JP3883105B2 - 簡易電磁波シールド構造およびその製造装置 - Google Patents

簡易電磁波シールド構造およびその製造装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電気自動車に搭載のモータの入出力端子、あるいは一般電子電気機器の入出力端子に電線・ケーブルやワイヤハーネスを接続する部分の簡易電磁波シールド構造、および簡易電磁波シールド構造の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車は弱電回路や電子回路がますます増加の一途をたどっており、配索電線の大電流・高電圧化が進むなかで電磁波ノイズに弱い弱電回路を保護し、また電磁波ノイズの影響で電子回路における各種センサの検出精度を低下させないように有効かつ低コストの電磁波シールド対策が求められている。
【0003】
図10は、かかる電磁波シールド構造の従来例として実開平6−23179号公報に記載のシールドケーブル用コネクタを示す側面断面図である。円筒状の金属製シェル1内に設けた端子保持用リテーナ2に複数本のピン端子3が保持されている。シールドケーブル4は銅線などの導体5aを絶縁体5bで被覆した絶縁線心5の複数本を撚り合わせ、この撚り合わせた絶縁線心5の上から金属製の編組6を巻き付け、その上に最外層のシース7で被覆してなっている。そうしたシールドケーブル4の絶縁線心5の各端末を皮剥ぎして導体5aをピン端子3に接続している。また、ケーブル端末のシース7を皮剥処理して編組6を剥き出しにし、この編組6の裾端部の上に筒状の金属製ネット8を被せ、さらにこの金属製ネット8の上から熱収縮チューブ9を被せている。熱収縮チューブ9を加熱させてその収縮圧により金属製ネット8を上から押さえ込み、その金属製ネット8を金属製シェル1の外周面に押し当てて接続することで、編組6から金属製ネット8を介して金属製シェル1に電気的に導通させ、シールドケーブル4の各絶縁線心5から発生する電磁波を吸収してシールドするようになっている。
【0004】
例えば、電気自動車に搭載されたモータの場合、その入出力端子に接続される大電流・高電圧の電源電線やケーブルなどから発生する電磁波によって外部機器への影響を防ぎ、また外部からの電磁波影響から防止するために、有効な電磁波シールド対策が求められる。
【0005】
図11は、そうしたモータの電源電線接続部における電磁波シールド構造の一例を示している。モータの外板ケースBはアルミニウムなどの金属製であり、その外板ケースBに設けた電線引き込み口bに電気コネクタを固定し、電気コネクタを介して電源電線10などを外板ケースB内部に引き込む。引き込んだ電線10端末を端子金具13によってモータ入出力端子に接続させる。この場合、外板ケースBはアース接地Gされ、電線10から発生する電磁波をグランドに落として吸収することでシールド導通を図っている。
【0006】
電線10は複数本からなっていて、束ねた上から導電性の金属素線を筒状に編んだ編組14で覆われ、その編組14の裾端部14aを電磁波シールドターミナル部材である筒状の金属製シェル15につないで接続している。両部材のつなぎは固定バンド17をかしめるなどして圧着し、編組裾端部14aを金属製シェル15の外周全周に圧接させている。金属製シェル15はそのフランジ部15aにおいてボルト16で上記外板ケースBに結合され、その外板ケースBをアース接地Gしている。したがって、電線10から発生する電磁波を、編組14→金属製シェル15→ボルト16→外板ケースB→アース接地Gの順にシールド導通経路を成立させて吸収している。
【0007】
一方、図12もまた電磁波シールド構造の一例を示している。複数の電線10は上から編組14で覆われ、電線のうちの1本がドレイン線(drain wire)として用いられる場合である。編組14の裾端部14bがそのドレイン線に沿わせるようにして細長く引き伸ばされ、引き伸ばしたその裾端部14bをかしめ金具18でドレイン線の導体11に圧着している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、これら図10〜図12の各図に示す電磁波シールド構造の従来例のいずれの場合も、それぞれ次の問題点がある。
【0009】
まず、図10の構造の場合、金属製シェル1に編組6をシールド導通させるために金属製ネット8といった面倒なつなぎ部材を用い、この金属製ネット8を熱収縮チューブ9で金属製シェル1に押しつけていることである。金属製ネット8や熱収縮チューブ9はコスト的にも高価について不利である他、熱収縮チューブ9による熱収縮力だけでは金属製ネット8を金属製シェル1に押しつける力が不十分である。そのため、シールド抵抗も不安定で有効な電磁波シールドを行えず、編組6から金属製シェル1へのシールド導通に対する信頼性に欠ける。加えて、仮に熱収縮チューブ9が破れなどの損傷を受けた場合、金属製ネット8が外れて金属製シェル1と編組6のつなぎの役割を失って電気的な不導通を引き起こし、本来の電磁波シールド機能を損なう懸念がある。
【0010】
また、図11の構造の場合、複数本の電線13を挿通させてシールド対策を図るために、勢い金属製シェル15や固定バンド17が大径サイズ化し、コスト的にも高くついて不利である。また、上記図10の従来構造で示された熱収縮チューブ9と同様、固定バンド17で編組14の裾端部14aの筒口全周を均一かつ強固に金属製シェル15の外周面に圧接させることは困難であり、接触に斑が生じて十分な電磁波シールド性能を得ることができない。
【0011】
また、図12の構造については、ドレイン線を引き出す長さ分だけ編組14の裾端部14bの一部を細長く引き伸ばし、時には数10mmから数100mmといった長さに引き伸ばす作業は非常に手間がかかって非能率であり、編組14を引き伸ばす分だけ余分な長さを見込む必要もあって、材料コストや作業コストが嵩む。また、この場合電磁波シールド対策の基本に関する点で、複数本の電線10のうちの1本だけをドレイン線としただけでは、他の電線10のすべてに対してシールド対策を完全にカバーしきれない。さらに、大事な点であるが、編組14の裾端部14bを細長く引き伸ばす際、他の裾端部の素線14cがほつれたり、ばらけるなどして電磁波シールド性能を低下させる不具合がある。したがって、編組裾端部14bの素線14cがほつれたりせず、筒口の形状を安定して定形を保つことは重要な課題である。
【0012】
以上から、本発明の目的は、特に大電流・高電圧の配索電線から発生する電磁波を遮蔽して吸収し、満足すべきシールド性能を低コスト構造で得られるようにした簡易電磁波シールド構造、および簡易電磁波シールド構造の製造装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明にかかる請求項1に記載の簡易電磁波シールド構造は、図1および図2に示すように、電線端末に端子金具13を圧着した電線10を外側から導電性の素線を筒状に編んだ編組20で覆い、編組20の筒口22全周にわたって均一にはんだを付着させて固化させることで素線すべてを定形を保ちつつ各素線を互いにシールド導通状態にさせ、編組20の筒口22の近傍側部を鍔状に広げて二重に重ね合わせて成形する重なり部23を設け,二重に重ねた重なり部23に編組20の網目を押し広げるようにして、円板座の中心にボルト孔24aが形成され、ボルト孔24aの孔縁に対向一対の編留め爪24bが形成され、円板座の外縁に対向一対の位置決め爪24cを編留め爪24bと背中合わせの方向に立ち上げて形成された金属製の鳩目形ワッシャ24を組み付けてセットし,機器側のアース接地されている被取付体Bにボルト44を鳩目形ワッシャ24のボルト孔24aに通して重なり部23と被取付体Bをシールド結合したことを特徴とする。
【0014】
以上の構成から、図5に示すように、導電性素線を筒状に編んだ編組20を鳩目形ワッシャ24とボルト44という簡単で安価な部品でもって被取付体Bに強固に結合することで、信頼性のある電磁波シールド性能を得ることができる。編組20の筒口22にははんだ(図2中の符号31)が付着されて網目を形成する導電性素線の1本1本がすべて互いに電気的導通状態に繋がり、その導通状態の繋がりは重なり部23にも及ぶ。鳩目形ワッシャ24はそうした重なり部23の導電性素線のすべてに接続されることになり、その鳩目形ワッシャ24を外板ケースBに金属結合することにより、編組20全体で生じた誘導電流を吸収し、グランドに落として逃がすことができる。
【0015】
また、請求項2に記載の簡易電磁波シールド構造は、請求項1に記載の簡易電磁波シールド構造において,電線引き込み口bから電線10の端末および端子金具13を引き込んだ状態で、電気コネクタを構成する金属製カバー40および樹脂製ハウジング50に編組20の重なり部23を収容し、ボルト44によって被取付体Bに共締めして構成したことを特徴とする。
【0016】
以上の構成から、例えば被取付体Bが電気自動車に搭載されてアース接地Gされているモータの外板ケースである場合、この外板ケースBにシールド導通させる編組20を収容する電気コネクタとしては、極端には編組20の重なり部23だけを局所的に収容すればよいので、金属製カバー40や樹脂製ハウジング50の構造が簡素で小型化できる利点がある。
【0017】
また、請求項3に記載の簡易電磁波シールド構造は、請求項2に記載の簡易電磁波シールド構造において,樹脂製ハウジング50に代えて、金属製カバー40に一体に設けたブラケット72に直接鳩目形ワッシャ25が係止できるようにして構成したことを特徴とする。
【0018】
以上の構成から、この場合図8のような形状となっている鳩目形ワッシャ25を金属製カバー40のブラケット72に係止させるようにすれば、樹脂製ハウジング50が不要となって部材点数を削減できて大幅なコスト低減を実現でき、またハウジング部材が少なくなる分構造全体の大きさや嵩が小さくなり、自動車の車体など設置スペースに厳しく制限される場合に特に有効である。
【0019】
また、請求項4に記載の簡易電磁波シールド構造の製造装置は、図3(a),(b)および図4(a)〜(d)に示すように、電線端末に端子金具13を圧着した電線10を外側から導電性の素線を筒状に編んだ編組20で覆い、編組20の筒口22の全周にわたって均一にはんだを付着させて固化させることで素線のすべてを定形を保ちつつ各素線を互いにシールド導通状態にさせ、編組20の筒口22の近傍側部を鍔状に広げて二重に重ね合わせて成形する重なり部23を設け,二重に重ねた重なり部23に編組20の網目を押し広げるようにして、円板座の中心にボルト孔24aが形成され、ボルト孔24aの孔縁に対向一対の編留め爪24bが形成され、円板座の外縁に対向一対の位置決め爪24cを編留め爪24bと背中合わせの方向に立ち上げて形成された金属製の鳩目形ワッシャ24を組み付けてセットし,機器側のアース接地されている被取付体Bにボルト44を鳩目形ワッシャ24のボルト孔24aに通して重なり部23と被取付体Bをシールド結合してなっている簡易電磁波シールド構造の製造装置であって,中央部にボルト孔24aを有しかつそのボルト孔24aから折り曲げ可能な編留め爪24bを立ち上げて設けた前記鳩目形ワッシャ24を位置決めして保持する座台60と,この座台60上の鳩目形ワッシャ24のボルト孔24に通した状態でセットされ、編組20の重なり部23の網目を押し広げて挿通可能なテーパガイド部61aを有し、このテーパガイド部61aによって重なり部23を鳩目形ワッシャ24の編留め爪24bの外側位置に落とし込んで案内できるようにしたプレスポンチ61と,このプレスポンチ61のテーパガイド部61aに当接して押し下げることにより、鳩目形ワッシャ24の編留め爪24bを上から押圧して折り曲げて編組20の重なり部23に上から圧着するための押し型62と,を備えたことを特徴とする。
【0020】
以上の構成から、鳩目形ワッシャ24を編組20の重なり部23に一体的に組み付けるのに、座台60とプレスポンチ61と押し型62からなる治具で簡単かつ能率的に作業を行うことができる。鳩目形ワッシャ24は、従来構造として示された図10中の金属製ネット8のようにつなぎ部材として機能するが、そうした金属製ネット8と比較するまでもなく安価な鳩目形ワッシャ24を編組20に能率的にしかも強固に治具を用いて組み付けることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる簡易電磁波シールド構造の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
図1において、自動車の車体などに引き回して配索されてきた電線・ケーブルやワイヤハーネス(以下、便宜的に電線10と総称する)は、それらの全長にわたって上から編組20で覆われ、また例えばその編組20の上から配索個所の要所ごとに図示しないコルゲートチューブを被せて保護することができる。編組20は、本例では導電性の金属素線を筒状に編んだものであるが、ポリエステルなどの樹脂線にCu(銅)メッキ仕上げした素線をスパイラルに巻き付けたものを網目素線とし、それを筒状に編んだものも周知である。
【0023】
電線10は、銅線などの導体11上に絶縁体12を押出し被覆したものが示され、各端末の絶縁体12を皮剥処理して剥き出しにした導体11にLA端子などの端子金具13がかしめ部13aでかしめ加工して圧着されている。そうした電線端末および端子金具13は、図5以下の各図で取付例を示すように、電気自動車に搭載されたモータのアルミニウムなど金属製の外板ケースBを被取付体にして、これに貫通して設けた電線引き込み口bから引き込まれる。引き込んだ端子金具13をボルト孔13bでボルト(図示せず)によりモータ入出力端子に締結し、電気的導通を図るようになっている。その際、電線10に流れる大電流・高電圧のために電磁波の影響が他機器に及ばないよう、上記編組20と次に示す各部材で電磁波シールド処理が施される。
【0024】
従来構造の説明で述べたように、有効な電磁波シールド機能を得るには、編組20の筒口22の処理が大事な要件となる。そこで、図2に示すように、はんだ槽30からなる処理装置によって編組20の筒口22にはんだを付着する処理が行われる。はんだ槽30に収容された溶融はんだ31に浸漬させて、治具32に保持した編組20の筒口22に溶融はんだ31を付着させる。そのように筒口22に溶融はんだ31を付着させて固化させることにより、筒口22における金属素線の1本1本がほつれたり、ばらけたりせずに定形を保ち、互いに電気的導通状態に繋がる。筒口22を定形に保つことは、その後の配索作業や機器への接続作業などにおいて寸法出しを能率アップさせることにもなる。また、治具32はドーム形状となっており、開口縁に設けた鍔状のフランジ部32aに編組20の筒口22に当て添いすることではんだ付着作業が能率的になる。
【0025】
そのように筒口22をはんだ付着で定形に処理した編組20は、各電線10を通した状態(図1)でその筒口近くを二重に畳み重ねるようにして重なり部23を設け、そこに本発明の要旨部材である金属製の鳩目形ワッシャ24が編組20の網目を押し広げるようにして組み付けてセットされている。この鳩目形ワッシャ24は、図5以下の各図で示すように、被取付体としてアース接地Gされているモータ外板ケースBにボルト44で編組20を直結する座金部材であると同時に、電磁波シールドターミナルとして機能する。
【0026】
ここで、図3(a),(b)は鳩目形ワッシャ24を編組20の重なり部23に組み付けるための治具を示し、図4(a)〜(d)はその治具を用いたワッシャ組付工程を順番に示している。鳩目形ワッシャ24は金属板をプレス打ち抜き成形などした円板座の中心にボルト孔24a(図6中の拡大円内参照)を有し、そのボルト孔24aの孔縁から対向一対の編留め爪24bを立ち上げ、円板座の外縁からは対向一対の位置決め爪24cを編留め爪24bと背中合わせの方向に立ち上げて設けたものである。
【0027】
まず、鳩目形ワッシャ24の位置決め爪24cを座台60の位置決めスリット60cに差し込んでセットする〔図4(a)〕。次いで、プレスポンチ61の基幹部61bを鳩目形ワッシャ24のボルト孔24aに通しながら座台60側のポンチ受け孔60bに嵌合させる〔図4(b)〕。次に、編組20の重なり部23の一方側と他方側を順番に、屹立しているプレスポンチ61のテーパガイド部61aに押し当て、金属素線の網目を押し広げるようにして既にセットされた鳩目形ワッシャ24の編留め爪24bの外側に当たるまで押し下げる〔図4(c)〕。この後、第3の治具である押し型62を用い、この凹部62bをプレスポンチ61のテーパガイド部61aに係合させて押し下げ、テーパガイド部61aの下端の両脇部に巻き込むように案内して鳩目形ワッシャ24の編留め爪24bをプレスし、編組20の重なり部23の上に折り込んで掛止する〔図4(d)〕。このようにして組付後、一体化している編組20の重なり部23と鳩目形ワッシャ24を座台60のスリット60cから引き上げて離型する。
【0028】
図5は、そのように鳩目形ワッシャ24を組み付けた編組20によって外側から電線10を覆い、この電線10をモータの外板ケースBに電線引き込み口b1から引き込んで、端子金具13によってモータ入出力端子に接続する構造例を示している。すなわち、電線端末の端子金具13を外板ケースBに電線引き込み口b1から引き込んだセット状態で、編組20の筒口22の筒口に近い重なり部23でボルト44により外板ケースBの雌ネジ孔b2に螺合させて直結する。
【0029】
かかる構造から、実機搭載後の通電使用中に大電流・高電圧の電線10から発生する電磁波は、編組20の重なり部23→鳩目形ワッシャ24→ボルト44→外板ケースB→アース接地Gというシールド導通経路で吸収される。
【0030】
その場合、編組20の筒口22ははんだ付着処理がなされて金属素線による網目の1本1本のすべてが互いに電気的導通状態に繋がっているから、すべての金属素線同士の繋がりによるシールド導通は重なり部23にも及ぶことになり、鳩目形ワッシャ24はそうした金属素線のすべてに接続される。結果、鳩目形ワッシャ24を外板ケースBに金属結合で直結させてアース接地Gすれば、編組20全体で生じる誘導電流を吸収し、グランドに落として逃がすことができる。
【0031】
このようにボルト44と鳩目形ワッシャ24という簡単で安価な部品を用いるだけで、図5に示すように、強力かつ確実に編組20を被取付体であるモータ外板ケースBに直結した場合は、有効な電磁波シールド性能を実現できる。そうした効果や利点は、上記図10,図11,図12のいずれの従来構造と比較しても明らかである。
【0032】
一方、図6と図7は、電気コネクタに収容状態の電線端末部を被取付体のモータ外板ケースBに引き込んで接続する場合の第1実施の形態を示す分解斜視図と組立断面図である。
【0033】
端末に端子金具13を備えた電線10を外板ケースBの電線引き込み口bに挿通させ、端子金具13をモータ入出力端子に接続させる。その際、電気コネクタを構成する金属製カバー40および樹脂製ハウジング50と一緒に編組20をボルト44で外板ケースBに共締めしている。金属製カバー40は本体部41の適所にボルト孔42を有し、側板部にロック孔43を有している。樹脂製ハウジング50は本体部51の適所にボルト44が挿通する金属製カラー52を嵌着して備えている。図7で明らかなように、金属製カラー52は、編組20の重なり部23に一体の鳩目形ワッシャ24と外板ケースBの双方に接触して電気的導通状態に中継している部材である。したがって、この金属製カラー52も鳩目形ワッシャ24と同様に電磁波シールドターミナル機能をもつ部材ということができる。
【0034】
また、樹脂製ハウジング50は、かかる金属製カラー52の左右位置に対向一対の位置決めスリット53を形成してあり、鳩目形ワッシャ24に設けた対向一対の位置決め爪24cをその位置決めスリット53に挿入して仮決めするようになっている。そうした本体部51の側面に上記金属製カバー40側のロック孔43に係合するロック凸部54を有し、金属製カバー40とほぼワンタッチで組立可能となっている。
【0035】
このように、電気コネクタを構成する金属製カバー40と樹脂製ハウジング50は、少なくとも編組20の重なり部23と鳩目形ワッシャ24を内部に収容できるだけの大きさや形状であればよいから、コネクタ全体を小型化することができる。
【0036】
以上から、この第1実施の形態にかかる簡易電磁波シールド構造は次のように作用する。電線端末の端子金具13を外板ケースBに電線引き込み口bから引き込んだセット状態で、ボルト44を編組20の重なり部23における鳩目形ワッシャ24に通し、以下順番に電気コネクタの金属製カバー40、鳩目形ワッシャ24、そして樹脂製ハウジング50側の金属製カラー52に素通しして、外板ケースBの雌ネジ孔bに螺合させて結合する。
【0037】
それによって、電線10から発生する電磁波は編組20の重なり部23→鳩目形ワッシャ24→金属製カラー52→ボルト44→外板ケースB→アース接地Gというシールド導通経路で吸収される。なお、金属製カバー40もまた電磁波シールドターミナルを構成する金属シェルとして電磁波を吸収することができる。
【0038】
次に、図8および図9は、電気コネクタに収容状態の第2実施の形態を示す分解図と組立図である。
【0039】
この場合、上記第1実施の形態の図6で示された樹脂製ハウジング50に代わる部材または部分として、金属製カバー70の側壁から一体にブラケット72を設け、このブラケット72に直接鳩目形ワッシャ25を仮位置決めできるようにしている。したがって、樹脂製ハウジング50を削減できるので、コスト低下に大きく寄与でき、しかも電気コネクタ全体を小型化できるので、車体など設置スペースに厳しく制限される場合は特に有効である。
【0040】
すなわち、金属製カバー70のブラケット72にボルト44を通す素孔のボルト孔73を設け、この左右位置に対向一対の位置決めスリット74を形成している。さらに、ブラケット72の縁両側に突出した形の折り爪75を設け、編組20の重なり部23に背後からその折り爪75を折り曲げて圧着して掛止できるようになっている。
【0041】
また、この場合の鳩目形ワッシャ25は円板座中央にボルト44を通すだけの矩形のボルト孔25aを有し、そのボルト孔25aの孔縁に対向一対の編留め爪25bが形成され、また円板座の外周縁に対向一対の係止爪25cを立ち上げている。その係止爪25cを上記金属製カバー70に設けたブラケット72の2つの位置決めスリット74に挿入することで、鳩目形ワッシャ25を介して直に編組20の重なり部23を金属製カバー70に結合することができる。したがって、この第2実施の形態の金属製カバー70は、編組20が直接結合されるという意味で、鳩目形ワッシャ25と同機能の電磁波シールドターミナルともいうべき部材である。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明にかかる請求項1に記載の簡易電磁波シールド構造は、導電性素線を筒状に編んだ編組を鳩目形ワッシャとボルトという簡単で安価な部品でもって被取付体に強固に結合することで、信頼性のある電磁波シールド性能を得ることができる。編組の筒口にははんだが付着されて網目を形成する導電性素線の1本1本がすべて互いに電気的導通状態に繋がり、その導通状態の繋がりは重なり部にも及ぶので、鳩目形ワッシャはその重なり部の導電性素線のすべてに接続され、被取付体に金属結合させることにより編組全体で生じた誘導電流を吸収し、グランドに落として逃がすことができる。
【0043】
また、請求項2に記載の簡易電磁波シールド構造は、例えば被取付体が電気自動車に搭載されてアース接地されているモータ外板ケースである場合、この外板ケースにシールド導通させる編組を収容する電気コネクタとしては、極端には編組の重なり部だけを局所的に収容すればよいので、コネクタハウジングの構造を簡素で小型化できる。
【0044】
また、請求項3に記載の簡易電磁波シールド構造は、金属製カバーのブラケットに鳩目形ワッシャを直に係止させるようにすれば、電気コネクタの樹脂製ハウジングが不要となって部材点数を削減できて大幅なコスト低減が実現され、コネクタ構造の全体の大きさや嵩が小さくなり、自動車の車体など設置スペースに厳しく制限される場合に特に有効である。
【0045】
一方、本発明にかかる請求項4に記載の簡易電磁波シールド構造の製造装置は、鳩目形ワッシャを編組の重なり部に一体的に組み付けるのに、座台とプレスポンチと押し型といった簡単な治具で簡単かつ能率的に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる簡易電磁波シールド構造の要旨部材である編組で電線を覆った状態を示す平面図である。
【図2】同編組の筒口にはんだを付着する装置を示す断面図である。
【図3】同図(a),(b)は、同編組に鳩目形ワッシャを組み付けるための組立治具を示す斜視図である。
【図4】同図(a)〜(d)は、同編組に鳩目形ワッシャを組み付ける組立工程を順に示す断面図である。
【図5】本発明にかかる編組直結式の簡易電磁波シールド構造を示す組立側面図である。
【図6】電気コネクタに収容状態の本構造を被取付体であるモータ外板ケースに結合する各部材からなる構造の第1実施の形態を示す分解斜視図である。
【図7】同第1実施の形態による本構造の組立側面断面図である。
【図8】電気コネクタに収容状態の本構造を被取付体であるモータ外板ケースに結合する各部材からなる構造の第2実施の形態を示す分解斜視図である。
【図9】同第2実施の形態による本構造の組立側面断面図である。
【図10】電磁波シールド構造の従来例を示す組立側面断面図である。
【図11】別の電磁波シールド構造の従来例を示す組立側面断面図である。
【図12】さらに別の電磁波シールド構造の従来例を示す組立側面断面図である。
【符号の説明】
10 電線
11 導体
12 絶縁体
13 端子金具
20 編組
21 編組本体
22 筒口
23 重なり部
24,25 鳩目形ワッシャ
24a,25a ボルト孔
24b,25b 編留め爪
24c 位置決め爪
25c 係止爪
31 溶融はんだ
40,70 金属製カバー(電気コネクタ)
44 ボルト
50 樹脂製ハウジング(電気コネクタ)
52 金属製カラー
53 鳩目形ワッシャの位置決めスリット
60 座台(組立治具)
61 プレスポンチ(組立治具)
61a 編組のテーパガイド部
62 押し型(組立治具)
72 編組係止用のブラケット
B モータの外板ケース(被取付体)
電線引き込み口
ボルト螺合用の雌ネジ孔

Claims (4)

  1. 電線端末に端子金具を圧着した電線を外側から導電性の素線を筒状に編んだ編組で覆い、編組の筒口全周にわたって均一にはんだを付着させて固化させることで前記素線すべてを定形を保ちつつ各素線を互いにシールド導通状態にさせ、該編組の筒口の近傍側部を鍔状に広げて二重に重ね合わせて成形する重なり部を設け,
    前記二重に重ねた重なり部に前記編組の網目を押し広げるようにして、円板座の中心にボルト孔が形成され、該ボルト孔の孔縁に対向一対の編留め爪が形成され、該円板座の外縁に対向一対の位置決め爪を前記編留め爪と背中合わせの方向に立ち上げて形成された金属製の鳩目形ワッシャを組み付けてセットし,
    機器側のアース接地されている被取付体にボルトを前記鳩目形ワッシャのボルト孔に通して前記重なり部と該被取付体をシールド結合したことを特徴とする簡易電磁波シールド構造。
  2. 請求項1に記載の簡易電磁波シールド構造において,
    線引き込み口から前記電線の端末および端子金具を引き込んだ状態で、電気コネクタを構成する金属製カバーおよび樹脂製ハウジングに前記編組の重なり部を収容し、前記ボルトによって前記被取付体に共締めしたものである簡易電磁波シールド構造。
  3. 請求項2に記載の簡易電磁波シールド構造において,
    前記樹脂製ハウジングに代えて、前記金属製カバーに一体に設けたブラケットに直接前記鳩目形ワッシャが係止できるようにしたものである簡易電磁波シールド構造。
  4. 電線端末に端子金具を圧着した電線を外側から導電性の素線を筒状に編んだ編組で覆い、該編組の筒口の全周にわたって均一にはんだを付着させて固化させることで前記素線のすべてを定形を保ちつつ各素線を互いにシールド導通状態にさせ、該編組の筒口の近傍側部を鍔状に広げて二重に重ね合わせて成形する重なり部を設けて、前記二重に重ねた重なり部に前記編組の網目を押し広げるようにして、円板座の中心にボルト孔が形成され、該ボルト孔の孔縁に対向一対の編留め爪が形成され、該円板座の外縁に対向一対の位置決め爪を前記編留め爪と背中合わせの方向に立ち上げて形成された金属製の鳩目形ワッシャを組み付けてセットして、機器側のアース接地されている被取付体にボルトを前記鳩目形ワッシャのボルト孔に通して前記重なり部と該被取付体をシールド結合してなっている簡易電磁波シールド構造の製造装置であって,
    中央部にボルト孔を有しかつそのボルト孔から折り曲げ可能な編留め爪を立ち上げて設けた前記鳩目形ワッシャを位置決めして保持する座台と,
    この座台上の鳩目形ワッシャのボルト孔に通した状態でセットされ、前記編組の重なり部の網目を押し広げて挿通可能なテーパガイド部を有し、このテーパガイド部によって前記重なり部を前記鳩目形ワッシャの編留め爪の外側位置に落とし込んで案内できるようにしたプレスポンチと,
    このプレスポンチのテーパガイド部に当接して押し下げることにより、前記鳩目形ワッシャの編留め爪を上から押圧して折り曲げて前記編組の重なり部に上から圧着するための押し型と,
    を備えたことを特徴とする簡易電磁波シールド構造の製造装置
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