JP3882538B2 - 熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用丸鋼 - Google Patents

熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用丸鋼 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用丸鋼材に関する。より詳しくは、ボール、コロ、ニードル、シャフト、レースなどの軸受要素部品の用途に好適な熱間加工で成形して用いる丸鋼材に関する。
【従来の技術】
【0002】
ボール、コロ、ニードル、シャフト、レースなどの軸受要素部品の素材鋼として、一般に、JIS G 4805で規格化されたSUJ2鋼などの高炭素クロム軸受鋼が多用されている。
【0003】
上記の所謂「軸受用鋼」は、熱間圧延などの手段で棒鋼や線材といった丸鋼材に加工された後、下記(a)又は(b)の手法で前記各種の要素部品に仕上げられることが多い。
【0004】
(a)熱間での切断、鍛造などの加工によって要素部品に近い形状に成形され、その後、軟化を目的とした球状化焼鈍を受け、次いで切削加工を施され、更に、焼入れと低温での焼戻しによる熱処理を受けて所望の機械的性質を付与される。
【0005】
(b)軟化を目的とした球状化焼鈍を受け、次いで冷間鍛造、冷間抽伸や切削などの加工によって要素部品に成形され、更に、焼入れと低温での焼戻しによる熱処理を受けて所望の機械的性質を付与される。
【0006】
このうち(a)の手法は、熱間加工で要素部品に近い形状に成形するものであるため、冷間鍛造に較べて複雑な形状の要素部品にも適用可能であり、又、コストが嵩む切削加工での切削量を減らすことができる。したがって、近年では上記(a)の手法で軸受要素部品が製造されることが多くなり、熱間鍛造用金型や熱間切断用の刃の寿命を向上することが可能な熱間加工性の優れた軸受鋼に対する要求が極めて大きくなっている。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記現状に鑑みなされたもので、その目的は特別な元素を添加することなく、熱間鍛造用金型や熱間切断用の刃などの工具寿命を延長することができる、ボール、コロ、ニードル、シャフト、レースなどの軸受要素部品の用途に好適な熱間加工性に優れた熱間加工で成形して用いる丸鋼材を提供することである。
【0008】
ここで、「熱間加工性」は、「熱間加工用の工具の寿命が長い場合に良好」とし、後述の実施例における熱間捩り試験、すなわち、平行部の長さと直径がそれぞれ50mmと10mmの試験片を1050℃、1100℃及び1150℃の各温度で15分保持した後、速度300rpmで熱間捩り試験した際、上記3温度における破断までの捻回数の平均値が84回以下であることを目標とする。又、各種の産業機械や自動車などに使用される軸受には高い面圧が繰り返し作用するので、軸受要素部品用丸鋼材は、後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命を有することを目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨は、下記の熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用丸鋼材にある。
【0010】
すなわち、「質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.49〜2.0%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.5〜2.0%、P:0.005〜0.025%、S:0.003〜0.015%でP(%)+2S(%):0.020〜0.040%、Al:0.01〜0.05%、N:0.005〜0.012%Ni:2.0%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.002%以下、O(酸素)は0.0015%以下の丸鋼材であって、その半径をRとしたとき、横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅が、その丸鋼材の直径の0.0003〜0.003倍である熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用の丸鋼材。」である。
【0011】
なお、本発明でいう「丸鋼材」とは、熱間で加工された断面形状が円形の線材、棒鋼やビレットなどを指し、その「横断面」とは、圧延方向や鍛造軸に垂直に切断した面をいう。
【0012】
又、「丸鋼材でのCr含有量」とは、丸鋼材の横断面の中心から(R/2)の部位で試験片を採取し、通常の方法によって分析した値をいう。
更に、「熱間加工性」を、「熱間加工用の工具の寿命が長い場合に良好」とすることは既に述べたとおりである。
【0013】
本発明者らは、丸鋼材の中心偏析と偏析した合金元素が熱間加工での工具寿命に及ぼす影響について調査・研究を重ね、その結果、下記の知見を得た。
【0014】
(a)一般に、熱間で引張試験した際の絞り値が高い場合に熱間加工で割れやクラックが発生しないので、熱間加工性がよいとされているが、軸受要素部品の素材鋼の場合、通常の熱間加工温度である1000〜1250℃での引張試験の絞り値はほぼ100%であり、熱間鍛造や熱間圧延など一般的な熱間加工で割れやクラックが発生する可能性は極めて小さい。
【0015】
(b)熱間での捩り試験において試験片が破断するまでの捻回数は、軸受要素部品の素材鋼でも、大きな差が生じる場合が多い。そして、この捻回数は熱間加工用の工具の寿命との相関が大きく、この捻回数を低下させた方が熱間加工用の工具の寿命が長くなる。
【0016】
(c)上記(b)における熱間捩り試験での破断までの捻回数を低下させるためには、P及びSの含有量の増加、並びにCr、Cなどの中心偏析量、それも丸鋼材の場合には横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯におけるCr、C量を増加させることが有効である。
【0017】
(d)一方、軸受要素部品に大きな転動疲労寿命を確保させるためには、P及びSの含有量の低減、並びにCr、Cなどの中心偏析量を低減することが有効である。
【0018】
(e)上記(b)及び(c)から、熱間加工用の工具の寿命を長くし、しかも軸受要素部品に良好な転動疲労寿命を確保させるためには、S、Pの含有量、及びCr、Cなどの中心偏析量をある特定の範囲に制御することが重要である。
【0019】
(f)C、Mn及びCrは中心偏析しやすい元素であるが、このうち熱間捩り試験での破断までの捻回数に大きく影響するのは、CとCrである。しかし、Cは軽元素で偏析を精度よく定量することが難しいので、Crの偏析を定量的に評価する手法が有効である。
【0020】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【発明の実施の形態】
【0021】
以下、本発明について詳しく説明する。なお、化学成分の含有量の「%」は「質量%」を意味する。
(A)丸鋼材の化学組成
C:0.8〜1.2%
焼入れと低温での焼戻しによる熱処理を行って軸受用鋼材(軸受要素部品)に所望の機械的性質を付与させるが、Cの含有量が0.8%未満では前記焼入れ・焼戻し後の硬度が低く、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。一方、Cの含有量が1.2%を超えると、鋼の凝固時に巨大な炭化物が生成しやすくなり、目標とする転動疲労寿命を確保させるためには高温で長時間の均質化熱処理を行う必要が生じるのでコストが嵩んでしまう。したがって、Cの含有量を0.8〜1.2%とした。なお、Cの含有量は0.8〜1.0%とすることが好ましく、0.8〜0.9%とすれば一層好ましい。
【0022】
Si:0.49〜2.0%
Siは、転動疲労寿命を高めるのに有効な元素であるほか、脱酸剤として必要な元素でもある。又、Siは鋼の焼入れ性を高める元素でもある一方、Siの含有量が2.0%を超えると、熱間圧延後や球状化焼鈍後に、脱スケールするために長時間を要するので生産性の大幅な低下を招く。したがって、Siの含有量を0.49〜2.0%とした。なお、Siの含有量は0.49〜1.0%とすることが好ましく、0.49〜0.6%とすれば一層好ましい。
【0023】
Mn:0.2〜1.5%
Mnは、鋼の焼入れ性を向上させると同時に、Sによる熱間脆性の防止に必要な元素である。これらの効果を発揮させるためにはMnを0.2%以上含有させる必要がある。一方、Mnの含有量が1.5%を超えると、Mnの中心偏析が顕著になり、Crの中心偏析を後述する範囲に制御しても転動疲労寿命の低下が著しくなり、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られなくなる。したがって、Mnの含有量を0.2〜1.5%とした。なお、Mn含有量の望ましい範囲は0.2〜1.0%であり、0.2〜0.8%であれば一層望ましい。
【0024】
Cr:0.5〜2.0%
Crは、鋼の焼入れ性を向上させると同時に、熱間加工用の工具の寿命を大きくするのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.5%未満の場合には、たとえCrの中心偏析を後述する範囲に制御しても前記した熱間捩り試験で、所望の84回以下の捻回数にはなり難く、したがって熱間加工用の工具の長寿命化がなし難い。一方、2.0%を超えるとCr及びCの中心偏析が顕著になって転動疲労寿命の低下が著しくなり、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られなくなる。したがって、Crの含有量を0.5〜2.0%とした。なお、Crの含有量は0.7〜1.5%とすることが好ましく、0.7〜1.2%とすれば一層好ましい。
【0025】
P:0.005〜0.025%
Pは、Sと複合して熱間加工用の工具の寿命を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.005%未満では、前記した熱間捩り試験で、所望の84回以下の捻回数にはなり難く、したがって熱間加工用の工具の長寿命化がなし難い。一方、Pは粒界に偏析して粒界を脆化させやすい元素であり、その含有量が0.025%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなって所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られなくなる。したがって、Pの含有量を0.005〜0.025%とした。なお、Pの含有量は、P(%)+2S(%)で0.020〜0.040%を満足する必要がある。
【0026】
S:0.003〜0.015%
Sは、Pと複合して熱間加工用の工具の寿命を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.003%未満では、前記した熱間捩り試験で、所望の84回以下の捻回数にはなり難く、したがって熱間加工用の工具の長寿命化がなし難い。一方、SはMnと結合してMnSを形成し、転動疲労寿命を低下させてしまう元素であり、特に、その含有量が0.015%を超えると、粗大なMnSを形成しやすくなるので転動疲労寿命の低下が著しくなって所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。したがって、Sの含有量を0.003〜0.015%とした。なお、Sの含有量は、P(%)+2S(%)で0.020〜0.040%を満足する必要がある。
【0027】
P(%)+2S(%):0.020〜0.040%
前述のようにPとSとは複合して熱間加工用の工具の寿命を向上させる。しかし、P(%)+2S(%)の値が0.020%未満の場合には、前記した熱間捩り試験で、所望の84回以下の捻回数にはなり難く、したがって熱間加工用の工具の長寿命化がなし難い。一方、P(%)+2S(%)の値が0.040%を超えると、たとえP及びSの含有量がそれぞれ前記した0.010〜0.025%、0.003〜0.015%であっても、転動疲労寿命の低下が著しくなって所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。したがって、P(%)+2S(%)の値を0.020〜0.040%とした。
【0028】
Al:0.01〜0.05%
Alは、脱酸作用を有する。更に、AlはNと結合してAlNを形成し、結晶粒が粗大化するのを防止する作用を有する。しかし、Alの含有量が0.01%未満ではこうした効果が得難い。一方、Alは非金属系介在物を形成して転動疲労寿命の低下を招く元素であり、特に、その含有量が0.05%を超えると、粗大な非金属系介在物を形成しやすくなるので転動疲労寿命の低下が著しくなって所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られなくなる。したがって、Alの含有量を0.01〜0.05%とした。なお、Alの含有量は0.01〜0.04%とすることが好ましく、0.01〜0.03%とすれば一層好ましい。
【0029】
N:0.005〜0.012%
Nは、Alと結合してAlNを形成し、結晶粒が粗大化するのを防止する作用を有する。しかし、Nの含有量が0.005%未満ではこの効果は得難い。一方、Nの含有量が多くなると粗大なAlNが生じやすくなり、又、不純物元素としてのTiの含有量を後述する範囲に抑えても粗大なTiNが生じやすくなって、転動疲労寿命が低下してしまう。特に、その含有量が0.012%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなって所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。したがって、Nの含有量を0.005〜0.012%とした。
【0030】
本発明の熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用の丸鋼材には、必要に応じてNi選択的に含有させることができる。すなわちNi任意添加元素として添加し、含有させてもよい
【0031】
以下、任意添加元素としてのNiに関して説明する。
【0032】
Ni:2.0%以下
Niは、添加すれば、焼入れ後のマルテンサイト中に固溶して靱性を高める作用を有する。この効果は不純物レベルの含有量であっても得られるが、より顕著にその効果を得るには、Niは0.2%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、2.0%を超えて含有させても、前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Niの含有量を2.0%以下とした。なお、添加する場合のNi含有量の好ましい範囲は0.2〜2.0%である。
本発明においては、不純物元素としてのTi及びO(酸素)の含有量を下記のとおりに制限する。
【0033】
Ti:0.002%以下
Tiは、Nと結合してTiNを形成し、転動疲労寿命を低下させてしまう。特にその含有量が0.002%を超えると、転動疲労寿命の低下が著しくなり、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。したがって、Tiの含有量を0.002%以下とした。なお、不純物元素としてのTiの含有量はできるだけ少なくすることが望ましい。
【0034】
O(酸素):0.0015%以下
Oは、酸化物系介在物を形成し、転動疲労寿命を低下させてしまう。特にその含有量が0.0015%を超えると転動疲労寿命の低下が著しくなり、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。したがって、Oの含有量を0.0015%以下とした。なお、不純物元素としてのOの含有量はできる限り少なくすることが望ましい。
【0035】
(B)丸鋼材の横断面におけるCrの偏析帯の幅
本発明においては、丸鋼材の横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅を、その丸鋼材の直径の0.0003〜0.003倍に規定する。なお、「丸鋼材でのCr含有量」が、丸鋼材の横断面の中心から(R/2)の部位で試験片を採取し、通常の方法によって分析した値を指すことは既に述べたとおりである。
【0036】
ここで、丸鋼材の横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯を対象とするのは、この領域の偏析帯に着目しておけば、熱間加工用の工具の寿命と軸受要素部品の転動疲労寿命とが評価できるためである。
【0037】
前記した丸鋼材の横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅が、その丸鋼材の直径の0.0003倍未満の場合には熱間捩り試験で所望の捻回数(後述の実施例における捩り試験での84回以下の捻回数)にはならず、したがって熱間加工用の工具の長寿命化がなされない。一方、丸鋼材の横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅が、その丸鋼材の直径の0.0030倍を超える場合には、転動疲労寿命の低下が著しくなり、所望の転動疲労寿命(後述の実施例における転動疲労試験で、1.0×10 以上の転動疲労寿命)が得られない。
【0038】
ここで、「丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅」は、例えば、丸鋼材の横断面を鏡面研磨した後、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)に付属したエネルギー分散形X線分析装置(以下、EDXという)によって決定すればよい。具体的には、例えば、EDXのプローブ径を1μmとし、丸鋼材の横断面の中心部を測定開始点として「R/10」の部位までをCrについて線分析を実施し、その測定チャートを用いて、Crの分析値が丸鋼材でのCr含有量の1.3倍以上であった箇所のうち、最も幅の広い箇所の幅を前記「丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅」とすればよい。
【0039】
なお、「丸鋼材の横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅を、その丸鋼材の直径の0.0003〜0.003倍にする」には、例えば、均質化熱処理する前の鋼塊を丸い形状として、横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、鋼塊でのCr含有量の2.0倍を超えるCr含有量となる領域の幅が上記丸い形状の鋼塊の直径の0.0002〜0.002倍であった場合には、1200〜1240℃の温度域で6〜12時間の均質化熱処理を行えばよい。ここで、「丸鋼材でのCr含有量」と同様に、「鋼塊でのCr含有量」とは、丸い形状の鋼塊の横断面の中心から(R/2)の部位で試験片を採取し、通常の方法によって分析した値を指す。
【0040】
前記(A)項に記載の化学組成と本(B)項に記載の横断面におけるCrの偏析帯の幅を有する丸鋼材は、通常の方法で熱間鍛造や熱間切断などの加工を施され、更に、焼入れと低温での焼戻しによる熱処理を受けて所望の機械的性質を有する軸受要素部品に仕上げられてから、精密機械部品である最終製品としての軸受に組み立てられる。
【0041】
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明する。
【実施例】
【0042】
表1に示す化学組成を有する鋼A、B、D〜F、I〜Lを300kg真空炉で溶解した後、50kgの鋳型に5分湯して、同一化学成分を有する鋼塊(インゴット)を各5個ずつ作製した。表1における鋼B及び化学組成が本発明で規定する条件を満足する鋼であり、一方、鋼A、E、F及びI〜Lは成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例の鋼である。
【0043】
表1
Figure 0003882538
【0044】
上記鋼A、B、D〜F、I〜Lの各5個の鋼塊のうち4個について、それぞれ電気炉を用いて均質化熱処理を行った。均質化熱処理の処理条件(ヒートパターン)は下記の4条件である。
【0045】
条件W:1240℃に加熱して4時間保持した後、炉外で放冷、
条件X:1240℃に加熱して8時間保持した後、炉外で放冷、
条件Y:1240℃に加熱して12時間保持した後、炉外で放冷、
条件Z:1240℃に加熱して24時間保持した後、炉外で放冷。
【0046】
次いで、各鋼についての5個の鋼塊、すなわち上記の均質化熱処理を行った4個の鋼塊と鋳込みままの均質化処理なしの鋼塊の計5個の鋼塊を、1200℃に加熱して仕上げ温度950℃で熱間鍛造し、その後大気中で放冷して直径40mmの丸棒を得た。
このようにして得た直径が40mmの丸棒について、Crの偏析帯の幅を測定した。すなわち、直径が40mmの各丸棒の横断面を鏡面研磨した後、SEMに付属したEDXによって「直径が40mmの丸棒でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅」を下記のようにして調査した。すなわち、EDXのプローブ径を1μmとし、前記丸棒の横断面の中心部を測定開始点として2mmの位置までをCrについて線分析を3回実施し、その測定チャートを用いて、Crの分析値が丸棒でのCr含有量の1.3倍以上であった箇所のうち、最も幅の広い箇所の幅を前記「直径が40mmの丸棒でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅」として決定した。
【0047】
更に、直径が40mmの丸棒の中心部から鍛造軸に平行に、機械加工により平行部の長さと直径がそれぞれ50mmと10mmの捩り試験用の試験片を採取し、1050℃、1100℃及び1150℃の各温度で15分保持した後、速度300rpmで熱間捩り試験し、上記3温度における破断までの捻回数の平均値を求めた。
【0048】
又、前記直径40mmの丸棒の中心部から鍛造軸に平行に、機械加工により直径12mm、長さ22mmの試験片を切り出し、この試験片を焼入れ、焼戻し処理(820℃で30分保持してから油焼入れし、160℃で1時間焼戻し)して転動疲労試験に供した。すなわち、円筒型の転動疲労試験機を用いて、潤滑油に#68タービン油を使用して、ヘルツ最大接触応力が5900MPa、試験片負荷回数が46000回/分の条件で転動疲労試験を行った。各鋼について試験片は10個ずつとし、10個の試験片の中で最初に表面剥離をおこしたときの回転数を「転動疲労寿命」とした。転動疲労寿命が1.0×10 以上の場合に転動疲労特性に優れていると評価した。
【0049】
2〜4に、「直径が40mmの丸棒でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅」(各表中では、「Cr偏析帯の幅/直径」と記載)、上記3温度における破断までの捻回数の平均値(各表中では単に「破断までの捻回数」と記載)及び転動疲労寿命の各調査結果をまとめて示す。
【0050】
表2
Figure 0003882538
【0051】
表3
Figure 0003882538
【0052】
表4
Figure 0003882538
【0053】
2〜4から明らかなように、比較例の鋼A及び鋼I〜Lを用いた試験番号の場合、つまり、C含有量が0.8%を下回る鋼Aを用いた試験番号1〜5、P含有量が0.025%を上回り、且つ「P(%)+2S(%)」の値が0.040%を上回る鋼Iを用いた試験番号41〜45、S含有量が0.015%を上回り、且つ「P(%)+2S(%)」が0.040%を上回る鋼Jを用いた試験番号46〜50、Ti含有量が0.002%を上回る鋼Kを用いた試験番号51〜55、及びO(酸素)含有量が0.0015%を上回る鋼Lを用いた試験番号56〜60は、転動疲労寿命が1.0×10 回に達しいない。
【0054】
上記のうち試験番号41、42、46、47、51及び56は、「Cr偏析帯の幅/直径」が0.0030を超えているので転動疲労寿命が特に短い。
【0055】
又、上記のうち試験番号4、5、54、55、59及び60は、「Cr偏析帯の幅/直径」が0.0003を下回るため、捻り試験での破断までの捻回数も目標の値に達していない。
【0056】
比較例の鋼E及びFを用いた試験番号21〜30の場合は「P(%)+2S(%)」の値が0.020%を下回るため、捻り試験での破断までの捻回数が84回より多い。
【0057】
上記のうち試験番号24、25、29及び30は、「Cr偏析帯の幅/直径」が0.0003を下回っているので、捻回数が特に大きい。
【0058】
化学組成が本発明で規定する含有量の範囲内にある鋼であっても、試験番号6及び16は、「Cr偏析帯の幅/直径」が0.0030を上回るため、転動疲労寿命が1.0×10 回に達しいない。又、試験番号9、10及び20、「Cr偏析帯の幅/直径」が0.0003を下回っているため、捩り試験での破断までの捻回数が84回より多い。
【0059】
上記の比較例に対し、本発明で規定する条件を満たす本発明例である試験番号7、8及び17〜19場合には、所望の84回以下の捻回数と1.0×10 以上の転動疲労寿命がともに得られている。
【0060】
【発明の効果】
本発明の丸鋼材は、「熱間加工性」に優れ(すなわち、「熱間加工用の工具の寿命が長い」)更に、転動疲労寿命も長いので、ボール、コロ、ニードル、シャフト、レースなど、熱間加工で成形して用いる軸受要素部品の素材として利用することができる。

Claims (1)

  1. 質量%で、C:0.8〜1.2%、Si:0.49〜2.0%、Mn:0.2〜1.5%、Cr:0.5〜2.0%、P:0.005〜0.025%、S:0.003〜0.015%でP(%)+2S(%):0.020〜0.040%、Al:0.01〜0.05%、N:0.005〜0.012%Ni:2.0%以下を含有し、残部はFe及び不純物からなり、不純物中のTiは0.002%以下、O(酸素)は0.0015%以下の丸鋼材であって、その半径をRとしたとき、横断面の中心から(R/10)までの領域に存在する偏析帯において、丸鋼材でのCr含有量の1.3倍を超えるCr含有量となる領域の幅が、その丸鋼材の直径の0.0003〜0.003倍であることを特徴とする熱間加工で成形して用いる軸受要素部品用の丸鋼材。
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