JP3886105B2 - 薬剤放出性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、薬剤放出性組成物に関し、更に詳細には、温度が一定以下になった場合に薬物を放出することができ、医薬品や医薬部外品あるいは化粧品等として有用な薬剤放出性組成物およびその製造方法並びに当該組成物を用いた薬効成分の放出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
薬剤の放出性を調製した組成物は、現在までに数多く研究されており、例えば、薬剤の放出性を遅延させて持続性薬剤としたものは数多く知られている。更に、高分子化合物のゾルからゲルへの相転移の際に、ゾル−ゲル相転移点以上の温度で、膨潤した構造から収縮した構造に変化することに基づいて薬剤を放出させるものはいくつか報告されている。
【0003】
しかしながら、高分子化合物の相転移点温度以下の温度で薬剤の放出性を制御することのできる組成物については、本発明者の知る限り、未だ報告されていない。
【0004】
一般に、ヒトの皮膚温度は、一定に保たれていると考えられているが、例えば、高地や寒冷地においては、ヒトの有する体温維持機構が十分に作用せず、特に手足等や顔の表面温度が低下し、甚だしい場合には、凍傷等になる場合もある。また、そこまではいかなくても、しもやけやあかぎれ等になる場合がある。
【0005】
このような場合、体表面が通常の温度では、薬剤を放出しないが、体表面温度が異常に低下した場合に凍傷、しもやけ、あかぎれ等に有効な薬物を放出することができる組成物があれば、上記疾患の予防剤として有効であることは十分に予想しうることである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実状に鑑みなされたものであり、高温では薬物を組成物内に安定維持し、低温において薬物を放出するような組成物の提供をその課題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を行っていたところ、特定の構造を有する温度感応性ポリマーは、低温でゾル、高温でゲルの形態を取り、しかもそのゾル−ゲル転移は極めてシャープであり、しかもゲル状態では、薬物を内部に包含するミセルを形成することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち本発明は、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物と薬効成分とを含有する薬物放出性組成物を提供するものである。
【0009】
また本発明は、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物に、当該高分子化合物のゾル−ゲル相転移点温度未満の温度で薬効成分を配合し、その後温度をゾル−ゲル相転移点温度以上とすることを特徴とする薬物放出性組成物の製造方法を提供するものである。
【0010】
更に本発明は、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物と薬効成分とを含有する薬物放出性組成物を皮膚上に塗布し、薬効成分を皮膚温度が当該高分子化合物のゾル−ゲル相転移点温度未満の温度で放出させることを特徴とする薬効成分の放出方法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明においては、必須成分として低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物(以下、「温度感応性高分子」という)が使用されるが、このような性質を有する高分子は既に公知である。
【0012】
しかし、本発明の目的のために使用される温度感応性高分子は、そのゾル−ゲル相転移点が明確であること、すなわち、狭い温度範囲でゾルからゲルあるいはその逆の相転移が終了するものが好ましい。
【0013】
このような性質を有する温度感応性高分子としては、感熱応答性ポリマーセグメントと親水性ポリマーセグメントのブロックポリマーが例示され、その好ましい例としては、感熱応答性ポリマーセグメントが次の式(I)
【化3】
Figure 0003886105
(式中、Rは、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基またはハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基または飽和もしくは不飽和のエステル基を示し、nは0または1以上の数を示す)
で表される構成単位で構成され、親水性ポリマーセグメントが次の式(II)または(III)
【化4】
Figure 0003886105
(式中、R'は、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基もしくはハロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基、飽和もしくは不飽和のエステル基または水素原子を示し、nは前記した意味を有する)
で表される構成単位で構成された温度感応性高分子が挙げられる(但し、式(III)の構成単位で構成されるポリマーは、式(I)の構成単位で構成されるポリマーより相転移温度が高いものとする)。
【0014】
上記式(I)および(III)において、基Rのうち、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等が例示され、これらは、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基もしくは塩素原子等のハロゲン原子で置換されていても良い。また、アリール基としては、フェニル基、置換フェニル基等が、飽和もしくは不飽和のエステル基としては、アセトキシ基、メトキシカルボニル基、メタクリロイル基等がそれぞれ例示される。
【0015】
これらの基Rは、目的とするゾル−ゲル相転移点温度に応じて適当に選択使用される。また、nや、ポリマーセグメントの重合度も同様ゾル−ゲル相転移点温度に応じて適当に選択される。
【0016】
上記したような温度感応性高分子は、シーケンシャルリビングカチオン重合法により合成される、2つのブロックポリマー部分からなるポリマーである。このポリマーは、例えば、まず、感熱応答性ポリマーセグメントを構成するモノマーによりホモポリマーを製造し、次いで、このホモポリマーに親水性ポリマーセグメントを構成するモノマーを添加し、ホモポリマーの活性を有する先端から、更に重合を行わせることにより製造することができる。
【0017】
なお、上記親水性ポリマーセグメントを構成するモノマーについては、その親水性基(例えば、水酸基、カルボキシル基)等を予め保護基により保護しておいても良く、その場合は、シーケンシャルリビングカチオン重合を行った後、通常の脱保護反応により当該保護基を除去することもできる。
【0018】
一方、本発明において使用される薬効成分としては、特に制約はなく、種々の公知のものを利用することができるが、上記温度感応性高分子は、低温で薬効成分を放出可能なゾル状態であり、高温で、薬効成分をミセル中に安定に包含するゲル状態を取るため、低温時において放出され、有効である薬効成分を利用することが好ましい。
【0019】
このような薬効成分としては、凍傷や、しもやけ、あかぎれ等に有効な薬効成分、例えば、ビタミンE、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、シクランデラート、イノシトールヘキサニコチネート、ヘプロニカート、塩酸トラゾリン、塩酸イソクスプリン等を例示することができる。
【0020】
本発明の薬物放出性組成物は、前記温度感応性高分子を必要により水溶液とした後、これに上記薬効成分を配合することにより調製することができる。
【0021】
この薬物放出性組成物の調製における、薬効成分の配合量は、温度感応性高分子の鋭敏なゲル化を阻害しない程度の量とすることが好ましく、例えば、温度感応性高分子100重量部に対し、0.5から50重量部、特に、5から25重量部とすることが好ましい。
【0022】
また、薬効成分を温度感応性高分子に配合するに当たっては、まず、温度感応性高分子またはその水溶液をそのゾル−ゲル相転移点温度未満の温度まで冷却してゾル状態とし、この状態で薬効成分を配合した後、温度をゾル−ゲル相転移点温度以上として、ゲル状の薬物放出性組成物とすることが好ましい。
【0023】
かくして得られた本発明の薬物放出性組成物は、高温側でゲル状態、低温側でゾル状態を示し、ゾル状態において配合された薬効成分を放出するものである。従って、当該組成物を皮膚上に塗布することにより、薬効成分を皮膚温度が当該高分子化合物のゾル−ゲル相転移点温度未満の温度となった場合に放出させることが可能となる。
【0024】
特に、ゾル−ゲル相転移点温度が、体表面温度より若干低い温度感応性高分子を選択使用した場合には、通常の状態では薬効成分を放出せず、体表面温度が異常に低下した場合にのみ薬効成分を放出することができるので、凍傷や、しもやけ、あかぎれ等の低温において起こる疾病に対して有効な薬物放出性組成物を得ることができる。
【0025】
また、それ以外でも、皮膚に温感を与えることのできる薬効成分を含むクリーム等の化粧品とした場合には、スキー、スノーボード、スケート等のウインタースポーツ用の防寒用化粧品として利用することもできるものである。
【0026】
【作用】
本発明は、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子、特に感熱応答性ポリマーセグメントと親水性ポリマーセグメントのブロックポリマーである温度感応性高分子は、ゾル状態ではランダムであるが、ゲル状態ではミセルを形成し、しかもそのミセル中に薬効成分を包含することができることに基づくものである。
【0027】
従って、薬効成分は、高温側では薬効成分はミセルに包まれた状態で放出されることなく、ゾル−ゲル相転移点温度未満の低温側になった場合に、ミセルから放出され、本発明の効果を奏するのである。また、高温側においてミセルに包まれていることから、例えば酸化を受けやすい等の薬効成分であっても安定に保持されるという性質も有するものである。加えて、薬物を封入したゲルは常温では固体のように扱えるので、油状あるいは液状の薬剤の秤取や運搬にも便利であるという性質をも有するものである。
【0028】
【実施例】
次に実施例および参考例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例等に何ら制約されるものではない。
【0029】
参 考 例 1
温度感応性高分子化合物(poly(EOVE)−b−poly
(HOVE))の合成:
シーケンシャルリビングカチオン重合法を用い、ジブロックコポリマーpoly(EOVE)−b−poly(HOVE)を合成した。まず、2−エトキシエチルビニルエーテル(EOVE)モノマーを、下記条件でリビングカチオン重合させ、線状のEOVEポリマーを合成した。このEOVEモノマーの重合終了時に、2−t−ブチルジメチルシリロキシエチルビニルエーテル(BMSiVE)モノマーを、更に逐次添加する事で、poly(EOVE)−b−poly(BMSiVE)を合成した。
【0030】
合成条件:
(1)EOVEの重合
使用触媒: エチルアルミニウムセスキクロリド
使用溶媒: トルエン
重合開始剤: 1−イソブトキシエチルアセテート
重合温度: 0℃
重合時間: 4時間
(2)BMSiVEの重合
モノマーの添加速度: 極めて速く
重合温度: 0℃
【0031】
得られたpoly(EOVE)およびpoly(EOVE)−b−poly(BMSiVE)について平均分子量および分子量分布をGPCにより調べた結果を、図1に示す。この平均分子量から、算出した1分子あたりの、EOVEおよびBMSiVEの平均重合度は、それぞれ200と400であった。そこで、以下、得られたpoly(EOVE)−b−poly(BMSiVE)をEOVE200−b−BMSiVE400という。
【0032】
上記のEOVE200−b−BMSiVE400を、0℃の0.3N−HCl/テトラヒドロフラン溶液中で3時間処理して脱保護し、再沈、透析によって精製してBMSiVEがヒドロキシエチルビニルエーテル(HOVE)に代わったEOVE200−b−HOVE400 を得た。なお、poly(EOVE)−b−poly(HOVE)における、EOVEとHOVEの組成比は、開始種とモノマーの仕込み濃度により自由に設定する事ができる。
【0033】
参 考 例 2
温度感応性高分子化合物(poly(EOVE)−b−poly
(HOVE))の性質:
参考例1で得たEOVE200−b−HOVE400の水溶液は、低温で溶解状態であり、20℃以上で球状ミセル(poly(EOVE)をコア、poly(HOVE)をコロナとするミセル)を形成してゲル化する温度感応性高分子化合物である。
【0034】
図2に、低温で低粘度であったEOVE200−b−HOVE400水溶液(10%)が、昇温により、20℃付近で突然ゲル化する様子を動的粘弾性測定(1Hz)によって示した。この図では、低温(〜20℃)では低粘度な水溶液が、20℃付近で透明なまま、高感度にゲル化したことが示される。この変化は可逆的であり、ゲル化した状態から再び低温にすると同じ低粘度な液体へと戻った。ゲルを形成した温度以上(20℃〜)では、いずれの周波数においても、G'(貯蔵弾性率)は平坦部を示し、しかもG'はG"(損失弾性率)を1桁程度以上上回り、典型的なゲル挙動を示した。
【0035】
この結果から、EOVE200−b−HOVE400 は粘弾性体であることが理解される。
【0036】
参 考 例 3
温度感応性高分子化合物の合成:
2−エトキシエチルビニルエーテル(EOVE)モノマーを、式(I)中、Rおよびnが表1で表されるモノマーに代える以外は参考例1と同様にして温度感応性高分子化合物を合成した。これら温度感応性ポリマーの見かけの粘度変化を図3に示す。
【0037】
【表1】
Figure 0003886105
【0038】
図3から明らかなように、感熱応答性ポリマーセグメントのRおよびnを変化させることにより、ゲル化温度を任意に変化させたポリマーを得ることができる。
【0039】
実 施 例 1
薬物の放出性試験:
薬物として、酢酸トコフェロール(以下、「VE」と略す)を用い、参考例1で得たEOVE200−b−HOVE400 (以下、「感温性ポリマー」という)を用いた薬剤放出性組成物からの放出性試験を下記の方法で行った。
【0040】
(1)試験組成物の調製
VE 1mgを水−エタノール等量混液20mlに溶解させて原液とした。20w/v%水溶液とした感温性ポリマーを10℃以下にして、透明な液状とし、その1.7mlを小試験管にとった。この試験管中にVE原液0.3mlを加えて撹拌し、均一溶液とした。この間、10℃以下に保った。感温性ポリマーの濃度は最終的に17w/v%とした。
【0041】
上で得られたVE含有感温性ポリマーゾル1mlを、前処理した透析膜チューブに入れ、直ちにドライヤーの温風(40〜50℃)を送って、チューブ内のゾル液をゲル化させた。温度が15℃ぐらいでゾルゲル変化を起こし、その後チューブ内は完全な固体状態となった。このものを試験組成物として以下の実験で使用した。
【0042】
(2)低温での放出性試験
上記(1)で得られた試験組成物をチューブに入った状態で10℃の水−エタノール等量混液2mlに浸し、透析膜を通して放出されてくるVEを284nmにおけるUV測定により定量した。この結果を図4に示す。
【0043】
図4の結果から、試験組成物は、10℃では、すみやかにVEの放出を開始し、その後は徐々に放出量が増加した。
【0044】
(3)高温での放出性試験
前記(1)で得られた試験組成物が入った透析膜チューブの外側を、2mlの駒込ピペットを使って1回、40℃水−エタノール等量混液をかけてかるく洗ったあと、40℃の水−エタノール等量混液2mlに浸し、VEがもれ出してくるかどうかを調べた。この結果を図5に示す。
【0045】
図5の結果から、40℃ではVEが放出されないことが確認できた。
【0046】
(4)温度の変化による放出性の変化
前記(1)で得られた試験組成物を1分間10℃の水−エタノール等量混液2mlに浸して、VEの放出を調べた後、透析膜チューブを引き上げて、28℃の室温で30分間放置し、固化させた。その後、再び10℃の水−エタノール等量混液2mlに浸してVEの放出を調べた。この結果を図6に示す。
【0047】
図6の結果から、10℃で一度VEを放出させた後、室温の28℃になると放出がなくなり、再び10℃にするとまたVEが放出されてくることが確認された。
【0048】
【発明の効果】
本発明の薬剤放出性組成物は、温度感応性高分子のゾル−ゲル相転移点温度未満の低温側において含有する薬効成分を放出するものである。
【0049】
従って、低温時に薬効成分の放出が求められる医薬や医薬部外品、例えば凍傷防止用剤や、しもやけあるいはあかぎれ防止用剤として、あるいは防寒用化粧料として有利に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明で使用する温度感応性高分子前駆体、EOVE200−b−BMSiVE400 の平均分子量および分子量分布をGPCにより調べた結果示す図面である。
【図2】 本発明で使用する温度感応性高分子、EOVE200−b−HOVE400 の、1Hz下における動的粘弾性測定結果を示す図面である。
【図3】 温度感応性高分子を構成するモノマーを変化させたときの、ずり速度10・s-1での見かけの粘度の変化を示す図面である。
【図4】 低温側におけるVEの放出状態を示す図面である。
【図5】 高温側においてVEの放出がほとんどないことを示す図面である。
【図6】 温度を変化させた場合の、VEの放出状態を示す図面である。以 上

Claims (5)

  1. 次の式(I)
    Figure 0003886105
    (式中、Rは、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基若しくはハ
    ロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基または飽和も
    しくは不飽和のエステル基を示し、nは0または1以上の数を示す)
    で表される構成単位で構成された感熱応答性ポリマーセグメントと、次の式
    II )または( III
    Figure 0003886105
    (式中、R ' は、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基もしくはハロ
    ゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基、飽和もしくは不
    飽和のエステル基または水素原子を示し、nは前記した意味を有する)
    で表される構成単位(但し、式( III )の構成単位で構成されるポリマーは、式(I)の構成単位で構成されるポリマーより相転移温度が高いものとする)で構成された親水性ポリマーセグメントのブロックコポリマー、グラフトコポリマーまたはランダムコポリマーである、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物と薬効成分とを含有する薬物放出性組成物。
  2. 放出される薬効成分が、ビタミンE、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、シクランデラート、イノシトールヘキサニコチネート、ヘプロニカート、塩酸トラゾリン、塩酸イソクスプリンから選ばれる化合物である請求項第1項記載の薬剤放出性組成物。
  3. 温度感応性高分子化合物のゾル−ゲル相転移点温度未満の温度で薬効成分を放出する請求項第1項または第2項記載の薬剤放出性組成物。
  4. 次の式(I)
    Figure 0003886105
    (式中、Rは、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基若しくはハ
    ロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基または飽和も
    しくは不飽和のエステル基を示し、nは0または1以上の数を示す)
    で表される構成単位で構成された感熱応答性ポリマーセグメントと、次の式
    II )または( III
    Figure 0003886105
    (式中、R ' は、水酸基、ホルミル基、カルボニル基、アミノ基もしくはハ
    ロゲン原子で置換されていても良いアルキル基、アリール基、飽和もしく
    は不飽和のエステル基または水素原子を示し、nは前記した意味を有する)
    で表される構成単位(但し、式( III )の構成単位で構成されるポリマーは、式(I)の構成単位で構成されるポリマーより相転移温度が高いものとする)で構成された親水性ポリマーセグメントのブロックコポリマー、グラフトコポリマーまたはランダムコポリマーである、低温状態においてゾル、高温状態でゲルを示す温度感応性高分子化合物に、当該高分子化合物のゾル−ゲル相転移点温度未満の温度で薬効成分を配合し、その後温度をゾル−ゲル相転移点温度以上とすることを特徴とする薬物放出性組成物の製造方法。
  5. 薬効成分が、ビタミンE、酢酸トコフェロール、dl−α−トコフェロール、シクランデラート、イノシトールヘキサニコチネート、ヘプロニカート、塩酸トラゾリン、塩酸イソクスプリンから選ばれる化合物である請求項第4項記載の薬剤放出性組成物の製造方法
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