JP3885151B2 - 風力発電用風車 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は風力の方向にほぼ直角な回転軸を持つ風力発電用風車にして、特有の回転翼フレーム構造を持ち、このフレーム構造に付加した機構により、風速の変化に応じて利用動力の調節を行う風車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明が属する「風力の方向にほぼ直角な回転軸を持つ風車」(以後鉛直回転軸式風車と称する)は全ての風向に感応する故、風向追尾機構を要さない。この点で風向追尾機構が必須の「ほぼ風の方向に回転軸を持つ風車」(以後水平回転軸式風車と称す)に比して機構が単純である利点を有す。然るに風力発電用風車としては、水平回転軸式風車が多数を占めかつ大型のものまで実用に供されている。鉛直回転軸式風車は、ダリウス型・ジャイロミル型と呼ばれる形式等の物が知られているが、実用に供されているものは相対的に少数に限定されている。その理由には、以下の要素が挙げられる。
【0003】
鉛直回転軸式風車の翼フレーム構造には原理的に、回転軸方向と回転円周方向への、二方向展開が必要とされる。(水平回転軸式風車は基本的に回転円周方向のみでよい)このため、翼フレームは閉じた骨組み又はこれに近い剛な構造になる。この為、翼フレーム上に可動部分を設け難い。発電用風車では翼フレーム構造そのものに風速の変化に応じて利用動力を調整できる可動機構を備える事が望ましいのであるが、前述の理由から簡潔有効な手段がとられていない。
同様に翼フレームの閉じた剛な構造に起因して軽量化と合理的な軸受構造を実施に移そうとした場合、機械設計上の制約条件が多い。
【0004】
これらの要因により従来の技術には、鉛直回転軸式風車が本来持っている単純機構の利点を活かす実用に適した構造・機構のものが無い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
鉛直回転軸式風車に関し、回転翼構造を徹底的に本質機能に絞り込む事により、従来構造にない単純かつ開放された翼フレームを編み出す。これにより翼フレーム構造に、風速の変化に応じて利用動力を調整できる可動機構の付加を実現する。くわえて軽量化と合理的な軸受構造の実施を容易なものとする。かくして本来単純機構の利点を持つ、鉛直回転軸式風車の機能を格段に高め、実用において水平回転軸式風車を凌駕できる風車を生み出す。
【0006】
【課題を解決するための手段】
鉛直回転軸式風車の回転翼構造を、徹底的に本質機能に絞り込む手段として、翼の断面が進行方向に流線型にしてその外形が全長にわたりほぼ真直である「片持ち翼」を考える。鉛直回転軸式風車の翼フレームに必要な、回転軸方向と回転円周方向への二方向展開を満たす構造として、放射状のほぼ真直な「片持ち翼」は最も単純な機械要素である。この単純かつ開放された翼フレーム構造を活かして翼フレームに以下の手段で可動機構を付加する。翼フレームの各「片持ち翼」は支持部の支点を中心に軸方向にスイング可能な構造とし、かつ互いに連結され、風速が上がった場合、回転数が上がり翼角度Aが小さくなるよう翼自身に作用する遠心力を原動力として、連動してスイングする仕組みを持たせる。図1・図2
【0007】
【発明の実施の形態】
図1において、複数の放射状に延びたほぼ真直な「片持ち翼」10によって形成される風車の形態を示す。本図では放射状の「片持ち翼」は上向きであるが、下向きでも構わない。横向きにどちらの方角から風が吹き付けても、本風車はほぼ鉛直な回転軸20を中心に放射状の各「片持ち翼」が円錐台の軌跡を描いて回転運動をする。放射状の「片持ち翼」は連結スイング機構部39(詳細の例は図2)により互いに連結され、風速が上がった場合、回転数が上がり翼角度Aが小さくなるよう翼自身に作用する遠心力を原動力として連動して、軸方向にスイング可能な機構を有している。風速の変化により利用する動力の調整が必要な場合、このスイング機構を傘骨の開閉の如く動かして使用する。図3において風力が翼に作用して、風車に回転力が発生する態様を示す。図3は翼を法線方向の断面で見た時の、各回転位置における翼周辺の速度と力の成分を表している。翼の断面は風速により揚力を発生する形状をなしている。風速Vwと翼周速Vbにより合成された風の流れVcが迎え角aで翼に作用する。この時、翼には揚力Lが発生する。このLの回転方向の分力Ltが回転力として風車を回転させ発電に利用する動力を発生させる。図2において複数の放射状の「片持ち翼」の支点22は回転軸中心よりrの距離におかれる。このrと翼長さB及び、翼角度Aにより翼回転軌跡の投影面積である受風面積Sが決まる。
通常、翼角度Aはある風速で最も効率の良い翼角度A0で設定され、この状態を基準に運転される。
風速が上がった場合、回転数が上がり、翼角度Aが小さくなる様「片持ち翼」がスィングする。この結果、利用できる動力を決める一要素である受風面積Sが減少する。これらの関係により自己平衡性を活かした利用動力の制御が可能である。
【0008】
【実施例】
図2において、翼長さBに対し、回転軸からの翼支点距離rが小さい実施例が示されている。又、放射状の「片持ち翼」を互いに連結され、風速が上がった場合、回転数が上がり翼角度Aが小さくなるよう翼自身に作用する遠心力を原動力として連動して、軸方向にスイングさせる機構として、回転軸上に設けたリンク機構を使用した実施例が示されている。これらに関し、rは翼長さBに対し大きくとも構わない。又、軸上のリンク機構に変わる機構を別の場所に別の形式で採用しても構わない。
【0009】
【発明の効果】
鉛直回転軸式風車において、従来構造にない単純かつ開放された翼フレーム構造の実現により、風速の変化に応じて利用動力を調整する可動機構を翼フレームに付加できる。さらに軽量化・合理的な軸受構造の実施が容易なものとなる。かくして風力発電用風車において、鉛直回転軸式風車の機能が格段に高められ、実用性において水平回転軸式風車を凌駕するものの使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる風車の外形を示した説明図である。
【図2】本発明に係わる風車の翼支持部の外形を示した説明図である。
【図3】翼周辺に加わる力を示した説明図である。
【符号の説明】
10 翼
20 回転軸
21 翼支点ブラケット
22 翼支点
30 リンク棒
31 翼側リンク支点
39 連結スイング機構部
40 連結プレート
41 連結支点
50 位置決めプレート
51 連結プレート支持・スライド調節機構
90 架構
Claims (1)
- 風力発電用風車に於いて、風力の方向にほぼ直角な回転軸を持ち、断面が進行方向に流線形にしてその外形が全長にわたりほぼ真直である翼が、その一端を回転軸上で軸方向にスイング可能に支持され、他端を空中に開放した片持ち状を成して複数放射状に配置された上、互いに連結され、風速が上がった場合、回転数が上がり翼角度Aが小さくなるよう翼自身に作用する遠心力を原動力として、連動してスイングすることで、利用できる動力を決める一要素である受風面積Sを減少させる機構を有する、風速の変化に応じて利用動力の調節を可能とした風車。
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