JP3882040B2 - 帆船 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、帆の受ける風のエネルギーを推力として航行する帆船に関する。特には、風のエネルギーを推進エネルギーに高効率で変換し、帆走の推進力を最大化することのできる帆船に関する。
【0002】
【従来の技術】
帆船は、帆の受ける風の力を推力として航行する船舶である。帆船の推進効果を充分に確保するためには、当然のことながら、風の向き・速度に応じて帆の船体首尾線に対する角度(以下、単に帆の角度ともいう)を適切に制御する必要がある。従来、帆船の帆の制御手法としては、以下(1)〜(3)に列挙するものが知られている。
【0003】
(1)布製等からなる軟帆を乗船者が手動で調整する方法。
これは、乗船者が、風の状態と風に対する帆全体の形状の変化を見ながら、帆の風に対する角度等の調整を手動で行う方法である。この場合、乗船者は、帆の高さ方向(上下方向)に応じて変化する風向・風速を経験的に判断しつつ、軟帆を動かしている。
しかし、この方法は、帆の調整が乗船者の熟練度・個人差に左右され易く、必ずしも最適な調整を行うことができるとは限らない。さらに、布製等からなる軟帆は人手でも操作可能であるが、鋼製等からなる硬帆は人手による操作が極めて困難である。そのため、この方法を適用できる帆船の形態も限られ、汎用度が低いという難点がある。
【0004】
(2)従来の一般的な帆(軟帆又は硬帆)を自動制御する方法。
従来の一般的な帆は、高さ方向(上下方向)の角度調整が不能であるものが多い。この種の帆を自動制御する場合は、風速あるいは帆にかかる力等のデータに基づき、帆の角度の調整が行われる。
しかし、この方法では、風速あるいは帆にかかる力等のデータに基づいて制御しているため、単に高さ方向の風の変化に対する(平均的な意味での)最適制御を行っているにすぎない。そのため、風のエネルギーを帆船の推進エネルギーに充分に変換しきれているとはいえず、改良の余地を残している。
【0005】
(3)特開昭59−184096号公報(特許文献1)に開示された方法。
この特許文献1には、商用大型帆船の帆の角度を高さ方向(上下方向)で変えることのできる複合帆が開示されている。
しかし、この特許文献1には、その帆の角度を、高さ方向の位置に応じてどのように調整すれば最大の推進力が得られるかについては触れられていない。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−184096号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであって、航行状態や絶対風速により変化する相対風向・風速の高さ方向分布を考慮して帆の角度の最適制御を行い、風のエネルギーを推進エネルギーに高効率で変換し、帆走の推進力を最大化することのできる帆船を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記の課題を解決するため、本発明の帆船は、帆の船体首尾線に対する角度を帆の高さ方向の各部でアクチュエータにより各別に調整可能な帆と、 該帆の頂部近傍の相対風向・風速を測定する風向・風速計と、 前記船の対地進行方向・速度を測定する測定手段と、 前記風速計で計測された相対風速及び相対風向と、前記測定手段で計測された船の対地速度と進行方向が入力されて、風速の鉛直分布モデルに基づいて船の受ける風の相対風向・風速の高さ方向の分布を得る演算部と、 得られた相対風向・風速の高さ方向分布と船首方向に応じて、帆の高さ方向の各部における最適迎角を求めて前記アクチュエータに出力する指令部と、を具備することを特徴とする。
【0009】
水上における対地鉛直方向風速分布は、水面付近の境界層によって摩擦抵抗が存在するので、高さ方向(上下方向)に一様とはならない。このような風速分布は、水面位置で風速がゼロであり、上方に向かって徐々に一様風速に近づくと考えられており、観測結果もこれを裏付けるものが得られている。
【0010】
停止している船上での風の観測結果は、一般に、鉛直方向の風速分布が存在していたとしても、高さ方向の位置にかかわらず同じ風向を示す。しかしながら、航行中の船上では、一般に、高さに応じて相対風向が変化するため、3次元的にねじれた相対風向風速分布となる。これは、航行中の船上においては、高さ方向に一様な風速分布(船の航行そのものによって生ずる風速分布)と、高さ方向に変化する風速分布(一様な風速分布に対しある角度をなす風速分布)とが合成され、相対風として観測されるためである。
【0011】
このように、進行している船上から見た風(相対風)の風向・風速は、高さ方向で異なる。本発明では、分布取得手段で船の受ける風の相対風向・風速の高さ方向の分布を取得し、その相対風速風向分布に応じて、帆の高さ方向各部の最適迎角を演算手段で演算する。そして、この演算結果に基づき帆を調整することで、最大の推進力を得ることができる。
【0012】
本発明の帆船においては、前記風向・風速分布取得手段が、 前記帆の頂部近傍の相対風向・風速を測定する風向・風速計と、 前記船の対地進行方向・速度を測定する測定手段と、 水上の高さ方向の絶対風速分布をシミュレーションするシミュレーション手段と、を有することができる。
この場合、風向・風速計の数が少なくても、高さ方向の相対風速分布を推定できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る帆船の模式図である。
図2は、同帆船に装備される帆の例を示す模式図である。(A)は自由度5の帆を示す図であり、(B)は自由度2の帆を示す図である。
図3は、同帆船の帆の制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示す帆船1は、図の左側が船首1Aであり、図の右側が船尾1Bである。この帆船1の船体3において、水没している下部が浸水部である。船体3の浸水部の船尾1B側には、プロペラ5や操舵装置7が取り付けられている。プロペラ5は、プロペラシャフト9を介して、船体3内の図示せぬエンジンに接続されている。プロペラ5は、帆船1の補助的な推進動力を得る際に用いられる。
【0015】
帆船1の船体3上には、この例では3本の帆10が立ち上げられている。図2(A)にわかり易く示すように、各帆10は、船体3に固定されたポール11を備えている。このポール11には、横方向に延びる複数(図2(A)では5本)のブーム13a〜13eが取り付けられている。各ブーム13a〜13eは、基端側(ポール11への取り付け端部)に設けられたアクチュエータ(図3の符号25)により、それぞれ独立に水平方向に旋回可能となっている。
【0016】
ポール11及び隣り合うブーム13a〜13eの間には、帆本体15(15A〜15D)が張られている。この帆本体15には硬帆あるいは布製等からなる軟帆を用いることができる。各帆本体15A〜15Dは、各ブーム13a〜13eの旋回に応じて、それぞれ独立に船体3の首尾線に対する角度(帆の角度)を変えることができる。ポール11の頂部には、風速計17が取り付けられている。
【0017】
なお、図2(A)には5本のブーム13a〜13eを有する5自由度の帆10が描かれているが、図2(B)に示すように、ポール11´の上下に2本のブーム13a´、13b´を有する2自由度の帆10´を用いることもできる。この帆10´においては、帆本体15´の上端側(ブーム13a´側)と下端側(ブーム13b´側)で帆の角度を変えることができる。
【0018】
帆船1の船体3には、図3に示す演算制御装置20が搭載されている。この演算制御装置20により、前述の各帆本体15A〜15Dの角度(すなわち各ブーム13a〜13eの旋回量)を自動制御する。
【0019】
図3に示すように、演算制御装置20の演算部21には、帆10のポール11の頂部に取り付けられた風速計17(図1及び図2参照)から、ポール頂部の相対風速Uwr(h1)と相対風向ψwr(h1)とが入力される。さらに、帆船1に通常装備されているGPS等(図示されず)から、帆船1の船体3の対地速度Usと進行方向ψsとが入力される。演算部21は、高さ方向絶対風速の式(後述する「数3」)に基づき高さ方向の相対風向・風速を算出し、指令部22へと出力する。この指令部22は、最適迎角αiの式(後述する「数9」及び「数10」)と船首方向ψBとに基づき、帆の角度の高さ方向最適分布を算出し、帆のアクチュエータ25へと出力する。なお、船首方向ψBは、帆船1に通常装備されているジャイロやコンパス等で測定できる。
【0020】
以下、帆の角度制御の原理について述べる。
図4は、帆船1の船体3を基準点とする座標系(上方を北(N)とする)を示す図である。
図4においては、船速をUs、船体の船速方向をψs、船体の船首方向をψB、対地風速をUwa、対地風向をψwaで表す。さらに、相対風速をUwr、相対風向をψwr、帆の角度をθで表す。
【0021】
まず、風速の鉛直分布モデルについて説明する。
風速の鉛直分布は、理論的には次の「数1」に示す対数分布で表される(例えば塩谷正雄著、『強風の性質』三訂新版、開発社刊(1992)参照):
【数1】
この「数1」において、Uwa0 *は、高さゼロにおける摩擦風速であって、高さゼロにおけるReynolds応力と空気の密度とから計算される。kはKarman定数を表し、lnは自然対数を表す。h0 *は、高さゼロの表面状態に応じて広範囲に変化する値を表し、滑らかな海面上では2×10−4〜3×10−4程度の値であることが知られている。
【0022】
ところで、風速の鉛直方向分布のモデルとしては、この「数1」式のような対数表現を用いることは少なく、一般には、経験的に求められた次式「数2」のようなべき乗分布式を用いることが多い:
【数2】
この「数2」において、指数tは高さゼロにおける表面の状態によって変化する値である。この指数tの観測値としては、例えば、平らな海岸では1/8.3、開けたやや起伏のある農地では1/7、凸凹のある海岸では1/5、強風時の海上では1/7、弱風時の海上では1/10〜1/20といった結果(数値)が得られている。
【0023】
本実施の形態では、強風時の海上(指数t=1/7)を想定する。この強風時の海上における対地風速Uwaは、一般には高さ方向に変化しており、海面位置をゼロとする鉛直高さをhで表すとき、その対地風速分布Uwa(h)は次式「数3」で近似することができる:
【数3】
この「数3」において、h0は基準高さ(通常h0=10m)を表し、Uwa0はその基準高さh0=10mでの風速を表す。
一方、対地風向の高さ方向分布ψwa (h)は、一般には高さ方向に変化しないと考えられるから、次式「数4」で表される:
【数4】
【0024】
前述の「数3」で述べた海上における対地風速Uwaをベクトル表示すると、次式「数5」となる:
【数5】
さらに、船速Usをベクトル表示すると、次式「数6」となる:
【数6】
そして、対地風向・風速と船の航行に応じて船上で観測される相対風速Uwrは、ベクトル表示を用いると次式「数7」で表される:
【数7】
【0025】
相対風速Uwrと相対風向ψwrは、それぞれ以下の「数8」のように表すことができる:
【数8】
この「数8」式から明らかなように、船上における相対風速Uwrと相対風向ψwrは、高さhの関数である。「数8」式によれば、これら相対風速Uwrと相対風向ψwrは、船速Usと船速方向ψsで表される船の航行状態に依存し、高さ方向に変化することがわかる。
【0026】
航行中の船上では、船上の観測点における相対風速Uwrと相対風向ψwr、すなわち、「数8」式の左辺が観測される。ここで、船上における相対風向・風速の観測点の高さをh1とすると、航行中の船上で観測される「数8」式の左辺は、Uwr(h1)とψwr(h1)であると見なすことができる。このとき、「数8」式の右辺におけるUwa(h)はUwa(h1)に対応することとなる。
【0027】
船の航行中は、船速Usと船速方向ψsは既知であるから、観測値Uwr(h1)及びψwr(h1)を用いて、「数8」式中のUwa(h1)とψwaを求めることができる。そして、これらUwa(h1)とψwaが求まれば、前述の「数3」式を用いて、基準高さh0=10mでの風速Uwa0を求めることができる。この風速Uwa0が求まると、「数3」式に基づいて任意の高さhでの対地風速を推定することができる。なお、対地風向は、「数4」式によりψwaで一定と推定される。
【0028】
本実施の形態では、図2(A)又は(B)に示すような、船首方向に対して帆の角度を高さ方向に変化させることができる帆を用いている。この帆の角度を、高さhの関数としてθ(h)で表すこととする。さらに、帆に対する相対風の迎角をα(h)で表すと、これら帆の角度θ(h)と迎角α(h)、相対風向ψwr、船首方向ψBの関係は、次式「数9」で表される:
【数9】
【0029】
帆船に装備された帆の最適迎角をαiで表す。この最適迎角αiは、帆の出す力(ベクトル)の船の前後方向成分が最大値となる角度として定義される。一般に、最適迎角αiは、相対風向ψwrの関数として与えられる。したがって、相対風向ψwrが高さhの関数である場合は、最適迎角αiも高さhの関数となる。すなわち、次の「数10」式の関係が得られる:
【数10】
【0030】
前述した「数9」式の関係を用いると、この「数10」式に示す最適迎角αi=αi(ψwr)を次式「数11」で与えられる帆の角度θ(h)の値に設定することで、最適な帆の角度設定を実現することが可能となる:
【数11】
この「数11」式中の相対風向角ψwrには、前述の「数8」式からわかるように、船の航行状態によって変化する相対風向・風速の鉛直方向分布が考慮されている。したがって、以上に述べた原理によれば、帆の角度設定にも相対風向・風速の鉛直方向分布が考慮された、最適な帆の角度設定が実現されていることになる。
【0031】
なお、実際に帆の角度を高さ方向に調整する場合については、図2(A)に示す5自由度の帆10のように、高さ方向に比較的細分化して角度調整可能な場合と、図2(B)に示す2自由度の帆10´のように、帆の上端側と下端側でのみ角度を設定する場合等、帆の形式に応じて異なる。しかし、前述の「数10」式における最適迎角は、高さhに関して連続に変化する値を示すから、各高さに応じた帆の角度を設定することで、帆の形式に応じた最適な制御が実現できる。
【0032】
次に、最適迎角αiの設定例について述べる。
図5は、帆の揚力、帆の抗力及び迎角を説明するための説明図である。
図6は、最適迎角の設定例を説明するための説明図である。
図5において、Lは帆の揚力を表し、Dは帆の抗力を表す。これら揚力Lと抗力Dは互いに垂直な関係にあり、揚力Lは風向に対して垂直な方向、抗力Dは風向と同一方向に働く力として定義される。帆の迎角αは、帆の前縁と後縁とを結ぶ線と風向との間の角度として定義される。
【0033】
帆の最適迎角の一設定例として、帆の揚力Lと抗力Dを船の前後方向の力Xと左右方向の力Yに変換して表現したとき、前後方向力Xが最大となる角度として設定するものがある。この例は、帆の出す船の推力が最大となるように帆の角度を決定する方法である。
【0034】
ある相対風向角の状態で出しうる帆の最大推力は、次のようにして求めることができる。すなわち、帆の揚力Lの無次元値を揚力係数CLとし、帆の抗力Dの無次元値を抗力係数CDとする。図6の上側には、帆の空力特性を揚力係数CL及び抗力係数CDで表したとき、縦軸にCLをとり、横軸にCDをとったグラフが描かれている。このグラフに表されているように、船の向き(図6中左斜め上方向)との関係から、揚力係数CL及び抗力係数CDは、推力係数CX(船の前進方向の力(すなわち船の推力)Xの無次元値)と、横力係数CY(船の横方向の力Yの無次元値)とに変換することができる。
【0035】
このとき、推力係数CXの最大点CXmaxは、推力係数CXの垂線とCL−CD曲線との接点として定義される(図6の上側参照)。そして、この最大点CXmaxに対応する迎角αが、最適迎角αiとして定義される(図6の下側参照)。なお、帆の角度θは、前述の原理の「数9」〜「数11」で述べたように、相対風向角に基づき最適迎角αiが実現できる角度にとるものとする。
【0036】
従来の一般的な帆のように、高さ方向に帆の角度調整を行うことのできない場合は、帆全体としてのCL−CD特性が決まる。このCL−CD特性に基づき、ある高さ(通常は風向・風速の計測点の高さ)における相対風向角を代表として採用し、最適迎角αiをある一つの値に決定することができる。しかしながら、相対風向角を代表値とする場合は、高さ方向に変化する相対風速風向分布を考慮していないので、必ずしも最大の推進力を得ることができるとはいえない。
【0037】
一方、本実施の形態で用いている帆のように、高さ方向に帆の角度調整を行うことのできる場合は、帆を水平面で切った2次元断面の特性を考慮すると、この2次元断面形状の高さ方向の変化に応じて、CL−CD特性も高さ方向に変化することとなる。そして、CL−CD特性が高さ方向に変化する場合は、これに応じた高さ方向に変化する値として最適迎角αiを求める。この際には、高さ方向に変化する最適迎角αiの値を実現するように、帆の角度θを調整を行う。本実施の形態では、前述の原理に基づき、図3に示す演算制御装置20により、船の受ける風の相対風向・風速分布に応じて、帆の高さ方向各部の最適迎角を決定して制御できるので、最大の推進力を得ることができる。
【0038】
なお、以上述べた最適迎角αiの設定例は、推力係数CXの最大値CXmaxに基づいたものであるが、横力係数CY及び船の横流れ特性を考慮して最適迎角を設定することも考えられる。
さらに、前述の設定例では、本実施の形態で用いた高さ方向に帆の角度調整を行うことのできる帆について、帆を水平面で切った2次元断面の特性のみを考慮しているが、帆の3次元特性を考慮した最適迎角の設定も原理的に可能と考えられる。
【0039】
このように、本発明に係る帆の角度制御は、相対風向・風速の鉛直方向分布を考慮した最適制御となっている。これは、いわば従来の2次元的制御を3次元的制御に高度化したものといえる。このような帆の角度制御によれば、従来の方法より高効率で、風のエネルギーを船の推進エネルギーに変換することが可能となる。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、航行状態や絶対風速により変化する相対風向・風速の高さ方向分布を考慮して帆の角度の最適制御を行い、風のエネルギーを推進エネルギーに高効率で変換し、推進効果を向上することのできる帆船を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る帆船の模式図である。
【図2】同帆船に装備される帆の例を示す模式図である。(A)は自由度5の帆を示す図であり、(B)は自由度2の帆を示す図である。
【図3】同帆船の帆の制御を行う制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】帆船の船体を基準点とする座標系(上方を北(N)とする)を示す図である。
【図5】帆の揚力、帆の抗力及び迎角を説明するための説明図である。
【図6】最適迎角の設定例を説明するための説明図である。
【符号の説明】
1 帆船
1A 船首 1B 船尾
3 船体 5 プロペラ
7 操舵装置 9 プロペラシャフト
10、10´ 帆 11、11´ ポール
13a〜13e、13a´、13b´ ブーム
15(15A〜15D)、15´ 帆本体 17 風速計
20 演算制御装置 21 演算部
22 指令部 25 アクチュエータ
Claims (2)
- 帆の船体首尾線に対する角度を帆の高さ方向の各部でアクチュエータにより各別に調整可能な帆と、
該帆の頂部近傍の相対風向・風速を測定する風向・風速計と、
前記船の対地進行方向・速度を測定する測定手段と、
前記風速計で計測された相対風速及び相対風向と、前記測定手段で計測された船の対地速度と進行方向が入力されて、風速の鉛直分布モデルに基づいて船の受ける風の相対風向・風速の高さ方向の分布を得る演算部と、
得られた相対風向・風速の高さ方向分布と船首方向に応じて、帆の高さ方向の各部における最適迎角を求めて前記アクチュエータに出力する指令部と、
を具備することを特徴とする帆船。 - 前記風速の鉛直分布が、数式1で表され、
前記相対風速U wr と相対風向ψ wa は、それぞれ数式2で表され、
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