下側の伝熱管16dから流入し、16c、16b、16aを通り、風上側に移動し、17a、17b…17eを通り、その流路では最下段の17fから流出する。他方の流路では風下側で16dに隣接する伝熱管16eから流入し、16f、16g…16jを通り、風上側で本流路内では最上段の17gに移動し、17h、17iを通り、その流路では最下段の17jから流出する。第5の分流器20で分流した流路も同様の形態となっており、各々の流路は第6の分流器21あるいは第7の分流器22で合流後、各流路最下段の伝熱管17zあるいは16zから流出する。すなわち凝縮時に第4の分流器19あるいは第5の分流器20で分流した流路は、いずれも風下側から流入し、流入後上段へ向かう流路(16d、16c…、あるいは16n、16m…)である風下側列の伝熱管本数が、風上側列の伝熱管本数より少なく、凝縮時に流入後下段へ向かう流路(16e、16f…、あるいは16o、16p)である風下側の伝熱管本数が風上側の伝熱管本数より多い。
【0021】
これにより前実施例と同様、本熱交換器は凝縮器として用いた場合、凝縮が進行するほど冷媒の液成分が増加する凝縮器でも、出口付近の冷媒の段ごとの流れ方向は鉛直下方向で、出口部は各々の流路の風上に最下段となっているので、液冷媒の自重が流路抵抗になって冷媒が滞留することが無い。これにより一方の流路の冷媒溜りによる熱交換量の低下を防ぐことができる。また流入部の伝熱管16dと16e、あるいは16nと16oは互いに隣接する伝熱管であり、飽和域の伝熱管と熱的に接近していないので、飽和域周囲のフィンが高温である流入部のフィンを介して温度が上昇することが無く、フィンと空気の温度差を確保でき、前実施例同様フィン温度上昇による熱交換量低下を防止できる。
【0022】
また蒸発時は第8の分流器23で2つの流路に分流され、各々の流路は第6の分流器21あるいは、第7の分流器22でさらに2つの流路に分流される。ここで分流された流路は、いずれも各々の流路出口である伝熱管16dと16e、あるいは16nと16oは互いに隣接する伝熱管であるので、伝熱管16d、16eから第4の分流器19までの配管、および伝熱管16n、16oから第5の分流器20までは同一長さにできる。さらに第4の分流器19、第5の分流器20から第3の分流器18間の配管もほぼ同一長さにできる。
【0023】
蒸発器出口での冷媒は高乾き度あるいは過熱ガスであるので、体積流量が大きく配管内での圧力損失が大きいが、本実施例ではこの部分の配管をほぼ同一の長さにできるので、両流路間の圧力損失差が小さい、すなわち両流路間の圧力損失差が小さいので、圧力損失差により生じる冷媒流量のアンバランスが小さく、アンバランスによる熱交換量の低下を低減できる。
【0024】
また第6の分流器21で分流され、伝熱管17fから流入し、風下側では16b、16cと下段方向に流れ、16dから流出する流路の風上側の伝熱管本数(6本:17a〜17f)が風下側の伝熱管本数(4本:16a〜16d)より多く、同時に第6の分流器21で分流され、伝熱管17jから流入し、風下側では16f、16eと上段方向に流れて流出する流路の風上側の伝熱管本数(4本:17j〜17g)が風下側の伝熱管本数(6本:16j〜16e)より少ないので、後者流路の風上側と風下側間(17gと16j間)の配管を、流路出口付近ではない位置で、かつ長さを本流路の風上側と風下側の伝熱管本数が同じ場合より短くすることができる。
【0025】
前述したように蒸発器の流路後半では乾き度が大きい、あるいは過熱ガス域のため体積流量が大きいため圧力損失が大きいが、本実施例では後者流路の風上側と風下側間(17gと16j間)の配管がこの状態域とならず、この部分での冷媒の圧力損失を最小限に抑えられる。よって両流路間の圧力損失差が無い。すなわち両流路間の圧力損失差がないので、圧力損失差により生じる冷媒流量のアンバランスがなく、アンバランスによる熱交換量の低下を防ぐことができる。
【0026】
以上のように、室外熱交換器を凝縮器として用いた場合、液冷媒の自重の流動抵抗により冷媒が伝熱管内に滞留し、熱交換量が低下することを防ぐことができる。また高温域の伝熱管と飽和域の伝熱管が熱的に接近していないので、飽和域周囲のフィンが高温の流入部フィンにより温度上昇させられることによる熱交換量の低下を防止できる。さらに冷媒の流れ方向が反転する蒸発器として用いた場合、両流路の出口が隣接しているので、両流路の混合部までの配管を短く、かつ同一長さにできるので、両流路間で同等の圧力損失にでき、冷媒流量のアンバランスによる交換熱量低下を防止できる。
【0027】
また、凝縮器として作用する時に、流入後上段へ向かう流路の風下側列の伝熱管本数が、風上側列の伝熱管本数より少なく、凝縮時に流入後下段へ向かう流路の風下側の伝熱管本数が風上側の伝熱管本数より多いので、冷媒流れ方向が反転する蒸発器として作用する場合に、下段の流路で風上側から風下側への配管長さを短くできるので、両流路間で同等の圧力損失にでき、流路管の冷媒流量のアンバランスによる交換熱量低下を防止できる。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、冷媒溜りがなく、熱交換性能を向上できる空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例の室外熱交換器の説明図
【図2】本発明の第一実施例の空気調和装置の説明図
【図3】本発明の第二実施例の室外熱交換器の説明図
【符号の説明】
1…圧縮機、2…四方弁、3…室外熱交換器、4…風上側列フィン、5…風下側列フィン、6…第一の分流器、7a〜7p…風下側列伝熱管、8a〜8p…風上側列伝熱管、9…第二の分流器、10…室外送風ファン、11…膨張弁、12…室内熱交換器、13…室内送風ファン、14…風下側列フィン、15風上側列フィン、16a〜16z…風下側列伝熱管、17a〜17z…風上側列伝熱管、18…第3の分配器、19…第4の分配器、20…第5の分配器、21…第6の分配器、22…第7の分配器、23…第8の分配器。

Claims (1)

  1. 風の進行方向にフィンを複数配置し、これらのフィンに複数列の伝熱管を組合わせ、この伝熱管に冷媒を導入するための分流器を複数設けた室外熱交換器を備えた空気調和機において、
    前記室外熱交換器は凝縮器として作用する際に、前記複数列の伝熱管列のうち風下の伝熱管は、一方は上に向かい他方は下に向かう流路となるように前記分流器によって分流され、前記上に向かった流路は風上の伝熱管に流入され下方に向かい、前記下方に向かった流路は風上の伝熱管列に流入されて下方に向かう流路となり、これらが前記分流器によって合流させるとともに、
    前記上下方向に分流する両伝熱管の流路出口は、前記室外熱交換器が蒸発器として作用した場合のために近接させるように構成された空気調和機。
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