JP3887875B2 - 電線の接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性を向上させることの可能な電線の接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エナメル電線同士を接続する手段としては、撚合わせ、半田付け、およびロウ付けなどが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、電線を例えば200〜600℃の高温環境下で使用する場合には、撚合わせや半田付けで接続した電線では耐熱性が十分ではなかった。例えば、撚合わせの場合には、撚り合わせられた相互の導体が導通されるが、300℃以上の高温雰囲気中では、銅などの導体が酸化してしまい、導電性が低下してしまう。また、半田付けでは、半田の耐熱性が約180℃であり、高温半田でも耐熱性は約300℃に過ぎないため、高温環境下では接続が切り離されてしまう。
【0004】
これらに対して、ロウ材として高耐熱性を有するものを使用するのであれば、ロウ付け法による接続構造は、高温環境下でも使用することが可能である。しかし、ロウ付けは、高度の知識と技術を要するため、電線の接続は容易ではない。本発明は上記の事情を考慮してなされたものであり、接続作業が容易で耐熱性に優れた電線の接続構造を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る電線の接続構造は、二つの電線の各導体部を金属管の両端部からそれぞれ挿入し、上記金属管を押圧して上記導体部と圧着し、上記金属管と上記導体部とを金属体で鍍金したことを特徴とする。
【0006】
上記構成によれば、二つの電線の各導体部が金属管により接続され、この金属管を耐熱性の高いものとすることにより高温環境下でも接続が確保される。また、金属管を導電性の高いものとし、これに鍍金する金属体を耐酸化性の高いものとすることにより、接続構造の導電性を確保しながら、その寿命を長くすることが可能である。さらに、金属管の圧着および金属体の鍍金には、ロウ付けのような高度の知識、技術を必要としないため、容易に電線を接続することが可能である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、図1は本発明の実施形態に係る電線の接続構造に使用される無機絶縁電線10を示す。この無機絶縁電線10は、主導体部11と、主導体部11の周囲に被覆した金属層12と、金属層12の周囲に被覆した無機絶縁層13とからなる。
【0008】
ここで、主導体部11は銅からなり、金属層12はニッケルまたはステンレス鋼からなる。このように主導体部11と金属層12とで複合導体を構成したのは、銅単独では耐酸化性が弱く、ニッケルまたはステンレス鋼単独では抵抗が高いという問題があるためである。また、これ以外にアルミニウム単独では、強度が弱いという問題がある。このため、導体としては、ニッケル鍍金銅、ニッケルクラッド銅、またはステンレス鋼クラッド銅などの耐熱性を有する銅系の複合導体が好ましく用いられ、その結果、主導体部11と金属層12とを有している。
【0009】
無機絶縁層13は、ポリボロシロキサン、ポリカルボシラン、ポリシラスチレン、ポリシラザン、ポリチタノカルボロシラン系、およびオルガノシロキサンから選ばれた1種以上からなる樹脂と、無機充填剤とを溶剤に溶解または分散させたセラミック系絶縁体からなる。
【0010】
図1に示すように、無機絶縁電線10の端部においては、他の電線との接続のため、無機絶縁層13および金属層12を剥離して除去し、主導体部11を露出しておく。図2は、二つの無機絶縁電線10を接続した接続構造を示す。ここでは、二つの無機絶縁電線10を準備し、各無機絶縁電線10の端部の露出した主導体部11を金属管14の両端部にそれぞれ挿入し、これらの主導体部11を金属管14の内部で突き合わせる。そして、金属管14を側方から押圧することにより、無機絶縁電線10の主導体部11を金属管14に圧着し、主導体部11と金属管14との隙間がほぼ完全になくなるようにする。これにより二つの無機絶縁電線10の主導体部11同士が接続される。
【0011】
金属管14の素材としては、銅系金属のように、導電性が高く、変形加工しやすく、かつ耐熱性を有するものが好ましい。金属管14は、主導体部11に圧着する前は、円筒状であるが、圧着後は、図2に示すように平坦な形状を有する。また、図3に示すように、金属管14の両端部の外周縁には、先端ほど細くなるテーパ部14aが形成されている。このテーパ部14aの加工は、無機絶縁電線10を金属管14に挿入する前に行っておく。
【0012】
図4は、この接続構造において、無機絶縁電線10の主導体部11と金属管14とを耐酸化性の向上のため、金属体15で鍍金した状態を示す。鍍金は、少なくとも主導体部11と金属管14とが接触する部位に対して行うが、耐酸化性を向上するため上記部位以外に金属管14の外側全面に対して行うと好ましい。鍍金に用いる金属体15は、ニッケルなどの耐酸化性の優れた素材が好ましい。なお、具体的な鍍金の手法は、線鍍金などであり、容易に行うことが可能である。
【0013】
図5および図6は、上記接続構造で接続した無機絶縁電線10を用いた電磁石を示す。同図において、符号17は四角柱状の鉄心を示す。鉄心17の周囲には、コイル18が配置されている。コイル18は、上記の無機絶縁電線10の一つにより構成されている。
【0014】
この電磁石は、例えば鋼板の生産工場において、高温の鋼板の搬送経路の途中に配置され、この鋼板を制振するために用いられる。具体的には、図示しない位置センサの検出結果に基づいて、電磁石による吸引力が制御される。
【0015】
さて、上記電磁石を製造するには、まず、鉄心17と同大の型の周囲に無機絶縁電線10を所定の巻き数巻回してコイル18を形成する。そして、コイル18の周囲に無機絶縁薄葉材からなるテープ19を巻き付けて接着する。そして、上記の型をこのようにされたコイル18から抜き取って、図5および図6に示すように、コイル18に鉄心17を挿入した後、絶縁性を有する無機ワニス20をテープ19に含浸させる。無機ワニス20が固化することにより、コイル18は鉄心17に固着させられる。
【0016】
ここで無機ワニス20としては、酸化マグネシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化硼素、シリカ、マイカ、タルクなどの酸化物系セラミックの一つまたは複数が混合されたものを水および有機溶剤などで希釈して粘度を下げたものである。テープ19は、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、マイカシートのうちいずれかからなる。なお、これらの繊維を複合して用いてテープ19を形成してもよい。
【0017】
さて、この電磁石において、上記の電線の接続構造は、図7および図8に示すように配置される。これらの図において、符号21が上記接続構造を用いた接続部を示す。接続部21は、コイル18を構成する無機絶縁電線10の両端にそれぞれリード線22を接続するのに用いられている。これらのリード線22も、図1に示した構成を有する。
【0018】
接続部21は、コイル18の製作時において、テープ19を巻く際に固定される。テープ19は、接続部21とコイル18との電気的絶縁性を向上させる。具体的には、まず、コイル18の周囲にテープ19をハーフラップ(テープ19の幅の約半分が前の周回のテープ19に重なるようにする)で巻き付け、図7に示すように一層のテープ層を設ける。そして、このテープ層の上に接続部21を接触させ、このテープ層と接続部21の周囲に再度テープ19をハーフラップで巻き付ける。このようにして、図8に示すように、接続部21を一層目のテープ層と二層目のテープ層との間に挟持させる。そして、上記のようにテープ19に無機ワニス20を含浸させることにより、接続部21は完全に固定される。
【0019】
上記のように、金属管14は主導体部11に圧着後、図2に示すように平坦な形状になされる。これにより、電磁石において、テープ19の接続部21に重なる部分が、他の部分から外側に突出する量は極めて小さくなされ、目視上目立たなくすることが可能である。また、図3に示すように、金属管14の両端部の外周縁には、先端ほど細くなるテーパ部14aが形成されているため、接続部21をテープ19で巻き付ける際に、テープ19に損傷を与えるのが防止される。
【0020】
上記の電線の接続構造においては、金属管14、金属体15、テープ19および無機ワニス20は、いずれも400℃以上の耐熱性を有する。このため、300℃以上の高温環境下でも無機絶縁電線10同士の間の接続が確保される。従って、電磁石のコイル18とリード線22とを接続するために用いれば、この電磁石は、300℃以上の高温環境下でも十分に使用が可能である。
【0021】
また、導電性が良好であるが耐酸化性に劣る銅系金属からなる金属管14を優れた耐酸化性を有する金属体15により鍍金することにより金属管14の酸化が防止される。上記の金属管14の押圧および金属体15の鍍金にあたっては、ロウ付けのような高度の知識、技術を必要としないため、この実施形態に係る接続構造は簡便に得ることが可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、高温環境下でも二つの電線の接続が確保される。また、接続構造の導電性を確保しながら、その寿命を長くすることが可能である。さらに、金属管の圧着および金属体の鍍金には、ロウ付けのような高度の知識、技術を必要としないため、容易に電線を接続することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る電線の接続構造に使用される無機絶縁電線を示す側面図である。
【図2】 金属管を用いて図1に示す無機絶縁電線を接続した構造を示す側面図である。
【図3】 図2に示す金属管の端部を拡大して示す側面図である。
【図4】 図2の構造に鍍金を施した構造を示す側面図である。
【図5】 実施形態に係る接続構造を用いた電磁石を示す斜視図である。
【図6】 図5の電磁石の断面図である。
【図7】 図5の電磁石の完成前の状態を示す斜視図である。
【図8】 図5のXIII-XIII線矢視図である。
【符号の説明】
10…無機絶縁電線、11…主導体部、12…金属層、13…無機絶縁層、14…金属管、14a…テーパ部、15…金属体、18…コイル、19…テープ(無機絶縁薄葉材)、20…無機ワニス、21…接続部、22…リード線
Claims (4)
- 二つの電線の各導体部を金属管の両端部からそれぞれ挿入し、上記金属管を側方から押圧して上記導体部と圧着し、上記金属管と上記導体部とを金属体で鍍金したことを特徴とする電線の接続構造。
- 上記電線の一方は、電磁石のコイルを構成し、上記電線の他方は、上記コイルのリード線であることを特徴とする請求項1に記載の電線の接続構造。
- 上記金属管は、上記導体部と圧着後に平坦な形状を有しており、かつ上記金属管の両端部は、先端ほど細くなるようにテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の電線の接続構造。
- 上記コイルの外周には無機絶縁薄葉材が巻かれており、上記接続構造は上記無機絶縁薄葉材の間に挟持され、上記無機絶縁薄葉材を固着する無機絶縁ワニスによって固定されていることを特徴とする請求項2または3に記載の電線の接続構造。
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