JP3884952B2 - 撮像装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体撮像素子を用いた撮像装置に係り、特に固体撮像素子の画素欠陥を信号処理で補正する機能を有する撮像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体撮像素子は、製造される過程において様々な要因に起因する結晶格子の欠陥等により、入射光に応じた出力信号が出力されない欠陥画素が発生し、画質を劣化させる原因となっている。
しかし、近年の固体撮像素子は数百万画素もの画素数を持つものが多くなってきており、欠陥画素の数も画素数に比例して増えている。欠陥画素の発生を完全に無くそうとするのはコストアップにつながるため、ある程度の数の欠陥画素を含んだ固体撮像素子がビデオカメラ等の製品に使用されている。そこで、欠陥画素による画質の劣化を避けるため、従来から欠陥画素の検出・補正方法が様々提案されている。
【0003】
欠陥画素の検出・補正方法としては、撮像素子またはビデオカメラの、出荷時または機器の電源投入時等に欠陥画素を検出し、その欠陥画素の位置データを機器内部のメモリに記憶させておき、撮影時にその位置データに基づいて欠陥画素を補正する方法がある。この例としては、例えば、特開2000−83119号公報に記載されている。
しかしながら、上記方法では、位置データの記憶用にメモリを使用しており、近年のように撮像素子の画素数が多くなった場合には大きなメモリが必要となりコストアップになってしまうという問題があった。
【0004】
上記を改善する方法として例えば、特開平7−23297号公報の技術がある。この技術によると、ビデオカメラの動作中に撮像された任意の画素の信号と周辺画素とのレベル差と任意に設定したしきい値とを比較することにより欠陥画素を検出し、リアルタイムに補正する方法が示されている。これは、周辺画素に比べて検査画素のレベルが突出している場合は欠陥画素である可能性が高いという考えに基づいている。さらにこの技術では、欠陥画素の検出に用いるしきい値は、検査画素信号のレベルに基づいて可変できる値であり、検査画素の信号レベルに比例して増大するようになっている。また、検査画素の信号レベルが所定の値よりも小さいときは、あらかじめ設定した固定値に切り替えることを特徴としており、この固定値は、AGC回路の利得の値に応じてしきい値を可変できるようになっている。
【0005】
また、このようなしきい値による欠陥画素の判定には、正常な画素への誤判定が問題になるが、ここではさらに検査画素の周辺の信号分布を詳しく調べて、周辺画素間の変化に比べて検査画素の信号がどのように突出しているかを検出することで、検査画素のレベル差が欠陥画素によるものなのか、被写体のエッヂによるものなのかを判定することができ、正常な画素への誤判定を防ぐことで画質への弊害を抑えている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平7−23297号に示してある方法では、誤判定を防止するために検査画素が欠陥画素らしいときにはエッヂによる判定を行う必要がある。このため、欠陥画素の判定に対してエッヂ判定回路、エッヂ欠陥判定回路、エッジ演算回路等の多くの回路及び演算が必要になる。さらには、ビデオカメラでは撮像された被写体に対する出力信号を遅らせることなくリアルタイムで出力することが不可欠であるため、固体撮像素子の欠陥画素検出は、それだけ高速な演算処理が要求されることになる。これは、今後固体撮像素子が高画素化するにともなって演算回数も比例して増大するため、処理の負担が大きくなって行き、高速な演算処理と回路追加はコストアップや回路規模の増大になるという問題があった。
また、可変するしきい値の値は、上記技術ではAGC回路の利得に比例して直線的に一意に決まる値であり、さまざまな被写体や撮影状況を考慮すると誤判別を防ぐためにはさらに細かな制御必要となるが、この点配慮されていないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、少ない演算と簡潔な回路で被写体の状況応じた欠陥画素の検出を行い、かつ正常画素への誤判定を改善してより正確に欠陥画素を検出及び補正することのできる撮像装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では、複数の画素を有し、前記画素への入射光を前記画素ごとにアナログ信号に変換する固体撮像素子と、前記固体撮像素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、欠陥検査対象画素のデジタル信号と前記欠陥検査対象画素と同色のフィルタを持つ周辺画素のデジタル信号とのレベル差を算出するレベル差演算手段と、前記レベル差演算手段で演算されたレベル差が、予め設定された第1のしきい値より大きく、かつ前記第1のしきい値より大きい予め設定された第2のしきい値より小さい場合には、前記欠陥検査対象画素を欠陥画素として判定する欠陥検出手段と、判定された前記欠陥画素を補正する欠陥補正手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
まず、本実施形態の概要について説明する。
本実施形態では、複数の画素を有する固体撮像素子へのへの入射光を前記画素ごとにアナログ信号に変換し、アナログ信号をデジタル信号に変換し、欠陥検査対象画素のデジタル信号と欠陥検査対象画素と同色のフィルタを持つ周辺画素のデジタル信号とのレベル差を算出し、このレベル差と予め設定された2つのしきい値とを比較して欠陥検査対象画素が欠陥画素であるか否かを判定し、検出された欠陥画素を補正することとする。
さらに、2つのしきい値は第1のしきい値1及びそれより大きい第2のしきい値2であり、上述のレベル差が、第1のしきい値より大きく、かつ第2のしきい値より小さい場合は、欠陥検査対象画素を欠陥画素として判定し、第1のしきい値より大きく、かつ第2のしきい値よりも大きい場合は、欠陥検査対象画素が正常な画素であるとして欠陥画素とは判定しないこととする。
これは、実際に撮像される被写体において、正常な画素の誤判定の要因のほとんどが、高輝度な被写体を撮像したときに起きる信号レベルの飽和により周辺画素とのレベル差が突出してしまうことにあり、この高輝度被写体への誤判定を避けるためにしきい値をもう1つ設定するのである。
実施の形態により、従来の欠陥画素の判定に加えて、周辺画素とのレベル差が極大の時には高輝度被写体のエッヂ部分であると判定し欠陥補正は行わないとすることで、欠陥画素と高輝度被写体のエッヂを区別することが可能となり、エッヂ判定などの複雑な演算を行わなくても従来と同程度に誤判定を抑えることができる。
さらに、アナログ画像信号を増幅する自動利得制御手段と、しきい値を可変制御するしきい値制御手段とを設け、2つのしきい値の内、少なくとも1つのしきい値を、前記自動利得制御手段の利得に応じて可変制御することとし、前記しきい値制御手段は、前記自動利得制御手段の利得の大きさに応じて前記しきい値を可変することとした。
これにより、さまざまな被写体や撮影状況に対応できるように、複数に分割し たAGC領域ごとに基準しきい値を持ち、単純な計算で最適なしきい値を細かく制御でき、誤判別を防ぐことができる。
【0010】
次に、本実施の形態の撮像装置の具体的構成を、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は本発明によるビデオカメラの一実施例を示すブロック図である。図1において、1はレンズ、2はアイリス、3は固体撮像素子、4は自動利得制御回路(以下、AGC回路と略す)、5はアナログ−デジタル変換器(以下、A/D変換器と略す)、6は遅延回路を有する欠陥検出回路、7は欠陥補正回路、8は制御マイコン、9は不揮発性メモリ、10は信号処理回路、11はデジタル−アナログ変換器(以下、D/A変換器と略す)である。また、制御マイコン8はRAM第1の領域15、RAM第2の領域16、信号増幅量演算17、しきい値演算器18から構成される。
【0012】
上記の構成において、レンズ1から入射した信号はアイリス2で露出を調整されたあと、固体撮像素子3で電気信号に変換され、AGC回路4を通り被写体の明るさに応じて利得が変化されて、撮像信号レベルの可変増幅処理が行なわれる。そして、A/D変換器5で画素毎にデジタル信号へと変換され、信号処理回路10に出力される。そのあと信号処理回路10で色分離、白バランス、ガンマ補正等の映像信号処理を受け、D/A変換器11でアナログ信号に変換され、輝度信号Yおよびクロマ信号Cとして出力される。
【0013】
ここで欠陥画素がある場合、欠陥検出回路6は遅延回路を備えており、この遅延回路と組合わせてできる画素配列を用いて周辺画素とのレベル差を演算し、検査画素を欠陥画素と判定するためのしきい値と比較して判定した後、欠陥画素を欠陥補正回路7で補正する。そのとき、制御マイコン8はAGCの利得の値に応じて不揮発性メモリ9より基準しきい値を読み出してしきい値を演算し、欠陥検出回路6に転送する。
なお、不揮発性メモリ9には、AGCの利得値に応じたしきい値を演算するための基となる基準しきい値が記憶されており、さらに各AGC領域ごとの基準しきい値が予め設定されている。
【0014】
次に、欠陥画素の検出処理動作の流れについて、図2のフローチャートを用いて説明する。
図2は欠陥画素の検出処理動作の一実施例を示すフローチャートである。
セット電源投入後、ステップ21で所定の初期設定を行うとともに通常出画モード、即ち撮影待機状態に設定され撮像できる状態になる。撮像された信号はAGC回路4、A/D変換器5を通過したあと、ステップ22で、信号処理回路10によって固体撮像素子3に撮像されている被写体の輝度を算出し、ステップ23で制御マイコン8は被写体の輝度情報と、撮影するのに最適な輝度信号レベルの目標値とを比較してAGC回路4に設定するAGCの利得値を演算する。
ステップ24で制御マイコン8がAGCの利得値をRAM第1の領域15へ転送する。即ち、信号処理回路10からの信号レベルをRAM第1の領域15に入力し、この値から信号増幅量演算器17でAGC利得値を計算してAGC回路4に入力する。また、このAGC利得値はRAM第1の領域にメモする。そしてステップ25でAGC回路4にAGCの利得値を転送することで、常に最適な輝度信号レベルを得るという増幅処理が行われている。なお、AGC回路4の制御の詳細については図3で後述する。
【0015】
一方、ステップ26で制御マイコン8のしきい値演算部18は制御マイコン8のRAM第1の領域15に転送されたAGCの利得値を取得して、ステップ27でAGCの利得値を基にAGC領域を判定する。なお、AGC領域の詳細については図3で後述する。
次に、ステップ28で制御マイコン8は判定されたAGC領域の両側の境界にある基準しきい値を不揮発性メモリ9よりRAM第2の領域16に転送する。ステップ29でRAM第2の領域16にある基準しきい値を基に、AGCの利得値に応じ、しきい値演算器18で、2つのしきい値TH1とTH2を演算する。なお、しきい値の演算の詳細については図4で後述する。
【0016】
ステップ30でしきい値TH1とTH2を欠陥検出回路6に転送し、これらのしきい値を基に、ステップ31で欠陥検出回路6は入力された検査画素それぞれに対して欠陥画素の判定を行う。ステップ31で検査画素が欠陥画素と判断された場合は、ステップ32において検査画素を周辺画素に置換、または周辺画素の平均値を演算して置換することにより欠陥画素を補正する。さらに、ステップ33により欠陥画素の検出を1画面分行ったあと、ステップ22に戻り次の1画面に対する欠陥検出を繰り返す。なお、しきい値TH1、TH2を使用した欠陥画素の判定の詳細については図5〜図7を用いて後述する。
【0017】
次に図3を用いて、AGC回路4の制御及びAGC領域の詳細について説明する。
図3はAGC利得と出力信号レベルの関係を示すグラフであり、横軸にAGC回路4のAGC利得を、縦軸に出力信号レベルを示す。出力信号を図3のように、AGC利得によって、領域0〜領域4に分けて制御するのは、撮像する被写体が自然に見えるようにするためであり、被写体が暗いときにも出力信号が不自然に明るくならないようにしている。
AGC回路4は、撮像された信号に対して自動的に利得を制御することで最適な信号レベルを得るためであるが、本実施例においてはAGCの制御はその利得に応じて図3のように5つの領域に分割している。これは、AGCの領域を分けることで、後述の欠陥画素の検出において、使用されるしきい値の細かな可変制御処理の負担を軽減するためのものである。
【0018】
まず、領域0ではAGCの利得は最小であり、この領域ではAGC回路4への入力信号はアイリス2の露出制御によりレベル調整がなされるため出力レベルは一定である。そして、アイリス2と固体撮像素子3による露出が最大になっても入力信号のレベルが足りなくなるとAGC回路4による増幅がなされ、以降AGC回路4の利得は増大し、最大利得になるまで続く。本実施例ではAGCの利得の可変範囲、すなわち最小利得から最大利得までを1/3ずつに分割し、それぞれ領域1、領域2、領域3と定義する。領域0はAGC利得が最小の領域であり、領域4はAGCが最大利得になったあとの領域である。
【0019】
次に図4を用いてしきい値演算の詳細について説明する。
図4はAGC利得と欠陥画素を検出するためのしきい値の関係を示すグラフであり、横軸にAGC回路4のAGC利得を、縦軸にしきい値を示す。
本実施例におけるしきい値の可変制御は、AGC領域を基に、AGCの利得値に応じて図4のように設定する。これは、前述のようにしきい値の制御カーブ線とAGC領域の境界におけるそれぞれのクロスポイントを基準しきい値として設定し、その値を不揮発性メモリ9にあらかじめ保持しておく。制御マイコン8は、入力信号に対するAGCの利得の値を得てAGC領域を判定し、その領域の両側の境界に設定した2つの基準しきい値の間は比例演算することにより、簡単な演算で曲線に近似した制御ができ、AGCの利得値に応じたしきい値を設定する。
ここで、しきい値TH1の演算に必要な各領域の基準しきい値をそれぞれa1、b1、c1、d1、e1とし、しきい値TH2の演算に必要な各領域の基準しきい値をそれぞれa2、b2、c2、d2、e2とする。
【0020】
以下、本実施例においてAGCの利得値がαである場合を例に取って具体的に説明する。
制御マイコン8はAGC領域が領域2に判定されることから、領域2の両側の境界にある基準しきい値b1、c1 、b2、c2を不揮発性メモリ9よりRAM第2の領域16に転送する。そして、RAM第2の領域16にある前記4つの基準しきい値から、次の(数1)、(数2)を用いてしきい値TH1とTH2を演算する。
【0021】
【数1】
Figure 0003884952
【数2】
Figure 0003884952
なお、(数1)、(数2)において、AGC利得1/3は前述の説明から明らかなように、最大AGC利得値の1/3であることを意味する。また、AGC利得(1/3−2/3)はAGC利得1/3−AGC利得2/3を意味する。
また、図4の基準しきい値a1〜e1、a2〜e2は実験により、カット・アンド・トライによって決め、不揮発性メモリ9に記憶しておく。
このように、AGC利得がαの場合のしきい値TH1、TH2は、AGC領域の両側の基準しきい値の間を比例演算することにより、図4のように自由度のある曲線に近似した形で制御することが可能になる。
ここで、不揮発性メモリ9に保持してある基準しきい値を外部からの所定の操作で変更することにより、しきい値の変化を自由に設定しなおすことができるようにしてもよい。
【0022】
本実施例のように、欠陥検出のためのしきい値をAGCの利得に応じて変化させることにより、誤判別を少なくすことができる。また、欠陥画素をより正確に検出することのできる適切なしきい値が設定できる。
例えば、被写体が明るい(輝度が高い)ときには、画素信号のレベルが全体的に高くなっており、AGCの利得は小さくAGC領域0または2に相当する。このような状況において明るい被写体の部分に欠陥画素がある場合は、欠陥画素と周辺画素とのレベル差が少なく、明るい被写体の中に欠陥画素がまぎれてしまうので、視覚上目立たなくなる。そのため、しきい値を比較的大きな値にとってもよい。また、暗い被写体の部分である信号レベルの低い場所に欠陥画素がある場合には、欠陥画素と周辺画素とのレベル差が大きいのでしきい値が比較的大きくても欠陥画素の検出が可能である。また、被写体が暗い(輝度が低い)ときにはAGCの利得が大きくAGC領域3または4に相当する。このような状況においては、欠陥画素の信号も増幅されるが、周辺画素の信号レベルは低いため、欠陥画素と周辺画素とのレベル差が大きく、視覚上目立つため、認識できる欠陥画素は大幅に増える。そのため、しきい値を小さくした方がよい。これにより欠陥画素を検出しやすくできる。
以上の理由により、同じ欠陥画素でも検出するしきい値は状況に応じて細かく変化させることにより誤判別を改善できる。
【0023】
次に、図5を用いて周辺画素とのレベル差判定の詳細について説明する。
図5は固体撮像素子の画素配列の一例を示す画素配列図である。欠陥検出回路6では、A/D変換器5より入力された画素信号に遅延回路を組合せて、固体撮像素子3から直列信号として伝送されてくる信号を並列に並び替えて、周辺画素との比較に用いる。ここで、固体撮像素子3の画素配列において、図5は市松タイプの固体撮像素子を例に取った場合の画素の配置を示しており、色フィルタはA、B、C、Dの4色から構成されている。
【0024】
次に、検査画素A22を対象とした欠陥判定の方法について説明する。検査画素の周辺画素に対する突出を判定するために、遅延回路により並べられた画素信号から検査画素A22に対する上下左右の周辺画素をそれぞれA12、A32、A21、A23とし、A22が欠陥画素であるかどうか判定するのに、各画素の信号レベルを用いて次の式(数3)、(数4)で判定を行う。
|(A12+A32)/2−A22|≧しきい値TH1……(数3)
|(A21+A23)/2−A22|≧しきい値TH1……(数4)
(数3)、(数4)の2式が同時に成り立つとき、縦横両方の差信号がしきい値を超えていれば検査した画素信号A22が周辺画素信号と孤立して突出しており、欠陥画素の可能性が高いことを示している。
【0025】
さらに、検査画素A22が高輝度被写体のエッヂ部分であるかどうか判定するため、しきい値TH1よりも大きなしきい値TH2を用いて、次の式(数5)、(数6)で判定を行う。
|(A12+A32)/2−A22|≧しきい値TH2……(数5)
|(A21+A23)/2−A22|≧しきい値TH2……(数6)
上記(数5)、(数6)の2式が同時に成り立つ場合、検査画素A22は欠陥画素よりも高輝度被写体のエッヂ部分である可能性が高いことを示している。(数1)、(数2)、(数3)及び(数4)の演算はしきい値演算器18で行う。
【0026】
上記のように判定した結果、検査画素A22と周辺画素とのレベル差がしきい値TH1以上、かつしきい値TH2より小さい場合は、検査画素A22を欠陥画素であると判定する。また、検査画素A22と周辺画素とのレベル差がしきい値TH1及びしきい値TH2より大きい場合は、検査画素A22を欠陥画素ではないと判定する。
【0027】
本実施例において、2つのしきい値を設定する理由は、欠陥画素検出における誤認識の要因が高輝度被写体のエッヂ部分によるものがほとんどのためである。これは、高輝度の被写体が撮像されると、エッヂ部分で周辺画素との間に大きなレベル差が生じ、正常な画素を欠陥画素と誤認識してしまう。このエッヂ部分にできるレベル差は、欠陥画素の信号レベルに比べて比較的大きく、欠陥画素を検出するしきい値TH2より大きな値となる。このことを利用して、エッヂを判定するためのしきい値TH2を設ける。撮像される被写体の状況から、欠陥画素と高輝度被写体のエッヂを検出できるような2つのしきい値TH1、TH2を設定すれば、欠陥画素判定の誤判定を最小限に抑えることができる。
【0028】
本実施例によれば、演算は検査画素の周辺画素の信号レベルを分析するのに比べて簡単な回路で構成することができるため、処理の負担を軽くすることができる。
さらに、エッヂを判定するためのしきい値TH2は、AGCの利得により欠陥画素の信号レベルが増幅されることから、AGCの利得が大きいほどしきい値を大きくとるように、AGCの利得に応じて可変制御する。
【0029】
ここで具体的なしきい値の設定の一例を図6、図7を用いて説明する。
図6は所定のAGC利得における任意の検査画素の出力信号レベルを示す模式図であり、例えば、AGCの利得がαのときの任意の検査画素の出力信号レベルを表している。図6は横軸に画素配列を、縦軸に出力信号レベルを示す。図において、A22は欠陥画素であり、B88、A89は高輝度被写体であるとする。
【0030】
図7は所定のAGC利得における周辺画素との信号レベル差を示す模式図であり、図6の各画素の出力信号レベルから演算した、周辺画素との信号レベル差を示す。図7において、横軸は画素配列を、縦軸は信号レベル差を示す。所定の画素の信号レベル差は所定の画素の周り4箇所の値の平均と所定の画素の差分をいう。例えば、画素A22の場合は、図5を参照して説明すると、画素A12、A21、A23、A32の平均値と画素A22の値との差分である。
この信号レベル差から、図7のように欠陥画素を検出するためのしきい値TH1とエッヂを検出するためのしきい値TH2を設定すれば、欠陥画素を検出すると同時に高輝度被写体のエッヂ部分を欠陥画素と誤検出しないようなしきい値が設定できることがわかる。画素22はしきい値TH1とTH2の間にあり、欠陥画素と判断する。また、画素B88はしきい値TH2より大きいので、エッジ部分であり、欠陥画素でないと判断する。
【0031】
本発明により、検査画素が欠陥画素と判断された場合は、検査画素を周辺画素に置換、または周辺画素の平均値を演算して置換することにより欠陥画素を補正する。ただし、本発明においては欠陥画素の補正の方法についてはこれに限定されるものではなく、他の公知の方法で構成することができる。
【0032】
以上、本発明についての実施例について説明をしてきたが、本発明は上記実施例で説明した細部に限定されるものではない。また、本発明の説明におけるしきい値制御は主としてソフトウェアによるとして説明したが、これをハードウェアによる回路構成として制御することも可能である。その他、技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形があることは勿論である。
【0033】
また、AGC領域についても本実施例では5つに分割したが、これに限るものではない。
また、本発明はビデオカメラに限定されるものではなく、デジタルスチルカメラ、撮像装置等の固体撮像素子を搭載した機器は本発明の範疇に含まれる。
【0034】
以上述べたように、本発明によれば、カメラの撮像動作中に欠陥画素の検出ができ、撮像される被写体の状況に応じて欠陥画素の検出条件を最適に制御することにより、被写体への画質の劣化を最小限に抑えて精度よく欠陥画素の検出ができる。また、より正確に欠陥画素を検出することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、撮像される被写体の状況に応じて欠陥画素の検出条件を最適に制御することができ、より正確に欠陥画素を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるビデオカメラの一実施例を示すブロック図である。
【図2】欠陥画素の検出処理動作の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】AGC利得と出力信号レベルの関係を示すグラフである。
【図4】AGC利得と欠陥画素を検出するためのしきい値の関係を示すグラフである。
【図5】固体撮像素子の画素配列の一例を示す画素配列図である。
【図6】所定のAGC利得における任意の検査画素の出力信号レベルを示す模式図である。
【図7】所定のAGC利得における周辺画素との信号レベル差を示す模式図である。
【符号の説明】
1…レンズ、2…アイリス、3…固体撮像素子、4…AGC回路、5…A/D変換器、6…欠陥検出回路、7…欠陥補正回路、8…制御マイコン、9…不揮発性メモリ、10…信号処理回路、11…D/A変換器。

Claims (4)

  1. 複数の画素を有し、前記画素への入射光を前記画素ごとにアナログ信号に変換する固体撮像素子と、
    前記固体撮像素子からのアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換手段と、
    欠陥検査対象画素のデジタル信号と前記欠陥検査対象画素と同色のフィルタを持つ周辺画素のデジタル信号とのレベル差を算出するレベル差演算手段と、
    前記レベル差演算手段で演算されたレベル差が、予め設定された第1のしきい値より大きく、かつ前記第1のしきい値より大きい予め設定された第2のしきい値より小さい場合には、前記欠陥検査対象画素欠陥画素として判定する欠陥検出手段と、
    判定された前記欠陥画素を補正する欠陥補正手段とを備えていることを特徴とする撮像装置。
  2. 請求項1記載の撮像装置において、前記欠陥補正手段は、前記判定された欠陥画素を、前記欠陥検査対象画素と隣接する周辺画素の信号レベルもしくは前記周辺画素の平均値のレベルに置換することを特徴とする撮像装置。
  3. 請求項1記載の撮像装置において、前記アナログ画像信号を増幅する自動利得制御手段と、前記第1のしきい値と前記第2のしきい値の内、少なくとも1つのしきい値を可変制御するしきい値制御手段とを設け、前記少なくとも1つのしきい値を、前記自動利得制御手段の利得に応じて可変制御することを特徴とする撮像装置。
  4. 請求項3記載の撮像装置において、前記しきい値制御手段は、前記自動利得制御手段の利得の大きさに応じて前記少なくとも1つのしきい値を可変することを特徴とする撮像装置。
JP2001388903A 2001-12-21 2001-12-21 撮像装置 Expired - Lifetime JP3884952B2 (ja)

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