JP3885737B2 - 演奏評価装置および演奏評価プログラム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏教習において演奏を評価するための演奏評価装置および演奏評価プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電子楽器に演奏状態を評価するシステムを付加することが提案されている。これは、電子楽器本体に模範となる模範演奏データを記憶しておき、この模範演奏データと実際の演奏により供給される実演奏データとを比較する方法がとられている。この比較の方法として、実演奏と模範演奏の間で、両者の音高及び押鍵又は離鍵のタイミングが一致しているか否かが判定される。
このうち音高の比較は、鍵盤等の演奏操作子のうち正しい操作子が操作されたか否かを判定し、タイミングは模範演奏のタイミングに等しいタイミングで操作されたか否かが判定される(特許文献1及び2参照)。
【0003】
【特許文献1】
実開平04− 48553号公報
特開平10−161673号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術においては、音高の評価は、模範演奏データで指定された音高に対応する操作子が操作されたか否かを判定するだけであるが、演奏タイミングの評価は、模範のタイミングと同一タイミングであるか否か、さらには慎重に決められた許容範囲内に入っているか否かを判定しなければならない。このためには、模範演奏タイミングと実演奏タイミングとの差を検出することはもちろん、実演奏のタイミングが模範演奏のタイミングより早い場合を想定して模範演奏データを先に読み出す等の処理を行なわねばならない。
【0005】
このような処理を行なうことは、これ以外に電子楽器本来の処理を行っているCPUには負担が重く、特にテンポの速い曲等を演奏処理しようとすると、CPUが処理しきれず、演奏ずれ等を起こす恐れがあった。
これを防止するためには、より高価でかつ高性能なCPUを用いる必要があり、電子楽器全体のコストを押し上げる結果となっていた。
【0006】
本発明は、演奏評価処理の負担が軽く、高価なCPUを用いなくとも演奏評価を可能とする演奏評価装置および演奏評価プログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の演奏評価装置は、発音すべき楽音の音高、当該楽音を発生すべきタイミング及び消音すべきタイミングを指示する模範演奏データを順次供給する模範演奏データ供給手段、及び指定された音高で楽音の発音を指示するタイミング及び消音を指示するタイミングからなる実演奏データを順次供給する実演奏データ供給手段を有する。
模範演奏データ供給手段は、例えば指定された音高で楽音の発音開始を指示するオンイベント、消音を指示するオフイベント及び各イベント間の時間を示すタイムが一連のデータとして記憶される演奏データ記憶手段と、この演奏データ記憶手段からタイムに基づいたタイミングで対応するイベントを読み出して供給する読出し手段とから構成してもよい。
【0008】
次に、模範演奏データ供給手段より供給される模範演奏データに基づき、発音すべきタイミングから消音すべきタイミングまでの区間を示す模範オン区間を抽出する模範オン区間抽出手段、及び実演奏データ供給手段より供給される実演奏データに基づき、発音を指示するタイミングから消音を指示するタイミングまでの区間を示す実オン区間を抽出する実オン区間抽出手段を有する。
【0009】
そして、模範オン区間抽出手段により抽出された模範オン区間と実オン区間抽出手段により抽出された実オン区間とが重なり合うか否か検出する検出手段、及び検出手段により重なりが検出された場合のみ、模範オン区間に対応する音高と実オン区間に対応する音高とを比較する比較手段を有する。
さらに、比較手段により両音高が同一であると判定された場合は評価点を加点する一方、両音高が同一でないと判定された場合は評価点を減点する演奏評価手段と、演奏評価手段によって加点又は減点された評価点に基づいて、予め定めた所定期間ごとに生成した支援データを所定の発音手段による音声および所定の表示手段による表示の少なくとも一方を介して出力する出力手段とを有する。
【0010】
請求項3に記載の演奏評価プログラムは、コンピュータに、発音すべき楽音の音高、当該楽音を発生すべきタイミング及び消音すべきタイミングを指示する模範演奏データを順次供給するステップと、指定された音高で楽音の発音を指示するタイミング及び消音を指示するタイミングからなる実演奏データを順次供給するステップと、供給される前記模範演奏データに基づき、発音すべきタイミングから消音すべきタイミングまでの区間を示す模範オン区間を抽出するステップと、供給される実演奏データに基づき、発音を指示するタイミングから消音を指示するタイミングまでの区間を示す実オン区間を抽出するステップと、抽出された模範オン区間と実オン区間とが重なり合うか否か検出するステップと、模範オン区間と実オン区間との重なりが検出された場合のみ、模範オン区間に対応する音高と実オン区間に対応する音高とを比較するステップと、両音高が同一であると判定された場合は評価点を加点する一方、両音高が同一でないと判定された場合は評価点を減点するステップと、加点又は減点された評価点に基づいて、予め定めた所定期間ごとに生成した支援データを所定の発音手段による音声および所定の表示手段による表示の少なくとも一方を介して出力するステップと、を実行させる。上記各ステップは、コンピュータとしてのCPUによって実行されるフローチャートの処理機能に相当する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による演奏評価装置の第1の実施形態ないし第5の実施形態について、図を参照して説明する。
図1は、各実施形態における演奏評価装置のシステムの構成を示すブロック図である。この図において、CPU1は、システムバス2を介して、プログラムROM3、ワークRAM4、曲メモリ5、鍵盤6、スイッチ部7、表示部8、および音源9に接続され、これら各部との間で、コマンドおよびデータを授受しながら、この装置全体を制御する。
【0012】
プログラムROM3は、CPU1によって実行される制御プログラム、演奏評価プログラムなどのアプリケーションプログラム、起動時のイニシャライズにおける初期データなどをあらかじめ記憶している。ワークRAM4は、プログラムの実行に必要な各種のレジスタやフラグのエリアを持っている。曲メモリ5は、演奏の評価対象である複数の自動演奏曲の曲データを記憶している。鍵盤6は、演奏操作に応じて鍵番号およびベロシティをCPU1に入力する。スイッチ部7は、曲メモリ5に記憶されている曲を選択するスイッチ、自動演奏を開始又は停止するスタート/ストップスイッチなどで構成されている。
表示部8は、自動演奏曲すなわち評価対象の曲の楽譜や評価結果などを表示する。音源9は、発音回路10に接続され、CPU1の発音指示(ノートオンコマンド)や消音指示(ノートオフコマンド)に応じて、演奏者を支援する声援やその他の音響信号を発生して発音回路10に出力し又は出力を停止する。発音回路10は、D/A変換回路、フィルタ回路、増幅回路、スピーカなどで構成され、音源9から出力される音響信号に応じて楽音を発生する。
なお、図には示していないが、CPU1の演奏指示に応じて点灯してガイド表示を行なうLEDが各鍵ごとに設けられている。
【0013】
次に、第1の実施形態における動作について、図2〜図11に示すCPU1のフローチャート、および図12、図13に示す図を参照して説明する。
図2(1)は、CPU1の演奏評価処理のメインフローチャートであり、図2(2)はタイマインタラプトのフローチャートである。図2(1)において、イニシャライズを行なって(ステップA1)、ワークRAM4の各種のレジスタをクリアし、各種のフラグを「0」にリセットし、タイマインタラプトを禁止する。イニシャライズの後は、スイッチ部7の各スイッチのオンおよびオフを検出するスイッチ処理(ステップA2)、曲メモリ5から選択された評価対象の曲の曲データを読み出して演奏指示を行う自動演奏処理(ステップA3)、鍵盤6を走査して演奏すなわち押鍵および離鍵の鍵変化を検出する鍵盤処理(ステップA4)、評価対象の曲の演奏結果を評価する評価処理(ステップA5)、およびその他の処理(ステップA6)を繰り返し実行する。
図2(2)において、設定した一定時間ごとの周期でタイマインタラプトが入ると、後述するレジスタTIMEの値をデクリメントして(ステップA7)、メインフローに戻る。
【0014】
図3は、メインフローにおけるステップA2のスイッチ処理のフローチャートである。まず、曲選択処理を実行し(ステップB1)、次に、スタート/ストップスイッチ処理を実行する(ステップB2)。次に、その他のスイッチ処理を行い(ステップB3)、メインフローに戻る。
図4は、スイッチ処理におけるステップB1の曲選択スイッチ処理のフローチャートである。スタートフラグSTFが「0(演奏停止)」であるか否かを判別し(ステップC1)、このフラグが「1(自動演奏)」である場合にはこのフローを終了するが、このフラグが「0」である場合には、曲選択のスイッチが操作されたか否かを判別する(ステップC2)。スイッチの操作がない場合にはこのフローを終了するが、スイッチが操作されたときは、そのスイッチによって指定された選択曲の番号をレジスタMにストアする(ステップC3)。そして、このフローを終了する。
【0015】
図5は、図3におけるステップB3のスタート/ストップスイッチ処理のフローチャートである。スタート/ストップスイッチがオンされたか否かを判別し(ステップD1)、オンされない場合にはこのフローを終了するが、オンされたときはフラグSTFの値を反転する(ステップD2)。そして、STFの値が「1」であるか否かを判別する(ステップD3)。STFの値が「1」である場合には自動演奏を開始して、レジスタMの選択曲の番号で指定される曲(M)の先頭アドレスをレジスタADにストアする(ステップD4)。また、曲(M)のテンポをレジスタTEMPOにストアする(ステップD5)。
【0016】
次に、ADにより指定される先頭アドレスの曲データのタイムを読出し(ステップD6)、そのタイムをレジスタTIMEにストアする(ステップD7)。そして、TEMPOに基づくタイマインタラプトの周期を設定する(ステップD8)。次に、曲の進行に応じて曲開始からの音符をカウントするレジスタNを「0」にクリアし(ステップD9)、演奏結果を評価するための所定数の音符をカウントするレジスタTを「0」にクリアする(ステップD10)。次に、タイマインタラプトの禁止を解除する(ステップD11)。したがって、図2(2)のタイマインタラプトに示したように、TEMPOに基づく周期ごとにTIMEの値がデクリメントされる。
ステップD3において、STFが「1」から「0」に反転したときは、自動演奏の停止であるので、タイマインタラプトを禁止して(ステップD12)、鍵盤6のガイド表示をすべて消灯する(ステップD13)。そして、メインフローに戻る。
【0017】
図6ないし図8は、メインフローにおけるステップA3の自動演奏処理のフローチャートである。STFが「1」であるか否かを判別し(ステップE1)、STFが「1」で自動演奏状態である場合には、タイマインタラプトごとにデクリメントされるTIMEの値が「0」に達したか否かを判別する(ステップE2)。STFが「0」である場合、又は、TIMEの値が「0」に達していない場合には、このフローを終了するが、TIMEの値が「0」に達したときは、次の曲データを読み出すために、ADのアドレスを進める(ステップE3)。そして、ADのアドレスによる曲データの読出しを行なう(ステップE4)。
【0018】
次に、読出した曲データがENDすなわち曲の終了でないか否かを判別する(ステップE5)。ENDでない場合には、そのデータがノートオフのイベントであるか否かを判別する(ステップE6)。ノートオフのイベントでない場合には、図7のフローにおいて、データがタイムであるか否かを判別し(ステップE13)、タイムである場合には、そのタイムをTIMEにストアして(ステップE14)、このフローを終了する。
データがタイムでない場合には、ノートオンのイベントであるか否かを判別する(ステップE15)。ノートオンのイベントである場合には、レジスタNOTEにイベントのノートをストアする(ステップE16)。次に、イベントのノートに対応して鍵盤6のガイド表示を点灯する(ステップE17)。また、ガイドフラグGUIDE ONFを「1」にセットする(ステップE18)。そして、押鍵の有無を示すフラグKEY ONFが「1(押鍵)」であるか否かを判別する(ステップE19)。
【0019】
KEY ONFが「1」である場合には、鍵盤6が押鍵されている。このため、NOTEにストアしたイベントのノートと、後述する図9の鍵盤処理においてレジスタKEYにストアされた押鍵のノートとが一致するか否かを判別する(ステップE20)。一致する場合、すなわちGUIDE ONFを「1」にセットしたときには、すでに演奏指示する鍵が押鍵されている場合には、レジスタPOINTの値にαの値を加算する(ステップE21)。一致しない場合、すなわちガイド表示した鍵とは異なる鍵が押鍵されている場合には、POINTの値からαを減算する(ステップE22)。αを加算又は減算した後は、評価フラグHYOKAFを「1」にセットする(ステップE23)。ステップE15において、データがノートオンのイベントでない場合には、その他のイベント処理を行なう(ステップE24)。
ステップE23においてHYOKAFを「1」にセットした後、ステップE19においてKEY ONFが「0」である場合、又は、ステップE24においてその他のイベント処理を行なった後は、図6のステップE3に移行してADを進める。
【0020】
図6のステップE4で読出した曲データが、ステップE6においてノートオフのイベントであると判別した場合には、イベントのノートに対応する鍵のガイド表示を消灯する(ステップE7)。そして、ガイドフラグGUIDE ONFを「0」にリセットし(ステップE8)、評価を行なう所定期間の1つの音符に対する処理が終わったので、Tのノート数をインクリメントする(ステップE9)。この後、図8のフローにおいて、Tのノート数が基準ノート数に達したか否かを判別する(ステップE25)。
【0021】
Tのノート数が基準ノート数に達したときは、表示や音声などでユーザに対して支援するか否かを示すフラグSHIENFを「1(支援)」にセットする(ステップE26)。そして、Tのノート数を「0」にクリアする(ステップE27)。Tをクリアした後、又は、ステップE25においてTのノート数が基準ノート数に達しない場合には、HYOKAFが「0」であるか否かを判別し(ステップE28)、「0」である場合には「1」にセットする(ステップE29)。HYOKAFを「1」にセットした後、又は、HYOKAFが「1」である場合には、曲の最初からのノート数をストアするレジスタNのノート数をインクリメントする(ステップE30)。そして、図6のステップE3に移行してADのアドレスを進める。
【0022】
図6のステップE5において、読み出したデータがENDである場合には、STFを「0」にリセットして(ステップE10)、鍵盤6のガイド表示をすべて消灯する(ステップE11)。また、タイマインタラプトを禁止する(ステップE12)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。
【0023】
図9は、メインフローにおけるステップA4の鍵盤処理のフローチャートである。このフローでは、鍵走査を行なって(ステップF1)、鍵変化があるか否かを判別する(ステップF2)。鍵変化がない場合には、このフローを終了してメインフローに戻る。鍵変化がオフからオンに変化した場合、すなわち押鍵がされた場合には、その押鍵のノートをレジスタKEYにストアする(ステップF3)。そして、KEYのノートを元にノートオンコマンドを作成し(ステップF4)、そのノートオンコマンドを音源9に送出する(ステップF5)。そして、KEY ONFを「1」にセットする(ステップF6)。
【0024】
次に、GUIDE ONFが「1」であるか否かを判別する(ステップE7)。このフラグが「0」である場合にはメインフローに戻るが、このフラグが「1」で押鍵指示の鍵のガイド表示が点灯している場合には、KEYにストアしたノートとNOTEにストアした押鍵指示のノートとが一致するか否かを判別する(ステップF8)。一致した場合、すなわち、押鍵指示された鍵が正確に押鍵された場合には、POINTにαの値を加算する(ステップF9)。一致しなかった場合、すなわち、押鍵指示された鍵とは異なる鍵が押鍵された場合には、POINTからαの値を減算する(ステップF10)。αの値を加算又は減算した後は、HYOKAFを「1」にセットする(ステップF11)。そして、メインフローに戻る。
【0025】
ステップF2において、鍵変化がオンからオフに変化した場合、すなわち、離鍵がされた場合には、その離鍵のノートをKEYにストアする(ステップF12)。そして、KEYのノートを元にノートオンコマンドを作成し(ステップF13)、そのノートオフコマンドを音源9に送出する(ステップF14)。そして、KEY ONFを「0」にリセットする(ステップF15)。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。
【0026】
図10および図11は、メインフローにおけるステップA5の評価処理のフローチャートである。図10のフローにおいて、まず、HYOKAFが「1」であるか否かを判別する(ステップG1)。このフラグが「1」である場合にはこれを「0」にリセットする(ステップG2)。次に、評価すべき所定期間の配列P(n)を指定するポインタnを「0」にセットして(ステップG3)、P(n)にP(n+1)を代入して(ステップG4)、nの値をインクリメントする(ステップG5)。そして、n+1の値が評価ノート数になったか否かを判別する(ステップG6)。評価ノート数になっていない場合には、ステップG4に移行して、ステップG6までの処理を繰り返す。
【0027】
ステップG6において、n+1の値が評価ノート数になった場合には、POINTの値をP(n)にストアする(ステップG7)。POINTの値をP(n)にストアした後は、フラグSHIENFが「1」であるか否かを判別し(ステップG8)、SHIENFが「0」である場合にはこのフローを終了するが、SHIENFが「1」である場合には、これをリセットする(ステップG9)。
【0028】
次に、Nにストアした曲の最初からの音符数が、あらかじめ設定されている2つの音符数であるD1より大きくD2より小さい期間にあるか否かを判別する(ステップG10)。すなわち、曲の最初の音符からD1までの音符、および、D2の音符から曲の終了までの範囲を除く期間(評価対象期間)にNの音符数があるか否かを判別する。Nにストアした音符数がこの期間にない場合には、このフローを終了する。
【0029】
Nにストアした音符数がD1より大きくD2より小さい期間にある場合には、図11のフローにおいて、配列P(n)の評価ノート数を指定するポインタnを「0」にセットする(ステップG11)。次に、評価用レジスタHYOKAを「0」にクリアする(ステップG12)。そして、HYOKAにP(n)の値を加算する(ステップG13)。次に、nの値をインクリメントして(ステップG14)、nの値が評価ノート数になったか否かを判別する(ステップG15)。評価ノート数になっていない場合には、ステップG13に移行して、ステップG15までの処理を繰り返す。
【0030】
nの値が評価ノート数になった場合には、前回の所定期間における評価データをストアするFHYOKAに評価データがあるか否かを判別する(ステップG16)。FHYOKAに評価データがある場合には、今回の所定期間の評価データをストアしたHYOKAの値がFHYOKAの値以下であるか、又は、HYOKAの値がFHYOKAの値より大きいか否かを判別する(ステップG17)。すなわち、今回の所定期間の評価が前回より低い若しくは同じか、又は、前回より高いかを判別する。
【0031】
HYOKAの値(今回の評価)がFHYOKAの値(前回の評価)以下である場合には、例えば「もっとがんばれ」などの第1の声援音声を指定する変数VOICE1(HYOKA)のデータをレジスタLANKにストアする(ステップG18)。一方、HYOKAの値がFHYOKAの値より大きい場合、又は、FHYOKAに評価データがない場合には、例えば「いいぞ、その調子」などの第2の声援音声を指定する変数VOICE2(HYOKA)のデータをレジスタLANKにストアする(ステップG19)。LANKにいずれかの声援音声のデータをストアした後は、LANKのデータに基づく声援の音声データを発生する(ステップG20)。次に、HYOKAの値をFHYOKAにストアして更新し(ステップG21)、次の所定期間の評価に備える。そして、このフローを終了してメインフローに戻る。
【0032】
図12は、評価小節経過数に対する評価レベルの具体例を示す図である。この場合は、演奏対象の曲データにおいて、D1=25、D2=8に設定されている。すなわち、評価支援有効範囲(評価対象期間)は、曲の最初から25まで、および、曲の総音符数から8を減算した音符数の範囲を除く、図12の矢印で示す期間である。また、評価基準ノート数は10個であり、評価基準ノート数の10音符数ごとに逐次演奏状態を評価採点し、合計20音符ごとの評価状況に応じて演奏支援を実施する。すなわち、前回の10個の音符に対する評価と、今回の10個の音符に対する評価とを比較する。
【0033】
したがって、評価ノート数が20,30,40,50,60,70,80,100を経過した時点で、その経過以前の20音符の評価状況が算出される。その評価状況に応じて、表示部8での支援の表示や音源9による音声又は効果音での支援を発音させる。そして、最初の10個の評価および今回の10個の評価が前回の10個より大きい場合には評価がアップし、今回の10個の評価が前回の10個より小さい場合には評価がダウンする。
【0034】
図13は、演奏指示のガイドノートと実際の押鍵のノートとのタイミングの関係を示す図である。例1の場合には、ガイドノートC3がオンからオフまでの期間(ガイド表示が点灯している期間)にC3の押鍵がなされた場合であり、ポイントアップとして評価される。これは図9のフローにおけるステップF9の処理(POINTにαを加算)に対応する。
例2の場合には、ノートC3の押鍵がなされている期間に、ガイドノートC3がオン(ガイド表示が点灯)になった場合であり、ポイントアップとして評価される。これは、図7のフローにおけるステップE21の処理(POINTにαを加算)に対応する。
例3の場合には、ガイドノートC3がオンからオフまでの期間にE3の押鍵がなされた場合である。すなわち、ガイド表示の鍵とは異なる鍵が押鍵された場合であるので、ポイントダウンとして評価される。これは図9のフローにおけるステップF10の処理(POINTからαを減算)に対応する。
【0035】
以上のように、この第1の実施形態によれば、CPU1は、曲メモリ5に記憶された模範演奏データである曲データを読出し、この読み出された曲データから模範オン区間を抽出すると共に、鍵盤6により供給される実演奏データから実オン区間を抽出する。そしてこの両オン区間の重なり及び対応する音高が同一であることが検出されたなら演奏評価の点数を加点すると共に、両オン区間の重なりは検出されたが、対応する音高が異なる場合は減点するようにしている。したがって、従来のように模範演奏と実演奏との操作タイミングの差異の検出、あるいは模範演奏データの先読み等の処理を行う必要がなく、CPU1の処理負担は軽くなる。しかも、演奏者による演奏が行われたときのみ評価点数の加点あるいは減点が行われるため、より演奏者の演奏が反映した評価がなされる。
【0036】
なお、上記各実施形態においては、図1のプログラムROM3に予め記憶されている演奏評価プログラムをCPU1によって実行する演奏評価装置について説明したが、FD(フレキシブルディスク)、CD−ROMなどの外部記憶媒体に記憶されている演奏評価プログラムや、インターネットなどの通信網を介してダウンロードされる演奏評価プログラムを、パソコンなどの汎用の情報処理装置にインストールして実行することも可能である。この場合には、プログラムの発明を構成する。
【0037】
すなわち、本発明による演奏評価プログラムは、発音すべき楽音の音高、当該楽音を発生すべきタイミング及び消音すべきタイミングを指示する模範演奏データを順次供給するステップと、指定された音高で楽音の発音を指示するタイミング及び消音を指示するタイミングからなる実演奏データを順次供給するステップと、供給される模範演奏データに基づき、発音すべきタイミングから消音すべきタイミングまでの区間を示す模範オン区間を抽出するステップと、供給される実演奏データに基づき、発音を指示するタイミングから消音を指示するタイミングまでの区間を示す実オン区間を抽出するステップと、抽出された模範オン区間と実オン区間とが重なり合うか否か検出するステップと、模範オン区間と実オン区間との重なりが検出された場合のみ、模範オン区間に対応する音高と実オン区間に対応する音高を比較するステップと、両音高が同一であると判定された場合は評価点を加点する一方、両音高が同一でないと判定された場合は評価点を減点するステップと、を実行する。
【0038】
【発明の効果】
本発明によれば、供給される模範演奏データから模範オン区間を抽出すると共に、供給される実演奏データから実オン区間を抽出する。そしてこの両オン区間の重なり及び対応する音高が同一であることが検出されたなら演奏評価の点数を加点すると共に、両オン区間の重なりは検出されたが、対応する音高が異なる場合は減点するようにしている。したがって、従来のように模範演奏と実演奏との操作タイミングの差異の検出、あるいは模範演奏データの先読み等の処理を行う必要がなく、演奏評価のためのCPUの処理負担を軽くすることができる。しかも、演奏者による演奏が行われたときのみ評価点数の加点あるいは減点が行われるため、より演奏者の演奏が反映した評価がなされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態における演奏評価装置の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態におけるCPUの演奏評価処理のメインフローチャート。
【図3】第1の実施形態におけるスイッチ処理のフローチャート。
【図4】第1の実施形態における曲選択スイッチ処理のフローチャート。
【図5】第1の実施形態におけるスタート/ストップスイッチ処理のフローチャート。
【図6】第1の実施形態における自動演奏処理のフローチャート。
【図7】図6に続く自動演奏処理のフローチャート。
【図8】図6に続く自動演奏処理のフローチャート。
【図9】第1の実施形態における鍵盤処理のフローチャート。
【図10】第1の実施形態における評価処理のフローチャート。
【図11】図10に続く評価処理のフローチャート。
【図12】第1の実施形態における評価小節経過数に対する評価レベルの具体例を示す図。
【図13】第1の実施形態におけるガイドノートおよび押鍵ノートのタイミング図。
【符号の説明】
1 CPU
3 プログラムROM
4 ワークRAM
5 曲メモリ
6 鍵盤
7 スイッチ部
8 表示部
9 音源
10 発音回路

Claims (3)

  1. 発音すべき楽音の音高、当該楽音を発生すべきタイミング及び消音すべきタイミングを指示する模範演奏データを順次供給する模範演奏データ供給手段と、
    指定された音高で楽音の発音を指示するタイミング及び消音を指示するタイミングからなる実演奏データを順次供給する実演奏データ供給手段と、
    前記模範演奏データ供給手段より供給される模範演奏データに基づき、発音すべきタイミングから消音すべきタイミングまでの区間を示す模範オン区間を抽出する模範オン区間抽出手段と、
    前記実演奏データ供給手段より供給される実演奏データに基づき、発音を指示するタイミングから消音を指示するタイミングまでの区間を示す実オン区間を抽出する実オン区間抽出手段と、
    前記模範オン区間抽出手段により抽出された模範オン区間と前記実オン区間抽出手段により抽出された実オン区間とが重なり合うか否か検出する検出手段と、
    前記検出手段により重なりが検出された場合のみ、前記模範オン区間に対応する音高と実オン区間に対応する音高とを比較する比較手段と、
    前記比較手段により両音高が同一であると判定された場合は評価点を加点する一方、両音高が同一でないと判定された場合は評価点を減点する演奏評価手段と、
    前記演奏評価手段によって加点又は減点された評価点に基づいて、予め定めた所定期間ごとに生成した支援データを所定の発音手段による音声および所定の表示手段による表示の少なくとも一方を介して出力する出力手段と、
    を備えたことを特徴とする演奏評価装置。
  2. 前記模範演奏データ供給手段は、指定された音高で楽音の発音開始を指示するオンイベント、消音を指示するオフイベント及び各イベント間の時間を示すタイムが一連のデータとして記憶される演奏データ記憶手段と、この演奏データ記憶手段から前記タイムに基づいたタイミングで対応するイベントを読み出して供給する読出し手段と、を有することを特徴とする請求項1記載の演奏評価装置。
  3. コンピュータに、
    発音すべき楽音の音高、当該楽音を発生すべきタイミング及び消音すべきタイミングを指示する模範演奏データを順次供給するステップと、指定された音高で楽音の発音を指示するタイミング及び消音を指示するタイミングからなる実演奏データを順次供給するステップと、
    供給される前記模範演奏データに基づき、発音すべきタイミングから消音すべきタイミングまでの区間を示す模範オン区間を抽出するステップと、
    供給される前記実演奏データに基づき、発音を指示するタイミングから消音を指示するタイミングまでの区間を示す実オン区間を抽出するステップと、
    抽出された前記模範オン区間と実オン区間とが重なり合うか否か検出するステップと、
    前記模範オン区間と実オン区間との重なりが検出された場合のみ、前記模範オン区間に対応する音高と実オン区間に対応する音高とを比較するステップと、
    前記両音高が同一であると判定された場合は評価点を加点する一方、両音高が同一でないと判定された場合は評価点を減点するステップと、
    加点又は減点された評価点に基づいて、予め定めた所定期間ごとに生成した支援データを所定の発音手段による音声および所定の表示手段による表示の少なくとも一方を介して出力するステップと、
    を実行させることを特徴とする演奏評価プログラム。
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