JP3881510B2 - 曲面モデルの同定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、製剤設計、材料設計、システムの運転条件・製品製造条件の設計/調整等に使用される応答曲面法などに利用可能な、曲面モデルの同定方法及びプログラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、実験計画法に基づいて収集されたデータを用いて、効率よく製品の製造条件・システムの運転条件等を設計・調整するために、応答曲面法(Response Surface Methodology;RSM )が用いられている。以下、従来の応答曲面法(文献1「轟 章、応答曲面法、平11-12月日本機械学会講習会「応答曲面法による非線形問題の最適設計入門」資料、URL:http://ueno.mes.titech.ac.jp/rec-res.html にて公開中」、文献2「長谷川ほか、実数型交差モデルと応答曲面モデルを用いた逐次的近似最適化に関する一試行、日本計算工学会論文集、2000年5月24日発行」、文献3「Takayama、Artificial Neural Network as a Novel Method to Optimize Pharmaceutical Formulations、Pharmaceutical Research, Vol.16, No.1, 1999」など)について説明する。
【0003】
図11は応答曲面法における処理の流れを示すフローチャート図である。応答曲面法には、実験計画法に基づき必要最低限のデータを収集する処理(ステップ401)と、収集されたデータをもとに各要因(設計条件)とその応答(最適にしたい特性値)を結びつける近似関数(曲面モデル)を同定する処理(ステップ402)と、得られた近似関数(曲面モデル)を利用して、所望の特性値となるような最適設計条件を各種最適化アルゴリズムを利用して求める処理(ステップ403)の3つの処理ステップがある。
【0004】
次に、上記ステップ401〜403において、従来利用されている技術を以下に説明する。ステップ401では、実験計画法に基づき、実験計画データを収集する。これにより必要最低限なデータを効率よく収集する。利用される実験計画法の要因配置(実験点配置)としては、完備要因計画(全因子計画;fully factorial design)法、直交計画(orthogonal design )法、球形中心2次複合計画(中央複合計画;central composite design)法などが代表的である(文献1、文献4「橋田 充 編、経口投与製剤の処方設計(第7章 処方・製法の最適化)、薬業時報社、1998」)。
【0005】
ステップ402では、ステップ401で収集したデータを使って、各要因(設計条件)xi (i=1,2,・・・,k)とその応答(最適にしたい特性値)yとを結びつける近似関数(曲面モデル)y=f(x1,x2,・・・,xk )を以下のような手法を利用して求める。
【0006】
(I)多項式を用いた手法(文献1、文献2)は、各要因(入力変数)と特性値(出力変数)とを基本的には線形の関数で近似する手法である。多くの場合は、以下の2次多項式が利用される。
【0007】
【数1】
【0008】
式(18)において、a0,bi,ci,cij は定数である。非線形な対象に対応する場合には、相互作用項(式(18)の右辺第4項)を導入したり、べき乗関数、指数関数あるいは対数関数などを利用して、入力変数の変換を行ったりする。前記2次多項式が、応答曲面法の近似関数としては最も頻繁に利用される手法である。
【0009】
(II)ニューラルネットワークを用いた手法(文献3)は、非線形な入出力関係を近似する手法である。入力を各要因(設計条件)、出力を特性値として、階層型のニューラルネットワークにバックプロパゲーション法を利用して学習させる。入力層から中間層、出力層に至る信号は、前層からの信号を次の式(19)により統合し、式(20)のようなシグモイド関数に代表される伝達関数により、次の層へと出力される。
【0010】
【数2】
【0011】
【数3】
【0012】
なお、wpqは次層ユニットqと前層ユニットp間の荷重、xp は前層からの出力であり、f(yq )は次層への出力として伝達される。また、aはシグモイド関数の勾配係数である。
【0013】
(III)スプライン関数を用いた手法(文献5「桜井 明著、スプライン関数入門、東京電機大学出版局、1981」、文献6「桜井 明監修、パソコンによるスプライン関数、東京電機大学出版局、1988」)は、非線形な特性であっても関数化することができ、滑らかな曲線/曲面が得られる手法である。通常広く認知されているスプラインは、文献「マグローヒル科学技術用語大辞典」に記載されている通り、導関数に基づくスプライン関数のことである。この導関数に基づくスプライン関数の数学的定義は、文献4に記載されている通り、「m次のスプライン関数は、そのm階微分が階段関数で、m−1階以下の微分が連続であるような関数である」というものである。また、n個の接点をもつm次のスプライン関数は以下のようになる。
【0014】
【数4】
【0015】
なお、(x−qi)m +は切断べき関数と呼ばれる関数であり、以下のように表される。
【0016】
【数5】
【0017】
(IIII)多変数適応回帰スプライン(MARS)を用いた手法(文献7「T.J.Hastie and R.J.Tibshirani、Nonparametric Regression and Classification Part I - Nonparametric Regression, NATO ASI Series. F. Computer and System Sciences, Vol.136, pp.62-69, 1994」)は、多項式の回帰近似を区分に分割して行う手法である。分割する領域の大きさは計算により自動的に決定される。
【0018】
最後に、ステップ403では、得られた曲面モデルを利用して、公知の各種最適化アルゴリズムにより、所望の最適値探索を行い、最適設計条件を見出す。連続量に対する公知の最適化アルゴリズムとしては、シンプレックス法、勾配法、共役勾配法、ニュートン法、準ニュートン法、シミュレーテッド・アニーリング法、トンネリング・アルゴリズム、遺伝的アルゴリズム(GA)などが代表的である(文献8「茨木俊秀ほか、最適化の手法、共立出版、1993」、文献9「相吉 英太郎、「最適化」の展望、計測と制御、Vol.29,No.12、1990」)。
【0019】
また、制約条件下での最適化手法として、ペナルティ関数を利用した方法(文献3、文献8)などもある。さらに、複数の曲面モデルを利用することで、複数特性の最適値(妥協解)を見出す多目的最適化(文献3、文献10「西川ほか、岩波講座 情報科学19「最適化」、岩波書店、1982」)も実施することができる。多目的最適解を求める方法としては、重みパラメータ法、ε制約法、目標計画法、対話型の方法などがある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
応答曲面法は、数少ないデータ(必要最低限のデータ)から、効率よく最適条件を見出すために利用される。しかしながら、従来の応答曲面法では、前述のステップ402における近似関数(曲面モデル)の同定に労力を要することがあり、実際には効率が悪い可能性があるという問題点があった。例えば、前述の従来の近似関数を利用した場合には、以下のような問題がある。
【0021】
(I)多項式を用いた手法は、基本的には、入出力関係が線形な対象をモデル化する手法であるため、各要因と特性値が非線形な関係の場合(現実にはこのケースが多い)は、効率よくモデル化することが困難となる場合がある。非線形な対象をモデル化する手段として、相互作用項を追加したり、べき乗関数、指数関数あるいは対数関数などを導入して近似することもあるが、必要な精度のモデルを得るためには多大な労力を要することがある。例えば、相互作用項を導入する場合には、すべての要因の相互作用項を追加すべきか、あるいは一部の相互作用項とするか、一部の相互作用項とする場合には、どの要因の組み合わせを追加すればよいかということは試してみないと分からない。また、どのような関数を導入すればよいかについても試してみないと分からないことがある。つまり、近似関数を得るためには、試行錯誤的となり効率が悪い。
【0022】
さらに、非線形性の強い対象の場合は、全領域を1つの関数で近似することが困難な場合がある。そのため、小さな領域に分けてそれぞれに異なる多項式近似関数をあてはめることもある。しかし、対象の特性が未知なものについて、どの領域がどのような関数に相当するかを決めることは困難である。そのため,結果的に所望の精度のモデルを得ることができない。また、2次多項式による近似では、現実的にはあり得ない値(特性値の限界値以上あるいは限界値以下の値)の応答が現れる場合があり、所望の応答曲面にならない場合がある。この場合、最適な領域の分割や関数の選択にさらに十分な時間をかければ、所望のモデルが得られる可能性もあるが、非常に多大な労力が必要となり、モデル同定の効率が悪化する。
【0023】
(II)ニューラルネットワークを用いた手法では、ユーザが指定すべきパラメータが多すぎ、また、パラメータを決定するための指標がないので、ネットワークモデルを試行錯誤的に求めざるを得なくなり、実際には効率よく所望の近似関数を求めることは困難である。例えば、ユーザが予め設定する必要があるパラメータとして代表的なものには、ネットワークの階層数、中間層のユニット数、伝達関数の関数式(伝達関数をシグモイド関数とする場合には、その関数の傾き)、適用する学習法則、学習停止条件、学習スタート時の荷重係数の初期値などがある。
【0024】
このようなパラメータを変化させると、応答曲面が大きく変化するが、パラメータをどう変化させればよりよいモデルが得られるかを知るための明確な指標がないため、結果的には試行錯誤的にモデルを作らざるを得ない。さらに、学習計算は繰り返し計算(収束計算)となるため、計算時間が必要となることがある。ニューラルネットワークで近似した応答曲面では、応答曲面が伝達関数であるシグモイド関数の形状となってしまい、所望の応答曲面にならない場合がある。この場合、よりよい応答曲面にするにはさらに時間がかかり、モデル同定の効率が悪化する。
【0025】
(III)通常、工学分野で広く認知・利用されている導関数に基づくスプライン関数では、1要因(1入力変数)に対する出力値の補間曲線(近似関数)を描くことは容易にできるが、2要因(2入力変数)以上の場合には、以下のような制限が発生する。
(α)補間計算(近似関数の同定)をするために与えられるデータが、入力空間内で格子状となるデータであり、各座標点に順序をつける必要がある(文献11「William H. Pressほか、Numerical Recipes in C、技術評論社、1993」)。
(β)与えられたデータに囲まれる区分領域(2入力変数の場合は、3角領域)を切り出す必要がある(文献12「曲渕 英邦、スプライン関数を用いたランダム布置標本データからの2次元補間、日本建築学会大会学術講演梗概集(九州)1998年9月」)。
【0026】
実験データの近似を目的とするならば、(α)の格子状データが得られることは期待できないため、不規則分布のデータを前提とした(β)を適用せざるを得ない。しかし、2入力変数以上の場合、補間計算以外に領域切り出しのアルゴリズム(例えば、Delaunay三角分割;文献13「MATLAB ver5.3 オンラインマニュアル、Function Reference "delaunay" 」)が必要であり、また各次元ごとに(入力変数の数に応じて)領域切り出しのアルゴリズムが必要である(2入力変数の場合には例えば3角形分割、3入力変数の場合には例えば4面体領域切り出しなど)。つまり、アルゴリズムが高次元になればなるほど、アルゴリズムが複雑となり、プログラムも大きくなり、計算時間も必要となるため、現実的には3入力変数以上の補間にはほとんど利用されていない。
【0027】
(IIII)多変数適応回帰スプライン(MARS)を用いた手法は、基本的には多項式近似と同様なアルゴリズムであるため、多項式と同様な問題がある。ただし、区分領域での近似を採用していることから、非線形近似にもある程度対応可能である。また、近似の基本となる関数もあらかじめ候補をいくつか用意しておけば、そのなかで最適化なものを自動的に選択することができる。しかし、近似の基本となる関数の候補として何を用意すればよいかわからない場合は、多数の関数候補を用意する必要があり、これによって計算負荷(計算時間、要求メモリサイズ)が増大する。また、非線形性が強い場合などには、より多数の区分領域に分けて回帰近似する必要があり、これによっても計算負荷が大きくなるため、実用上問題である。また、領域を区分して多項式近似をするため、実験データを細分して利用することとなる。このため、全領域において、実験計画法に基づき収集したデータでは、多項式近似に必要なデータ量が得られないことがある。また、細分した領域ごとに実験計画法を適用しデータを収集することは、実験コストの増大や効率の悪化となるため、実用上問題である。
【0028】
なお、他の補間手法(近似関数)として、ラグランジュ補間多項式もあるが、この手法を利用した場合には、データ点数によっては、ルンゲの現象という振動現象が現れる。これにより、なめらかではない不自然な、応答の激しい曲面となってしまうので(文献14「桜井 明監修、パソコンによるスプライン関数、東京電機大学出版局、1988、pp.4-6」)、実用上問題である。
【0029】
以上のように、従来の応答曲面法では、モデル同定が試行錯誤的となり、モデル同定に多大な時間がかかるという問題点があった。また、従来の応答曲面法では、モデル同定を誤る可能性があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、高精度な曲面モデルの同定を効率良く行うことができる曲面モデルの同定方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【0030】
【課題を解決するための手段】
本発明は、n(nは2以上の整数)種類の変量間の関係を近似したn次元の曲面モデルをコンピュータを使用して同定する曲面モデルの同定方法であって、予めデータが収集された前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時距離計算ステップ(302)と、この第1の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時グリーン関数計算ステップ(303)と、この第1の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値から前記収集されたデータが前記曲面モデルの同定にとって有効なデータか否かを示す評価指標値を計算して記憶装置に記憶させる評価指標値計算ステップ(304)と、この評価指標値が最大となるようなデータを前記収集されたデータ中から選択するデータ選択ステップ(305,306)と、この選択されたデータについて、前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時距離計算ステップ(102)と、この第2の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時グリーン関数計算ステップ(103)と、前記選択されたデータのうち前記n−1種類を除く1種類のデータと前記第2の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値とから前記n次元の曲面モデルを計算して記憶装置に記憶させるモデル同定ステップ(104)とからなるものである。このように、本発明は、従来の応答曲面法(実験計画法、近似関数、既存最適化アルゴリズムを組み合わせて、少ない実験データから効率よく最適解を求める手法)の近似関数として、グリーン関数に基づく重調和スプライン補間を適用している。重調和スプライン補間は、与えられたデータのみを使って非線形な特性であっても応答曲面を求めることができ、ユーザは近似関数の次数、構造などの各種パラメータの指定をする必要がない。また、重調和スプライン補間は、多次元への拡張が容易であり、多要因のモデルにも柔軟に対応することができる。
【0031】
また、本発明の曲面モデルの同定方法の1構成例において、前記n種類の変量のデータは、実験計画法によって収集されるものである。
【0032】
また、本発明のプログラムは、予めデータが収集された前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時距離計算ステップと、この第1の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時グリーン関数計算ステップと、この第1の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値から前記収集されたデータが前記曲面モデルの同定にとって有効なデータか否かを示す評価指標値を計算して記憶装置に記憶させる評価指標値計算ステップと、この評価指標値が最大となるようなデータを前記収集されたデータ中から選択するデータ選択ステップと、この選択されたデータについて、前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時距離計算ステップと、この第2の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時グリーン関数計算ステップと、前記選択されたデータのうち前記n−1種類を除く1種類のデータと前記第2の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値とから前記n次元の曲面モデルを計算して記憶装置に記憶させるモデル同定ステップとをコンピュータに実行させるものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
[実施の形態の1]
本発明では、応答曲面法において効率よく最適条件を探索するため、効率よく近似関数(曲面モデル)を得ることを目的としており、衛星データから等高線を得るために利用されている、グリーン関数に基づく重調和スプラインを近似関数として適用している。
【0034】
グリーン関数に基づく重調和スプラインについては、例えば文献15「David T. Sandwell、Biharmonic Spline Interpolation of GEOS-3 and SEASAT Altimeter Data、Geophysical Research Letters, Vol.14, No.2, pp.139-142, 1987」、また文献16「Paul Wessel, David Bercovici, Interpolation with Splines in Tension: A Green's Function Approach, Mathmatical Geology, Vol.30, No.1, 1998 」に記載されている。
【0035】
重調和スプラインは、工学分野で広く認知・利用されている、導関数に基づくスプライン関数とは、理論的にまったく異なる補間方法である。しかし、補間曲面は、導関数に基づくスプライン関数と同様に滑らかな曲面であり、非線形な特性でもモデル化することができる。
【0036】
従来工学の分野で利用されているスプライン関数は、導関数に基づく補間値計算アルゴリズムを有するスプライン関数である。これに対し、重調和スプラインは、積分定理(グリーン定理)に基づく補間値計算アルゴリズムとなっている。そのため、従来のスプラインとは異なり、不規則分布データであっても特別なアルゴリズムを用意することなく、補間計算可能である。さらに、この手法は、データを与えるだけで、データの分布のみから関数を計算するため、ユーザが予め設定する必要があるパラメータは存在しない。また、多次元の入力変数(多要因)でも2入力変数(2要因)以下の場合と同様なアルゴリズムで動作するため、多次元(多要因)な対象にも、柔軟に適用可能である。
【0037】
以下、この重調和スプライン補間のアルゴリズムを記述する。文献15によると、任意の入力変数ベクトルxに対する重調和スプライン関数f(x)は次式のようになる。
【0038】
【数6】
【0039】
ただし、Nは予め収集されたデータxj(j=1〜N) の数、zは任意のデータxと予め収集されたデータxj との距離である。また、φm(z) はグリーン関数であり、距離zとデータx,xj の次元数(データx,xj を特徴付ける変量の数)mとに応じて、次式のように定められる。
【0040】
【数7】
【0041】
式(1)の係数cj は、データが与えられると線形マトリクスを解くことにより自動的に算出できる。これにより求めたい入力変数ベクトルxi に応じた出力値(補間値)yi は、次式により算出できる。
【0042】
【数8】
【0043】
式(3)において、zijはデータxi と予め収集されたデータxj との距離である。なお、式(1)は、次式より導出される。
【0044】
【数9】
【0045】
ただし、∇4 は重調和演算子、δ(z)はデルタ関数である。
以上のように、重調和スプラインでは、データが与えられると、入力空間におけるデータ間の距離と、各次元(入力変数の数)に応じたグリーン関数とから、自動的に関数値が計算できる。そのため、不規則分布データであっても、さらに多次元(多要因)データであっても、特別なアルゴリズムを用意する必要はなく、柔軟に多次元拡張可能である。また線形マトリクス計算であるため、計算負荷も大きくない。
【0046】
次に、以上のような重調和スプライン補間のアルゴリズムを用いた曲面モデルの同定方法について詳細に説明する。図1は本発明の第1の実施の形態となる曲面モデルの同定装置の構成を示すブロック図、図2は図1の同定装置の動作を示すフローチャート図である。図2(a)は同定装置のモデル同定時の動作を示し、図2(b)は出力データ計算時の動作を示している。
【0047】
図1の同定装置は、例えば実験計画法によって予めデータが収集されたn(nは2以上の整数)種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算する距離計算部1と、この距離計算部1で計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算するグリーン関数計算部2と、前記収集されたデータのうち前記n−1種類を除く1種類のデータと前記グリーン関数値とから前記n種類の変量間の関係を近似したn次元の曲面モデルを求めるモデル係数計算部3と、グリーン関数値と同定されたn次元の曲面モデルとを用いて、特定の入力データに対応する1次元の出力データを補間計算する出力データ計算部4とを有している。
【0048】
図1の同定装置は、コンピュータ上で実現することができる。コンピュータは、CPU、ROM、RAM、ディスプレイ装置やキーボードあるいは外部記憶装置とのインタフェースをとるための回路などを備えた周知の構成のものでよい。CPUは、ROM若しくはRAMに記憶されたプログラム、又はキーボードから入力されたコマンドに従って処理を実行する。また、CPUは、外部記憶装置にデータを書き込んだり、外部記憶装置からデータを読み出したりすることができる。
【0049】
本実施の形態の曲面モデルの同定方法を実現させるためのプログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM、メモリカード等の記録媒体に記録された状態で提供される。この記録媒体を外部記憶装置に挿入すると、媒体に記録されたプログラムが読み取られ、コンピュータに転送される。そして、CPUは、読み込んだプログラムをRAM等に書き込む。こうして、同定装置は、以下で説明するような処理を実行する。
【0050】
以下、このような同定装置のモデル同定時の動作を図2(a)を参照して説明する。まず、同定装置のユーザは、n種類の変量によって特徴付けられるn次元データを例えば実験計画法によって複数個収集し、前記n種類の変量をn−1種類と1種類の変量に分け、これに対応して前記n次元データをn−1次元のデータと1次元のデータとに分けて同定装置に入力する。
【0051】
一般的には、前記n−1種類の変量はユーザが求める解の要因となる変量(例えば、曲面モデルの生成理由が製剤処方の最適化にあるとすれば、要因は各原材料の量)であり、前記1種類の変量は解となる変量(処方された製剤の特性値)である。本発明では、n−1種類の変量が要因(入力)で、残りの1種類の変量が解(出力)である必要は必ずしもないが、ここでは便宜的に、n−1種類の変量によって特徴付けられるn−1次元データを入力データ、残りの1種類の変量によって特徴付けられる1次元データを出力データと呼ぶ。
【0052】
同定装置の距離計算部1は、ユーザによってデータが入力されると(ステップ101においてYES)、n−1次元の空間においてn−1次元の各入力データ間の距離zを入力データの全ての組み合わせについて計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ102)。ここでの距離zは、ユークリッド距離である。
【0053】
例えば、n=3として、入力の2変量をX1,X2、出力の1変量をYとし、図3に示すように、2次元の入力データx1,x2,x3 の値をそれぞれ(X11,X21),(X12,X22),(X13,X23)とし、入力データx1,x2,x3 に対応する出力データをそれぞれy1,y2,y3 とすれば、入力データx1,x2間の距離z12(又はZ21)、入力データx2,x3間の距離z23(又はZ32)、入力データx3,x1間の距離z31(又はZ13)はそれぞれ次式のように得られる。
【0054】
z12=Z21=((X11−X12)2+(X21−X22)2)1/2 ・・・(5)
z23=Z32=((X12−X13)2+(X22−X23)2)1/2 ・・・(6)
z31=Z13=((X13−X11)2+(X23−X21)2)1/2 ・・・(7)
【0055】
続いて、グリーン関数計算部2は、距離計算部1で計算された距離z毎に対応するグリーン関数値φm(z) を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ103)。前述のn=3の例では、距離z12,z23,z31に応じてグリーン関数値φm(z12),φm(z23),φm(z31) を計算することになる。前述のとおり、グリーン関数値φm(z) は式(2)によって計算することができる。なお、本実施の形態では、m=n−1である。
【0056】
モデル係数計算部3は、出力データyとグリーン関数値φm(z) とからn次元の曲面モデルのモデル係数cj (j=1〜N)を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ104)。モデル係数cj を求めるには、出力データyとグリーン関数値φm(z) とを式(3)に代入すればよい。前述のn=3の例ではN=3なので、以下のような連立方程式が得られる。
【0057】
y1 =c2φm(z12)+c3φm(z13) ・・・(8)
y2 =c1φm(z21)+c3φm(z23) ・・・(9)
y3 =c1φm(z31)+c2φm(z32) ・・・(10)
【0058】
モデル係数計算部3は、式(8)〜式(10)の連立方程式から最小二乗法により、モデル係数c1,c2,c3 を計算する。
以上により、モデル同定が終了する。同定装置によって同定されたn=3次元の曲面モデルは、式(1)とモデル係数c1,c2,c3 とにより、次式のように表すことができる。
y=c1φm(zi1)+c2φm(zi2)+c3φm(zi3) ・・・(11)
【0059】
次に、n−1(=m)次元の空間内の特定の入力データxi に対応する出力データ(補関値)yi を同定装置に計算させる場合の動作を図2(b)を参照して説明する。
【0060】
同定装置の距離計算部1は、ユーザによって入力データxi が入力されると(図2ステップ201においてYES)、n−1次元の空間において入力データxi とモデル同定時に入力された前記収集された各入力データx1,x2,x3 との間の距離zを図4に示すように入力データx1,x2,x3 毎に計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ202)。
【0061】
入力データxiの値を(X1i,X2i)とすると、入力データxi,x1間の距離zi1、入力データxi,x2間の距離zi2、入力データxi,x3間の距離zi3はそれぞれ次式のように得られる。
zi1=((X1i−X11)2+(X2i−X21)2)1/2 ・・・(12)
zi2=((X1i−X12)2+(X2i−X22)2)1/2 ・・・(13)
zi3=((X1i−X13)2+(X2i−X23)2)1/2 ・・・(14)
【0062】
続いて、グリーン関数計算部2は、距離計算部1で計算された距離zi1,zi2,zi3毎に対応するグリーン関数値φm(zi1),φm(zi2),φm(zi3) を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ203)。
【0063】
出力データ計算部4は、特定の入力データxi に対応する出力データ(補関値)yi を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ204)。出力データyi を計算するには、グリーン関数計算部2で計算されたグリーン関数値φm(zi1),φm(zi2),φm(zi3) を以下に示すように式(3)に代入すればよい。
yi =c1φm(zi1)+c2φm(zi2)+c3φm(zi3) ・・・(15)
こうして、特定の入力データxi に対応する出力データyi 、すなわち任意の条件に対する特性値の計算が可能となり、最適解の探索が可能となる。
【0064】
次に、本実施の形態の曲面モデルの同定方法を適用した結果を従来手法と比較して示す。図5〜図7は、実験計画法によって収集した実験データ(製剤特性データ;3要因)に従来手法と本実施の形態の手法を適用した結果得られた曲面モデルを応答曲面として図示した図である。図5(a)、図6(a)、図7(a)は従来の2次多項式を用いて同定した曲面を示し、図5(b)、図6(b)、図7(b)は従来のニューラルネットワークを用いて同定した曲面を示し、図5(c)、図6(c)、図7(c)は本実施の形態の同定方法を用いて同定した曲面を示している。
【0065】
図5〜図7の例では、喘息の治療用の気管支拡張剤の最適製剤設計に応答曲面法を適用している。気管支拡張剤は、患者が錠剤を服用したときに錠剤の崩壊を抑えるゲル化剤と崩壊を促進する崩壊剤とを錠剤の主成分に混合したものである。図5〜図7において、入力変量である要因パラメータ1はゲル化剤の量であり、同じく入力変量である要因パラメータ2は崩壊剤の量である。また、図5における出力変量である特性値1は、速放率であり、図6における出力変量である特性値2は速放性(錠剤の崩壊が促進される特性)の速度であり、図6における出力変量である特性値3は徐放性(錠剤の崩壊が抑制される特性)の速度である。
【0066】
図5(a)、図6(a)、図7(a)に示す2次多項式の応答曲面では、製剤設計の専門家の経験に反する、現実ではありえないような特性値が出力される。また、図5(b)、図6(b)、図7(b)に示すニューラルネットワークの応答曲面では、伝達関数となっているシグモイド関数の形状がそのまま現れており、所望の応答曲面とはなっていない。これに対して、図5(c)、図6(c)、図7(c)に示す本実施の形態の曲面では、専門家の経験と合致する、所望の滑らかな応答曲面が得られている。
【0067】
以上のように、重調和スプラインを利用すれば、非線形な最適化対象に対し、ユーザがパラメータの指定をすることなく、自動的に最適設計に必要な近似関数(曲面モデル)を得ることができる。このため、従来手法と比べて格段に効率のよい最適設計が可能となる。また、従来手法と異なり、現実にありえないような応答となることが少ないため、最適化対象の知識があまりない人であっても、効率よく精度の高い曲面モデルを得ることができ、条件設計の誤りを回避することができる。
なお、本実施の形態では、n=3の場合を例にとって説明しているが、これに限るものではなく、nが2以上であれば本発明を適用することができる。
【0068】
[実施の形態の2]
実施の形態の1の曲面モデルの同定方法では、データのスムージング(収集したすべてのデータを必ずしも通らない関数近似)が可能である。データのスムージングのアルゴリズムとしては、以下のようなものがある。
【0069】
(I)収集したデータを間引いて(サンプリングして)補間関数を求める方法(文献15)。
(II)特異値分解を利用する方法(文献16)。
(III)前述の式(4)の代わりに、以下の式(5)を利用する方法(文献16)。
【0070】
【数10】
【0071】
式(16)において、∇2 はラプラシアン演算子である。また、T/Dの比を変えてスムージングの程度を制御することができる。
図8に本実施の形態のデータスムージングを適用した結果を示す。図8(a)は入力変量が1種類(n=2)の場合、図8(b)、図8(c)は入力変数が2種類(n=3)の場合の結果である。なお、図8(a)において、破線は全収集データを補間した結果を示し、実線はスムージングをしながら補間した結果を示す。
【0072】
このように、収集したデータにノイズが含まれる場合には、全ての収集データを必ず通るような曲面モデルを求めるよりも、本実施の形態のスムージングを適用して曲面モデルを求める方が有効であり、所望の応答曲面を得ることができる。なお、収集したデータの信頼性が高い場合はこの限りでない。
【0073】
[実施の形態の3]
図9は本発明の第3の実施の形態となる曲面モデルの同定装置の構成を示すブロック図であり、図1と同一の構成には同一の符号を付してある。
本実施の形態は、図1の同定装置に、距離計算部5、グリーン関数計算部6、評価指標計算部7及びデータ選択部8を加えたものである。実施の形態の1と同様に、本実施の形態の同定装置もコンピュータで実現することができる。
【0074】
以下、本実施の形態の同定装置の動作を図10を参照して説明する。まず、同定装置の距離計算部5は、ユーザによって収集データが入力されると(ステップ301においてYES)、n−1次元の空間においてn−1次元の各入力データ間の距離zを入力データの全ての組み合わせについて計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ302)。このときの計算は、実施の形態の1の距離計算部1における処理と全く同じである。
【0075】
続いて、グリーン関数計算部6は、距離計算部5で計算された距離z毎に対応するグリーン関数値φm(z) を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ303)。このときの計算も、実施の形態の1のグリーン関数計算部2における処理と全く同じである。
【0076】
評価指標計算部7は、グリーン関数計算部6で計算されたグリーン関数値φm(z) を基に、ユーザによって収集され同定装置に入力されたデータが曲面モデルの同定にとって有効なデータか否かを示す評価指標値を計算して、図示しない記憶装置に格納する(ステップ304)。
【0077】
評価指標値の計算には、多項式を利用する場合に適用されている各種最適基準(A,D,G,Qなどの最適基準;文献3「轟 章、応答曲面法、平11-12月日本機械学会講習会「応答曲面法による非線形問題の最適設計入門」資料、URL:http://ueno.mes.titech.ac.jp/rec-res.html にて公開中」)を利用する。ただし、文献3で利用されている入力変数値の行列ではなく、グリーン関数値の行列を使用する。例えば、A最適基準の場合、評価指標値は、(GT G)/nの逆行列の対角成分の和となる。なお、ここでのnは実験データ数(有効な実験データ数)である。また、行列Gは以下のような式を利用する。
【0078】
【数11】
【0079】
次に、データ選択部8は、評価指標計算部7で計算された評価指標値が最適(最大もしくは最小)かどうかを判定し(ステップ305)、評価指標値が最適でない場合(すなわち、距離計算部5に入力されたデータが曲面モデルの同定にとって最適でない場合)、ユーザによって収集され同定装置に入力されたn次元データ中から一部のデータを選択的に取り出して、距離計算部5に与える(ステップ306)。これにより、ステップ302〜305の処理が再び実行される。
【0080】
このように、ユーザによって収集され同定装置に入力されたn次元データ中から一部のn次元データのみを選択して評価指標値を計算することを繰り返すことにより、評価指標値が最適となるようなデータを選択する。そして、データ選択部8は、評価指標値が最適となったn次元データ(n−1次元の入力データと1次元の出力データ)を距離計算部1に与える。以降の動作は実施の形態の1と全く同じであるので、説明は省略する。なお、A最適基準を用いる場合は、対角成分の和が最小のものが最適であるが、別の基準を用いる場合は、最大のものが最適である場合もある。
【0081】
以上により、本実施の形態では、過去に収集したデータの中からモデル同定にとって有効なデータのみを適切に選択でき、曲面モデルを誤って同定することを回避することができる。
また、評価指標計算部7で計算された評価指標値を用いて、ユーザがデータの収集方法を見直すことも可能である。
【0082】
なお、実施の形態の1〜3の曲面モデルの同定方法は、少ないデータから効率よく最適設計を行うための応答曲面法として利用することができ、以下のような様々な分野に適用することができる。
(A)医薬品の最適製剤設計(文献3)。
(B)複合材(文献1)。
(C)構造設計(文献2)。
(D)塗料(文献17「長倉 稔、塗料・塗装技術者のための実験計画法(第20回)、塗装技術、1998年2月号」)、化粧品などの配合率最適設計。
(E)食品加工(文献18「相島 鐵郎、最適化手法のフレーバー開発への応用、月刊フードケミカル、1996-3」)、機械加工分野などの製造設備の最適設計、運転条件設計/調整。
(F)その他一般のシステム(プロセス分野、ビル空調、水処理、ごみ処理施設などの設備)の最適設計・運転条件設計/調整。
(G)経済分野などにおける意思決定問題(状況に応じて採るべき行動の支援など)。
(H)その他一般の最適設計問題、意思決定問題。
【0083】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の応答曲面法の近似関数として、グリーン関数に基づく重調和スプライン補間を適用しているので、ユーザは近似関数の次数や構造などの各種パラメータの指定をすることなく、収集したデータのみを使って非線形な最適化対象であっても所望の曲面モデルを求めることができる。これにより、より効率(労力削減、時間短縮)のよい応答曲面法による最適設計が可能となる。また、少ない時間でも精度よく所望の曲面モデルが得られるので、多項式近似のような現実的にはありえない近似を防ぐことができ、最適化対象の知識が少ない人であっても、条件設計のミスを回避することができる。さらに、重調和スプラインを用いたことにより、多次元への拡張が容易となり、多入力(多要因)の対象にも柔軟に対応することができる。また、アルゴリズムが単純であり、同一アルゴリズムで多次元化が可能であるため、プログラムがよりコンパクトにでき、さらに最適設計のための計算のパフォーマンスを向上させることができる。
【0084】
また、出力計算時距離計算ステップ、出力計算時グリーン関数計算ステップ及び出力データ計算ステップを実行することにより、特定の入力データに対応する出力データ(補間値)を計算することができる。
【0085】
また、第2の同定時距離計算ステップ、第2の同定時グリーン関数計算ステップ、評価指標値計算ステップ及びデータ選択ステップを実行した後に、この選択されたデータを前記収集されたデータとして、第1の同定時距離計算ステップ、第1の同定時グリーン関数計算ステップ及びモデル同定ステップを実行することにより、過去に収集したデータの中からモデル同定にとって有効なデータのみを適切に選択でき、曲面モデルを誤って同定することを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態となる曲面モデルの同定装置の構成を示すブロック図である。
【図2】 図1の曲面モデルの同定装置の動作を示すフローチャート図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における距離計算部のモデル同定時の動作を説明するための説明図である。
【図4】 本発明の第1の実施の形態における距離計算部の出力データ計算時の動作を説明するための説明図である。
【図5】 実験データに従来の手法と本発明の第1の実施の形態の手法を適用した結果得られた曲面モデルを応答曲面として図示した図である。
【図6】 実験データに従来の手法と本発明の第1の実施の形態の手法を適用した結果得られた曲面モデルを応答曲面として図示した図である。
【図7】 実験データに従来の手法と本発明の第1の実施の形態の手法を適用した結果得られた曲面モデルを応答曲面として図示した図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態におけるデータスムージングの効果を示す図である。
【図9】 本発明の第3の実施の形態となる曲面モデルの同定装置の構成を示すブロック図である。
【図10】 図9の曲面モデルの同定装置の動作を示すフローチャート図である。
【図11】 応答曲面法における処理の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
1…距離計算部、2…グリーン関数計算部、3…モデル係数計算部、4…出力データ計算部、5…距離計算部、6…グリーン関数計算部、7…評価指標計算部、8…データ選択部。
Claims (3)
- n(nは2以上の整数)種類の変量間の関係を近似したn次元の曲面モデルをコンピュータを使用して同定する曲面モデルの同定方法であって、
予めデータが収集された前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時距離計算ステップと、
この第1の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時グリーン関数計算ステップと、
この第1の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値から前記収集されたデータが前記曲面モデルの同定にとって有効なデータか否かを示す評価指標値を計算して記憶装置に記憶させる評価指標値計算ステップと、
この評価指標値が最大となるようなデータを前記収集されたデータ中から選択するデータ選択ステップと、
この選択されたデータについて、前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時距離計算ステップと、
この第2の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時グリーン関数計算ステップと、
前記選択されたデータのうち前記n−1種類を除く1種類のデータと前記第2の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値とから前記n次元の曲面モデルを計算して記憶装置に記憶させるモデル同定ステップとからなることを特徴とする曲面モデルの同定方法。 - 請求項1記載の曲面モデルの同定方法において、
前記n種類の変量のデータは、実験計画法によって収集されることを特徴とする曲面モデルの同定方法。 - n(nは2以上の整数)種類の変量間の関係を近似したn次元の曲面モデルの同定をコンピュータに実行させるプログラムであって、
予めデータが収集された前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時距離計算ステップと、
この第1の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第1の同定時グリーン関数計算ステップと、
この第1の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値から前記収集されたデータが前記曲面モデルの同定にとって有効なデータか否かを示す評価指標値を計算して記憶装置に記憶させる評価指標値計算ステップと、
この評価指標値が最大となるようなデータを前記収集されたデータ中から選択するデータ選択ステップと、
この選択されたデータについて、前記n種類の変量のうちn−1種類の変量で定義されるn−1次元の空間において各データ間の距離を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時距離計算ステップと、
この第2の同定時距離計算ステップで計算された各距離に対応するグリーン関数値を計算して記憶装置に記憶させる第2の同定時グリーン関数計算ステップと、
前記選択されたデータのうち前記n−1種類を除く1種類のデータと前記第2の同定時グリーン関数計算ステップで計算されたグリーン関数値とから前記n次元の曲面モデルを計算して記憶装置に記憶させるモデル同定ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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