JP3885671B2 - 平面導波路型回折格子素子の製造方法 - Google Patents

平面導波路型回折格子素子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板上に形成された平面導波路型の光導波路を有する光回路において、所定の領域内のコア層に回折格子を形成する平面導波路型回折格子素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光導波路型の回折格子素子は、光が伝搬される光導波路に対して、回折格子として機能する屈折率変調パターンを光導波路の長手方向に沿って形成した光素子である。このような回折格子素子としては、光導波路として光ファイバを用いた光ファイバグレーティングや、基板上に形成された平面導波路型の光導波路を用いた平面導波路型グレーティングなどがある。
【0003】
回折格子素子の作製工程においては、例えば、石英ガラスにGeO2が添加された光導波路のコアに対し、所定のパターンによって強度変調された紫外光を照射する。このとき、紫外光が照射された領域内において、コアの各部位での屈折率が紫外光の照射光量等に応じて変化する。これにより、回折格子状の屈折率変調パターンが光導波路のコア内に形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
平面導波路型の光導波路を用いた回折格子素子、及びその製造方法として、例えば、特許第3019809号公報に記載されたものがある。ここで、平面導波路型光回路を用いた回折格子素子では、その作製時において、光導波路のコアへと照射される紫外光の一部がSi(シリコン)基板で反射され、この反射光によって、光導波路のコア内に形成される屈折率変調パターンのコントラストが低下する場合がある。
【0005】
これに対して、上記文献に記載された平面導波路型回折格子素子においては、基板と、コア層及びクラッド層からなる光導波路層との間に、高濃度でGeO2が添加されたGe添加石英ガラス層などの光吸収層を設けている。これにより、回折格子素子の作製時において、基板による紫外光の反射が抑制されるので、屈折率変調パターンでのコントラストが向上される。
【0006】
しかしながら、このような構成を用いた場合でも、基板による紫外光の反射はある程度発生し、屈折率変調パターンのコントラストの低下、及びそれによる回折格子素子の光学特性の劣化の原因となる。また、高濃度Ge添加石英ガラス層を形成する工程が必要となるため、回折格子素子が高コスト化する。さらに、紫外光を吸収するために充分な濃度でGeO2を添加した場合、紫外光を照射したときにGe添加石英ガラス層内に気泡が発生するという問題もある。
【0007】
また、平面導波路型回折格子素子の作製時において、紫外光の基板による反射光が発生すると、上述した屈折率変調パターンのコントラストの低下に加えて、設定されている反射波長帯域外での光の反射率が充分に下がりきらない、という問題がある。
【0008】
すなわち、紫外光の基板による反射光が発生した場合、平面導波路型光回路での光導波路のコアに対して照射されている紫外光と、その基板による反射光との干渉が発生する。そして、この紫外光と反射光との干渉パターンによって、光導波路のコア内に余分な屈折率変調が生成される。このとき、屈折率変調パターンによる回折格子において設定されている反射波長帯域に対して、その反射波長帯域外の波長範囲で光の反射率が余分に上がってしまうこととなる。
【0009】
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものであり、平面導波路型光回路を用いた回折格子素子の作製時において、光導波路のコア内に良好な屈折率変調パターンを形成することが可能な平面導波路型回折格子素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために、本発明による平面導波路型回折格子素子の製造方法は、(1)基板、基板の表面上に所定の導波路パターンによって形成されたコア層、及び基板とコア層とを覆うように形成されたクラッド層を有する平面導波路型光回路を準備する光回路準備工程と、(2)平面導波路型光回路に対して表面側から紫外光を照射し、所定の格子形成領域内のコア層に所定の屈折率変調パターンによって回折格子を形成して、平面導波路型回折格子素子を作成する格子形成工程とを備え、(3)格子形成工程において、紫外光の基板による反射光が格子形成領域外を通過するように設定された条件で、平面導波路型光回路に対して紫外光を照射し、格子形成工程において、平面導波路型光回路に対して位相格子マスクを介して紫外光を照射するとともに、コア層に平行な方向での紫外光の照射幅w、位相格子マスクの下面から基板の表面までの距離d、及び位相格子マスクでの紫外光の回折角度θが、条件
w≦2d・tanθ
を満たすように紫外光を照射することを特徴とする。
【0011】
上記した平面導波路型回折格子素子の製造方法においては、光導波路のコアへと照射される紫外光の一部がSi基板などの基板で反射された反射光について、反射光が格子形成領域の外側を通過するように、光回路に対する紫外光の照射条件を設定している。このとき、回折格子素子の作製時において、紫外光の基板による反射光が発生した場合でも、照射されている紫外光と、その基板による反射光との干渉が発生しないこととなる。
【0012】
これにより、紫外光と反射光との干渉パターンに起因する光導波路のコア内での余分な屈折率変調の生成、及び屈折率変調パターンのコントラストの低下などが抑制される。したがって、光導波路のコア内に良好な屈折率変調パターンを形成して、回折格子素子の光学特性を向上することが可能となる。
【0013】
また、このような方法では、基板と、コア層及びクラッド層からなる光導波路層との間に、高濃度Ge添加石英ガラス層などの光吸収層を設けることが不要となる。これにより、回折格子素子の製造工程が簡単化され、素子の低コスト化が可能となる。また、石英ガラス層内での気泡の発生等が防止される。
【0014】
具体的な紫外光の照射条件としては、格子形成工程において、平面導波路型光回路に対して位相格子マスクを介して紫外光を照射するとともに、コア層に平行な方向での紫外光の照射幅w、位相格子マスクの下面から基板の表面までの距離d、及び位相格子マスクでの紫外光の回折角度θが、条件
【0015】
w≦2d・tanθ
を満たすように紫外光を照射することを特徴とする。
【0016】
このような方法によれば、光導波路であるコア層に平行な方向について、紫外光の基板による反射光が、紫外光が照射されている格子形成領域の外側を通過する条件が実現される。
【0017】
また、格子形成工程において、平面導波路型光回路に対して、基板の表面に直交する垂直軸からみてコア層に垂直な面内で傾いた照射軸によって紫外光を照射することを特徴とする。あるいは、光回路準備工程において、基板の表面に平行な面からみてコア層に垂直な面内で傾いた面が表面となるように形成されたクラッド層を有する平面導波路型光回路を準備することを特徴とする。
【0018】
このような方法によれば、光導波路であるコア層に垂直な方向について、紫外光の基板による反射光が、紫外光が照射されている格子形成領域の外側を通過する条件が実現される。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面とともに本発明による平面導波路型回折格子素子の製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
まず、本発明による平面導波路型回折格子素子の製造方法の概要について、回折格子を形成する対象となる平面導波路型光回路の製造方法を含めて説明する。
【0021】
図1は、平面導波路型回折格子素子の製造方法を概略的に示す工程図である。ここでは、基板上に直線状の導波路パターンによって形成された単一の光導波路を有する平面導波路型光回路を用いて回折格子素子を作製する場合について説明する。なお、図1(a)〜(c)においては光導波路の光軸に垂直な断面図によって、また、図1(d)においては光導波路の光軸に平行な断面図によって、各工程を図示している。
【0022】
図1(a)〜(d)に示す平面導波路型回折格子素子の製造方法では、まず、光導波路を形成するためのSi基板10を用意する。そして、この基板10の表面11上に、CVD法によって、石英ガラスからなる厚さ40μmのアンダークラッド層21を形成し、さらに、同じくCVD法によって、所定の添加量でGeO2が添加されたGe添加石英ガラスからなる厚さ6μmの光導波層15を形成する(図1(a))。
【0023】
次に、フォトリソグラフィ及びRIEによって、アンダークラッド層21上の光導波層15を、直線状の導波路パターンによってパターニング加工する。これにより、幅6μmで光軸に沿って直線状に伸びるコア層20が形成される(図1(b))。このとき、コア層20の断面形状は、6μm×6μmの略矩形状となっている。
【0024】
続いて、基板10上のアンダークラッド層21、及びパターニングされたコア層20を覆うように、FHD法によって、B/P添加石英ガラスからなる厚さ25μmのオーバークラッド層22を形成する(図1(c))。以上により、基板10、コア層20、及びクラッド層21、22を有する平面導波路型光回路が準備される(光回路準備工程)。
【0025】
上記した構成の光回路において、アンダークラッド層21及びオーバークラッド層22は、いずれもコア層20よりも低い屈折率となっている。コア層20及びクラッド層21、22からなる光導波路層でのこのような屈折率分布構造により、コア層20は、光が伝搬される光導波路として機能する。また、この平面導波路型光回路が、回折格子を形成する対象の光回路となる。なお、このような平面導波路型光回路としては、あらかじめ作成されて準備されている光回路を用いても良い。
【0026】
続いて、準備された平面導波路型光回路に対して、所定条件で高圧水素処理を行った後、平面導波路型光回路への回折格子の形成を行う(図1(d)、格子形成工程)。回折格子の形成は、基板10、コア層20、及びクラッド層21、22からなる平面導波路型光回路に対して、その表面側から紫外レーザ光50を照射することによって行う。
【0027】
紫外レーザ光50は、位相格子マスク30を介して、所定のパターンによって強度変調された紫外光51として平面導波路型光回路に照射される。このとき、紫外光51が照射されている領域である格子形成領域内において、石英ガラスにGeO2が添加されたコア層20の各部位で、紫外光51の照射パターンに応じて屈折率が変化する。これにより、格子形成領域内にある光導波路のコア層20内に所定の屈折率変調パターンが形成されて、光導波路上に屈折率変調パターンによる回折格子25を有する平面導波路型回折格子素子が作成される。
【0028】
ここで、回折格子素子の作製時において、平面導波路型光回路での光導波路のコア層20に対し、上記のように屈折率変調パターンを形成するための紫外光を照射すると、紫外光の基板10による反射光が発生する場合がある。これに対して、図1に示した製造方法においては、紫外光の基板10による反射光が格子形成領域外を通過するように設定された照射条件によって、光回路に対する紫外光の照射を行っている。
【0029】
上述した平面導波路型回折格子素子の製造方法の効果について説明する。
【0030】
図1に示した平面導波路型回折格子素子の製造方法では、基板10上に形成されたコア層20からなる光導波路に対して紫外光を照射して、コア層20内に所定の屈折率変調パターンからなる回折格子25を形成する。そして、紫外光の一部がSi基板などの基板10で反射された反射光について、コア層20に対して紫外光が照射されて回折格子25の形成が行われている格子形成領域の外側を反射光が通過するように、光回路に対する紫外光の照射条件を設定している。
【0031】
このとき、回折格子素子の作製時において、紫外光の基板10による反射光が発生した場合でも、照射されている紫外光と、その基板10による反射光との干渉が発生しないこととなる。これにより、紫外光と反射光との干渉パターンに起因する光導波路のコア層20内での余分な屈折率変調の生成、及び回折格子25となる屈折率変調パターンのコントラストの低下などが抑制されるので、コア層20内に良好な屈折率変調パターンを形成することができる。したがって、回折格子25による良好な光の反射特性が実現され、また、回折格子25において設定されている反射波長帯域に対して、その反射波長帯域外の波長範囲での余分な光の反射率が低減される。
【0032】
また、この方法では、平面導波路型光回路に対する紫外光の照射条件を調整することによって、紫外光の基板10による反射光の影響を抑制している。このため、基板と、コア層及びクラッド層からなる光導波路層との間に、高濃度Ge添加石英ガラス層からなる光吸収層(特許第3019809号公報参照)などの余分な層を設けることが不要となる。これにより、回折格子素子の製造工程が簡単化され、素子の低コスト化が可能となる。
【0033】
また、高濃度Ge添加石英ガラス層を設けない構成の平面導波路型光回路を用いることが可能な上記の方法では、光回路の石英ガラス層内での気泡の発生等を防止することができる。すなわち、基板と光導波路層との間に高濃度Ge添加石英ガラス層を設けた構成の平面導波路型光回路を用いる回折格子素子の製造方法では、紫外光を吸収するために充分な濃度でGeO2を添加すると、紫外光を照射したときにGe添加石英ガラス層内に気泡が発生する場合がある。
【0034】
一般に、高濃度でGeO2が添加された石英ガラス層内には、酸素欠損による欠陥が含まれやすい。このため、このような石英ガラス層では、紫外レーザ光を照射したときに、照射エネルギーによって層内にGeO結晶が析出しやすい。また、このGeO結晶は気化温度が低いため、紫外レーザ光を照射することによって発生する熱で気化してしまい、石英ガラス層内に気泡が発生する原因となる。
【0035】
また、特許第3019809号公報には、GeO2以外の光吸収物質として、TiN、TiO2、Si34を用いることが記載されている。しかしながら、これらの石英ガラス層など、Siと線膨張係数が大きく異なる膜を基板上に厚く堆積する場合、膜剥がれなどが発生しやすくなる。
【0036】
また、上記文献には、基板と光導波路層との間に光吸収層を形成する構成に加えて、Si基板の表面を荒研磨して光散乱層とする構成についても記載されている。この場合、CVD法では、荒研磨された基板の表面上に堆積する膜の膜面も粗くなってしまう。また、FHD法では、粗い面を起点に結晶が生じたりしやすくなる。したがって、いずれの場合も、基板上に形成された光導波路における光の伝送損失が大きくなるという問題がある。
【0037】
これに対して、平面導波路型光回路に対する紫外光の照射条件によって紫外光の基板による反射光の影響を低減する上述した製造方法によれば、基板と光導波路層との間に、高濃度Ge添加石英ガラス層などの光吸収層や、基板表面を荒研磨した光散乱層などを設けることが不要となる。これにより、石英ガラス層内での気泡の発生や、基板上の光導波路における光の伝送損失の増大などが防止される。
【0038】
図1に示した平面導波路型回折格子素子の製造方法について、具体的な実施形態とともにさらに説明する。なお、以下に示す各実施形態においては、回折格子素子の作成に用いられる平面導波路型光回路の構成及びその製造方法等については、図1に関して上述したものと同様である。
【0039】
図2は、平面導波路型回折格子素子の製造方法の第1実施形態について示す図である。なお、図2においては、光導波路の光軸に平行な断面図によって、光回路に紫外光を照射して回折格子を形成する格子形成工程を図示している。
【0040】
本実施形態においては、基板10、コア層20、及びクラッド層21、22からなる平面導波路型光回路に対し、位相格子マスク30を介して紫外光50を照射して、コア層20内に回折格子25を形成する。そして、紫外光50の照射について、光導波路であるコア層20の光軸に平行な方向での紫外光50の照射幅をw、位相格子マスク30の下面31から基板10の表面11までの距離をd、位相格子マスク30での紫外光50の回折角度をθとしたときに、以下の条件
【0041】
w≦2d・tanθ
が満たされる照射条件によって紫外光50を照射する。
【0042】
このような方法によれば、光導波路であるコア層20に平行な方向について、紫外光50の基板10による反射光が、紫外光50が照射されている格子形成領域の外側を通過する条件が実現される。
【0043】
すなわち、紫外光50の照射幅wの左端に対応する位相格子マスク30の下面31での点Aを通過した光は、図2中において紫外光51a(実線)として示すように、点Aから右側に向けて回折角度θで平面導波路型光回路に照射される。そして、点Aからみて距離d・tanθだけ右側の位置で基板表面11に到達する。また、紫外光50の照射幅wの右端に対応する位相格子マスク30の下面31での点Bを通過した光は、紫外光51bとして示すように、点Bから左側に向けて、回折角度θで光回路に照射される。そして、点Bからみて距離d・tanθだけ左側の位置で基板表面11に到達する。
【0044】
これに対して、上述した条件
【0045】
w≦2d・tanθ
を満たすように、マスク下面31から基板表面11までの距離dを設定する。このとき、位相格子マスク30を通過して光回路へと照射される点A、Bからの紫外光51a、51bは、基板表面11に到達する前に互いに交差する。そして、左端の点Aからの紫外光51aが基板表面11で反射された反射光52a(点線)は、右端の点Bからの紫外光51bよりもさらに右側を通過する。また、右端の点Bからの紫外光51bが基板表面11で反射された反射光52bは、左端の点Aからの紫外光51aよりもさらに左側を通過する。
【0046】
以上より、本実施形態では、コア層20に平行な方向について、紫外光の基板10による反射光が格子形成領域の外側を通過することとなり、格子形成領域内での紫外光と反射光との干渉の発生が防止される。したがって、回折格子25において設定されている反射波長帯域に対して、その反射波長帯域外の波長範囲での光の余分な反射率が低減されて、良好な光学特性を有する平面導波路型回折格子素子が得られる。
【0047】
このような紫外光の照射条件の具体的な例としては、紫外光の照射ビーム幅をw=200μm、マスク下面31から基板表面11までの距離をd=450μmとする構成がある。また、ブラッグ波長が1.55μm波長帯域となる回折格子25を形成するための位相格子マスク30では、回折角度はθ=13°程度である。
【0048】
また、紫外光の照射幅wに対応するコア層20での格子形成領域の光軸方向の幅に対して、回折格子25を形成しようとする領域の幅が大きい場合には、上記した照射条件を満たしつつ、平面導波路型光回路へと照射する紫外レーザ光50の照射位置をコア層20に平行な方向に順次移動していけば良い。
【0049】
また、図2に示した構成の平面導波路型光回路に対して、良好な屈折率変調パターンを有する回折格子25をコア層20内に効率的に形成するためには、照射される紫外光のコヒーレンス性が高い位置、具体的には位相格子マスク30に近い位置にコア層20を位置させることが好ましい。また、アンダークラッド層21の厚さを充分に厚くすることが好ましい。
【0050】
図3は、アンダークラッド層の厚さを150μmと厚く設定した場合での、回折格子の光学特性の波長依存性を示すグラフである。このグラフにおいて、横軸は、光導波路であるコア層20を伝搬される光の波長(nm)を示している。また、縦軸は、コア層20内に形成された回折格子25での光の透過率(dB)、及び反射率(dB)を示している。
【0051】
図3のグラフより、回折格子25において設定されている反射波長帯域外での余分な反射率が小さく、良好な反射特性を有する平面導波路型回折格子素子が得られていることがわかる。
【0052】
図4は、平面導波路型回折格子素子の製造方法の第2実施形態について示す図である。なお、図4においては、光導波路の光軸に垂直な断面図によって、光回路に紫外光を照射して回折格子を形成する格子形成工程を図示している。
【0053】
本実施形態においては、基板10、コア層20、及びクラッド層21、22からなる平面導波路型光回路に対し、位相格子マスク30を介して紫外光50を照射して、コア層20内に回折格子25を形成する。そして、紫外光50の照射について、基板10の表面11に直交する垂直軸からみて、コア層20の光軸に垂直な面内で所定の傾き角度α(α>0°)で傾いた軸を照射軸とする照射条件によって紫外光50を照射する。
【0054】
このような方法によれば、図4に示すように、位相格子マスク30を通過した紫外光51が格子形成領域内のコア層20に照射されるとともに、紫外光51の基板10による反射光52が、コア層20から外れた位置を通過する。これにより、光導波路であるコア層20に垂直な方向について、紫外光50の基板10による反射光が、紫外光50が照射されている格子形成領域の外側を通過する条件が実現される。
【0055】
図5は、平面導波路型回折格子素子の製造方法の第3実施形態について示す図である。なお、図5においては、光導波路の光軸に垂直な断面図によって、光回路に紫外光を照射して回折格子を形成する格子形成工程を図示している。
【0056】
本実施形態においては、基板10、コア層20、及びクラッド層21、22からなる平面導波路型光回路に対し、位相格子マスク30を介して紫外光50を照射して、コア層20内に回折格子25を形成する。そして、紫外光50の照射について、基板10の表面11に平行な面からみて、コア層20の光軸に垂直な面内で所定の傾き角度β(β>0°)で傾いた面が表面23となるように形成されたクラッド層22を有する平面導波路型光回路を用いている。
【0057】
このような方法によれば、図5に示すように、位相格子マスク30を通過してクラッド表面23で屈折された紫外光51が格子形成領域内のコア層20に照射されるとともに、紫外光51の基板10による反射光52が、コア層20から外れた位置を通過する。これにより、図4に示した場合と同様に、光導波路であるコア層20に垂直な方向について、紫外光50の基板10による反射光が、紫外光50が照射されている格子形成領域の外側を通過する条件が実現される。
【0058】
本発明による平面導波路型回折格子素子の製造方法は、上述した実施形態に限られるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、回折格子を形成する対象となる平面導波路型光回路の構成については、上述した光回路に限らず、光導波路の導波路パターン、基板の種類、コア層及びクラッド層の厚さ、幅や各層の材料など、個々の回折格子素子において適宜設定して良い。
【0059】
【発明の効果】
本発明による平面導波路型回折格子素子の製造方法は、以上詳細に説明したように、次のような効果を得る。すなわち、平面導波路型光回路での光導波路のコアへと照射される紫外光の基板による反射光について、反射光が格子形成領域の外側を通過するように光回路に対する紫外光の照射条件を設定する回折格子素子の製造方法によれば、紫外光と反射光との干渉パターンに起因する光導波路のコア内での余分な屈折率変調の生成、及び屈折率変調パターンのコントラストの低下などが抑制される。したがって、光導波路のコア内に良好な屈折率変調パターンを形成して、回折格子素子の光学特性を向上することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】平面導波路型回折格子素子の製造方法を概略的に示す工程図である。
【図2】平面導波路型回折格子素子の製造方法の第1実施形態を示す光軸に平行な断面図である。
【図3】回折格子の光学特性の波長依存性を示すグラフである。
【図4】平面導波路型回折格子素子の製造方法の第2実施形態を示す光軸に垂直な断面図である。
【図5】平面導波路型回折格子素子の製造方法の第3実施形態を示す光軸に垂直な断面図である。
【符号の説明】
10…基板、11…基板表面、15…光導波層、20…コア層、21…アンダークラッド層、22…オーバークラッド層、23…クラッド表面、25…回折格子、30…位相格子マスク、31…マスク下面、50、51、52…紫外光。

Claims (3)

  1. 基板、前記基板の表面上に所定の導波路パターンによって形成されたコア層、及び前記基板と前記コア層とを覆うように形成されたクラッド層を有する平面導波路型光回路を準備する光回路準備工程と、
    前記平面導波路型光回路に対して表面側から紫外光を照射し、所定の格子形成領域内の前記コア層に所定の屈折率変調パターンによって回折格子を形成して、平面導波路型回折格子素子を作成する格子形成工程とを備え、
    前記格子形成工程において、前記紫外光の前記基板による反射光が前記格子形成領域外を通過するように設定された条件で、前記平面導波路型光回路に対して前記紫外光を照射し、
    前記格子形成工程において、前記平面導波路型光回路に対して位相格子マスクを介して前記紫外光を照射するとともに、前記コア層に平行な方向での前記紫外光の照射幅w、前記位相格子マスクの下面から前記基板の表面までの距離d、及び前記位相格子マスクでの前記紫外光の回折角度θが、条件
    w≦2d・tanθ
    を満たすように前記紫外光を照射することを特徴とする平面導波路型回折格子素子の製造方法。
  2. 前記格子形成工程において、前記平面導波路型光回路に対して、前記基板の表面に直交する垂直軸からみて前記コア層に垂直な面内で傾いた照射軸によって前記紫外光を照射することを特徴とする請求項1記載の平面導波路型回折格子素子の製造方法。
  3. 前記光回路準備工程において、前記基板の表面に平行な面からみて前記コア層に垂直な面内で傾いた面が表面となるように形成された前記クラッド層を有する前記平面導波路型光回路を準備することを特徴とする請求項1記載の平面導波路型回折格子素子の製造方法。
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