JP3882027B2 - 20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンd誘導体及びその合成中間体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体、その合成中間体及び前記誘導体を有効成分として含有するカルシウム代謝改善剤に関する。さらに詳しくは、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、骨粗鬆症等のカルシウム代謝の欠陥症、乾癬等の皮膚疾患、骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍等の細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療薬として有用である20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体、その合成中間体及び前記誘導体を有効成分として含有するカルシウム代謝改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ビタミンDの研究の進展に伴い、各種の1α−ヒドロキシビタミンD誘導体が医薬品として開発されてきており、例えば、1α−ヒドロキシビタミンD3 や、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 がすでに臨床的に骨粗鬆症治療薬として用いられている。
しかしながら、これらの化合物は、血中カルシウムの上昇作用等の副作用を呈することから、かかる副作用の少ないビタミンD誘導体の研究が近年、活発に行われてきている。前記ビタミンD誘導体として、例えば、24,25−ジヒドロキシビタミンD3 、24−エピビタミンD2 等が骨粗鬆症治療薬として検討されており、また、22−オキサ−1,25−ジヒドロキシビタミンD3 等が副甲状腺機能亢進症治療薬として検討されている。
本発明者らは、カルシウムの代謝改善剤に有用な化合物として、20−エピ−22−メチルビタミンD誘導体をすでに開発している(特開平6−25155号公報)。しかしながら、前記ビタミンD受容体結合活性は極めて高いという優れた性質を有するが、その反面、血中カルシウム上昇作用は高い。したがって、疾患を治療する立場から、高いビタミンD受容体結合活性を有し、かつ安全性に優れたビタミンD誘導体の開発が望まれているのが実状である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、ビタミンD受容体結合活性が高く、血中カルシウム上昇作用がさほど高くなく、安全性により優れたビタミンD誘導体、その合成中間体及び前記誘導体を有効成分として含有するカルシウム代謝改善剤を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 式(I):
【0005】
【化4】
【0006】
(式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は水酸基の保護基を示す)
で表される20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体、
(2) 式(II):
【0007】
【化5】
【0008】
(式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は水酸基の保護基、R4 はメチル基、ヒドロキシメチル基、ハロゲノメチル基、有機スルホニルオキシメチル基又はアルコキシカルボニル基を示す)
で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体、並びに
(3) 式(I):
【0009】
【化6】
【0010】
(式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は水酸基の保護基を示す)
で表される20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体を有効成分として含有してなるカルシウム代謝改善剤
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、20−エピビタミンD誘導体の置換基の影響について詳細に検討を行ったところ、20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体が高いビタミンD受容体結合活性を有するとともに、副作用が小さいことを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0012】
本発明の20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体は、前記したように、式(I):
【0013】
【化7】
【0014】
(式中、R1 、R2 及びR3 はそれぞれ水素原子又は水酸基の保護基を示す)
で表される化合物である。
【0015】
式(I)において、R1 、R2 及びR3 が表す水酸基の保護基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、ベンゾイル基等のアシル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基等のアルコキシカルボニル基;トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基、トリイソプロピルシリル基等の有機シリル基;メトキシメチル基、1−エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基等のアルコキシメチル基;2−テトラヒドロフラニル基、2−テトラヒドロピラニル基等のオキサシクロアルキル基等を挙げることができる。
【0016】
式(I)で表される20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体は、新規化合物であり、公知化合物である式(V):
【0017】
【化8】
【0018】
(式中、R1 及びR2 は前記と同じ)
で表されるプレグナ−5,7−ジエン−20−カルバルデヒド誘導体を出発原料とし、式:
【0019】
【化9】
【0020】
(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同じ、R41はアルコキシカルボニル基、R42はヒドロキシメチル基、R43は有機スルホニルオキシメチル基又はハロゲノメチル基及びR44はメチル基を示す)
で表されるスキームにしたがって合成することができる。
【0021】
前記スキームにしたがって得られる式(I)で表される化合物の合成中間体である式(II−1)、式(II−2)、式(II−3)及び式(II−4)に代表される式(II):
【0022】
【化10】
【0023】
(式中、R1 、R2 及びR3 は前記と同じ、R4 はメチル基、ヒドロキシメチル基、有機スルホニルオキシメチル基、ハノゲノメチル基又はアルコキシカルボニル基を示す)
で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体は、いずれも新規化合物である。
【0024】
式(II)において、R1 、R2 及びR3 は、いずれも式(I)におけるR1 、R2 及びR3 と同様であればよい。
【0025】
また、式(II)において、R4 が表す有機スルホニルオキシメチル基としては、例えば、メタンスルホニルオキシメチル基、ベンゼンスルホニルオキシメチル基、トルエンスルホニルオキシメチル基等を挙げることができる。また、式(I)において、R4 が表すアルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基等を挙げることができる。
【0026】
前記スキームの各工程について、以下に詳しく説明する。
【0027】
式(V)で表されるプレグナ−5,7−ジエン−20−カルバルデヒド誘導体は、例えば、国際公開第88/07545号パンフレット(1988)及び特開平7−188281号公報等に記載されている方法にしたがって合成することができる。
【0028】
▲1▼第1工程
前記プレグナ−5,7−ジエン−20−カルバルデヒド誘導体と水酸基を保護した5−ヒドロキシ−5−メチル−2−ヘキサノンとを常法によりアルドール縮合させ、脱水することにより、式(IV)で表される不飽和ケトンが得られる。
【0029】
▲2▼第2工程
前記(IV)で表される不飽和ケトンを、常法に従い、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素亜鉛等の還元剤で還元し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、式(III)で表される不飽和アルコールが得られる。
【0030】
前記反応で得られる式(III)で表される不飽和アルコールには、24位の水酸基がSの立体配置をとる不飽和アルコール(以下、S−不飽和アルコールという)とRの立体配置をとる不飽和アルコール(以下、R−不飽和アルコールという)が含まれる。前記式(III)で表される不飽和アルコールの立体異性体の混合物から、シリカゲルカラムクロマトグラフィーなどの分離手段を用いて両者を分離することによりS−不飽和アルコールとR−不飽和アルコールとをそれぞれ単離することができる。
【0031】
また、以下の製造工程には、前記不飽和アルコールとしては、前記S−不飽和アルコール及びR−不飽和アルコールの混合物又はそれぞれを単独で用いることができる。
【0032】
▲3▼第3工程
前記式(III)で表される不飽和アルコールを、プロピオン酸、ステアリン酸、安息香酸等の酸触媒の存在下で、常法によりオルト酢酸トリエチル、オルト酢酸トリメチル、オルト酢酸トリプロピル、オルト酢酸トリブチル等のオルト酢酸エステルと反応させて、転位反応を進行させることにより、式(II−1)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0033】
前記反応は、立体特異的に進行する。即ち、前記S−不飽和アルコールからは、22位がSの立体配置をとる式(II−1)で表される化合物(以下、S−(II−1)という)が得られ、R−不飽和アルコールからは、22位がRの立体配置をとる化合物(以下、R−(II−1)という)が得られる。
【0034】
また、前記不飽和アルコールとして、S−不飽和アルコールとR−不飽和アルコールの混合物を用いた場合には、前記のように式(II−1)で表される化合物の立体異性体の混合物が得られる。該混合物からは、第2工程で説明したのと同様の方法により、S−(II−1)とR−(II−1)とをそれぞれ単離することができる。
【0035】
また、以下の製造工程には、前記式(II−1)で表される化合物としては、S−(II−1)及びR−(II−1)の混合物又はそれぞれを単独で用いることができる。
【0036】
▲4▼第4工程
前記式(II−1)で表される化合物を、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リチウム等の還元剤で還元することにより、式(II−2)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0037】
前記反応においては、22位の立体化学は変化しない。即ち、式(II−1)で表される化合物として、前記S−(II−1)を用いた場合には、22位がSの立体配置をとる式(II−2)で表される化合物(以下、S−(II−2)という)、また前記R−(II−1)を用いた場合には、22位がRの立体配置をとる式(II−2)で表される化合物(以下、R−(II−2)という)とをそれぞれ得ることができる。
【0038】
また、前記反応に前記式(II−1)で表される化合物として、S−(II−1)とR−(II−1)の混合物を用いた場合には、前記のようにS−(II−2)とR−(II−2)の混合物が得られる。該混合物からは、第2工程と同様の方法により、S−(II−2)とR−(II−2)とをそれぞれ単離することができる。
【0039】
また、以下の製造工程には、前記式(II−2)で表される化合物としては、S−(II−2)及びR−(II−2)の混合物又はそれぞれを単独で用いることができる。
【0040】
▲5▼第5工程
前記式(II−2)で表される化合物を、メタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド等の有機スルホニルハライドとピリジン、トリエチルアミン等の塩基の存在下で反応させることにより、式(II−3)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0041】
また、他の製造方法としては、前記式(II−2)で表される化合物を、THF中でトリフェニルホスフィン及びイミダゾールの存在下でヨウ素、トリフェニルホスフィン−四臭化炭素等のハロゲン化剤と反応させることにより、式(II−3)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0042】
前記反応においては、22位の立体化学は変化しない。即ち、式(II−2)で表される化合物として、前記S−(II−2)を用いた場合には、22位がSの立体配置をとる式(II−3)で表される化合物(以下、S−(II−3)という)、また前記R−(II−2)を用いた場合には、22位がRの立体配置をとる式(II−3)で表される化合物(以下、R−(II−3)という)とをそれぞれ得ることができる。
【0043】
また、前記反応に前記式(II−2)で表される化合物として、S−(II−2)とR−(II−2)の混合物を用いた場合には、前記のようにS−(II−3)とR−(II−3)の混合物が得られる。該混合物からは、第2工程と同様の方法により、S−(II−3)とR−(II−3)とをそれぞれ単離することができる。
【0044】
また、以下の製造工程には、前記式(II−3)で表される化合物としては、S−(II−3)及びR−(II−3)の混合物又はそれぞれを単独で用いることができる。
【0045】
▲6▼第6工程
前記式(II−3)で表される化合物において、R43として有機スルホニルオキシメチル基を有する化合物の場合、該有機スルホニルオキシメチル基を有する化合物を水素化リチウムアルミニウム、水素化トリエチルホウ素リチウム等の還元剤で還元することにより、式(II−4)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0046】
また、式(II−3)で表される化合物において、R43としてハロゲノメチル基を有する化合物の場合には、該ハロゲノメチル基を有する化合物を、水素化ホウ素ナトリウム、水素化リチウムアルミニウム、水素化トリエチルホウ素リチウム等の還元剤で還元することにより、式(II−4)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体が得られる。
【0047】
前記反応においては、22位の立体化学は変化しない。即ち、式(II−3)で表される化合物として、前記S−(II−3)を用いた場合には、22位がSの立体配置をとる式(II−4)で表される化合物(以下、S−(II−4)という)、また前記R−(II−3)を用いた場合には、22位がRの立体配置をとる式(II−4)で表される化合物(以下、R−(II−4)という)とをそれぞれ得ることができる。
【0048】
また、前記反応に前記式(II−3)で表される化合物として、S−(II−3)とR−(II−3)の混合物を用いた場合には、前記のようにS−(II−4)とR−(II−4)の混合物が得られる。該混合物からは、第2工程と同様の方法により、S−(II−4)とR−(II−4)とをそれぞれ単離することができる。
【0049】
また、以下の製造工程には、前記式(II−4)で表される20−エピ−22−置換メチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモプロビタミンD誘導体としては、S−(II−4)及びR−(II−4)の混合物又はそれぞれを単独で用いることができる。
【0050】
▲7▼第7工程
前記式(II−4)で表される化合物を、常法に従い、光異性化、熱異性化することにより、式(I)で表される20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体を得ることができる。
【0051】
また、前記反応を行なう際に、前記式(II−4)で表される化合物を、メタノール、エタノール等のアルコール及び/又は水の存在下にp−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸等の酸触媒を用いて、25位の水酸基の保護基であるR3 を脱保護したものを用いることができる。
【0052】
前記反応においては、22位の立体化学は変化しない。即ち、式(II−4)で表される化合物として、前記S−(II−4)を用いた場合には、22位がSの立体配置をとる式(I)で表される化合物(以下、S−(I)という)、また前記R−(II−4)を用いた場合には、22位がRの立体配置をとる式(I)で表される化合物(以下、R−(I)という)とをそれぞれ得ることができる。
【0053】
また、前記反応に前記式(II−4)で表される化合物として、S−(II−4)とR−(II−4)の混合物を用いた場合には、前記のようにS−(I)とR−(I)の混合物が得られる。該混合物からは、第2工程と同様の方法により、S−(I)とR−(I)とをそれぞれ単離することができる。
【0054】
このようにして得られた式(I)で表される化合物の反応混合物からの単離・精製は、一般に有機化合物を反応混合物から単離・精製する際に用いられている方法と同様の方法によって行うことができる。例えば、反応混合物を濃縮することにより粗生成物を得、得られた粗生成物を必要に応じて再結晶、クロマトグラフィー等に付することによって行うことができる。
【0055】
本発明の式(I)で表される化合物は、1,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体に対して高い結合活性を示し、しかもビタミンD結合タンパクとの親和性が低く、高い分化誘導能を有することから、乾癬等の皮膚疾患、骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍等の細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療薬として有用である。また、低カルシウム、低ビタミンD食ラットに対する投与においても血中カルシウムの上昇作用が弱く、急性毒性試験においても低毒性であったことから、副作用の少ない、骨粗鬆症、副甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、骨軟化症等のカルシウム代謝の欠陥症の治療薬として有用である。このように本発明の化合物は、カルシウム代謝改善剤として有用である。
【0056】
また、式(I)で表される化合物を有効成分とする本発明のカルシウム代謝改善剤は、適当な剤型の医薬組成物として経口または非経口的に投与することができる。本発明の化合物の投与量は、患者の年齢、体重、症状、投与ルートなどによって異なるが、医者の診断に応じて適宜決定される。
【0057】
本発明のカルシウム代謝改善剤は、有効成分である式(I)で表される化合物の有効量と、薬理学的に許容される担体または賦形剤とを含有する組成物であってもよい。このような組成物は、経口または非経口投与に適する剤型として提供される。
【0058】
即ち、経口投与のための組成物の剤型としては、例えば、固体または液体の剤型、具体的には錠剤、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。このような組成物は、公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられている担体または賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどがあげられる。
【0059】
非経口投与のための組成物を、例えば、注射剤として用いる場合、公知の方法に従い、通常、注射剤に用いられている無菌の水性ないしは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって該注射剤を調製することができる。注射用の水性液としては、生理食塩水、ブドウ糖などや、その他の補助液を含む等張液などがあげられ、これらは、適当な溶解補助剤などと併用してもよい。
【0060】
かくして得られる本発明のカルシウム代謝改善剤には、式(I)で表わされる化合物を配合することによって好ましくない相互作用を生じないかぎり、他の活性成分が含有されていてもよい。
【0061】
【実施例】
次に、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0062】
製造例1〔水酸基を保護した5−ヒドロキシ−5−メチル−2−ヘキサノンの製造〕
【0063】
【化11】
【0064】
0℃に冷却した5−ヒドロキシ−5−メチル−2−ヘキサノン5.47g(42.0mmol)及びジイソプロピルエチルアミン29ml(0.168mol)のジクロロメタン(30ml)溶液にメチルクロロメチルエーテル10.2ml(0.126mol)を加え、室温で5時間10分間攪拌した後、水5mlを加え、ジクロロメタンで3回抽出した。有機層を水で3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、水酸基をメトキシメチル基で保護した5−ヒドロキシ−5−メチル−2−ヘキサノン5.31gを得た(収率73%)。
【0065】
製造例2〔20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オン(IV)の製造〕(第1工程)
【0066】
【化12】
【0067】
−78℃に冷却したジイソプロピルアミン643μl(4.59mmol)のテトラヒドロフラン(1ml)溶液にn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液2.15mlを滴下し、15分間攪拌してリチウムジイソプロピルアミド(LDA)溶液を調製した。−78℃に冷却した製造例1で得られた5−ヒドロキシ−5−メチル−2−ヘキサノン600mg(3.44mmol)のテトラヒドロフラン(1ml)溶液にLDA溶液を滴下し、15分間攪拌し、エノラート溶液を調製した。−78℃に冷却した(20R)−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−20−メチルプレグナ−5,7−ジエン−22−オン(V)477.7mg(1.16mmol)のテトラヒドロフラン(0.5ml)溶液にエノラート溶液を滴下し、−78℃で1時間攪拌した後、−20℃で1時間、0℃で2時間攪拌した。反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液2mlを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オン(IV)292mgを得た(収率41%)。なお、この化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.58(s,3H,H−18),0.98(s,3H,H−19),1.01(d,2H,J=6.6Hz,H−21),1.24(s,6H,(CH3 )2 C),1.39−1.97(m),2.24−2.59(m),2.63(ABq,J=7.6Hz,H−25),2.70(bd,1H),3.36(s,3H,メトキシメチル基のCH3 O),3.77と3.78(s,各3H,メトキシカルボニル基のCH3 O),4.69(s,2H,メトキシメチル基のOCH2 ),4.81(s,1H,H−1),4.89(m,1H,H−3),5.37と5.68( m,各1H,H−6とH−7),6.06(d,J=15.9Hz,H−23),6.74(dd,J=15.8,9.8Hz,H−22)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.2,13.1,14.3,15.9,20.4,22.7,26.2,27.2,27.6,31.8,35.5,37.7,38.0,38.7,40.5,41.2,41.9,43.2,52.7,54.2,54.6,54.8,55.1,60.2,72.2,76.0,78.4,91.0,115.4,122.1,128.5,132.2,133.8,141.1,155.0,172.9
MS m/z:
554(69,M−MeOH),478(77),402(79),278(50),178(79)
【0068】
製造例3〔20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オールの製造〕(第2工程)
【0069】
【化13】
【0070】
0℃に冷却した製造例2で得られた20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オン(IV)454mg(0.74mmol)のピリジン(0.6ml)、エタノール(2.4ml)の混合溶液に塩化セリウム7水和物376mg(1.00mmol)、水素化ホウ素ナトリウム40.0mg(1.00mmol)を加えた。室温で1時間攪拌した後、反応液に塩化セリウム7水和物276mg(0.74mmol)、水素化ホウ素ナトリウム28.6mg(0.75mmol)を加え、40分間攪拌した。さらに、塩化セリウム7水和物144.0mg(0.38mmol)、水素化ホウ素ナトリウム24.9mg(0.66mmol)を加え、25分間攪拌した後、反応溶液を酢酸エチルで希釈し、1%塩酸を加え中和した。酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水で3回洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(III)400mgを得た(収率88%、S体/R体=72/28)。上記の反応操作を繰り返して得られた20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(III)1.14gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、(24S)−20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(S体)126.3mgと(24R)−20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(R体)20.2mg(S体が混入、S体/R体=22/78)およびS体とR体の混合物834.3mg(S体/R体=58/42)を得た。それぞれの物理化学的性質は、下記のとおりであった。
【0071】
S体
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.60(s,H−18),0.94(d,J=6.4Hz,H−21),0.98(s,H−19),1.23(s,(CH3 )2 C),3.37(s,メトキシメチル基のCH3 O),3.77と3.80(s,メトキシカルボニル基のCH3 O),4.04(bd,ヒドロキシル基に隣接する>CH),4.71(s,メトキシメチル基のOCH2 ),4.81(bs,H−1),4.89(H−3),5.37−5.42(m,H−6又はH−7,H−22),5.53(dd,J=15.3,9.0Hz,H−23),5.68(m,H−6又はH−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.1,15.9,20.3,20.5,22.9,26.3,26.4,28.1,31.8,35.5,37.4.37.7,38.8,39.8,41.2,42.8,54.5,54.6,54.8,55.2,55.4,72.2,73.1,73.4,76.1,78.4,90.9,115.5,122.1,130.6,138.0,141.0,155.0.
MS m/z:
586(0.6,M−MeOH),480(26),404(100),386(26),251(46),125(83)
【0072】
R体
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.59(s,3H,H−18),0.95(d,2H,J=6.6Hz,H−21),0.98(s,3H,H−19),1.07−1.19(m,1H),1.23(s,6H,H−26とH−27),1.25−2.09(m),2.33−2.37(m,1H,H−4),2.42−2.48(m,2H),2.70−2.74(m,1H,H−4),3.37(s,3H,メトキシメチル基のOCH3 ),3.77と3.78(s,各3H,メトキシカルボニル基のOCH3 ),4.04(bd,1H,J=6.2Hz,H−24),4.71(s,2H,メトキシメチル基のOCH2 O),4.81(s,1H,H−1),4.85−4.92(m,1H,H−3),5.36−5.42(m,2H,H−6とH−23),5.54(dd,1H,J=15.5,8.9Hz,H−22),5.68(dd,1H,J=3.5,2.2Hz,H−7)
MS m/z:
556(2.4,M−MOMOH),480(8.0),404,249(12),125(100)
【0073】
実施例1〔(22S)−20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(S−(II−1))の製造〕(第3工程)
【0074】
【化14】
【0075】
製造例3で得られた(24S)−20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(S体)41.0mg(0.066mmol)及びオルト酢酸トリエチル365μl(1.99mmol)のトルエン(0.5ml)溶液に、プロピオン酸トルエン溶液25μl(プロピオン酸含有量:0.0033mmol)を加え、5時間10分間加熱還流した。得られた反応液を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した後、ベンゼンで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22S)−20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(S−(II−1))16.9mgを得た(収率37%、S体/R体=98/2)。なお、得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.63(s,3H,H−18),0.76(d,J=6.7Hz,H−21),1.01(s,3H,H−19),1.23(s,H−26とH−27),1.24(6H,t,J=7.4Hz,エチルエステルのCH3 ),1.27−2.13(m),2.28−2.53(m,4H,H−22a),2.70−2.74(m,1H),2.92−2.94(m,1H,H−4),3.36(s,3H,メトキシメチル基のOCH3 ),3.78と3.80(s,各3H,メトキシカルボニル基のOCH3 ),4.11(dABq,J=12.7,7.1Hz,エチルエステルのOCH2 ),4.70(s,2H,メトキシメチル基のOCH2 O),4.84(s,1H,H−1),4.86−4.93(m,1H,H−3),5.34−5.41(m,2H,H−23,H−24とH−6),5.68(bs,1H,H−7)
MS m/z:
656(0.8,M−MeOH),626(3.4),550(31),474(100),404(61),386(47),279(53),249(88),209(49),155(30),125(47)
【0076】
実施例2〔20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(II−1))の製造〕(第3工程)
【0077】
【化15】
【0078】
製造例3で得られた20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール51.6mg(0.083mmol、S体/R体=22/78)、オルト酢酸トリエチル460μl(2.51mmol)のトルエン(0.5ml)溶液に、プロピオン酸トルエン溶液31μl(プロピオン酸含有量:0.0042mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応液を室温に戻した後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。ベンゼンで抽出し、有機層を水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(II−1)18.5mgを得た(収率32%、S体/R体=27/73)。得られた化合物の物理化学的性質は、以下のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.65(s,3H,H−18),0.77(d,3H,J=6.8Hz,H−21),1.02(s,3H,H−19),1.23(t,3H,J=7.2Hz,エトキシカルボニル基のCH3 ),1.27−2.54(m),2.70−2.75(m,1H),2.81−2.86(m,1H),3.35(s,3H,メトキシメトキシ基のOCH3 ),3.77と3.79(s,各3H,メトキシカルボニル基のOCH3 ),4.69(s,1H,H−1),4.79−7.93(m,1H,H−3),5.33−5.46(m,3H,H−7,H−23とH−24),5.68(bd,1H,J=3.5Hz,H−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
5.64,12.2,14.2,16.3,20.8,22.9,26.3,26.8,27.3,33.0,38.0,38.6,39.7,40.0,41.8,42.3,43.3,47.0,52.1,54.4,55.1,65.5,72.9,76.0,91.0,115.3,122.0,131.6,132.2,136.0,141.0
MS m/z:
656(0.8,M−MeOH),626(2.7,M−MOMOH),550(29),474(100)
【0079】
実施例3〔20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(II−1)の製造〕(第3工程)
【0080】
【化16】
【0081】
製造例3で得られた20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,22−トリエン−24−オール(III)506.3mg(0.82mmol、S体/R体=58/42)をトルエン4mlに溶解し、オルト酢酸トリエチル4.5ml(24.5mmol)、プロピオン酸トルエン溶液30μl(プロピオン酸含有量:0.0041mmol)を加え、3時間加熱還流した。室温に戻した後、炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、ベンゼンで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(II−1)361.1mgを得た(収率64%、S体/R体=73/27)。
【0082】
実施例4〔20−エピ−22−ヒドロキシエチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(II−2)の製造〕(第4工程)
【0083】
【化17】
【0084】
−20℃に冷却した、実施例3で得られた20−エピ−1α,3β−ビス(メトキシカルボニルオキシ)−22−エトキシカルボニルメチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン(II−1)118.5mg(0.17mmol、S体/R体=73/27)のジクロロメタン1ml溶液に、1M 水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)/ヘキサン溶液2.0mlを滴下して35分間攪拌したのち、さらに1M DIBAL/ヘキサン溶液1mlを滴下し、20分間攪拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液2mlを加え、0℃で20分間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈した後、希塩酸を加え、反応液のpHを3〜4(酸性)とし、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22S)−20−エピ−22−ヒドロキシエチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−2))60.0mg(収率66%)及び(22R)−20−エピ−22−ヒドロキシエチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−2))23.3mg(収率26%)を得た。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
【0085】
S−(II−2)
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.62(s,3H,H−18),0.67(d,J=5.5Hz,H−21),0.94(s,3H,H−19),1.23(s,6H,H−26,27),1.25−2.55(m),3.37(s,3H,OCH3 ),3.58−3.67(m,2H,CH2 OH),3.77(s,1H,H−1),4.06(m,1H,H−3),4.71(s,2H,OCH2 O),5.33−5.44(s,3H,H−6,H−22とH−23),5.67(m,1H,H−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.6,13.4,16.2,20.9,22.7,26.2,26.9,27.6,36.7,37.4,38.0,39.0,39.4,40.0,41.2,42.0,42.3,43.4,52.8,54.3,55.1,61.6,65.4,72.8,76.1,91.0,115.2,122.1,130.2,132.3,135.9,141.3
MS m/z:
530(2.7,M+ ),498(9.9,M−MeOH),468(48,M−MOMOH),450(72),432(46),267(100)
【0086】
R−(II−2)
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.62(s,3H,H−18),0.80(d,J=5.5Hz,H−21),0.94(s,3H,H−19),1.21(s,6H,H−26とH−27),1.23−2.73(m),3.36(s,3H,OCH3 ),3.46−3.63(m,1H,CH2 OH),3.78(s,1H,H−1),4.20(m,1H,H−3),4.68(s,2H,OCH2 O),5.34(bs,1H,H−6),5.38と5.39(s,2H,H−22とH−23),5.60(m,1H,H−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
11.9,13.7,16.2,20.8,22.6,26.3,27.2,37.7,38.3,41.0,41.4,41.8,42.6,52.3,55.1,73.7,76.0,91.0,114.9,122.0,130.6,133.6,136.3,141.3
MS m/z:
530(3.0,M+ ),498(9.8),468(43),450(48),432(8.9),394(15),267(100)
【0087】
実施例5〔(22S)−20−エピ−22−(2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)エチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−3))の製造〕(第5工程)
【0088】
【化18】
【0089】
0℃に冷却した実施例4で得られた(22S)−20−エピ−22−ヒドロキシエチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−2))12.9mg(0.024mmol)のピリジン0.25ml溶液に塩化p−トルエンスルホニル7.0mg(0.036mmol)を加え、155分間攪拌した。反応液に塩化p−トルエンスルホニル6.5mg(0.034mmol)を加え、5時間攪拌した後、塩化p−トルエンスルホニル7.2mg(0.038mmol)を加え、一夜放置した。塩化p−トルエンスルホニルをさらに5.3mg(0.027mmol)加え、2時間30分間攪拌した。反応溶液に水2mlを加え、酢酸エチルで3回抽出した。有機層を水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22S)−20−エピ−22−(2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)エチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−3))6.3mgを得た(収率38%)。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.57(s,3H,H−18),0.73(d,J=6.7Hz,H−21),0.96(s,3H,H−19),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.27−2.40(m),2.45(s,3H,CH3 −Ph),2.45−2.52(m,2H),3.37(s,3H,メトキシメチル基のOCH3 ),3.79(s,1H,H−1),3.96−4.08(m,3H,H−3とCH2 OTs),4.71(s,2H,メトキシメチル基のOCH2 O),5.17−5.22(m,2H,H−22とH−23),5.37(m,1H,H−6),5.72(m,1H,H−7),7.33(d,2H,J=8.1Hz,Ph−H),7.78(d,2H,J=8.2Hz,Ph−H)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.5,13.2,16.3,22.7,26.3,26.9,27.5,32.8,38.6,38.8,39.3,40.0,40.4,41.9,42.3,43.4,52.7,54.3,55.1,65.5,69.2,72.9,91.0,115.3,122.1,127.9,128.4,129.8,133.3
MS m/z:
684(1.2,M+ ),672(7.5),642(6.2),572(11),540(100),510(64)
【0090】
実施例6〔(22S)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−4))の製造〕(第6工程)
【0091】
【化19】
【0092】
水素化リチウムアルミニウム1.0mg(0.028mmol)のテトラヒドロフラン(0.1ml)溶液を15分間、加熱還流した。室温に戻した水素化リチウムアルミニウムのテトラヒドロフラン溶液に実施例5で得られた(22S)−20−エピ−22−(2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)エチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−3))6.3mg(0.009mmol)のテトラヒドロフラン(0.2ml)溶液を加え、65分間、加熱還流した。反応液を室温まで戻した後、水素化リチウムアルミニウム7.0mg(0.18mmol)を加え、さらに30分間、加熱還流した。反応液を0℃に冷却し、水0.5mlとテトラヒドロフラン0.5mlの混合液を加えた。反応液に1N−塩酸及び酢酸エチルを加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水で3回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22S)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−4))2.1mgを得た(収率44%)。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.61(s,3H,H−18),0.75(d,J=6.9Hz,H−21),0.84(t,3H,J=7.4Hz,エチル基のCH3 ),0.95(s,3H,H−19),1.23(s,6H,H−26とH−27),1.25−2.56(m),3.37(s,3H,メトキシメチル基のOCH3 ),3.78(s,1H,H−1),4.07(m,1H,H−3),4.72(s,2H,メトキシメチル基のOCH2 O),5.25−5.39(m,3H,H−7,H−22とH−23),5.74(m,1H,H−7)
MS m/z:
514(2.5,M+ ),496(5),482(8.1),464(12),452(72),434(100)
【0093】
実施例7〔(22R)−20−エピ−22−(2−ヨードエチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−3))の製造〕(第5工程)
【0094】
【化20】
【0095】
0℃に冷却した実施例4で得られた(22R)−20−エピ−22−ヒドロキシエチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−2))19.8mg(0.037mmol)、トリフェニルホスフィン19.5mg(0.73mmol)及びイミダゾール7.1mg(0.10mmol)のテトラヒドロフラン(0.4ml)溶液にヨウ素14.2mg(0.055mmol)を加え、1時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル1ml、水1mlを加え酢酸エチルで抽出した。有機層をチオ硫酸ナトリウム水溶液、水でそれぞれ洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22R)−20−エピ−22−(2−ヨードエチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−3))13.3mgを得た(収率56%)。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.63(s,3H,H−18),0.80(d,3H,J=6.8Hz,H−21),0.95(s,1H,H−19),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.26−1.84(m),1.91−2.18(m,7H),2.24−3.78(m,2H),2.51−2.57(m,1H),2.71−2.76(m,1H),2.95(q,1H,J=9.2Hz,CH2 I),3.22(dt,1H,J=9.5,4.3Hz,CH2 I),3.37(s,3H,−OCH3 ),3.78(s,1H,H−1),4.04(m,1H,H−3),4.71(s,2H,OCH2 O),5.26(dd,2H,J=15.2,8.8Hz,H−23),5.58(dd,1H,J=5.6,2.8Hz,H−6),5.48(dt,J=15.1,5.5Hz,H−24),5.78(dd,1H,J=5.6,2.6Hz,H−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.0,12.6,13.9,16.2,20.8,20.9,22.9,27.3,29.3,38.1,38.5,38.6,40.0,40.5,42.3,43.6,47.0,52.2,54.6,65.5,72.9,115.2,122.1,130.5,134.4,135.8,141.3
MS m/z:
640(5.8,M+ ),578(59),560(100),504(41),267(64)
【0096】
実施例8〔(22R)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−4))の製造〕(第6工程)
【0097】
【化21】
【0098】
実施例7で得られた(22R)−20−エピ−22−(2−ヨードエチル)−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−3))20.7mg(0.032mmol)のジメチルスルホキシド(0.4ml)溶液に水素化ホウ素ナトリウム4.1mg(0.11mmol)を加え、1時間40分間攪拌した。反応液に水素化ホウ素ナトリウム2.2mg(0.058mmol)を更に加え、1時間攪拌した。反応混合物に水1mlを加え、酢酸エチルで抽出した。水層に食塩水0.5mlを加え、さらに酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水で5回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(22R)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−4))12.1mgを得た(収率73%)。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.64(s,3H,H−18),0.77(d,3H,J=6.3Hz,H−21),0.80(t,3H,J=7.3Hz,エチル基のCH3 ),0.95(s,3H,H−19),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.25−2.16(m),2.34(t,1H,J=13.3Hz),2.51−2.56(m,1H),2.69−2.73(m),3.77(s,1H,H−1),4.02−4.10(m,1H,H−3),5.30−5.45(m,3H,H−6,H−23とH−24),5.73(dd,1H,J=5.6,2.1Hz,H−7)
MS m/z:
514(3.8,M+ ),482(14),465(12),452(76),434(100)
【0099】
実施例9〔(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (S−(I))の製造〕(第7工程)
【0100】
【化22】
【0101】
実施例6で得られた(22S)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(S−(II−4))5.9mg(0.0033mmol)の95%エタノール0.2ml溶液にp−トルエンスルホン酸1水和物6.7mg(0.035mmol)を加え、15分間加熱還流した。反応溶液をトリエチルアミンで中和した後、溶媒を減圧留去した。残渣に酢酸エチル1ml及び水1mlを加え、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を水で2回洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(20S,22S)−22−エチル−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β,25−トリオール(S−プロビタミンD)3.4mgを得た(収率63%)。なお、得られたS−プロビタミンDの物理化学的性質は、以下のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.62(s,3H,H−18),0.74(d,J=6.9Hz,H−21),0.84(t,3H,J=7.6Hz,エチル基のCH3 ),0.95(s,3H,H−19),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.27−2.70(m),3.77(s,1H,H−1),4.06(m,1H,H−3),5.28−5.42(m,3H,H−7,H−22とH−23),5.73(m,1H,H−7)
MS m/z:
470(19,M+ ),452(100),434(42),297(26),279(36),227(26),137(35)
UV(λmax,95%EtOH,nm):
294,282,271,262,204
【0102】
【化23】
【0103】
次いで、氷水で冷却したS−プロビタミンD3.166mg(6.73×10-3mmol)のベンゼン150ml、エタノール20mlの混合溶液にアルゴンガスを15分間バブリングし、溶存酵素を除去した。100W高圧水銀ランプをvycol filterを通して3分間照射した。反応溶液を濃縮し、セファデックスLH−20(クロロホルム:ヘキサン:メタノール=70:30:0.7、以下も同様)で精製し、(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシプレビタミンD3 (S−プレビタミンD)1.255mg(UV(λmax):258nm)を得た。これを遮光下室温で2週間放置した後、溶媒を留去し、セファデックスLH−20で精製し、(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (S−(I))0.84mgを得た。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。1 H−NMR(400MHz) δ:
0.53(s,3H,H−18),0.74(d,3H,J=6.75Hz,H−21),0.83(t,3H,J=7.4Hz,エチル基のCH3 ),1.24と1.25(s,6H,H−26とH−27),1.25−2.34(m),2.60(bd,1H,J=10.2Hz),2.84(bd,1H,J=11.4Hz),4.22(m,1H,H−3),4.42(dd,1H,J=7.6,4.3Hz,H−1),5.00(s,1H,H−19),5.28−5.42(m,3H,H−23,H−24とH−19),6.01(d,1H,J=11.4Hz,H−7),6.38(d,1H,J=11.3Hz,H−6)
MS m/z:
452(45,M−MeOH),437(47),416(28),368(35),236(78),137(58),97(77)
UV(λmax,95%EtOH,nm):
263
【0104】
実施例10〔(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (R−(I))の製造〕(第7工程)
【0105】
【化24】
【0106】
実施例8で得られた(22R)−20−エピ−22−エチル−25−メトキシメトキシ−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β−ジオール(R−(II−4))8mg(0.015mmol)の95%エタノール(0.3ml)溶液に、p−トルエンスルホン酸1水和物6.8mg(0.036mmol)を加え、15分間加熱還流した。反応液を室温に戻し、トリエチルアミンで中和した後、エタノールを留去した。残渣を酢酸エチル、食塩水に溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、(20S,22R)−22−エチル−24,24−ジホモコレスタ−5,7,23−トリエン−1α,3β,25−トリオール(R−プロビタミンD)6.6mgを得た(収率90%)。なお、得られたR−プロビタミンDの物理化学的性質は、以下のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.64(s,3H,H−18),0.77(d,3H,J=6.3Hz,H−21),0.80(t,3H,J=7.3Hz,エチル基のCH3 ),0.95(s,3H,H−19),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.25−2.16(m),2.31−2.37(m,1H),2.51−2.57(m,1H),2.70−2.71(m,1H),3.77(s,1H,H−1),4.04−4.10(m,1H,H−3),5.31−5.45(m,3H,H−6,H−23とH−24),5.73(dd,1H,J=5.7Hz,2.3)
UV(λmax,95%EtOH,nm):
293,282,271
【0107】
【化25】
【0108】
次いで、氷水で冷却したR−プロビタミンD16.8mg(0.036mmol)のベンゼン150ml、エタノール20ml混合溶液に、アルゴンガスを20分間バブリングし、溶存酵素を除去し、実施例9と同様にして、(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシプレビタミンD3 (R−プレビタミンD)7.31mgを得た。これを95%エタノール1mlに溶解し、遮光下室温で2週間放置した。溶媒を留去し、セファデックスLH−20で精製し、(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (R−(I))3.97mgを得た(収率24%)。得られた化合物の物理化学的性質は、下記のとおりであった。
1 H−NMR(400MHz) δ:
0.54(s,3H,H−18),0.76(d,3H,J=6.5Hz,H−21),0.81(t,3H,J=7.3Hz,エチル基のCH3 ),1.09−1.18(m),1.22(s,6H,H−26とH−27),1.26−1.77(m),1.89−2.13(m,8H),2.31(dd,1H,J=13.4,6.6Hz),2.60(dd,1H,J=13.4,3.3Hz),2.83(dd,1H,J=12.1,3.8Hz),4.21−4.24(m,1H,H−3),4.23(dd,1H,J=7.4,4.3Hz,H−1),5.00(s,1H,H−19),5.28−5.44(m,3H,H−19,H−23とH−24),6.02(d,1H,H−6又はH−7),6.38(d,1H,H−6又はH−7)
13C−NMR(400MHz) δ:
12.2,12.6,14.1,21.1,22.2,23.6,26.6,27.8,29.1,29.3,39.6,40.2,42.8,43.6,45.3,46.0,47.3,52.8,56.2,66.8,70.8,71.1,111.8,117.0,125.0,130.5,134.3,147.6
MS m/z:
470(15,M+ ),452(100),416(44),297(34),279(38),134(59),95(45)
UVλmax(95%EtOH,nm):
264
【0109】
試験例1〔ウシ胸腺1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体との結合性試験〕
実施例9で得られた(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (化合物I−A)及び実施例10で得られた(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (化合物I−B)のウシ胸腺1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体との結合能を測定した。
【0110】
即ち、化合物I−A、化合物I−Bの段階的希釈溶液(2、4、8、16、32、63、125、250、500、5000pg/50μlエタノール溶液)の各々に、ウシ胸腺1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体((株)ヤマサ製)溶液(500μlリン酸緩衝液)を添加し、撹拌した後、室温で1時間プレインキュベイションした。各々にトリチウムラベルした1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (4.85TBq/mmol)10672dpm/50μlエタノール溶液を加え、撹拌し、4℃で一夜放置した後、DCC(デキストランコーテッドチャコール)懸濁液((株)ヤマサ製)を加え、攪拌し、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体と結合していない試料(遊離型)を吸着させた。
【0111】
反応混合物を遠心分離(3000rpm)することにより、DCCを分離し、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体と結合している試料(結合型)を遊離型から分離(BF分離)した。上清500μlを採り、シンチレーションカウンターにて放射活性を測定し、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体に結合しているトリチウムラベルした1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 の割合を求めて、トリチウムラベルした1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 の50%が1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体と結合する時の被験化合物の濃度(ED50値)を求めた。
【0112】
対照化合物として、1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 を用いて同様の試験を行い、該化合物のED50値を求め、これを1とした時の被験化合物の結合活性(相対活性)を求めた。その結果を表1に示す。
【0113】
【表1】
【0114】
なお、表1中の対照化合物、化合物I−A及び化合物I−Bは、以下の化合物を示す。
対照化合物:1α,25−ジヒドロキシビタミンD3
化合物I−A:(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3
化合物I−B:(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3
【0115】
表1に示された結果から、化合物I−A及び化合物I−Bは、表1に示された結果から、いずれもウシ胸腺1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 受容体と高い結合活性を有することがわかる。また、ラットを用いた血中カルシウム上昇作用も弱い。
【0116】
以上の結果から、本発明の20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体は、高いビタミンD受容体結合活性を有し、血中カルシウム上昇作用がさほど高くなく、安全性により優れるという優れた性質を有することがわかる。
【0117】
試験例2〔一過性の遺伝子導入法を用いた遺伝子転写活性評価〕
実施例9で得られた(20S,22S)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (化合物I−A)及び実施例10で得られた(20S,22R)−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモ−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 (化合物I−B)の一過性の遺伝子導入法を用いた遺伝子転写活性を測定した。
【0118】
一過的な遺伝子導入は、以下のとおりに行った。即ち、サルCV−1 cells/gal−hVDR細胞を培地(培地条件:DMDM10%FBS)で培養し(培養条件:37℃、5%CO2 )、各ウェル毎にリン酸カルシウム法を用いて下記プラスミドのトランスフェクションを行った。各ウェルあたりに使用したDNA量としては、pCMX−GAL−VDR(酵母GAL4蛋白質のDNA結合ドメインとヒトVDRのリガンド結合ドメインのキメラ蛋白質の発現ベクター)30ng、pGAL4−TK−LUC(GAL4蛋白質の結合サイトを持つルシフェラーゼレポーター遺伝子を含有するプラスミド)150ng、pCMX−βGAL(トランスフェクション効率補正用のβ−ガラクトシダーゼ発現プラスミド)350ng及びpGEM4(DNA量を補正するためのキャリアプラスミド)220ngを用いた。
【0119】
リン酸カルシウムとの共沈殿とした前記DNAを前記細胞に加え、6時間培養後、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)で2回細胞を洗浄して、沈殿を除去した。沈殿に新鮮な培地を加える際に、段階的希釈濃度(10-7、10-8、10-9、10-10 、10-11 M)を有する化合物I−A、化合物I−B又は対照として1α,25−ジヒドロキシビタミンD3 を加え、36時間培養した後、細胞をPBSで洗浄し、LYSIS bufferで溶解させ、これを100μlの細胞抽出液とした。このうち20μlを用いてルシフェラーゼ活性を蛍光法により測定し、また、50μlを用いてONPG(o−ニトロフェニル−β−D−ガラクトプラノシド)による発色反応を指標として、β−ガラクトシダーゼ活性を測定した。各ウェル毎に得られたルシフェラーゼ活性をβ−ガラクトシダーゼ活性で補正した。この結果を表2に示す。
【0120】
【表2】
【0121】
表2に示された結果から、一過性の遺伝子導入法を用いた遺伝子転写活性に関して、特に化合物I−Bは対照化合物の50倍という強い活性を有することがわかる。
【0122】
【発明の効果】
本発明の式(I)で表される20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンD誘導体は、高いビタミンD受容体結合活性を有し、かつ安全性に優れたものであるので、副甲状腺機能低下症、副甲状腺機能亢進症、骨軟化症、骨粗鬆症等のカルシウム代謝の欠陥症、乾癬等の皮膚疾患及び骨髄性白血病、乳ガンに代表される悪性腫瘍等の細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療に有用なカルシウム代謝改善剤として好適に使用しうるものである。
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JP06956398A JP3882027B2 (ja) | 1998-03-03 | 1998-03-03 | 20−エピ−22−エチル−23,24−デヒドロ−24,24−ジホモビタミンd誘導体及びその合成中間体 |
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