JP3884408B2 - 水分除去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品の製造工程において、食品から水分を除去する水分除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品の水分除去には、様々な目的があり、例えば水産加工においては、鯛やブリのフィレー(片身)の生鮮出荷時に、魚体から出る水分(ドリップ)による鮮度・商品価値(見た目)の低下、真空包装機の接着不良などの問題を生じる。
【0003】
現在、加工場のほとんどが、この水分を拭き取る作業を人手によって行っている。すなわち、布またはペーパータオルで、フィレーの表裏を1枚ずつ拭き取っている。また、数年前に登場した水分除去装置を導入し、数名分の作業を自動化している加工場もある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この水分除去装置は、少なくとも1本の吸水性を有する吸水ベルトを一部の面が対向するように走行させその対向する吸水ベルト間に食品を挟入するように搬送しその食品に含まれている水分を吸水ベルトに吸収させる吸水手段と、吸水ベルトに圧力を作用させて吸収した水分を脱水する脱水手段とを有して構成されている。この食品の水分除去装置は、上記タオルを用いて水分を拭き取る方式を機械化したもので、吸水ベルトを用いて水分を拭き取り、水分を拭き取った吸水ベルトに高圧洗浄水を噴射して洗浄し、次いで消毒した後、脱水手段によって水分を取り除き、この吸水ベルトを循環使用するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−323153号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
現在でも、鯛やブリの加工場のほとんどが人手によって、拭き取り作業をしているが、布タオルを用いる場合は洗い回して使うので、何日目かでタオルが変色したり、ほつれた繊維が異物としてフィレーに付いたりする問題を有している。また、毎日数百枚のフィレーを処理するので、作業員のすぐ側に山のようなタオルをおく必要があり、作業スペースが無駄になっている。
【0007】
一方、ペーパータオルを用いる場合、スペースや洗濯などの問題はないが、ペーパータオル購入費用や、使用後のペーパー(ゴミ)の処理に、年間数百万円もの費用がかかるという問題を有している。
【0008】
しかも、布タオル・ペーパータオルのいずれも1枚でフィレー2〜4枚に使用しているので、衛生上問題を有している。
【0009】
現行の水分除去装置では、食品を送る搬送ベルトに吸水材を用い、さらには案内用ローラとしてスポンジローラを使用しており、ベルト洗浄・消毒機構が付いていても、実際には十分には洗浄されず、雑菌による汚染などの問題等を引き起こすおそれがある。
【0010】
本発明は、食品の水分除去装置における上記問題を解決し、衛生的かつ確実に食品の水分を除去できる食品の水分除去装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
食品を搬送するベルトコンベアを上下に設け、搬送ベルトを通気性の良いものにして、食品の水分を吸い取るために、少なくとも1対以上のバキュームノズルを設けた水分除去機構と、ベルト洗浄機構とから構成される。
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、水分除去装置において、網状の搬送ベルトの間に食品をはさんで搬送し、脱水処理するので、食品に無理な外力がかからず品質の低下を引き起こすことがなくなるとともに、洗浄装置を設けたので搬送ベルトの汚染を効果的になくすことができる。
【0013】
また、搬送ベルトの材質を柔軟性に優れたポリエステル等のプラスチックとすることで、食品の形状による投入方向の制限をなくすことができる。
【0014】
さらに、搬送ベルトとバキュームノズルとを摺動させることにより、吸引効率の低下を抑えることができ、バキュームノズルを食品の厚さに応じて上下に開閉するようにしたことによって、食品とバキュームノズルとの間隔がほとんど離れることがなく、食品とバキュームノズルとの間には薄いメッシュベルト枚なので、バキューム効率が非常に良く、大掛かりな真空ポンプを準備する必要がない。
【0015】
さらに、洗浄機構は、搬送ベルトの戻り(リターン)側にあり、搬送ベルトの裏側からに高圧洗浄水で汚れを洗い流し、メッシュの間に付いた水滴をバキュームノズルで吸引してホッパーにより回収される。また、作業終了後には、搬送ベルトを機械装置から取り外して洗浄すればより衛生的な作業を行える。
【0016】
【発明の実施の形態】
図を用いて、本発明にかかる食品の水分除去装置における実施の形態を、魚体(フィレー)の水分除去装置を例にとって説明する。図1は本発明にかかる食品の水分除去装置の構成の概要を示す正面図であり、図2はその平面図であり、図3は食品を載せた状態を表わす拡大正面図である。図4は、水分除去部の詳細な構造を説明する斜視図である。
【0017】
本発明にかかる食品の水分除去装置1は、食品送りベルト(下ベルト)11aと、下側水分除去部12aと、下ベルト洗浄水散水管131―1a、131―2aおよび下ベルト洗浄水吸引ノズル132aならびに下ベルト洗浄水回収ホッパー133aからなる下ベルト洗浄部13aと、食品押さえベルト(上ベルト)11bと、上側水分除去部12bと、上ベルト洗浄水散水管131―1b、131―2bおよび上ベルト洗浄水吸引ノズル132b並びに下ベルト洗浄水回収ホッパー133bからなる上ベルト洗浄部13bと、図示を省略した吸引ポンプおよびベルト洗浄用ポンプとベルト駆動用モータとをフレーム16上に配置して構成される。
【0018】
食品送りベルト11aは、食品20が載置され水分除去手段12へ搬送するベルトであり、無端帯状に形成される。食品送りベルト11aは、弾力性のある例えばポリエステルなどの撥水性の良い材質からなり、通気性の良い例えば網状の帯状体として形成される。食品送りベルト11aは、例えば、駆動ローラ111aによって駆動回転され、追従ローラ111aなどによって張力が調整される。
【0019】
食品押さえベルト11bは、食品送りベルト11a上に載せられた食品20を押さえて水分除去手段12へ搬送するベルトであり、無端帯状に形成される。食品押さえベルト11bは、食品送りベルト11aと同様に弾力性のある例えばポリエステルなどの撥水性の良い材質からなり、通気性の良い例えば網状の帯状体として形成される。食品押さえベルト11bは、例えば駆動ローラ111bによって駆動回転され、追従ローラ112bなどによって張力が調整される。
【0020】
下側水分除去部12aは、食品20の裏面または内部にある水分を吸引ポンプによって吸引して除去する手段であり、食品送りベルト11aの送り側の裏面に設けられる。
【0021】
上側水分除去部12bは、食品20の表面または内部にある水分を吸引ポンプによって吸引して除去する手段であり、食品押さえベルト11bの送り側の裏面に設けられる。
【0022】
下ベルト洗浄部13aは、食品送りベルト11aの戻り側で食品送りベルト11aを洗浄する手段である。下ベルト洗浄部13aは、下ベルト洗浄水散水管131―1a、131―2aが食品送りベルト11aの表裏から洗浄用シャワーSを当て、下ベルト洗浄水吸引ノズル132aでベルト11aの表裏面および網目に付着した水分を除去し、下方に落下した洗浄水を洗浄水散水管131―1a、131―2aの下方に設けた下ベルト洗浄水回収ホッパー133aで回収する。
【0023】
上ベルト洗浄部13bは、食品押さえベルト11bの戻り側で食品押さえベルト11bを洗浄する手段である。上ベルト洗浄部13bは、上ベルト洗浄水散水管131―1b、131―2bが食品押さえベルト11bの表裏から洗浄用シャワーSを当て、上ベルト洗浄水吸引ノズル132bでベルト11bの表裏面および網目に付着した水分を除去し、下方に落下した洗浄水を洗浄水散水管131―1b、131―2bの下方に設けた下ベルト洗浄水回収ホッパー133bで回収し、一箇所に集約・廃棄する。
【0024】
ベルト洗浄用ポンプ室14は、洗浄水散水管131―1a、131―2a,131―1b、131―2bに高圧の洗浄水を供給する図示を省略したベルト洗浄用ポンプと、図示を省略した吸引ポンプを収容する室である。この吸引ポンプは、水分除去手段のバキュームホースとベルト洗浄部の洗浄水吸引ノズル132a、132bに接続され、食品およびベルトから水分を吸引する手段である。
【0025】
ベルト駆動用モータ室15は、食品送りベルト11aを駆動する駆動用ローラ111aおよび食品押さえベルト11bを駆動する駆動ローラ111bを回転させる図示を省略したベルト駆動用モータを収容する室である。
【0026】
フレーム16には、キャスタ17が取り付けられ、水分除去装置1を移動可能にしている。
【0027】
図3に示すように、食品送りベルト11a上に乗せられた食品20は、食品押さえベルト11bにより上方から押さえられ、水分除去部12a,12bの間を通過して、洗浄水が十分に吸引除去される。その後、水分が除去された食品20はベルトの反対側に設けた図示を省略したシュート上へ取り出される。戻りの食品送りベルト11aおよび食品押さえベルト11bは、それぞれベルト洗浄部13a,13bで洗浄され洗浄水が除去されて、洗浄・水切りされた状態で、食品の搬送位置に戻される。
【0028】
本発明においては、食品送りベルト11aと食品押さえベルト11bの材質が、柔軟性に優れたポリエステルなどのプラスチックであるので、食品の形状などに影響を受けずに上下のベルトに挟まれたまま水分除去手段12へ向けて移行する。さらに、上下ベルト11a,11bは網状に形成されているので、水分除去手段12に運ばれてきた食品20は、吸引によって食品20の表面の水分のみならず、食品20の皮側ではウロコ間隙の水分、肉側では肉表面から数mm内部までの水分を容易に脱水することができる。
【0029】
水分除去手段12の構造の詳細を図4を用いて説明する。水分除去手段12は、フレームの支柱161に固定した2本の軸162a、162bと、該軸にそれぞれ回動自在に取り付けた回動腕121a,121bと、該腕に支持腕126a,126bによって支持される吸引口123a(吸引口123bはバキュームノズル122bの下面に設けられるので図示されない)を有するバキュームノズル122a,122bと、バキュームホース124a,124bと、バキュームノズル回転支点125a,125bとを有して構成される。
【0030】
回動腕121a,121bには、それぞれバネ受部121−1a、121−1bが設けられ、バネ129によって水分除去部12a,12bが互いに閉じる方向に付勢されている。
【0031】
水分除去部12a、12bは、回動腕121a、121bによって、それぞれ上下に移動可能にされている。さらに、水分除去部12a、12bは、バキュームノズル回転支点125a,125bによって、左右に回動可能に支持されている。
【0032】
食品送りベルト11a上に載置された食品20は、食品押さえベルト11bによって上方から押さえられて水分除去手段12へ送られてくる。水分除去手段12に到達した食品20は水分除去部12aのバキュームノズル122aを下方に押し下げ水分除去部12bのバキュームノズル122bを上に押し上げる。各バキュームノズル122a,122bは、バキュームホース124a,124bによって図示を省略した吸引ポンプに接続され、吸引口123a,123bから食品20に付着した水分を吸引する。
【0033】
このような構成を有する、本発明にかかる食品の水分除去装置1は、バキュームノズル122a,122bを支持する回動腕121a,121bは、軸162a、162bを支点にして開閉する機構となっているので、水分除去手段12を通過する食品20の大きさによって、バキュームノズル122a,122bは開閉して食品に追随し、また、バキュームノズル122a,122bはバキュームノズル回転支点125a,125bによって左右に回転するので、食品20の形状にバキュームノズルを追従させることができる。さらに、バキュームノズル122a,122bの吸引口123a,123bが設けられる面は、緩やかな曲面とされているので、食品20はスムーズに搬送される。
【0034】
さらに、本発明にかかる食品の水分除去装置1は、食品送りベルト11aと食品押さえベルト11bとして柔軟性の優れたプラスチックベルトを用いたことから、食品20はその形状などに左右されることなく上下のベルトにはさまれたまま水分除去手段12へ移動する。水分除去手段12では上下のベルト11a,11bが網状に形成されていることから、食品20の表面の水分を効率良く吸引除去することができる。したがって、次の作業(次工程)までに再び水分がにじみ出ることもなく、多用途に利用することができる。
【0035】
また、食品の水分を除去する水分除去装置1は、多数の食品例えば毎日数百枚のフィレーを処理することから、食品送りベルト11a、食品押さえベルト11bの衛生面には特に気を配る必要があるが、本発明によれば、脱水処理を行いながら、食品を搬送した後の食品送りベルト11aおよび食品押さえベルト11bを洗浄することができる。
【0036】
以上の説明では、食品として鮮魚の魚肉(フィレー)を例として説明したが、本発明は、これに限らず、貝類や魚卵、海藻類の水分除去にも使用することができる。この場合には、ベルトの網目の大きさを対象物に合わせて調整することが必要である。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明にかかる食品の水分除去装置1は、様々な食品製造工程において、食品の水分を効果的に除去することができ、食品の鮮度保持面での品質向上、作業スペースの減少、省人省力など大きな効果が期待できる。
【0038】
本発明は、食品を搬送する搬送ベルトとして、柔軟性を有するプラスチックを用いたので、食品の形状による投入方向の制限をなくすことができ食品に無理な外力がかからず品質の低下を引き起こすことがなくなるとともに、洗浄装置を設けたので搬送ベルトの汚染を効果的になくすことができる。
【0039】
さらに、搬送ベルトとバキュームノズルとを摺動させることにより、吸引効率の低下を抑えることができ、バキュームノズルを食品の厚さに応じて上下に開閉するようにしたことによって、食品とバキュームノズルとの間隔がほとんど離れることがなく、食品とバキュームノズルとの間には薄いメッシュベルト1枚なので、バキューム効率が非常に良く、大掛かりな真空ポンプを準備する必要がなくなる。
【0040】
さらに、洗浄機構は、搬送ベルトの戻り(リターン)側にあり、搬送ベルトの裏側からに高圧洗浄水で汚れを洗い流し、メッシュの間に付いた水滴をバキュームノズルで吸引してホッパーにより回収される。また、作業終了後には、搬送ベルトを機械装置から取り外して洗浄すればより衛生的な作業を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる食品の水分除去装置の構成を説明する正面図。
【図2】図1の食品の水分除去装置の上面図。
【図3】図1の食品の水分除去装置の拡大正面図。
【図4】図1の食品の水分除去装置の水分除去部の構造を説明する斜視図。
【符号の説明】
1 食品の水分除去装置
11a 食品送りベルト(上ベルト)
111a 食品送りベルト駆動ローラ
112a 食品送りベルト追従ローラ
11b 食品押さえベルト(下ベルト)
111b 食品押さえベルト駆動ローラ
112b 食品押さえベルト追従ローラ
12 水分除去手段
12a,12b 水分除去部
121 回動腕
121―1 バネ受部
122 バキュームノズル
123 吸引口
124 バキュームホース
125 バキュームノズル回転支点
126 支持腕
13 ベルト洗浄部
131 洗浄水散水管
132 洗浄水吸引ノズル
133 洗浄水回収ホッパー
14 ベルト洗浄用ポンプ室
15 ベルト駆動用モータ室
16 フレーム
161 フレーム支柱
162 回転軸
17 キャスタ
20 食品
Claims (2)
- 食品送りベルトと食品押さえベルトとの間に食品をはさんで水分除去手段に搬送する食品の水分除去装置において、
前記水分除去手段は、前記食品送りベルトおよび食品押さえベルトの裏面から前記食品の水分を吸引する吸引手段であり、前記ベルトに接して配置され、前記ベルトの進行方向に交差する方向に延びる吸引口を有し、食品の高さに応じて、上下に移動するように構成され、
前記食品送りベルトおよび食品押さえベルトは、柔軟性に優れ撥水性を有するプラスチックによって網状の無端帯状体に形成され、
前記食品送りベルトおよび食品押さえベルトの戻り側で該食品送りベルトおよび食品押さえベルトを洗浄する洗浄手段と、
備えたことを特徴とする食品の水分除去装置。 - 前記洗浄手段は、食品送りベルトおよび食品押さえベルトに向けて洗浄水を散水する洗浄水散水管と、食品送りベルトおよび食品押さえベルトから洗浄水を回収する洗浄水吸引ノズルと、これらの下方に設けた洗浄水回収ホッパーからなるベルト洗浄機構を有することを特徴とする請求項1に記載の水分除去装置。
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