JP3885978B2 - 利得結合分布帰還型半導体レーザ装置 - Google Patents

利得結合分布帰還型半導体レーザ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ディスク装置、光通信装置、光計測装置等の光源として利用される半導体レーザ装置に関し、特に活性層の近傍に吸収性回折格子を設けた利得結合分布帰還型半導体レーザ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
誘導放出光を発生する活性層の近傍に回折格子を設け、これによって単一波長でレーザ発振が発生するようにした半導体レーザ装置を分布帰還型半導体レーザ装置(DFB:Distributed FeedBack Laser Diode)と称する。更に、この様な単一波長のレーザ発振が回折格子による屈折率の周期分布に起因するものを屈折率結合分布帰還型半導体レーザ装置と称し、回折格子による利得並びに吸収の周期分布に起因するものを利得結合分布帰還型半導体レーザ装置と称する。両者のうちの後者の方が安定な単一波長のレーザ発振を得易く、より優れた特徴を有する。
【0003】
図6は、従来の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置をその一部分を破断して示している。この半導体レーザ装置101は、リッジ型構造を有し、下側の本体部102と上側のリッジ部103からなる。この装置101では、基板104に、下クラッド層105、活性層106、キャリアバリア層107、第1ガイド層108、第2ガイド層109、上クラッド層110、コンタクト層111、絶縁膜112を順次形成し、その上下に各電極113,114を設けてなる。
【0004】
リッジ型構造の上側のリッジ部103は、上クラッド層110からなり、幅2μmの領域Aに重なる。
【0005】
第1ガイド層108と第2ガイド層109間には、複数の格子を並設した吸収性回折格子116を形成し、この吸収性回折格子116の各突部には、光吸収層117を設けている。
【0006】
この様な半導体レーザ装置101の各部の構成材料、厚さ等は、次の通りである。
Figure 0003885978
この様な構成において、各電極113,114に電流を流すと、活性層106で誘導放出光が発生し、この誘導放出光が導波路115に沿って、つまり矢印Cに沿って導かれ、この半導体レーザ装置の端面から出射される。吸収性回折格子116の各凸部の光吸収層117は、導波路115に沿って周期的に配置されているので、誘導放出光に対して、周期的な吸収並びに損失として作用し、これによって利得が周期的に分布し、単一波長でのレーザ発振が発生する。
【0007】
例えば、吸収性回折格子116(第1ガイド層108)の各凸部は、誘導放出光の導波方向に沿って、一定周期(ピッチ350nm)で形成され、これらの凸部に光吸収層117を配置している。各光吸収層117を構成するGaAsは、活性層106から誘導放出される光のエネルギーよりも小さな禁制帯幅を有している。このため、各光吸収層117は、活性層106で発生される波長780μmの誘導放出光を周期的に吸収する吸収性回折格子116としての役目を果たし、単一波長でのレーザ発振を発生させる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置においては、出力10mWを越える様な高い光出力でレーザ発振を行った場合、吸収性回折格子116の光吸収層117に吸収飽和が生じる。この吸収飽和が生じると、吸収性回折格子116による利得結合が十分に行われないために、単一波長でのレーザ発振特性が劣化すると言う問題が発生する。また、駆動電流に対する光出力の特性が線形でなくなると言う問題も発生する。
【0009】
そこで、この発明は、この様な従来の課題を解決するためのものであって、光出力が高いレベルに至るまで、吸収性回折格子の光吸収層の吸収飽和による影響を抑制して、安定した単一波長のレーザ発振を実現し、かつ駆動電流に対する光出力の特性を線形にし、これらの利点にもかかわらず、新たに別の特性劣化を伴うことがなく、更には構造が簡単で容易に製造可能な利得結合分布帰還型半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置は、誘導放出光を発生する活性層と、この活性層に沿って設けられ、前記誘導放出光を周期的に吸収する吸収性回折格子と、前記誘導放出光を前記吸収性回折格子に沿って導く導波路を備える利得結合分布帰還型半導体レーザ装置において、前記導波路は、幅の広い部分及び幅の狭い部分を有し、この導波路の幅の広い部分の幅は、幅の狭い部分の幅の1.5倍以上であって、該幅の広い部分の長さが前記導波路の長さの20%以上60%以下に設定されていることを特徴とする
【0011】
好ましくは、前記導波路は、前記活性層及び前記吸収性回折格子を含む本体部と、この本体部の前記吸収性回折格子に隣接し、幅の広い部分及び幅の狭い部分を有するリッジ部からなるリッジ型構造を有し、前記リッジ型構造の前記リッジ部の幅の狭い部分によって前記誘導放出光の高次水平横モードがカットオフされる
【0012】
好ましくは、前記導波路の幅の広い部分は、該導波路における光密度が高い領域に設けられている
【0013】
好ましくは、前記導波路の幅の広い部分が該導波路の長手方向の中央部に設けられ、該導波路の幅の狭い部分が該導波路におけるレーザ光の出射端面近傍に設けられている
【0014】
好ましくは、前記導波路の幅の広い部分が該導波路の長手方向の中央部及び該導波路におけるレーザ光の出射端面近傍にそれぞれ設けられており、これらの幅の広い部分の間に、該導波路の幅の狭い部分が設けられている
【0015】
好ましくは、前記導波路の幅の広い部分及び幅の狭い部分が滑らかに繋がっている
【0016】
好ましくは、前記導波路の幅の広い部分の長さLは、次式(1)の関係を満たす。
Δβ・L=m・π …(1)
ただし、m=±1,±2,±3,……
Δβは、導波路の幅の広い部分を伝搬する光の伝搬定数と、狭い部分を伝播 する光の伝搬定数との差である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0024】
図1は、この発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の第1実施形態をその一部分を破断して示している。この第1実施形態の半導体レーザ装置1においては、導波路2は、その幅が一定でなく、図2(a)に示す様に略中央の広い部分2aと、両端の各狭い部分2bを有し、広い部分2aの幅Wwideが2.5μm、各狭い部分2bの幅Wnarrowが1.5μmである。また、この導波路2の長さが300μm、広い部分2aの長さが90μmである。
【0025】
この導波路2は、基板3に形成され、電流狭窄層4によって囲まれる範囲に、下クラッド層5、キャリアバリア層6、活性層7、上クラッド層8、コンタクト層9を順次積層してなる。また、基板4の下面及びコンタクト層9の上面には、それぞれの電極11及び12を形成している。
【0026】
下クラッド層5とキャリアバリア層6間には、複数の格子を並設した吸収性回折格子13を形成しており、これらの格子は、断面形状が三角形の各溝にそれぞれの光吸収層14を設けてなる。
【0027】
この半導体レーザ装置1のレーザ光の出射端面には、誘電体膜コーティング等の特別な処理を施してはいない。
【0028】
この様な半導体レーザ装置1の各部の構成材料、厚さ等は、次の通りである。なお、次の表記において、例えば「Q(y=0.5)」とあるのは、InPに格子整合するGaxIn1-xAsy1-y4元混晶において、y=0.5であることを示す。
【0029】
Figure 0003885978
この様な構成において、各電極11,12に電流を流すと、活性層7で誘導放出光が発生し、この誘導放出光が導波路2に沿って導かれ、この半導体レーザ装置の端面から出射される。
【0030】
吸収性回折格子13の各光吸収層14は、誘導放出光に対して、周期的な吸収並びに損失として作用し、これによって利得が周期的に分布し、単一波長でのレーザ発振が発生する。例えば、吸収性回折格子13の各光吸収層14は、0.23μmのピッチで形成されている。これらの光吸収層14を構成するGaInAsPは、活性層7から誘導放出される波長1.3μmの光のエネルギーよりも小さな禁制帯幅を有している。このため、各光吸収層14は、活性層7で発生される誘導放出光を周期的に吸収する吸収性回折格子13としての役目を果たし、単一波長でのレーザ発振を発生させる。
【0031】
図3(a)のグラフは、この第1実施形態の半導体レーザ装置1の駆動電流に対するレーザ光出力特性を示している。また、図3(b)のグラフには、この第1実施形態と比較するために、従来の半導体レーザ装置(導波路2を一定幅の1.5μmに設定したもの)の駆動電流に対するレーザ光出力特性を示している。
【0032】
図3(a)のグラフから明らかな様に、この第1実施形態の半導体レーザ装置1によれば、駆動電流10mAのときにレーザ光出力が立ち上がり、駆動電流150mAのときにレーザ光出力が50mWに至り、その間、駆動電流−レーザ光出力特性が線形である。また、このレーザ光出力の範囲においては、吸収性回折格子13の各光吸収層14の周期に基づく単一波長でのレーザ発振を得ることができる。
【0033】
これに対して、図3(b)のグラフから明らかな様に、従来の半導体レーザ装置においては、レーザ光出力10mWの近傍で、駆動電流−レーザ光出力特性が折れ曲がる(以下折れ曲がった位置をキンク点と称する)。また、このキンク点よりも低いレーザ光出力のときには、単一波長でのレーザ発振を得ることができるものの、このキンク点を境に、それ以上のレーザ光出力のときには、2つの波長でのレーザ発振(2モード発振)が発生する。
【0034】
この発明者等は、図3(b)の特性におけるキンク点が発生するのは、レーザ光出力の増加に伴って、吸収回折格子13の各光吸収層14によって吸収される光密度が増加し、キンク点を境に、これらの光吸収層14で吸収飽和を起こすためであると考えた。特に、第1実施形態の装置1においては、レーザ出射端面近傍よりも、導波路2の中央部の方が光密度が高くなるので、この中央部で各光吸収層4の吸収飽和が発生し易い。
【0035】
この様な考察を踏まえて、光密度が高くなる導波路2の中央部で、その幅を広げて、この中央部の光密度を低下させたものが第1実施形態の装置1であり、これによって各光吸収層14の吸収飽和を回避することができると言う新たな効果を見出した。
【0036】
一方、導波路2の全体を一定の広い幅に設定し、導波路2の全体で光密度下げた場合にも、各光吸収層14の吸収飽和を回避することができるものの、高次の水平横モードが生じると言う不都合があった。これと比較しても、第1実施形態の装置1の様に、狭い幅の部分2bを導波路2に残して、水平横モードの安定化を図りつつ、光密度の高い部分、つまり導波路2の中央だけ幅を広げて、各光吸収層14の吸収飽和を回避するのが最も好ましいことが分かる。特に、吸収飽和を防ぐ為に設けた幅の広い部分の幅は、横モードを安定させる為に設けた狭い部分の幅に対して1.5倍以上の幅にする必要があった。
【0037】
また、この第1実施形態の装置1においては、レーザ光の出射端面に誘電体膜コーティング等の特別な処理を施しておらず、このために導波路2の略中央で光密度が最も高くなる傾向にある。一方、例えばレーザ光の対向する各出射端面に、反射率の異なるそれぞれのコーティングを施すと、光密度の分布が変化し、この光密度の最も高くなる位置が導波路2の中央からずれる。この場合は、光密度の最も高くなる位置に重なる様に、導波路2の広い幅の部分2aの位置を変更すれば良い。あるいは、レーザ光の対向する各出射端面のうちの一方に低反射率の反射膜を設けると共に、他方に高反射率の反射膜を設けた場合は、高反射率の反射膜の近傍で光密度が高くなるので、高反射率の反射膜を設けた側の出射端近傍で、導波路2の幅を広くする必要がある。
【0038】
また、ここでは、導波路2の長さを300μmに、広い部分2aの長さを90μmに設定している。これは、広い部分2aの長さが導波路2の全体の長さの20パーセント以上でないと、各光吸収層14の吸収飽和を回避する効果が見られず、また60パーセント以下でないと、基本水平横モードでの安定したレーザ発振が得られないためである。
【0039】
更に、第1実施形態の装置1においては、導波路2の幅の広い部分の長さLを次式(1)に基づいて定める。
【0040】
Δβ・L=m・π ……(1)
ただし、m=±1,±2,±3,……
Δβは、導波路の幅の広い部分を伝搬する光の伝搬定数と、狭い部分を伝搬する光の伝搬定数との差である
この装置1では、導波路2の幅の広い部分2aと狭い部分2b間で、等価屈折率に約7.3×10-3の差があるので、これによって幅の広い部分2aと狭い部分2b間で、誘導放出光の位相ずれを生じさせないために、上式(1)が満たされる様に、幅の広い部分2aと狭い部分2bの分布を設定する。これと比較するために、上式(1)の関係から大きく外れた装置を作製してみたが、ブラッグ波長における単一波長でのレーザ発振を得ることができなかった。
【0041】
図4は、この発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の第2実施形態をその一部分を破断して示している。この半導体レーザ装置21は、リッジ型構造を有し、下側の本体部22と上側のリッジ部23からなる。
【0042】
導波路24は、本体部22とリッジ部23に形成され、リッジ部23での該導波路24の幅が一定でなく、図2(b)の様に両端近傍の各広い部分24aと、略中央の狭い部分24bを有し、各広い部分24aの幅Wwideが3.0μm、狭い部分24bの幅Wnarrowが1.0μmであり、各広い部分24aと狭い部分24b間は、滑らかに繋がっている。また、この導波路24の長さが300μm、狭い部分24bの長さが130μmである。
【0043】
この装置21では、基板25に、下クラッド層26、活性層27、キャリアバリア層28、第1ガイド層29、第2ガイド層30、上クラッド層31、コンタクト層32、絶縁膜33を順次形成し、その上下に各電極34,35を設けてなる。
【0044】
リッジ型構造の上側のリッジ部23は、上クラッド層31からなり、幅3μmの領域Aに重なる。
【0045】
第1ガイド層28と第2ガイド層29間には、複数の格子を並設した吸収性回折格子36を形成し、この吸収性回折格子36(第1ガイド層28)の各突部には、光吸収層37を設けている。
【0046】
この半導体レーザ装置1のレーザ光の出射端面には、Al23誘電体膜のコーティングを施し、両端面の反射率を70パーセントにしている。
【0047】
この様な半導体レーザ装置21の各部の構成材料、厚さ等は、次の通りである。
Figure 0003885978
この様な構成において、各電極34,35に電流を流すと、活性層27で誘導放出光が発生し、この誘導放出光が導波路24に沿って導かれ、この半導体レーザ装置の端面から出射される。
【0048】
第1ガイド層29(吸収性格子36)には、一定周期(ピッチ350nm)で、デューティ比20パーセントの矩形状の凹凸を形成し、各凸部に光吸収層37を配置している。各光吸収層37を構成するGaAsは、活性層27から誘導放出される光のエネルギーよりも小さな禁制帯幅を有し、活性層27で発生される波長780μmの誘導放出光を周期的に吸収する吸収性回折格子36としての役目を果たし、単一波長でのレーザ発振を発生させる。
【0049】
この第2実施形態の装置21においては、レーザ出射端面付近で内部の光密度が最も高くなることに基づいて導波路24の端面付近の幅を広くしており、少なくとも駆動電流20mAまでの範囲で、駆動電流−レーザ光出力特性が線形となり、図3(b)のグラフに示す様なキンク点が発生することはない。
【0050】
また、導波路24の略中央の狭い部分24bは、高次水平横モードをカットオフする作用を果たし、この高次水平横モードの発生を抑制する。
【0051】
一方、リッジ部23において、導波路24を一定の広い幅に設定し、この導波路24の全体で光密度下げた場合にも、各光吸収層37の吸収飽和を回避することができるものの、数mW程度のレーザ光出力であっても、高次の水平横モードが生じた。この第2実施形態の装置21の様に、狭い幅の部分24aを導波路24に残して、水平横モードの安定化を図りつつ、導波路24に幅の広い部分を設けて、各光吸収層37の吸収飽和を回避するのが最も好ましい。
【0052】
また、導波路24の各広い部分24aと狭い部分24b間を滑らかに繋げているので、特に効果的に吸収飽和を抑制することができた。これは、各広い部分24aと狭い部分24bとが滑らかに繋げられていないものでは幅の異なる領域の境界部で光散乱が生じ、特に光密度が高くなる為、吸収飽和を誘発しやすかったのに対し、滑らかに繋げられたものでは境界部での光散乱が生じない為に吸収飽和を抑制する為にはより効果的であったものと推測できる。
【0053】
また、導波路24の各広い部分24aを導波路24の両端に設けたので、レーザ光の各出射端面近傍での光密度が低くなり、レーザ光による該各出射端面の損傷が小さくなる。
【0054】
また、この第2実施形態の装置21おいても、導波路24の各広い部分24aと狭い部分24b間で、誘導放出光の位相ずれが生じない様に、上式(1)の関係を満たす。
【0055】
特に、屈折率結合の成分を含まない真性利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の場合には、上式(1)の関係を満たす必要性がより高くなる。一方、屈折率結合と利得結合の両方を含む部分利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の場合には、この発明者等が特願平8−92854号で提案した様に、利得結合と屈折率結合の比率に応じて位相ずれを適宜に設定するのが望ましい。
【0056】
ところで、この第2実施形態の装置21においては、導波路24の狭い部分24bの幅を1.0μmに設定しており、高次水平横モードをカットオフする様に、この幅を非常に狭くしている。
【0057】
これは、リッジ型構造を有する通常の半導体レーザ装置においては、導波路の幅を適宜に広く設定し、高次水平横モードをカットオフしなくても、基本水平横モードのレーザ発振が達成されるの対して、この第2実施形態の装置21においては、導波路24をリッジ型構造とし、リッジ部23と活性層27間に、吸収性回折格子36以外の光吸収部材を持たないので、高次水平横モードが発生し易く、この高次水平横モードを十分にカットオフするためである。この点を図5を参照して更に詳しく述べる。
【0058】
図5(a)は、第2実施形態の装置21の断面を示し、図5(b)は、図5(a)におけるa−a’に沿う光密度分布を示し、図5(c)は、図5(a)におけるb−b’に沿う光密度分布を示している。
【0059】
図5(a),(b),(c)から明らかな様に、リッジ部23に重なる領域Aよりも、両外側の各領域Bの方が、吸収性回折格子36に重なる光密度が小さい。したがって、吸収性回折格子36による実効吸収係数は、領域Bの方が小さく、このために吸収損失の小さな領域Bへと光密度分布が偏ったり、高次横モードが発生し易くなる。
【0060】
第2実施形態の装置21においては、利得結合のために、非常に大きな吸収量を有する光吸収層を活性層の近傍に配置する必要があるので、先の様な高次水平横モードが発生し易いと言う傾向が顕著であり、導波路24の狭い部分24bの幅を十分に狭くして、高次水平横モードを確実にカットオフしなければ、基本水平横モードでのレーザ発振によって、数mW程度のレーザ光出力でさえも得ることができず、長距離光通信等、光源として数十mW以上のレーザ光出力が要求される用途には実用化に到底及ばない。したがって、導波路24の狭い部分24bの幅を十分に狭くする必要がある。
【0061】
なお、この発明は、上記各実施形態に限定されるものでなく、多様に変形することができる。例えば、図2(c)に示す様に導波路41は、3つの幅の広い部分41aと2つの幅の狭い部分41bを有するものでも良い。この場合、導波路41の略中央の幅の広い部分41aによって吸収飽和を抑制すると共に、導波路41の両端の各幅の広い部分41aによってレーザ光の出射端面の破壊を防止することができる。また、上式(1)おけるLは、同じ幅の各部分の長さの和として与えられる。
【0062】
更に、導波路の各幅を2段階に設定するのではなく、3段階以上に設定したり、あるいは図2(d)に示す様に導波路42の両縁を曲線状に形成して、この導波路42の幅を滑らかに変化させても良い。特に、図2(d)の様に、幅の広い領域と狭い領域とが曲率の大きな曲線で滑らかに繋げられたものでは、幅の広い領域と狭い領域との境界部での光散乱を最小に出来る為、吸収飽和を抑制する為には最も効果的であった。
【0063】
また、この発明の半導体レーザ装置を構成する材料、あるいはレーザ光の発振波長は、上記各実施形態に例示されているものに限らず、III族元素としてAl,Ga,In等を含み、かつV族元素としてP,As,N等を含むIII−V族混晶半導体材料、またII族元素としてZn,Mg,Cd等を含み、かつVI族元素としてS,Se,Te等を含むII−VI族混晶半導体材料等の様々な材料からなる利得結合分布帰還型半導体レーザ装置に対しても、この発明を適用することができる。また、結晶成長の方法として種々の公知技術を適用し、この発明の半導体レーザ装置を製造することができる。あるいは、半導体レーザ装置を構成する各層の結晶性を良好なものとするために、基板と下クラッド層間にバッファ層(緩衝層)を用いることも可能である。
【0064】
また、この発明の半導体レーザ装置における導波路の構造や製造方法、並びに吸収性回折格子の構造や製造方法に関しても、様々な公知技術を適用することができる。
【0065】
また、レーザ光の出射端面の処理方法、もしくはコーティング材料とその形成方法に関して、上記各実施形態では言及していないが、様々な公知技術を適用して、レーザ装置の構成を変形することは容易に行い得る。
【0066】
更に、利得結合分布帰還型半導体レーザ装置は、そのレーザ光の出射端面が劈開で形成されていなくても、レーザ発振が可能であることから、光集積回路等におけるモノリシック光源として有望視されており、この発明の半導体レーザ装置を上記各実施形態で示した単体のものとしてだけでなく、光集積回路のレーザ光源として適用することができる。
【0067】
また、この発明は、光ディスク装置、光通信装置、光計測装置等の光源として利用される利得結合分布帰還型半導体レーザ装置について述べたが、この装置と構成が類似し、吸収性回折格子を適用した波長フィルタ等にも適用することができる。
【0068】
【発明の効果】
以上説明した様に、請求項1に記載の装置によれば、導波路を幅の広い部分及び幅の狭い部分から構成していることから、基本水平横モードでの安定なレーザ発振を保ちつつ吸収層の吸収飽和を低減することができる。
【0069】
また、請求項2に記載の装置によれば、リッジ型構造の導波路を適用しても、高次水平横モードが励起され易いと言う問題点を解消しつつ、吸収性回折格子による吸収飽和を緩和することができる。
【0070】
また、請求項3に記載の装置によれば、導波路の幅の広い部分を導波路における光密度が高くなる傾向の領域に設けており、例えば光密度が導波路の略中央で高くなる傾向にあれば、請求項4に記載の様に、導波路の幅の広い部分を該導波路の略中央に設け、この導波路の幅の狭い部分を該導波路におけるレーザ光の出射端面近傍に設ける。これによって、請求項1及び2に基づく作用並びに効果を十分に達成することが可能となる。
【0071】
請求項5に記載の装置によれば、レーザ光の出射端面近傍で、導波路の幅を広くして、この出射端面近傍で、光密度が高くならない様にし、レーザ光による該出射端面の破壊を防止することができる。
【0072】
本発明では、導波路の幅の広い部分の長さを該導波路の全体の長さに対して20パーセント以上60パーセント以下に設定している。これによって、請求項1及び2に基づく作用並びに効果を十分に達成することが可能となる。
【0073】
また、導波路の幅の広い部分及び幅の狭い部分を滑らかに繋げることによって、請求項1及び2に基づく作用並びに効果を十分に達成することが可能となる。
【0074】
また、一定でない幅の導波路を伝搬する際に生じる導波光の位相ずれが無くなるか、または適切な量に設定することにより、一定でない幅の導波路であっても、利得結合による単一波長のレーザ発振特性が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の第1実施形態をその一部分を破断して示す斜視図
【図2】この発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の導波路を上方から見て示す平面図であって、(a)は図1の装置における導波路を示し、(b)は図4の装置における導波路を示し、(c)は導波路の変形例を示し、(d)は導波路の他の変形例を示す
【図3】半導体レーザ装置の駆動電流に対するレーザ光出力特性を示すグラフであって、(a)は図1の半導体レーザ装置の特性を示し、(b)は従来の半導体レーザ装置の特性を示す
【図4】この発明の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置の第2実施形態をその一部分を破断して示す斜視図
【図5】(a)は図4の装置の断面を示し、(b)は(a)におけるa−a’に沿う光密度分布を示し、(c)は(a)におけるb−b’に沿う光密度分布を示す
【図6】従来の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置をその一部分を破断して示す斜視図
【符号の説明】
1,21 半導体レーザ装置
2,24,41,42 導波路
3,25 基板
4 電流狭窄層
5,26 下クラッド層
6,28 キャリアバリア層
7,27 活性層
8,31 上クラッド層
9,32 コンタクト層
11,12,34,35 電極
13,36 吸収性回折格子
14,37 光吸収層
22 本体部
23 リッジ部
29 第1ガイド層
30 第2ガイド層
33 絶縁膜

Claims (7)

  1. 誘導放出光を発生する活性層と、この活性層に沿って設けられ、前記誘導放出光を周期的に吸収する吸収性回折格子と、前記誘導放出光を前記吸収性回折格子に沿って導く導波路を備える利得結合分布帰還型半導体レーザ装置において、
    前記導波路は、幅の広い部分及び幅の狭い部分を有し、
    この導波路の幅の広い部分の幅は、幅の狭い部分の幅の1.5倍以上であって、該幅の広い部分の長さが前記導波路の長さの20%以上60%以下に設定されていることを特徴とする利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  2. 前記導波路は、前記活性層及び前記吸収性回折格子を含む本体部と、この本体部の前記吸収性回折格子に隣接し、幅の広い部分及び幅の狭い部分を有するリッジ部からなるリッジ型構造を有し、
    前記リッジ型構造の前記リッジ部の幅の狭い部分によって前記誘導放出光の高次水平横モードカットオフされる請求項1に記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  3. 前記導波路の幅の広い部分は、導波路における光密度が高い領域設けられている請求項1又は2に記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  4. 前記導波路の幅の広い部分が該導波路の長手方向の中央設けられ導波路の幅の狭い部分該導波路におけるレーザ光の出射端面近傍に設けられている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  5. 前記導波路の幅の広い部分が該導波路の長手方向の中央及び該導波路におけるレーザ光の出射端面近傍にそれぞれ設けられており、これらの幅の広い部分の間に、導波路の幅の狭い部分が設けられている請求項1乃至3のうちのいずれかに記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  6. 前記導波路の幅の広い部分及び幅の狭い部分滑らかに繋がっている請求項1乃至5のいずれかに記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
  7. 前記導波路の幅の広い部分の長さLは、次式(1)の関係を満たす請求項1乃至のうちのいずれかに記載の利得結合分布帰還型半導体レーザ装置。
    Δβ・L=m・π …(1)
    ただし、m=±1,±2,±3,……
    Δβは、導波路の幅の広い部分を伝搬する光の伝搬定数と、狭い部分を伝播 する光の伝搬定数との差である。
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