JP3886983B2 - リンパ球遊走に不可欠なdock2の機能ドメイン及び会合分子 - Google Patents

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本発明は、欠失変異体を用いたDOCK2機能ドメインの同定や、DOCK2及びDOCK2のSH3ドメインとの結合を干渉する物質のスクリーニング、とりわけDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、ELMOとTiam等のGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、これらスクリーニング方法を利用するアレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法等に関する。
免疫応答は、生体にとって感染に対する必須の防御機構であり、免疫細胞は、種々の感染源に迅速に対処すべく生体内を常にパトロールしている。このように構成細胞が絶えず動き回るという特徴は、他の生命複雑系においては認められず、免疫系独自に進化したものである。免疫細胞のうち、好中球、マクロファージといった細胞は感染の初期防御において機能する一方、Tリンパ球及びBリンパ球はその抗原受容体を介して外来異物を認識することで抗原特異的な免疫応答を引き起こすことが知られている。上記T及びBリンパ球は、胸腺、骨髄といった1次リンパ組織で分化し、脾臓、リンパ節、パイエル板(小腸のリンパ組織)といった2次リンパ組織の特定のコンパートメントへ移動した後、ここで、種々の組織から集められた抗原を、かかる抗原受容体を介して認識することにより特異的な免疫応答を惹起する。この際、リンパ球が2次リンパ組織の特定の部位に移動することは、免疫応答の成立において極めて重要である。これまで、リンパ球の移動が、種々のケモカインと総称されるタンパク質によって導かれることは知られているが、リンパ球の運動性そのものを制御する分子機構に関しては不明であった。
細胞運動には、細胞極性の変化と細胞骨格の再構築が必須であり(例えば、非特許文献1参照。)、これらはいずれもRho、Rac、Cdc42といった低分子量Gタンパク質によって制御されていることが知られている(例えば、非特許文献2〜5参照。)。この中でもとりわけRacは、葉状突起と呼ばれるアクチンに富んだ突起を形成することで細胞運動の際の駆動力を提供している(例えば、非特許文献3,6参照。)。他方、線虫(Caenorhabditis elegans)、ヒト及びショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)において、CED5、DOCK180、Myoblast city(MBC)という構造上相同性を示す分子が同定され、これらの分子はその頭文字をとってCDMファミリー分子と呼ばれており、いずれもRacの上流で機能することで細胞骨格の再構築に関与すると考えられている(例えば、非特許文献7〜12参照。)。上記CED−5及びMyoblast Cityが特定タイプの細胞の運動に重要であることが突然変異体を用いた遺伝学的解析から明らかになっているが(例えば、非特許文献8,9,12参照。)、CDMファミリータンパク質が、哺乳類において生理的にどのように機能するかは未だ不明であった。
DOCK2(KIAA0209;DNA Res. 3, 321-329)は、ヒト造血細胞で特異的に発現するCDMファミリータンパク質の他のメンバーをコードし、上記DOCK2が293T腎細胞においてRacに結合し、Racを活性化することが知られている(例えば、非特許文献13参照。)。一方、本発明者らは、マウス胸腺cDNAライブラリーよりCDMファミリーに属する新規遺伝子Hchを単離し、かかる遺伝子産物が1828のアミノ酸から成り、そのN末端にはSH3ドメインがコードされていることを見い出した(例えば、非特許文献14参照。)。また、マウス組織を用いたノーザンブロット解析において、DOCK180がさまざまな臓器に発現しているのに対して、Hchの発現は胸腺及び脾臓に限局していることや、細胞株を用いた解析より2種類の変異T細胞株を除いて、Hchの発現がT細胞、B細胞、マクロファージのいずれにおいても認められることを確認した。またHchの発現を欠く変異T細胞株にHchを導入することで細胞形態の著明な変化と接着性の亢進が観察されることを明らかにしている。Hchのコードする1828アミノ酸のうち1677アミノ酸はヒトDOCK2と同一であり、HchはマウスDOCK2ホモログと考えられたが、上記DOCK2の生理的機能は不明であった。
本発明者らは、上記のようにCDMファミリーに属し、且つリンパ球特異的に発現する分子としてDOCK2を同定し、ノックアウトマウスを作製することで、この分子がリンパ球遊走に不可欠であることを明らかにした(例えば、非特許文献14参照。)。DOCK2欠損リンパ球では種々のケモカイン刺激によっても活性型Racは検出できない。それ故、DOCK2はRacの活性化を介してリンパ球遊走を制御していると考えられる。しかしながら、DOCK2がどのような機序でRacを活性化するのか依然として不明である。Racは分子スイッチとして機能し、GDP/GTP交換因子(GEF)により活性化される。DOCK2はRacと結合するものの、その構造上GEFとして機能するとは考えにくい。それ故、DOCK2は他の分子を介してGEFをリクルートすることによりRacを活性化していると推測される。
最近、線虫において、CDMファミリー分子の一種であるCED−5と会合し、細胞骨格を制御する分子であるCED−12が同定され、その哺乳類ホモログとしてELMO1,2,3が報告された(例えば、非特許文献15参照。)。また、GDP/GTP交換因子(GEF)としてこれまでに数10種類のものが知られており、これらGEFの中でも、Rac特異的なGEFとして機能する分子として、胸腺腫細胞株の浸潤を規定するTiam1,2(例えば、非特許文献16、17参照。)や、T細胞受容体シグナルを制御するVav1(例えば、非特許文献18参照。)の他Vav2、Vav3や、Trio(例えば、非特許文献19参照。)や、STEF(例えば、非特許文献20参照。)や、P−Rex1(例えば、非特許文献21参照。)が知られており、これら5種類はいずれも共通のドメインをもっており、GTPをRacに付与する機能を有している。
Cell 84, 359-369, 1996 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92, 5027-5031, 1995 Science 279, 509-514 1998 J. Cell Biol. 141, 1147-1157, 1998 Science 287, 1037-1040, 2000 Cell 103, 227-238, 2000 Mol. Cell Biol. 16, 1770-1776, 1996 J. Cell Biol. 138, 589-603, 1997 Nature 392, 501-504, 1998 Genes Dev. 12, 3331-3336, 1998 Genes Dev. 12, 3337-3342, 1998 Nature Cell Biol. 2, 131-136, 2000 Biochem. Biophys. Acta 1452, 179-187, 1999 Nature, 412, 826-831, 2001 Cell, 107, 27-41, 2001 Cell, 77, 537-549, 1994 Nature, 375, 338-340, 1995 Nature, 385, 169-172, 1997 J. Cell Science, 113, 729-739, 2000 J. Biol. Chem., 277, 2860-2868, 2002 Cell, 108, 809-821, 2002
自己免疫疾患や移植片拒絶は、標的組織にリンパ球が浸潤することによりもたらされる。そのため、これらの疾患や病態を治療あるいは予防する上で、DOCK2は格好の標的分子になると考えられる。本発明の課題は、欠失変異体を用いたDOCK2機能ドメインの同定や、DOCK2及びDOCK2のSH3ドメインとの結合を干渉する物質のスクリーニング、とりわけDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、ELMOとTiam等のGEFとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、これらスクリーニング方法を利用するアレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法等等を提供することにある。
DOCK2はN末端のSH3ドメインを含む1828アミノ酸残基からなるリンパ球特異的に発現する分子であり、Racを活性化し、細胞骨格を制御することでリンパ球の運動性を規定している。本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究し、DOCK2のSH3ドメインを含むN末端の504アミノ酸残基を欠失したDOCK2変異体ではRac活性化能が著しく低下し、アクチン重合を惹起できないことを見い出し、この領域に結合する分子としてELMO1を同定した。また、SH3ドメインの1アミノ酸変異により、DOCK2とELMO1との結合が完全に阻害されることから、DOCK2はSH3ドメインを介してELMO1に会合していることを見い出した。さらに、ELMO1が、Rac特異的なGDP/GTP交換因子(GEF)として機能するTiam1と結合することを見い出した。すなわち、DOCK2はELMO1を介してTiam1をリクルートすることによりRacを活性化していることを見い出した。したがって、DOCK2のSH3ドメイン、ELMO1、Tiam1という分子間相互作用を阻害することで、リンパ球遊走を人為的に制御しうることを見い出した。本発明は、以上の知見に基づいて完成するに至ったものである。
すなわち本発明は、(1)ELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(2)ELMOのN末端領域とGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでELMOのN末端領域とGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(3)ELMO若しくはそのN末端領域及び/又はGDP/GTP交換因子が、他のペプチドと融合していることを特徴とする上記(1)又は(2)記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(4)GDP/GTP交換因子対する抗体又はGDP/GTP交換因子と融合した他のペプチドに対する抗体により分画されたGDP/GTP交換因子に、ELMO若しくはそのN末端領域に対する抗体を作用させ、会合形成の程度を評価することを特徴とする上記(1)(3)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(5)GTP結合型の活性型Racを検出することにより、会合形成の程度を評価することを特徴とする上記(1)(4)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(6)ELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質が、リンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質であることを特徴とする上記(1)(5)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(7)ELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質が、ELMOとGDP/GTP交換因子との結合を阻害する物質であることを特徴とする上記(1)(6)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(8)ELMOが、DOCK2と結合したELMOであることを特徴とする上記(1)(7)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(9)ELMOが、ELMO1であることを特徴とする上記(1)(8)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(10)GDP/GTP交換因子が、Rac特異的なGDP/GTP交換因子であることを特徴とする上記(1)(9)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(11)Rac特異的なGDP/GTP交換因子がTiam1であることを特徴とする上記(10)記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、(12)上記(1)(11)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするアレルギー、自己免疫疾患、GvH及び移植片拒絶からなる群から選ばれる免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法や、(13)上記(1)(11)のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするRacを活性化して細胞骨格の再構築を促進する、リンパ球遊走抑制に起因する疾病に対する治療薬の探索方法に関する。
また本発明は、(14)DOCK2とELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とELMOとの会合形成の程度、あるいは、ELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(15)DOCK2のSH3ドメインとELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2のSH3ドメインとELMOとの会合形成の程度、あるいは、ELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(16)GTP結合型の活性型Racを検出することにより、会合形成の程度を評価することを特徴とする上記(14)又は(15)記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(17)ELMOが、DOCK2と結合したELMOであることを特徴とする上記(14)(16)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(18)ELMOが、ELMO1であることを特徴とする上記(14)(17)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(19)GDP/GTP交換因子が、Rac特異的なGDP/GTP交換因子であることを特徴とする上記(14)(18)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法や、(20)Rac特異的なGDP/GTP交換因子がTiam1であることを特徴とする上記(19)記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法に関する。
さらに本発明は、(21)上記(14)(20)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするリンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質の探索方法や、(22)上記(14)(21)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とすることを特徴とするアレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法や、(23)上記(14)(22)のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするRacを活性化して細胞骨格の再構築を促進する、リンパ球遊走抑制に起因する疾病に対する治療薬の探索方法に関する。
本発明によれば、DOCK2の分子間相互作用を解明し、DOCK2を標的としたリンパ球遊走制御物質及びリンパ球遊走制御方法を提供することができる。また、本発明によれば、DOCK2の分子間相互作用を阻害することによる、自己免疫疾患や移植片拒絶反応の予防薬又は治療薬を提供することができる。
本発明のDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法としては、DOCK2とELMOと被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とELMOとの会合形成の程度を評価する方法や、DOCK2のSH3ドメインとELMOと被検物質とを接触させ、次いでDOCK2のSH3ドメインとELMOとの会合形成の程度を評価する方法や、DOCK2とELMOのC末端領域と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とELMOのC末端領域との会合形成の程度を評価する方法や、DOCK2のSH3ドメインとELMOのC末端領域と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2のSH3ドメインとELMOのC末端領域との会合形成の程度を評価する方法であれば、特に制限されるものではなく、上記、DOCK2若しくはそのSH3ドメイン及び/又はELMO若しくはそのC末端領域として、これらとマーカータンパク質及び/又はペプチドタグとが結合した融合タンパク質又は融合ペプチドとして用いてもよい。また、上記ELMOとしては、ELMO1、ELMO2、ELMO3を具体的に挙げることができるが、中でもELMO1を好適に例示することができる。
上記DOCK2のSH3ドメインとしては、ELMOと会合しうる機能を有するDOCK2の変異体で、DOCK2のSH3ドメインの全部又は一部を含むペプチドを例示することができ、具体的には、DOCK2の1位から502位のアミノ酸残基からなるDOCK2Nや、DOCK2の1位から1311位のアミノ酸残基からなるDOCK2ΔCを挙げることができる。また、上記ELMOのC末端領域としては、DOCK2のSH3ドメインと会合しうる機能を有するELMOの変異体で、ELMOのC末端領域の全部又は一部を含むペプチドを例示することができ、具体的には、ELMO1の147位から727位のアミノ酸残基からなるELMO1−del1や、ELMO1の345位から727位のアミノ酸残基からなるELMO1−del8を挙げることができる。以下、DOCK2と上記DOCK2のSH3ドメインを合わせて「DOCK2等」、ELMO1などのELMOと上記ELMOのC末端領域を合わせて「ELMO等」ということがある。
上記DOCK2変異体やELMO変異体は、DOCK2遺伝子やELMO遺伝子を常法により改変することにより調製することができる。DOCK2遺伝子としては、Hch(マウスDOCK2)遺伝子(GenBankアクセッションナンバーAY027438;Nature, Vol412, 23 August, 826-831, 2001)、ヒトDOCK2遺伝子(XM_047961;DNA Res. 3, 321-329)を具体的に挙げることができるが、DOCK2遺伝子の由来はマウス及びヒト等に限られるものではない。また、ELMO1などのELMO遺伝子としては、マウスELMO1遺伝子(AF398883;Cell, Vol.107 (1), 27-41, 2001)、ヒトELMO1遺伝子(AF398885;Cell, Vol.107 (1), 27-41, 2001)の他、ELMO2遺伝子(ヒトAF398886、マウスAF398884)、ELMO3遺伝子(ヒトNM_024712)を具体的に挙げることができるが、DOCK2遺伝子やELMO遺伝子の由来はマウス及びヒト等に限られるものではない。なお、マウスDOCK2のアミノ酸配列については配列番号1に、ヒトDOCK2のアミノ酸配列については配列番号2に、マウスELMO1のアミノ酸配列については配列番号3に、ヒトELMO1のアミノ酸配列については配列番号4に示す。
上記DOCK2等やELMO等と、マーカータンパク質及び/又はペプチドタグとが結合している融合タンパク質や融合ペプチドにおける、マーカータンパク質としては、従来知られているマーカータンパク質であれば特に制限されるものではなく、例えば、アルカリフォスファターゼ、抗体のFc領域、HRP、GFPなどを具体的に挙げることができ、またペプチドタグとしては、HA、FLAG、Myc等のエピトープタグや、GST、マルトース結合タンパク質、ビオチン化ペプチド、オリゴヒスチジン等の親和性タグなどの従来知られているペプチドタグを具体的に例示することができる。かかる融合タンパク質や融合ペプチドは、常法により作製することができ、HAタグに対する特異抗体を利用して、DOCK2等やELMO1等とHAタグとの融合タンパク質や融合ペプチドを分離・分画することができる。
DOCK2とELMO1などのELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法において、DOCK2等とELMO等と被検物質とを接触させる方法としては、DOCK2等とELMO等との会合形成の程度を評価することができる接触方法であれば特に制限されるものではなく、セルフリー系で被検物質の存在下、DOCK2等とELMO等とを接触させる方法や、DOCK2等発現細胞に、ELMO等やELMO等をコードする遺伝子がインテグレイトされた発現ベクターを被検物質と共に導入する方法や、ELMO等発現細胞に、DOCK2等やDOCK2等をコードする遺伝子がインテグレイトされた発現ベクターを被検物質と共に導入する方法や、DOCK2等・ELMO等非発現細胞に、DOCK2等やDOCK2等をコードする遺伝子がインテグレイトされた発現ベクターと、ELMO等やELMO等をコードする遺伝子がインテグレイトされた発現ベクターと、被検物質とを導入する方法を挙げることができる。
上記被検物質との接触のために用いられる細胞としては、大腸菌、ストレプトミセス、枯草菌、ストレプトコッカス、スタフィロコッカス等の細菌原核細胞や、酵母、アスペルギルス等の真核細胞や、ドロソフィラS2、スポドプテラSf9等の昆虫細胞や、L細胞、CHO細胞、COS細胞、HeLa細胞、C127細胞、BALB/c3T3細胞(ジヒドロ葉酸レダクターゼやチミジンキナーゼなどを欠損した変異株を含む)、BHK21細胞、HEK293細胞、Bowesメラノーマ細胞、卵母細胞等の動植物細胞などを挙げることができるが、動物細胞が好ましい。また、かかる細胞内にDOCK2等やELMO等を導入する方法としては、上記の遺伝子を導入する方法の他に、巨大分子と非共有結合体を形成し、タンパク質等の巨大分子の構造を変化させ、タンパク質等の巨大分子を細胞内にデリバリーすることができるChariot(Active Motif社製)等の細胞毒性のない試薬を用いることもできる。
また、上記発現ベクターとしては、動物細胞用発現ベクターが好ましく、かかる動物細胞用発現ベクターとしては、例えば、染色体、エピソーム及びウイルスに由来する発現系、例えば、細菌プラスミド由来、酵母プラスミド由来、SV40のようなパポバウイルス、ワクシニアウイルス、アデノウイルス、鶏痘ウイルス、仮性狂犬病ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス由来のベクター、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来及びこれらの組合せに由来するベクター、例えば、コスミドやファージミドのようなプラスミドとバクテリオファージの遺伝的要素に由来するものを挙げることができる。これら発現系は、発現を起こさせるだけでなく、発現を調節する制御配列を含んでいてもよい。また、動物細胞用発現ベクターに代えてリポソームを用いることもできる。そして、かかる動物細胞用発現ベクターの細胞への導入は、Davisら(BASIC METHODS IN MOLECULAR BIOLOGY, 1986)及びSambrookら(MOLECULAR CLONING: A LABORATORY MANUAL, 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1989)などの多くの標準的な実験室マニュアルに記載される方法、例えば、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、トランスベクション(transvection)、マイクロインジェクション、カチオン性脂質媒介トランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、スクレープローディング (scrape loading)、弾丸導入(ballistic introduction)、感染等により行うことができる。
本発明のDOCK2とELMO1などのELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法において、DOCK2等とELMO等との会合形成の程度を評価する方法としては、分離・分画されたDOCK2等にELMO等に対する抗体を作用させ、あるいは、分離・分画されたELMO等にDOCK2等に対する抗体を作用させ、DOCK2等とELMO等との会合形成の程度を免疫化学的に測定・評価する方法を挙げることができ、DOCK2等やELMO等を分離・分画するには、DOCK2等やELMO等に対する特異抗体、タグ特異的抗体を用いることができる。また、タンパク質−タンパク質間の相互作用を微量のタンパク質を用いてかつ標識することなく検出できる酵母のtwo hybrid systemや、表面プラズモン共鳴シグナルとしてリアルタイムに観察することができる表面プラズモン共鳴現象を利用したバイオセンサーや、立体構造の変化を検出できるNMR法を使用して、その会合形成の程度を測定・評価する方法を挙げることができる。その他、大腸菌発現系を用いたfar western法、アフィニティクロマトグラフィーを利用する方法等の公知の相互作用するタンパク質の探索法を好適に例示することができる。
本発明のDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法において、DOCK2等とELMO等との会合形成の程度を評価するもう一つの方法として、GTP結合型の活性型Racを検出する評価方法を挙げることができる。活性型Racの検出には、PAK1 Rac結合ドメインのGST融合タンパク質を用いたプルダウン法を用いることができる。
本発明のDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法における被検試料としては、例えばペプチド、タンパク質、合成化合物、微生物発酵物、海洋生物抽出物、植物抽出物、原核細胞紬出物、真核単細胞抽出物又は動物細胞抽出物あるいはそれらのライブラリーを挙げることができる。また、本発明のDOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法において、コントロール実験を併用することができる。コントロールとしては、DOCK2等とELMO等との会合形成に影響を及ぼすことのないネガティブコントロール、及び/又はDOCK2等とELMO等との会合形成に影響を及ぼすポジティブコントロールを用いることができる。
上記DOCK2とELMOとの会合に干渉する物質としては、リンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質、特にDOCK2とELMOとの結合を阻害する物質等のリンパ球遊走制御機能の抑制物質を挙げることができる。リンパ球遊走制御機能としては、DOCK2遺伝子の発現に依拠するリンパ球の運動性を制御する機能であれば特に制限されるものではないが、Racを活性化してRac−GTP結合体とし、細胞骨格の再構築、特にリンパ球におけるアクチン重合を促進する機能や、SLC、SDF−1、BLC等のケモカイン刺激よるリンパ球の遊走機能や、脾臓、リンパ節、パイエル板等の2次リンパ組織へのホーミング機能や、ELCケモカイン刺激に対する成熟胸腺T細胞の末梢血中への移出機能や、SDF−1ケモカイン刺激に対するCD4+CD8+未熟胸腺細胞の遊走機能等を具体的に例示することができる。
本発明はまた、ELMOとGDP/GTP交換因子(GEF)との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、Rac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法に関する。ELMOとGEFとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法としては、ELMOとGEFと被検物質とを接触させ、次いでELMOとGEFとの会合形成の程度を評価する方法や、ELMOのN末端領域とGEFと被検物質とを接触させ、次いでELMOのN末端領域とGEFとの会合形成の程度を評価する方法であれば特に制限されるものではなく、また、Rac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法としては、DOCK2とELMOとGEFと被検物質とを接触させ、あるいは、DOCK2のSH3ドメインとELMOとGEFと被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とELMOとの会合形成の程度、あるいは、ELMOとGEFとの会合形成の程度を評価する方法であれば特に制限されるものではなく、上記ELMOとして、DOCK2と結合したELMOを用いることもできる。
上記ELMOとしては、ELMO1、ELMO2、ELMO3を具体的に挙げることができるが、中でもELMO1を好適に例示することができ、また、上記GEFとしては、Tiam1、Tiam2、Vav1、Vav2、Vav3、Trio、STEF、P−Rex1などのRac特異的なGDP/GTP交換因子が好ましく、中でもTiam1を好適に例示することができる。上記Tiam1遺伝子としては、マウスTiam1遺伝子(NM_009384;Cell, Vol.77 (4), 537-549, 1994)、ヒトTiam1遺伝子(NM_003253;Oncogene Vol. 10(7), 1371-1376, 1995)を具体的に挙げることができるが、Tiam1遺伝子の由来はマウス及びヒト等に限られるものではない。なお、マウスTiam1のアミノ酸配列を配列番号5に、ヒトTiam1のアミノ酸配列を配列番号6に示す。
上記ELMOとGEFとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、Rac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法における、ELMOとGEFとの会合形成の程度を評価する方法、DOCK2とELMOとの会合形成の程度を評価する方法、他のペプチドと融合しているELMO又はそのN末端領域やGEFを用いる方法などを含め、前記DOCK2とELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法における手法を準用することができる。
以上の本発明のDOCK2とELMO1などELMOとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、ELMOとGEFとの会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、Rac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法、特にリンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用すると、DOCK2を標的としたアレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する予防・治療薬のスクリーニングが可能となる。例えば、リンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法により得られる抗DOCK2 SH3ドメイン抗体、DOCK2 SH3ドメイン結合分子(低分子化合物を含む)、DOCK2遺伝子のアンチセンス鎖、ELMO1などELMOのC末端領域のDOCK2 SH3ドメイン結合部位を特異的に認識する抗体、ELMO1などELMOのC末端領域のDOCK2 SH3ドメイン結合部位に結合する分子(低分子化合物を含む)、ELMO1などELMOのN末端領域のTiam1などGEF結合部位を特異的に認識する抗体、ELMO1などELMOのN末端領域のTiam1などGEF結合部位に結合する分子(低分子化合物を含む)、ELMO1などELMOのアンチセンス鎖等のリンパ球遊走制御機能の抑制物質は、リンパ球の運動性を人為的に抑制しうることが期待されることから、アレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する治療薬となりうる可能性がきわめて大きい。かかる治療薬を医薬品として用いる場合は、薬学的に許容される通常の担体、結合剤、安定化剤、賦形剤、希釈剤、pH緩衝剤、崩壊剤、可溶化剤、溶解補助剤、等張剤などの各種調剤用配合成分を添加することができ、通常用いられる投与形態、例えば粉末、顆粒、カプセル剤、シロップ剤、懸濁液等の剤型で経口的に投与することができ、あるいは、例えば溶液、乳剤、懸濁液等の剤型にしたものを注射の型で非経口投与することができる。
また、本発明のDOCK2とELMO1との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、ELMO1とTiam1との会合に干渉する物質のスクリーニング方法や、Rac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法、特にリンパ球遊走制御機能の促進物質のスクリーニング方法を利用すると、Racを活性化して細胞骨格の再構築を促進しうることから、リンパ球遊走抑制に起因する疾病、例えば、各種癌や、薬剤・放射線照射によって引き起こされる免疫不全症などに対する予防・治療薬のスクリーニングが可能となる。
さらに、本発明のDOCK2機能阻害物質のスクリーニング方法としては、SH3ドメインを含むDOCK2のN末端領域を標的とし、DOCK2のSH3ドメインと該SH3ドメイン結合タンパク質と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とSH3ドメイン結合タンパク質との会合形成の程度を評価する方法や、完全長DOCK2及びDOCK2欠失変異体を発現する遺伝子導入細胞株を用い、これらの細胞株におけるRac活性化の程度を測定・評価し、DOCK2の機能ドメインを同定し、該機能ドメインと会合する機能ドメイン会合分子を探索し、DOCK2の機能ドメインと機能ドメイン会合分子と被検物質とを接触させ、DOCK2の機能ドメインと機能ドメイン会合分子との会合形成の程度を評価する方法を挙げることができ、被検物質と接触させる方法や会合形成の程度を評価する方法やRac活性化の程度を測定方法などは、上述した方法を用いることができ、DOCK2の機能ドメインの同定方法や完全長DOCK2及びDOCK2欠失変異体を発現する遺伝子導入細胞株の作製は以下の実施例記載の方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
実施例1(DOCK2のN末端の領域とELMO1との結合)
線虫において最近CED−5と会合し、細胞骨格を制御する分子としてCED−12が同定され、その哺乳類ホモログとしてELMO1が報告された(非特許文献15)。そこで、DOCK2とELMO1とが結合するか否かを検討するために、PcDNA/His maxベクター(Invitrogen社製)を用いてC末端にHAタグ(YPYDVPDYA:配列番号7)を挿入した完全長DOCK2あるいは種々のDOCK2欠失変異体をコードする遺伝子コンストラクト(PcDNA DOCK2−HA、PcDNA DOCK2 N−HA、PcDNA DOCK2ΔC−HA、PcDNA DOCK2ΔN−HA)を構築し、PcDNA V5-Hisベクター(Invitrogen社)にELMO1 cDNAを挿入した遺伝子(PcDNA ELMO1−V5)と共に293T細胞(九州大学畠山鎮次博士より分与)に遺伝子導入した。DOCK2コンストラクトは本発明者らが単離した遺伝子(非特許文献14)より、ELMO1コンストラクトはマウス組織cDNAよりPCR法を用いて常法により作製した。使用したDOCK2欠失変異体をコードする遺伝子は以下の通りであり、これを図1Aに模式的に示す。
1)PcDNA DOCK2 N−HA;DOCK2の1位から502位のアミノ酸残基をコードする遺伝子
2)PcDNA DOCK2ΔC−HA;DOCK2の1位から1311位のアミノ酸残基をコードする遺伝子
3)PcDNA DOCK2ΔN−HA;DOCK2の505位から1828位のアミノ酸残基をコードする遺伝子
遺伝子導入後48時間で細胞を回収し、Lysis buffer(Cell signaling社製)で溶解した後、total cell lysate及び抗HA抗体(Roche社製)による免疫沈降物を対象に抗V5抗体(Invistorgen社製)を用いたウェスタンブロット法にて解析した。total cell lysateではいずれも抗V5抗体でELMO1に相当する約100KDのバンドが検出された(図1B;上段)。しかしながら、免疫沈降物においては、完全長DOCK2、DOCK2ΔC、DOCK2 Nをコードする遺伝子を導入した場合ELMO1に相当するバンドが認められたが、DOCK2のN末端504位までのアミノ酸残基を欠くDOCK2ΔNを発現させた場合は検出できなかった(図1B;中段下段)。このことから、DOCK2はそのN末端の502個のアミノ酸残基の領域でELMO1と会合することが明らかとなった。
実施例2(N末端領域を欠失したDOCK2ΔNでのRacの活性化)
ELMO1との会合がDOCK2の機能にどのような影響を及ぼすかを検討するため、PBJ1ベクターを用いて完全長DOCK2及びDOCK2のN末端504アミノ酸残基を欠失した変異体(DOCK2ΔN)をコードする遺伝子コンストラクトを構築し、これらをDOCK2遺伝子の発現を欠くT細胞株BEα16−3(National Jewish CenterのPhilippa Marrack博士より分与)に導入した安定遺伝子導入細胞株を樹立した。N3−5はDOCK2を発現する野生型T細胞株であり、17−11(非特許文献14)及び84−3は本発明者らが樹立した、それぞれ完全長DOCK2あるいはDOCK2ΔNを発現する遺伝子導入細胞株である。本発明者らが作製した抗DOCK2ポリクロナール抗体を用いたウェスタンブロット解析において、17−11と84−3におけるDOCK2及びDOCK2ΔNの発現はほぼ同程度であった(図2A、参考写真1参照。)。そこで17−11と84−3を対象に、これらの細胞株におけるRac活性化をPAK1 Rac結合ドメインのGST融合タンパク質を用いたプルダウン法にて比較解析した。完全長DOCK2を発現する17−11においてはGTP結合型の活性型Racが容易に検出できたが、ELMO1との結合部位を欠くDOCK2ΔNを発現する84−3ではRac活性化能が顕著に低下していた(図2B、参考写真1参照。)。17−11と84−3をPI(propidium iodide)で核染色したところ、親株であるBEα16−3と異なり、いずれにおいても核が偏在する−すなわち細胞の極性化が起こっているという所見が得られた(図2C;上段、参考写真1参照。)。しかしながら、これらの細胞をF−アクチンのプローブであるファロイジンで染色した場合、アクチン重合は17−11においてのみ認められ、84−3ではDOCK2の発現を欠くBEα16−3と同様全く検出されなかった(図2C;下段、参考写真1参照。)。このことから、DOCK2とELMO1との会合はRacのfull activationにも、それに伴う細胞骨格の再構築にも極めて重要であることが示唆された。以上のことから、ELMO1との結合に重要なN末端領域を欠失したDOCK2ΔNではRac活性化能が顕著に低下し、アクチン重合を誘導できないことがわかった。
実施例3(DOCK2のSH3ドメインを介してのELMO1との会合)
DOCK2はN末端にはタンパク質−タンパク質相互作用に関与することが知られているSH(Src-homology)3ドメインがコードされている。DOCK2のN末端の502個のアミノ酸残基がELMO1との会合に重要であることを見い出したので、これがSH3ドメインを介したものであるのかどうかにつき検討を加えた。SH3ドメインには共通して保存されたアミノ酸残基が存在している。そこで、PcDNA/His max ベクターを用いてC末端にHAタグを挿入した種々のDOCK2 SH3変異体をコードする遺伝子コンストラクトを構築し、PcDNA ELMO1−V5と共に293T細胞に遺伝子導入することで図1Bと同様に解析した。DOCK2 SH3変異体をコードする遺伝子は以下のとおりである。
1)PcDNA L27E−HA;DOCK2の27位のロイシンをグルタミン酸に置換した変異体をコードする遺伝子
2)PcDNA G32E−HA;DOCK2の32位のグリシンをグルタミン酸に置換した変異体をコードする遺伝子
3)PcDNA P60E−HA;DOCK2の60位のプロリンをグルタミン酸に置換した変異体をコードする遺伝子
4)PcDNA F63E−HA;DOCK2の63位のフェニルアラニンをグルタミン酸に置換した変異体をコードする遺伝子
DOCK2 SH3ドメインを含む10位から89位までのアミノ酸配列を図3Aに示す。total cell lysateにおいてはいずれも抗V5抗体でELMO1に相当する約100KDのバンドが検出された(図3B;上段)。しかしながら抗HA抗体を用いた免疫沈降物を対象とした場合、ELMO1に相当するバンドはPcDNA DOCK2−HA及びPcDNA L27E−HAを導入した以外では検出できなかった(図3B;中段)。一方、いずれの遺伝子を導入した場合でもDOCK2及びDOCK2 SH3変異体の発現は同程度であった(図3B;下段)。以上の結果は、SH3ドメインの1アミノ酸置換でDOCK2とELMO1との会合が完全に阻害されることを示すものであり、これらのことから、DOCK2はそのSH3ドメインを介してELMO1に結合していることが明らかとなった。
実施例4(ELMO1のC末端領域とDOCK2との結合)
次にDOCK2と結合するELMO1の機能ドメインを同定するため、PcDNAV5Hisベクターを用いて、種々のELMO1欠失変異体をコードする遺伝子コンストラクトを構築し、PcDNA DOCK2−HAと共に293T細胞に遺伝子導入することで解析した。ここで使用したELMO1欠失変異体をコードする遺伝子は以下の通りであり、これを図4Aに模式的に示す。
1)PcDNA ELMO1−del1−V5;ELMO1の147位から727位までのアミノ酸残基をコードする遺伝子
2)PcDNA ELMO1−del8−V5;ELMO1の345位から727位までのアミノ酸残基をコードする遺伝子
3)PcDNA ELMO1−del10−V5;ELMO1の1位から613位までのアミノ酸残基をコードする遺伝子
total cell lysate においてはいずれも抗V5抗体でELMO1もしくはその欠失変異体に相当するバンドが検出された(図4B;上段)。しかしながら、抗HA抗体による免疫沈降物においては、抗V5抗体に反応するバンドは完全長ELMO1、ELMO1−del1及びELMO1−del8をコードする遺伝子を導入した場合には認められるものの、ELMO1の614位から727位までのアミノ酸残基を欠くPcDNA ELMO1−del10を発現させた場合は検出できなかった(図4B;中段、下段)。このことから、ELMO1の614位から727位までのアミノ酸残基を含むC末端の領域がDOCK2 SH3ドメインとの会合に重要であることが示された。これらのことから、ELMO1はそのC末端の領域でDOCK2に結合していることがわかった。
実施例5(ELMO1のN末端領域とTiam1との結合)
Tiam1は胸腺腫細胞株の浸潤を規定する分子として同定されたものであり、Rac特異的なGDP/GTP交換因子(GEF)として機能することが知られている(Cell 77, 537-549, 1994、Nature375, 338-340, 1995)。DOCK2とELMO1との会合がRacのfull activationに必要であることから、DOCK2はELMO1を介してTiam1をリクルートしているという可能性が考えられた。この仮説を検証するために、マウス組織cDNAよりPCR法を用いて増幅したTiam1遺伝子を基に、PCIベクター(Promega社製)を用いて、C末端にHAタグを挿入したTiam1をコードするコンストラクト(PCI Tiam1−HA)を構築し、完全長ELMOあるいは種々のELMO1欠失変異体をコードする遺伝子(PcDNA ELMO1−V5、PcDNA ELMO1−delPH−V5、PcgDNA ELMO1−del8−V5、PcDNA ELMO1−del1)と共に293T細胞に遺伝子導入し解析した。PcDNA
ELMO1−delPH−V5はELMO1の1位から565位までと695位から727位までのアミノ酸残基をコードする遺伝子であり、ここで使用したELMO1欠失変異体を図5Aに模式的に示す。total cell lysateにおいてはいずれも抗V5抗体でELMO1もしくはその欠失変異体に相当するバンドが検出された(図5B;上段)。抗HA抗体による免疫沈降物においてもPcDNA
ELMO1−V5及びPcDNA ELMO1−delPH−V5を導入した場合、抗V5抗体に反応するバンドが検出された(図5B;中段、下段)。このことは、Tiam1とELMO1とが結合するということを示している。しかしながら、ELMO1のN末端の146位まであるいは344位までのアミノ酸残基を欠失させた変異体ではこのような結合は認められず(図5B;中段、下段)、これらのことから、ELMO1はそのN末端でTiam1と会合していることが示された。
以上より、1)DOCK2はSH3ドメインを介してELMO1のC末端の領域に結合すること、2)ELMO1はそのN末端の領域を介してTiam1と結合すること、3)ELMO1と結合できないDOCK2変異体ではRac活性化能が著しく低下することが明らかとなった。このことから、DOCK2はELMO1を介して、RacのGEFとして機能するTiam1をリクルートすることによりRacを活性化していることが示された(図6)。
自己免疫疾患や移植片拒絶は、標的組織にリンパ球が浸潤することによって惹起されるため、これら疾患や病態を治療あるいは予防する上でDOCK2シグナル伝達は格好の標的となる。今回の知見は、DOCK2、ELMO1、Tiam1という分子間相互作用が細胞運動に不可欠なRac活性化を制御しているということを示すものであり、これらの分子間相互作用を遮断することでリンパ球浸潤を阻止し得るものと考えられる。それ故、これら分子間相互作用は自己免疫疾患や移植片拒絶の治療法や予防法の開発に向け今後の創薬の標的になるものと期待される。
DOCK2がそのN末端の領域でELMO1と結合することを示す図である。Aは、DOCK2及びDOCK2欠失変異体の構造を模式的に示す図である。図中、黒塗りはSH3ドメインである。Bは、293T細胞にDOCK2あるいはDOCK2欠失変異体をコードする遺伝子を、PcDNA ELMO1−V5と共にトランスフェクトし、48時間後に細胞を回収し、免疫沈降及びウェスタンブロット法を用いてELMO1との結合を解析した図である。左側に解析に供したサンプルの種類、免疫沈降及びウェスタンブロットに用いた抗体を示す。 ELMO1との結合に重要なN末端領域を欠失したDOCK2ΔNではRac活性化能が顕著に低下し、アクチン重合を誘導できないことを示す図である。Aは、BEα16−3、N3−5、及び遺伝子導入細胞株(17−11、84−3)におけるDOCK2あるいはDOCK2ΔNの発現を、DOCK2に対するポリクロナール抗体を用いたウェスタンブロット法にて解析した図である。図中、NSは非特異的なバンドを示す。Bは、84−3、17−11、BEα16−3の細胞抽出液をPAK1 Rac結合ドメインのGST融合タンパク質でプルダウンし、抗Rac抗体で染色することにより活性型Racを検出した図である。Cは、BEα16−3、17−11、84−3をpropidium iodide及びファロイジン(phalloidin)で染色することで細胞の極性化及びアクチン重合につき検討した図である。 DOCK2がそのSH3ドメインを介してELMO1と会合することを示す図である。Aは、DOCK2 SH3ドメインを含む10−89のアミノ配列を示す図である。グルタミン酸に置換したアミノ酸残基を太字で示す。Bは、293T細胞にDOCK2あるいはDOCK2 SH3変異体をコードする遺伝子を、PcDNA ELMO1−V5と共にトランスフェクトし、48時間後に細胞を回収し、免疫沈降及びウェスタンブロット法を用いてELMO1との結合を解析した図である。左側に解析に供したサンプルの種類、免疫沈降及びウェスタンブロットに用いた抗体を示す。 ELMO1がそのC末端の領域でDOCK2に結合していることを示す図である。Aは、ELMO1及びこの実験で使用したELMO1欠失変異体の構造を模式的に示す図である。Bは、293T細胞にELMO1及びELMO1欠失変異体をコードする遺伝子を、PcDNA DOCK2−HAあるいはコントロールベクターと共にトランスフェクトし、48時間後に細胞を回収し免疫沈降及びウェスタンブロット法を用いてDOCK2との結合を解析した図である。左側に解析に供したサンプルの種類、免疫沈降及びウェスタンブロットに用いた抗体を示す。 ELMO1がそのN末端の領域でTiam1に結合していることを示す図である。Aは、ELMO1及びこの実験で使用したELMO1欠失変異体の構造を模式的に示す図である。Bは、293T細胞にELMO1及びELMO1欠失変異体をコードする遺伝子を、PCI Tiam1−HAあるいはコントロールベクターと共にトランスフェクトし、48時間後に細胞を回収し免疫沈降及びウェスタンブロット法を用いてTiam1との結合を解析した図である。左側に解析に供したサンプルの種類、免疫沈降及びウェスタンブロットに用いた抗体を示す。 DOCK2によるRac活性化機構の模式図である。DOCK2はELMO1を介して、RacのGEFとして機能するTiamをリクルートすることでRacを活性化することを示す図である。

Claims (23)

  1. ELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  2. ELMOのN末端領域とGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでELMOのN末端領域とGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  3. ELMO若しくはそのN末端領域及び/又はGDP/GTP交換因子が、他のペプチドと融合していることを特徴とする請求項1又は2記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  4. GDP/GTP交換因子対する抗体又はGDP/GTP交換因子と融合した他のペプチドに対する抗体により分画されたGDP/GTP交換因子に、ELMO若しくはそのN末端領域に対する抗体を作用させ、会合形成の程度を評価することを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  5. GTP結合型の活性型Racを検出することにより、会合形成の程度を評価することを特徴とする請求項1〜4のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  6. ELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質が、リンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  7. ELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質が、ELMOとGDP/GTP交換因子との結合を阻害する物質であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  8. ELMOが、DOCK2と結合したELMOであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  9. ELMOが、ELMO1であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  10. GDP/GTP交換因子が、Rac特異的なGDP/GTP交換因子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  11. Rac特異的なGDP/GTP交換因子がTiam1であることを特徴とする請求項10記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法。
  12. 請求項11のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするアレルギー、自己免疫疾患、GvH及び移植片拒絶からなる群から選ばれる免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法。
  13. 請求項1〜11のいずれか記載のELMOとGDP/GTP交換因子との会合に干渉する物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするRacを活性化して細胞骨格の再構築を促進する、リンパ球遊走抑制に起因する疾病に対する治療薬の探索方法。
  14. DOCK2とELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2とELMOとの会合形成の程度、あるいは、ELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  15. DOCK2のSH3ドメインとELMOとGDP/GTP交換因子と被検物質とを接触させ、次いでDOCK2のSH3ドメインとELMOとの会合形成の程度、あるいは、ELMOとGDP/GTP交換因子との会合形成の程度を評価することを特徴とするRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  16. GTP結合型の活性型Racを検出することにより、会合形成の程度を評価することを特徴とする請求項14又は15記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  17. ELMOが、DOCK2と結合したELMOであることを特徴とする請求項14〜16のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  18. ELMOが、ELMO1であることを特徴とする請求項1417のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  19. GDP/GTP交換因子が、Rac特異的なGDP/GTP交換因子であることを特徴とする請求項14〜18のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  20. Rac特異的なGDP/GTP交換因子がTiam1であることを特徴とする請求項19記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法。
  21. 請求項14〜20のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするリンパ球遊走制御機能の促進物質又は抑制物質の探索方法。
  22. 請求項14〜21のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とすることを特徴とするアレルギー、自己免疫疾患、GvH、移植片拒絶等の免疫関連疾患に対する治療薬の探索方法。
  23. 請求項14〜22のいずれか記載のRac活性化促進物質又は抑制物質のスクリーニング方法を利用することを特徴とするRacを活性化して細胞骨格の再構築を促進する、リンパ球遊走抑制に起因する疾病に対する治療薬の探索方法。
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